JP6875721B2 - エネルギー変調装置及びこれを用いた粒子線治療装置 - Google Patents

エネルギー変調装置及びこれを用いた粒子線治療装置 Download PDF

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Description

この発明は、陽子線や荷電粒子線を使ったがん等の治療を行う粒子線治療装置及びそれに用いるエネルギー変調装置に関する。
従来、癌治療において、陽子線や炭素イオン線を主とする荷電粒子線(荷電粒子ビーム)を加速器から取り出し、この荷電粒子ビームを腫瘍(照射標的)に照射する粒子線照射装置が利用されている。
このような粒子線照射装置として、照射する荷電粒子ビームの照射野をXY方向に拡大し、この荷電粒子ビームのZ方向のエネルギー幅を大きくし、コリメータにより照射野を所定形状に絞って照射するブロードビーム方式の粒子線照射システムが提案されている(特許文献1参照)。
この粒子線照射システムに関して、所定のエネルギー分布を形成するためのエネルギー分布形成装置が提案されている。当該エネルギー分布形成装置は、リッジフィルタ25の仮想平面25a上に、第一エネルギー吸収体である棒状体1と第二エネルギー吸収体である柱状体3が配置されている。棒状体1は、その厚さがX方向に段階的に変化する階段部分を有している。棒状体1は、その厚さがX方向に段階的に変化する階段部分を有している。このエネルギー分布形成装置により、SOBP(Spread−Out Bragg Peak)幅の大きな拡大ブラッグカーブを精度良く形成でき製作が容易で製作コストを抑えることができるとされている。そして、このような粒子線照射装置は、リッジフィルタによって調整されたエネルギー分布の荷電粒子ビームを、コリメータで腫瘍の形状に合わせて整えてから照射する。
なお、特許文献1の図11に従来例として示されるように、一般的には棒状体1のみを有するリッジフィルタが使用されていること多い。
一方で、粒子線照射装置は、上記特許文献1のようなブロードビーム照射方式だけでなく、スキャニング照射方式も利用されている。このスキャニング照射方式の粒子線照射装置は、細い荷電粒子ビームを走査して腫瘍(照射標的)に照射する。
しかし、上述のエネルギー分布形成装置は、このスキャニング方式の粒子線照射装置でそのまま利用すると、条件によっては照射面内におけるエネルギー幅及び分布が不均一になり得るという問題点があった。
特開2010−117257号公報
この発明は、上述した問題に鑑み、スキャニング照射方式の粒子線照射装置による荷電粒子ビームをどの位置に照射しても照射標的への線量集中性を向上させる粒子線治療装置及びそれに用いるエネルギー変調装置を提供することを目的とする。
この発明は、加速器から取り出した荷電粒子ビームをビーム輸送ラインで輸送し走査電磁石を用いてスキャニング方式により照射する粒子線治療装置に用いるエネルギー変調装置であって、基部から頂点部に向かって断面積が段階的に小さくなる単位構造体が同一平面上に基部底面を位置させて複数整列配置され、隣接する前記単位構造体の前記頂点部の間隔が前記単位構造体に入射する前記荷電粒子ビームのビームサイズ以下の間隔で配置され、一列に整列する前記単位構造体の隣り合う2つの前記頂点と、次列の前記単位構造体の各前記頂点が、前記隣り合う2つの頂点間を底辺とする二等辺三角形または正三角形となる位置に配置され、複数の前記単位構造体は、稠密に整列配置されており、二等辺三角形又は正三角形をなす各前記頂点間の距離は、当該二等辺三角形又は正三角形の外接円の径が前記荷電粒子ビームのビーム径以下になるように構成されているエネルギー変調装置であることを特徴とする。
この発明により、スキャニング照射方式の粒子線照射装置による荷電粒子ビームをどの位置に照射しても照射標的へのエネルギー幅及び分布均一性を保持した線量集中性を向上させることができる。
粒子線治療装置の構成図。 照射部の構成図。 リッジフィルタの構成を説明する説明図。 相対線量の深さ方向(照射方向)分布を示す分布図。 ビームサイズと単位構造体間隔による線量均一性を示すグラフ図。 第2〜第4実施例の単位構造体の構成を説明する説明図。
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
<粒子線治療装置>
図1は、粒子線治療装置10の概略構成を示す構成図である。
粒子線治療装置10は、加速器1と、ビーム輸送ライン2と、照射部3により主に構成されている。
加速器1は、イオン源から取り出された荷電粒子ビームを各種の電磁石、高周波加速装置などによって加速する。
ビーム輸送ライン2は、真空ダクト、四極電磁石2a、及び偏向電磁石2bなどで構成され、加速器1から取り出された荷電粒子ビームを輸送する。
ビーム輸送ライン2の末端には、照射部3が設けられている。
これにより、イオン源から取り出された荷電粒子ビームは、加速器1で加速された後、ビーム輸送ライン2を介して、照射部3に輸送される。
<照射部>
図2は、照射部3の構成図である。
照射部3に輸送された荷電粒子ビームは、ガウス分布に従う粒子数分布を有し、ビームサイズWは、ガウス分布の半値全幅(FWHM)で定義される。このビームサイズWは、最小ビームサイズを3mm未満とすることができ、最小ビームサイズを2mm以下とすることが好ましい。
照射部3は、荷電粒子ビームのXY方向(荷電粒子の進行方向に対する垂直平面方向)の位置を制御するXY方向走査部として機能するX方向走査電磁石4aおよびY方向走査電磁石4bと、荷電粒子ビームのXY方向の位置検出を行うビーム位置モニタ5bと、照射スポットSPごとの荷電粒子の照射線量を計測する線量モニタ5aと、荷電粒子のZ方向(荷電粒子の進行方向)の停止位置(深さ方向となるビーム飛程)を制御するエネルギー変更部6(レンジシフタ)と、停止する荷電粒子の深さ方向の幅Dを制御するリッジフィルタ7(エネルギー変調装置)と、を備えている。なお、荷電粒子のZ方向の停止位置は、エネルギー変更部6だけでなく、加速器1(図1参照)の出射ビームエネルギーの変更によっても制御される。
この構成により、照射部3は、停止する荷電粒子の深さ方向の幅DとビームサイズWとで定義される照射スポットSPに荷電粒子を照射し、そして、各照射スポットSPの3次元位置を制御する。
そして、照射部3は、線量モニタ5aにより計測されたある照射点に照射された照射線量が、当該照射点に対する設定値に達すると、X方向走査電磁石4aやY方向走査電磁石4bを制御し、加えてエネルギー変更部6の変更、あるいは加速器1の出射ビームエネルギーの変更を行う。これにより、荷電粒子ビームの照射位置を次の照射点まで走査することができる。尚、次の照射点に走査される荷電粒子ビームの照射位置はビーム位置モニタ5bにより監視される。
このようにして、照射部3は、荷電粒子ビームを3次元的に走査(スキャニング)して、照射標的となる腫瘍の形状に合わせて3次元的に配置した各照射スポットSPに荷電粒子を次々に照射していく。
<エネルギー変調装置(リッジフィルタ)>
図3(A)は、リッジフィルタ7を構成する底面7dが正六角形の錐体である単位構造体7aを模式的に示す斜視図であり、図3(B)は、当該単位構造体7aを同一平面状に稠密に配置したリッジフィルタ7の一部を荷電粒子ビームの進行方向から見た平面図である。
リッジフィルタ7は、単位構造体7aを一つのユニットとして、当該単位構造体7aを2次元的に周期的に配置した2次元周期構造を有する。図3(B)では、7つの単位構造体7aを図示しているが、実際にはさらに多くの単位構造体7aがこの配置で稠密に配置されてリッジフィルタ7が構成されている。
単位構造体7aは、辺の長さが徐々に短くなり面積も小さくなる相似形の複数の正六角柱7bを、中心軸を一致させ、且つ側面の向きを揃えて基部7uから頂点t7に向かって順に重ねた錐形の構造になっている。1つの正六角柱7bにおける各側面7c(平面視における各辺)の大きさ及び形状は同一である。この実施例では、正六角柱7bが4つ重ねられており、4つの正六角柱の辺の長さは一定の割合で短くなっており、また、4つの正六角柱7bは、いずれも同じ高さで各平面(荷電粒子ビームが照射される照射面)が互いに平行になっているが、これらに限定されるものではない。言い換えると、単位構造体7aは、底面7dが正六角形であり、側面7cに階段状のステップを有する錐体になっている。各正六角柱7bは、求める荷電粒子ビームによるピークの形状に合わせて、上面(荷電粒子ビームが照射される照射面)の面積と高さ(荷電粒子ビームが照射される方向の段差)が定められている。
リッジフィルタ7は、複数の単位構造体7aの集合体であり、各単位構造体7aが同一方向(図中ではZ軸方向)を向き、且つ荷電粒子ビームの進行方向(図中ではZ軸方向)に垂直な同一平面内に、底面7dを隣接させて稠密に配置されている。ここでは、隣接する各単位構造体7aは、最下に位置する正六角柱7bの1つの側面同士が当接するようにハニカム状に配置されている。さらに言えば、単位構造体7aは、等間隔かつ稠密に一列に配置された列が多数平行配置されており、かつ、1列ずつ互い違いに単位構造体7aの頂点7tの位置が隣接する列の単位構造体7aの各頂点7tの間に位置するように配置されている。これにより、一列に整列する前記単位構造体7aの隣合う2つの頂点7t1と、次列の前記単位構造体の各前記頂点7t2が、前記隣り合う2つの頂点7t1,7t1間を底辺L1とする二等辺三角形の一種である正三角形Sとなる位置に配置されている。
そして、各単位構造体7aは、それぞれの頂点7t(7t1,7t2)の間隔が入射する荷電粒子ビームBのビームサイズW以下の間隔で配置されている。さらに言えば、上述した3つの頂点7t1,7t1,7t2で構成される正三角形Sの外接円R1の半径r1が、照射される荷電粒子ビームBのビーム半径Wa以下になるように構成されている。これにより、この三角形を構成する3つの頂点7t1,7t1,7t2の全てを荷電粒子ビーム(スポットビーム)の照射領域外(スポット外)に位置させることができずに、少なくとも1つの頂点7tが荷電粒子ビームの照射領域内(スポット内)に位置することが実現されている。なお、この明細書で言うビームサイズWは、リッジフィルタ7に入射する時点での荷電粒子ビームBのビームサイズW、すなわち、リッジフィルタ7の頂点7tに荷電粒子ビームBが入射する時点での荷電粒子ビームBのビームサイズWを指す。
このようにして、各単位構造体7aは最密に配置されているため、所定のビームサイズWの荷電粒子ビームが照射する照射領域内に充填可能な単位構造体7aの数を最大にすることができる。
尚、リッジフィルタ7は、当該単位構造体7aを一つのユニットとした2次元周期構造となっており、そして、隣接する単位構造体7aの配置間隔PI(頂点間隔)が、その周期間隔となっている。尚、任意の単位構造体7aに隣接する6つの単位構造体7aは、全て辺が隙間なく接続されており、それぞれの頂点間の配置間隔PIはすべて同じ配置間隔PIとなっている。
以上の構造により、単位構造体7aの配置間隔PIに対する荷電粒子ビームBのビームサイズ比を1以上にすることができ、リッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームの中心軸が単位構造体7aのどの部分を通るかに依存せずに、ほぼ同一の線量分布を得ることができる。詳細については後述する。
なお、リッジフィルタ7の材質は、アルミまたはアクリル等の適宜の素材が用いられる。
<線量分布に対するビームサイズ及び配置間隔の影響度合い>
図4は、リッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームBの中心位置と、そのときのビーム軸方向の線量部分の関係を示すグラフであり、縦軸を線量、横軸を深さとしている。なお、この縦軸の線量は、深さ0のときの線量を1として規格可した値である。このグラフは、リッジフィルタ7に荷電粒子ビームが入射する場合、荷電粒子ビームの中心軸が単位構造体7a内の異なる3つの点11a,11b,11c(図3(A)参照)を通る場合があると仮定して計算した、それぞれの荷電粒子ビームの進行方向(深さ方向)の線量分布12a,12b,12cを示している。
計算に際して、荷電粒子ビームは、ガウス分布に従う粒子数分布を有し、ビームサイズWは、ガウス分布の半値全幅(FWHM)で、単位構造体7aの配置間隔PI(図3参照)の0.68倍であると仮定している。尚、計算により導出された線量分布は、荷電粒子ビームがリッジフィルタ7に入射した場合の水中での線量分布を示している。
図4から、荷電粒子ビームの進行方向(深さ方向)の線量分布は、その中心軸が通る点(11a,11b,11c)の位置により違いがあるのがわかる。中心軸が単位構造体7aの頂点7t(11a)に位置する場合、単位構造体7aの厚い部分を荷電粒子ビーム中の粒子の多くが通過するため、エネルギー損失が大きく、線量分布は全体的に浅い方向にシフトし、且つ線量分布の幅が小さくなっている。他方、中心軸が単位構造体7aの底面7dに近い基部側の点(11c)に位置する場合には、単位構造体7aの薄い部分を荷電粒子ビーム中の粒子の多くが通過するため、エネルギー損失が小さく、線量分布は全体的に深い方向にシフトし、且つ線量分布の幅が大きくなっている。そして、中心軸が点(11a)と点(11c)との中間点に相当する点(11b)に位置する場合には、線量分布の深さ方向の全体的な位置、及び線量分布の幅は、中心軸が点(11a)及び点(11c)に位置する上述の場合の中間的な値を示している。
図5は、ビームサイズW(FWHM)で規定された荷電粒子ビームの照射領域に含まれる単位構造体7aの数と、深さ方向の線量均一性との関係を示した図である。横軸は、単位構造体7aの配置間隔PIに対するビームサイズW(FWHM)の比率とし、リッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームが照射する照射領域内に充填することが可能な単位構造体7aの数を間接的に表している。縦軸は、以下の[数1]に示すChi‐square(χ)の値とし、リッジフィルタ7を通過することで形成される深さ方向の線量分布の均一性を表している。
Figure 0006875721
ここで、Calc.(z)は、あるビームサイズで計算した深さzにおける線量分布の計算値であり、Dsgn(z)は、同じ深さzにおける線量分布の設計値である。
横軸は、ビームサイズを頂点t7間のピッチで除算した値を示している。この値は、ピッチサイズ1.73mmのリッジフィルタに対して複数のビームサイズ条件で計算した結果である。
図中のエラーバーは、リッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームの中心軸が単位構造体7a内の様々な点を通ることに起因したバラツキを示している。横軸の値が1より大きい場合には、縦軸のχの値はほぼ一定となっており、計算値の設計値からの乖離がビームサイズに依存していないことを意味している。他方、横軸の値が1より小さくなると、縦軸のχの値、及びエラーバーが大きくなっている。これは、ビームサイズWが単位構造体7aの配置間隔PIより小さくなると、計算値の設計値からの乖離が大きくなり、加えてリッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームの中心軸が通る単位構造体7a内の位置に依存して線量分布の変化が大きくなることを意味している。
以上のことから、リッジフィルタ7に入射する荷電粒子ビームのビームサイズWや入射位置に依存した変化が小さい線量分布を実現するためには、単位構造体7aの配置間隔PIに対するビームサイズWの比率を1以上にする必要がある。言い換えれば、単位構造体7aの配置間隔PIは、ビームサイズWより小さくする必要のあることがわかる。
以上の構成及び動作により、ビームサイズWを小さくした場合でも、リッジフィルタ7を構成する単位構造体7aの配置間隔PIをビームサイズWより小さく設定することにより、荷電粒子ビームの入射位置に依存したエネルギー変調の変動を抑制することができる。これにより、荷電粒子ビームが走査(スキャニング)され、リッジフィルタ7の任意の場所を通過した荷電粒子は、各照射スポットSPにおいて、深さ方向の線量分布に大きな変動を与えることなく照射できる。
また、深さ方向に連なる照射スポットSPの連結部分に不均一な線量分布が生じる恐れが小さくなる。すなわち、リッジフィルタ7を通過する荷電粒子ビームの粒子群の混ざり合いが促進され、照射標的内の線量分布不均一性を抑えることができる。これにより、照射ポート(照射部3)の短縮化を実現でき、粒子線治療装置10を小型化することができる。
また、リッジフィルタ7が最低限持つべき単位構造体7aの密度が明らかになることで、単位構造体7aの小型化に対する工作精度の過度な要求を抑えることができる。
単位構造体7aの配置間隔PIをビームサイズWより小さくすることで、荷電粒子ビームが照射するリッジフィルタ7の照射領域内(特に荷電粒子ビームの進行方向に垂直な面内)での粒子群の混ざり合いが促進される。これにより、各照射スポットSPにおける、荷電粒子ビームの進行方向に垂直な面内の線量分布の均一化が図れる。
また、リッジフィルタ7から照射標的までの距離を過度に大きくとる必要がなく、粒子線治療装置10の小型化にも役立つ。
尚、ビームサイズWを小さくした場合、単位構造体7aの配置間隔PIを、そのビームサイズWより小さくなるようにすればよく、単位構造体7aの小型化のために、過度な工作精度は必要とされない。
図6(A)は、実施例2のリッジフィルタ17を荷電粒子線ビームの進行方向から見た模式図である。
リッジフィルタ7は、単位構造体17aを一つのユニットとして、当該単位構造体17aを2次元的に周期的に配置した2次元周期構造を有する。リッジフィルタ7は、側面17cに階段状のステップを有する底面17dが正方形の錐体である単位構造体17aが、底面17dを隣接させて同一平面状に稠密に配置されている。
図6(A)に示すように、単位構造体17aは、辺の長さが徐々に短くなる複数の正四角柱17bを、中心軸を一致させ、且つ側面の向きを揃えて順に重ねた錐形の構造であってもよい。ここでは、正四角柱17bが4つ重ねられており、4つの正四角柱の辺の長さは一定の割合で短くなっており、また、4つの正四角柱17bの高さ(図中のZ方向)は、何れも同じになっているが、これらに限定されるものではない。言い換えると、単位構造体17aは、側面17cに階段状のステップを有する底面17dが正四角形の錐体であってもよい。
そして、リッジフィルタ17は、各単位構造体17aを同一方向(図中ではZ軸方向)に向け、且つ荷電粒子ビームの進行方向(図中ではZ軸方向)に垂直な同一平面内に、底面17dを隣接させて稠密に配置させて構成するようにしてもよい。ここでは、任意の単位構造体17aに隣接する左右(図中のX方向)の単位構造体17aは、各々1つで、最下に位置する正四角柱17bの1つの側面同士が当接するよう配置されている。一方、任意の単位構造体17aに隣接する前後(図中のY方向)の単位構造体17aは、各々2つで、最下に位置する正四角柱17bの1つの側面同士が当接するよう配置されている。
ここでは、左右に隣接する単位構造体17aの配置間隔は、何れも配置間隔PIxで同じであり、また、前後に隣接する4つの単位構造体17aとの配置間隔は、何れも配置間隔PIyで同じになっているが、配置間隔PIxと配置間隔PIyとは同じにはなっていない。しかしながら、前後に隣接する単位構造体17aを左右方向(図中のX方向)に全体に移動させることで、単位構造体17aの充填密度を変えることなく、配置間隔PIyを配置間隔PIxに一致させることが可能である。この場合、任意の単位構造体17aに隣接する前後の単位構造体17aは、各々1つになるようにXY両方向に整列して配置される。すなわち、各単位構造体17aは、XY両方向にずれが無いように揃えられて全体として平面視(ビーム照射方向から見て)格子状に配置される。このような場合には、単位構造体17aの配置間隔PIは、任意の単位構造に隣接する複数の単位構造の配置間隔の内で最も短い配置間隔、ここでは、配置間隔PIxを指すものとする。
図6(B)は、実施例3のリッジフィルタ27を荷電粒子線ビームの進行方向から見た模式図である。
リッジフィルタ27は、単位構造体27aを一つのユニットとして、当該単位構造体27aを2次元的に周期的に配置した2次元周期構造を有する。このリッジフィルタ27は、側面27cに階段状のステップを有する底面27dが正三角形の錐体である単位構造体27aが、底面27dを隣接させて同一平面状に稠密に配置されている。
図6(B)に示すように、単位構造体27aは、辺の長さが徐々に短くなる複数の正三角柱27bを、中心軸を一致させ、且つ側面の向きを揃えて順に重ねた錐形の構造であってもよい。ここでは、正三角柱27bが4つ重ねられており、4つの正三角柱の辺の長さは一定の割合で短くなっており、また、4つの正三角柱27bの高さ(図中のZ方向)は、何れも同じになっているが、これらに限定されるものではない。言い換えると、単位構造体27aは、側面27cに階段状のステップを有する底面27dが正三角形の錐体であってもよい。
そして、リッジフィルタ27は、各単位構造体27aを同一方向(図中ではZ軸方向)に向け、且つ荷電粒子ビームの進行方向(図中ではZ軸方向)に垂直な同一平面内に、底面27dを隣接させて稠密に配置させて構成するようにしてもよい。
ここでは、任意の単位構造27aの回りには、その最下に位置する正三角柱27bの3つの側面(平面視した二次元三角形の各辺)に対してそれぞれの1つの側面(平面視した二次元三角形の辺)が当接するように配置されている3つの単位構造27aと、同じくその最下に位置する正三角柱27bの3つの側辺(平面視した二次元三角形の各頂点27t)に対してそれぞれ3つの側辺(平面視した二次元三角形の各頂点27t)が当接するように配置されて隣接する9つの単位構造27aが存在する。そして、任意の単位構造27aと最隣接の3つの単位構造27aとは、最短の同じ配置間隔PIで配置されており、ここでは、この最短の配置間隔PIを配置間隔PIとしている。
図6(C)は、実施例4のリッジフィルタ37を荷電粒子ビームの進行方向から見た模式図である。このリッジフィルタ37は、側面37cに階段状のステップを有する底面37dが真円形の錐体を正六角形の平面板37z上に形成した単位構造体37aが、前記平面板37zを隣接させて同一平面状に稠密に配置されている。
リッジフィルタ37は、単位構造体37aを一つのユニットとして、当該単位構造体37aを2次元的に周期的に配置した2次元周期構造を有する。
図6(C)に示すように、単位構造体37aは、正六角形の平面板37z上に形成され、直径の長さが徐々に短くなる複数の円柱37bを、中心軸を一致させて順に重ねた錐形の構造になっている。ここでは、正六角形の平面板37z上に円柱37bが3つ重ねられており、3つの円柱37bの直径の長さは一定の割合で短くなっており、また、3つの円柱37bの高さは、何れも同じになっているが、これらに限定されるものではない。言い換えると、単位構造体37aは、側面37cに階段状のステップを有する底面37dが真円形の錐体が正六角形の平面板37z上に形成された構造になっている。
リッジフィルタ37は、複数の単位構造体37aの集合体であり、各単位構造体37aが同一方向(図中ではZ軸方向)を向き、且つ荷電粒子ビームの進行方向(図中ではZ軸方向)に垂直な同一平面内に、正六角形の平面板37zを隣接させて稠密に配置されている。ここでは、隣接する各単位構造体37aは、最下に位置する正六角形の平面板37zの1つの側面同士が当接するようにハニカム状に配置されている。
実施例1の構成と同様に、各単位構造体37aは最密に配置されているため、所定のビームサイズWの荷電粒子ビームが照射する照射領域内に充填可能な単位構造体37aの数を最大にすることができる。
尚、リッジフィルタ37は、当該単位構造体37aを一つのユニットとした2次元周期構造となっており、そして、隣接する単位構造体37aの配置間隔PIが、その周期間隔となっている。尚、任意の単位構造体37aに隣接する単位構造体37aは、6つ存在し、それらとの配置間隔PIはすべて同じ配置間隔PIとなっている。
実施例2〜4で示した上述のリッジフィルタ17,27,37の何れの構成も、実施例1で示したリッジフィルタの構成と同様の動作をし、同様の効果を奏する。
また、リッジフィルタ17,27,37以外の他の構成及び動作は、上述の実施例1と同一であるため、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、本発明は、上述した各実施例1〜4に限らず、様々な形態をとることができる。
例えば、単位構造体(単位構造体7a,17a,27a,37a)は、荷電粒子ビームの進行方向に見て相似形となる大きさの異なる複数種類の板状ブロック(正六角柱7b,四角柱17b,三角柱27b,円柱37b)が、基部から頂点部に向けて徐々に小さいものが配置された任意の形状に形成することができる。
この発明は、ビームサイズの小さな荷電粒子ビームをスキャニング方式により照射する粒子線治療装置及びそれに用いられるエネルギー変調装置に利用することができる。
1…加速器
2…ビーム輸送ライン
3…照射部
4a…X方向走査電磁石
4b…Y方向走査電磁石
7…リッジフィルタ
7a、17a,27a、37a…単位構造体
10…粒子線治療装置
37z…平面板
PI…配置間隔
W…ビームサイズ

Claims (2)

  1. 加速器から取り出した荷電粒子ビームをビーム輸送ラインで輸送し走査電磁石を用いてスキャニング方式により照射する粒子線治療装置に用いるエネルギー変調装置であって、
    基部から頂点部に向かって断面積が段階的に小さくなる単位構造体が同一平面上に基部底面を位置させて複数整列配置され、
    隣接する前記単位構造体の前記頂点部の間隔が前記単位構造体に入射する前記荷電粒子ビームのビームサイズ以下の間隔で配置され、
    一列に整列する前記単位構造体の隣り合う2つの前記頂点と、次列の前記単位構造体の各前記頂点が、前記隣り合う2つの頂点間を底辺とする二等辺三角形または正三角形となる位置に配置され、
    複数の前記単位構造体は、稠密に整列配置されており、
    二等辺三角形又は正三角形をなす各前記頂点間の距離は、当該二等辺三角形又は正三角形の外接円の径が前記荷電粒子ビームのビーム径以下になるように構成されている
    エネルギー変調装置。
  2. 荷電粒子ビームを加速する加速器と、
    前記加速器から取り出した荷電粒子ビームを搬送するビーム輸送ラインと、
    前記荷電粒子ビームを照射するビーム照射部とを備えた粒子線治療装置であって、
    前記ビーム照射部に、請求項記載のエネルギー変調装置を備え、
    照射標的となる腫瘍の形状に合わせて3次元的に配置した各照射スポットに前記荷電粒子ビームを次々に照射していく際に、
    前記エネルギー変調装置の前記単位構造体の位置にかかわらず前記エネルギー変調装置の任意の場所を通過させる構成である
    粒子線治療装置。
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