JP6878234B2 - ワイピングシート - Google Patents

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Description

本発明は、ワイピングシートに関する。
近年、環境汚染に対する関心の高まりから、大気に浮遊したり、床や壁に付着しているPM2.5やPM1.0等の直径数μmの微粒子が着目され、これらの有害性が懸念されている。このような微粒子を除去するために、例えば特許文献1には、1ミクロン未満であるナノ繊維ウェブと、該ナノ繊維ウェブと向かい合わせにある上流マイクロファイバーウェブとを含む濾過媒体及びエアフィルターが開示されている。この濾過媒体は、質量平均直径が0.26ミクロンの微粒子物質をガス流から除去可能であることが同文献に記載されている。
特許文献2には、微粒子の捕集率を向上させるために、ポリエステル等の合繊糸から形成される基材にエチレン無水マレイン酸を0.02〜2重量%担持させたクリーンルーム用ワイプ供給製品が開示されている。
特表2011−516261号公報 特表2013−502996号公報
ところで、フローリングや家具などの硬質表面を清拭する物品として、極細繊維を含む不織布からなるワイピングシートがしばしば用いられる。上述した特許文献1には極細繊維に関する技術が記載されているが、これらの文献に記載の極細繊維を含む繊維集合体は、エアフィルターへの応用を目的としており、清拭や清掃を目的とした場合の繊維集合体の機能性に関しては言及されていない。
また上述した特許文献2は、ワイピングシートに関する技術であるが、極細繊維は含まれていない。そのため、特許文献2に開示されているシートをクリーンルーム以外の場所や物品の清拭に使用した場合、清掃後におけるワイピングシートのワイピング面の変色が、微粒子由来の汚れに起因するものであるか、又は一般的な清掃方法で除去可能な粒径の大きい粒子由来の汚れに起因するものであるかを目視で判別することは非常に困難である。
したがって本発明の課題は、微粒子の捕集率を高めるとともに、微粒子の存在を可視化できるシートを提供することにある。
本発明は、第1の繊維及び第1の繊維よりも細径の第2の繊維を少なくとも含み、これらの繊維が交絡してなる繊維集合体を備え、ワイピング面として用いられる第1の面と、該第1の面の反対側に位置する第2の面とを有するワイピングシートであって、
第2の繊維の存在割合が、第2の面よりも、第1の面で高くなっており、
第1の面側に、巨視的パターンからなる第2の繊維の集合体が複数配されており、
前記第1の面における、前記第2の繊維の集合体の占める面積比率が20%以上80%以下であり、該第2の繊維の集合体が、粒径25μm以下の粒子を捕集したことのインジケータとして機能するように構成されている、ワイピングシートを提供するものである。
本発明によれば、粒径が小さい微粒子の捕集率を高め、且つ捕集された微粒子の存在を可視化できるワイピングシートを提供することができる。
図1は、本発明のワイピングシートの縦断面の模式図である。 図2(a)ないし(c)は、本発明のワイピングシートの第2の繊維の集合体の実施形態を、第1の面側から見た斜視図である。 図3は、本発明のワイピングシートの製造に用いられる製造装置の模式図である。 図4は、実施例1及び比較例1のワイピングシートおける、ワイピング後の第1の面の写真である。 図5は、実施例1及び比較例1のワイピングシートにおける光透過性を評価したグラフである。
以下、本発明のワイピングシートをその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明においてワイピングとは、清掃及び清拭の両方の意味を含むものであり、例えば、床面、壁面、天井及び柱等の建物の清掃、建具や備品の清掃、物品の拭き取り、身体及び身体に係る器具の清拭等が含まれる。なお、本明細書において、単に「ワイピングシート」という場合には、文脈に応じ、ワイピング液が担持されているものと、ワイピング液が担持されていないものとを指す。
本発明のワイピングシートは繊維集合体からなる。繊維集合体を構成する繊維は、第1の繊維及び第1の繊維よりも細径の第2の繊維を少なくとも含む。第1の繊維及び第2の繊維は、第1の繊維どうし、第2の繊維どうし、及び第1の繊維と第2の繊維とが交絡して前記の繊維集合体を形成している。本発明のワイピングシートは、ワイピング液が含浸されていない繊維集合体であってもよく(以下、この態様を「乾式」ともいう。)、ワイピング液が含浸された繊維集合体であってもよく(以下、この態様を「湿式」ともいう。)、或いは該繊維集合体に加えて他の部材を有するものであってもよい。
ワイピングシートに使用する繊維集合体は、第1及び第2の繊維の交絡を主体として複合化された繊維集合体である。ここで、ワイピングシートにおけるワイピング面を表面又は第1の面、ワイピング面と反対側の面を裏面又は第2の面とも称す。また、ワイピング面の反対側の繊維集合体に少なくともワイピング液を担持するとは、ワイピング面の反対側の繊維集合体にワイピング液を含む態様であって、ワイピング面側の繊維集合体にもその空隙にワイピング液を含む態様をも含む。なお、好ましくは、ワイピング液を担持する量は、ワイピング面の反対側の繊維集合体に担持する量の方が多い。
図1には、本発明のワイピングシートに備えられた繊維集合体の縦断面が示されている。同図に示すとおり、ワイピングシート1における繊維集合体1Aは、第1の繊維11及び第1の繊維よりも細径の第2の繊維12を含んで構成されている。またワイピングシート1は、第1の面1Fと、第1の面1Fと反対側に位置する第2の面1Rとを有する。ワイピングシートにおける第1の面1Fは、ワイピングシートの使用時におけるワイピング面として供される。図1に示すとおり、同図の上側に繊維径の細い繊維である第2の繊維12が存在しており、これがワイピング面1F(第1の面1F)である。したがって、同図の下側が、ワイピング面の反対側に位置する面1R(第2の面1R)である。
図1に示すとおり、ワイピングシート1は、その縦断面視において、第1の繊維11と第2の繊維12との存在箇所が偏在している。詳細には、ワイピングシート1は、第2の繊維12の存在割合が、ワイピング面の反対側の面である第2の面1R(同図下側)よりも、ワイピング面である第1の面1F(同図上側)で高くなっている。またワイピング面では、第2の繊維12がその存在割合が高い状態を維持しながら面方向にわたり存在している。この構成を採用することによって、粒径が小さい微粒子の捕集率を高めることができるとともに、後述するワイピング液をワイピングシートに多量に且つ安定的に担持させることができる。
前記の利点を一層顕著にする観点から、空隙も含めたワイピングシートの面のうち、ワイピング面における第2の繊維の占める面積比率は、35%以上99%以下が好ましく、40%以上98%以下がより好ましく、45%以上97%以下が更に好ましい。一方、ワイピング面と反対側の面における第2の繊維の占める面積比率は、0.5%以上40%以下が好ましい。ワイピング面における第2の繊維の占める面積は、例えば、ワイピング面を撮像した画像もしくは写真等から繊維径の細い繊維の占める面積を測定することで求める。以下、繊維の占める面積は、前記と同様にして求めることができる。したがって、面積比は繊維の占める面積を測定対象となる面積で除した値となる。なお、%表示の場合は除した値の100倍となる。
ここで、例えば、前記面積比率35%以上99%以下における上限の99%のうちの残りの1%は空隙である。この空隙は、ワイピング面に対してワイピング液が放出されるために必要である。この空隙の割合を調整することで、強く拭いても、ワイピング対象面の汚れを拭き取るのに放出されるワイピング液の量を必要量に抑えることができる。また、ワイピング面と反対側の面における第2の繊維の占める面積比率を前記のようにすることで、結果的に空隙が多くなり、ワイピング液の担持量が増加する。前記ワイピング面における第2の繊維の占める面積比率が少なすぎるとワイピング液が必要量以上に放出されてしまう。そのため、拭くことが可能な面積が狭くなる。
ワイピングシートは、その厚さ方向に関し、ワイピング面と平行な仮想面を考えたときに、その仮想面において、第2の繊維の占める面積比率が、ワイピング面の反対側の厚さ方向に向かって、階段状に、連続的に、又はその組み合わせで減少していることが好ましい。特に、ワイピング面と反対側の面を基準として、ワイピングシートの厚さ方向に沿って、ワイピングシートの厚さの50%以上100%以下にわたる部位について、ワイピング面と平行な仮想面における第2の繊維の占める面積比率を50%以上100%以下の範囲とすることで、ワイピング液の担持量を高めることができる。ここで、第2の繊維の占める面積比率を50%以上100%以下の範囲とする前記の厚さの比率は、1%以上90%以下が好ましく、5%以上70%以下がより好ましく、7%以上50%以下が更に好ましい。なお、前記のように好ましい厚さの比率とすることで、粒径が小さい微粒子の捕集率を高めるとともに、ワイピング対象面の汚れを拭き取るのに放出されるワイピング液を必要量放出することができる。
ここで、ワイピングシートの内部の情報を得るには、共焦点レーザー顕微鏡が利用できる。共焦点レーザー顕微鏡を使用することで、試料内部のスペクトルが得られ、例えば、試料を深さ方向にラマンイメージングすることで、試料内部における成分分布を非破壊で観察することができる。
ワイピングシートは、後述するワイピング液を担持する保液層とワイピング液の放出層との少なくとも2層からなり、放出層がワイピング面を含むことが好ましい。特に、多くのワイピング液を担持するためには、前記のように、ワイピング面と反対側の面を基準として、ワイピングシートの厚さ方向に沿って、ワイピングシートの厚さの50%以上100%以下にわたる部位について、ワイピング面と平行な面における第2の繊維の占める面積比率を1%以上100%以下の範囲とする。これによって、ワイピング液の多くを担持する保液層とすることができる。一方、放出層は、ワイピング面を含む保液層以外の部分である。
ところで、ワイピングシートを屋内外の清掃に用いる場合、ワイピングの対象となる汚れは、その由来や粒径等が異なるものが混在して床や壁などに付着している。しかしながら、ワイピングシートのワイピング面は汚れの捕集によって略一様に変色するので、ワイピングシートの使用者がワイピング後のワイピング面を視認したのみでは、その変色がどの汚れに起因したものかを判別することは非常に困難である。特に、PM2.5やPM1.0等の粒径が小さい微粒子に起因した汚れは、有害性が懸念されているので、このような微粒子に起因した汚れの除去効率を高めるとともに、捕集された微粒子の存在を容易に判別できる必要がある。
ワイピングによってPM2.5やPM1.0等の微細な粒子の捕集効率を高めるためには、ワイピング面に太径の繊維である第1の繊維11を配するよりも、細径である第2の繊維12を配することが有利である。尤も、ワイピング面である第1の面1Fの全域に第2の繊維12が配されているのみでは、微細な粒子が第1の面1Fの略全域に捕集されてしまうので、該粒子が捕集できたことを判別できるようなインジケータとして機能させることは容易でない。そこで本発明者が鋭意検討した結果、ワイピングシートのワイピング面である第1の面1Fに、巨視的なパターンからなる第2の繊維12の集合体22(以下「第2繊維集合体22」ともいう。)を複数配するとともに、隣り合う第2繊維集合体22間において第1の繊維の集合体21(以下「第1繊維集合体21」ともいう。)を存在させることが有利であることが判明した。これによって、微細な粒子が第2繊維集合体22によって効率的に捕集されるとともに、第2繊維集合体22と第1繊維集合体21との間で微細な粒子の捕集能力に差があることに起因する捕集後の色のコントラストによって、第2繊維集合体22に、微細な粒子の捕集の有無を容易に判別できるインジケータとしての機能を発揮させることができることを見出した。つまり本実施形態においては、第2繊維集合体22が、PM2.5やPM1.0等といった粒径25μm以下の粒子を捕集したことのインジケータとして機能するように構成されている。
詳細には、図2(a)ないし(c)に示すように、本発明のワイピングシート1は、そのワイピング面である第1の面1F側に第2繊維集合体22が互いに離間して複数配されていることが好ましい。隣り合う第2繊維集合体22間においては、第1繊維集合体21が露出している。
図1に示すとおり、ワイピング面である第1の面1F側に第2繊維集合体22が存在している部位においては、第1の面1F及びその近傍の領域に、第2の繊維12が偏在しており、該領域においては実質的に第2の繊維12のみが存在しており、第1の繊維11は実質的に存在していない。これに対し、第2の面1R及びその近傍の領域には第1の繊維11が偏在しており、該領域においては実質的に第1の繊維11のみが存在しており、第2の繊維12は実質的に存在していない。ワイピングシート1をその厚み方向に沿って見たとき、第1の繊維11及び第2の繊維12の存在割合は、図1に示すように第1の面1Fから第2の面1Rに向けてステップ状に変化しているか、又は連続的に変化している。
一方、隣り合う第2繊維集合体22の間においては、第1の面1Fから第2の面1Rまでの全域にわたり実質的に第1の繊維11のみが存在しており、第2の繊維12は実質的に存在していない。
このように、ワイピングシート1においては、その厚み方向に沿って見たときに、第2の繊維12の存在割合が、第2の面1Rよりも第1の面1Fで高くなっており、且つ第1の面1Fを平面視したときに、第1繊維集合体21が露出している領域と、第2繊維集合体22が露出している領域とが海島構造で混在している。この海島構造は、図2(a)ないし(c)に示す実施形態では、第1繊維集合体21からなる海構造中に、第2繊維集合体22からなる島構造が存在しているものであるが、本発明はこれに限られず、第2繊維集合体22からなる海構造中に、第1繊維集合体21からなる島構造が存在していてもよい。
図2(a)ないし(c)に示すように、第2繊維集合体22は、第1の面1F側から見て、巨視的パターンを形成するように配されている。第1の面1Fに配されている第2繊維集合体22は、巨視的パターンとして視認可能な構成となっていれば、その形状及び配置位置は特に制限されない。「巨視的パターン」とは、ワイピングシートを目視した場合に、その外形が視認できる程度の大きさを有するパターンのことである。第2繊維集合体22は、例えば図2(a)に示すように、ストライプ状に一方向に連続して延びるように複数条配されていてもよく、また図2(b)及び(c)に示すように、菱形状又は円形状に複数配されていてもよい。その他の形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状や、楕円形状、波形状、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。また第2繊維集合体22の配置位置は、第2繊維集合体22がそれぞれ等間隔で配置されていてもよく、等間隔になっていなくてもよい。
第2繊維集合体22は、ワイピングシート1の第1の面1Fにおける面積比率が、20%以上占めるように構成されていることが好ましく、40%以上占めるように構成されていることがより好ましく、また80%以下占めるように構成されていることが好ましく、60%以下占めるように構成されていることがより好ましい。第2繊維集合体22がこのような面積比率であることによって、粒径が小さい微粒子の捕集率を高めることができるとともに、微粒子の存在が巨視的パターンとして容易に可視化できるようになる。
第2繊維集合体22は細径の繊維である第2の繊維のみで構成されているので、第2繊維集合体22が配されている部分は繊維密度が高く、ワイピング対象面に対して細径繊維の接触する面積が大きくなる。このことに起因して、本発明のワイピングシートは、平均繊維径が10μm〜15μm程度の繊維のみからなるワイピングシートでは捕集しきれていなかった粒径25μm以下の粒子をより捕集しやすくなることに加えて、該粒子の存在及び捕集状況を第2繊維集合体22の変色として可視化することができる。つまり、第2繊維集合体22が、粒径25μm以下の粒子を捕集したことのインジケータとして機能する。なお、本明細書における変色とは、第2繊維集合体22の本来有する色が異なる色に変化することをいい、具体的には、黄変、赤変、褐変、黒変等といった、土や砂などの土壌由来の粒子に起因した色の変化をいう。
本発明のワイピングシート1は、土ぼこり等の粉じんを想定した粉体である、JIS Z 8901に規定される試験用粉体11種(以下、単に「試験用粉体11種」ともいう。)を1畳当たり0.6g散布したフローリング床をワイピングしたときに、粒径10nm〜1μmの粒子の捕集率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、またその上限は高ければ高いほど好ましいが、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。試験用粉体11種は、その粒径分布が10μm未満の粒子で構成されているので、本発明のワイピングシートを屋内外で使用したときにおける微粒子汚れの捕集効率と略同一視することができる。
平均粒径が数μm以下である微粒子を捕集できていることを容易に可視化する観点から、まず、試験用粉体11種を1畳当たり0.6g散布したフローリング床を平均繊維径10μm〜15μmの繊維からなるシートでワイピングして(以下、この作業を「コンディショニング」ともいう。)、その後に、本発明のワイピングシート1の第1の面1Fで更にフローリング床をワイピングする(以下、この作業を「再ワイピング」ともいう。)と、第2繊維集合体22が変色するように構成されていることが好ましい。この場合、第2繊維集合体22の変色は、試験用粉体11種に含まれる粒子に起因するものである。
第2繊維集合体22の変色を定量化する観点から、上述したコンディショニングを行った後に、再ワイピングを行った後の本発明のワイピングシート1は、その乾燥状態において、特定の波長領域における光透過率が減少するようになっていることが好ましい。詳細には、再ワイピング実施後における本発明のワイピングシート1は、その乾燥状態において、波長350nmにおける光透過率の減少率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましく、また90%以下であることが好ましく85%以下であることがより好ましく、80%以下であることが更に好ましい。本明細書における「乾燥状態」とは、ワイピングシートに含まれる水分量が3質量%以下であることをいう。
同様の観点から、再ワイピング実施後における本発明のワイピングシート1は、その乾燥状態において、波長550nmにおける光透過率の減少率が、30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、また80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、70%以下であることが更に好ましい。また、波長750nmにおける光透過率の減少率が、30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、また80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、70%以下であることが更に好ましい。
なお光透過率とは、特定の厚みを有する繊維集合体における入射光に対する透過光の強度比の百分率のことをいう。光透過率の減少率とは、未使用の本発明のワイピングシート1を乾燥状態にしたときの光透過率をa(%)とし、再ワイピング実施後におけるワイピングシートを乾燥状態にしたときの光透過率をb(%)としたときに、100×(a−b)/aで表される百分率(%)のことである。
上述した各波長における光透過率を測定する方法としては、少なくとも350nm、550nm及び750nmの各波長成分を発生できる装置を用いて測定すれば特に制限されず、例えば分光光度計や、実施例にて詳述する光透過率測定装置等によって測定することができる。測定対象となるワイピングシートが繊維集合体1Aからなる場合には、ワイピングシート自体をそのまま測定に供する。測定対象となるワイピングシートが繊維集合体1Aに加えて他の部材を有するときには、該他の部材を除去した後のシートを測定対象とする。光透過率の測定方法については、後述する実施例にて詳述する。
第2繊維集合体22における微粒子の捕集率の向上及び微粒子の存在の可視化に加えて、ワイピングシートのワイピング時の操作性を向上させる観点から、図2(a)ないし(c)に示すように、第1の面1F側に複数の凸部1Pが形成されていることが好ましい。同図に示す凸部1Pは、第2繊維集合体22を含む第1の面1Fの全体に、第1の面1F側に突出するように、散点状に形成されている。同図に示す態様の他に、凸部1Pは、第1の面1Fにおいて、第2繊維集合体22にのみ形成されていてもよい。
ワイピングシートを構成する繊維は、繊維径の異なる少なくとも2種の繊維である。繊維は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース繊維や、各種金属、ガラス、鉱物を原料とする繊維が代表的である。このうち、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース繊維を原料とすることが好ましい。
ポリエステルは、ポリマー主鎖にエステル結合を有する構造であれば特に制限されない。ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が挙げられる。
ポリオレフィンは、エチレン性不飽和基を有するモノマーから得られるものである。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコールの環状アセタール、アクリル樹脂(アクリル樹脂、メタクリル樹脂を含む)、ポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリオレフィンは、上記のように、ホモポリマーでもコポリマーでも構わない。
ポリアミドは、ポリマー主鎖に、アミド結合を有する構造であればどのようなポリアミドでも構わない。例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12のような重縮合ナイロン、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tのような共縮合ナイロンが挙げられる。また、下記のジアミン成分とジカルボン酸成分で得られるポリアミドが挙げられる。
ジアミン成分としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン化合物が挙げられる。また、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン化合物が挙げられる。更に、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン化合物が挙げられる。
カルボン酸成分としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物が挙げられる。また、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物が挙げられる。更に、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸化合物が挙げられる。
ナイロン類も含め、これらのジアミン成分とジカルボン酸成分はそれぞれにおいて、単独でも併用してもよい。
セルロース繊維は天然繊維でも合成繊維でもよく、合成繊維としては、例えば、セルロースのアセテート等のアシレート繊維や、レーヨン等が挙げられる。
また、これらの混合繊維、例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートなども挙げられる。
本発明では、上記繊維のなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ナイロン類及びセルロース繊維がより好ましい。アクリル樹脂は、アクリル酸若しくはそのエステル、又はメタクリル酸若しくはそのエステルから得られる繰り返し単位を有するものが好ましい。
繊維の繊維長、すなわち、本発明で使用する繊維全体の平均繊維長は、繊維の製造方法によるが、一般に1mm以上100mm以下が好ましく、10mm以上90mm以下がより好ましく、20mm以上60mm以下が更に好ましい。
第1の繊維の直径は、10μm以上30μm以下が好ましく、15μm以上25μm以下がより好ましい。一方、第2の繊維の直径は、0.1μm以上9μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。
繊維径の異なる繊維である第1の繊維及び第2の繊維は、互いに同じ成分の繊維であっても、異なった成分の繊維であっても構わないが、本発明では異なる成分の繊維が好ましい。また、繊維長においても、互いの繊維で異なっても同じでも構わないが、本発明では同じ繊維長の繊維が好ましい。
ワイピングシートを構成する第1の繊維11及び第2の繊維12が交絡してなる繊維集合体1Aの坪量は、50g/m以上が好ましく、55g/m以上がより好ましく、60g/m以上が更に好ましい。また繊維集合体1Aの坪量は、120g/m以下が好ましく、110g/m以下がより好ましく、100g/m以下が更に好ましい。具体的には、ワイピングシートを構成する第1の繊維11及び第2の繊維12が交絡してなる繊維集合体1Aの坪量は、50g/m以上120g/m以下が好ましく、55g/m以上110g/m以下がより好ましく、60g/m以上100g/m以下が更に好ましい。
繊維集合体1Aを構成する第1の繊維11の坪量は、45g/m以上が好ましく、50g/m以上がより好ましく、55g/m以上が更に好ましい。また第1の繊維の坪量は、115g/m以下が好ましく、110g/m以下がより好ましく、105g/m以下が更に好ましい。具体的には、繊維集合体1Aを構成する第1の繊維11の坪量は、45g/m以上115g/m以下が好ましく、50g/m以上110g/m以下がより好ましく、55g/m以上105g/m以下が更に好ましい。
繊維集合体1Aを構成する第2の繊維12の坪量は、3g/m以上が好ましく、4g/m以上がより好ましく、5g/m以上が更に好ましい。また第2の繊維の坪量は、20g/m以下が好ましく、15g/m以下がより好ましく、10g/m以下が更に好ましい。具体的には、繊維集合体1Aを構成する第2の繊維12の坪量は、3g/m以上20g/m以下が好ましく、4g/m以上15g/m以下がより好ましく、5g/m以上10g/m以下が更に好ましい。
ワイピング液が含浸されている状態において、ワイピングシート1における厚みH1(図1参照)は、ワイピングシートの40Pa荷重下において1mm以上であることが好ましく、1.2mm以上であることが更に好ましく、1.5mm以上であることが一層好ましい。また、同荷重下において5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることが更に好ましく、3mm以下であることが一層好ましい。ワイピングシート1における厚みH1は、ワイピングシートの370Pa荷重下において0.8mm以上3mm以下であることが好ましく、0.9mm以上2.8mm以下であることが更に好ましく、1mm以上2.5mm以下であることが一層好ましい。ワイピングシートにおける繊維集合体の厚みをこの範囲内に設定することで、ワイピングシートが十分な剛性及び強度を有するようになり、ワイピング時の操作性が良好になる。このような厚みを達成するためには、表面にエンボスパターンを施したり、表面を擦過し、毛羽立ち加工を施したりすればよい。
繊維間の空隙を増加させて、ワイピング液の担持量を増加させる観点から、繊維集合体1Aに含まれる第1の繊維11どうし、第1の繊維11及び第2の繊維12どうし、第2の繊維12どうしはいずれも融着しないで交絡していることが好ましい。
本発明のワイピングシート1は、1回のワイピング、すなわち、ワイピング対象面を1回拭くことで、ワイピング液がワイピング面からワイピング対象面に放出される量は、畳(1820mm×910mm、面積1.6552m)をワイピング対象面としたときに、0.5g/畳以上が好ましく、0.7g/畳以上がより好ましく、1.0g/畳以上が更に好ましい。放出される量の上限は、8g/畳以下が現実的であり、7g/畳以下が好ましく、6g/畳以下が更に好ましい。上記放出量が少なすぎると十分に拭き取りができなくなり、多すぎるとワイピング面にワイピング液残りを生じやすくなる。このようなワイピング液の放出量は、本発明のワイピングシートで少なくとも6畳分ワイピングした後でも維持されることが好ましい。
液放出量の測定条件は、ワイピング荷重(荷重W)0.16kN/m、ワイピング速度(速度V)1m/sである。本発明のワイピングシートは、このような測定条件で測定したときの1畳当たりの放出量が、上述の範囲にあるものである。
ワイピング液がワイピングシート1に担持できる最大液担持量、すなわち、初期の液担持量は、ワイピングシートの寸法を例えば後述の実施例に記載のとおり、285mm×205mmとしたときに、1g/枚以上が好ましく、10g/枚以上がより好ましく、12g/枚以上が更に好ましい。初期の液担持量の上限は、40g/枚以下が現実的であり、30g/枚以下が好ましく、20g/枚以下が更に好ましい。このような構成とすることで、目標とする1回のワイピング当たり1g/畳以上の液放出量が可能となり、且つ液放出量を持続させることが可能となる。
ワイピングシート1においては、ワイピング面側の毛管圧が、ワイピング面の反対側より高いことが好ましい。これにより、強い力でワイピングした場合でも、ワイピング対象面の汚れを拭き取るのに放出されるワイピング液の量を必要量にコントロールできる。そのため、ラグ、カーペット、床など拭き面積の広いワイピングの場合でも、ワイピング途中に新たなワイピングシートに交換する必要がないか、又は交換する回数を少なくすることが可能となる。
ここで、毛管圧は、以下の関係に従うことが知られている。
Pc = 2kγ/r×cosθ
式中、Pcは繊維集合体の毛管圧(N/m)であり、γは液の表面張力(N/m)であり、θは繊維と液体との接触角(rad)であり、rは繊維径(m)であり、kは補正係数である。
前記の式により導き出されるPcは繊維集合体の測定により導き出される要約統計量を用いた値である。Pcを測定するためには液の表面張力、繊維径、繊維と液体との接触角、及び補正係数を測定する必要がある。表面張力は協和界面科学社製DY−200のようなプレート法に基づく自動表面張力計で、20℃、65%RHの環境下で10回測定した平均値とする。繊維径は、走査型電子顕微鏡による観察から、観察倍率350倍で1観察あたり30本測定し、これをランダムに計5か所、150本の繊維径を測定した平均値とする。繊維と液体との接触角はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)により繊維集合体の構成繊維を同定し、同一組成の樹脂プレート上における接触角を測定する。具体的には、協和界面科学社製DMo−901のような全自動接触角計で1μLを滴下した後に3秒経過したときの接触角をプレート上5か所で測定し、その平均値とする。なお、繊維の材質が複数存在する場合は、それぞれの材質ごとに同様に接触角を測定し、Pc計算時の値としては、各繊維成分の表面積比に基づき接触角を加重平均した値を式内のθとする。補正係数は、JIS P 8141に規定されるクレム吸水度の測定を行い、吸水高さから液の吸水重量を測定して、液の吸水重量を不織布を構成する毛管断面の総量で割ることで、毛管圧Pcを導出できる、このようにして測定したPcから、補正係数kを算出する。
前記式から明らかなように、繊維径を細くするほど、毛管圧は高くなる。本発明のワイピングシート1では、ワイピング面側の毛管圧を、繊維径を細くして高めている。
ワイピングシート1に用いられるワイピング液は、一般に、湿式ワイピングシートで使用されるものと同様のものである。すなわち、ワイピング液は水単独でも、界面活性剤を含む水溶液でも構わないが、汚れ除去効率の観点から、界面活性剤を含む水溶液が好ましい。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤のいずれでも構わない。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性を用いることができる。
ワイピング液は添加剤を含有してもよい。添加剤としては、すすぎ効果を高めることを目的とした、アクリル酸、メタクリル酸若しくはマレイン酸の重合体又はこれらの塩、並びにマレイン酸と他のビニル系モノマーとの共重合体又はこれらの塩などが挙げられる。また、殺菌剤、香料、芳香剤、消臭剤、研磨粒子、pH調整剤、アルコールなどの水溶性有機溶媒などが挙げられる。
界面活性剤及び上記のような添加剤の含有量は、一般に、湿式ワイピングシートで使用される範囲である。例えば、界面活性剤の含有量は、0.01質量%〜1質量%とすることができる。
次に、本発明のワイピングシートの好適な製造方法を、図1及び図2(a)に示すワイピングシート1を例にとり、図3を参照しながら説明する。図3には、ワイピングシート1の製造に好適に用いられる製造装置10が示されている。製造装置10は、ウエブ形成部20、第1交絡部30、静電紡糸部40、及び第2交絡部50をこの順で備えている。
ウエブ形成部20は、第1の繊維11のウエブを形成するものである。ウエブ形成部20は、ワイピングシート1の構成原料である第1の繊維11からウエブを形成するカード機25を備えている。
第1交絡部30は、第1の繊維11のウエブを水流によって交絡させるものである。第1交絡部30は、第1の繊維11のウエブに水流を吹き付ける第1水流ノズル31と、無端ベルトからなる第1支持ベルト32とを備えている。第1水流ノズル31は、第1の繊維11のウエブ及び第1支持ベルト32の上方に位置しており、第1の繊維11のウエブの幅方向全域にわたって高圧水流を吹き付けることができるようになっている。第1支持ベルト32は、第1水流ノズル31と対向して配されており、吹き付けられた水を透過させるために、格子状などのパターンで穴が空いた構造となっている(図示せず)。第1の繊維11のウエブは、第1水流ノズル31からの水流の吹き付けによって繊維どうしが交絡して第1繊維集合体21を形成する。第1繊維集合体21は、第1支持ベルト32によって、静電紡糸部40へ搬送される。
静電紡糸部40は、静電紡糸法によって細径繊維からなる第2の繊維12を生成させ、第1繊維集合体21の一面に堆積させるものである。静電紡糸部40は、第2の繊維12の原料液を噴射し静電紡糸する噴射部41と、噴射された該原料液を第2の繊維12として捕集する捕集電極42とを備えている。噴射部41は第2の繊維12の原料液の供給部、電極及び電圧印加部などから構成されており、幅方向に複数配されている(図示せず)。噴射部41には正電圧又は負電圧が印加されるようになっている。捕集電極42は噴射部41と対向して配置されている。捕集電極42は導電性部材からなり、接地されている。捕集電極42は、一つの捕集電極42が幅方向全域にわたって配されていてもよく、複数の捕集電極42が噴射部41の位置に対応するように幅方向に沿って配されていてもよい。
各噴射部41に電圧が印加されると、第2の繊維12の原料液は噴射部41から噴射されるまでの間に静電誘導によって帯電し、帯電した状態で噴射される。帯電した状態で噴射された原料液は電界の作用によって、原料液の自己反発等が生じ、ナノサイズレベルの細径繊維(ナノファイバ)として第2の繊維12が生成される。生成した第2の繊維12は、捕集電極42の近傍を走行する第1繊維集合体21の一方の面に、搬送方向Rに沿ってストライプ状となるように堆積し、積層体15となる。この静電紡糸工程によって、第1の繊維11及び第2の繊維12からなる積層体15が形成される。得られた積層体15は第2交絡部50へ搬送される。
静電紡糸法における第2の繊維12の原料液としては、第2の繊維12を構成する高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した液、あるいは高分子化合物を溶融した融液を用いることができる。高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した液を用いる方法を溶液型静電紡糸法ともいうことができ、高分子化合物を溶融した融液を用いる方法を溶融型静電紡糸法ともいうことができる。本発明においては、いずれの静電紡糸法を用いることもできる。
第2交絡部50では、第1の繊維11及び第2の繊維12からなる積層体15に水流を吹き付けて、第1の繊維11と第2の繊維12とを交絡させて、ワイピングシート1の繊維集合体1Aを形成する。第2交絡部50は、積層体15の上方に位置しており、積層体15に第1の繊維11側から水流を吹き付ける第2水流ノズル51と、搬送されている積層体15の下方に備えられている第2支持ベルト52とから構成される。
図3に示すとおり、第2水流ノズル51は、積層体15の第2の繊維12側に位置しており、積層体15の幅方向全域にわたって水流を吹き付けることができるようになっている。第2水流ノズル51から第2の繊維12側の面に向かって吹き付けられた水流は、積層体15の第1の繊維11側の面を第2支持ベルト52の上面に密着するように押し当てる。このときに、第1の繊維11と第2の繊維12との間、及び第2の繊維12どうしの間で三次元的な交絡や繊維のより分けが起こり、第2繊維集合体22が第1繊維集合体21と交絡した状態で第1の面1Fに形成される。これらの工程によって、第1の繊維11と第2の繊維12とが三次元的に交絡した繊維集合体1Aを得ることができる。繊維集合体1Aは、第1の面1Fを上面にした状態で下流へ搬送される。この状態では、繊維集合体1Aにはワイピング液が担持されていない。
第2繊維集合体22を含む第1の面1F側の全面に凸部1Pを形成させたワイピングシート1を製造する場合、繊維集合体1Aを得た後、更に以下の工程に供することによって凸部1Pを形成させることができる。まず、反転ロール(図示せず)を介して繊維集合体1Aの面を反転させ、第2の面1R側を上面にして搬送する。その後、パンチングメタルやプラスチックネット等といった複数の開孔部を有する凸部形成部材(図示せず)と、その上面に備えられた第3水流ノズル(図示せず)との間に繊維集合体1Aを搬送し、第3水流ノズルから水流を繊維集合体1Aの第2の面1R側へ吹き付ける。この吹き付けによって、繊維集合体1Aの第1の面1F側は、凸部形成部材に押し当てられるとともに、開孔部内に繊維が突出する。その結果、繊維集合体1Aには、第1の面1F側に突出した凸部1Pを形成させることができる。
また、第2繊維集合体22にのみ凸部1Pを形成させたワイピングシート1を製造する場合、第2繊維集合体22の配置位置に相当する部分に複数の開孔部を有し、且つ他の部分には開孔部を有しない凸部形成部材を用いて、上述の方法と同様に水流の吹き付けを行えばよい。
最後に、繊維集合体1Aを下流に向けて搬送し、目的とする乾式のワイピングシート1を得ることができる。また、繊維集合体1Aを下流に向けて搬送した後、目的とするワイピングシート1における第2の面に対応する面1R側から、繊維集合体1Aにワイピング液を供給して担持させる。この工程を経て、目的とする湿式のワイピングシート1が得られる。
ワイピング液の担持量は、6g/枚以上が好ましく、8g/枚以上がより好ましく、10g/枚以上が更に好ましい。ワイピング液の含有量の上限は、40g/枚以下が好ましく、30g/枚以下がより好ましく、20g/枚以下が更に好ましい。ワイピング液を担持させる方法は、スプレー、塗布、浸漬などの方法をとることができる。
このようにして製造されたワイピングシート1は、該ワイピングシート単体で、又はワイパーなどの清掃用具に付着させて、床面、壁面等の建物、戸棚、窓ガラス、鏡、ドア、ドアノブ等の建具、ラグ、カーペット、机食卓等の家具、キッチン、トイレ、身体の清拭や、衛生用品、包装などにも使用できる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図3において、第1及び第2水流ノズル31,51の本数及び水圧などは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。また、凸部1Pを形成させるための第3水流ノズルにおいても同様である。
また、第2交絡部50での交絡の後で、積層体15の第1の繊維11の面側から更に水流を吹き付けて交絡してもよい。
また、前記実施形態のワイピングシートは、第1及び第2の繊維の二種類の繊維を含むものであったが、これに代えて三種類以上の繊維を含むワイピングシートであってもよい。
また、前記実施形態のワイピングシートは、ワイピング液を含む態様(湿式のワイピングシート)として説明したが、ワイピング液を含まない態様(乾式のワイピングシート)であってもよい。本発明のワイピングシートがいずれの態様であっても、本発明の効果は十分に奏される。
また、本発明のワイピングシート1の製造方法では、第2繊維集合体22を静電紡糸部40及び第2交絡部50における一連の工程で形成したが、この工程に限られない。例えば、静電紡糸部40に代えて、別途の工程で製造した第2の繊維12からなる繊維シート等を、目的とする第2繊維集合体22の形状に加工したものを、第1繊維集合体21の上面に配置し、然る後に、第2交絡部50の水流の吹き付けによって交絡させることによって形成してもよい。本発明のワイピングシート1をこのような工程で製造した場合でも、本発明の効果は十分に奏される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
上述した製造方法に従って、ワイピングシート1を製造した。第1の繊維11としてPET:アクリル:レーヨン=7:1.5:1.5を質量割合で含む平均直径11.4μmの混綿体を用いた。第2の繊維12として電界紡糸法で得られた平均直径1μmのポリプロピレンを用いた。繊維集合体1Aの坪量は65g/mとし、第1の繊維11の坪量は60g/mとし、第2の繊維12の坪量は5g/mとした。第1の面1F側に配された第2繊維集合体22は、図2(b)に示すような菱型の巨視的パターンを形成しており、第1の面1Fにおける面積比率は65%とした。ワイピング面における第2の繊維の占める面積比率は、52%であった。また、ワイピングシートの厚さ方向における第2の繊維の占める比率は12%であった。
実施例1は、ワイピングシートにワイピング液を担持させた湿式のワイピングシートとした。ワイピングシートは矩形のものであり、その寸法は285mm×205mm、ワイピング液を含浸させた後の厚みは1.4mmであった。ワイピング液は、第2の面側に位置する繊維集合体に少なくとも担持されていた。ワイピング液の担持量は20g/枚であった。ワイピング液は、界面活性剤(エマルゲン(登録商標)108、花王株式会社製)の0.01質量%水溶液を用いた。
〔比較例1〕
繊維集合体として平均繊維径11.4μmの花王社製のクイックルワイパー立体吸着ウエットシートを用いた。このウエットシートは、第2の繊維は含まれていない湿式のものである。第1の面側に配された巨視的パターンからなる繊維の集合体は、図2(b)に示すような菱型形状に成形した前記ウエットシートを第1の面1Fに配して、更に水流交絡させて形成した。ワイピング液を含浸させた後の厚みは1.3mmであった。
〔微粒子汚れ判別の評価〕
まず、コンディショニングとして、JIS Z 8901に規定される試験用粉体11種を1畳当たり0.6g散布したフローリング(コンビットニューアドバンス101、ウッドワン社製)をワイピング対象面として、ワイピング液として界面活性剤(エマルゲン(登録商標)108、花王株式会社製)の0.01質量%水溶液が20g/枚担持されている平均繊維径11.4μmのワイピングシートに、0.16kN/mの荷重をかけて、ワイピング速度1m/sでワイピングを1畳分(=1.6m)行った。
次に、コンディショニングを行った後のフローリング1畳分をワイピング対象面として、実施例1及び比較例1のワイピングシートを用いて、0.16kN/mの荷重をかけて、ワイピング速度1m/sでワイピングを行った。ワイピング後の第1の面1F全体と第2繊維集合体22との変色を以下の評価基準によってそれぞれ評価した。結果を表1及び図4に示す。第1の面1F全体の変色は、粒子の大小に関係なく汚れを捕集していることを指し、第2繊維集合体22の変色は、粒径が小さい粒子に起因した汚れを捕集していることを指す。
A:目視で変色が確認できる。
B:目視で変色が確認できない。
〔光透過率の評価〕
〔微粒子汚れ判別の評価〕でワイピングした後の実施例1及び比較例1のワイピングシートを105℃の恒温槽で30分静置して乾燥状態とした後、波長300〜800nmにおける光透過率を、光透過率測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、U−3310)を用いて、300nm〜800nmの波長域における透過率を1nm刻みに測定してプロットするという手順で測定した。結果を図5に示す。
Figure 0006878234
表1及び図4に示すように、実施例1のワイピングシートでは、巨視的パターンからなる第2繊維集合体22に強い変色が確認され、またそのコントラストも良好であり、コンディショニングのみでは捕集できていない微粒子を捕集できていることが目視で容易に判別できる。それに対して、比較例1のワイピングシートは、巨視的パターンからなる繊維の集合体に変色が確認できず、またコントラストも不良であり、微粒子が捕集できているかは判別できなかった。
実施例1及び比較例1のワイピングシートにおける光透過率の評価を行ったところ、図5に示すとおり、実施例1では、波長350nmにおける光透過率の減少率が74%、波長550nmにおける光透過率の減少率が61%、波長750nmにおける光透過率の減少率が53%であった。これに対して、比較例1では、波長350nmにおける光透過率の減少率が44%、波長550nmにおける光透過率の減少率が16%、波長750nmにおける光透過率の減少率が9%であった。このことから、実施例1のワイピングシートでは、ワイピング後における光透過率の減少率が高くなっており、微粒子に起因する汚れが効果的に捕集できていることが判る。
1 ワイピングシート
1A 繊維集合体
1F 第1の面(ワイピング面)
1R 第2の面
1P 凸部
11 第1の繊維
12 第2の繊維
15 積層体
21 第1の繊維の集合体
22 第2の繊維の集合体

Claims (5)

  1. 第1の繊維及び第1の繊維よりも細径の第2の繊維を少なくとも含み、これらの繊維が交絡してなる繊維集合体を備え、ワイピング面として用いられる第1の面と、該第1の面の反対側に位置する第2の面とを有するワイピングシートであって、
    第2の繊維の存在割合が、第2の面よりも、第1の面で高くなっており、
    第1の面側に、巨視的パターンからなる第2の繊維の集合体が複数配されており、
    前記第1の面における、前記第2の繊維の集合体の占める面積比率が20%以上80%以下であり、該第2の繊維の集合体が、粒径25μm以下の粒子を捕集したことのインジケータとして機能するように構成されている、ワイピングシート。
  2. ワイピング液を含浸させた前記ワイピングシートの第1の面でJIS Z 8901に規定される試験用粉体11種を1畳当たり0.6g散布したフローリング床をワイピングした時に、粒径10nm〜1μmの粒子の捕集率が60%以上であり、
    JIS Z 8901に規定される試験用粉体11種を1畳当たり0.6g散布したフローリング床を平均繊維径10μm〜15μmの繊維からなるシートでワイピングし、然る後に、ワイピング液を含浸させた前記ワイピングシートの第1の面で前記フローリング床をワイピングすると、前記第2の繊維の集合体が前記試験用粉体によって変色するように構成されている、請求項1に記載のワイピングシート。
  3. ワイピング後の前記ワイピングシートを乾燥状態にしたときの、
    波長350nmにおける光透過率の減少率が50%以上90%以下であり、
    波長550nmにおける光透過率の減少率が30%以上80%以下であり、
    波長750nmにおける光透過率の減少率が30%以上80%以下である、請求項2に記載のワイピングシート。
  4. 前記第2の繊維の集合体が一方向に連続して延びるように複数条配されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のワイピングシート。
  5. 前記第1の面側に複数の凸部が散点状に形成されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のワイピングシート。
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