以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る超音波診断装置1を図1のブロック図を参照して説明する。
図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、超音波プローブ70、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60を備える。装置本体10は、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10は、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60と接続される。第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、穿刺術において利用される場合を想定し、超音波プローブ70とともに穿刺針80が用いられる。
位置センサシステム30は、超音波プローブ70及び超音波画像の3次元の位置情報を取得するためのシステムである。位置センサシステム30は、位置センサ31と位置検出装置32とを備える。
位置センサシステム30は、例えば、磁気センサ、赤外線センサまたは赤外線カメラ用のターゲット等を位置センサ31として超音波プローブ70に装着させることで、超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得する。なお、超音波プローブ70にジャイロセンサ(角速度センサ)を内蔵させ、このジャイロセンサにより超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得してもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ70をカメラで撮影し、撮影した画像を画像認識処理することにより超音波プローブ70の3次元の位置情報を取得してもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ70をロボットアームで保持し、ロボットアームの3次元空間の位置を超音波プローブ70の位置情報として取得してもよい。
以下では、位置センサシステム30が磁気センサを用いて超音波プローブ70の位置情報を取得する場合を例に説明する。具体的には、位置センサシステム30は、例えば磁気発生コイルなどを有する磁気発生器(図示せず)をさらに含む。磁気発生器は、磁気発生器自身を中心として、外側に向かって磁場を形成する。形成された磁場には、位置精度が保証される磁場空間が定義される。よって、磁気発生器の配置は、検査の対象となる生体が、位置精度が保証される磁場空間内に包含されるように配置されればよい。超音波プローブ70に装着される位置センサ31は、磁気発生器によって形成される3次元の磁場の強度及び傾きを検出する。これにより、超音波プローブ70の位置と方向とを取得することができる。位置センサ31は、検出した磁場の強度及び傾きを位置検出装置32へ出力する。
位置検出装置32は、位置センサ31で検出された磁場の強度及び傾きに基づき、例えば、所定の位置を原点とした3次元空間における超音波プローブ70の位置(スキャン面の位置(x,y,z)及び回転角度(θx,θy,θz))を算出する。このとき、所定の位置は、例えば、磁気発生器が配置される位置とする。位置検出装置32は、算出した位置(x,y,z,θx,θy,θz)に関する位置情報を装置本体10へ送信する。
なお、上述のように取得した位置情報と超音波プローブ70から送受信された超音波の超音波画像データとを時刻同期などで対応付けることにより、超音波画像データに位置情報を付与することができる。
超音波プローブ70は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ70は、装置本体10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ70には、後述するオフセット処理や、超音波画像のフリーズなどの際に押下されるボタンが配置されてもよい。
超音波プローブ70から生体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、生体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ70が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して周波数偏移を受ける。超音波プローブ70は、生体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波プローブ70の一例を示す図である。図2に示されるように、超音波プローブ70は、第1の圧電振動子群701、及び第2の圧電振動子群702を備える。超音波プローブ70において、第1の圧電振動子群701、及び第2の圧電振動子群702は、それぞれ独立に設けられる。なお、超音波プローブ70は、3以上の圧電振動子群を有するマルチプレーンプローブであってもよい。
第1の圧電振動子群701は、生体Pのアキシャル面の超音波画像であるコンベックス画像を取得するための振動子の集合である。第1の圧電振動子群701は、超音波プローブ70の先端部において周方向に沿って取り付けられている。第1の圧電振動子群701は、図2に示される走査面F1の範囲を走査可能である。
第2の圧電振動子群702は、生体Pのサジタル面の超音波画像であるリニア画像を取得するための振動子の集合である。第2の圧電振動子群702は、超音波プローブ70の周側面の一部に長手方向に沿って取り付けられている。第2の圧電振動子群702は、図2に示される走査面F2の範囲を走査可能である。
超音波プローブ70には、穿刺用アダプタ81が設けられる。穿刺用アダプタ81は、穿刺針80の刺入初期位置を規定でき、さらに、穿刺針80を刺入方向に対してスライド自在に保持できる。穿刺用アダプタ81は、穿刺針80の刺入角度を自在に調整可能とする。穿刺針80は、穿刺用アダプタ81を用いて、超音波の走査面に沿うように生体に刺入される。
穿刺針80は、どのような種類の穿刺針でもよい。例えば、病巣部の組織採取を目的とした生検用(生体組織検査用)の穿刺針であってもよいし、病巣部の焼灼治療が可能なRFA穿刺針などの焼灼治療用の穿刺針であってもよい。
図3は、直腸に第1の実施形態に係る超音波プローブを挿入し、経直腸穿刺を行う様子の一例を示す断面模式図である。経直腸穿刺では、穿刺針80は、直腸に挿入した超音波プローブに沿った方向に動作する。経直腸穿刺が行われる場合、図3に示されるように、超音波プローブ70は、例えば、生体Pの直腸H1に挿入される。また、穿刺針80は、例えば、生体Pの直腸H1の内壁から前立腺H2に直接刺入される。
そして、図3に示されるように、第1の圧電振動子群701から前立腺H2の関心領域に向けて超音波が照射されると、前立腺H2の関心領域における反射波信号が取得される。これにより、前立腺H2の関心領域の映像化が可能となる。また、第2の圧電振動子群702から穿刺針80に向けて超音波が照射されると、穿刺針80及び生体Pの周辺組織における反射波信号が取得される。これにより、穿刺針80の映像化が可能となる。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ70が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21及び制御回路22を含む。
超音波送信回路11は、超音波プローブ70に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、制御回路22の制御の下、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ70から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、制御回路22の制御の下、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ70の第1の圧電振動子群701又は第2の圧電振動子群702のうちいずれか一方のみに駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ70が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ70が受信した反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
3次元処理回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、ボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能なプロセッサである。
3次元処理回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW−ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成されるボリュームデータを生成する。
また、3次元処理回路15は、発生したボリュームデータに対してレンダリング処理を施し、レンダリング画像データを生成する。
表示処理回路16は、各種画像を表示機器50に表示するプロセッサである。表示処理回路16は、座標変換処理等により、表示画像としての超音波画像データを生成する。座標変換処理とは、例えば、Bモードデータ、及びドプラデータからなる超音波走査の走査線の信号列を、テレビ等に代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列であるビデオ信号に変換する処理である。
表示処理回路16は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいてBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、音波の集束などの超音波プローブの特性や超音波ビーム(例えば、送受信ビーム)の音場特性などが反映された画素値(輝度値)を有する。例えば、Bモード画像データにおいて、被走査領域において超音波のフォーカス付近では、非フォーカス部分よりも相対的に高輝度となる。表示処理回路16は、生成したBモード画像データを表示機器50に超音波画像として表示させる。
また、表示処理回路16は、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに基づいて、平均速度画像、分散画像、パワー画像等に係るドプラ画像データを生成する。表示処理回路16は、生成したドプラ画像データを表示機器50に超音波画像として表示させる。
また、表示処理回路16は、3次元処理回路15において生成された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換などの各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。表示処理回路16は、ビデオ信号を表示機器50に超音波画像として表示させる。
なお、表示処理回路16は、操作者(例えば、術者)が入力インタフェース回路20により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器50に表示させてもよい。表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
内部記憶回路17は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路17は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路17は、本実施形態に係る各種機能を実現するための制御プログラムを記憶している。また、内部記憶回路17は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位ごとに予め設定する変換テーブルなどのデータ群を記憶している。また、内部記憶回路17は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜、例えば、アトラスを記憶してもよい。
また、内部記憶回路17は、入力インタフェース回路20を介して入力される記憶操作に従い、3次元処理回路15で生成されたボリュームデータ、及びレンダリング画像データを記憶する。なお、内部記憶回路17は、入力インタフェース回路20を介して入力される記憶操作に従い、3次元処理回路15で生成したボリュームデータ、及びレンダリング画像データを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。内部記憶回路17は、記憶しているデータを、通信インタフェース回路21を介して外部装置へ転送することも可能である。
画像メモリ18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ18は、入力インタフェース回路20を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ18に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
画像データベース19は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、画像データベース19は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、超音波画像データ、CT(Computed Tomography)画像データ、MR画像データ、PET(Positron Emission Tomography)−CT画像データ、PET−MR画像データ及びX線画像データが含まれる。また、過去画像データは、例えば3次元ボリュームデータ、及びレンダリング画像データとして記憶されている。なお、過去画像データは、当該画像データが取得されてから長時間が経過していないもの、例えば取得されて数日以内のものが好適である。
なお、画像データベース19は、MO、CD−R、DVDなどの記録媒体(メディア)に記録された画像データを読み込むことで、所望の画像データを格納してもよい。
入力インタフェース回路20は、入力装置60を介して、ユーザからの各種指示を受け付ける。入力装置60は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル及びタッチコマンドスクリーン(TCS)である。入力インタフェース回路20は、例えばバスを介して制御回路22に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路22へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路20は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を無線信号として受け取り、この電気信号を制御回路22へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路20の例に含まれる。
通信インタフェース回路21は、位置センサシステム30と例えば無線により接続し、位置検出装置32から送信される位置情報を受信する。また、通信インタフェース回路21は、ネットワーク100等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
制御回路22は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路22は、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22は、位置情報取得機能221、位置合わせ機能223、断面設定機能225、画像データ生成機能227、表示制御機能229、及び走査制御機能231を有する。
位置情報取得機能221は、超音波プローブ70に関する位置情報を取得する機能である。位置情報取得機能221が実行されると、制御回路22は、通信インタフェース回路21を介して、位置センサシステム30から超音波プローブ70に関する位置情報を取得する。
位置合わせ機能223は、超音波診断装置1によりリアルタイムに取得される超音波画像データと、他のモダリティ等により過去に取得された過去画像データとを位置合わせする機能である。位置合わせ機能223が実行されると、制御回路22は、例えば、位置情報取得機能221により取得された超音波プローブ70に関する位置情報を、所定のレジストレーション手法により超音波画像データ、及び過去画像データに超音波プローブ70に関連付ける。レジストレーション手法は、剛体変換及びアフィン変換等の座標変換を用いる手法、並びに位置合わせの対象となる画像データの類似度に基づく手法等、位置合わせの対象となる複数の画像データを超音波プローブ70に関する位置情報で関連付けられるものであればどのような手法を用いてもよい。
この機能で位置合わせの対象となる過去画像データは、例えば、超音波画像データ、CT画像データ、及びMR画像データ等の3次元ボリュームデータである。CT画像データ、及びMR画像データは、超音波画像データでは得られない画像情報を表示したい場合に用いられる。例えば、造影CTで取得されるCT画像データに基づくCT画像は、超音波画像データに基づく超音波画像に比べて画像のコントラストが明瞭であり、視認した際に得られる情報量が多い。また、MR画像データは、CT画像データ、及び超音波画像データでは映像化が難しい前立腺腫瘍を観察することが可能である。
断面設定機能225は、駆動されてない圧電振動子群の空間位置に基づいて、予め取得された3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定する機能である。断面設定機能225が実行されると、制御回路22は、例えば、駆動されていない、すなわち超音波送受信に用いられていない第1の圧電振動子群701又は第2の圧電振動子群702の空間位置に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた過去画像データにおいて、抽出する断面の空間位置を算出する。制御回路22は、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する。
画像データ生成機能227は、断面画像データを、3次元ボリュームデータから生成する機能である。画像データ生成機能227が実行されると、制御回路22は、例えば、断面設定機能225により設定された断面に対応する断面画像データを、当該断面が設定された過去画像データから生成する。
表示制御機能229は、予め取得された3次元ボリュームデータから生成された断面画像データに基づく断面画像を、超音波診断装置1によりリアルタイムに取得される超音波画像データと共に表示する機能である。表示制御機能229が実行されると、制御回路22は、例えば画像データ生成機能227により第1の圧電振動子群701の空間位置に基づいて生成された断面画像データに基づく断面画像を、第2の圧電振動子群702を介して取得された超音波画像データに基づく超音波画像と共に表示機器50に表示する。また、制御回路22は、例えば画像データ生成機能227により第2の圧電振動子群702の空間位置に基づいて生成された断面画像データに基づく断面画像を、第1の圧電振動子群701を介して取得された超音波画像データに基づく超音波画像と共に表示機器50に表示する。なお、表示制御機能229は、ネットワーク100を介して接続される外部装置40のディスプレイなどに表示させるために、断面画像データと超音波画像データとを外部装置40に出力してもよい。
走査制御機能231は、超音波走査を制御する機能である。走査制御機能231が実行されると、制御回路22は、例えば入力インタフェース回路20を介し、第1の圧電振動子群701を駆動するか、又は、第2の圧電振動子群702を駆動するかを示す超音波の送受信条件を受け付ける。制御回路22は、受け付けた送受信条件に従って、超音波送信回路11及び超音波受信回路12を制御し、超音波プローブ70が備える第1の圧電振動子群701又は第2の圧電振動子群702の一方を駆動して生体Pに対して超音波の送信しその反射波信号を受信する超音波走査を実行する。また、制御回路22は、入力インタフェース回路20を介した超音波の送受信条件の入力に応じ、例えば駆動される圧電振動子を検査の途中で切替えることが可能である。なお、超音波の送受信条件は、例えば初期設定されている送受信条件を用いてもよい。
基本制御機能233は、超音波診断装置1の入出力等の基本動作を制御する機能である。基本制御機能233が実行されると、制御回路22は、例えば入力インタフェース回路20を介し、検査対象となる患者に関する情報を受け付ける。検査対象となる患者に関する情報は、例えば、患者ID、氏名、及び検査対象部位等を含む。制御回路22は、受け付けた患者に関する情報に対応する過去画像データを、画像データベース19から読み出す。
位置情報取得機能221、位置合わせ機能223、断面設定機能225、画像データ生成機能227、表示制御機能229、及び走査制御機能231は、制御プログラムとして組み込まれていてもよいし、制御回路22自体または装置本体10に制御回路22が参照可能な回路として、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が超音波プローブ70を用いて取得される超音波画像を表示する際の制御回路22の動作の例を示すフローチャートである。以下では、腫瘍等の病巣部が含まれるコンベックス画像を取得する第1の圧電振動子群701が駆動される場合を例に説明する。
制御回路22は、入力インタフェース回路20を介して、検査対象となる患者に関する情報、及び超音波の送受信条件が入力されると、受け付けた患者に関する情報に対応する過去画像データ(3次元ボリュームデータ)を、画像データベース19から読み出す(ステップSA1)。このとき、制御回路22は、超音波送信回路11及び超音波受信回路12を制御し、第1の圧電振動子群701を駆動して超音波走査を開始する。
次に、制御回路22は、位置情報取得機能221を実行し、位置検出装置32から超音波プローブ70の位置情報を取得する(ステップSA2)。
次に、制御回路22は、位置合わせ機能223を実行し、第1の圧電振動子群701の超音波走査により生成された超音波画像データを、表示処理回路16から読み出す。そして、制御回路22は、ステップSA2において取得された超音波プローブ70に関する位置情報を、所定のレジストレーション手法により、読み出した超音波画像データ、及びステップSA1において読み出された過去画像データに関連付ける(ステップSA3)。
次に、制御回路22は、断面設定機能225を実行し、駆動されていない第2の圧電振動子群702の空間位置に基づいて、ステップSA3において位置合わせされた過去画像データにおいて、抽出する断面の空間位置を算出する。具体的には、制御回路22は、第2の圧電振動子群702を用いてリニア画像を取得するために超音波走査される走査面に相当する断面の空間位置を算出する。制御回路22は、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する(ステップSA4)。
次に、制御回路22は、画像データ生成機能227を実行し、ステップSA4において設定された断面に対応する断面画像データを、ステップSA3において位置合わせされた過去画像データから生成する(ステップSA5)。
次に、制御回路22は、表示制御機能229を実行して表示処理回路16を制御し、ステップSA5において生成された断面画像データに基づく断面画像を、ステップSA3において読み出した超音波画像データに基づく超音波画像と共に表示する(ステップSA6)。図5は、第1の実施形態に係る表示機器に表示される超音波画像及びMPR画像の表示態様の一例を表す図である。図5では、表示機器50において、右側の領域501にはコンベックス画像に相当するLive画像5011が表示されている。また、左側の領域502にはリニア画像に相当するMPR画像5021が表示されている。Live画像5011は、第1の圧電振動子群701の超音波走査により生成された超音波画像データに基づく超音波画像を表す。MPR画像5021は、駆動されていない第2の圧電振動子群702の空間位置に基づいて、過去画像データ(3次元ボリュームデータ)から生成された断面画像データに基づく断面画像を表す。
なお、制御回路22は、図6に示されるように、右側の領域501にコンベックス画像に相当するMPR画像5012が表示され、かつ、左側の領域502にリニア画像に相当するLive画像5022が表示されるようにしてもよい。このとき、制御回路22は、第2の圧電振動子群702を駆動して超音波走査を開始する。MPR画像5012は、駆動されていない第1の圧電振動子群701の空間位置に基づいて、過去画像データ(3次元ボリュームデータ)から生成された断面画像データに基づく断面画像を表す。Live画像5022は、第2の圧電振動子群702の超音波走査により生成されたリニア画像である超音波画像データに基づく超音波画像を表す。
最後に、制御回路22は、例えば入力インタフェース回路20を介して超音波走査を終了する旨の指示が入力されているか否か判定する(ステップSA7)。制御回路22は、終了する旨の指示が入力されていると判定した場合(ステップSA7のYes)、当該一連の処理を終了する。制御回路22は、終了する旨の指示が入力されていないと判定した場合(ステップSA7のNo)、ステップSA2からステップSA7までの処理を再び実行する。
第1の実施形態によれば、制御回路22は、予め画像データベース19に記憶された過去画像データに対し、駆動されていない圧電振動子の位置に基づいて、観察対象となる断面を設定する。制御回路22は、設定された断面に対応する断面画像データを、過去画像データから生成する。制御回路22は、生成した断面画像データに基づく断面画像と、駆動している圧電振動子を超音波走査することにより取得された超音波画像データに基づく超音波画像と共に表示機器50に表示する。
これにより、第1の圧電振動子群701及び第2の圧電振動子群702を同時に駆動して超音波送受信した場合のコンベックス画像とリニア画像との同時表示を疑似的に実現できる。すなわち、腫瘍等の病巣部の状態及び穿刺針の状態を同時に観察できる。
したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、穿刺を安全、かつ、確実に行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、超音波プローブ70に位置センサ31を設置し、超音波プローブ70に関する位置情報に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する場合について説明した。
穿刺では、例えば、穿刺針を含む断面において収集された2次元画像が表示され、操作者は、病巣部と穿刺針とを観察し、これらの位置関係を把握しながら病巣部に穿刺針を刺入する。このような場合、さらに安全、かつ、確実な穿刺を行うためには、穿刺針の先端部分を把握し、実際の穿刺針の位置が表示された画像を視認することが必要となる。
そこで第2の実施形態では、第1の実施形態に係る表示形態に加えて穿刺針に関する画像を表示する場合について説明する。このとき、穿刺針にも位置センサを設置し、位置センサで超音波プローブとの位置関係を計算することで、挿入されて見えにくい穿刺針の位置を案内できるようにする。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aを図7のブロック図を参照して説明する。
図7に示されるように、超音波診断装置1Aは、装置本体10A、超音波プローブ70、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60に加えて位置センサ82を備える。装置本体10Aは、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10Aは、位置センサシステム30、表示機器50、入力装置60、及び位置センサ82と接続される。第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aにおいても、第1の実施形態と同様に、穿刺術において利用される場合を想定し、超音波プローブ70とともに穿刺針80が用いられる。
第2の実施形態係る穿刺針80には、位置センサ82が装着される。位置センサ82は、超音波プローブ70に設置される位置センサ31とは別の位置センサである。位置センサ82は、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置を計測することで、穿刺針80の位置情報が得られる。なお、位置センサ82は無線信号を送信し、外部にある受信器が、位置センサ82からの無線信号に基づいて穿刺針80の位置情報を算出してもよい。位置センサ82は、穿刺針80の位置を計測する一般的なセンサであればよいので、ここでの詳細な説明は省略する。
図7に示される装置本体10Aは、超音波プローブ70が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Aは、図7に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21及び制御回路22Aを含む。
制御回路22Aは、例えば、超音波診断装置1Aの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Aは、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Aは、位置情報取得機能221A、穿刺情報生成機能222A、位置合わせ機能223A、断面設定機能225A、画像データ生成機能227A、表示制御機能229A、走査制御機能231、及び基本制御機能233を有する。
位置情報取得機能221Aは、超音波プローブ70に関する位置情報に加えて穿刺針80に関する位置情報を取得する機能である。位置情報取得機能221Aが実行されると、制御回路22Aは、通信インタフェース回路21を介して、位置センサシステム30から超音波プローブ70に関する位置情報と、位置センサ82から穿刺針80に関する位置情報とを取得する。
穿刺情報生成機能222Aは、超音波プローブ70のスキャン領域に対する穿刺針の位置を特定可能な穿刺情報を生成する機能である。穿刺情報生成機能222が実行されると、制御回路22Aは、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ70に関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する。
断面設定機能225Aは、駆動されてない圧電振動子の空間位置に基づいて、予め取得された3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定する機能である。断面設定機能225との違いは、さらに穿刺情報生成機能222により生成された穿刺情報を用いる点にある。断面設定機能225が実行されると、制御回路22Aは、例えば、駆動されていない、すなわち超音波送受信に用いられていない第1の圧電振動子群701又は第2の圧電振動子群702の空間位置、及び穿刺情報生成機能222により生成された穿刺情報に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた過去画像データを用いて、抽出する断面の空間位置を算出する。具体的には、制御回路22は、例えば第2の圧電振動子群702を用いて超音波走査される走査面に相当する断面であって、かつ穿刺情報により特定される穿刺針80を含む断面の空間位置を算出する。制御回路22は、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する。
画像データ生成機能227Aは、画像データ生成機能227により生成される断面画像データに加えて、穿刺針80に関する画像データを生成する機能である。画像データ生成機能227Aが実行されると、制御回路22Aは、穿刺情報に基づいて、生成した断面画像データに対応する穿刺針80に関する画像データを生成する。穿刺針80に関する画像データは、穿刺ガイド画像データ、及び穿刺針画像データを含む。穿刺ガイド画像データは、第1の圧電振動子群701又は第2の圧電振動子群702のスキャン領域における穿刺針80の穿刺対象となる腫瘍等の生体部位(目標部位ともいう)への刺入予定経路を示す画像データである。穿刺針画像データは、穿刺針の視認性を高めるために穿刺針の現在の位置を示す画像データである。
また、制御回路22Aは、穿刺情報に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた超音波画像データに対応する穿刺針80に関する画像データを生成する。
表示制御機能229Aは、超音波画像データに基づく超音波画像及び断面画像データに基づく断面画像に加えて、当該超音波画像及び断面画像にそれぞれ対応した穿刺針80に関する画像データをそれぞれ重畳表示する。表示制御機能229Aが実行されると、制御回路22Aは、表示処理回路16を制御し、例えば穿刺針80を含むような断面が選択された超音波画像データに基づく超音波画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、及び穿刺針画像データに基づく穿刺針画像を重ねて表示機器50に表示する。さらに、制御回路22Aは、表示処理回路16を制御し、例えば画像データ生成機能227により生成された断面画像データに基づく断面画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、及び穿刺針画像データに基づく穿刺針画像を重ねて表示機器50に表示する。
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aの動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aが超音波プローブ70を用いて取得される超音波画像及び穿刺針に関する画像を表示する際の制御回路22Aの動作を示すフローチャートである。以下では、腫瘍等の病巣部が含まれるコンベックス画像を取得する第1の圧電振動子群701が駆動される場合を例に説明する。
図8に示されるステップSB1は、図4に示されるステップSA1と同様である。
次に、制御回路22Aは、位置情報取得機能221Aを実行し、通信インタフェース回路21を介して、位置検出装置32から超音波プローブ70の位置情報と、位置センサ82から穿刺針80の位置情報とを取得する(ステップSB2)。
次に、制御回路22Aは、穿刺情報生成機能222を実行し、時系列に得られる穿刺針80の位置情報と、超音波プローブ70の位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する(ステップSB3)。生成された穿刺情報には、穿刺針80の3次元座標情報に加えて、穿刺針80と、超音波プローブ70との相対的な位置関係を示す情報が含まれる。
図8に示されるステップSB4は、図4に示されるステップSA3と同様である。
次に、制御回路22Aは、断面設定機能225Aを実行し、位置合わせ機能223により位置合わせされた過去画像データを用いて、駆動されていない第2の圧電振動子群702を用いて超音波走査される走査面に相当する断面であって、かつ穿刺情報により特定される穿刺針80を含む断面の空間位置を算出する。制御回路22Aは、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する(ステップSB5)。
次に、制御回路22Aは、画像データ生成機能227Aを実行し、ステップSB5において設定された断面に対応する断面画像データを、ステップSB4において位置合わせされた過去画像データから生成する。また、制御回路22Aは、穿刺情報に基づいて、穿刺針80に関する画像データである穿刺ガイド画像データ、及び穿刺針画像データを生成する(ステップSB6)。
次に、制御回路22Aは、表示制御機能229Aを実行し、表示処理回路16を制御して、例えば穿刺針を含むような断面が選択された超音波画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、及び穿刺針画像データに基づく穿刺針画像を重ねて表示機器50に表示する。さらに、制御回路22Aは、表示処理回路16を制御し、例えば画像データ生成機能227により生成された断面画像データに基づく断面画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、及び穿刺針画像データに基づく穿刺針画像を重ねて表示機器50に表示する。
図9は、第2の実施形態に係る表示機器50に表示される超音波画像、MPR画像、及び穿刺針80に関する画像の表示態様の一例を表す図である。図9では、表示機器50において、右側の領域501にはコンベックス画像に相当するLive画像5011が表示されている。また、左側の領域502にはリニア画像に相当するMPR画像5021が表示されている。図9に示されるように、Live画像5011には、例えば腫瘍等の穿刺対象となる目標部位T1、穿刺ガイド画像VL1、及び穿刺針画像N1が重畳表示されている。また、MPR画像5021には、例えば目標部位T1、穿刺ガイド画像VL2、穿刺針画像N2が重畳表示されている。
最後に、制御回路22Aは、例えば入力インタフェース回路20を介して超音波走査を終了する旨の指示が入力されているか否か判定する(ステップSB8)。制御回路22Aは、終了する旨の指示が入力されていると判定した場合(ステップSB8のYes)、当該一連の処理を終了する。制御回路22Aは、終了する旨の指示が入力されていないと判定した場合(ステップSB8のNo)、ステップSB2からステップSB8までの処理を再び実行する。
第2の実施形態によれば、制御回路22Aは、超音波画像データに基づく超音波画像及び断面画像データに基づく断面画像を同時に表示すること加えて、表示される超音波画像及び断面画像にそれぞれ対応した穿刺針80に関する画像データをそれぞれ重畳表示する。これにより、挿入されて見えにくい穿刺針の位置を案内することが可能となる。よって、操作者は、穿刺針の進行方向を予想できるため、簡便に穿刺を行うことが可能となる。
(変形例)
なお、穿刺の安全性をより高めるために、針先端付近の状態を針の位置に連動させて表示することが考えられる。以下、断面画像データに基づく断面画像を穿刺針80の先端位置の移動に合わせて、制御回路22Aが先端位置を含むいわゆる針C面として穿刺針の進行方向と平行に移動して見えるように表示する場合について説明する。針C面は、例えば穿刺針の進行方向(視線方向)に垂直な面である。
図10は、第2の実施形態に係る表示機器50に表示される針C面の一例を表す図である。図10では、穿刺針80の先端を含み、かつ、穿刺針80の進行方向に垂直な面SF1が表示されている。断面SF1は、例えば、穿刺情報に基づいて、図8に示されるステップSB4において位置合わせされた過去画像データ(3次元ボリュームデータ)に対し設定された断面に対応する画像である。このとき、制御回路22Aは、例えば第2の圧電振動子群702を駆動して超音波走査することにより取得されるリニア画像をLive画像として、もう一方を穿刺針80の先端に連動して表示される針C面として並列表示する。このように、針先端付近の状態を針の位置に連動させて表示することで、穿刺の安全性を高めることが可能となる。
なお、3次元ボリュームデータの代わりに、レンダリング画像データを用いてもよい。この場合、カーレースゲームやフライトシミュレータの視線切り替えに近い画像が表示できる。
また、応用例として、図11に示されるように、穿刺針80の先端より所定の距離だけ離れた位置に針C面を表示することも可能である。図11では、穿刺針80の先端を含み、かつ、穿刺針80の進行方向に垂直な断面SF2が所定の距離dだけ平行移動した位置に断面SF3が表示されている。距離dは、例えば数ミリメートルである。断面SF3は、例えば、穿刺情報に基づいて、図8に示されるステップSB4において位置合わせされた過去画像データに対し設定された断面に対応する画像である。このように、時間的に少し先を表示するため、刺入されると問題となる危険部位、例えば血管等を早期発見することが可能となる。
[第3の実施形態]
第1の実施形態及び第2の実施形態では、経直腸穿刺を行う場合について説明した。経直腸穿刺では、超音波プローブに穿刺用アダプタが固定される。超音波プローブに穿刺用アダプタが固定される場合、例えば超音波画像及び断面画像上において、例えば第2の実施形態において説明した穿刺ガイド画像が重畳表示される位置は固定される。
一方、会陰部に垂直に穿刺する経会陰穿刺においては、通常マス目上に針を通す孔が設けられた穿刺用アダプタ(ステッパー)が穿刺の補助器具として用いられる。このとき、穿刺用アダプタは、その位置を穿刺に合わせて微調整する必要がある。このため、穿刺用アダプタの位置は、超音波プローブの位置に関連するものの、超音波プローブの位置とは独立に把握する必要がある。
そこで、第3の実施形態では、さらに穿刺用アダプタにも位置センサを設置し、超音波プローブ、及び穿刺針との位置関係を計算することで、穿刺用アダプタの位置を微調整した場合でも、常に正確な穿刺ガイド画像を表示することができようにする場合について説明する。
第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bを図12のブロック図を参照して説明する。
図12に示されるように、超音波診断装置1Bは、装置本体10B、超音波プローブ70、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60に加えて位置センサ82及び位置センサ83を備える。装置本体10Bは、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10Aは、位置センサシステム30、表示機器50、入力装置60、位置センサ82、及び位置センサ83と接続される。第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bにおいても、穿刺術において利用される場合を想定し、超音波プローブ70とともに穿刺針80が用いられる。
超音波プローブ70には、穿刺用アダプタ81Bが設けられる。穿刺用アダプタ81Bは、超音波プローブ70とは独立にその位置を変更することが可能である。
図13は、第3の実施形態に係る穿刺用アダプタ81Bの一例を示す図である。図13に示されるように、穿刺用アダプタ81Bには、複数の穿刺孔811が配置されている。操作者は、穿刺針80を操作して穿刺用アダプタ81B上の所望の穿刺孔に穿刺針80を挿入する。図13に示されるように、穿刺用アダプタ81Bは、例えば複数の穿刺孔811を有する板を2枚離間させて取り付けた構造を有する。穿刺針80は、2枚の板に共通の穿刺孔811を通過することで、穿刺針80の挿入時における角度が固定され、例えば生体Pの体軸方向に沿って穿刺針80を刺入することが可能になる。また、穿刺用アダプタ81は、生体Pと接触することを想定し、生体適合性材料で構成されることが望ましい。
なお、穿刺用アダプタ81Bの形状、穿刺孔811の数、穿刺孔811のピッチ、及び超音波プローブ70の撮像位置に対する各穿刺孔811の位置関係は、穿刺用アダプタ81Bの種別によって異なる。穿刺用アダプタ81Bの形状、穿刺孔811の数、及び穿刺孔811のピッチ等に関する情報は、穿刺用アダプタ81Bの種別を示す情報、及び穿刺用アダプタ81Bの型番等と対応付けて超音波診断装置1Bにおける内部記憶回路17に記憶されている。
穿刺用アダプタ81Bには、位置センサ83が装着される。位置センサ83は、超音波プローブ70に設置される位置センサ31及び穿刺針80に装着される位置センサ82とは別の位置センサである。位置センサ83は、穿刺用アダプタ81Bの少なくとも所定の基準位置を計測することで、穿刺用アダプタ81Bの位置情報が得られる。位置センサ83は、穿刺用アダプタ81Bの位置を計測する一般的なセンサであればよいので、ここでの詳細な説明は省略する。
図14は、直腸に第3の実施形態に係る超音波プローブ70を挿入し、経会陰穿刺を行う様子の一例を示す断面模式図である。図14に示されるように、穿刺用アダプタ81Bは、穿刺アダプタ支持機構91により上下方向及び生体Pの体軸方向に移動可能に支持されている。オペレータは穿刺用アダプタ81Bの複数の穿刺孔811のうち、所望の穿刺孔811を選択して穿刺対象部位に穿刺針80を刺入することができる。また、超音波プローブ70は、超音波プローブ支持機構92により生体Pの体軸方向に移動可能に支持されている。
経会陰穿刺が行われる場合、図14に示されるように、超音波プローブ70は、例えば、生体Pの直腸H1に挿入される。また、穿刺針80は、例えば、会陰を経由して生体Pの前立腺H2に刺入される。
そして、図14に示されるように、第1の圧電振動子群701から前立腺H2の関心領域に向けて超音波が照射されると、前立腺H2の関心領域における反射波信号が取得される。これにより、前立腺H2の関心領域の映像化が可能となる。また、第2の圧電振動子群702から穿刺針80に向けて超音波が照射されると、穿刺針80及び生体Pの周辺組織における反射波信号が取得される。これにより、穿刺針80の映像化が可能となる。
図12に示される装置本体10Bは、超音波プローブ70が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Bは、図12に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21及び制御回路22Bを含む。
制御回路22Bは、例えば、超音波診断装置1Bの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Bは、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Bは、位置情報取得機能221B、穿刺情報生成機能222B、位置合わせ機能223B、断面設定機能225B、画像データ生成機能227B、表示制御機能229B、走査制御機能231、及び基本制御機能233を有する。
位置情報取得機能221Bは、超音波プローブ70に関する位置情報及び穿刺針80に関する位置情報に加え、穿刺用アダプタ81に関する情報を取得する機能である。位置情報取得機能221Bが実行されると、制御回路22Bは、通信インタフェース回路21を介して、位置センサシステム30から超音波プローブ70に関する位置情報と、位置センサ82から穿刺針80に関する位置情報と、位置センサ83から穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とを取得する。
穿刺情報生成機能222Bは、超音波プローブ70のスキャン領域に対する穿刺針の位置を特定可能な穿刺情報を生成する機能である。穿刺情報生成機能222が実行されると、制御回路22Bは、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ70に関する位置情報と、穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する。生成された穿刺情報は、穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報が考慮されているため、穿刺用アダプタ81Bの位置を微調整した場合でも、常に正確な穿刺針80の先端部分の位置及び穿刺方向を表す。
断面設定機能225Bは、穿刺用アダプタ81Bの空間位置に基づいて、予め取得された3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定する機能である。断面設定機能225Bが実行されると、制御回路22Bは、例えば、穿刺用アダプタ81Bの空間位置、超音波プローブ70の空間位置、及び穿刺情報生成機能222Bにより生成された穿刺情報に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた過去画像データを用いて、抽出する断面の空間位置を算出する。具体的には、制御回路22Bは、例えば第2の圧電振動子群702を用いて超音波走査される走査面に相当する断面であって、かつ穿刺用アダプタ81Bの空間位置が加味された穿刺情報により特定される穿刺針80を含む断面の空間位置を算出する。制御回路22Bは、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する。
画像データ生成機能227Bは、画像データ生成機能227により生成される断面画像データに加えて、穿刺針80に関する画像データ、及び穿刺孔811に関する画像データを生成する機能である。画像データ生成機能227Bが実行されると、制御回路22Aは、穿刺情報生成機能222Bにより生成された穿刺情報に基づいて、生成した断面画像データに対応する穿刺針80に関する画像データを生成する。また、制御回路22Aは、穿刺用アダプタ81Bの空間位置に基づいて、断面設定機能225Bにより設定された断面に対応する穿刺孔811に関する画像データを生成する。穿刺孔811に関する画像データは、穿刺用アダプタ81Bに配置されている複数の穿刺孔811を表す画像データであり、例えば、穿刺用アダプタ81Bに配置されている全ての穿刺孔811に穿刺針80を挿入した場合に、それぞれの挿入方向への延長線と所定の断面が交差する点の位置座標を含む。
また、制御回路22Bは、穿刺情報生成機能222Bにより生成された穿刺情報に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた超音波画像データに対応する穿刺針80に関する画像データを生成する。また、制御回路22Bは、穿刺用アダプタ81Bの空間位置に基づいて、位置合わせ機能223により位置合わせされた超音波画像データに対応する穿刺孔811に関する画像データを生成する。
表示制御機能229Bは、表示制御機能229Aにより表示される画像に加えて、穿刺孔811に関する画像データに基づく穿刺孔画像を超音波画像及び断面画像にそれぞれ重畳表示する。表示制御機能229Bが実行されると、制御回路22Bは、表示処理回路16を制御し、例えば穿刺針を含むような断面が選択された超音波画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、穿刺針画像データに基づく穿刺針画像、及び穿刺孔811に関する画像データに基づく穿刺孔画像を重ねて表示機器50に表示する。さらに、制御回路22Bは、表示処理回路16を制御し、例えば画像データ生成機能227Bにより生成された断面画像データに基づく断面画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、穿刺針画像データに基づく穿刺針画像、及び穿刺孔811に関する画像データに基づく穿刺孔画像を重ねて表示機器50に表示する。
次に、第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bの動作について、図15のフローチャートを参照して説明する。図15は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bが穿刺針80の位置に応じて走査面を変更しながら走査する際の制御回路22Bの動作を示すフローチャートである。
図15に示されるステップSC1は、図4に示されるステップSA1と同様である。
次に、制御回路22Bは、位置情報取得機能221Bを実行し、通信インタフェース回路21を介して、位置検出装置32から超音波プローブ70の位置情報と、位置センサ82から穿刺針80に関する位置情報と、位置センサ83から穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とを取得する(ステップSC2)。
次に、制御回路22Bは、穿刺情報生成機能222Bを実行し、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ70に関する位置情報と、穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する(ステップSC3)。生成された穿刺情報には、穿刺針80の3次元座標情報に加えて、穿刺針80と、超音波プローブ70及び穿刺用アダプタ81Bとの相対的な位置関係を示す情報が含まれる。
図15に示されるステップSC4は、図4に示されるステップSA3と同様である。
次に、制御回路22Bは、断面設定機能225Bを実行し、駆動されていない第2の圧電振動子群702を用いて超音波走査される走査面に相当する断面であって、かつ、ステップSC3において生成された穿刺情報により特定される穿刺針80を含む断面の空間位置を算出する。制御回路22Bは、算出した断面の空間位置に基づいて、過去画像データに対し、観察対象となる断面を設定する(ステップSC5)。
次に、制御回路22Bは、画像データ生成機能227Bを実行し、ステップSC5において設定された断面に対応する断面画像データを、ステップSC4において位置合わせされた過去画像データから生成する。また、制御回路22Bは、生成された穿刺情報に基づいて、穿刺針80に関する画像データである穿刺ガイド画像データ、及び穿刺針画像データを生成する。また、制御回路22Bは、断面設定機能225Bにより設定された断面の空間位置及び穿刺用アダプタ81Bの空間位置に基づいて、穿刺用アダプタ81Bに配置されている複数の穿刺孔に係る穿刺孔811に関する画像データを生成する(ステップSC6)。
次に、制御回路22Bは、表示制御機能229Bを実行し、表示処理回路16を制御して、例えば穿刺針を含むような断面が選択された超音波画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、穿刺針画像データに基づく穿刺針画像、及び穿刺孔811に関する画像データに基づく穿刺孔画像を重ねて表示機器50に表示する。さらに、制御回路22Bは、表示処理回路16を制御し、例えば画像データ生成機能227Bにより生成された断面画像データに基づく断面画像に対し、対応する穿刺ガイド画像データに基づく穿刺ガイド画像、穿刺針画像データに基づく穿刺針画像、及び穿刺孔811に関する画像データに基づく穿刺孔画像を重ねて表示機器50に表示する(ステップSC7)。
最後に、制御回路22Bは、例えば入力インタフェース回路20を介して超音波走査を終了する旨の指示が入力されているか否か判定する(ステップSC8)。制御回路22Bは、終了する旨の指示が入力されていると判定した場合(ステップSC8のYes)、当該一連の処理を終了する。制御回路22Bは、終了する旨の指示が入力されていないと判定した場合(ステップSC8のNo)、ステップSC2からステップSC8までの処理を再び実行する。
第3の実施形態によれば、制御回路22Bは、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ70に関する位置情報と、穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する。これにより、穿刺用アダプタ81Bの位置を超音波プローブ70と独立して微調整した場合でも、穿刺ガイド画像を正確な位置に表示することが可能となる。
[第4の実施形態]
第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態では、直腸に挿入した超音波プローブが、超音波送受信面を構成する複数の圧電振動子群を有する場合に限定して説明した。第4の実施形態では、例えば経直腸穿刺を行うような場合において、超音波プローブが有する圧電振動子群の数にかかわらず、穿刺針の位置に基づいて、超音波プローブの走査面の空間位置を制御可能な場合について説明する。
第4の実施形態に係る超音波診断装置1Cを図16のブロック図を参照して説明する。
図16に示されるように、超音波診断装置1Cは、装置本体10C、超音波プローブ71、位置センサシステム30、表示機器50、入力装置60、及び位置センサ82を備える。装置本体10Cは、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10Cは、位置センサシステム30、表示機器50、入力装置60、及び位置センサ82と接続される。第4の実施形態に係る超音波診断装置1Cにおいても、第1の実施形態と同様に、穿刺術において利用される場合を想定し、超音波プローブ71とともに穿刺針80が用いられる。
第4の実施形態に係る超音波プローブ71は、例えば、メカニカル4Dプローブである。メカニカル4Dプローブは、圧電振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に揺動制御可能な超音波プローブである。なお、超音波プローブ71は、複数の圧電振動子が二次元マトリックス状に配列された二次元アレイプローブ等、自動的に超音波走査面の制御が可能なものであればどのようなものであってもよい。
図17は、第4の実施形態に係る超音波プローブ71の一例を示す図である。図17に示されるように、超音波プローブ71は、圧電振動子群711を有する。圧電振動子群711は、方向D1に圧電振動子が一次元配列された構造を有する。超音波プローブ71は、圧電振動子群711を用いて、例えば、圧電振動子が一次元配列される方向D1に沿って電子コンベックス走査を行うことが可能である。また、超音波プローブ71は、圧電振動子群711を用いて、例えば、方向D2に沿って揺動走査を行うことが可能である。図17に示されるθ1は、電子コンベックス走査が可能な角度を表している。また、図17に示されるθ2は、揺動走査が可能な角度を表している。
超音波プローブ71には、穿刺用アダプタ81が設けられる。
図16に示される装置本体10Cは、超音波プローブ71が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Cは、図16に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21及び制御回路22Cを含む。
制御回路22Cは、例えば、超音波診断装置1Cの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Cは、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Cは、位置情報取得機能221A、穿刺情報生成機能222A、表示制御機能229C、判定機能230C、及び走査制御機能231Cを有する。
表示制御機能229Cは、超音波画像データに基づく超音波画像を表示する機能である。表示制御機能229Cが実行されると、制御回路22Cは、表示処理回路16を制御し、例えば不図示のRAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいてBモード画像データを生成する。制御回路22Cは、表示処理回路16を制御し、生成したBモード画像データを表示機器50に超音波画像として表示機器50に表示させる。
判定機能230Cは、超音波プローブ71における現在の走査面を変更する必要があるか否か判定する機能である。判定機能230Cが実行されると、制御回路22Cは、位置情報取得機能221Aにより取得された超音波プローブ71の位置情報と、穿刺情報生成機能222Aにより生成された穿刺情報に基づいて、超音波プローブ71における現在の走査面を変更する必要があるか否か判定する。
具体的には、超音波プローブ71の位置情報と、予め設定された走査面の角度に関する情報から現在の走査面の位置を計算する。走査面の角度に関する情報は、例えば予め設定された走査面の初期位置からの移動角度を含む。制御回路22Cは、例えば計算した走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を含まない場合、現在の走査面を変更する必要があると判定する。判定機能230Cは、判定された判定結果を走査制御機能231Cに連携する。
走査制御機能231Cは、判定機能230Cの判定結果に基づいて超音波走査を制御する機能である。走査制御機能231Cが実行されると、制御回路22Cは、判定結果が現在の走査面を変更する必要がある旨である場合、不図示の駆動機構を制御し、超音波プローブ71の圧電振動子群711を揺動させることにより、例えば少なくとも穿刺針80の先端部分を含むように走査面を変更する。不図示の駆動機構は、例えば予め設定された走査面の初期位置からの移動角度に基づいて圧電振動子群711を揺動可能なステッピングモータ(パルス電圧に同期して動作する同期電動機)である。制御回路22Cは、変更後の走査面を走査する。
次に、第4の実施形態に係る超音波診断装置1Cの動作について、図18のフローチャートを参照して説明する。図18は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1Cが超音波プローブ71を用いて取得される超音波画像を表示する際の制御回路22Cの動作の例を示すフローチャートである。以下では、図3に示されるような経直腸穿刺を、超音波プローブ70の代わりに超音波プローブ71を用いて行う場合を例に説明する。なお、現在の走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を含まないものとする。
制御回路22Cは、例えば、入力インタフェース回路20を介して、走査面を制御する走査面制御モードの開始指示が入力されると、位置情報取得機能221Aを実行し、通信インタフェース回路21を介して、位置センサシステム30から超音波プローブ70に関する位置情報と、位置センサ82から穿刺針80に関する位置情報とを取得する。(ステップSD1)。
制御回路22Cは、穿刺情報生成機能222Aを実行し、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ71に関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する(ステップSD2)。
制御回路22Cは、判定機能230Cを実行し、現在の走査面を変更する必要があるか否か判定する(ステップSD3)。具体的には、制御回路22Cは、超音波プローブ71の位置情報と、予め定められた走査面に関する設定情報とから現在の走査面の位置を計算する。制御回路22Cは、例えば計算した走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を比較する。
制御回路22Cは、例えば計算した走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を含まないため、現在の走査面を変更する必要があると判定する(ステップSD3のYes)。制御回路22Cは、走査制御機能231Cを実行し、超音波プローブ71の圧電振動子群711を揺動させることにより、例えば少なくとも穿刺針80の先端部分を含むように走査面を変更する。制御回路22Cは、変更後の走査面を走査する(ステップSD4)。
図19は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1Cが穿刺針80の位置に応じて走査面を変更する一例を説明するための図である。図19において、制御回路22Cは、不図示の駆動機構を制御し、例えば超音波プローブ71の圧電振動子群711を各度θだけ揺動させることにより、現在の走査面P1を穿刺針80を含む走査面P2へ変更し、走査面P2を走査する。これにより、変更後の走査面P2を走査することにより取得されたBモードRAWデータが不図示のRAWデータメモリに記憶される。
なお、制御回路22Cは、例えば計算した走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を含む場合、現在の走査面を変更する必要がないと判定する(ステップSD3のNo)。制御回路22Cは、走査制御機能231Cを実行し、現在の走査面を走査する(ステップSD5)。
制御回路22Cは、表示制御機能229Cを実行して表示処理回路16を制御し、不図示のRAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいてBモード画像データを生成する。制御回路22Cは、表示処理回路16を制御し、生成したBモード画像データを表示機器50に超音波画像として表示機器50に表示させる(ステップSD6)。
最後に、制御回路22Cは、例えば入力インタフェース回路20を介して走査面制御モードの終了指示が入力されているか否か判定する(ステップSD7)。制御回路22Cは、走査面制御モードの終了指示が入力されていると判定した場合(ステップSD7のYes)、当該一連の処理を終了する。制御回路22Cは、走査面制御モードの終了指示が入力されていないと判定した場合(ステップSD7のNo)、ステップSD1からステップSD7までの処理を再び実行する。
第4の実施形態によれば、制御回路22Cは、超音波プローブ71の位置情報と、予め定められた走査面に関する設定情報とから現在の走査面の位置を計算する。制御回路22Cは、計算した走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を比較し、現在の走査面を変更する必要があるか否か判定する。制御回路22Cは、現在の走査面を変更する必要があると判定した場合、少なくとも穿刺針80の先端部分を含むように走査面を変更する。これにより、穿刺針80を常にリアルタイムに表示される超音波画像上に表示することが可能となる。
したがって、第4の実施形態に係る超音波診断装置によれば、穿刺を安全、かつ、確実に行うことが可能となる。
[第5の実施形態]
第4の実施形態では、経直腸穿刺を行うような場合において、超音波プローブの走査面の空間位置を制御可能な場合について説明する。第5の実施形態では、例えば経会陰穿刺を行うような場合において、さらに穿刺用アダプタ(ステッパー)にも位置センサを設置し、超音波プローブ、及び穿刺針との位置関係を計算することで、穿刺用アダプタの位置を微調整した場合でも、常に正確な穿刺針の位置を特定し、超音波プローブの走査面の空間位置を制御可能な場合について説明する。
第5の実施形態に係る超音波診断装置1Dを図20のブロック図を参照して説明する。
図20に示されるように、超音波診断装置1Dは、装置本体10D、超音波プローブ71、位置センサシステム30、表示機器50、及び入力装置60に加えて位置センサ82及び位置センサ83を備える。装置本体10Dは、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10Dは、位置センサシステム30、表示機器50、入力装置60、位置センサ82、及び位置センサ83と接続される。第5の実施形態に係る超音波診断装置1Dにおいても、穿刺術において利用される場合を想定し、超音波プローブ71とともに穿刺針80が用いられる。
超音波プローブ71には、穿刺用アダプタ81Bが設けられる。
図20に示される装置本体10Dは、超音波プローブ71が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10Dは、図20に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21及び制御回路22Dを含む。
制御回路22Dは、例えば、超音波診断装置1Dの中枢として機能するプロセッサである。制御回路22Dは、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22Cは、位置情報取得機能221B、穿刺情報生成機能222B、表示制御機能229C、判定機能230C、及び走査制御機能231Cを有する。
次に、第5の実施形態に係る超音波診断装置1Dの動作について、図21のフローチャートを参照して説明する。図21は、第5の実施形態に係る超音波診断装置1Dが超音波プローブ71を用いて取得される超音波画像を表示する際の制御回路22Dの動作の例を示すフローチャートである。以下では、図14に示されるような経直腸穿刺を、超音波プローブ70の代わりに超音波プローブ71を用いて行う場合を例に説明する。なお、現在の走査面の位置が占める領域が穿刺情報が示す穿刺針80の位置が占める領域を含まないものとする。
制御回路22Dは、例えば、入力インタフェース回路20を介して、走査面を制御する走査面制御モードの開始指示が入力されると、位置情報取得機能221Bを実行し、通信インタフェース回路21を介して、位置センサシステム30から超音波プローブ70に関する位置情報と、位置センサ82から穿刺針80に関する位置情報と、位置センサ83から穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報を取得する(ステップSE1)。
制御回路22Dは、穿刺情報生成機能222Bを実行し、時系列に得られる穿刺針80に関する位置情報と、超音波プローブ71に関する位置情報と、穿刺用アダプタ81Bに関する位置情報とから、穿刺針80の少なくとも先端部分の位置及び穿刺方向に関する情報を含む穿刺情報を生成する(ステップSE2)。生成された穿刺情報には、穿刺針80の3次元座標情報に加えて、穿刺針80と、超音波プローブ71及び穿刺用アダプタ81Bとの相対的な位置関係を示す情報が含まれる。
ステップSE3からステップSE7については、図18に示されるステップSD3からステップSE7までと同様である。
第5の実施形態によれば、制御回路22Dは、さらに穿刺用アダプタ81Bの位置情報を加味して、現在の走査面を変更する必要があるか否か判定する。これにより、穿刺用アダプタの位置を微調整した場合でも、常に正確な穿刺針の位置を特定し、超音波プローブの走査面を変更することが可能となる。
(その他の変形例)
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1、第2、及び第3の実施形態に係る超音波診断装置は、リニア画像に相当する画像、及びコンベックス画像に相当する画像上に、穿刺ガイド画像、穿刺針画像、及び穿刺孔画像をそれぞれ重畳表示していたが、これに限定されない。例えば、超音波診断装置は、コンベックス画像に相当する画像(Live画像及びMPR画像)に係る断面に穿刺針80が到達したことを示すインジゲータを、リニア画像に相当する画像、及び/又はコンベックス画像に相当する画像上にそれぞれ重畳表示してもよい。
また、超音波診断装置は、例えば穿刺プラン時又はLive画像表示中に設定されたマーカーと穿刺針80の先端部分との位置関係を、距離、円及び数値等の形式でリニア画像に相当する画像、及び/又はコンベックス画像に相当する画像上に重畳表示してもよい。さらに、超音波診断装置は、スピーカー等を備え、設定されたマーカーと穿刺針80の先端部分との位置関係を音等で報知してもよい。
また、第1、第2及び第3の実施形態に係る超音波診断装置は、駆動されてない圧電振動子群の空間位置に基づいて、予め取得された3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定していたがこれに限定されない。例えば、超音波診断装置は、穿刺プラン時に設定された所定の腫瘍マーカーの空間位置に基づいて、予め取得された3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定してもよい。
また、第1、第2及び第3の実施形態に係る超音波診断装置は、予め取得された3次元ボリュームデータ(過去画像データ)に対し、観察対象となる断面を設定していたがこれに限定されない。例えば、超音波診断装置は、切替前に駆動されていた圧電振動子群により取得された超音波画像に係る3次元ボリュームデータに対し、観察対象となる断面を設定してもよい。具体的には、まず第2の圧電振動子群702より超音波画像に係る3次元ボリュームデータを取得し、その後駆動対象を第1の圧電振動子群701に切り替えて超音波走査を行うような場合である。
また、第4、及び第5の実施形態に係る超音波診断装置は、メカニカル4Dプローブにより圧電振動子群711を揺動させ超音波走査に係る走査面を変更していたがこれに限定されない。例えば、超音波診断装置は、二次元アレイプローブにより超音波走査に係る走査面を変更してもよい。このとき、超音波診断装置は、二次元マトリックス状に配列された圧電振動子の選択、及び各圧電振動子の遅延時間の制御により、超音波走査に係る走査面を変更する。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1、図7、図12、図16、及び図20における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。