JP6874955B2 - 磁性粉被覆導線、磁性粉被覆コイル及びその製造方法 - Google Patents

磁性粉被覆導線、磁性粉被覆コイル及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は磁性粉被覆導線、磁性粉被覆コイル及びその製造方法に関する。
導線及びコイルの近接効果に起因する交流抵抗を低減する方法として、導線の外表面に磁性めっきを施す方法(特許文献1)や、磁性粉と樹脂とを混合させた複合材を導線の外表面に塗布する方法が提案されている(特許文献2〜4)。導線の外表面を磁性材により被覆することにより、隣接する導線を流れる電流によって生じる磁界が透磁率の高い磁性層を通過して導体内に磁界が侵入することを抑制し、導体内に発生する渦電流を低減させ、交流抵抗値が低下する。
特開昭62−151594号公報 特開2005−32499号公報 特開2006−73350号公報 特開2014−71969号公報
近接効果に起因する交流抵抗を低減する方法として、磁性めっきを利用する方法は、処理操作が煩雑になるという問題がある。また、導線の外表面に磁性粉とバインダとの複合材を塗布する方法は、磁性層中における磁性粉の分布がまばらになり、導線内を通過する磁束を抑制する作用が必ずしも十分ではない、という問題がある。
本発明は、導線の交流抵抗を効果的に低減させることができ、製造が容易な、磁性粉被覆導線、磁性粉被覆コイル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る磁性粉被覆導線は、コイルに使用する磁性粉被覆導線であって、導線の外表面に絶縁膜が被覆され、該絶縁膜の外表面に、接着剤層と該導線の外表面を遮蔽する、バインダを含まない磁性粉層が複数層に積層して設けられ、最外の磁性粉層の表面に硬化性の絶縁被膜が設けられていることを特徴とする。
なお、前記磁性粉層が複数層に積層されて設けられていることにより、近接効果を抑制して、さらに交流抵抗を低減させることができる。
磁性粉層に使用する磁性粉としては鉄粉、Si−Fe紛、アモルファス粉、フェライト粉(Mn-Zn、Ni-Zn)、ファインメット(登録商標)粉、センダスト紛等を挙げることができる。磁性粉は、種々のものが市販されているので、適宜使用すればよい。
磁性紛の形状は球状、鱗片状、棒状があり、適宜使用すればよい。鱗片状,または棒状の磁性紛を導線に塗布する場合、外部磁界を印加して、磁性紛の配向をそろえて、導線を隙間なく覆うように磁性紛を配置すれば、さらに交流抵抗を低減させることができる。コイルに磁性紛を塗布する場合、コイルに電流を流して磁界を発生させ、磁性紛の配向をそろえてもよい。また、永久磁石とヨークからなる磁気回路を用いて、導線に外部磁界を印加して磁性紛を配向させてもよい。
接着剤層に使用する接着剤としては、従来の巻線コイルの絶縁被膜と同様に、例えばシリコン、エナメル、ポリイミド、ポリビニルホルマール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド等を挙げることができる。
特に、コイル、導線の発熱や高温下での使用を考慮して、耐熱性シリコン、エポキシなどの熱硬化性樹脂が望ましい。
また、本発明に係る磁性粉被覆コイルは、磁性粉被覆導線からなる磁性粉被覆コイルであって、前記磁性粉被覆導線は、導線の外表面に絶縁膜が被覆され、該絶縁膜の外表面に、接着剤層と該導線の外表面を遮蔽する、バインダを含まない磁性粉層が複数層に積層して設けられ、最外の磁性粉層の表面に硬化性の絶縁被膜が設けられていることを特徴とする。本発明に係る磁性粉被覆コイルは、導線をコイル形状に形成して導線の外表面を遮蔽するように磁性粉層を設けてなるものと、導線の外表面を遮蔽する磁性粉層が設けられた磁性粉被覆導線を用いてコイル状に形成されたものの双方を概念として含む。
磁性粉被覆コイルは、螺旋状、渦巻き状等のコイル形態に形成したものであり、コイルの巻数、コイルの巻層数、巻線径等が限定されるものではない。また、コイルに用いる導線は単線に限るものではなく、角線、平角線、リッツ線、プリント基板上に構成したコイル(インダクタ)でもよい。
また、本発明に係る磁性粉被覆導線の製造方法は、前記磁性粉被覆コイルの製造方法であって、予め絶縁膜が被覆された導線の外表面に接着剤層と、バインダを含まない磁性粉層を複数層に積層する磁性粉塗布工程と、最外の磁性粉層の表面に絶縁被膜を塗布し硬化させる絶縁工程と、を含むことを特徴とする。
また、絶縁被膜を形成する工程で、導線の周囲に塗布した絶縁材料を接着剤として使用し,磁性紛を噴霧して接着させ、焼付させて磁性層を形成してもよい。
また、本発明に係る磁性粉被覆導線はリッツ線であってもよい。磁性粉被覆リッツ線の製造方法は、絶縁被膜を持つ導線を撚り合わせて束にする撚り工程を備えており、撚り工程前に、接着剤塗布工程により銅線の外表面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、該接着剤塗布工程後に、接着剤が塗布された導線に磁性粉を接着させる磁性粉塗布工程と該磁性粉層の外表面に絶縁層を形成する絶縁工程を備え、該磁性粉塗布工程後に前記撚り工程を備えることを特徴とする。
本発明に係る磁性粉被覆導線によれば、高周波領域における交流抵抗を効果的に低減することができ、導線に磁性粉を接着する方法によって磁性粉層を形成することにより、きわめて容易に交流抵抗を低減させた磁性粉被覆導線を得ることができる。
本発明に係る磁性粉被覆導線の構成を示す断面図(a)、従来の磁性導線の構成を示す断面図(b)である。 磁性粉被覆導線の他の構成例を示す断面図である。 磁性粉被覆コイルの製作工程を示す写真である。 磁性粉被覆コイルを構成する導線の断面図とコイルの断面図である。 磁性粉被覆コイルの抵抗−周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 磁性粉層の積層数により交流抵抗がどのように変化するかを調べた結果を示すグラフである。 磁性粉被覆導線の製造工程を示すフロー図である。 磁性粉被覆導線からなるリッツ線の製造方法を示す説明図である。
(磁性粉被覆導線)
図1(a)は本発明に係る磁性粉被覆導線断面形状を示す。
本発明に係る磁性粉被覆導線20は、導線10の外表面に接着剤層12が設けられ、該接着剤層12に導線10の外表面を遮蔽するように磁性粉14aからなる磁性粉層14が形成され、磁性粉層14の外表面に絶縁層16が被着形成されたものである。導線10の外表面を遮蔽するように磁性粉層14が形成されるとは、導線10の外面が磁性粉14aによって隙間なく、完全に覆われ、導線10が磁性粉14aによって完全に遮蔽されるという意味である。
図1(b)は、比較例として、磁性粉15aとバインダ15bとを混合した複合材を導線10の外表面にコーティングした従来の磁性導線17の構成を示す。
図1(a)、(b)では、本発明に係る磁性粉被覆導線20と従来の磁性導線17について、導線に対する磁界の作用を示している。
図1(a)に示す磁性粉被覆導線20では、導線10の外表面が磁性粉層14によって完全に被覆され遮蔽されていることから、外部から導線10に作用する磁界は、導線10よりも透磁率の高い磁性粉層14を透過し、導線10に磁界(磁束)が侵入することが抑えられる。
一方、図1(b)に示す磁性導線17では、複合材層15中の磁性粉15aは、バインダ15bと混合されているため、磁性粉15aの分布密度が低いため、外部磁界が複合材層15から導線10の内部に漏洩し、導線10内で渦電流が発生し、交流抵抗を低減させる作用が不十分となる。
外部磁界を遮蔽する作用が、従来の複合材層15を備える磁性導線17と比較して、本発明に係る磁性粉被覆導線20が優位である理由は、磁性粉層14が複合材層15と比べて、より確実に導線10を磁気的に遮蔽する作用を有するからである。
本発明に係る磁性粉被覆導線20では、接着剤層12に磁性粉14aを付着させて磁性粉層14を形成する手法を利用することにより、磁性粉14aを接着剤層12に付着させる方法を最適化することにより、導線を外部磁界から遮蔽する作用をさらに確実にすることが可能である。
接着剤層12に磁性粉14aを付着させて導線を外部磁界から確実に遮蔽する方法としては、導線10の線径に対して十分に小さなサイズの磁性粉14aを使用することにより、隙間なく磁性粉14aを付着させて遮蔽効果を高めることができる。また、磁性粉14aとしてサイズ(大径と小径のもの)、形状(球状、鱗片状、棒状)が異なる磁性粉を混在させて使用することにより、さらに密に磁性粉14aを付着させることができる。
また、図1に示す磁性粉被覆導線20は、導線10の外面に磁性粉14aを複数層に積層して塗着した例である。導線10の外表面に磁性粉14aを付着させる場合に、接着剤層12に磁性粉14aを塗着させる(付着させる)工程を1回とすることもできるし、接着剤層12を形成する工程(接着剤を塗布する工程)と磁性粉14aを付着させる工程を、複数回繰り返して、いわば磁性粉14aを複数層に積層した構成とすることもできる。磁性粉14aを複数回、塗り重ねることにより磁性粉14aで導線を磁気的に遮蔽する効果をさらに高めることが可能である。
なお、図1(a)に示す実施例では、導線10の外表面に直接、接着剤を塗布して接着剤層12を形成し、この接着剤層12に磁性粉層14を形成した。磁性粉被覆導線の別の実施形態としては、図2に示すように、外表面に絶縁膜11を形成した導線10の外表面に接着剤層12を形成し、接着剤層12の外面に磁性粉層14を設けて磁性粉被覆導線21とすることもできる。
コイル等に使われる導線は、通常、外表面に絶縁膜を被覆した状態で提供される。本発明に係る磁性粉被覆導線はこのような絶縁膜付きの導線を利用して製造することももちろん可能である。絶縁膜11を備える導線10の場合も、磁性粉層14により導線10の外表面を完全に遮蔽することにより、導線10を磁気的に遮蔽し、導線10に外部磁界が侵入することを抑制することにより、交流抵抗を低減させることができる磁性粉被覆導線21として提供することができる。
(磁性粉被覆コイル)
本発明に係る磁性粉被覆コイルには、あらかじめ巻いたコイルに磁性紛を塗布してコイルの外表面に磁性層を設けた構成としたものと、導線の外表面を磁性粉層により被覆した磁性粉被覆導線を用いてコイル状としたものがある。以下では、絶縁膜により外表面が被覆された導線をコイル形状としてから磁性粉被覆コイルを製作した例について説明し、得られた磁性粉被覆コイルの磁気特性について測定した結果について説明する。
図3(a)〜(d)は磁性粉被覆コイルの製作方法を示す。
図3(a)は、導線を用いてコイルを製作した状態である。使用した導線は線径1.45mmの銅線である。銅線は、ポリイミドにより外表面が絶縁被覆されたものである。
実験では、1層、9回巻のコイルを製作して使用した。
図3(b)は、コイルの外周面に接着剤をスプレーして塗布している状態である。接着剤には3M社のスプレーのり55を使用した。スプレーのり55は溶剤系接着剤であり、成分はアクリルゴム10%、有機溶剤54%、主溶剤であるイソヘキサン、アセトンが36%である。
図3(c)はコイルに磁性粉を塗布している工程である。
実験では、Si-Fe、CIP(カルボニル鉄粉)、CIP-OF(酸化被膜付きカルボニル鉄粉)の3種の磁性粉を使用した。表1に使用した磁性粉の組成、形状等を示す。
Figure 0006874955
磁性粉を塗布する操作は、コイルの外表面にスプレーのりを噴霧した後、磁性粉を入れた容器に接着剤を塗布したコイルを入れてコイルに磁性粉を付着させた。磁性紛の塗布方法としては、スプレーガン等で噴霧させて塗布することも可能である。
図3(d)は、磁性粉を塗布した後、導線の外表面を被覆する絶縁層を形成する工程である。本実施例では絶縁剤としてサンハヤト社のハヤコートマーク2を使用し、絶縁剤をスプレーして絶縁層を形成した。
なお、実験で使用した磁性粉被覆コイルは磁性粉を塗布する工程は1回としたものである。磁性粉層を複数層に積層して形成する場合は、磁性粉を塗布した後、再度、接着剤を塗布し、さらに磁性粉を塗布する工程を繰り返して行えばよい。
図4は、上記工程により製作した磁性粉被覆コイルの構成を示す。
コイルの内径は60.0mm、コイルの高さ14.0mmである。銅線の芯材に磁性粉を被覆した状態で導線の外径が1.520mmであり、磁性粉層の厚さは0.02mmである。
(磁性粉被覆コイルの特性評価)
図5は上述した方法により製作した磁性粉被覆コイルについて、抵抗−周波数特性を測定した結果を示す。
図5では、磁性粉としてSi-Feを用いたもの、カルボニル鉄粉を用いたもの(CIP),酸化被膜付きカルボニル鉄粉を用いたもの(CIP-OF)と、比較例として、芯線の銅線に磁性粉層を設けていない単なる銅線(COW)を用いたコイルについて測定した結果を示した。図5のRdcはコイルの直流抵抗、Rsはコイルの表皮効果に起因する抵抗であり、これらを除いた抵抗が、近接効果に起因する抵抗である。
図5から、2MHzにおける交流抵抗を比較すると、銅線(COW)コイルでは抵抗値が0.56Ωであるのに対し、Si-Fe粉を磁性粉層に使用したものでは抵抗値が0.51Ω、CIP粉を磁性粉層に使用したものでは抵抗値が0.58Ω、CIP-OF粉を磁性粉層に使用したものでは抵抗値が0.55Ωとなった。前記3種類の磁性粉を使用したもののうち、Si-Fe粉を使用したものはCOWコイルと比較して12%抵抗値が低減された。磁性粉としてSi-Fe粉を使用したものの交流抵抗値が低減した理由は、磁性粉層を設けたことにより芯線である銅線と鎖交する磁束が減少し、近接効果を抑制したためと考えられる。
なお、磁性粉としてCIP粉を使用したものでは、周波数2MHzにおける交流抵抗が比較例である銅線コイルよりも抵抗値がわずかに上回り、磁性粉としてCIP-OF粉を使用したものでは抵抗値が比較例の銅線コイルを僅かに下回る結果となった。CIP粉やCIP-OF粉と比較してSi-Fe粉を使用した場合に、交流抵抗を低減させる効果が大きく表れた理由として、Si-Feが、CIP及びCIP-OFと比較して透磁率が大きいためであると考えられる。
ただし、磁性粉としてCIP粉やCIP-OF粉を使用した場合でも、周波数が1MHz以下では、いずれの場合もCOWコイルと比較して交流抵抗を低減させる作用が得られている。この実験結果は、銅線の外表面に磁性粉層を設けることにより、交流抵抗を低減させる作用が発揮されることを示している。
図6は、磁性粉としてSi-Feを使用した場合について、磁性粉層を積層したことにより、交流抵抗がどのように変化するかを調べた結果を示す。図6の横軸は、磁性粉層を塗布した回数(積層した回数)、縦軸がコイルの抵抗である。交流抵抗は2MHzのときの抵抗値である。
図6に示した実験結果は、磁性粉を塗布する回数を増やすことにより、交流抵抗値が徐々に低減することを示している。図6では9回塗布した状態で、塗布していない状態と比較して交流抵抗が13%減少した。ただし、ある程度、塗布を重ねると交流抵抗の減少度合いは減少していく。この実験結果は、磁性粉を数回程度塗布することで、外部磁界から導線を遮蔽する作用がほぼ飽和状態に近づくことを示している。すなわち、磁性粉を塗布して磁性粉層を形成する操作は数回程度で有効な遮蔽効果が得られると考えられる。
上記実験では1層のコイルについて実験したが、複数層のコイルについても同様に適用することができる。また、コイルの巻数についてもとくに限定されるものではない。
(磁性粉被覆導線の製造方法)
上述した実験では、銅線からコイルを作成し、コイルの表面に接着剤を塗布し、接着剤に磁性粉を接着し、最外層に絶縁層を設けて磁性粉被覆コイルを製作した。磁性粉被覆コイルを作成する方法には、磁性粉被覆導線を用いてコイル(磁性粉被覆コイル)を作成することも可能である。
磁性粉被覆導線は、導線の表面に接着剤層を介して磁性粉を付着させることで作成することができる。磁性粉を付着させて磁性粉被覆導線を作成する方法は、磁性めっき線のようなめっき方法を利用する方法と比較して、きわめて製造が容易である。以下に、磁性粉被覆導線を製造する方法について説明する。
導線を製造する一般的な製造工程は、伸線工程、焼鈍工程、焼付工程からなる。伸線工程は、所定の線径の母材(裸銅線)をダイスを用いて伸ばすことにより、所定径の銅線に加工する工程である。
焼鈍工程は、裸銅線に必要な柔らかさを付与するための工程である。伸線工程後の銅線を焼鈍炉を通過させ、水冷することによって焼鈍する。
焼付工程は、焼鈍した銅線に絶縁ワニス(エナメル)を塗布し、乾燥・熱硬化させ、銅線の表面に絶縁被膜を形成する工程である。
磁性粉被覆導線はこの導線の製造工程の焼付工程を利用して製造することができる。
図7に磁性粉被覆導線の製造工程を示す。
接着剤塗布工程30は、焼鈍工程から送られてくる裸銅線の外表面に接着剤を塗布する工程である。接着剤を塗布する方法としては、たとえば、接着剤槽に塗布ローラを浸漬させ、塗布ローラを回転させながら裸銅線を塗布ローラの外面に接触させて送ることにより接着剤を塗布することができる。フェルト等で過剰に供給された接着剤を除去して銅線に薄く接着剤層を付着させるようにしてもよい。接着剤槽を用いずにスプレー法により接着剤を塗布する方法や、接着剤を浸したスポンジに銅線を接触させる方法を利用することもできる。
磁性粉塗布工程は、接着剤が塗布された導線に磁性粉を接着させる工程である。磁性粉を接着させる方法としては、ノズルから導線に向けて磁性粉をスプレーする方法、磁性粉を収容した容器を横切るように銅線を通過させ、容器内の磁性粉と接着剤付きの銅線とが接触するようにする方法等が利用できる。
接着剤塗布工程と磁性粉塗布工程は複数回繰り返すことにより、銅線の表面上に磁性粉層を積層して形成することができる。接着剤塗布工程と磁性粉塗布工程の繰り返し回数は、形成しようとする磁性粉層の厚さ等に応じて適宜設定すればよい。
磁性粉層を形成した後、必要に応じて接着剤を硬化させる乾燥工程を経て、次の絶縁工程に進む。
絶縁工程は磁性粉層の外表面に絶縁被膜を形成する工程である。エナメル線の製造工程では、絶縁剤としてワニスを塗布し、焼付によりワニスの溶剤を飛ばして絶縁膜を焼き付ける。磁性粉被覆導線の製造工程においても、磁性粉層を形成した銅線の表面にワニスを塗布し、焼き付けることにより銅線の外表面に絶縁被膜を形成することができる。
図7に示す磁性粉被覆導線の製造工程は、従来のエナメル線の製造工程がそのまま利用できること、工程中で銅線に塗布するエナメル、ワニス等を接着剤として利用できる。さらに、めっき工程のような複雑な工程管理が不要であり、効率的に磁性粉被覆導線が製造できるという利点がある。
(リッツ線の製造方法)
リッツ線はエナメル線を撚り合わせて作成されるもので、表皮効果、近接効果による交流抵抗が抑えられることから高周波領域において利用されている。
リッツ線を製造する方法は、複数本の素線を撚り合わせる方法が一般的である。磁性粉被覆導線からなるリッツ線も、必要な本数の導線を撚り合わせる工程で磁性粉を被覆することによって製造することができる。
図8は、被膜付銅線(素線)から磁性粉被覆導線からなるリッツ線を作成する方法を示す。
図8では、素線供給部30から素線5が送出される経路内に、接着剤供給部32と、磁性粉供給部34と、絶縁剤供給部36とをこの順に配置し、素線5が、接着剤供給部32と、磁性粉供給部34と、絶縁剤供給部36をこの順に通過した後、ダイス40により導線形状を整えて加工されるようにしたものである。素線5に磁性粉が複数回塗布されるようにするには、絶縁剤供給部36の前段に、接着剤供給部32と磁性粉供給部34を複数組、配置すればよい。
図8に示すような配置とすることにより、磁性粉層14によって被覆された銅線10からなる磁性粉被覆導線が撚り合されたリッツ線50を得ることができる。このリッツ線の製造方法も、導線(素線)に接着剤層を介して磁性粉を接着するという特徴的な製法により、きわめて容易にリッツ線を得ることができる。
本方法によって得られたリッツ線は、リッツ線を構成する導線が磁性粉被覆導線からなることにより、高周波領域における交流抵抗をさらに低減させることが可能になる。
10 導線
12 接着剤層
14 磁性粉層
14a 磁性粉
15 複合材層
15a 磁性粉
15b バインダ
16 絶縁層
17 磁性導線
20 磁性粉被覆導線
21 磁性粉被覆導線
32 接着剤供給部
34 磁性粉供給部
36 絶縁剤供給部
40
50 リッツ線

Claims (4)

  1. コイルに使用する磁性粉被覆導線であって、
    導線の外表面に絶縁膜が被覆され、
    該絶縁膜の外表面に、接着剤層と該導線の外表面を遮蔽する、バインダを含まない磁性粉層が複数層に積層して設けられ、
    最外の磁性粉層の表面に硬化性の絶縁被膜が設けられていることを特徴とする磁性粉被覆導線。
  2. 前記磁性粉層が、鉄粉、Si−Fe紛、アモルファス粉、フェライト粉(Mn-Zn、Ni-Zn)、フ
    ァインメット(登録商標)粉、センダスト紛のいずれかからなることを特徴とする請求項
    1記載の磁性粉被覆導線。
  3. 磁性粉被覆導線からなる磁性粉被覆コイルであって、
    前記磁性粉被覆導線は、
    導線の外表面に絶縁膜が被覆され、
    該絶縁膜の外表面に、接着剤層と該導線の外表面を遮蔽する、バインダを含まない磁性粉層が複数層に積層して設けられ、
    最外の磁性粉層の表面に硬化性の絶縁被膜が設けられていることを特徴とする磁性粉被覆コイル。
  4. 請求項3記載の磁性粉被覆コイルの製造方法であって、
    予め絶縁膜が被覆された導線の外表面に接着剤層と、バインダを含まない磁性粉層を複数層に積層する磁性粉塗布工程と、
    最外の磁性粉層の表面に絶縁被膜を塗布し硬化させる絶縁工程と、を含むことを特徴とする磁性粉被覆導線の製造方法。
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