以下の実施形態は、一般に、農業用ハウスに関する。より詳細には、入射した光を遮光するカーテンを備える農業用ハウスに関する。
以下に説明する各実施形態の農業用ハウスは、植物体を栽培する農業用ハウスを想定している。植物体の種類としては、光飽和点が高い植物体が特に適する。光飽和点が高い植物体とは、光合成速度が飽和する光強度が比較的高い植物体であり、トマト、スイカなどが挙げられる。但し、植物体の種類にとくに制限はなく、果菜類、豆類、果物、花卉、葉菜類などから選択可能である。葉菜類は、ホウレンソウ、コマツナ、レタス、キャベツ、ハクサイなどを代表とする。また、果菜類は、トマト、キュウリ、ナスなどを代表とする。
以下に説明する実施形態では、農業用ハウスの中に設けた圃場において植物体を栽培する。また、実施形態では土耕栽培を例として説明するが、防根透水シートなどを用いた隔離床栽培であっても実施形態の技術は適用可能である。
(実施形態)
図1に示すように、実施形態の農業用ハウス1は、構造材としてのフレーム11と、フレーム11に支持された被覆体12とで構成された外殻10を備える。
フレーム11は、直径が10[mm]以上50[mm]以下の金属のパイプあるいは棒(線材)により形成される。フレーム11を形成する金属には、アルミニウムまたは表面に亜鉛メッキ等の防錆処理を施した鉄が用いられる。また、フレーム11は、並んで配置された2本の支柱部111と、2本の支柱部111それぞれの一端間を連結する連結部112とを一体に備える逆U字状に形成されている。連結部112は、滑らかな弧状に形成されている例を示しているが、2本の直線それぞれの一端を付き合わせた逆V状に形成されていてもよい。
被覆体12は、透光性の部材で形成されている。被覆体12は、透光性を有した(望ましくは透明である)合成樹脂フィルムを用いている。被覆体12に用いる合成樹脂フィルムの厚み寸法は、0.1[mm]以上3[mm]以下が一般的であるが、この範囲から逸脱していてもよい。また、被覆体12に用いる合成樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素樹脂などから選択される。なお、被覆体12は、透光性を有したガラスでもよい。
複数のフレーム11は、それぞれが囲む面に交差する方向に並び、被覆体12は、複数のフレーム11が並んだ状態で複数のフレーム11に架設される。そして、農業用ハウス1の外殻10は、複数のフレーム11が並ぶことにより形成される仮想的な立体物を被覆体12が全周にわたって覆っている。
農業用ハウス1は、断面半円状の屋根100と、屋根100を支持し互いに対向する2つの側面101、102と、2つの側面101、102に直交し互いに対向する2つの妻面103、104とを一体に備える。したがって、農業用ハウス1は、2つの妻面103、104を結ぶ方向に直交する断面において逆U字状に形成されている。2つの妻面103、104を結ぶ方向の寸法は、2つの側面101、102を結ぶ方向に比べて十分に大きい寸法に設計されている。以降、2つの妻面103、104を結ぶ方向を第1方向X1(奥行方向)といい、2つの側面101、102を結ぶ方向を第2方向X2(幅方向)という。すなわち、第1方向X1と第2方向X2とは互いに直交している。また、側面101を第1側面101、側面102を第2側面102、妻面103を第1妻面103、妻面104を第2妻面104と呼ぶ。
農業用ハウス1の外殻10は、圃場40を囲む。圃場40には他の部位よりも盛り上がった複数の畝41が形成されている。畝41の長手方向は第1方向X1に沿っており、第2方向X2において、複数の畝41が形成される。複数の畝41のそれぞれには、植物体が植えられる。
そして、図1に示すように、農業用ハウス1は、外殻10の内部に遮光用のカーテン(天井カーテン)20を備える。カーテン20は、第2方向X2において、圃場40の上部を覆う全閉状態(展開状態)と、圃場40の上部を開放する全開状態(収束状態)との間で変形する。すなわち、カーテン20の全閉状態とは、外殻10内において屋根100に対向するようにカーテン20が引き出された状態である。そして、全閉状態のカーテン20は、屋根100を通過して外殻10内に入射した光を遮光する。また、カーテン20の全開状態とは、カーテン20が収束された状態であり、外殻10内において屋根100の内面が下方から見て露出している。そして、全開状態のカーテン20は、屋根100を通過して外殻10内に入射した光を遮光しない。なお、カーテン20による遮光は、カーテン20を光が透過した場合に、透過後の光量が透過前の光量より減少している減光状態を意味する。
カーテン20は、一例として、合成樹脂(例えばポリオレフィン)のフィルムあるいは網、または表面にアルミ箔を形成した合成樹脂のフィルムあるいは網であって、太陽光を減衰させる遮光機能を有する。例えばJIS L1055:2009に準拠したカーテンの遮光性試験方法を採用した場合、カーテン20自体の遮光率(代表値)は、20%以上40%以下に設定されることが好ましい。なお、この遮光率の具体的な値は、特定の値に限定されないが、遮光率が比較的低いカーテン20であってもよい。
カーテン20は、複数のプリーツ201(ひだ)が第2方向X2に並ぶ蛇腹形状に形成されている。複数のプリーツ201のそれぞれは、第1方向X1(後述の開閉方向X3,X4に交差する方向)に沿って延びている。そして、カーテン20が撓むとプリーツ201が変形し、この結果、カーテン20の遮光率が変化する。具体的に、プリーツ201の幅が短くなるようにカーテン20が圧縮された場合、プリーツ201が重なることによるカーテン20の厚みの増大、及びプリーツ201の上面における反射光の増加によって、遮光率が高くなる。また、プリーツ201の幅が長くなるようにカーテン20が広げられた場合、カーテン20の厚みの減少、及びプリーツ201の上面における反射光の減少によって、遮光率が低くなる。
カーテン20は、第1カーテン21及び第2カーテン22で構成されており、第1カーテン21と第2カーテン22とが第2方向X2に並んで配置された1層構造である。第1カーテン21及び第2カーテン22のそれぞれは、互いに独立して、全閉状態と全開状態との間で変形可能に構成されている。
第1カーテン21の固定端21a(一端)は、第1側面101の上端(または上端付近)に固定されている。そして、図2Aに示すように、全開状態の第1カーテン21は、第1側面101の上端付近に寄せられている。すなわち、全開状態の第1カーテン21は、多数のプリーツ201が折り畳まれた状態で第1側面101の上端付近に収束している。そして、第1カーテン21は、固定されていない移動端21b(他端)が屋根100の頂点の下方に向かう閉方向X31に引っ張られることで、複数のプリーツ201がそれぞれ徐々に広がりながら、屋根100の下面側を徐々に覆っていく。第1カーテン21の移動端21bが閉方向X31にさらに引っ張られると、移動端21bが屋根100の頂点の下方に達して、図2Bに示すように、屋根100の半分(第1側面101側)を下方から覆う全閉状態となる。また、屋根100の頂点の下方から第1側面101の上端側に向かう開方向X32の力が移動端21bに加わることで、プリーツ201が徐々に折り畳まれながら移動端21bが開方向X32へ移動して、屋根100の下面側が徐々に露出する。そして、移動端21bが第1側面101の上端付近に達すると、第1カーテン21は、第1側面101の上端付近に寄せられた状態で収束し、全開状態になる(図2A参照)。なお、閉方向X31と開方向X32とは互いに逆向きであり、閉方向X31と開方向X32との両方を併せて開閉方向X3と呼ぶ。
第2カーテン22の固定端22a(一端)は、第2側面102の上端(または上端付近)に固定されている。そして、図2Aに示すように、全開状態の第2カーテン22は、第2側面102の上端付近に寄せられている。すなわち、全開状態の第2カーテン22は、多数のプリーツ201が折り畳まれた状態で第2側面102の上端付近に収束している。そして、第2カーテン22は、固定されていない移動端22b(他端)が屋根100の頂点の下方に向かう閉方向X41に引っ張られることで、複数のプリーツ201がそれぞれ徐々に広がりながら、屋根100の下面側を徐々に覆っていく。第2カーテン22の移動端22bが閉方向X41にさらに引っ張られると、移動端22bが屋根100の頂点の下方に達して、図2Bに示すように、屋根100の半分(第2側面102側)を下方から覆う全閉状態となる。また、屋根100の頂点の下方から第2側面102の上端側に向かう開方向X42の力が移動端22bに加わることで、プリーツ201が徐々に折り畳まれながら移動端22bが開方向X42へ移動して、屋根100の下面側が徐々に露出する。そして、移動端22bが第2側面102の上端付近に達すると、第2カーテン22は、第2側面102の上端付近に寄せられた状態で収束し、全開状態になる(図2A参照)。なお、閉方向X41と開方向X42とは互いに逆向きであり、閉方向X41と開方向X42との両方を併せて開閉方向X4と呼ぶ。
すなわち、第1カーテン21及び第2カーテン22は、移動端21b,22bが第1側面101の側、第2側面102の側にそれぞれ寄せられることで全開状態になる。また、第1カーテン21及び第2カーテン22は、移動端21b,22bが屋根100の頂点の下方にまでそれぞれ引っ張られることで全閉状態になる。
ここで、第1カーテン21の全開状態と全閉状態の間で移動端21bが開閉方向X3に沿って移動する移動距離が、移動端21bが開閉方向X3に沿って移動できる最大移動距離になる。そして、第1カーテン21の開閉方向X3における全長(複数のプリーツ201のそれぞれを最大に広げた状態)は、移動端21bの最大移動距離より長くなる。したがって、全閉状態の第1カーテン21は、全てのプリーツ201が最大に広がった状態にならない。
また、第2カーテン22の全開状態と全閉状態の間で移動端22bが開閉方向X4に沿って移動する移動距離が、移動端22bが開閉方向X4に沿って移動できる最大移動距離になる。そして、第2カーテン22の開閉方向X4における全長(複数のプリーツ201のそれぞれを最大に広げた状態)は、移動端22bの最大移動距離より長くなる。したがって、全閉状態の第2カーテン22は、全てのプリーツ201がそれぞれ最大に広がった状態にならない。
そして、図3に示すように、第1カーテン21は、移動端21bが開閉方向X3に移動自在となるように、支持部材23によって支持されている。支持部材23は、複数のローラユニット231と、複数のガイドロープ232とを備える。第1方向X1に対向する第1カーテン21の一対の端縁、及び第1方向X1における第1カーテン21の中央には、プリーツ201の谷部毎にローラユニット231がそれぞれ取り付けられている。ローラユニット231は、ローラ231aと、連結部231bとを有する。ローラ231aは、第1方向X1に沿った回転軸を中心にして回転する。連結部231bは、第1カーテン21とローラ231aとを連結する。連結部231bの上端は、ローラ231aの回転軸に連結され、連結部231bの下端は、第1カーテン21のプリーツ201の谷部(図3で上に凸になっている箇所)に連結されている。
ガイドロープ232は、第1方向X1の所定間隔を空けた3か所において、開閉方向X3に沿って架設されている。第1カーテン21の固定端21aはガイドロープ232に固定されている。ガイドロープ232の上側にはローラ231aが載置されている。そして、ローラ231aは、ガイドロープ232に沿って回転しながら移動することで、開閉方向X3に沿って移動することができる。すなわち、ガイドロープ232は、ローラ231aのガイド部材として機能する。
また、図4に示すように、第2カーテン22は、移動端22bが開閉方向X4に移動自在となるように、支持部材24によって支持されている。支持部材24は、複数のローラユニット241と、複数のガイドロープ242とを備える。第1方向X1に対向する第2カーテン22の一対の端縁、及び第1方向X1における第2カーテン22の中央には、プリーツ201の谷部毎にローラユニット241がそれぞれ取り付けられている。ローラユニット241は、ローラ241aと、連結部241bとを有する。ローラ241aは、第1方向X1に沿った回転軸を中心にして回転する。連結部241bは、第2カーテン22とローラ241aとを連結する。連結部241bの上端は、ローラ241aの回転軸に連結され、連結部241bの下端は、第2カーテン22に連結されている。
ガイドロープ242は、第1方向X1の所定間隔を空けた3か所において、開閉方向X4に沿って架設されている。第2カーテン22の固定端22aはガイドロープ242に固定されている。ガイドロープ242の上側にはローラ241aが載置されている。そして、ローラ241aは、ガイドロープ242に沿って回転しながら移動することで、開閉方向X4に沿って移動することができる。すなわち、ガイドロープ242は、ローラ241aのガイド部材として機能する。
そして、図3に示すように、第1カーテン21は、開閉機構31によって開閉され、第2カーテン22は、図4に示すように、開閉機構32によって開閉される。開閉機構31,32は、モータ30aと、駆動ロープ30bと、滑車30cとをそれぞれ備える。
モータ30aは、商用電源から供給される電力によって駆動され、モータの回転軸に回転力を発生させる。開閉機構31のモータ30aは、第1側面101の上端付近に配置され、開閉機構32のモータ30aは、第2側面102の上端付近に配置されている。開閉機構31,32の各滑車30cは、屋根100の頂点の下方に配置されている。
開閉機構31の駆動ロープ30bは、その一端側がモータ30aに連結し、滑車30cを経由して、その他端側が第1カーテン21の移動端21bに連結している。駆動ロープ30bの一端側は、モータ30aが巻き取り方向に回転することによって巻き取られ、駆動ロープ30bは、閉方向X31の力を第1カーテン21の移動端21bに伝達する。この結果、第1カーテン21の移動端21bが閉方向X31へ移動する。また、駆動ロープ30bの一端側は、モータ30aが引き出し方向に回転することによって引き出され、第1カーテン21の移動端21bは、第1カーテン21の自重によって開方向X32へ移動する。
開閉機構32の駆動ロープ30bは、その一端側がモータ30aに連結し、滑車30cを経由して、その他端側が第2カーテン22の移動端22bに連結している。駆動ロープ30bの一端側は、モータ30aが巻き取り方向に回転することによって巻き取られ、駆動ロープ30bは、閉方向X41の力を第2カーテン22の移動端22bに伝達する。この結果、第2カーテン22の移動端22bが閉方向X41へ移動する。また、駆動ロープ30bの一端側は、モータ30aが引き出し方向に回転することによって引き出され、第2カーテン22の移動端22bは、第2カーテン22の自重によって開方向X42へ移動する。
第1カーテン21が全閉状態になった場合、第1カーテン21は、第1側面101の上端から屋根100の頂点に向かって斜め上方に延びる。また、第2カーテン22が全閉状態になった場合、第2カーテン22は、第2側面102の上端から屋根100の頂点に向かって斜め上方に延びる。そして、第1カーテン21の移動端21bと第2カーテン22の移動端22bとは互いに近づいており、カーテン20は、第1方向X1に沿って頂点が直線状に延びる山形形状に形成される(図1参照)。
農業用ハウス1は、コントローラ50、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53をさらに備えている。
本実施形態では、外殻10内の環境を表す環境情報として、温度、湿度、照度を用いる。温度センサ51は、外殻10内の温度を測定し、測定結果をコントローラ50へ出力する。湿度センサ52は、外殻10内の湿度を測定し、測定結果をコントローラ50へ出力する。照度センサ53は、外殻10内の照度を測定し、測定結果をコントローラ50へ出力する。農業用ハウス1は、複数の温度センサ51、複数の湿度センサ52、複数の照度センサ53をそれぞれ備えていてもよく、この場合、植物体の生育に重要な複数箇所の温度、湿度、照度が測定される。また、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53は、外殻10内だけでなく、外殻10内及び外殻10外の両方に設置されてもよい。さらに、環境情報は、温度、湿度、照度以外の情報であってもよい。
コントローラ50は、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53の各測定結果に基づいてモータ30aの回転を制御することで、第1カーテン21及び第2カーテン22の開閉制御(開制御及び閉制御)を行う。
例えば、トマトのように光飽和点が高い植物体である場合、植物体に太陽光を多く照射して、成長を促進させることが好ましい。しかしながら、太陽光の照射によって外殻10内の温度が過度に高くなる場合には、屋根をカーテンで覆うことで外殻10内の温度を調整する必要がある。特に、低緯度地域では太陽高度が高くなり、外殻10内の温度が過度に高くなりやすいので、遮光率が高いカーテンで屋根を覆って、外殻10内に照射される日射量を減らす必要がある。
しかし、農業用ハウスの屋根をカーテンで覆って温度を調整する場合でも、光飽和点が高い植物体に対しては、太陽光をできるだけ多く照射することが好ましい。
このような課題に対して、従来の農業用ハウスは、2枚のカーテンを上下方向に重ねた2層構造にしている。この結果、外殻内に照射される日射量が調整されて、外殻内に照射される日射量の確保と外殻内の温度調整とを両立させることが可能になった。しかし、従来の農業用ハウスは、2枚のカーテンを上下方向に重ねた2層構造であった。2層構造のカーテンは、例えばコストアップの要因になったり、外殻10の上下方向の寸法が大きくなる要因になっていた。
そこで、本実施形態の農業用ハウス1は、遮光調整機構61,62を備えており、一層構造の第1カーテン21に遮光調整機構61を組み合わせ、一層構造の第2カーテン22に遮光調整機構62を組み合わせている。遮光調整機構61は、第1カーテン21による遮光率を調整し、遮光調整機構62は、第2カーテン22による遮光率を調整する。
具体的に、遮光調整機構61,62は、係止バー60a(第1係止部)と、ストッパ60b(第2係止部)とをそれぞれ備える。
係止バー60aは、樹脂、木、金属などのいずれか1つ以上によって棒体形状に形成されており、長手方向が第1方向X1に沿うように、第1カーテン21及び第2カーテン22の各下面に取り付けられている。本実施形態では、遮光調整機構61の係止バー60aは、開閉方向X3に沿った第1カーテン21の幅の中央付近に取り付けられ、遮光調整機構62の係止バー60aは、開閉方向X4に沿った第2カーテン22の幅の中央に取り付けられている。例えば、第1カーテン21及び第2カーテン22の各下面に筒体を設けて、係止バー60aがこの筒体に挿通することで、係止バー60aが第1カーテン21及び第2カーテン22に取り付けられる。第1カーテン21に取り付けられた係止バー60aの両端は、第1カーテン21の第1方向X1における両端縁から突出している。また、第2カーテン22に取り付けられた係止バー60aの両端は、第2カーテン22の第1方向X1における両端縁から突出している。
ストッパ60bは、外殻10の第1方向X1の両端のそれぞれにおいて着脱自在に取り付けられている。ストッパ60bは、例えば外殻10の第1方向X1の両端にそれぞれ架設されたガイドロープ232,及び外殻10の第1方向X1の両端にそれぞれ架設されたガイドロープ242にそれぞれ取り付けられている。ガイドロープ232のストッパ60bは、ガイドロープ232の任意の位置でガイドロープ232に固定されるように構成されている。ガイドロープ242のストッパ60bは、ガイドロープ242の任意の位置でガイドロープ242に固定されるように構成されている。すなわち、作業者は、ガイドロープ232,242に対するストッパ60bの固定位置を変えることができ、季節、時刻、天気などの1つ以上に応じてストッパ60bの固定位置、及びストッパ60bの有無を切り換えることができる。なお、以下の説明では、ストッパ60bがガイドロープ232に固定されている状態を、遮光調整機構61の規制状態と呼び、ストッパ60bがガイドロープ242に固定されている状態を、遮光調整機構62の規制状態と呼ぶ。また、ストッパ60bがガイドロープ232から取り外されている状態を、遮光調整機構61の解除状態と呼び、ストッパ60bがガイドロープ242から取り外されている状態を、遮光調整機構62の解除状態と呼ぶ。
次に、カーテン20の開閉動作として、第1カーテン21の開閉動作について説明する。
まず、第1カーテン21が全開状態から全閉状態に移行する場合、移動端21bが閉方向X31に移動を開始する。そして、移動端21bが閉方向X31に移動するにつれて、遮光調整機構61の係止バー60aも閉方向X31に移動し、遮光調整機構61のストッパ60bに徐々に近付く。そして、閉方向X31に移動している係止バー60aの両端部がストッパ60bに係止した後、係止バー60aがストッパ60bによって停止した状態で、移動端21bが閉方向X31にさらに移動して、第1カーテン21は全閉状態になる。
この結果、図3及び図5に示すように、全閉状態の第1カーテン21は、係止バー60aの係止箇所(所定部位)より固定端21a側の領域A1と係止バー60aの係止箇所(所定部位)より移動端21b側の領域A2とが形成される。領域A1の遮光率は、領域A1の各プリーツ201の広がりの程度によって決まる。また、領域A2の遮光率は、領域A2の各プリーツ201の広がりの程度によって決まる。言い換えると、領域A1の遮光率は、領域A1のプリーツ201の粗密度によって決まり、領域A2の遮光率は、領域A2のプリーツ201の粗密度によって決まる。
例えば、ストッパ60bが固定端21aに近いほど、領域A1の各プリーツ201の広がりの程度が小さく(粗密度が密になり)、領域A2の各プリーツ201の広がりの程度が大きくなる(粗密度が疎になる)。したがって、ストッパ60bが固定端21aに近いほど、領域A1の遮光率が高くなり、領域A2の遮光率が低くなる。
逆に、ストッパ60bが固定端21aから遠いほど、領域A1の各プリーツ201の広がりの程度が大きく(粗密度が疎になり)、領域A2の各プリーツ201の広がりの程度が小さくなる(粗密度が密になる)。したがって、ストッパ60bが固定端21aから遠いほど、領域A1の遮光率が低くなり、領域A2の遮光率が高くなる。
したがって、遮光調整機構61のストッパ60bの固定位置を調整することによって、領域A1,A2それぞれのプリーツ201の粗密度(遮光率)を所望の状態に調整することができる。
また、遮光調整機構61が解除状態になることで、図2Bに示すように全閉状態の第1カーテン21の各プリーツ201の広がりはほぼ同じになる(粗密度がほぼ均一になる)。なお、遮光調整機構61が解除状態である場合に全閉状態の第1カーテン21の各プリーツ201の広がりをほぼ同じにするために、第1カーテン21の材質、プリーツ201の弾性力、ガイドロープ232の傾斜角度などが適切に設定されている。すなわち、遮光調整機構61が解除状態である場合、移動端21bが閉方向X31に向かって引っ張られると、プリーツ201が凸形状をある程度保ったまま閉方向X31に移動する。
この結果、農業用ハウス1は、遮光調整機構61のストッパ60bの固定位置、ストッパ60bの有無(規制状態、解除状態)によって、全閉状態の第1カーテン21の粗密度の分布を、互いに異なる複数の状態からいずれかの状態に選択的に設定することができる。すなわち、農業用ハウス1は、遮光調整機構61のストッパ60bの固定位置、ストッパ60bの有無(規制状態、解除状態)によって、全閉状態の第1カーテン21による遮光率を切り替えることができる。
さらに、上記同様に、農業用ハウス1は、遮光調整機構62のストッパ60bの固定位置、ストッパ60bの有無(規制状態、解除状態)によって、全閉状態の第2カーテン22の粗密度の分布を、互いに異なる複数の状態からいずれかの状態に選択的に設定することができる。すなわち、農業用ハウス1は、遮光調整機構62のストッパ60bの固定位置、ストッパ60bの有無(規制状態、解除状態)によって、全閉状態の第2カーテン22による遮光率を切り替えることができる。なお、第2カーテン22の開閉動作は、第1カーテン21の開閉動作において、第1カーテン21を第2カーテン22、開閉機構31を開閉機構32、遮光調整機構61を遮光調整機構62、開閉方向X3を開閉方向X4、閉方向X31を閉方向X41、開方向X32を開方向X42に置き換えることで説明されるので、省略する。
なお、遮光調整機構62が解除状態である場合に全閉状態の第2カーテン22の各プリーツ201の広がりをほぼ同じにするために、第2カーテン22の材質、プリーツ201の弾性力、ガイドロープ242の傾斜角度などが適切に設定されている。すなわち、遮光調整機構62が解除状態である場合、移動端22bが閉方向X41に向かって引っ張られると、プリーツ201が凸形状をある程度保ったまま閉方向X41に移動する。
例えば、図2Aに示すように、カーテン20が全開状態である場合、カーテン20は外殻10内へ照射される太陽光を殆ど遮らないので、外殻10内に照射される日射量が多くなる。
また、遮光調整機構61,62が規制状態である場合、図5に示すように、遮光調整機構61,62によって全閉状態のカーテン20に領域A1,A2が形成される。領域A1ではプリーツ201が密に折り畳まれており(粗密度が密になり)、領域A1の遮光率は高くなる。領域A2ではプリーツ201が広がって伸ばされており(粗密度が疎になり)、領域A2の遮光率は低くなる。この結果、図5のカーテン20による遮光率は20[%]−40[%]になる。したがって、外殻10内へ照射される太陽光はカーテン20によって少し減光され、外殻10内に照射される日射量が中程度になるように調整される。例えば春、秋、または夏の朝、夕方などのように、太陽光による地表面の照度が10万[Lx]未満である場合に、カーテン20は図5に示す状態に調整される。
また、遮光調整機構61,62が解除状態である場合、図2Bに示すように、全閉状態のカーテン20のほぼ全ての領域に亘ってプリーツ201は少し広がった状態で折り畳まれている。この結果、図2Bのカーテン20による遮光率は50[%]−70[%]になる。したがって、外殻10内へ照射される太陽光はカーテン20によって半分以下に減光され、外殻10内に照射される日射量が少なくなるように調整される。例えば、夏の昼間などのように、太陽光による地表面の照度が非常に高い場合に、図2Bに示すカーテン20の状態に調整される。
上述のように、農業用ハウス1は、外殻10内に照射される日射量を1層構造のカーテン20によって所望の状態に設定することができる。
なお、農業用ハウス1は、第1カーテン21及び第2カーテン22のそれぞれに対して、係止バー60aの取り付けと取り外しとを行うことができるように構成されてもよい。この場合、係止バー60aを取り付け状態または取り外し状態に切り換えることで、遮光調整機構61,62を規制状態または解除状態に切り換えることができ、全閉状態のカーテン20による遮光率を調整することができる。
また、ストッパ60bの固定位置が1箇所に予め決まっているのであれば、ガイドロープ232,242に沿ってストッパ60bが移動可能に構成される必要はなく、ガイドロープ232,242のそれぞれの1箇所にストッパ60bが予め固定されていてもよい。この場合、係止バー60aの取り付け状態と取り外し状態とを切り換えることで、遮光調整機構61,62を規制状態または解除状態に切り換えることができ、全閉状態のカーテン20による遮光率を2段階に切り換えることができる。
さらに、図1に示すように、農業用ハウス1は、外殻10に窓25を備える。窓25は、外殻10の内部と外部との間で通気させる開位置と、外殻10の内部と外部とを遮断して通気させない閉位置との間で移動可能である。窓25は、第1側面101、第2側面102それぞれに設けられている。窓25は、開度が調節されることにより、外殻10の内部と外部との間で通気する際の空気の通気抵抗を調節する。第1側面101、第2側面102それぞれの窓25は、駆動装置により独立して駆動される。駆動装置は、モータのような動力源を備え、窓25にそれぞれ対応した駆動機構を備えている。
農業用ハウス1の第1妻面103の上側には、第1吸気用ファン71a及び第2吸気用ファン71bが配置されている。第1吸気用ファン71aは、第2方向X2における第1妻面103の中央付近に配置されている。第2吸気用ファン71bは、第1吸気用ファン71aの下側に配置されている。第2吸気用ファン71bの下方には、人が出入りするための入口が設けられる。なお、第1吸気用ファン71a及び第2吸気用ファン71bを区別しない場合、吸気用ファン71と呼ぶ。また、第1吸気用ファン71aの数、及び第2吸気用ファン71bの数は、それぞれ2つ以上であってもよい。
また、農業用ハウス1の第2妻面104の上側には、第1排気用ファン72a及び第2排気用ファン72bが配置されている。第1排気用ファン72aは、第2方向X2における第2妻面104の中央付近に配置されている。第2排気用ファン72bは、第1排気用ファン72aの下側に配置されている。なお、第1排気用ファン72a及び第2排気用ファン72bを区別しない場合、排気用ファン72と呼ぶ。また、第1排気用ファン72aの数、及び第2排気用ファン72bの数は、それぞれ2つ以上であってもよい。
そして、外殻10の内部空間13は、閉状態のカーテン20によって、上部空間13aおよび下部空間13bに分割される(図1参照)。上部空間13aは、カーテン20より上方の空間であり、下部空間13bは、カーテン20より下方の空間である。植物体は、下部空間13bに存在する。
そして、第1吸気用ファン71aは、上部空間13aに面するように、第1妻面103に設けられている。第2吸気用ファン71bは、下部空間13bの上端付近に面するように、第1妻面103に設けられている。すなわち、第1吸気用ファン71aは、カーテン20より上方に配置されており、上部空間13aに外気を送り込む。また、第2吸気用ファン71bは、カーテン20より下方に配置されており、下部空間13bに外気を送り込む。
また、第1排気用ファン72aは、上部空間13aに面するように、第2妻面104に設けられている。第2排気用ファン72bは、下部空間13bの上端付近に面するように、第2妻面104に設けられている。すなわち、第1排気用ファン72aは、カーテン20より上方に配置されており、上部空間13a内の空気を外部へ排出する。また、第2排気用ファン72bは、カーテン20より下方に配置されており、下部空間13b内の空気を外部へ排出する。
吸気用ファン71及び排気用ファン72は、機械換気によって農業用ハウス1の換気を行い、農業用ハウス1の内部環境(内部温度、内部湿度など)の調節に寄与する。
農業用ハウス1では、カーテン20(モータ30a)だけでなく、窓25、吸気用ファン71、及び排気用ファン72などの設備の動作もコントローラ50によって制御される。すなわち、コントローラ50は、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53の各測定結果に基づいて、外殻10内の温度、湿度、照度が植物体の育成に適した値となるように、カーテン20、窓25、吸気用ファン71、及び排気用ファン72をそれぞれ制御する。この結果、農業用ハウス1内において植物体を育成する環境を整えることが可能になる。
次に、農業用ハウス1の第1変形例について説明する。第1変形例の農業用ハウス1では、遮光調整機構の構成が上述の遮光調整機構61,62と異なる。
図6A、図6B、図7A、図7Bは、第1変形例の遮光調整機構61Aを示す。遮光調整機構61Aは、外殻10の第1方向X1の両端にそれぞれ設けられている。遮光調整機構61Aは、基部60cと、バー60d(規制部材)とを備える。基部60cは、外殻10の第1方向X1の両端のフレーム11にそれぞれ取り付けられ、バー60dの一端は、基部60cに取り付けられている。基部60cは、バー60dの一端側を回転中心として、バー60dを回転可能に保持している。そして、バー60dが回転することで、遮光調整機構61Aは、バー60dの軸方向が上下方向に沿っている解除状態(図6A,図7A参照)と、バー60dが外殻10内に回転してバー60dの軸方向が第1方向X1に沿っている規制状態(図6B,図7B参照)とを切り換えることが可能である。バー60dは、開閉方向X3に交差する方向に延設された棒体であり、金属または樹脂によって形成されている。遮光調整機構61Aは、バー60dの駆動のために、例えばモータ、電磁ソレノイド、またはエアシリンダを備えている。そして、コントローラ50が、バー60dの回転動作を制御する。
遮光調整機構61Aが解除状態である場合、図6Aに示すように、全閉状態の第1カーテン21の各プリーツ201の広がりは均一になる(粗密度が均一になる)。
一方、遮光調整機構61Aが規制状態である場合、図6Bに示すように、バー60dは第1カーテン21の所定部位に当たり、第1カーテン21におけるバー60dより固定端21a側の領域が閉方向X31へ移動することを規制する。この結果、全閉状態の第1カーテン21は、バー60dとの当接箇所(所定部位)より固定端21a側の領域A1とバー60dとの当接箇所(所定部位)より移動端21b側の領域A2とが形成される。領域A1ではプリーツ201が密に折り畳まれており(粗密度が密になり)、領域A1の遮光率は高くなる。領域A2ではプリーツ201が広がって伸ばされており(粗密度が疎になり)、領域A2の遮光率は低くなる。
バー60dが当たる第1カーテン21の箇所には、予めプリーツ201を形成しないようにしてもよい。この場合、バー60dによる規制状態を安定させることができる。
コントローラ50は、第1カーテン21を全閉状態に制御する場合、閉制御を開始してからタイマ時間の計時を開始し、タイマ時間が経過した時点で、遮光調整機構61Aを解除状態から規制状態に切り換える。このタイマ時間が適宜設定されることで、領域A1,A2のそれぞれのプリーツ201の粗密度(遮光率)、及び領域A1,A2の面積比が設定される。この結果、農業用ハウス1は、タイマ時間を適宜設定することで、外殻10内への日射量を所望の状態に調整することができる。タイマ時間は、予め決められた固定の時間長さ、または温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53の各測定結果に基づいてコントローラ50が求めた可変の時間長さに設定される。
また、作業者がバー60dの回転操作を手動で行ってもよい。
さらに、農業用ハウス1は、複数の遮光調整機構61Aを開閉方向X3に沿って間隔を空けて配置してもよい。2つ以上の遮光調整機構61Aを規制状態とすることによって、2つ以上のバー60dが第1カーテン21にそれぞれ当接する。この場合、2つ以上のバー60dによって閉方向X31への移動が規制される第1カーテン21の部位(所定部位)は2か所以上になる。この結果、農業用ハウス1は、第1カーテン21に3つ以上の領域を形成することができる。そして、2つ以上の遮光調整機構61Aを解除状態から規制状態に切り換えるそれぞれのタイミングを適宜設定することで、3つ以上の領域の遮光率がそれぞれ調整される。
また、農業用ハウス1は、全閉状態の第2カーテン22による遮光率を調整するために、遮光調整機構61Aと同様の遮光調整機構をさらに備える。
また、遮光調整機構は、金属ワイヤーまたは樹脂ワイヤーなどの柔軟な材質の規制部材を用いて、ワイヤーがカーテン20の所定部位に当たることで、規制状態を作り出してもよい。
次に、農業用ハウス1の第2変形例について説明する。第2変形例の農業用ハウス1では、遮光調整機構の構成が上述の遮光調整機構61,62と異なる。
図8は、第2変形例の遮光調整機構61Bを示す。遮光調整機構61Bは、ガイドロープ232の上方に配置されている。具体的に、複数のガイドロープ232のうち、外殻10の第1方向X1の両端にそれぞれ設けられている2つのガイドロープ232の上方に、遮光調整機構61Bがそれぞれ配置されている。遮光調整機構61Bは、基部60eと、ローラ止め60f(規制部材)とを備える。基部60eは、開閉方向X3に沿って延設された棒体であり、ローラ止め60fは、基部60eの任意の位置で基部60eに固定されるように構成されている。すなわち、作業者は、基部60eの所望の位置にローラ止め60fを取り付けることができ、季節、時刻、天気などの1つ以上に応じてローラ止め60fの固定位置を切り換えることができる。
ローラ止め60fの基端(一端)は基部60eに取り付けられ、ローラ止め60fの先端(他端)は逆Y字形状に形成されている。そして、基部60eが上下方向に移動可能に構成されることで、遮光調整機構61Bは、ローラ止め60fによってローラ231aの移動が規制されない解除状態と、ローラ止め60fによってローラ231aの移動が規制される規制状態とを切り換えることができる。遮光調整機構61Bは、作業者の操作によって基部60eの上下位置を切り替える。
あるいは、遮光調整機構61Bは、基部60eの駆動のために、例えばモータ、電磁ソレノイド、またはエアシリンダなどを有する駆動機構を備えてもよい。この場合、コントローラ50が、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53の各測定結果に基づいて駆動機構を制御して、基部60eの上下位置を切り替える。
解除状態の遮光調整機構61Bは、基部60eが上方に位置しており、ローラ止め60fの先端はガイドロープ232から上方に離れて位置している。遮光調整機構61Bが解除状態である場合、図2Bに示すように、全閉状態の第1カーテン21の各プリーツ201の広がりは均一になる。
一方、規制状態では、基部60eが解除状態の位置より下方に移動しており、ローラ止め60fの逆Y字形状の先端はガイドロープ232を挟んでいる。遮光調整機構61Bが規制状態である場合、図8に示すように、ローラ止め60fより固定端21a側のローラ231aは、ローラ止め60fに当たることによって閉方向X31への移動が規制される。一方、ローラ止め60fより移動端21b側のローラ231aは、閉方向X31への移動が可能である。したがって、遮光調整機構61Bが規制状態である場合、全閉状態の第1カーテン21は、係止バー60aより固定端21a側の領域A1と係止バー60aより移動端21b側の領域A2とが形成される。そこで、ローラ止め60fの固定位置を調整することによって、領域A1,A2の各遮光率を所望の状態に調整することができる。
この結果、農業用ハウス1は、遮光調整機構61Bのローラ止め60fの固定位置、遮光調整機構61Bの状態(規制状態、解除状態)によって、全閉状態の第1カーテン21による遮光率を調整できる。
さらに、農業用ハウス1は、複数の遮光調整機構61Bを備えてもよい。複数の遮光調整機構61Bのそれぞれのローラ止め60fの位置は、開閉方向X3において互いに異なる。この場合、2つ以上の遮光調整機構61Bを規制状態とすることによって、2つ以上のローラ止め60fによって閉方向X31への移動が規制される第1カーテン21の部位(所定部位)は2か所以上になる。この結果、農業用ハウス1は、第1カーテン21に3つ以上の領域を形成することができる。
また、農業用ハウス1は、全閉状態の第2カーテン22による遮光率を調整するために、遮光調整機構61Bと同様の遮光調整機構をさらに備える。
次に、農業用ハウス1の第3変形例について説明する。第3変形例の農業用ハウス1では、遮光調整機構の構成が上述の遮光調整機構61,62と異なる。
第3変形例の遮光調整機構は、ローラ231aの回転を強制的に停止させるブレーキをローラユニット231が備えることで実現される。そして、作業者が複数のローラユニット231から対象のローラユニット231を選択し、選択したローラユニット231のブレーキをオンすることで、第1カーテン21及び第2カーテン22に上述の領域A1,A2をそれぞれ形成することができる。
次に、農業用ハウス1の第4変形例について説明する。第4変形例の農業用ハウス1では、支持部材の構成が上述の支持部材23と異なる。
図9は、第4変形例の支持部材23Aを用いた構成例を示す。第1カーテン21は、移動端21bが開閉方向X3に移動自在となるように、支持部材23Aによって支持されている。支持部材23Aは、ガイドロープ232と、円環状に形成された吊具233(カーテンリング)とを備える。吊具233は、プリーツ201の谷部毎に取り付けられ、ガイドロープ232が吊具233の内周側に挿通している。したがって、吊具233は、ガイドロープ232に沿って摺動しながら開閉方向X3に移動することができる。この場合、支持部材23Aは、支持部材23に比べて構造の簡略化を図ることが可能になる。なお、この変形例3の構成は、変形例1−3にも適用することができる。
また、上述の実施形態及び変形例1−4において、開閉機構31,32はコントローラ50によって制御されており、第1カーテン21及び第2カーテン22の各開閉動作は自動制御されていた。すなわち、第1カーテン21及び第2カーテン22を全開状態と全閉状態との間で変形させるために、例えばモータ30aなど動力源の駆動力を駆動機構を介して第1カーテン21及び第2カーテン22に伝達している。しかし、実施形態及び変形例1−3において、作業者がカーテン20の開閉動作を手動で行ってもよい。この場合、第1カーテン21及び第2カーテン22に接続された紐を作業者が引っ張ることで、第1カーテン21及び第2カーテン22を全開状態と全閉状態との間で変形させることができる。
また、上述の実施形態及び変形例1−4において、作業者が遮光調整機構の規制状態、解除状態を手動で切り換える場合、コントローラ50が、温度センサ51、湿度センサ52、照度センサ53の各測定結果に基づいて切換内容及び切換タイミングを報知してもよい。この場合、コントローラ50は、遮光調整機構の規制状態または解除状態、及びカーテン20の全開状態または全閉状態の指示内容を、音声メッセージまたは画面表示によって作業者へ報知する。作業者は、この報知内容に従って各部を操作する。
また、上述の実施形態及び変形例1−4において、支持部材23,24のガイドロープ232,242には、金属ワイヤーまたは樹脂ワイヤーが用いられている。しかし、ガイドロープ232,242の代わりにアルミ、ステンレス、または鉄などの金属フレーム、あるいは樹脂フレームがガイド部材として用いられてもよい。
また、上述の実施形態及び変形例1−4において、第1カーテン21及び第2カーテン22のそれぞれは、曲がりやすくて変形しやすい(柔軟性を有する)シート状に形成されてもよい。この場合、第1カーテン21及び第2カーテン22のそれぞれのひだが、プリーツ201の代わりになる。第1カーテン21及び第2カーテン22のそれぞれのひだは、主に開閉方向X3,X4にそれぞれ交差する方向に沿って生じる。
また、第1カーテン21を、外殻10内に架設したガイドロープ232上に直接載置して、第1カーテン21がガイドロープ232上を擦りながら移動することで、全閉状態と全開状態との間で変形してもよい。また、第2カーテン22を、外殻10内に架設したガイドロープ242上に直接載置して、第2カーテン22がガイドロープ242上を擦りながら移動することで、全閉状態と全開状態との間で変形してもよい。この場合、第1カーテン21とガイドロープ232との摩擦、及び第2カーテン22とガイドロープ242との摩擦によって、第1カーテン21及び第2カーテン22に凸部ができやすくなる。この結果、第1カーテン21及び第2カーテン22には、ひだがそれぞれ形成されやすくなり、ひだの粗密度を調整しやすくなる。
また、カーテン20が全開状態である場合、第1カーテン21及び第2カーテン22は屋根100の頂点の下方付近に寄せられていてもよい。すなわち、全開状態の第1カーテン21及び第2カーテン22は、多数のプリーツ201が折り畳まれた状態で屋根100の頂点の下方付近に収束している。
また、カーテンは、第1方向X1に沿って開閉する構成であってもよい。
また、上述の実施形態及び変形例1−4において、農業用ハウス1は、外殻10内にミスト発生装置を備えてもよい。ミスト発生装置は、水を微粒子状にしたミストを噴出して気化熱を奪うことにより、植物体の周囲温度を下げる。
以上のように、実施形態に係る第1の態様の農業用ハウス1は、外殻10と、カーテン20(第1カーテン21、第2カーテン22)と、支持部材23,24と、遮光調整機構61,62とを備える。外殻10は、屋根100が被覆体12(透光性の部材)で覆われている。カーテン20は、屋根100を通過して外殻10内に入射した光を遮光する。支持部材23,24は、カーテン20の移動端21b、22bが開閉方向X3,X4に移動自在になるようにカーテン20を支持する。遮光調整機構61,62は、カーテン20による遮光率を調整する。そして、カーテン20は、開閉方向X3,X4に交差する方向に沿ったひだ(例えばプリーツ201)を形成可能である。また、カーテン20の開閉方向X3,X4の全長は、移動端21b,22bが開閉方向X3,X4に沿って移動できる最大移動距離より長い。そして、遮光調整機構61,62は、カーテン20におけるひだの粗密度の分布を、粗密度の分布が互いに異なる複数の状態のいずれかの状態に選択的に設定する。
上述の農業用ハウス1は、外殻10内に照射される日射量を1層構造のカーテン20によって所望の状態に設定することができる。例えば、農業用ハウス1は、光飽和点が高い植物体(トマト、スイカなど)を栽培する場合に、外殻10内の過度の温度上昇を抑え、かつより多くの外光を外殻10内に照射することができる。この結果、農業用ハウス1は、植物体の成長を早くでき、さらには栽培された植物体の不具合を少なくすることができる。
また、実施形態に係る第2の態様の農業用ハウス1では、第1の態様において、カーテン20が展開される場合に移動端21b,22bが開閉方向X3,X4に沿って移動する方向を閉方向X31,X41とする。そして、遮光調整機構61,62は、カーテン20の所定部位が閉方向X31,X41に移動することを規制することで、ひだの粗密度が互いに異なる複数の領域A1,A2をカーテン20に形成する規制状態と、規制状態を解除した解除状態と、を切替可能に構成されている。
上述の農業用ハウス1は、規制状態の遮光調整機構61,62によって、ひだの粗密度が互いに異なる複数の領域A1,A2をカーテン20に形成することができる。そこで、農業用ハウス1は、遮光調整機構61,62を規制状態または解除状態に切り換えることによって、全閉状態のカーテン20による遮光率を切り換えることができる。
また、実施形態に係る第3の態様の農業用ハウス1では、第2の態様において、カーテン20の所定部位は、閉方向X31,X41に沿って2か所以上あることが好ましい。
上述の農業用ハウス1は、カーテン20に対して、ひだの粗密度が互いに異なる3つ以上の領域を形成することができる。したがって、農業用ハウス1は、全閉状態のカーテン20による遮光率を小刻みに調整することができる。
また、実施形態に係る第4の態様の農業用ハウス1では、第2または第3の態様において、遮光調整機構61,62は、カーテン20の所定部位に設けた係止バー60a(第1係止部)と、一定位置に固定されたストッパ60b(第2係止部)とを備えることが好ましい。そして、移動端21b,22bが閉方向X31,X41に移動した場合に、係止バー60aがストッパ60bに係止することで規制状態になる。
上述の農業用ハウス1は、比較的簡便な構成で遮光調整機構を実現できる。
また、実施形態に係る第5の態様の農業用ハウス1は、第4の態様において、ストッパ60bの固定位置を、開閉方向X3,X4に沿って変えることができることが好ましい。
上述の農業用ハウス1は、ストッパ60bの固定位置によって、全閉状態のカーテン20による遮光率を容易に調整できる。
また、実施形態に係る第6の態様の農業用ハウス1では、第2または第3の態様において、遮光調整機構61,62は、開閉方向X3,X4に交差する方向に延びたバー60d(規制部材)を備えている。そして、バー60dがカーテン20の所定部位に当たることで、規制状態になることが好ましい。
上述の農業用ハウス1は、バー60dが規制状態になるタイミングによって、全閉状態のカーテン20による遮光率を容易に調整できる。
また、実施形態に係る第7の態様の農業用ハウス1では、第2または第3の態様において、支持部材23,24は、複数のローラ231a,241aと、ガイドロープ232,242(ガイド部材)とを備えることが好ましい。複数のローラ231a,241aは、カーテン20に設けられて、開閉方向X3,X4に対して交差する方向を軸方向として回転する。ガイドロープ232,242は、開閉方向X3,X4に沿って延設されて、複数のローラ231a,241aのガイドになる。そして、遮光調整機構61,62は、複数のローラ231a,241aのうち、カーテン20の所定部位に対応するローラ231a,241aに当たって、当該ローラが閉方向X31,X41に移動することを規制するローラ止め60f(規制部材)を有する。
上述の農業用ハウス1は、ローラ止め60fが当たるローラ231a,241aの位置によって、全閉状態のカーテン20による遮光率を容易に調整できる。
また、実施形態に係る第8の態様の農業用ハウス1では、第2または第3の態様において、支持部材23,24は、複数のローラ231a,241aと、ガイドロープ232,242(ガイド部材)とを備えることが好ましい。複数のローラ231a,241aは、カーテン20に設けられて、開閉方向X3,X4に対して交差する方向を軸方向として回転する。ガイドロープ232,242は、開閉方向X3,X4に沿って延設されて、複数のローラ231a,241aのガイドになる。そして、遮光調整機構61,62は、複数のローラ231a,241aのうち、カーテン20の所定部位に対応するローラ231a,241aの回転を停止させることで、規制状態になる。
上述の農業用ハウス1は、回転を停止させるローラ231a,241aの位置によって、全閉状態のカーテン20による遮光率を容易に調整できる。
また、実施形態に係る第9の態様の農業用ハウス1では、第1乃至第8の態様のいずれか1つにおいて、コントローラ50をさらに備えることが好ましい。コントローラ50は、外殻10内の環境を表す環境情報が入力され、環境情報に基づいてカーテン20の開閉制御を行う。
上述の農業用ハウス1では、コントローラ50が、温度、湿度、照度などの環境情報に基づいて、外殻10内の温度、湿度、照度などの環境が植物体の育成に適した値となるように、カーテン20の開閉制御を行う。この結果、農業用ハウス1内において植物体を育成する環境を自動で整えることが可能になる。
また、実施形態に係る第10の態様の農業用ハウス1では、第9の態様において、コントローラ50は、さらに遮光調整機構61,62の動作を制御することが好ましい。
上述の農業用ハウス1では、コントローラ50が、温度、湿度、照度などの環境情報に基づいて、外殻10内の温度、湿度、照度などの環境が植物体の育成に適した値となるように、遮光調整機構61,62の開閉制御を行う。この結果、農業用ハウス1内において植物体を育成する環境を自動で整えることが可能になる。
また、上述の実施形態及び変形例は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されることはなく、この実施形態及び変形例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。