JP6878190B2 - 多層フィルム、包装体及び多層フィルムの製造方法 - Google Patents

多層フィルム、包装体及び多層フィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、多層フィルム、包装体及び多層フィルムの製造方法に関する。
例えば、医薬品、食品等の包装体には、プラスチックフィルムを含む多層フィルムが多用されている。包装体には、流通時の振動や落下等による衝撃で容易に破袋しないこと(高い耐衝撃性)、手で容易に開封できること(高い易開封性)などの物性が要求される。
特許文献1は、最外層が二軸延伸ポリエステルであり、最外層の配向係数が特定の範囲である包装体について開示している。この発明によれば、易開封性の改善が図られている。
特許第2576747号公報
しかしながら、プラスチックフィルム製の包装体には、より優れた耐衝撃性とより優れた易開封性が求められている。
特許文献1の発明の耐衝撃性を高めるために、最外層のフィルムの強度を単に高めると、易開封性が損なわれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より優れた耐衝撃性とより優れた易開封性とを備える多層フィルム及び包装体並びに多層フィルムの製造方法を目的とする。
プラスチックの結晶構造には、α晶(単斜晶ともいう。)、β晶(六方晶ともいう。)、γ晶(三斜晶ともいう。)があることが知られている。
本発明者等は、マトリックスポリマーの分子構造の一部と類似の分子構造を有するポリマーがブレンドされたプラスチックに、所定の条件の加熱処理をすることで、β晶の融点よりも10℃以上低い吸熱ピークを有する結晶が生成することを見出した。この結晶は、β’晶(βプライム晶。擬六方晶、スメチカ晶ともいう。)と呼ばれ、β晶が生成される前段階の結晶であると考えられる。β’晶は、β晶よりも結晶化度が小さく、プラスチックの耐衝撃性を向上させると考えられる。加えて、β’晶は、プラスチックの面配向を促し、易開封性を助長させる働きがあると考えられる。
本発明者等は、鋭意検討した結果、共重合体であるマトリックスポリマーに、類似の分子構造を有するブレンドポリマーを添加し、加熱処理をすることで、耐衝撃性と易開封性とを両立でき、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1]最外層、及び最内層を有し、
前記最外層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種を含み、
前記最内層は、ポリオレフィンを含み、
前記最外層は、赤外二色法により測定されたMD方向の配向度α1が0.2〜2.5、赤外二色法により測定されたTD方向の配向度β1が0.2〜2.5であり、
前記最内層は、赤外二色法により測定されたMD方向の配向度α2が0.2〜2.5、赤外二色法により測定されたTD方向の配向度β2が0.2〜2.5であり、
熱流束示差走査熱量測定装置で測定される、スメチカ晶の融点のピーク面積S1と、単斜晶の融点のピーク面積S2との比S1/S2が1/99〜10/90である、多層フィルム。
[2]前記最外層と前記最内層との間に中間層を有し、前記中間層は、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びアルミニウムから選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記配向度α1/前記配向度β1で表される比が0.5〜2.0であり、前記配向度α2/前記配向度β2で表される比が0.5〜2.0である、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の多層フィルムが用いられ、前記最内層が内面を形成し、前記最外層が外面を形成する包装体。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の多層フィルムの製造方法であって、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種を含む外層材の一方の面に、ポリオレフィンを含む内層材を設けて積層体を得る工程と、前記積層体に加熱処理を施す工程と、を有する多層フィルムの製造方法。
本発明の多層フィルムによれば、耐衝撃性及び易開封性により優れる。
本発明の第一の実施形態にかかる多層フィルムの断面図である。 本発明の第二の実施形態にかかる多層フィルムの断面図である。 本発明の多層フィルムのDSC曲線の一例である。
本発明の多層フィルムは、最外層、及び最内層を備える。以下、本発明の多層フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
[第一の実施形態]
≪多層フィルム≫
図1に示すように、本発明の第一の実施形態の多層フィルム10は、最外層1と、最外層1の一方の面に設けられた最内層2とを有する。最外層1と最内層2とは、第一の接着層4を介して接合している。
<最外層>
最外層1はポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」ともいう。)、及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(以下、「PETG」ともいう。)から選択される少なくとも1種を含む。
最外層1は、PET単体、又は、PBTとPETGとの混合物が好ましい。
最外層1は、共重合体であるマトリックスポリマー(以下、主ポリマーともいう。)と、マトリックスポリマーの分子構造の一部と類似の分子構造を有するブレンドポリマー(以下、副ポリマーともいう。)と、を含有することが好ましい。
最外層1が、PBTとPETGとを含有する場合、PBTが主ポリマーで、PETGが副ポリマーである。PETは、主ポリマーである。
最外層1が、PBTとPETGとを含有する場合、最外層1におけるポリブチレンテレフタレート/グリコール変性ポリエチレンテレフタレートで表される質量比(以下、「PBT/PETG比」ともいう。)は、99/1〜50/50が好ましく、95/5〜70/30がより好ましい。
PBT/PETG比が上記範囲内であると、多層フィルム10にスメチカ晶が生成されやすく、易開封性と耐衝撃性とを両立しやすくなる。
副ポリマーであるPETGの分子構造は、主ポリマーであるPBTの分子構造の一部と類似している。このように主ポリマーの分子構造の一部に類似する分子構造を有する副ポリマーを所定の量含有させることにより、多層フィルム10にスメチカ晶が生成されやすくなると考えられる。
PETの含有量は、最外層1の総質量に対し、60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。PETの含有量を上記数値範囲内とすることにより、易開封性をより向上しやすい。
PBTの含有量は、最外層1の総質量に対し、50〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。PBTの含有量を上記数値範囲内とすることにより、PBTに由来する耐衝撃性を維持できる。
PETGの含有量は、最外層1の総質量に対し、3〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。PETGの含有量を上記数値範囲内とすることにより、易開封性をより向上しやすい。
PETの含有量とPBTの含有量とPETGの含有量との合計は、最外層1の総質量に対し、67〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。合計量を上記数値範囲内とすることにより、耐衝撃性と易開封性が良好となる。
最外層1はPET、PBT、PETGの他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
他の樹脂の含有量は、0〜33質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。他の樹脂の含有量が上記数値範囲内であると、耐衝撃性と易開封性が良好となる。
最外層1におけるMD方向(多層フィルムを製造する際の流れ方向、長さ方向)の配向度α1は0.2〜2.5であり、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。上記下限値以上であれば、易開封性を得られる。上記上限値以下であれば、耐衝撃性を高められる。
最外層1におけるTD方向(MD方向に垂直な方向、幅方向)の配向度β1は、0.2〜2.5であり、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。上記下限値以上であれば、易開封性を得られる。上記上限値以下であれば、耐衝撃性を高められる。
配向度α1/配向度β1で表される比(以下、α1/β1比ということがある。)は、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。α1/β1比を上記数値範囲内とすることにより、MD方向及びTD方向のいずれの方向においても易開封性を向上しやすくなる。
配向度α1及び配向度β1は、赤外二色法によって測定された値から算出される。
配向度は、光の電場が一定の方向にしか振動しない直線偏光と呼ばれる光を赤外分光光度計に用い、透過法で測定される。
測定方法としては、まず、偏光子の設置角度を0°(電場の向きは垂直方向)としてBKG(バックグラウンド)測定を行なった後、試料の延伸方向を縦方向に合わせ、吸光度を測定する(このとき偏光方向と延伸軸の方向は平行になる。)。得られた値を吸光度「A//」とする。
次に、試料の角度を90°回転させ、試料の延伸軸と偏光方向を垂直にした状態で吸光度を測定する。得られた値を吸光度「A⊥」とする。
試料の延伸軸に対して平行な偏光と垂直な偏光で得られた二つの吸光度A//及びA⊥の吸光度比を配向度とする。
赤外二色法における測定波数は、測定対象の材質に応じて適宜選択される(『小林靖二、「赤外二色法による分子配向」、高分子学会誌「高分子」、Vol.15、No.175、p.877−883』参照)。
また、配向度は、JIS K7127(1999)に準じて測定される引張弾性率から簡易的に求められる。
最外層1の厚さは、6〜15μmが好ましく、8〜13μmがより好ましい。最外層1の厚さが上記下限値以上であることにより、酸素バリア性、保香性、耐ピンホール性、耐衝撃性をより向上しやすい。最外層1の厚さが上記上限値以下であることにより、易開封性をより向上しやすい。
最外層1の厚さはシックネスゲージで測定することができる。
<最内層>
最内層2は最内層同士を対向させてヒートシール可能なシーラント層である。
最内層2はポリオレフィンを含む。最内層2を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−プロピレンゴム(EP−R)、アイオノマー等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
加えて、最内層2は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。
最外層1がPET100質量%の場合、最内層2は、2種以上のポリオレフィンを含む混合ポリマーであることが好ましい。混合ポリマーの主ポリマーと副ポリマーとの質量比(主ポリマー/副ポリマー)は、99/1〜50/50が好ましく、95/5〜70/30がより好ましい。混合ポリマーの主ポリマーとしては、例えば、PPが挙げられる。混合ポリマーの副ポリマーとしては、例えば、LLDPE、EP−Rが挙げられる。
混合ポリマーの主ポリマーと副ポリマーとの質量比が上記範囲内であると、スメチカ晶が生成されやすく、易開封性と耐衝撃性とを両立しやすくなる。
副ポリマーであるLLDPEの分子構造は、主ポリマーであるPPの分子構造の一部と類似している。あるいは、副ポリマーであるEP−Rの分子構造は、主ポリマーであるPPの分子構造の一部と類似している。このように主ポリマーの分子構造の一部に類似する分子構造を有する副ポリマーを所定の量含有させることにより、多層フィルム10にスメチカ晶が生成されやすくなると考えられる。
ポリオレフィンの含有量は、最内層2の総質量に対し、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。上記数値範囲内とすることにより、包装体としたときの密封性が良好となる。
最内層2におけるMD方向の配向度α2は0.2〜2.5であり、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。上記下限値以上であれば、易開封性を得られる。上記上限値以下であれば、耐衝撃性を高められる。
最内層2におけるTD方向の配向度β2は、0.2〜2.5であり、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。上記下限値以上であれば、易開封性を得られる。上記上限値以下であれば、耐衝撃性を高められる。
配向度α2/配向度β2で表される比(以下、α2/β2比ということがある。)は、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。α2/β2比を上記数値範囲内とすることにより、MD方向及びTD方向のいずれの方向においても易開封性を向上しやすくなる。
配向度α2及び配向度β2は、配向度α1及び配向度β1同様、赤外二色法によって測定された値から算出される。
α1/β1比とα2/β2比との差の絶対値は、0〜0.5が好ましく、0〜0.2がより好ましい。α1/β1比とα2/β2比との差の絶対値を上記数値範囲内とすることにより、MD方向及びTD方向のいずれの方向においても易開封性を向上しやすくなる。
最内層2のMD方向と最外層1のMD方向とは、同じ方向であることが好ましい。最内層2のMD方向と最外層1のMD方向とが同じ方向であることにより、易開封性を向上しやすくなる。
最内層2の厚さは、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。最内層2の厚さが上記数値範囲内であることにより、易開封性、耐衝撃性を向上しやすい。
本実施形態の多層フィルム10を熱流束示差走査熱量測定装置(以下、DSC装置ともいう。)において熱量測定を行うと、多層フィルム10のスメチカ晶の融点の吸熱ピークが観測される。スメチカ晶の融点は、単斜晶の融点よりも低い。スメチカ晶は、単斜晶よりも不安定であるため、単斜晶に比べて存在比率が小さい。そのため、DSC装置で観測されるスメチカ晶の吸熱ピークは、単斜晶の吸熱ピークよりも小さく、低温側に表れる。
図3に、多層フィルム10をDSC装置で測定したときのDSC曲線を示す。図3において、曲線101が、熱処理前の多層フィルム10のDSC曲線である。曲線201が、熱処理後の多層フィルム10のDSC曲線である。
曲線101では、121.12℃をピークとする大きな吸熱ピークが見られる。曲線201では、121.81℃をピークとする大きな吸熱ピークが見られる。これらは、多層フィルム10に含まれるポリエチレンの単斜晶の融点の吸熱ピークである。
曲線101では、他に吸熱ピークは見られないが、曲線201では、110.03℃をピークとする小さな吸熱ピークが見られる。この小さな吸熱ピークが多層フィルム10のスメチカ晶の吸熱ピークである。
DSC装置において測定される、多層フィルム10のスメチカ晶の融点の吸熱ピークのピーク面積をS1、多層フィルム10の単斜晶の融点の吸熱ピークのピーク面積をS2とする。S1とS2との比S1/S2は、1/99〜10/90であり、2/98〜8/92が好ましく、3/97〜6/94がより好ましい。S1/S2が上記範囲内であると、易開封性と耐衝撃性とを両立しやすくなる。
多層フィルム10のスメチカ晶の融点の吸熱ピークのピーク面積S1と、多層フィルム10の六方晶の融点の吸熱ピークのピーク面積S2は、DSC装置におけるピーク面積算出ソフトにより計算できる。
<第一の接着層>
第一の接着層4を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、酸変性ポリオレフィン系等の接着剤、チタネート系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤が挙げられる。なかでもポリエチレンに極性基を導入した変性ポリエチレンが好ましい。これらの材料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
第一の接着層4の厚さは3〜10μmが好ましい。第一の接着層4の厚さを上記数値範囲内とすることにより、層間接着性が良好となり、易開封性が発現しやすくなる。
≪多層フィルムの製造方法≫
本実施形態における多層フィルム10の製造方法は、外層材と内層材とを備える積層体を得る工程(積層工程)と、積層体に加熱処理を施す工程(加熱工程)とを有する。
積層工程は、外層材の一方の面に内層材を設ける工程である。
外層材の材料は、最外層の材料と同じである。内層材の材料は、最内層の材料と同じである。
外層材の一方の面に内層材を設ける方法としては、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等のインフレーション法、Tダイ法等の共押出法が挙げられる。なかでも、透明性、易開封性が向上しやすい点から、水冷インフレーション法が好ましい。なお、インフレーション法で製造した多層フィルムをインフレーションフィルムという。
インフレーション法において、ブロー比(TD方向の延伸倍率)は、0.7〜3.0が好ましく、0.7〜2.0がより好ましい。ブロー比を上記数値範囲内にすることにより、易開封性が向上しやすくなる。
加熱工程は、積層体に加熱処理を施し、スメチカ晶の生成を促進する。
積層体に加熱処理を施すことにより、外層材は最外層となり、内層材は最内層となる。
加熱処理の温度は、80〜135℃が好ましく、90〜125℃がより好ましい。加熱処理の温度が上記範囲内であると、六方晶及びスメチカ晶が生成されやすくなる。
加熱処理の時間は、5〜60分が好ましく、10〜50分がより好ましく、20〜40分がさらに好ましい。加熱処理の時間が上記下限値以上であると、スメチカ晶の生成が促進される。加熱処理の時間が上記下限値以下であると、スメチカ晶から単斜晶への成長を抑制しやすい。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、本実施形態における多層フィルム10が用いられ、最内層2が内面を形成し、最外層1が外面を形成することを特徴とする。MD方向が長さ方向、TD方向が幅方向とされることが好ましい。
包装体としては、例えば、多層フィルム10の最内層同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋、これらのチャック付き袋等が挙げられる。
本発明の第一の実施形態における包装体は、飲料、食品、医薬品、化粧料等を包装する用途に好適である。なかでも、キザミ食、ミキサー食等の嚥下・咀嚼困難者用食品、医療用輸液バッグ等の用途に好適である。
≪包装体の製造方法≫
本実施形態の包装体に用いる多層フィルムは、前記多層フィルム10の製造方法と同様に製造することができる。なかでも、透明性、易開封性が向上しやすい点から、水冷インフレーション法が好ましい。
得られた多層フィルムは筒状のままで、上端と下端とをヒートシールして包装体としてもよく、筒状の多層フィルムの一部を切り裂いてシート状にしたのち、上端、下端、及び側部をヒートシールして包装体としてもよい。ヒートシールする際は最内層を内側にする。
[第二の実施形態]
≪多層フィルム≫
本発明の第二の実施形態における多層フィルム20は、図2に示すように、最外層1と、最外層1の一方の面に設けられた最内層2との間に、中間層3を有する。最外層1と中間層3とは、第二の接着層5を介して接合している。最内層2と中間層3とは、第三の接着層6を介して接合している。中間層3を有することにより、耐衝撃性及び酸素バリア性のさらなる向上を図れる。
第一の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
<中間層>
中間層3は、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の樹脂層及びアルミニウム箔等の金属層から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン(例えば、ナイロン6、ナイロン6−6等)が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
中間層3がポリアミドを含む場合、ポリアミドの含有量は、中間層3の総質量に対し、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。ポリアミドの含有量を上記数値範囲内とすることにより、耐衝撃性及び酸素バリア性のさらなる向上を図れる。
中間層3の厚さは5〜15μmが好ましく、8〜13μmがより好ましい。
<第二の接着層>
第二の接着層5を構成する材料としては、第一の接着層4と同様のものが挙げられる。
第二の接着層5の厚さは3〜10μmが好ましい。第二の接着層5の厚さを上記数値範囲内とすることにより、層間接着性が良好となり、易開封性が発現しやすくなる。
<第三の接着層>
第三の接着層6を構成する材料としては、第一の接着層4と同様のものが挙げられる。
第三の接着層6の厚さは3〜10μmが好ましい。第三の接着層6の厚さを上記数値範囲内とすることにより、層間接着性が良好となり、易開封性が発現しやすくなる。
≪多層フィルムの製造方法≫
本実施形態における多層フィルム20の製造方法は、外層材と中間材と内層材とを備える積層体を得る工程(積層工程)と、積層体に加熱処理を施す工程(加熱工程)とを有する。
積層工程は、外層材と中間材と内層材とがこの順で設けられた積層体を得る工程である。
中間材の材料は、中間層の材料と同じである。
外層材と中間材と内層材とがこの順で設けられた積層体を得る方法は、外層材の一方の面に内層材を設ける方法と同様である。
本実施形態の加熱工程は、本発明の第一の実施形態の加熱工程と同様である。
積層体に加熱処理を施すことにより、中間材は中間層となる。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、第一の実施形態の多層フィルム10に代えて多層フィルム20を用いた以外は、第一の実施形態と同様である。
≪包装体の製造方法≫
本発明の第二の実施形態の包装体の製造方法は、本発明の第二の実施形態における多層フィルム20が用いられること以外は、本発明の第一の実施形態における包装体の製造方法と同様の方法が挙げられる。
(その他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されない。
第一の実施形態では、第一の接着層を有するが、本発明はこれに限定されず、最外層と最内層が接合可能な場合、第一の接着層はなくてもよい。
第二の実施形態では、第二の接着層を有するが、本発明はこれに限定されず、最外層と中間層が接着可能な場合、第二の接着層はなくてもよい。
第二の実施形態では、第三の接着層を有するが、本発明はこれに限定されず、最内層と中間層が接着可能な場合、第三の接着層はなくてもよい。
本発明の多層フィルムは、最外層の上に印刷が施されていてもよい。
本発明の多層フィルムは、容器の開口部を塞ぐ蓋材として用いられてもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各例の樹脂の組成を表1に示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
≪使用原料≫
<最外層>
・PBT:三菱エンジニアリングプラスチックス社、商品名ノバデュラン(登録商標)。
・PETG:イーストマンケミカル社、商品名Eastar(登録商標)。
・PET:デュポン社、商品名Rynite(登録商標)。
<第二の接着層>
・変性ポリエチレン(AD)、三菱化学社、商品名モディック(登録商標)。
<中間層>
・ナイロン−6:DSM社、商品名ノバミッド(登録商標)。
・アルミニウム:UACJ製箔社、アルミ箔。
・ポリビニルアルコール:クラレ社、EVOH。
<第三の接着層>
・変性ポリエチレン(AD)、三菱化学社、商品名モディック(登録商標)。
<最内層>
・LLDPE:プライムポリマー社、商品名エボリュー(登録商標)。
・PP:プライムポリマー社、ポリプロピレン。
・EP−R:三井化学社、商品名タフマー(登録商標)。
・ナイロン:東レ社、商品名アミラン(登録商標)。
[実施例1〜9、比較例1〜8]
表1に示す多層フィルムの仕様となるように、サーキュラーダイを用いた水冷インフレーション成形によって、幅20cm、長さ100mの多層フィルムを得た。なお、多層フィルムは筒状で、最内層が最も内側に位置するように成形した。
なお、実施例6〜8及び比較例7、8は、中間層がアルミ箔構成のため、あらかじめ最内層を水冷インフレーション成形したのちに、ドライラミネートにてアルミ箔に対して最外層及び再内層をそれぞれ貼り合せた。
水冷インフレーション成形の際には、実施例1〜3、5〜9、比較例1〜8ではブロー比を0.7に設定し、実施例4ではブロー比を1.5に設定した。
得られた多層フィルムについて、易開封性、耐衝撃性、耐ピンホール性、酸素透過度、保香性について以下の通りに評価した。その結果を表2に示す。
<易開封性>
筒状の多層フィルムをTD方向に手で引き裂いて、引き裂いた後の多層フィルムを観察した。最後までスムーズに直線的に引き裂くことができ、且つ表面及び裏面の切れ目の距離差が7mm以下の場合を「○」とし、最後まで引き裂くことができたが引き裂いている途中で引っかかりを感じた場合、あるいは表面及び裏面の切れ目の距離差が7mm超の場合を「△」とし、最後まで引き裂くことができなかった場合を「×」とした。
<耐衝撃性>
JIS K7124−1に準拠して耐衝撃性を評価した。サンプル30個中、破袋数が1個以下のものを「○」、破袋数が2〜3個のものを「△」、破袋数が4個以上のものを「×」とした。
<耐ピンホール性>
耐ピンホール性に優れれば、輸送や保管時の摩擦や屈曲によりピンホールが生じるのを防ぐことができる。
ゲルフレックステスタを用いて、多層フィルムを500回屈曲させ、ピンホールの発生数を確認した。ピンホールの発生が2箇所以下の場合を「○」、3〜5箇所の場合を「△」、6箇所以上の場合を「×」とした。
<酸素透過度>
酸素透過度が低ければ酸素バリア性に優れ、酸素による内容物の劣化を防ぐことができる。
JIS K7126−2のモコン法に準拠して酸素透過度を求めた。酸素透過度が130cc/m以下を「○」、130cc/m超200cc/m未満を「△」、200cc/m以上を「×」とした。
<保香性>
保香性に優れれば、内容物の臭いが外部に漏れないため好ましい。
多層フィルムを長さ30cmに切断し下端をヒートシールした後、コーヒー豆を100g充填し、多層フィルムの上端をヒートシールした。この包装体の臭いをかぎ、保香性を評価した。内容物の臭気成分が全く感じられない場合を「○」、内容物の臭気成分がほとんど感じられない場合を「△」、内容物の臭気成分がやや感じられる場合を「×」とした。
以上の評価において、「×」の項目が一つでもあれば、総合評価を「×」とした。「○」の項目が1〜2個の場合は総合評価を「△」、「○」の項目が3個以上で総合評価を「○」とした。
Figure 0006878190
Figure 0006878190
表1の結果から、本発明を適用した実施例1〜9は、いずれも易開封性、耐衝撃性、耐ピンホール性、酸素バリア性及び保香性に優れていた。
PBTにPETGをブレンドしなかった比較例1は、易開封性、耐衝撃性、耐ピンホール性において劣っていた。最外層にPETを用い、最内層にブレンドポリマーを用いなかった比較例2、7、8は、易開封性、耐衝撃性、耐ピンホール性において劣っていた。PBT/PETG比が97/3で、スメチカ晶の生成比が本発明の範囲外である比較例3は、耐衝撃性、耐ピンホール性において劣っていた。PBT/PETG比が30/70で、スメチカ晶の生成比が本発明の範囲外である比較例4は、全ての評価項目が「×」だった。最外層の配向度が本発明の範囲外である比較例5は、易開封性、耐衝撃性、耐ピンホール性において劣っていた。熱処理温度が低く、スメチカ晶の生成比が本発明の範囲外である比較例6は、全ての評価項目が「×」だった。
以上のことから、本発明を適用することにより、多層フィルム及び包装体の易開封性、耐衝撃性のさらなる向上を図れることが分かった。加えて、本発明を適用した多層フィルム及び包装体は、耐ピンホール性、酸素バリア性及び保香性に優れることが分かった。
1 最外層
2 最内層
3 中間層
4 第一の接着層
5 第二の接着層
6 第三の接着層

Claims (5)

  1. 最外層、及び最内層を有し、
    前記最外層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種を含み、
    前記最内層は、ポリオレフィンを含み、
    前記最外層は、赤外二色法により測定されたMD方向の配向度α1が0.2〜2.5、赤外二色法により測定されたTD方向の配向度β1が0.2〜2.5であり、
    前記最内層は、赤外二色法により測定されたMD方向の配向度α2が0.2〜2.5、赤外二色法により測定されたTD方向の配向度β2が0.2〜2.5であり、
    熱流束示差走査熱量測定装置で測定される、スメチカ晶の融点のピーク面積S1と、単斜晶の融点のピーク面積S2との比S1/S2が1/99〜10/90である、多層フィルム。
  2. 前記最外層と前記最内層との間に中間層を有し、
    前記中間層は、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びアルミニウムから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記配向度α1/前記配向度β1で表される比が0.5〜2.0であり、前記配向度α2/前記配向度β2で表される比が0.5〜2.0である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルムが用いられ、前記最内層が内面を形成し、前記最外層が外面を形成する包装体。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルムの製造方法であって、
    ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種を含む外層材の一方の面に、ポリオレフィンを含む内層材を設けて積層体を得る工程と、
    前記積層体に加熱処理を施す工程と、
    を有する多層フィルムの製造方法。
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