図1および図2を参照して、この発明の一実施例であるボディ管やりとり継手10は、通信ケーブルや電力ケーブル等のケーブル(図示せず)を地中に配線するためのケーブル保護管路100の施工において、ボディ管104をやりとり接続するために用いられる。
ケーブル保護管路100は、内部にケーブルが挿通される小口径の複数の鞘管102と、これら鞘管102を収容して保護する大口径のボディ管104とを備え、ケーブル保護管部材12およびボディ管やりとり継手10などを用いて施工される。後述するように、鞘管102のそれぞれは、複数の鞘管部材22,64,68,72を軸方向に連結することによって構成され、ボディ管104は、複数のボディ管部材20,60,66,70を軸方向に連結することによって構成される。
先ず、ケーブル保護管路100の施工に用いる主要部材の1つであるケーブル保護管部材12の一例について説明する。図3および図4に示すように、ケーブル保護管部材12は、その軸方向の端部同士を接続して連続させることによってケーブル保護管路100を形成するものであり、ボディ管部材20と、ボディ管部材20の内部に所定の配置態様で収容される複数の鞘管部材22と、これら鞘管部材22をスライド可能に所定の配置態様で保持する整列部材24とを含む。
図5に示すように、ボディ管部材20は、ボディ管104を構成するための直管状の部材であり、土圧などの外力に耐え得る強度を有する。具体的には、ボディ管部材20は、円筒状に形成される直管部26を含み、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって形成される。直管部26の一方端部には、拡径されたゴム輪受口28が形成され、他端部には差口30が形成される。ゴム輪受口28には、先端付近の内周面にゴム輪溝が形成されており、このゴム輪溝に止水用のゴム輪32が装着される。ボディ管部材20の長さは、たとえば5210mmである。また、ボディ管部材20(直管部26)の内径は、たとえば250mmであり、その外径は、たとえば267mmである。このようなボディ管部材20は、ゴム輪受口28に対して他のボディ管部材20の差口30を差し込んでゴム輪接合することによって、ボディ管104を形成する。
図6に示すように、鞘管部材22は、ボディ管104内で複数のケーブル収容スペースを個別に確保する鞘管102を構成するための直管状の部材である。この実施例では、8つの鞘管部材22aおよび6つの鞘管部材22bがボディ管部材20の内部に所定の配置態様で収容されている(図3および図4参照)。なお、説明の際に鞘管部材22aと鞘管部材22bとを区別する必要がない場合には、単に鞘管部材22と記載する。
具体的には、鞘管部材22は、円筒状に形成される直管部34を含み、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって形成される。直管部34の一方端部には、拡径された接着受口36が形成され、他端部には差口38が形成される。鞘管部材22の長さは、たとえば5110mmである。また、鞘管部材22aの内径は、たとえば50mmであり、鞘管部材22bの内径は、たとえば30mmである。このような鞘管部材22は、接着受口36に対して他の鞘管部材22の差口38を差し込んで接着接合することによって、鞘管102を形成する。
また、図3および図4に示すように、整列部材24は、ボディ管部材20内において各鞘管部材22を所定の配置態様に整列させた状態で保持するものである。整列部材24は、スポンジ等の軟質材料によって複数の貫通孔40を有する円板状に形成され、軸方向に移動可能かつ軸周りに回転可能な状態でボディ管部材20の直管部26の両端部に配置される。各貫通孔40には、対応する鞘管部材22が軸方向にスライド(摺動)可能に挿通される。
続いて、図7を参照して、ボディ管やりとり継手10の構成について具体的に説明する。図7に示すように、ボディ管やりとり継手10は、ボディ管104をやりとり接続するために用いられる直管状の部材であり、継手本体50、接合部材52および締め部材54,56を備える。
継手本体50は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって円筒状に形成される所謂プレーン管であって、土圧などの外力に耐え得る強度を有する。継手本体50の長さは、たとえば892mmである。また、継手本体50は、後述する長さ調整用のボディ管部材60および端末用のボディ管部材70(以下、まとめて「ボディ管部材60,70」と言うことがある。)を受容可能な内径を有し、継手本体50の内径は、ボディ管部材60,70の外径よりも若干大きくなるように設定される。
継手本体50の両端部には、ゴムまたはエラストマ等の伸縮性のある材料によって円筒状に形成される接合部材52が設けられる。接合部材52は、径大部80、径小部82、および径大部80と径小部82との連結部分に形成される折返し部84を含む。接合部材52の軸方向長さは、たとえば110mmであり、その厚みは、たとえば5mmである。この接合部材52を継手本体50の両端部に取り付けた状態におけるボディ管やりとり継手10全体の軸方向長さは、たとえば1000mmである。
接合部材52の径大部80は、継手本体50の外径と略同じ大きさの内径を有し、継手本体50の端部に外嵌めされる。この径大部80の内周面には、周方向に延びる複数の環状突起80aが形成される。また、径大部80の外周面には、環状突起80aと対応する位置に、締め部材54を取り付けるための取付溝80bが形成される。一方、接合部材52の径小部82は、ボディ管部材60,70の外径と略同じ大きさの内径を有し、継手本体50の管端から軸方向外側に延びる。この径小部82の内周面には、周方向に延びる複数の環状突起82aが形成される。また、径小部82の外周面には、環状突起82aと対応する位置に、締め部材54を取り付けるための取付溝82bが形成される。
また、接合部材52の折返し部84は、径大部80と径小部82との連結部分を径大部80内に入り込むように略S字状に折り返すことによって形成される。このような折返し部84を有することによって、接合部材52が曲げ変形する際の余裕ができるので、ボディ管やりとり継手10の曲げ性能が向上する。また、折返し部84を有することによって、接合部材52は、曲げ変形し易くなると共に、軸方向に対する伸縮代も有するようになるので、地震時などにおいては、接合部材52がその揺れを吸収できる。
具体的には、折返し部84は、折返し片84a、第1連結片84bおよび第2連結片84cを含む。折返し片84aは、径大部80および径小部82と平行または略平行に延びる。そして、折返し片84aの一方端部は、第1連結片84bによって径大部80と連結され、折返し片84aの他端部は、第2連結片84cによって径小部82と連結される。このように、折返し部84を径大部80および径小部82と平行または略平行に延びるように形成することによって、折返し部84における曲げ変形機能が適切に発揮される。また、径大部80の内径と径小部82の内径との差を大きくすることなく、折返し部84を形成できる。
また、図7と共に図9を参照して、折返し部84の軸方向における折り返し長さL1、つまり第1連結片84bと第2連結片84cとの間の距離は、接合部材52の厚みL2以上の大きさに設定される。この実施例では、L1は7mmである。このように、折返し部84の折り返し長さL1を接合部材52の厚みL2以上の大きさに設定することによって、折返し部84における曲げ変形機能が適切に発揮される。また、径大部80と折返し部84の折返し片84aと間の隙間の大きさS1は、径小部82と折返し部84の折返し片84aとの間の隙間の大きさS2と同じまたは略同じ大きさに設定される。この実施例では、S1およびS2の大きさは、共に3mmである。このように、S1とS2の大きさを同じまたは略同じ大きさに設定することによって、折返し部84が径大部80側と径小部82側とでバランス良く変形するようになり、折返し部84における曲げ変形機能が適切に発揮される。
そして、折返し部84の軸方向内側の端部、具体的には第2連結片84cの軸方向内側の面は、平面状に形成されて、そこに突当て部86が形成される。つまり、折返し部84の軸方向内側の端部は、継手本体50の端部が突き当てられる突当て部86として用いられる。この突当て部86に対して継手本体50の端部を当接させることによって、継手本体50と接合部材52との位置決めが適切に行われると共に、接合部材52に対する継手本体50のずれ(入り込み)が確実に防止される。また、突当て部86に対して継手本体50の端部を当接させておくことで、この当接部分を支点として接合部材52が曲げ変形するようになるので、折返し部84に曲げ応力が適切に作用して、折返し部84における曲げ変形機能がより適切に発揮される。
また、接合部材52の径大部80および径小部82の外周面に形成される取付溝80b,82bのそれぞれには、ステンレス製や合成樹脂製などの締め部材(締めバンド)54,56が取り付けられる。締め部材54,56は、ボルト締め付け機構54a,56aを有する環状の帯体であって、その内径(締め具合)を任意に調整できるものである。ただし、締め部材54,56は、結束バンド機構などの他の締め付け機構を有するものであってもよい。
接合部材52の径大部80に装着される締め部材54は、径大部80と継手本体50の端部とを接合したときに締め込まれる。これによって、継手本体50と径大部80(延いては接合部材52)とが固定されて抜け止めされる。また、環状突起80aが弾性変形して継手本体50の外周面に密着することによって、径大部80の内周面と継手本体50の外周面との間が適切に止水される。ただし、接合部材52の径大部80と継手本体50の端部とは、必ずしも締め部材54を用いて固定される必要はなく、接着接合などによって固定されてもよい。
一方、接合部材52の径小部82に装着される締め部材56は、ボディ管やりとり継手10に対してボディ管部材60,70を挿入またはスライドさせるときには、締め付けていない状態、つまり緩めたままの状態または取り外した状態とされる。そして、やりとり接続が終わってボディ管やりとり継手10とボディ管部材60,70との軸方向位置を固定するときに締め込まれる。締め部材56を締め付けていない状態では、ボディ管部材60,70に作用する接合部材52の抵抗は小さいので、ボディ管部材60,70を手作業で簡単に挿入したりスライドさせたりすることができる。そして、締め部材56を締め付けることによって、ボディ管部材60,70と径小部82とが固定される。また、環状突起82aが弾性変形してボディ管部材60,70の外周面に密着することによって、径小部82の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間が適切に止水される。
このようなボディ管やりとり継手10には、図8に示すように、その一方端部から長さ調整用のボディ管部材60が差し込まれ、これによってボディ管やりとりユニット62が形成される。長さ調整用のボディ管部材60は、施工現場でボディ管部材20を必要長さに切断する等して製作されるボディ管部材であって、その両端部は差口とされる。ボディ管やりとりユニット62は、ボディ管やりとり継手10またはボディ管部材60をスライドさせることによって、その軸方向長さを自由に変化させることができる。
また、この実施例では、図9および図10に示すように、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分のそれぞれにおいて、最大で3°の曲げ角度(屈曲角)θが取れるようにされる。これにより、両側合わせて6°の曲げ角度を取れるようになり、10mRの曲がりに対応可能となる。
具体的には、図9に示すように、長さ調整用のボディ管部材60(端末用のボディ管部材70も同様)は、配管後の状態(基本状態)において、ボディ管やりとり継手10に対するボディ管部材60の挿入長さL3が所定の大きさとなるように、その長さが設定される。また、継手本体50の内周面とボディ管部材60の外周面との間の隙間の大きさS3が所定の大きさとなるように、継手本体50の内径が設定される。この実施例では、L3は210mmであり、S3は4.3mmである。これにより、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分では、3°の最大屈曲角が取れるようになる。ただし、最大屈曲角の大きさの設定は、適宜変更可能である。
また、図10に示すように、この実施例では、継手本体50に対するボディ管部材60,70の屈曲角が最大となる最大屈曲状態においても、折返し部84の突当て部86に継手本体50の端部が突き当たるように、径大部80と折返し部84の折返し片84aと間の隙間の大きさS1等が設定される。これにより、径大部80と折返し部84の折返し片84aと間の隙間(凹部)に継手本体50の端部が入り込んでしまうことが防止される。
続いて、図11−図14を参照して、ケーブル保護管部材12およびボディ管やりとり継手10などを用いて、所定の施工区間に対してケーブル保護管路100を施工する施工方法について説明する。なお、図12−図14では、図面の簡略化のため、代表して1つの鞘管部材22(鞘管102)を示し、他の鞘管部材22の図示を省略している。
ケーブル保護管路100を施工する際には、先ず、施工区間の一方端に第1ハンドホール106aを設け、他端に第2ハンドホール106bを設ける。そして、第1ハンドホール106aを起点として第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100を順次施工していく。
具体的には、図11に示すように、先ず、起点側の第1ハンドホール106aが備えるダクトスリーブ108に対して、複数の鞘管ダクトスリーブ110を備えるボルト固定式ロータス管112を取り付ける。ダクトスリーブ108およびボルト固定式ロータス管112は、ハンドホール106a,106bに対してボディ管部材20および鞘管部材22を接続するための部材であり、複数の鞘管ダクトスリーブ110は、ケーブル保護管路100が備える鞘管102の本数や配列などに応じて設けられる。なお、ダクトスリーブ108およびボルト固定式ロータス管112については、公知技術であるので、この技術に関する詳しい説明および図示は省略する。
続いて、図12に示すように、鞘管ダクトスリーブ110のそれぞれに端末用の鞘管部材64を差し込んで接続すると共に、ダクトスリーブ108に端末用のボディ管部材66を差し込んで接続する。ここで、端末用のボディ管部材66としては、ボディ管部材20と同様のものを用いるとよい。また、端末用の鞘管部材64としては、たとえば2本の鞘管部材22を連結および切断する等して、その先端部が端末用のボディ管部材66から100−200mm程度突出するように長さが調整されたものが用いるとよい。これは、次の鞘管部材22との接合を容易にするためである。なお、第1ハンドホール106aに対してボディ管部材20および鞘管部材22を接続するための部材ないし構造は、上述のものに限定されず、公知技術を適宜採用し得る。
第1ハンドホール106aに対して端末用の鞘管部材64およびボディ管部材66を接続すると、続いて、ケーブル保護管部材12(つまり複数の鞘管部材22およびボディ管部材20のそれぞれ)を順次接続して、第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100を施工する。
具体的に説明すると、端末用の鞘管部材64およびボディ管部材66に対してケーブル保護管部材12を接続する際には、端末用の鞘管部材64の接着受口に対し、それと配置位置が対応するケーブル保護管部材12の鞘管部材22の差口38を挿入して、それらを接着接合する。この際には、ケーブル保護管部材12の鞘管部材22をボディ管部材20から外側に引き出して、引き出した鞘管部材22の差口38の外面に塩化ビニル樹脂系やエポキシ樹脂系などの接着剤を塗布し、端末用の鞘管部材64の接着受口に挿入するとよい。この作業を1本ずつ繰り返して、複数の鞘管部材22の全ての接続作業が終了すると、端末用のボディ管部材66のゴム輪受口に対し、ケーブル保護管部材12のボディ管部材20の差口30を挿入して、それらをゴム輪接合する。後続するケーブル保護管部材12を接続する作業もこれと同様に行うとよい。
第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100が施工されると、続いて、図13および図14に示すように、ケーブル保護管路100の終点部の施工を行う。
具体的には、第1ハンドホール106a側と同様にして、第2ハンドホール106bが備えるダクトスリーブ108に対してボルト固定式ロータス管112を装着する。そして、ボルト固定式ロータス管112の各鞘管ダクトスリーブ110に対して、端末用の鞘管部材68をスライド可能に挿通すると共に、ダクトスリーブ108のゴム輪受口に対して端末用のボディ管部材70の差口を挿入してそれらをゴム輪接合する。ここで、端末用のボディ管部材70としては、ボディ管部材20を1000mm程度の長さに切断する等して製作される両端差口の短尺のボディ管部材が用いられる。また、端末用の鞘管部材68としては、鞘管部材22を1100mm程度の長さに切断する等して製作される短尺の鞘管部材が用いられる。
そして、図13に示すように、所定の直線区間114を残してケーブル保護管路100が施工された状態になると、続いて、鞘管102およびボディ管104のやりとり接続を行う。すなわち、第1ハンドホール106aを起点として順次接続した最終番目のケーブル保護管部材12の鞘管部材22およびボディ管部材20のそれぞれと、第2ハンドホール106bに接続した端末用の鞘管部材68およびボディ管部材70のそれぞれとを、ボディ管やりとり継手10などを用いてやりとり接続し、2つのハンドホール106a,106bを連結する一連のケーブル保護管路100を形成する。
具体的には、先ず、残った直線区間114の長さを測定し、それに応じた長さを有する長さ調整用の鞘管部材72およびボディ管部材60を製作する。長さ調整用の鞘管部材72およびボディ管部材60は、鞘管部材22およびボディ管部材20を必要長さに適宜切断する等して製作するとよい。そして、長さ調整用のボディ管部材60とボディ管やりとり継手10とを接続したボディ管やりとりユニット62(図8参照)を用意する。なお、長さ調整用の鞘管部材72のそれぞれは、ボディ管やりとりユニット62内に予め挿入しておくとよい。
ボディ管やりとりユニット62等が用意できると、続いて、図14に示すように、長さ調整用の鞘管部材72の一方端を対応する鞘管部材22に接続すると共に、ボディ管やりとりユニット62の一方端をボディ管部材20に接続する。すなわち、複数の鞘管部材22の接着受口36のそれぞれに対して対応する鞘管部材72の一方の差口を挿入してそれらを接着接合した後、ボディ管部材20のゴム輪受口28にボディ管部材60の一方の差口を挿入してそれらをゴム輪接合する。
そして、長さ調整用の鞘管部材72の他端を端末用の鞘管部材68に接続すると共に、ボディ管やりとりユニット62の他端を端末用のボディ管部材70に接続する。すなわち、各鞘管部材68を外側に順次スライドさせて、鞘管部材68の接着受口のそれぞれに対して対応する鞘管部材72の他方の差口を挿入してそれらを接着接合する。その後、ボディ管やりとり継手10を外側にスライドさせてボディ管やりとりユニット62を伸ばし、ボディ管やりとり継手10の端部に端末用のボディ管部材70の差口を挿入する。
ここで、この実施例のボディ管やりとり継手10では、ゴム輪接合タイプのボディ管やりとり継手と比較して、ボディ管部材60に対してボディ管やりとり継手10をスライドさせるときの抵抗、およびボディ管やりとり継手10の端部にボディ管部材70の差口を接続(挿入)するときの抵抗が共に小さい。このため、抜け止め用の荷締め機および接続用の荷締め機などを用いることなく、手作業で簡単にやりとり接続を行うことができる。また、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分が可撓性を有する(角度調整可能である)ので、やりとり接続するボディ管104の管軸同士がずれた状態、つまりボディ管やりとり継手10の管軸とボディ管部材70の管軸とがずれた状態(角度ずれまたは芯ずれの状態)においても、容易にやりとり接続することができる。特に、この実施例では、接合部材52が折返し部84を有することで、ボディ管やりとり継手10の曲げ性能が向上されているので、より適切にやり取り接続することができる。
やりとり接続が終わると、ボディ管やりとり継手10の接合部材52の径小部82に装着した締め部材56のそれぞれを締め込む。これによって、ボディ管やりとり継手10(継手本体50)とボディ管部材60,70との軸方向位置が固定される。なお、締め部材56を締め込んだ施工後の状態では、ボディ管やりとり継手10に対するボディ管部材60,70の軸方向位置は固定されるが、地震時などに大きな力が作用したときには、ボディ管部材60,70はスライドしてその揺れ(伸縮)を吸収することができる。また、この実施例では、接合部材52の折返し部84が軸方向に伸縮することによっても、その揺れを吸収することができる。
以上の施工作業によって、図1に示すような、2つのハンドホール106a,106bを連結する一連のケーブル保護管路100が形成される。その後、ケーブル保護管路100の各鞘管102の内部(ケーブル収容スペース)には、適宜ケーブルが挿通される。
以上のように、この実施例によれば、接合部材52が折返し部84を有するので、接合部材52が曲げ変形する際の余裕ができ、ボディ管やりとり継手10の曲げ性能が向上する。したがって、やりとり接続する際の作業性が向上し、延いてはケーブル保護管路を施工する際の作業性を向上させることができる。また、ケーブル保護管路100の曲管部分にも適用し易くなる。さらに、地震等の揺れにも強くなる。
また、この実施例によれば、荷締め機などの接続工具を用いることなく、手作業で簡単にやりとり接続を行うことができるので、作業効率が向上して施工時間を短縮できる。
なお、上述の実施例では、折返し部84は、径大部80および径小部82と平行または略平行に延びるように形成されたが、径大部80および径小部82に対して斜め方向に延びるように形成されてもよい。また、継手本体50の端部は、折返し部84の突当て部86に対して必ずしも突き当てられる必要はなく、接合部材52は、継手本体50の端部と突当て部86との間に隙間のある状態で固定されていてもよい。
また、上述の実施例では、継手本体50の両端部に接合部材52および締め部材54,56を設けたが、これに限定されず、ボディ管やりとり継手10は、継手本体の一方端部のみに接合部材および締め部材を備えるものであってもよい。たとえば、ダクトスリーブ108の一方端部をゴム輪受口とする代わりに、その一方端部に接合部材および締め部材を設け、ダクトスリーブ108にやりとり機能を持たせた継手をボディ管やりとり継手10としてもよい。
さらに、上述の実施例では、第2ハンドホール106bの近傍でやりとり接続を行う施工方法にボディ管やりとり継手10を用いることを例示したが、これに限定されない。たとえば、施工区間の中央部などのハンドホール106a,106bから離れた位置においてやりとり接続を行う施工方法にボディ管やりとり継手10を用いることもできる。この際には、ボディ管やりとりユニット62としては、ボディ管やりとり継手10の両端部から長さ調整用のボディ管部材60を差し込んだものを用いることもできる。つまり、ボディ管やりとりユニット62は、2つのボディ管部材60を備えていてもよい。
さらにまた、上述のケーブル保護管路100の施工方法においては、ボディ管部材20と鞘管部材22とが整列部材24を介して一体化されたケーブル保護管部材12を用いたが、ケーブル保護管部材の態様はこれに限定されず、公知のケーブル保護管部材(鞘管部材およびボディ管部材)を適宜利用できる。たとえば、鞘管部材とボディ管部材とは一体化されていなくてもよい。また、たとえば、複数の鞘管部材を個別に識別できるように、鞘管部材のそれぞれに対して識別情報を付与しておくこともできる。識別情報の付与方法は、たとえば、鞘管部材をカラー化して色分けすることであってもよいし、色分けしたり個別の番号を記載したりしたテープやキャップ等を鞘管部材に取り付けることであってもよい。
また、上述のケーブル保護管路100の施工方法においては、一連の施工を連続的に行うことを前提として説明したが、施工が日を跨いだりするとき等には、施工を中断する場合がある。ケーブル保護管路100の施工を中断するときには、施工済みのケーブル保護管路100内に地下水や土砂などが入り込まないように、ボディ管104(最終番目のボディ管部材)の管端を水密的に封止しておく必要がある。しかし、上述のように、ケーブル保護管路100は、ボディ管部材20の管端から鞘管部材22が突出した状態を維持しながら配管されるため、ボディ管104の管端を容易かつ水密的に封止できる適当な管端封止具が従来には存在しない。
従来の管端封止方法としては、たとえば、図15に示すように、一方端が封止された短管状の管端封止具120を製作し、この管端封止具120をボディ管部材20のゴム輪受口28に対してゴム輪接合しておくことが考えられる。しかし、管端封止具120をゴム輪接合するためには、荷締め機などの接続工具を用いる必要があり、取付作業に手間がかかってしまう。また、施工を再開するときには、管端封止具120を引き抜く必要があるが、この作業にも手間が掛かる上、接合時に塗布した滑材が固化してしまった場合には、管端封止具120を引き抜くこと自体ができなくなる恐れがある。
そこで、この発明の他の実施例として、上述のようなボディ管やりとり継手10を利用した、ボディ管104の管端を容易かつ水密的に封止できる管端封止具90を提案する。この管端封止具90は、図16に示すように、ボディ管やりとり継手10とキャップ部材92とを組み合わせることで構成される。以下、管端封止具90の構成について具体的に説明するが、ボディ管やりとり継手10部分(管端封止具90の本体部分)の構成については、上述の実施例と同様であるので、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
管端封止具90は、円筒状の封止具本体(継手本体)50を備える。封止具本体50は、ボディ管部材20を受容可能な内径を有する。封止具本体の50の両端部には、ゴムまたはエラストマ等の伸縮性のある材料によって円筒状に形成される接合部材52が設けられる。接合部材52は、封止具本体50の端部に外嵌めされて固定される径大部80と、ボディ管部材20の外径と略同じ大きさの内径を有し、封止具本体50の管端から軸方向外側に延びる径小部82と、径大部80と径小部82との連結部分に形成される折返し部84を有する。図示は省略するが、径大部80および径小部82の内周面には、周方向に延びる複数の環状突起80a,82aが形成される。また、接合部材52の径大部80および径小部82の外周面に形成される取付溝80b,82bのそれぞれには、ステンレス等によって形成される締め部材54,56が取り付けられる。
そして、封止具本体50の一方端部には、キャップ部材92が着脱可能に取り付けられる。キャップ部材92は、接合部材52の径小部82に内嵌めされる短円筒状の内嵌部94と、内嵌部94の一方端部を封止する封止部96とを有し、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって形成される。内嵌部94は、ボディ管部材20と略同じ大きさの外径を有する管部材であり、たとえばボディ管部材20を所定長さに切断する等して製作される。内嵌部94の軸方向長さは、たとえば100−300mmである。また、この実施例では、内嵌部94と封止部96とは、接着接合により一体化されるが、キャップ部材92全体を一体成形することもできる。
封止具本体50の一方端部にキャップ部材92を取り付ける際には、内嵌部94の他端部が封止具本体50内に入り込むように、接合部材52の径小部82に内嵌部94を内嵌めする。そしてこの状態で、締め部材56を締め付ける。これにより、径小部82の内周面と内嵌部94の外周面とが密着し、封止具本体50の一方端部が水密的に(つまり適切に止水された状態で)封止される。また、締め部材56を緩めることによって、キャップ部材92を容易に取り外すことができる。
続いて、図17および図18を参照して、上述のような管端封止具90を用いてケーブル保護管路100を施工する施工方法について説明する。ケーブル保護管路100を施工は、図12等を用いて説明したように、複数の鞘管部材22およびボディ管部材20のそれぞれを順次接続することにより行う。
そして、図17に示すように、何らかの原因で、ケーブル保護管路100の施工を中断するときには、管端封止具90を用いて、最終番目のボディ管部材の管端を封止する。この際、最終番目のボディ管部材としては、両端部を差口とした施工中断用のボディ管部材122を用いるようにする。施工中断用のボディ管部材122は、施工現場でボディ管部材20のゴム輪受口28部分を切断する等して製作するとよい。
施工中断用のボディ管部材122に管端封止具90を取り付ける際には、締め部材56を緩め付けない状態とした管端封止具90の他端部側に、ボディ管部材122の差口を挿入し、その後、締め部材56を締め付けて固定する。締め部材56を締め付けていない状態では、ボディ管部材122に作用する接合部材52の抵抗は小さいので、荷締め機などを用いることなく、管端封止具90を手作業で簡単にボディ管部材122に取り付けることができる。そして、締め部材56を締め付けることによって、接合部材52の径小部82の内周面とボディ管部材122の外周面とが密着し、この間が適切に止水された状態でボディ管部材122に対して管端封止具90が固定される。これにより、ボディ管部材122の管端が水密的に封止される。
なお、ボディ管部材122に管端封止具90を取り付ける際には、キャップ部材92を装着した状態の管端封止具90を取り付けてもよいし、キャップ部材92を取り外した状態の管端封止具90を取り付け、その後にキャップ部材92を取り付けるようにしてもよい。
また、図18に示すように、ケーブル保護管路100の施工を再開するときには、管端封止具90のキャップ部材92を取り外し、残りの封止具本体50、接合部材52および締め部材54を用いて、ボディ管部材122に新たなボディ管部材20を接続する。
具体的には、図18(A)に示すように、先ず、一方端部側の締め部材56を緩めて、封止具本体50からキャップ部材92を取り外す。締め部材56を緩めた状態では、キャップ部材92を引き抜く際の抵抗は小さいので、キャップ部材92を容易に取り外すことができる。次に、図18(B)に示すように、他端部側の締め部材54を緩めて、管端封止具90を既設側にスライドさせ、最終番目の鞘管部材22の端部を外部に露出(突出)させる。そして、図18(C)に示すように、最終番目の鞘管部材22に対して新たな鞘管部材22を接続した後、管端封止具90を延長側にスライドさせ、管端封止具90に新たなボディ管部材20を接続する。つまり、管端封止具90の端部に新たなボディ管部材20の差口を挿入した後、締め部材56を締め付けて固定する。
その後、図12−図14等を用いて説明したことと同様にして、残りの施工区間について、ケーブル保護管路100を施工する。なお、ケーブル保護管路100の施工が複数回中断される場合には、その都度、管端封止具90を用いてボディ管104の管端を封止するとよい。
以上のように、この実施例の管端封止具90によれば、ボディ管104の管端を容易に封止(止水)できるので、施工の中断作業が容易となる。また、封止具本体50からキャップ部材92を容易に取り外すことができる上、残る封止具本体50、接合部材52および締め部材54を用いて新たなボディ管部材20を容易に接続することができるので、施工の再開作業も容易となる。したがって、ケーブル保護管路100を施工する際の作業性を向上させることができる。
なお、上述の実施例の管端封止具90では、接合部材52は、径大部80と径小部82との連結部分に折返し部84を有している。これにより、接合部材52が曲げ変形する際の余裕ができるので、キャップ部材92の着脱作業、および新たなボディ管部材20の接続作業が容易となる。ただし、接合部材52の折返し部84は、必ずしも形成される必要はなく、たとえば、径大部80と径小部82とが円環板状の連結部によって連結されていてもよい。
また、上述の実施例の管端封止具90では、キャップ部材92は、一方端部が封止された円筒状に形成されているが、キャップ部材92の具体的な形状および材質については、適宜変更可能である。たとえば、キャップ部材92は、他端部(封止具本体50に挿入する側の端部)が封止されていてもよい。また、両端部が封止された中空の円筒状に形成されてもよいし、中実の円柱状に形成されてもよい。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。