以下、実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両用の多気筒ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムとして本発明を具体化しており、その詳細な構成を以下に説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
図1において、4気筒ディーゼルエンジン(以下、エンジン10という)には気筒ごとに燃料噴射弁11が配設され、これら燃料噴射弁11は各気筒共通のコモンレール(蓄圧配管)12に接続されている。コモンレール12には燃料ポンプとしての高圧ポンプ13が接続されており、高圧ポンプ13の駆動に伴い燃料が高圧化され、噴射圧相当の高圧燃料がコモンレール12に連続的に蓄圧される。高圧ポンプ13は、エンジン10の回転に伴い駆動され、エンジン回転に同期して燃料の吸入及び吐出が繰り返し行われる。高圧ポンプ13には、その燃料吸入部に電磁駆動式の吸入調量弁(SCV)13aが設けられており、フィードポンプ14によって燃料タンク15から汲み上げられた低圧燃料は吸入調量弁13aを介して高圧ポンプ13の燃料室に吸入される。
コモンレール12には圧力センサ16と温度センサ17とが設けられており、圧力センサ16によりコモンレール12内の燃料圧力(燃圧)が逐次検出され、温度センサ17によりコモンレール12内の燃料温度(燃温)が逐次検出される。また、コモンレール12には電磁駆動式の減圧弁18が設けられており、この減圧弁18が開放されることにより、コモンレール12内の高圧燃料が排出配管19を介して燃料タンク15に向けて排出されるようになっている。こうした高圧燃料の排出によりコモンレール12内の減圧が行われる。本実施形態では、減圧弁18として常閉弁を用いている。
エンジン10のクランク軸21付近には、クランク軸21の回転速度を検出するための回転速度センサ22が設けられている。回転速度センサ22は、例えば、クランク軸21に一体に設けられたタイミングロータの歯の通過を検出する電磁ピックアップ式センサであり、回転速度センサ22の検出信号を波形整形することによりパルス状の回転速度信号(NEパルス)が生成されるようになっている。本実施形態では、NEパルスの角度間隔(パルス立ち上がりエッジ間の角度)が6°CAであり、6°CA周期で回転速度の検出が可能となっている。
ECU30は、CPUや各種メモリ(RAM、ROM等)からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニットであり、ROM内に記憶されている制御プログラムにより各種制御を実施する。ECU30は、例えば不揮発性メモリよりなるバックアップ用のメモリ31(記憶装置)を備えている。ECU30には、圧力センサ16や温度センサ17、回転速度センサ22の検出信号の他、アクセル開度センサや車速センサなどの各種センサから検出信号が逐次入力される。そして、ECU30は、エンジン回転速度やアクセル開度等のエンジン運転情報に基づいて、燃料噴射態様として燃料噴射量及び噴射時期を決定し、それに応じた噴射制御信号を燃料噴射弁11に出力する。かかる燃料噴射制御により、各気筒において燃料噴射弁11から燃焼室への燃料噴射が制御される。
また、ECU30は、都度のエンジン運転状態に基づいて燃圧をフィードバック制御する。具体的には、エンジン運転状態(エンジン回転速度や負荷)に基づいて目標燃圧を設定し、圧力センサ16にて検出された実燃圧が目標燃圧となるように吸入調量弁13aの通電制御を実施する。これにより、高圧ポンプ13の回転駆動に際して高圧燃料の吐出量が調整され、それに伴い燃圧制御が行われる。この場合、燃圧は、あらかじめ定めた所定範囲内で調整され、例えば30〜200MPaの範囲内で燃圧が調整されるようになっている。
さらに、ECU30は、都度の減圧要求に基づいて減圧弁18を開放して燃圧を低減させる減圧制御機能を有している。例えば、要求負荷が低下しコモンレール12において実燃圧>目標燃圧となる場合に減圧要求が生じ、ECU30から減圧弁18に開放指令が出される。そして、減圧弁18の開放に伴い燃圧が低下する。
ここで、減圧弁18の構成を図2を用いて説明する。減圧弁18は、コモンレール12の高圧通路12aに通じる位置に設けられており、後述する駆動回路50による通電に応じて、高圧通路12aと低圧通路12bとの間を遮断又は連通するものとなっている。図2(a)は、非通電状態であって減圧弁18が閉弁している状態を示し、図2(b)は、通電状態であって減圧弁18が開弁している状態を示している。
減圧弁18は、ボディ41と、ボディ41内の収容室42に往復動可能に収容された弁体43(アーマチャ)と、弁体43を閉弁方向(図の下方)に付勢する付勢部材としてのバネ44と、通電により弁体43を開弁方向(図の上方)に移動させるための電磁力を生じさせるコイル45とを有している。また、ボディ41は、高圧通路12aに通じる上流側通路46と、低圧通路12bに通じる下流側通路47とを有しており、上流側通路46の出口部分を囲む部位がシート部48となっている。弁体43は、その先端に半球状の先端部43aを有している。
図2(a)の非通電状態では、バネ44の付勢力により弁体43が閉弁位置(非通電位置)で保持されている。このとき、弁体43がシート部48に当接することで上流側通路46が閉鎖され、コモンレール12内の高圧燃料の排出が阻止されている。また、図2(b)の通電状態では、コイル45の電磁力によってバネ44の付勢力に抗して弁体43が移動する。これにより、弁体43がシート部48から離れることで上流側通路46が開放され、コモンレール12内の高圧燃料が低圧通路12b側に排出される。その後、通電状態から非通電状態に移行すると、バネ44の付勢力により弁体43が閉弁位置に復帰する。
減圧弁18では、弁体43の移動方向(図2の上下方向)において、閉弁方向への力(下向きの力)として、バネ44の付勢力が作用する。また、開弁方向への力(上向きの力)として、コイル45の通電に伴い生じる電磁力とコモンレール12内の燃圧が作用する。燃圧は、弁体43の先端面において、バネ44の付勢方向とは逆向きに作用する。なお、減圧弁18では、弁体43が燃圧によって意図せず開くことのないように、バネ44の付勢力が定められている。
ところで、減圧弁18が開弁状態から閉弁状態に移行する際、すなわち図2(b)の通電状態から図2(a)の非通電状態に移行する際には、バネ44の付勢力により弁体43がシート部48に衝突し、その衝突時において衝突音が生じることが懸念される。そこで本実施形態では、減圧弁18の閉弁時において弁体43の移動速度を遅くして衝突音を低減させる音低減制御(再通電制御)を実施することとしており、以下、その詳細を説明する。
図3に、減圧弁18を駆動する駆動回路50の構成を示す。なお、駆動回路50は、例えばECU30内に設けられている。
駆動回路50は、第1スイッチ51と、第2スイッチ52と、電源53と、コンデンサ54と、電流検出抵抗55とを有している。第1スイッチ51及び第2スイッチ52は互いに並列に設けられており、そのうち第1スイッチ51は、接点S1,S2との接続を切り替える2位置切り替えスイッチとなっている。第1スイッチ51において、固定端子側にはコンデンサ54が接続され、接点S1にはコイル45の一端が接続され、接点S2には電流検出抵抗55を介してコイル45の他端が接続されている。電源53とコンデンサ54とは互いに並列に接続されている。
駆動回路50の動作を図4により説明する。駆動回路50は、エンジン10の運転時において、図4(a)に示す第1状態、及び図4(b)に示す第2状態への切り替えが可能となっている。
図4(a)に示す第1状態では、第1スイッチ51が接点S2に接続され、かつ第2スイッチ52がオフ(開放)されている。この場合、電源53によりコンデンサ54が充電される。コイル通電開始前においては、駆動回路50が第1状態である場合に、コイル45が非通電状態で保持される。
図4(b)に示す第2状態では、第1スイッチ51が接点S2に接続され、かつ第2スイッチ52がオン(閉鎖)されている。この場合、電源53及びコンデンサ54の少なくともいずれかからコイル45に対する通電が行われる。その通電により、減圧弁18が開弁する。
各スイッチ51,52の切り替え動作、すなわち上記の第1状態及び第2状態への切り替えは、ECU30により制御される。第2状態においてコイル45が通電される場合、通電電流が電流検出抵抗55により検出され、その検出信号がECU30に入力される。このとき、ECU30は、通電電流を所定範囲で制御すべく、予め定められた閾値に基づいて第2スイッチ52のオンオフを制御する。
コモンレール12内の燃圧を低減させる場合における減圧弁18の駆動制御について図5のタイムチャートにより説明する。なお、第1スイッチ51は、例えばIGスイッチ(イグニッションスイッチ)のオン後において接点S2に接続された状態のまま保持されているとよい。
図5では、タイミングt1以前において第1スイッチ51が接点S2に接続され、かつ第2スイッチ52がオフされている。つまり、駆動回路50が図4(a)に示す第1状態になっており、電源53によりコンデンサ54が充電される。
その後、タイミングt1で、例えばアクセル操作量の減少等に伴い減圧要求が生じると、第1スイッチ51が接点S2に接続された状態のまま、第2スイッチ52がオンされる。つまり、駆動回路50が図4(b)に示す第2状態になり、コイル45への通電が開始される。このとき、通電開始当初においては、コンデンサ54に充電されていた電荷が一気に放出され、コイル45に大電流が流れる。これにより、減圧弁18の開弁動作の高速化が図られている。タイミングt1以降において弁体43が開弁位置に移動し、減圧弁18の開弁により燃圧が減じられる。
そして、タイミングt2において、コイル通電電流Icが第1閾値Ith1に到達すると、第2スイッチ52がオフされ、それ以降は、コイル通電電流Icが第2閾値Ith2付近で維持されることで定電流制御が行われる。これにより、減圧弁18において弁体43が全開位置で保持される。
その定電流制御の手法は任意であるが、例えば、コイル通電電流Icが第2閾値Ith2まで低下した時点で第2スイッチ52をオンし、所定のオン時間が経過した時点で第2スイッチ52を再びオフする、といった処理を繰り返し実施するものであるとよい。又は、低電流側閾値(第2閾値Ith2)とそれよりも高電流側の高電流側閾値とを定めておき、コイル通電電流Icがそれら閾値の間で保持されるように第2スイッチ52をオンオフするものであってもよい。
その後、タイミングt3で、減圧要求からの経過時間が減圧時間Taになると、コイル通電を停止すべく第2スイッチ52がオフされる(すなわち、第2スイッチ52のオンオフが停止される)。これにより、コイル通電電流Icが0になり、弁体43が、バネ44の付勢力によって閉弁位置に向けて移動する。
さらに、タイミングt3から再通電待ち時間Tbが経過するタイミングt4では、弁体43の閉弁位置への移動速度を制限して弁体43の衝突音を低減すべく、コイル45の再通電が行われる。この場合、弁体43の閉弁位置(全閉位置)への移動途中において、例えばコイル通電電流Icが、上記の第2閾値Ith2よりも低い電流値で維持される。この電流値は、バネ44の付勢力に応じて定められており、その付勢力よりも弱い電磁力を生じさせるものであって、弁体43を開弁側に移動させない程度の電流値となっている。こうした再通電制御により、減圧弁18において弁体43の移動速度が減速される。再通電制御は、例えば、予め定められたオンオフパターンで第2スイッチ52をオンオフさせるものであるとよい。
その後、タイミングt5では、弁体43が閉弁位置に到達する。図5には、再通電制御が実施される場合の閉弁動作(弁体位置の推移)を実線で示し、再通電制御が実施されない場合の閉弁動作を一点鎖線で示している。このとき、コイル45の再通電によって弁体43の移動速度が低減されているため、弁体43がシート部48に衝突する際の衝突音が低減される。図5のTcが、弁体43の閉弁動作時において弁体43の減速が実施された減速時間である。その後、タイミングt6では、再通電制御が終了される。
ここで、再通電の開始時期(タイミングt4)が適正でないと、所望の音低減効果が得られなくなるおそれがある。具体的には、仮に再通電の開始時期が遅すぎると、減速時間Tcが短すぎることになるため、弁体43の減速が不足し、音低減の効果が不十分になることが懸念される。また、再通電の開始時期が早すぎると、減速時間Tcが長すぎることになるため、例えばバネ力により閉弁位置に移動させる場合にその閉弁方向とは逆側(開弁側)への力が過大になり、適正なる閉弁動作が行われなくなることが懸念される。
そこで本実施形態では、弁体43の閉弁移動時において移動速度制限のための再通電を行う場合に、再通電の開始後に弁体43が閉弁位置(非通電位置)に到達したことを判定するとともに、その判定結果に基づいて、再通電の態様を変更することとしている。具体的には、ECU30は、弁体43の閉弁タイミングに基づいて、再通電の開始タイミングをフィードバック調整するようにしている。なお、ECU30は、通電制御部、判定部、変更部、圧力取得部、電流取得部の各機能を有している。
本実施形態において、ECU30は、再通電の開始後においてコイル通電電流Icを取得し、そのコイル通電電流Icに基づいて、再通電の開始後に弁体43が閉弁位置(非通電位置)に到達したことを判定する。つまり、弁体43の通電時には、減圧弁18に、ボディ41、弁体43及びコイル45を含んでなる磁気回路が形成され、その磁気回路では、弁体43の移動に伴い内部磁束及びインダクタンスが変化し、それに応じて起電力が生じる。このとき、コイル通電電流Icには起電力が重畳しており、弁体43がシート部48に衝突した時のインダクタンス変化によりピーク電流が生じる。ECU30は、そのピーク電流に基づいて、弁体43がシート部48に衝突したこと、すなわち閉弁位置に到達したことを判定する。このとき、ECU30は、例えば通電電流の閾値判定や、電流微分値の変化に基づいて、ピーク電流の発生を判定するとよい。図5では、タイミングt5においてピーク電流Ipkが検出される。ECU30は、再通電の開始から弁体43が閉弁位置に到達するまでの時間(図5の減速時間Tc)が所定範囲内の時間になるよう、再通電待ち時間Tbを調整する。
図6及び図7は、減圧弁18の駆動制御の処理手順を示すフローチャートであり、本処理はECU30により例えば所定周期で実施される。なお、本処理においては前提として、第1スイッチ51が予め接点S2に接続された状態になっているとしている。
図6において、ステップS11では、減圧要求が生じたか否かを判定する。例えばアクセル操作が解除されて目標燃圧が下げられた場合、すなわち実燃圧よりも低圧側に目標燃圧が設定された場合に、減圧要求が生じたと判定され、後続のステップS12に進む。
ステップS12では、第2スイッチ52のオンオフによる開弁制御を実施する。このとき、図5のタイムチャートで説明したとおり、減圧弁18の通電開始当初において第2スイッチ52のオンによりコンデンサ54からコイル45に大電流が流れ、その後、第2スイッチ52が繰り返しオンオフされることによりコイル45に一定電流が流れる。これにより、減圧弁18が開弁状態となり、コモンレール12内の高圧燃料が排出され、燃圧が減圧される。
その後、ステップS13では、減圧開始から減圧時間Taが経過したか否かを判定する。減圧時間Taは、例えば、減圧を実施する圧力幅に基づいて設定されるとよい。具体的には、図8の関係を用い、減圧開放時点の実燃圧と、減圧後の目標燃圧との燃圧偏差に基づいて、減圧時間Taが設定される。図8において、燃圧偏差が所定値以上であれば減圧時間Taとして所定値TXが設定されるとよい。減圧時間Taに上限値(TX)が定められることで、減圧弁18や駆動回路50における過剰な温度上昇が抑制される。ただし、減圧時間Taに上限値(TX)が定められていなくてもよい。また、減圧時間Taは固定時間として予め定められていてもよい。
そして、ステップS13がNOであれば、開弁制御を継続する。また、ステップS13がYESであれば、ステップS14に進み、開弁制御を終了する。つまり、ステップS14では、コイル通電を停止すべく第2スイッチ52をオフする。
その後、ステップS15では、再通電制御の実施条件が成立しているか否かを判定する。その実施条件には、例えば燃圧が所定値未満であること、燃温が所定値未満であることが含まれる。そして、実施条件が成立していれば、再通電制御を実施することとして後続のステップS16に進む。また、実施条件が成立していなければ、再通電制御を実施しないこととして本処理を終了する。
ステップS16では、開弁制御を終了してからの経過時間が再通電待ち時間Tbになったか否かを判定する。再通電待ち時間Tbは、開弁制御の終了に伴う弁体43の閉弁動作時においてその閉弁途中の所定タイミングとなる時間である。ステップS16がNOであれば、第2スイッチ52を現時点の状態(オフ状態)のまま保持し、ステップS16がYESであれば、ステップS17に進む。
ステップS17では、コイル45の再通電制御を実施する。このとき、図5のタイムチャートで説明したとおり、第2スイッチ52が繰り返しオンオフされることによりコイル45が所定電流で通電される。
その後、ステップS18では、弁体43が閉弁位置に到達したか否かを判定する。本実施形態では、再通電時のコイル通電電流Icの変化に基づいて弁体43の閉弁タイミングを判定することとしており、より具体的には、再通電時のコイル通電電流Icにピーク点が発生したことに基づいて弁体43が閉弁位置に到達したと判定する。
そして、弁体43が閉弁位置に到達したと判定されると、図7のステップS19に進む。ステップS19では、再通電制御を開始してから弁体43が閉弁位置に到達するまでの減速時間Tcが、所定範囲に入っているか否かを判定する。この所定範囲は、弁体43の適正な減速作用が得られる時間範囲として定められている。減速時間Tcが所定範囲に入っている場合、今回の再通電待ち時間Tb(すなわち、今回の再通電開始タイミング)が適正であるとして、ステップS20〜S24を読み飛ばしてステップS25に進む。
また、減速時間Tcが所定範囲から外れている場合(ステップS19がNOの場合)、ステップS20に進み、減速時間Tcが所定範囲に対して短いか否かを判定する。そして、減速時間Tcが短ければステップS21に進み、長ければステップS22に進む。
ステップS21では、再通電の開始タイミングを早めるべく、次の式(1)により新たな再通電待ち時間Tb(i)を算出する。
Tb(i)=Tb−ΔT1 …(1)
ΔT1は、再通電の開始タイミングを進角させて再通電待ち時間Tbを短くする場合の変更幅である。なお、ΔT1>0である。
また、ステップS22では、再通電の開始タイミングを遅延させるべく、次の式(2)により新たな再通電待ち時間Tb(i)を算出する。
Tb(i)=Tb+ΔT2 …(2)
ΔT2は、再通電の開始タイミングを遅角させて再通電待ち時間Tbを長くする場合の変更幅である。なお、ΔT2>0である。
変更幅ΔT1,ΔT2は、例えば図9の関係を用い、減圧後の燃圧(すなわち、減圧弁18を閉弁した時点の燃圧)に基づいて設定されるとよい。図9(a)では、燃圧が低いほど、進角用の変更幅ΔT1として大きい値が設定されるようになっている。上記式(1)によれば、変更幅ΔT1が大きいほど再通電待ち時間Tbが短めの時間となることから、減速時間Tcが長めの時間となり、弁体43の減速度合いが大きくなる。
また、図9(b)では、燃圧が低いほど、遅角用の変更幅ΔT2として小さい値が設定されるようになっている。上記式(2)によれば、変更幅ΔT2が小さいほど再通電待ち時間Tbが短めの時間となることから、減速時間Tcが長めの時間となり、弁体43の減速度合いが大きくなる。要するに、ステップS21,S22ではいずれにおいても、燃圧が低いほど、弁体43の減速度合いが大きくなるように、再通電の開始タイミングが変更される。
ここで、減圧弁18においては、閉弁方向への力としてバネ44の付勢力が作用する一方、開弁方向への力としてコイル通電による電磁力と燃圧とが作用しており、閉弁方向への弁体43の移動速度は都度の燃圧に応じて変わることが考えられる。つまり、燃圧が高圧である場合と低圧である場合とを比べると、低圧である場合の方が、弁体43の移動速度が大きくなると考えられる。この点を考慮して、図9(a),(b)では、燃圧に基づいて変更幅ΔT1,ΔT2が設定されるようになっている。なお、変更幅ΔT1,ΔT2を固定値とすることも可能である。
その後、ステップS23では、今回算出した再通電待ち時間Tb(i)が所定の上下限範囲内に入っているか否かを判定する。そして、再通電待ち時間Tb(i)が所定の上下限範囲内に入っていなければ、ステップS24に進み、再通電待ち時間Tb(i)を上限値又は下限値でガードする。このとき、Tb(i)>上限値であれば、再通電待ち時間Tb(i)を上限値とし、Tb(i)<下限値であれば、再通電待ち時間Tb(i)を下限値とする。
その後、ステップS25では、再通電制御を開始してからの経過時間が所定時間Tdになったか否かを判定する。そして、ステップS25がYESであれば、ステップS26に進み、再通電制御を終了する。ステップS27では、今回算出した再通電待ち時間Tb(i)を、再通電待ち時間Tbとしてバックアップ用のメモリ31に記憶する。これにより、再通電待ち時間Tbが今回値により更新される。このとき、再通電待ち時間Tbは学習値としてメモリ31に記憶されるとよい。
再通電待ち時間Tbが更新された後は、次回以降の減圧弁18の駆動時において、新たな再通電待ち時間Tbを用いて再通電制御が実施される。
次に、コモンレール12内の高圧燃料を減圧する場合の具体的な減圧動作を図10のタイムチャートを用いて説明する。
タイミングt11では、例えばアクセルオフ操作に伴い、目標燃圧がTG1からTG2に変更される。この場合、減圧弁18が複数に分けて開弁駆動されることで、減圧が行われる。図10に示す事例では、タイミングt11〜t12にて1回目の減圧が行われ、タイミングt13〜t14にて2回目の減圧が行われ、タイミングt15〜t16にて3回目の減圧が行われている。これら1〜3回目の各減圧のうち1回目の減圧時には、燃圧が所定値以上である(すなわち、減圧終了時の燃圧が所定値Pth以上である)ため、再通電制御が実施されない。また、2,3回目の減圧時には、燃圧が所定値未満である(すなわち、減圧終了時の燃圧が所定値Pth未満である)ため、再通電制御が実施される。
つまり、常閉式の減圧弁18では、バネ力により弁体43が非通電位置(閉弁位置)に移動する際に、燃圧が抵抗力になる。そのため、燃圧が比較的高い高圧状態下では、再通電が実施されないようになっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
減圧弁18の通電後において、弁体43の速度制限のための再通電の開始後に弁体43が閉弁位置に到達したことを判定し、その判定結果に基づいて、再通電の態様を変更するようにした。これにより、減圧弁18において個体差や経年劣化等が生じていても、再通電の開始時期を適正化することができ、弁体43の減速を適正に実施できる。その結果、弁体43の衝突音を適正に低減することができる。
減圧弁18の閉弁動作時における弁体43の閉弁位置到達タイミングに基づいて、再通電の開始タイミング(再通電待ち時間Tb)を変更する構成とした。この場合、衝突音の発生タイミングを基準にして、再通電時の減速時間Tcが定められることになるため、減圧弁18が全閉となる前において所望のとおりに弁体43を減速させることができ、衝突音を適正に低減できる。
コモンレール12内の燃圧に基づいて、再通電の開始タイミング(再通電待ち時間Tb)を変更する構成とした。この場合、減圧弁18において燃圧に応じて弁体43の移動速度が変わることを考慮しつつ再通電制御が実施される。これにより、一層適正な再通電制御を実施することができる。
コモンレール12内の燃圧が低圧である場合に、高圧である場合に比べて減速度合いが大きくなるように再通電の開始タイミングを変更する構成とした。これにより、常閉弁である減圧弁18において、閉弁のためのバネ力とは逆向きに燃圧が作用していることを考慮した上で、再通電制御を適正に実施することができる。
再通電の開始後に、減圧弁18のコイル通電電流Icを取得し、そのコイル通電電流Icに基づいて、弁体43が閉弁位置に到達したことを判定する構成とした。この場合、減圧弁18において弁体位置に応じて起電力が変わることを利用して、弁体43の閉弁判定を適正に実施することができる。
燃圧が所定値未満であることを条件に、再通電制御を実施する構成とした。これにより、常閉式の減圧弁18では弁体43の閉弁動作時に燃圧が抵抗力になることを考慮した上で、減圧弁18の再通電を適正に実施することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、常閉式の減圧弁18を用いる構成について説明したが、本実施形態ではこれを変更し、常開式の減圧弁61を用いる構成としている。減圧弁61は、図11の構成を有する。図11(a)は、非通電状態であって減圧弁61が開弁している状態(全開状態)を示し、図11(b)は、通電状態であって減圧弁61が閉弁している状態を示している。なお、図11に示す常開式の減圧弁61において、常閉式の減圧弁18と同様の構成については同じ符号を付して説明を割愛する。
図11(a)の非通電状態では、バネ44の付勢力により弁体43が開弁位置、すなわち弁体43が全開ストッパ62に当接する全開位置で保持されている。このとき、弁体43がシート部48から離れていることで上流側通路46が開放され、コモンレール12内の高圧燃料が低圧通路12b側に排出される。また、図11(b)の通電状態では、コイル45の電磁力によってバネ44の付勢力に抗して弁体43が図の下方に移動する。これにより、弁体43がシート部48に当接することで上流側通路46が閉鎖され、コモンレール12内の高圧燃料の排出が阻止される。
常開式の減圧弁61を用いる場合、IGスイッチのオン後において通電により減圧弁61が閉弁され、かかる状態でコモンレール12に高圧燃料が蓄えられる。減圧を行う場合には、減圧弁61の通電が一時的に停止される。
減圧時の動作を図12により簡単に説明する。タイミングt21で減圧要求が生じると、コイル45への通電が停止される。これにより、弁体43が、バネ44の付勢力によって開弁位置に向けて移動し、減圧弁18の開弁により燃圧が減じられる。ここで、タイミングt21から再通電待ち時間Tbが経過するタイミングt22では、弁体43の開弁位置への移動速度を制限して弁体43の衝突音を低減すべく、コイル45の再通電が行われる。これにより、減圧弁61において弁体43の移動速度が減速される。
その後、タイミングt23では、弁体43が開弁位置に到達する。このとき、コイル45の再通電によって弁体43の移動速度が低減されているため、弁体43が全開ストッパ62に衝突する際の衝突音が低減される。図12のTcが、弁体43の閉弁動作時において弁体43の減速が実施された減速時間である。その後、タイミングt24では、再通電制御が終了される。
その後、タイミングt25では、コイル45の通電開始に伴い減圧弁61が閉弁状態に戻る。なお、コイル45への通電は概ね第1実施形態に準じて実施されるため、ここではその詳細を割愛する。
常開式の減圧弁61を用いる場合にあっても、上記第1実施形態と同様に、再通電の開始時期(タイミングt22)が適正でないと、所望の音低減効果が得られなくなるおそれがある。そこで本実施形態では、弁体43の開弁移動時において移動速度制限のための再通電を行う場合に、再通電の開始後に弁体43が開弁位置(非通電位置)に到達したことを判定し、その判定結果に基づいて、再通電の態様を変更することとしている。具体的には、ECU30は、弁体43の開弁(全開)タイミングに基づいて、再通電の開始タイミングをフィードバック調整するようにしている。
図13は、減圧弁61の駆動制御の処理手順を示すフローチャートであり、本処理はECU30により例えば所定周期で実施される。なお、本処理は、上述した図6及び図7の処理に置き換えて実施されるものであり、その図6及び図7に重複し、又は要部でない処理については適宜省略している。
図13において、ステップS31では、減圧要求が生じたか否かを判定し、減圧要求が生じたと判定された場合、ステップS32に進む。ステップS32では、減圧弁61の通電を停止する。これにより、減圧弁61が開弁状態となり、コモンレール12内の高圧燃料が排出され、燃圧が減圧される。
その後、ステップS33では、通電停止からの経過時間が再通電待ち時間Tbになったか否かを判定する。そして、ステップS33がYESであれば、ステップS34に進む。ステップS34では、コイル45の再通電制御を実施する。その後、ステップS35では、弁体43が開弁位置(全開位置)に到達したか否かを判定する。このとき、第1実施形態と同様に、再通電時のコイル通電電流Icの変化に基づいて弁体43の開弁タイミングを判定することとし、より具体的には、再通電時のコイル通電電流Icにピーク点が発生したことに基づいて弁体43が開弁位置に到達したと判定する。
そして、弁体43が開弁位置に到達すると、ステップS36では、再通電制御を開始してから弁体43が開弁位置に到達するまでの減速時間Tcが、所定範囲に入っているか否かを判定する。減速時間Tcが所定範囲に入っている場合、今回の再通電待ち時間Tb(すなわち、今回の再通電開始タイミング)が適正であるとして、ステップS37を読み飛ばしてステップS38に進む。
また、減速時間Tcが所定範囲から外れている場合、ステップS37に進み、減速時間Tcが所定範囲に対して短いか長いかに応じて、再通電の開始タイミングを進角又は遅角させるべく、新たな再通電待ち時間Tb(i)を算出する。この場合、減速時間Tcが所定範囲に対して短ければ、再通電の開始タイミングを進角させ、減速時間Tcが所定範囲に対して長ければ、再通電の開始タイミングを遅角させる。なお、本処理は、図7のステップS20〜S24の処理に準ずる。
ただし、常閉式の減圧弁18では、弁体43がバネ力により非通電位置に移動する際に、燃圧が抵抗力になるのに対し、常開式の減圧弁61では、弁体43がバネ力により非通電位置に移動する際に、燃圧が促進力になる。そのため、変更幅ΔT1,ΔT2を燃圧に応じて可変に設定する場合には、進角用の変更幅ΔT1と燃圧との関係、遅角用の変更幅ΔT2と燃圧との関係が上述の図9とは異なるものとなる。つまり、本実施形態では、燃圧が高いほど、弁体43の減速度合いが大きくなるように、再通電の開始タイミングが変更される。
具体的には、図14(a)に示すように、燃圧が高いほど、進角用の変更幅ΔT1として大きい値が設定されるようになっている。この場合、変更幅ΔT1が大きいほど再通電待ち時間Tbが短めの時間となることから、減速時間Tcが長めの時間となり、弁体43の減速度合いが大きくなる。また、図14(b)に示すように、燃圧が高いほど、遅角用の変更幅ΔT2として小さい値が設定されるようになっている。この場合、変更幅ΔT2が小さいほど再通電待ち時間Tbが短めの時間となることから、減速時間Tcが長めの時間となり、弁体43の減速度合いが大きくなる。
その後、ステップS38,S39では、再通電制御を開始してからの経過時間が所定時間Tdになったことを条件に、再通電制御を終了する。ステップS40では、今回算出した再通電待ち時間Tb(i)を、再通電待ち時間Tbとしてバックアップ用のメモリ31に記憶する。これにより、再通電待ち時間Tbが今回値により更新される。
以上第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、減圧弁18において個体差や経年劣化等が生じていても、再通電の態様を適正化することができ、ひいては、弁体43の衝突音を適正に低減することができる。また、コモンレール12内の燃圧が高圧である場合に、低圧である場合に比べて減速度合いが大きくなるように再通電の開始タイミングを変更する構成とした。これにより、常開弁である減圧弁18において、開弁のためのバネ力と同じ向きに燃圧が作用していることを考慮した上で、再通電制御を適正に実施することができる。
(第3実施形態)
上記各実施形態では、再通電の態様を変更する構成として、再通電の開始時期を変更する構成を採用したが、本実施形態では、これを変更する。例えば、常閉式の減圧弁18を用いた第1実施形態において、ECU30は、減圧弁18の閉弁動作時における弁体43の閉弁位置到達タイミングに基づいて、再通電時における通電電流Ibrkを変更することで、再通電の態様を変更する。具体的には、ECU30は、図15のフローチャートに示す処理を実施する。なお、図15のフローチャートは、図6及び図7の処理のうち図7の一部を変更したものであり、同じ処理については同じステップ番号を付している。
図15において、ステップS19では、再通電制御を開始してから弁体43が閉弁位置に到達するまでの減速時間Tcが所定範囲に入っているか否かを判定し、ステップS19がNOの場合に、ステップS20では、減速時間Tcが所定範囲に対して短いか否かを判定する。そして、減速時間Tcが短ければステップS51に進み、長ければステップS52に進む。
ステップS51では、再通電時における通電電流を大きくすべく、次の式(3)により新たな通電電流Ibrk(i)を算出し、ステップS52では、再通電時における通電電流を小さくすべく、次の式(4)により新たな通電電流Ibrk(i)を算出する。
Ibrk(i)=Ibrk+ΔI1 …(3)
Ibrk(i)=Ibrk−ΔI2 …(4)
ΔI1は、再通電時の通電電流Ibrkを大きくする場合の変更幅であり、ΔI2は、再通電時の通電電流Ibrkを小さくする場合の変更幅である。
変更幅ΔI1,ΔI2は、例えば図16の関係を用い、減圧後の燃圧(すなわち、減圧弁18を閉弁した時点の燃圧)に基づいて設定されるとよい。図16(a)では、燃圧が低いほど、変更幅ΔI1として大きい値が設定される。また、図16(b)では、燃圧が低いほど、変更幅ΔI2として小さい値が設定される。図16(a),(b)では、いずれにしろ燃圧が低いほど、弁体43の減速度合いが大きくなるように、変更幅ΔI1,ΔI2が設定される。なお、変更幅ΔI1,ΔI2を固定値とすることも可能である。
その後、ステップS53,S54では、再通電制御を開始してからの経過時間が所定時間Tdになったことを条件に、再通電制御を終了する。ステップS55では、今回算出した通電電流Ibrk(i)を、通電電流Ibrkとしてバックアップ用のメモリ31に記憶する。これにより、通電電流Ibrkが今回値により更新される。
以上第3実施形態でも、上記各実施形態と同様に、減圧弁18において個体差や経年劣化等が生じていても、再通電の態様を適正化することができ、ひいては、弁体43の衝突音を適正に低減することができる。
また、上記構成では、衝突音の発生タイミングを基準にして、弁体43の減速のための電磁力が定められることになる。そのため、減圧弁18が全閉となる前において所望のとおりに弁体43を減速させることができ、衝突音を適正に低減できる。
なお、再通電の態様を変更する構成として、再通電の開始時期(再通電待ち時間Tb)を変更するとともに、再通電時における通電電流Ibrkを変更する構成を採用することも可能である。例えば、ECU30は、再通電の開始時期(再通電待ち時間Tb)の変更を優先的に行い(図7のステップS19〜S24)、上限ガード又は下限ガードがかかった場合に、再通電時の通電電流Ibrkを変更するとよい(図15のステップS20,S51,S52)。
常開式の減圧弁61を用いた構成において、上記のように再通電時における通電電流Ibrkを変更することで、再通電の態様を変更することも可能である。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・ECU30が、再通電の態様に関する再通電制御データ(再通電待ち時間Tb、通電電流Ibrk)を、再通電の実施時における燃圧に対応付けてメモリ31に記憶する記憶部を備え、減圧を実施する時の燃圧に応じて、メモリ31に記憶されている再通電制御データを読み出し、その再通電制御データを用いて、減圧弁18の再通電を行う構成としてもよい。この場合、ECU30は、例えば図7のステップS27や図13のステップS40、図15のステップS55において、その際に算出した再通電待ち時間Tbや通電電流Ibrkを、都度の燃圧(例えば減圧後の燃圧)に対応付けてメモリ31に記憶する。また、ECU30は、減圧弁18の再通電制御に際し、今回減圧する燃圧に応じてメモリ31から再通電待ち時間Tbや通電電流Ibrkを読み出し、それを用いて減圧弁18の再通電制御を実施する。
上記構成によれば、燃圧に応じて弁体43の移動速度が変わることを加味しつつ、再通電制御を適正に実施することができる。なお、燃圧と燃温とに対応付けて、再通電待ち時間Tbや通電電流Ibrkをメモリ31に記憶する構成であってもよい。
・上記各実施形態では、再通電の開始後において、コイル通電電流Icに基づいて、弁体43が非通電位置(閉弁位置又は開弁位置)に到達したことを判定する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、弁体のリフト位置を検出するリフトセンサを用い、そのリフトセンサの検出結果に基づいて、弁体43が非通電位置(閉弁位置又は開弁位置)に到達したことを判定する構成としてもよい。
また、衝突音を検出する音検出センサを用い、その音検出センサの検出結果に基づいて、弁体43が非通電位置(閉弁位置又は開弁位置)に到達したことを判定する構成としてもよい。この場合、ECU30は、衝突音が低減されるように、再通電待ち時間Tbや通電電流Ibrkにより再通電の態様を適宜変更する。
・弁体43が非通電位置(閉弁位置又は開弁位置)に到達した閉弁タイミングに基づいて、減圧弁18の異常判定を実施することも可能である。この場合、ECU30は、再通電時に取得した閉弁タイミングと、予め定めた判定値(例えば初期値)とを比較し、その比較結果に基づいて、減圧弁18の異常の有無を判定する。
・燃圧等に基づき算出されるフィードフォワード項(FF項)と、再通電待ち時間Tbのずれ判定結果に基づき算出されるフィードバック項(FB項)とにより再通電待ち時間Tbを算出し、その再通電待ち時間Tbに基づいて再通電制御を実施する構成としてもよい。この場合、FF項に対してFB項による補正が行われて、再通電待ち時間Tbが算出される。FF項は再通電待ち時間Tbのベース値であり、FB項は補正値である。
図17は、ECU30の機能ブロックを示す図である。図17において、FF項算出部71は、エンジン回転速度、燃圧、燃温等に基づいて、再通電待ち時間TbのFF項を算出する。FB項算出部72は、弁体43の閉弁タイミングの基準値である開弁基準タイミングと、閉弁タイミングの検出結果である閉弁検出タイミングとがずれていることに基づいてFB項を算出する。学習値設定部73は、FB項算出部72にて算出されたFB項(補正値)を、FB項算出時のエンジン回転速度や燃圧、燃温と対応付けて学習値として記憶するとともに、その記憶値を用い、再通電待ち時間Tbの算出に際して都度のエンジン回転速度や燃圧、燃温に対応する学習値を設定する。そして、ECU30は、FF項とFB項と学習値とにより、再通電待ち時間Tbを算出し、その再通電待ち時間Tbにより再通電制御を実施する。
FF項算出部71では、少なくとも燃圧に基づいてFF項が算出されるとよい。この場合、図18に示すように、燃圧が低いほど(すなわち、減圧弁18においてバネ力に対する抵抗力が小さいほど)、再通電待ち時間TbのFF項として小さい値が算出されるとよい。なお、学習値設定部73を省略し、FF項算出部71とFB項算出部72とを備える構成であってもよい。
・上記実施形態では、ディーゼルエンジンの燃料噴射システムへの適用例を説明したが、他への適用も可能であり、例えば直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射システムへの適用も可能である。