JP6883395B2 - 電線管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電線を中空部に挿通可能な筒状の電線管に関する。
従来から、電線を建築物等に敷設する際、事前に筒状の電線管を配管した上で、その電線管の中空部に電線を挿通する手法が提案されている。例えば、従来の電線管の一つ(以下「従来電線管」という。)は、電線管を構成するベース樹脂にシリコーン化合物を添加することにより、電線管の難燃性を高めると共に、電線を挿通する際の滑り性を高めるようになっている。(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−311484号公報
従来電線管は、電線管を構成する材料そのものに滑り性を高める材料(シリコーン化合物)を添加することにより、電線を挿通する際の内周面の滑り性を高めるようになっている。ところが、電線管がそのような材料から構成されているため、電線管の内周面だけでなく、電線管の外周面についても滑り性が高まることになる。そのため、例えば、電線管を倉庫等に保管する際に電線管を巻取りドラム等に巻きつけても、電線管の外周面の滑り性の高さに起因し、巻き付けられた状態が維持され難い(いわゆる巻き崩れが生じる)と考えられる。更に、実際に電線管を配管する際、巻取りドラム等に巻きつけた電線管を持ち運ぼうとしても、上述した巻き崩れのため、持ち運びが困難となる(ひいては、電線を敷設する作業性が低下する)と考えられる。
このように、従来電線管は、電線管に電線を挿通する際の滑り性を向上させられるものの、電線管そのものの取り扱いが困難となる可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線管に電線を挿通する際の滑り性の向上と、電線管の取り扱い易さと、を両立可能電線管の製造方法提供することにある。
述した目的を達成するために、本発明に係る「電線管の製造方法」は、下記()を特徴としている。

電線を中空部に挿通可能な筒状の電線管の製造方法であって、
前記電線管は、
該電線管の内周面において、周方向に延び且つ径方向内側に向けて突出する凸部と、周方向に延び且つ径方向外側に向けて窪む凹部と、が軸線方向に交互に繰り返し形成された凹凸形状を有し、
該製造方法は、
前記凸部の径方向内側の突出端から前記突出端の近傍までの範囲を覆うことになる帯状の潤滑層を、樹脂シート上に、前記凹凸形状に対応する間隔を開けて並べるように形成する工程と、
前記樹脂シートを前記潤滑層が内周面の周方向に周回するように丸めた筒状体を形成する工程と、
前記筒状体の外周面に密着するように樹脂層を設けた多層体を形成する工程と、
前記多層体を、前記潤滑層に対応する位置が前記凸部となるように成形することにより、前記電線管を形成する工程と、を含む、
電線管の製造方法であること。
上記()の構成の電線管の製造方法によれば電線管の内周面が凹凸形状を有すると共に、その凹凸形状の凸部の先端周辺に限って(突出端から、突出端の近傍まで、の範囲にのみ)潤滑層が形成された電線管を製造できる。このように製造された電線管は、従来電線管のように電線管を構成する材料そのものに滑り性を高める材料を混入する場合に比べ、電線管の外周面の滑り性を不用意に高め難い。一方、電線管に電線を挿通する際に電線が接触する箇所(凸部の先端周辺)には潤滑層が形成されているため、電線を挿通する際の滑り性を向上させられる。
したがって、本構成の電線管の製造方法は、電線管に電線を挿通する際の滑り性の向上と、電線管の取り扱い易さと、を両立可能な電線管を製造できる。
更に、他の効果として、本構成の製造方法によって製造された電線管は、電線管の特定の部位(凸部の先端周辺)を覆うように潤滑層が設けられることになる。そのため、従来電線管のようにベース樹脂と滑り性を高める材料とを混合する場合に比べ、電線管(本体)を構成する材料と、潤滑層と構成する材料と、の組み合わせ(例えば、適合性)について、設計自由度が高い。別の言い方をすると、電線管(本体)を特別な材料によって構成する必要がなく、例えば、所定の規格(例えば、JIS)を満たす電線管をそのまま利用できる。よって、電線管(本体)の機械的強度および可撓性などを損なうことなく、電線管に電線を挿通する際の滑り性を向上できる。
本発明によれば、電線管に電線を挿通する際の滑り性の向上と、電線管の取り扱い易さと、を両立可能電線管の製造方法を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本実施形態に係る電線管の構造を示す図であって、図1(a)は一部断面図であり、図1(b)は図1(a)の断面部分の拡大図である。 図2は、図1の電線管の断面図の拡大図である。 図3は、本実施形態に係る電線管の製造方法を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電線管及び電線管の製造方法の実施の形態について説明する。
<電線管の構成>
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電線管10は、その外周面において、周方向に延びる複数の凸部11と凹部12とが軸線方向に交互に形成された凹凸形状を有している。更に、電線管10は、その内周面において、外周面の凸部11に対応する位置に周方向に延びる凹部13を有し、外周面の凹部12に対応する位置に周方向に延びる凸部14を有している。即ち、電線管10の内周面は、周方向に延び且つ径方向内側に向けて突出する凸部14と、周方向に延び且つ径方向外側に向けて窪む凹部13と、が軸線方向に交互に繰り返し形成された凹凸形状を有している。
更に、電線管10は、電線管10の内周面において、凸部14の径方向内側の突出端14aから突出端14aの近傍までの範囲を覆うように設けられた潤滑層15を有している。潤滑層15は、ポリオレフィン樹脂および滑性添加剤を含む材料であって、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して滑性添加剤を5〜100重量部含む材料によって構成されている。
例えば、潤滑層15を構成するためのポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等が挙げられる。これらの融点は、70〜150℃であることが好ましい。更に、滑性添加剤として、分子量1000〜100万のシリコーン化合物、炭素数10〜30の脂肪酸、分子量500〜10万のワックス等の炭化水素系化合物、並びに、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び亜鉛などの金属石鹸系添加剤などが挙げられる。
一方、電線管10の本体16(潤滑層15以外の部分)は、例えば、所定の規格(例えば、JIS)を満たす電線管をそのまま利用できる。
次いで、潤滑層15の形状について、より詳細に説明する。図3に示すように、潤滑層15は、その厚さDが、0.01〜0.2mmであるように形成されている。更に、潤滑層15は、潤滑層15の径方向最内端から径方向最外端までの径方向における長さH(以下、潤滑層15の「高さ」という。)が0.2〜1.0mmであるように形成されている。
<特性の評価>
発明者は、上述した「組成」および「形状」を有する潤滑層15を備えた電線管10について、各種の特性を評価した。これら評価の詳細について後述する。
(評価1:組成)
具体的には、まず、上述した「潤滑層15の組成」が電線管10の特性に与える影響について評価するべく、評価用の仮想的なサンプルとして、電線管10の本体16に対応するシート材に潤滑層15に対応するシート材を積層した積層シート(潤滑層15に対応するシート材を構成する材料が異なる複数のサンプル)を、後述する表1に示すように準備した。更に、参考用に、電線管10の本体16を構成する材料と潤滑層15を構成する材料を混合して一体化した単層シート(上記同様の複数のサンプル)を、表1に示すように準備した。そして、各サンプルについて、ASTM D1894に準拠した摩擦試験により、静摩擦係数を測定した。なお、この摩擦試験は、ASTM接触子を用いた摩擦計(TL102型)によって実施した。
表1に示す「ポリオレフィン樹脂」は、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)であり、具体的には、三井デュポンケミカル社製のエルバロイ12112(登録商標)である。一方、表1に示す「滑性添加剤」は、エチレンビスステアリン酸アミド(脂肪酸)であり、具体的には、日本化成社製のスリパックスE(登録商標)である。
更に、測定・算出した静摩擦係数について、滑り性の観点から、A〜Cの3段階にて評価した。本評価において、評価Aは滑り性に特に優れること(静摩擦係数が0.2以下であること)を表し、評価Bは滑り性が良好であること(静摩擦係数が0.2よりも大きく0.8未満であること)を表し、評価Cは滑り性が本体16の滑り性と同程度であること(静摩擦係数が0.8以上であること)を表す。即ち、滑り性において、評価A,Bのサンプルは評価Cに対して優位性があることになる。
更に、測定・算出した静摩擦係数について、所定の巻取りドラムに電線管10が巻き付けられた状態をどの程度維持できるか(換言すると、いわゆる巻き崩れの生じ難さ)の観点から、A〜Cの3段階にて評価した。本評価において、評価Aは巻き崩れが生じ難いこと(静摩擦係数が0.8以上)を表し、評価Bは巻き崩れが生じ易いこと(静摩擦係数が0.2よりも大きく0.8未満であること)を表し、評価Cは巻き崩れが非常に生じ易いこと(静摩擦係数が0.2以下であること)を表す。但し、巻き崩れの生じ易さは電線管10の外周面(即ち、本体16の外表面)の滑り性に依存するため、本評価は、各サンプルの本体16に相当するシート材の静摩擦係数に基づいて行った。
更に、測定・算出した静摩擦係数について、本体16と潤滑層15との密着性の観点から、A〜Cの3段階にて評価した。本評価において、評価Aは密着性に優れること(静摩擦係数が0.1よりも大きいこと)を表し、評価Bは評価Aに比べて密着性に劣ること(静摩擦係数が0.1〜0.05であること)を表し、評価Cは評価Bに比べて更に密着性に取ること(静摩擦係数が0.05よりも小さいこと)。即ち、密着性において、評価A,Bのサンプルは評価Cに対して優位性があることになる。
上述した試験の結果を、以下の表1に示す。
Figure 0006883395
発明者が行った試験の結果、サンプル番号1〜6とサンプル番号8〜11の比較から分かるように、従来電線管のように電線管10をポリオレフィン樹脂と滑性添加剤とを混合一体化した材料によって形成した場合、巻き崩れの容易さにおいて、サンプル番号8〜11(単層シート。評価B又はC)は、サンプル番号1〜6(積層シート。評価A)に劣ることが確認された。なお、サンプル番号7は、単層シートではあるものの、滑性添加剤を含まないため、サンプル番号1〜5と同等の巻き崩れ難さ(評価A)を有している。
更に、サンプル番号1のように潤滑層15のポリオレフィン樹脂100重量部に対する滑性添加剤の量が5重量部未満である場合、巻き崩れは生じ難いものの(評価A)、滑り性がサンプル番号2〜6に劣っていること(即ち、電線を挿通させ難いこと)が確認された(評価C)。同様に、サンプル番号6のように潤滑層15のポリオレフィン樹脂100重量部に対する滑性添加剤の量が100重量部よりも多い場合、巻き崩れは生じ難いものの(評価A)、本体16と潤滑層15との密着性がサンプル番号2〜5に劣っていることが確認された(評価C)。
一方、サンプル番号2〜5のように潤滑層15のポリオレフィン樹脂100重量部に対する滑性添加剤の量が5〜100重量部である場合、巻き崩れが生じ難いことに加え(評価A)、滑り性に優れ(評価A又はB)且つ密着性にも優れる(評価A又はB)ことが確認された。更に、サンプル番号3,4のように潤滑層15のポリオレフィン樹脂100重量部に対する滑性添加剤の量が10〜50重量部である場合、更に優れた滑り性を得られることが確認された(評価A)。
以上から、総合評価において、サンプル番号3,4は非常に優れており(総合評価A)、サンプル番号2,5は良好であり(総合評価B)、サンプル番号1,6は従来電線管と比較した場合の優位性が不十分である(総合評価C)。更に、サンプル番号7は、サンプル番号2〜4に比べて滑り性に劣っており(総合評価C)、サンプル番号8〜11はサンプル番号1〜5に比べて巻き崩れが生じやすい(総合評価C又はD)。
なお、発明者は、「ポリオレフィン樹脂」として、上述した樹脂以外にも、ポリプロピレン(PP)として住友化学社製の住友ノーブレンEP3711E1(登録商標)、ポリエチレン(PE)としてダウ・ケミカル日本社製のNUCG−9301、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)として三井デュポンケミカル社製のエバフレックスEV560(登録商標)等を用いたサンプルについても、上記同様の評価を行った。更に、発明者は、「滑性添加剤」として、上述した添加剤以外にも、ジメチルシリコーンオイル(シリコーン化合物)として東レ・ダウコーニング社製のSH200−1000CS、ポリエチレンワックス(炭酸水素系化合物)として三井化学社製エクセレックス30200B、及び、ステアリン酸亜鉛(金属石鹸系添加剤)として川村化学工業社製のステアリン酸亜鉛などを用いたサンプルについても、上記同様の評価を行った。その結果、上記同様の評価結果を得られた。
以上の試験結果から、潤滑層15を構成する材料として、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して滑性添加剤を5〜100重量部含む材料(好ましくは、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して滑性添加剤を5〜50重量部含む材料、更に好ましくは、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して滑性添加剤を10〜50重量部含む材料)を用いることにより、電線管10に電線を挿通する際の滑り性と、電線管10の本体16と潤滑層15との密着性と、の双方に優れた電線管10を得られることが明らかとなった。
(評価2:形状)
次いで、発明者は、上述した「潤滑層15の形状」に関し、潤滑層15の形状が異なる複数のサンプルを、後述する表2に示すように準備した。これらサンプルは、いずれも、上述した組成の評価にて総合評価Aを得られた組成の潤滑層15(サンプル番号3,4)を有するように準備した。なお、各サンプルにおいて、本体16の外径および内径の大きさは、後述する可撓性試験を行うにあたって規格(JIS)に定められている所定の大きさとした。そして、各サンプルについて、JIS C 8411の8.1に準拠した可撓性試験を行い、曲げ処理後におけるゲージ通過の可否を測定した。更に、各サンプルについて、JASO D 611に準拠したスクレープ試験(摩耗試験)を帆布ブレードを用いて荷重5Nにて行い、摩耗に耐えられたスクレープ回数を測定した。
更に、可撓性試験について、測定したゲージ通過の可否の観点から、A,Bの2段階にて評価した。本評価において、評価Aはゲージが通過できたことを表し、評価Bは評価Aに比べてゲージが通過し難かったことを表す。但し、評価Bの場合であっても、上述した従来電線管に対する優位性に問題はない。
更に、スクレープ試験について、測定したスクレープ回数の観点から、A〜Cの3段階にて評価した。本評価において、評価Aは60回以上のスクレープに耐えられたことを表し、評価Bは30回以上のスクレープに耐えられたことを表し、評価Cは30回未満のスクレープに耐えられたことを表す。但し、評価Cの場合であっても、上述した従来電線管に対する優位性に問題はない。
上述した試験の結果を、以下の表2に示す。
Figure 0006883395
発明者が行った試験の結果、サンプル番号12のように、潤滑層15の厚さが0.01mm未満であり且つ潤滑層15の高さが0.2mm未満である場合、可撓性試験の結果は良好であるものの(評価A)、スクレープ試験での耐摩耗性が他のサンプル(例えば、サンプル番号13〜15)に劣っていることが確認された(評価C)。同様に、サンプル番号16のように、潤滑層15の厚さが0.2mmよりも大きく且つ潤滑層15の高さが1.0mmよりも大きい場合、耐摩耗性は良好であるものの(評価A)、可撓性試験にてサンプル番号13〜15に比べてゲージが通過し難くなることが確認された(評価B)。
一方、サンプル番号13〜15のように、潤滑層15の厚さが0.01〜0.2mmの範囲に含まれ、且つ、潤滑層15の高さが0.2〜1.0mmの範囲に含まれる場合、可撓性試験にてゲージが通過可能であることに加え(評価A)、スクレープ試験における耐摩耗性にも優れる(評価A又はB)ことが確認された。更に、サンプル番号14,15のように、潤滑層15の厚さが0.1〜0.2mmの範囲に含まれ、且つ、潤滑層15の高さが0.5〜1.0mmの範囲に含まれる場合、可撓性試験での良好な結果を維持しながら(評価A)、耐摩耗性が更に向上することが確認された(評価A)。
但し、サンプル番号17のように、潤滑層15の厚さが0.2mmよりも大きい場合、潤滑層15の高さが0.2〜1.0mmの範囲に含まれていても、可撓性試験にてサンプル番号13〜15に比べてゲージが通過し難くなることが確認された(評価B)。
以上から、総合評価において、サンプル番号14,15は非常に優れており(総合評価A)、サンプル番号13は良好であり(総合評価B)、サンプル番号12,16,17は従来電線管に対する優位性はあるものの他のサンプルには劣る(総合評価C)。
以上の試験結果から、潤滑層15の形状として、潤滑層15の厚さが0.01〜0.2mmであり、且つ、潤滑層15の径方向最内端から径方向最外端までの径方向における長さ(高さ)が0.2〜1.0mmであるであるように(好ましくは、潤滑層15の厚さが0.1〜0.2mmであり、潤滑層15の高さが0.5〜1.0mmであるように)潤滑層15を形成することにより、電線管10全体として可撓性に優れ、且つ、耐摩耗性に優れた潤滑層15を備えた電線管10を得られることが明らかとなった。
<製造方法>
次いで、上記の電線管10を製造する製造装置100及び製造方法について説明する。
図3は、電線管10を製造する製造装置100の概略構成図である。図3に示すように、製造装置100は、押出機20、クロスヘッド30及び成形機40を備えている。
押出機20は、電線管10(本体)を構成する樹脂材料が投入される供給部21、螺旋状の襞を有して図中の横方向に延びると共に図示しないモータによって回転して樹脂材料を図中の右側に送りつつ溶融するスクリュー22、スクリュー22を収容するとともに樹脂材料の通過経路を形成するシリンダー23、シリンダー23の出口に設けられるとともに樹脂材料の通過量を調節する絞り部としてのギアポンプ24、ギアポンプ24の出口側に設けられるノズル25と、を有している。
ギアポンプ24は、紙面前後方向に回転軸を有する一対のギア24aを備える。更に、図示しない制御手段としてのコンピュータにより、ギア24aの回転数が制御され、樹脂材料の通過量が調整される。
ノズル25を通過した樹脂材料は、クロスヘッド30に供給される。クロスヘッド30は、ノズル25を通じて供給される樹脂材料と、軸芯(後述する樹脂シートS)との共押出しを行う押出成形装置であり、クロスヘッド部31、軸芯送りローラ32、ノズル33、及び、口金34を有している。
クロスヘッド30では、軸芯(樹脂シートS)と、ノズル25を通じて供給された樹脂材料と、が口金34から一体的に共押出される。これにより、軸芯(樹脂シートS)の外周面に密着するように樹脂層を設けた多層体35が、形成される。
一方、クロスヘッド30に供給される軸芯は、後述するように準備される。まず、図3に示すように、樹脂シートSの上に、上述した組成および形状に対応する潤滑層15を、最終的な電線管10の内周面の凹凸形状に対応する間隔17を開けて並べるように形成する。次いで、樹脂シートSを、潤滑層15が内周面の周方向に周回するように丸めた筒状体を形成する。そして、この筒状体(樹脂シートS)を軸芯として、クロスヘッド30の軸芯送りローラ32を介してノズル33に供給する。
クロスヘッド30から共押出された多層体35は、成形機40に供給される。成形機40は、複数の金型41が環状に配置された一対の搬送ベルト42と、搬送ベルト42の内側に配されるローラ43,44と、を有している。ローラ43,44は図示しないモータによって回転して搬送ベルト42を移動させる。搬送ベルト42と共に移動した金型41は、多層体35の導入口45にて多層体35のプレス(電線管10の成形)を開始する。金型41は、潤滑層15に対応する位置が内周面の凸部14(図2を参照)となるように多層体35をプレス可能であるように(換言すると、電線管10を成形可能であるように)、構成されている。金型41は、そのように多層体35をプレスしながら、成形された電線管10を送出口46に向けて移動させる。そして、送出口46から、電線管10が順次に送出される。
以上に説明したように、本実施形態に係る電線管10及び電線管10の製造方法によれば、電線管10の内周面が凹凸形状を有すると共に、その凹凸形状の凸部14の先端周辺に限って(突出端14aから、突出端14aの近傍まで、の範囲に)潤滑層15が形成されることになる。そのため、従来電線管のように電線管を構成する材料そのものに滑り性を高める材料を混入する場合に比べ、電線管10の外周面の滑り性を不用意に高め難い。一方、電線管10に電線を挿通する際に電線が接触する箇所(凸部14の先端周辺)には潤滑層が形成されているため、電線を挿通する際の滑り性を向上させられる。
したがって、電線管10は、電線管に電線を挿通する際の滑り性の向上と、電線管の取り扱い易さと、を両立可能である。
更に、他の効果として、電線管10は、電線管10の特定の部位(凸部14の先端周辺)を覆うように潤滑層15を設けることになる。そのため、従来電線管のようにベース樹脂と滑り性を高める材料とを混合する場合に比べ、電線管10(本体)を構成する材料と、潤滑層15と構成する材料と、の組み合わせ(例えば、適合性)について、設計自由度が高い。別の言い方をすると、電線管10(本体)を特別な材料によって構成する必要がなく、例えば、所定の規格(例えば、JIS)を満たす電線管をそのまま利用できる。よって、機械的強度および可撓性などを損なうことなく、電線管に電線を挿通する際の滑り性を向上できる。
更に、潤滑層15の厚さを0.01〜0.2mmとし、潤滑層15の径方向最内端から径方向最外端までの径方向における長さ(高さ)を0.2〜1.0mmとしたことにより、電線管10全体としての可撓性および潤滑層15の耐摩耗性において優れた結果を得られることが明らかになった。
更に、潤滑層15を構成する材料として、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して滑性添加剤を5〜100重量部含む材料を用いることにより、電線管10に電線を挿通する際の滑り性と、電線管(本体16)と潤滑層15との密着性と、の双方に優れた電線管10を得られることが明らかとなった。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係る電線管および電線管の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(4)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
電線を中空部に挿通可能な筒状の電線管(10)であって、
該電線管(10)の内周面において、周方向に延び且つ径方向内側に向けて突出する凸部(14)と、周方向に延び且つ径方向外側に向けて窪む凹部(13)と、が軸線方向に交互に繰り返し形成された凹凸形状を有し、
前記凸部(14)の径方向内側の突出端(14a)から前記突出端(14a)の近傍までの範囲を覆うように、前記突出端を構成する材料よりも潤滑性に優れる材料によって構成された潤滑層(15)が形成されている、
電線管。
(2)
上記(1)に記載の電線管において、
前記潤滑層(15)の厚さ(D)が、0.01〜0.2mmであり、
前記潤滑層(15)の径方向最内端から径方向最外端までの径方向における長さ(H)が、0.2〜1.0mmである、
電線管。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の電線管において、
前記潤滑層(15)を構成する材料が、
ポリオレフィン樹脂及び滑性添加剤を含む材料であって、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して前記滑性添加剤を5〜100重量部含む材料、である、
電線管。
(4)
電線を中空部に挿通可能な筒状の電線管の製造方法であって、
前記電線管(10)は、
該電線管(10)の内周面において、周方向に延び且つ径方向内側に向けて突出する凸部(14)と、周方向に延び且つ径方向外側に向けて窪む凹部(13)と、が軸線方向に交互に繰り返し形成された凹凸形状を有し、
該製造方法は、
前記凸部(14)の径方向内側の突出端(14a)から前記突出端(14a)の近傍までの範囲を覆うことになる帯状の潤滑層(15)を、樹脂シート(S)上に、前記凹凸形状に対応する間隔(17)を開けて並べるように形成する工程と、
前記樹脂シート(S)を前記潤滑層(15)が内周面の周方向に周回するように丸めた筒状体を形成する工程と、
前記筒状体の外周面に密着するように樹脂層を設けた多層体(35)を形成する工程(押出機20,クロスヘッド30)と、
前記多層体(35)を、前記潤滑層(15)に対応する位置が前記凸部(14)となるように成形することにより、前記電線管を形成する工程(成形機40)と、を含む、
電線管の製造方法。
10 電線管
13 凹部
14 凸部
15 潤滑層
16 本体
D 潤滑層の厚さ
H 潤滑層の高さ
20 押出機
30 クロスヘッド
40 成形機
100 電線管の製造装置
S 樹脂シート

Claims (1)

  1. 電線を中空部に挿通可能な筒状の電線管の製造方法であって、
    前記電線管は、
    該電線管の内周面において、周方向に延び且つ径方向内側に向けて突出する凸部と、周方向に延び且つ径方向外側に向けて窪む凹部と、が軸線方向に交互に繰り返し形成された凹凸形状を有し、
    該製造方法は、
    前記凸部の径方向内側の突出端から前記突出端の近傍までの範囲を覆うことになる帯状の潤滑層を、樹脂シート上に、前記凹凸形状に対応する間隔を開けて並べるように形成する工程と、
    前記樹脂シートを前記潤滑層が内周面の周方向に周回するように丸めた筒状体を形成する工程と、
    前記筒状体の外周面に密着するように樹脂層を設けた多層体を形成する工程と、
    前記多層体を、前記潤滑層に対応する位置が前記凸部となるように成形することにより、前記電線管を形成する工程と、を含む、
    電線管の製造方法。
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