JP6882844B2 - 動物性加工食品用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、肉、魚の加工食品に使用される動物性加工食品用油脂組成物に関する。
赤身等の脂肪分の少ない魚肉はマグロのトロのような部位に比べるとコク味がなく、油性感に乏しい。
そのため、赤身等の脂肪分の少ない魚肉と食用油脂を混合し、脂肪分の多いトロ風の水産加工食品を製造することが行われてきた。例えば、マグロ赤身をフードプロセッサー等で粉砕し、食用油脂であるショートニングや油中水型乳化物等の可塑性油脂を加えて練り合わせたねぎトロ風の水産加工食品は、寿司種やおにぎりの具等に広く利用されている。
例えば、回転寿司では寿司の廃棄基準として、寿司が回転ベルトに乗せられてから廃棄されるまで店舗により違いは有るものの、おおよそ0.5〜1時間程度、または目視により状態が変化した場合に廃棄となっている。その点からも、ベルト上を流れる水産加工食品は一定の時間、油脂組成物が結晶量を保ち、それによって美しいピンク色を保つことが求められている。また、油脂組成物の状態により、液状油の染み出し(液だれ)がおこると水産加工食品の色合い(赤味)が強くなり、また艶が悪くなる等の不具合を生じる。
そして、水産加工食品として供される場合においては、口に入れた際に速やかに溶ける口溶け感と、滑らかな食感(とろみ感)が、水産加工食品の美味しさをだすために重要である。水産加工食品における魚肉の口溶け感とともに、これに混合される油脂組成物にも良好な口溶け感があり、ザラツキなく滑らかであると、例えば赤身の場合にはトロのような食感になる。
また、挽肉においては、小売店で陳列された際の発色の鮮やかさと、液だれをおこすこと無く艶が維持されることが重要となる。油脂組成物の状態により、液だれがおこると、挽肉の発色や艶が悪くなる等の不具合を生じる。
このような油脂組成物としては、例えば、パーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換反応して得られたエステル交換油脂を5〜50質量%(油相基準)及び極度硬化油脂を1〜10質量%(油相基準)含有し、かつ、油相の固体脂含有率(SFC)が、10℃で5〜20であり、20℃で1〜10であって、油相を50〜100質量%(組成物基準)含有する魚肉加工食品用油脂組成物が提案されている(特許文献1)。
また、例えば、パーム系油脂を含む原料油脂をエステル交換反応したエステル交換油脂を、水産物加工食品用油脂組成物全質量に対して10質量%以上含有し、かつ0℃〜10℃における固体脂含有率(SFC)が5〜25%である水産物加工食品用油脂組成物も提案されている(特許文献2)。
特開2013−215171号公報 国際公開第2012/105548号
しかしながら、特許文献1、2の油脂組成物によってねぎトロ風の水産加工食品を製造した場合、艶や発色が十分でなく、また、満足のいくとろみ感が得られないという問題がある。また、特許文献1、2の油脂組成物の場合、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉をミンチ状にした挽肉などの加工食品に配合することや、この場合の艶や発色への影響などは検討されていない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、水産加工食品や挽肉などの加工食品に添加することで良好な艶と発色が得られ、ねぎトロ風の水産加工食品の場合には、良好なとろみ感を得ることができる動物性加工食品用油脂組成物を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の動物性加工食品用油脂組成物は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%であり、かつ、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して8.5〜24.0質量%であり、かつ、極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満であるとともに、1種または2種以上のエステル交換油脂を含み、前記エステル交換油脂全体のヨウ素価が50〜60であることを特徴としている。
本発明の動物性加工食品は、前記動物性加工食品用油脂組成物が添加されていることを特徴としている。
本発明の動物性加工食品用油脂組成物によれば、水産加工食品や挽肉などの加工食品に添加することで良好な艶と発色が得られ、ねぎトロ風の水産加工食品の場合には、良好なとろみ感を得ることができる。
本発明の動物性加工食品は、艶と発色が良好であり、ねぎトロ風の水産加工食品の場合には、とろみ感も良好である。
本発明の動物性加工食品用油脂組成物(以下、単に「油脂組成物」という)は、例えば、マグロ、サーモン、カツオなどの生魚肉のすり身や、牛肉、豚肉、鶏肉などをミンチ状にした挽肉などの加工食品に添加することができる。したがって、本発明における「動物性加工食品」には、これらの肉、魚肉の加工食品(挽肉、ねぎトロ風の水産加工食品など)が含まれる。
そして、本発明の油脂組成物は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%であり、かつ、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して8.5〜24.0質量%であり、かつ、極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満である。
以下、本発明の油脂組成物および動物性加工食品について、詳しく説明する。
(油脂中のトリグリセリド)
トリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表している。
「2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリド」の1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。同様に、「2位にリノール酸が結合されたトリグリセリド」の1、3位の構成脂肪酸も、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。「2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリド」および「2位にリノール酸が結合されたトリグリセリド」は、例えば、1位、3位に飽和脂肪酸が結合された1不飽和トリグリセリドの形態や、1位または3位のいずれかに不飽和脂肪酸が結合された2不飽和トリグリセリドの形態、1位、3位にも不飽和脂肪酸が結合された3不飽和トリグリセリドの形態をとることができる。
飽和脂肪酸は、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などを例示することができる。なお、上記数値表記は、各脂肪酸の炭素数である。1、3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸である場合は、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
不飽和脂肪酸は、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などを例示することができる。上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。1、3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合は、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
なお、油脂中に含まれるその他のトリグリセリドは、特に限定されず、トリグリセリドの構成脂肪酸(1位、2位、3位)は、例えば、上記の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であってよい。
「2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリド」および「2位にリノール酸が結合されたトリグリセリド」は、分子構造上歪を形成しており、回転運動する際に、分子構造の障害となりやすい。そのため、油脂中の各トリグリセリドの分子同士が近付きにくくなるため、結晶化しにくい状態となる。その結果、結晶化部分(固)と非結晶部分(液)とが混在(固液分離)した状態となりやすい。
本発明の油脂組成物が添加された動物性加工食品は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドと、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドとのバランスによって、液だれが抑制され、良好な艶、発色が得られ、また、ねぎトロ風の水産加工食品の場合、満足のいくとろみ感を得ることができる。
本発明の油脂組成物は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%である。
本発明の油脂組成物は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が73質量%以上であるため、分子構造による結晶化の阻害によって非結晶化部分が多くなり、ねぎトロ風の水産加工食品のとろみ感が向上する。また、本発明の油脂組成物は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量を90質量%以下であるため、分子構造による結晶化の阻害による非結晶化部分の量が多すぎず適度になり、動物性加工食品の発色の鮮やかさ、経時的な表面の艶が維持される。
本発明の動物性加工食品用油脂組成物において、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量は、油脂全量に対して8.5〜24.0質量%であり、好ましくは10.0〜24.0質量%である。
本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量がこの範囲であるため、発色が鮮やかであり、経時的な表面の艶も維持される動物性加工食品を得ることができる。
すなわち、本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が上記の範囲内であることで、2位にオレイン酸またはリノール酸が結合されたトリグリセリドが結晶化部分(固)と非結晶部分(液)とが混在(固液分離)した状態となりやすいことと、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドによる結晶化作用とが相俟って、とろみ感があり、発色が鮮やかであり、経時的な表面の艶も維持される水産加工食品を得ることができる。
また、本発明の油脂組成物における油脂の含有量は、油脂組成物全体に対して、好ましくは70〜99.9質量%、より好ましくは90〜99.8質量%、さらに好ましくは96〜99.8質量%である。
本発明の油脂組成物に使用される油脂としては、パーム油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油等の植物油脂、豚脂(ラード)、牛脂、魚油等の動物油脂、乳脂、これらの分別油、硬化油(部分硬化油、極度硬化油)、エステル交換油脂などが挙げられる。油脂中に2位にオレイン酸が結合したトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合したトリグリセリドの合計含有量と構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量を適宜調整するために、これらの油脂として、1種又は2種以上を例示することができ、このうちの2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
本発明の油脂組成物に含まれる油脂は、極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満である。すなわち、本発明の油脂組成物には、極度硬化油が含まれていなくてもよいし(含有量0)、油脂全量に対して1.0質量%未満の割合で含有されていてもよい。なお、極度硬化油とは、水素付加により油脂中の不飽和脂肪酸のほぼ全てが飽和脂肪酸に変換されている油脂をいい、融点が50℃以上であり、ヨウ素価が0〜3であるものが好ましい。
極度硬化油の含有量がこの範囲であると、本発明の油脂組成物が添加された動物性加工食品は、液だれが抑制され、良好な艶、発色が得られ、また、ねぎトロ風の水産加工食品の場合、満足のいくとろみ感を得ることができる。
さらに、本発明の油脂組成物は、エステル交換油脂と液状油を含むことが好ましく、エステル交換油脂としてはヨウ素価が50〜60であることが好ましい。エステル交換油脂の原料となる油脂は、例えばパーム油、パーム分別軟質油、パーム分別硬質油、パーム分別中融点油、またはそれらの油脂に水素添加反応を施した油脂などのパーム系油脂を例示することができる。また、これらの油脂を適宜組み合わせてヨウ素価を調整し、油脂組成物に用いることができる。中でも使用する油脂としてはパーム油、パーム分別軟質油が好ましく、油脂組成物に含まれるエステル交換油脂の添加量としては、3〜50質量%が好ましい。
液状油としては、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油等の植物油脂に代表されるが、ヨウ素価が100〜150であるものが好ましく、添加量としては、油脂全量に対して45〜80質量%が好ましい。これによって、本発明の油脂組成物が添加された動物性加工食品は、艶、発色がより良好になり、また、ねぎトロ風の水産加工食品の場合、より満足のいくとろみ感を得ることができる。
エステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒を用いることができる。化学触媒としては、ナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌巣することでエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
本発明の油脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、乳化剤、酸化防止剤、着色料、フレーバー、調味料、酸味料、甘味料、食塩などの公知の食品添加剤を添加することができる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、L−アスコルビン酸やL−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物等が挙げられる。
着色料としては、カロテン色素、アナトー色素、アスタキサンチン色素、ベニコウジ色素、クチナシ色素、ウコン色素、コチニール色素、アカビート色素、タマリンド色素等が挙げられる。
フレーバーとしては、合成香料、天然香料等が挙げられる。
調味料としては、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩等が挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、L−酒石酸、乳酸等が挙げられる。
甘味料としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース等の二糖類、およびオリゴ糖、糖アルコール、デンプン、デンプン分解物等の多糖類等の糖質やアスパルテーム、ステビア、サッカリン等が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、(A)2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%であり、(B)構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して8.5〜24.0質量%である。また、本発明の油脂組成物は、(C)極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満である。
本発明の油脂組成物は、上記(A)(B)(C)を満たす組成であるため、動物性加工食品に添加することで、動物性加工食品の艶、発色が良好になる。また、動物性加工食品がねぎトロ風の水産加工食品である場合、魚肉に添加することで良好なとろみ感を得ることができる。
(油脂組成物の製造方法)
本発明の油脂組成物は、例えば、原料となる1種又は2種以上の前述したような油脂を加温下で溶解し、溶解した油脂中に必要に応じて食品添加物等のその他の成分とを添加し、公知の方法で均一に分散し、溶解することによって製造することができる。
製造工程において加温下で溶解状態にある本発明の油脂組成物は、急冷捏和装置によって、急冷しながら練り合わせることで、ショートニング又は油中水型油脂組成物である可塑性油脂組成物として得ることができる。
急冷捏和処理は、通常、可塑性油脂組成物を製造する場合と同様にして行うことができる。例えば、冷却条件は、20℃/分以上、好ましくは30℃/分以上とすることができる。また、急冷捏和処理は、従来公知の急冷捏和装置を用いて行うことができ、必要に応じてガス、例えば窒素等を混入することもできる。密閉状態で連続的に急冷し、同時に捏和して均質な油脂組成物を得る装置としては、ボテーター、パーフェクター、コンビネーター、ネクサス等を用いることができる。
(動物性加工食品)
本発明の動物性加工食品は、牛肉、豚肉、鶏肉などをミンチ状にした挽肉などの加工食品や、魚肉等の水産物を粉砕処理など行った加工食品に、本発明の油脂組成物を添加することで製造することができる。
例えば魚肉の赤身をミンチ状に粉砕し、これに本発明の油脂組成物を均一に混合することにより、赤身を脂身のような風味と、とろみ感を得ることができ、さらに外観として明るい良好な発色と艶を付与することができる。
また、牛肉、豚肉、鶏肉など挽肉に本発明の油脂組成物を添加したものは、良好な発色と艶が得られるため、消費者の購買意欲を掻き立てることができる。また、このような挽肉を混練、成形して加熱調理したハンバーグや肉団子などについても、冷めても口どけがよく、良好な食感が実現される。
本発明の動物性加工食品における油脂組成物の使用量は、特に限定されないが、本発明の効果を得る点を考慮すると、例えば全量に対して5〜30質量%の範囲を例示することができる。
動物性加工食品には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、着色料、フレーバー、調味料、酸味料、甘味料、食塩、pH調整剤等のその他の成分を配合してもよい。
本発明の動物性加工食品は、例えばねぎトロ風の水産加工食品の場合、そのまま喫食に供されてもよいが、軍艦巻きや手巻き寿司等の寿司種、おにぎりやのり巻きの具等として好適に使用することができる。
本発明の油脂組成物および動物性加工食品は、以上の実施形態に限定されることはない。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)油脂組成物の作製
(エステル交換油脂1)
パーム分別軟質油に、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭を行い、エステル交換油脂1を得た。エステル交換油脂1のヨウ素価を、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定したところ、ヨウ素価は56であった。
(エステル交換油脂2)
パーム油に、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭を行い、エステル交換油脂2を得た。エステル交換油脂1と同様にヨウ素価を測定したところ、ヨウ素価は53であった。
(油脂組成物)
表1、2に記載の配合比にて各原料油脂をタンク内で混合し、プロペラ攪拌機で攪拌
しながら75℃に調温後、均一に分散して溶解させた混合物をパーフェクターで急冷捏和して、動物性加工食品用油脂組成物を作製した(実施例1〜8、比較例1〜5)。
(2)測定方法
実施例1〜8および比較例1〜5の油脂組成物における、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの含有量、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドとの含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
また、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50であるトリグリセリドの含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.6.1−2013 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)」)により測定した。
(3)水産加工食品の作製
10℃に調温したマグロの赤身肉900gをフードプロセッサーに入れ、粉砕したミンチ状にした。さらに上記で作製した実施例1〜8および比較例1〜5の油脂組成物100gをフードプロセッサーに加え、均一に分散するまで混合し、水産加工食品を得た。
(3−1)評価
(とろみ感)
水産加工食品を10℃に調温した恒温器内で1日保管した後、パネル10名により口の中でのとろみ感を以下の基準で評価した。
なお、パネルは、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
評価基準
◎:10名中8名以上がなめらかでとろみがあると評価した
○:10名中7〜5名がなめらかでとろみがあると評価した
△:10名中4〜3名がなめらかでとろみがあると評価した
×:なめらかでとろみがあると評価したのは10名中2名以下であった
(発色の鮮やかさ)
水産加工食品を10℃に調温した恒温器内で1日保管した後、発色の鮮やかさを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:油脂と赤身が均一に混ざり合い、極めて鮮やかなピンク色を示す
○:油脂と赤身が均一に混ざり合い、鮮やかなピンク色を示す
△:油脂と赤身がやや不均一で、赤味を帯びる
×:油脂と赤身が不均一で、赤味が強くなる
(経時的な表面の艶)
水産加工食品の喫食事の状態を確認する為、トレシングペーパーに炊飯を1cm厚のシート状に敷きつめ、その上に水産加工食品を0.5cm厚に敷きつめた。これを20℃に調温した恒温器内で1時間保管した後、表面の艶を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:液だれすることなく、艶がある
○:やや液だれが見られるが、艶がある
△:液だれがみられ、表面に凹凸が見られる
×:激しく液だれ起こし、表面に激しい凹凸が見られる
(4)牛挽肉の作製
10℃に調温し、細かく切り分けた牛赤身肉850gと、上記で作製した実施例1〜8および比較例1〜5の油脂組成物150gを混合し、ミンサーに入れ、牛挽肉を得た。
(4−1)評価
(発色の鮮やかさ)
牛挽肉を10℃に調温した恒温器内で1日保管した後、発色の鮮やかさを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:赤身肉中に油脂がが均一に分散し、極めて鮮やかな赤白の発色を示す
○:赤身肉中に油脂が均一に分散、鮮やかな赤白の発色を示す
△:赤身肉中に油脂がやや不均一に分散し、赤味を帯びる
×:赤身肉中の油脂の分散が不均一で、赤味が強くなる
(経時的な表面の艶)
牛挽肉表面の状態を確認する為、トレシングペーパーに挽肉を1cm厚のシート状に敷きつめ、これを10℃に調温した恒温器内で3時間保管した後、表面の艶を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:液だれすることなく、艶がある
○:やや液だれが見られるが、艶がある
△:液だれがみられ、表面に凹凸が見られる
×:激しく液だれ起こし、表面に激しい凹凸が見られる
(5)結果
結果を表1、2に示す。なお、表1、2では、「2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量」を「2位オレイン酸・リノール酸量(質量%)」と記載し、「構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量」を「総炭素数(C46−C50)の量(質量%)」と記載している。
Figure 0006882844
Figure 0006882844
表1に示したように、実施例1〜8の油脂組成物は、(A)2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%であり、(B)構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して8.5〜24.0質量%であり、(C)極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満である。
実施例1〜8の油脂組成物は、上記(A)(B)(C)の条件をすべて満たしていることで、水産加工食品のとろみ感、発色、艶が良好であり、牛挽肉の発色、艶も良好であることが確認された。
一方、表2に示したように、比較例1の油脂組成物は、(A)2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が71.9質量%であり、水産加工食品のとろみ感、発色、艶および牛挽肉の発色、艶が不十分であった。
比較例2の油脂組成物は、(B)構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して7.0質量%であり、水産加工食品の発色、艶および牛挽肉の発色、艶が不十分であった。
比較例3の油脂組成物は、(A)2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が91.1質量%であり、水産加工食品のとろみ感、発色、艶および牛挽肉の発色、艶が不十分であった。
比較例4の油脂組成物は、(B)構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して24.9質量%であり、水産加工食品のとろみ感、発色、艶および牛挽肉の発色、艶が不十分であった。
比較例5の油脂組成物は、(C)極度硬化油の含有量が油脂全量に対して3質量%であり、水産加工食品のとろみ感、発色、艶および牛挽肉の発色、艶が不十分であった。

Claims (2)

  1. 2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドと、2位にリノール酸が結合されたトリグリセリドの合計含有量が油脂全量に対して73〜90質量%であり、かつ、構成脂肪酸の総炭素数が46〜50のトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して8.5〜24.0質量%であり、かつ、極度硬化油の含有量が油脂全量に対して0以上1.0質量%未満であるとともに、
    1種または2種以上のエステル交換油脂を含み、前記エステル交換油脂全体のヨウ素価が50〜60であることを特徴とする動物性加工食品用油脂組成物。
  2. 請求項1の動物性加工食品用油脂組成物が添加されていることを特徴とする動物性加工食品。
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