JP6876594B2 - スパッタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置に関する。
マグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置において、カソードとなるターゲットが、円筒状の部材により構成され、かつスパッタリングが行われる際に回転するように構成される技術が知られている。この技術においては、ターゲット付近のプラズマが高温になり、ターゲットや磁石が加熱されてしまう。ターゲットが高温になると損傷するおそれがあり、磁石が高温になると減磁または消磁してしまう。また、ターゲットが、バッキングチューブと、このバッキングチューブの外周面に接着剤によって接着されるターゲット材料とから構成される場合には、接着剤が融けてしまうおそれもある。そのため、上記のようなスパッタ装置においては、ターゲットや磁石を冷却するための冷却液流路が設けられている。
しかしながら、従来例に係るスパッタ装置においては、例えば、冷却液内に磁石が設けられるなどの構成が採用されていた。そのため、メンテナンス時において、磁石に付着した冷却液を拭き取る作業が必須となっており、作業性を低下させる原因になっていた。
特開2013−100568号公報
本発明の目的は、磁石に冷却液が付着してしまうことを抑制するスパッタ装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明のスパッタ装置は、
円筒状のターゲットと、前記ターゲットの構成原子による薄膜を形成させる基板との間に磁場を形成させた状態でスパッタリングを行うマグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置において、
前記ターゲットと連結して回転する回転部と、
前記ターゲットを冷却する冷却液が流れる冷却液流路と、
前記ターゲットの内部に設けられる密閉容器と、
記磁場を形成する磁石と、前記磁石を支持する支持部材とを含み、前記密閉容器の内部に配置されるマグネットユニットと、を備え、
前記マグネットユニットにはベアリング部が設けられ、
前記密閉容器の内部に前記ベアリング部を案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、磁石に冷却液が付着してしまうことを抑制することができる。
図1は本発明の実施例に係るスパッタ装置の概略構成図である。 図2は本発明の実施例に係る磁石の配置構成を示す概略図である。 図3は本発明の実施例に係るロータリーカソードの概略構成図である。 図4は本発明の実施例に係るロータリーカソードの概略構成図である。 図5は本発明の実施例に係る第1蓋体の正面図である。 図6は本発明の実施例に係る第1蓋体の模式的断面図である。 図7は本発明の実施例に係る第2蓋体の正面図である。 図8は本発明の実施例に係る第2蓋体の模式的断面図である。 図9は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。 図10は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。 図11は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。 図12は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。 図13は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。 図14は本発明の実施例に係るマグネット装置の組み立て手順説明図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例)
図1〜図14を参照して、本発明の実施例に係るマグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置について説明する。
<スパッタ装置の全体構成>
図1及び図2を参照して、本実施例に係るスパッタ装置1の全体構成について説明する。図1は本発明の実施例に係るスパッタ装置の概略構成図であり、スパッタ装置全体を断面的に見た場合の概略構成を示している。なお、図1中の上方は、スパッタ装置1が使用される際の鉛直方向の上方に相当し、図1中の下方は、スパッタ装置1が使用される際の鉛直方向下方に相当する。図2は磁石の配置構成を示す概略図である。
本実施例に係るスパッタ装置1は、内部を低圧力状態にすることのできるチャンバ20と、チャンバ20内の上部に設けられるロータリーカソード10とを備えている。本実施例に係るチャンバ20はアノードとしても機能する。また、チャンバ20内の下部には、薄膜を形成させるための基板40を載置する載置台30が設けられている。なお、載置台30は、基板40を所望の位置に搬送することができるように構成されている。
ロータリーカソード10は、カソードとなる円筒状のターゲット100Aと、ターゲット100Aの内部に設けられるマグネット装置100Bとを備えている。ターゲット100Aとしては、SUSやTiからなるバッキングチューブの外周面にIn等の接着剤によりターゲット材料が接着されたタイプやバッキングチューブとターゲット材料が一体となった一体型タイプのいずれも適用可能である。そして、ターゲット100Aは、載置台30に載置される基板40に対向する位置に設けられ、かつスパッタリングの際に回転するように構成されている。また、マグネット装置100Bは、磁石151を有するマグネットユニット150を備えている。図2は図1中の磁石151を下方からみた図である。磁
石151は、使用時において、下方に異なる2種類の磁極(第1磁極151aと第2磁極151b)が向くように配置される。図示の例では、第1磁極151aがN極、第2磁極151bがS極の場合を示しているが、第1磁極151aをS極とし、第2磁極151bをN極としてもよい。そして、第2磁極151bは、第1磁極151aとの間に間隔を空けて、かつ第1磁極151aを取り囲むように設けられている。なお、本実施例に係る磁石151は複数の磁石が配列されることにより構成されている(図9,10,11,13参照)。このように、ターゲット100Aの内部にマグネット装置100Bが備えられることにより、ターゲット100Aと基板50との間には磁場(漏えい磁場)が形成される。
以上のように構成されるスパッタ装置1においては、ターゲット100Aとアノードであるチャンバ20との間に一定以上の電圧を印加することにより、これらの間にプラズマが発生する。そして、プラズマ中の陽イオンがターゲット100Aに衝突することで、ターゲット100Aからターゲット材料の粒子が放出される。ターゲット100Aから放出された粒子は、衝突を繰り返しながら、放出された粒子のうちターゲット物質の中性の原子が基板40に堆積していく。これにより、基板40には、ターゲット100Aの構成原子による薄膜が形成される。また、本実施例に係るスパッタ装置1においては、上記の漏えい磁場によって、図1中Pに示す付近(ターゲット100Aに対して略平行な磁場が形成される付近)にプラズマを集中させることができる。これにより、効率的にスパッタリングが行われるため、基板40へのターゲット物質の堆積速度を向上させることができる。更に、本実施例に係るスパッタ装置1においては、スパッタリングの最中にターゲット100Aが回転するように構成されている。これにより、ターゲット100Aの消耗領域(エロ―ジョンによる浸食領域)が一部に集中することはなく、ターゲット100Aの利用効率を高めることができる。
<ロータリーカソード>
特に、図3〜図8を参照して、本実施例に係るロータリーカソード10について、より詳細に説明する。図3及び図4は本発明の実施例に係るロータリーカソード10の概略構成図であり、ロータリーカソード10を断面的に見た場合の概略構成を示している。なお、図3はロータリーカソード10におけるターゲット100Aの回転機構を説明するための図であり、主に回転機構に関係する部材を簡略的に示しており、回転機構に関係のない部材については、適宜、省略している。また、図4はロータリーカソード10における冷却液流路を説明するための図であり、主に冷却液流路に関係する部材を簡略的に示しており、冷却液流路に関係のない部材については、適宜、省略している。図5は本発明の実施例に係る第1蓋体の正面図(図4において、左側から見た図に相当する)である。図6は本発明の実施例に係る第1蓋体の模式的断面図であり、図5中のSS断面図に相当する。図7は本発明の実施例に係る第2蓋体の正面図(図4において、右側から見た図に相当する)である。図8は本発明の実施例に係る第2蓋体の模式的断面図であり、図7中のTT断面図に相当する。
ロータリーカソード10は、ターゲット100Aを有するロータリーカソード装置本体100と、ターゲット100Aを回転させる機能を有するエンドブロック200と、ターゲット100Aを回転自在に支持する機能を有するサポートブロック300とを備えている。
ロータリーカソード装置本体100は、ターゲット100Aと、ターゲット100A内に設けられるマグネット装置100Bと、ターゲット100Aに固定され、かつサポートブロック300に回転自在に支持されるサポートブロック側環状部材100Dとを備えている。また、マグネット装置100Bは、密閉容器100Cと、密閉容器100C内に設けられるマグネットユニット150(図3〜図8では省略している)とを備えている。更
に、密閉容器100C内には管160も設けられている。
エンドブロック200は、チャンバ20に対して固定されるケース210と、ケース210内に設けられる軸状部材220と、軸状部材220に対して回転自在に設けられるエンドブロック側環状部材230とを備えている。このエンドブロック側環状部材230には、回転プーリ240が固定されている。そして、この回転プーリ240にはモータ260によって回転するベルト250が巻き付けられている。また、軸状部材220とエンドブロック側環状部材230との間には一対の軸受Bが設けられている。これにより、軸状部材220に対して、エンドブロック側環状部材230は回転することができる。また、軸状部材220とエンドブロック側環状部材230との間の環状隙間を封止する密封装置270も設けられている。この密封装置270は、軸状部材220とエンドブロック側環状部材230との相対的な回転を可能としつつ、上記の環状隙間を封止する機能を有している。また、マグネット装置100Bと軸状部材220は、ピンなどの連結部材280によって連結されている。従って、マグネット装置100Bが軸状部材220に対して回転することはない。また、エンドブロック側環状部材230とターゲット100Aは、クランプなどの締結部材290によって固定されている。なお、エンドブロック側環状部材230とターゲット100Aとの間の環状隙間を封止するガスケットGも設けられている。更に、ケース210とエンドブロック側環状部材230との間にも軸受B及び密封装置275が設けられている。従って、ケース210に対して、エンドブロック側環状部材230は回転することができ、かつケース210とエンドブロック側環状部材230との間の環状隙間は封止される。これにより、ケース210内を低圧力状態に維持することができる。
サポートブロック300は、チャンバ20に対して固定される。そして、上述したサポートブロック側環状部材100Dには、サポートブロック300に形成された貫通孔310に挿入される軸部100D1が設けられている。この軸部100D1と貫通孔310との間に軸受Bが設けられることにより、サポートブロック300に対して、サポートブロック側環状部材100Dは回転することができる。また、サポートブロック側環状部材100Dには、マグネット装置100Bに対して、サポートブロック側環状部材100Dを回転自在にするための軸受用穴100D2が設けられている。この軸受用穴100D2の内周面側に軸受Bが設けられることによって、マグネット装置100Bに対して、サポートブロック側環状部材100Dは回転することができる。また、軸受用穴100D2の内周面側には、冷却液が軸受B側に漏れてしまうことを抑制するための密封装置100D3が設けられている。この密封装置100D3は、マグネット装置100Bとサポートブロック側環状部材100Dとの相対的な回転を可能としつつ、これら2部材間の環状隙間を封止する機能を有している。また、サポートブロック側環状部材100Dとターゲット100Aは、クランプなどの締結部材100D4によって固定されている。なお、サポートブロック側環状部材100Dとターゲット100Aとの間の環状隙間を封止するガスケットGも設けられている。
以上のように構成されるロータリーカソード10によれば、モータ260によって回転するベルト250によって、エンドブロック側環状部材230とターゲット100Aとサポートブロック側環状部材100Dが回転する。このとき、軸状部材220とマグネット装置100Bは回転しない。
次に、特に、図4〜図8を参照して、冷却液流路の構成について説明する。軸状部材220の内部には、供給管221aに繋がる第1流路221と、排出管222aに繋がる第2流路222が、軸線方向に伸びるように形成されている。また、密閉容器100Cは、密閉容器本体110と、密閉容器本体110の両端にそれぞれ固定される一対の蓋体(以下、「第1蓋体120,第2蓋体130」と称する)とを備えている。更に、密閉容器1
00C内には、上記の通り、管160が設けられている。
第1蓋体120について、特に、図5及び図6を参照して、より詳細に説明する。なお、図6においては、ロータリーカソード10が組み立てられた状態において、軸受Bと密封装置100D3と管160を点線にて示している。第1蓋体120は、サポートブロック側環状部材100Dの軸受用穴100D2に挿入される軸部121と、管160が挿入される挿入孔122とを備えている。なお、軸部121と軸受用穴100D2との間の環状隙間に、上述した軸受Bと密封装置100D3が設けられる。また、本実施例においては、管160は2本設けられており、挿入孔122も2か所に設けられている。挿入孔122と管160との間の環状隙間はガスケットG(例えば、Oリング)によって封止される。更に、第1蓋体120には、この第1蓋体120が密閉容器本体110に固定されるためのボルト等の軸部が挿通される挿通孔123が複数設けられている。
第2蓋体130について、特に、図7及び図8を参照して、より詳細に説明する。なお、図8においては、ロータリーカソード10が組み立てられた状態において、軸状部材220と管160を点線にて示している。第2蓋体130には、管160が挿入される2つの挿入孔131が設けられている。なお、挿入孔131と管160との間の環状隙間はガスケットG(例えば、Oリング)によって封止される。また、第2蓋体130には、二つの挿入孔131により形成される流路と、軸状部材220における第2流路222とを繋ぐ繋ぎ流路孔132が設けられている。なお、第2流路222を形成する環状部の外周面と流路孔132の内周面との間の環状隙間はガスケットG(例えば、Oリング)によって封止される。また、第2蓋体130には、上述したマグネット装置100Bと軸状部材220とを連結するための連結部材280が嵌る嵌合穴133が設けられている。更に、第2蓋体130には、この第2蓋体130が密閉容器本体110に固定されるためのボルト等の軸部が挿通される挿通孔134が複数設けられている。
以上の構成により、密閉容器100C内に設けられる管160によって、密閉容器100Cの一端側の外部から密閉容器100Cの内部を通り、密閉容器100Cの他端側の外部に至る冷却液流路が形成される。また、ターゲット100Aと密閉容器本体110との間の環状隙間も冷却液流路の一部となる。
以上のように構成される冷却液流路により、供給管221aから送られてきた冷却液は、軸状部材220の第1流路221を通り、ターゲット100Aと密閉容器本体110との間の環状隙間へと流れて行く。そして、冷却液は、第1蓋体120の挿入孔122から管160内を通り、更に、第2蓋体130の繋ぎ流路孔132から軸状部材220の第2流路222を通って、排出管222aへと流れて行く(図4中の矢印参照)。なお、冷却液を流す方向は、図4中の矢印とは反対方向となるようにしてもよい。この場合には、図中の排出管222aを供給管として、供給管221aを排出管とすればよい。
このような冷却液流路によって、装置外部に冷却液が漏れてしまうことを抑制することができ、かつ密閉容器100C内におけるマグネットユニット150等が配置されている空間に冷却液が漏れてしまうことを抑制することができる。
<マグネット装置>
図9〜図14を参照して、本実施例に係るマグネット装置100Bについて説明する。図9〜図14は本発明の実施例に係るマグネット装置100Bの組み立て手順を説明する図である。なお、図9〜図11及び図13においては、説明の便宜上、マグネット装置100Bを構成する密閉容器100Cの構成部材については、密閉容器100Cの中心軸線を含む面で密閉容器100Cを切断した断面図を簡略的に示し、マグネットユニット150については側面図を簡略的に示している。また、図12及び図14においては、密閉容
器100Cの中心軸線に対して垂直な面でマグネット装置100Bを切断した断面図を簡略的に示している。
本実施例に係るスパッタ装置1は、上記の通り、マグネトロンスパッタリング方式が採用されており、ターゲット100Aと基板50との間に磁場を形成させている(図1参照)。そして、プラズマを適正な位置に集中させるためには、磁石151の表面をターゲット100Aの内周面に十分に近づける必要がある。しかしながら、マグネットユニット150は重量が重く、マグネットユニット150を密閉容器100C内に搬入させる際に、磁石151や密閉容器100Cが摺動により傷付いてしまうおそれがある。これにより、各部材が損傷してしまったり、密閉容器100Cの密閉性が低下してしまったりするおそれがある。そこで、本実施例に係るスパッタ装置1においては、マグネット装置100Bを、密閉容器100Cに搬入する際、及び密閉容器100Cから搬出する際に、各部材が摺動することを抑制しつつ、磁石151の表面を密閉容器本体110の内周面に十分に近づけることを可能とする構造(機構)が採用されている。なお、磁石151の表面を密閉容器本体110の内周面に近づけることにより、磁石151の表面はターゲット100Aの内周面に近づけることになる。
マグネット装置100Bは、ターゲット100A内に設けられる密閉容器100Cと、密閉容器100C内に設けられるマグネットユニット150とを備えている。
密閉容器100Cは、上記の通り、密閉容器本体110と、密閉容器本体110の両端にそれぞれ固定される第1蓋体120及び第2蓋体130とを備えている。密閉容器本体110は、円筒部111と、円筒部111の両端に形成される一対の内向きフランジ部112,113とを有している。また、密閉容器100Cは、一対の内向きフランジ部112,113の各端面と、一対の第1蓋体120,第2蓋体130の各端面との間をそれぞれ封止する一対の端面シール112a,113aを備えている。なお、本実施例においては、これらの端面シール112a,113aは、一対の内向きフランジ部112,113にそれぞれ設けられた環状の装着溝に装着される。ただし、第1蓋体120及び第2蓋体130にそれぞれ環状の装着溝を設けて、これらの装着溝に端面シール112a,113aをそれぞれ装着させるようにしてもよい。なお、端面シール112a,113aについては、エラストマー製の各種シールリング(断面形状が円形のOリングや、断面形状が矩形の角リングなど)を適用可能である。
マグネットユニット150は、上述した磁石151と、磁石151を支持する支持部材152とがユニット化されることにより構成されている。より具体的には、このマグネットユニット150は、複数の磁石151と、支持部材152と、磁石151と支持部材152との間の距離を調整する複数の薄板153と、複数のベアリング部154とから構成される。また、支持部材152は、設置時において水平となるように設けられる水平板部152aと、水平板部152aの中央から磁石151が設けられている側とは反対側に伸びるように設けられる鉛直板部152bとを一体に備えている。これにより、支持部材152の断面形状は、図12及び図14に示すようにT字形状となる。そして、支持部材152における鉛直板部152bの両側にそれぞれ複数のベアリング部154が設けられている。本実施例に係るベアリング部154は回転自在なコロにより構成されている。
密閉容器100Cの内部には、両端がそれぞれ第1蓋体120と第2蓋体130に固定されるガイド部材140が設けられている。このガイド部材140は、平板状のガイドレール部141と、平板状の一対の支持部142と、これらガイドレール部141と一対の支持部142とを連結する一対の連結部143とから構成される。ガイドレール部141は、マグネットユニット150におけるベアリング部154を案内する役割を担っている。すなわち、ガイドレール部141における支持部142と対向する面は、マグネットユ
ニット150が密閉容器100C内に搬入される際、及びマグネットユニット150が密閉容器100Cから搬出される際に、ベアリング部154を案内する案内部141aとして構成される。また、支持部142は、マグネットユニット150におけるベアリング部154を位置決め支持する役割を担っている。すなわち、支持部142におけるガイドレール部141と対向する面は、スパッタリングの際に、マグネットユニット150の密閉容器100Cに対する径方向の位置決めを行う位置決め部142aとして構成される。なお、ベアリング部154が位置決め部142aに載置されることで、マグネットユニット150は密閉容器100Cに対する径方向の位置決めがなされる(図14参照)。
以上のように構成されるガイド部材140によれば、案内部141aと位置決め部142aは対向するように設けられる。また、一対の支持部142の間には隙間が形成されており、この隙間にマグネットユニット150における支持部材152の鉛直板部152bが入り込むように構成されている(図12及び図14参照)。なお、一対の支持部142の各先端部142bは、支持部材152の鉛直板部152bの左右方向の移動を規制するストッパとしての役割を担っている。また、密閉容器100Cの内部には、ガイド部材140及びマグネットユニット150の妨げにならない位置に、上述した2つの管160が設けられている。
次に、マグネット装置100Bの組み立て手順について説明する。本実施例に係るマグネット装置100Bの組み立て工程には、密閉容器100C内にマグネットユニット150を搬入する搬入工程と、密閉容器100Cを反転させる反転工程とがある。まず、搬入工程について説明する。図9〜図12は搬入工程の説明図である。図9〜図11においては、説明の便宜上、ガイド部材140のうちガイドレール部141の位置を点線にて示している。
図9は密閉容器100C内へのマグネットユニット150の搬入開始直後の様子を示している。搬入工程に先立って、密閉容器本体110に第1蓋体120が固定される。そして、マグネットユニット150に設けられた複数のベアリング部154のうち、搬入方向の先端側のベアリング部154がガイドレール部141の案内部141aに乗り上げるように、マグネットユニット150が密閉容器本体110の内部に搬入される。その後、マグネットユニット150は、密閉容器本体110の内部に更に押し込まれる。この時、コロであるベアリング部154が案内部141aに沿って転がるため、マグネットユニット150は密閉容器本体110の内部の適正な位置に案内される。なお、図10はマグネットユニット150が押し込まれる途中の様子を示しており、図11はマグネットユニット150が適正な位置まで押し込まれた状態(搬入工程終了時の状態)を示している。また、図12は搬入工程が終了した状態におけるマグネット装置100Bの模式的断面図を示している。
ここで、本実施例においては、密閉容器本体110における円筒部111の両端の内向きフランジ部112,113のうち、図9〜図11中右側の内向きフランジ部112側からマグネットユニット150が密閉容器100C内に搬入される。なお、メンテナンス時においては、同様に、図中右側の内向きフランジ部112側からマグネットユニット150は密閉容器100Cから搬出される。この内向きフランジ部112の内周側端部の寸法及び形状は、マグネットユニット150を搬入する際、及び搬出する際に、マグネットユニット150が内向きフランジ部112に引っ掛かることのないように設計されている。従って、内向きフランジ部112の外側から円筒部111内を真っ直ぐに見た場合には、ガイドレール部141の案内部141aの表面が見えるように設計されている。また、内向きフランジ部112の内周側端部と円筒部111の外周面との径方向距離の最大値をL1とし、ベアリング部154が案内部141aに載置された状態で、磁石151の表面と円筒部111の外周表面との径方向距離の最大値をL3とすると、L3>L1を満たす。
次に、反転工程について説明する。図13及び14は反転工程の説明図であり、反転工程後の状態を示している。図13においては、説明の便宜上、ガイド部材140のうち支持部142の位置を点線にて示している。マグネットユニット150が予め定められた位置まで搬入された後に、密閉容器100Cは、密閉容器100Cの中心軸線を中心にして180°回転される。例えば、マット上で密閉容器100Cを転がすことで、密閉容器100Cを反転させることができる。これにより、ベアリング部154がガイド部材140における案内部141aに載置されている状態から、マグネットユニット150は自然落下して、ベアリング部154がガイド部材140における位置決め部142aに載置された状態となる。これにより、磁石151は密閉容器本体110における円筒部111の内周面に十分に近づいた状態となる。なお、ベアリング部154が位置決め部142aに載置された状態で、磁石151の表面と円筒部111の外周表面との径方向距離の最大値をL2とすると、L1>L2を満たす。
この反転工程後に、第2蓋体130が密閉容器本体110に固定される。ただし、第2蓋体130が密閉容器本体110に固定された後に、反転工程を行うようにしてもよい。そして、メンテナンス時において、マグネットユニット150全体またはマグネットユニット150を構成する各種部材を交換等する場合には、上記の工程を逆に行えば良い。
ここで、上述の搬入工程及び反転工程については、作業者が手作業により行うことができる。ただし、これらの工程においては、作業性を高めるために治具を用いてもよい。または、これらの工程を自動的に行う装置を用いることもできる。
<本実施例に係るスパッタ装置の優れた点>
本実施例に係るスパッタ装置1によれば、プラズマを集中させるための磁場を形成させる磁石151が、冷却液流路と隔離されるように密閉容器100C内に配置されている。これにより、磁石151に冷却液が付着してしまうことを抑制することができる。従って、メンテナンス時の作業性を高めることができる。
また、本実施例に係るスパッタ装置1によれば、マグネット装置100Bが密閉容器100Cに搬入等される際に、各部材が摺動することを抑制しつつ、磁石151の表面をターゲット100Aの内周面に十分に近づけることができる。
(その他)
本実施例においては、ガイド部材140に、ベアリング部154が案内される案内部141aを有するガイドレール部141と、ベアリング部154を位置決め支持する位置決め部142aを有する支持部142とが設けられる場合の構成を示した。しかしながら、本発明においては、このような構成に限定されることはなく、案内部を有するガイドレール部と、位置決め部を有する支持部とを別々の部材により構成することもできる。
また、本実施例においては、ベアリング部154が、ガイドレール部141の案内部141aに案内され、かつ支持部142の位置決め部142aに位置決め支持される場合の構成を示した。しかしながら、本発明においては、このような構成に限定されることはなく、ガイドレール部の案内部に案内されるベアリングとは別に、支持部の位置決め部に位置決め支持される部分を設ける構成を採用することもできる。
更に、本実施例においては、ベアリング部154が、回転自在なコロにより構成される場合を示した。しかしながら、本発明におけるベアリングは、コロのような転がり軸受けに限らず、すべり軸受けを採用することもできる。
1…スパッタ装置,10…ロータリーカソード,10A…ターゲット,100…ロータリーカソード装置本体,100A…ターゲット,100B…マグネット装置,100C…密閉容器,140…ガイド部材,150…マグネットユニット,151…磁石,200…エンドブロック,300…サポートブロック

Claims (12)

  1. 円筒状のターゲットと、前記ターゲットの構成原子による薄膜を形成させる基板との間に磁場を形成させた状態でスパッタリングを行うマグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置において、
    前記ターゲットと連結して回転する回転部と、
    前記ターゲットを冷却する冷却液が流れる冷却液流路と、
    前記ターゲットの内部に設けられる密閉容器と、
    記磁場を形成する磁石と、前記磁石を支持する支持部材とを含み、前記密閉容器の内部に配置されるマグネットユニットと、を備え、
    前記マグネットユニットにはベアリング部が設けられ、
    前記密閉容器の内部に前記ベアリング部を案内する案内部が設けられていることを特徴とするスパッタ装置。
  2. 前記密閉容器は、
    円筒部と、該円筒部の両端に形成される一対の内向きフランジ部とを有する密閉容器本体と、
    前記密閉容器本体の両端にそれぞれ固定される一対の蓋体と、
    前記一対の内向きフランジ部の各端面と、前記一対の蓋体の各端面との間をそれぞれ封止する一対の端面シールと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のスパッタ装置。
  3. 前記一対の内向きフランジ部のうち、前記マグネットユニットが搬入又は搬出される側の内向きフランジ部の内周側端部と前記円筒部の外周面との径方向距離の最大値をL1とし、
    スパッタリングの際における、前記磁石表面と前記円筒部の外周表面との径方向距離の最大値をL2とすると、
    L2<L1を満たすことを特徴とする請求項2に記載のスパッタ装置。
  4. 前記密閉容器の内部には、
    スパッタリングの際に、前記マグネットユニットの前記密閉容器に対する径方向の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
  5. 前記案内部と前記位置決め部は対向していることを特徴とする請求項に記載のスパッタ装置。
  6. 前記ベアリング部が前記位置決め部に載置されることで、前記マグネットユニットの前記位置決めがなされることを特徴とする請求項4または5に記載のスパッタ装置。
  7. 前記案内部は、
    前記マグネットユニットが前記密閉容器内に搬入又は搬出される際に前記ベアリング部が当接する平板状のガイドレール部と、
    前記スパッタリングを行う際に前記ベアリング部を位置決め支持する平板状の支持部と、
    前記ガイドレール部と前記支持部とを連結する連結部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
  8. 前記ガイドレール部と支持部とは対向して配置され、
    前記ベアリング部が前記ガイドレール部に載置されている状態から、前記密閉容器が該密閉容器の中心軸線を中心にして180°回転することで、前記ベアリング部が前記支持部に載置された状態となることを特徴とする請求項に記載のスパッタ装置。
  9. 円筒状のターゲットと、前記ターゲットの構成原子による薄膜を形成させる基板との間に磁場を形成させた状態でスパッタリングを行うマグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置において、
    前記ターゲットと連結して回転する回転部と、
    前記ターゲットを冷却する冷却液が流れる冷却液流路と、
    前記ターゲットの内部に設けられる密閉容器と、
    前記密閉容器の内部に配置され、前記磁場を形成する磁石と、を備え、
    前記密閉容器は、
    円筒部と、該円筒部の両端に形成される一対の内向きフランジ部とを有する密閉容器本体と、
    前記密閉容器本体の両端にそれぞれ固定される一対の蓋体と、
    前記一対の内向きフランジ部の各端面と、前記一対の蓋体の各端面との間をそれぞれ封止する一対の端面シールと、を有することを特徴とするスパッタ装置。
  10. 前記磁石と、前記磁石を支持する支持部材とを含み、前記密閉容器の内部に配置されるマグネットユニット、を備え、
    前記一対の内向きフランジ部のうち、前記マグネットユニットが搬又は搬出される側の内向きフランジ部の内周側端部と前記円筒部の外周面との径方向距離の最大値をL1とし、
    スパッタリングの際における、前記磁石表面と前記円筒部の外周表面との径方向距離の最大値をL2とすると、
    L2<L1を満たすことを特徴とする請求項9に記載のスパッタ装置。
  11. 前記密閉容器の一端側の外部から該密閉容器の内部を通り、該密閉容器の他端側の外部に至るように前記冷却液流路の一部を形成する管が、前記密閉容器内に設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
  12. 前記ターゲットと前記密閉容器との間の環状隙間が前記冷却液流路の一部となっていることを特徴とする請求項〜11のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
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