JP6873869B2 - 鉄道設備モニタリング装置及び鉄道設備モニタリングシステム - Google Patents
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Description
パターンマッチングを用いない鉄道設備等の検出に関し、鉄道検測車の先頭車両上部に搭載の設置高が等しい2つのカメラの光軸を平行にした上で、三角測量に基づくステレオ法で鉄道設備等を測距する手法が提案されている(非特許文献2)。非特許文献2では、2つのカメラの中心間を結ぶ線(ベースライン)と平行な鉄道設備の測距が不十分であるため、不完全な3次元マップが生成される虞がある。
このような課題を解決するものとして、例えば特許文献1に記載される技術が提案されている。特許文献1では、ロボットの両眼部分に光軸が平行なカメラを設置し、2つのカメラを用いてステレオ法で測距を行い、ステレオカメラが地面に対し水平状態にあり、カメラと平行な物体や領域に関して十分な測距が出来ない場合、ロボットの首を傾けさせる、すなわち、ステレオカメラをロール角方向に回転させることにより、地面に水平状態のステレオカメラと平行な物体や領域を測距可能とするものである。
特許文献1では、単一の回転角度にてステレオカメラにより撮像画像を得るものである。しかしながら、外部環境条件(天候、時間、日射量、昼/夜等)は変化するものであり、外部環境条件の変化により単一の回転角度では測距精度が低下する虞がある。換言すれば、特許文献1では外部環境条件の変化については何ら考慮されていない。
また、本発明に係る鉄道設備モニタリング装置は、2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、前記2つのカメラは光軸が平行であり、且つ、相互に水平に配され、前記カメラ回転保持部は、前記2つのカメラの中心間を結ぶベースラインの略中心を回転軸として、前記所定の回転角度毎に前記ステレオカメラをロール回転角方向に回転させ、前記制御演算部は、前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする。
また、本発明に係る鉄道設備モニタリングシステムは、鉄道設備モニタリング装置と、運行管理センターを含む地上設備に設置される電子端末と、これらを相互に通信可能に接続する通信ネットワークを備え、前記鉄道設備モニタリング装置は、2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、前記制御演算部は、前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする。
また、本発明に係る鉄道設備モニタリングシステムは、鉄道設備モニタリング装置と、運行管理センターを含む地上設備に設置される電子端末と、これらを相互に通信可能に接続する通信ネットワークを備え、前記鉄道設備モニタリング装置は、2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、前記2つのカメラは光軸が平行であり、且つ、相互に水平に配され、前記カメラ回転保持部は、前記2つのカメラの中心間を結ぶベースラインの略中心を回転軸として、前記所定の回転角度毎に前記ステレオカメラをロール回転角方向に回転させ、前記制御演算部は、前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
また、本明細書において「カメラ回転角度の粒度」とは、ステレオカメラを所定の回転角度ずつ回転させ撮像する場合における当該所定の回転角度、換言すれば、回転角度刻みの一つの単位を粒度と称する。
また、本明細書においては、鉄道設備モニタリング装置が設置される車両を、「電車車両」或いは「列車」と称する場合もある。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1に示すように、鉄道設備モニタリング装置1は、「2つのカメラの光軸が平行」且つ「2つのカメラの位置が水平」なステレオカメラ11、ステレオカメラ11を搭載し回転可能に保持するカメラ回転保持部12、制御演算部10、画像表示部16、及び入力部19を備える。また、鉄道設備モニタリング装置1には、外部環境条件(天候、日射量、昼/夜等)を測定するための照度計20、及び、電車車両の位置情報を計測する位置情報通知モジュール30が接続されている。ここで、位置情報通知モジュール30として、例えば、GPS(Global Positioning System)が用いられる。
制御演算部10は、ステレオカメラ11で撮像された原画像を入力とする三角測量に基づくステレオ法で測距を施して距離画像を生成するステレオ処理部13、ステレオ処理部13による距離画像とステレオカメラ11で撮像された原画像に基づき対象物であるパンタグラフのみが抽出された画像を生成する対象物抽出部14、対象物抽出部14によるパンタグラフのみが抽出された画像を回転補正する回転補正部15、記憶部17、及び、通信ネットワーク3を介して電子端末2へ回転補正後のパンタグラフのみが抽出された画像を送信するための通信制御部18を備える。ステレオ処理部13、対象物抽出部14、回転補正部15、及び通信制御部18は、例えば、CPU等のプロセッサ、プログラムを格納するROM、ROMより読み出されたプログラムをプロセッサが実行する過程のデータ等を一時的に格納するRAM等の記憶装置にて実現される。
なお、鉄道設備モニタリング装置1を構成する、制御演算部10、画像表示部16、及び入力部19は、電車車両の車内に設置されている。
図4は、図1に示すステレオカメラ11とステレオカメラ11を搭載するカメラ回転保持部12の側面図である。図4に示すように、カメラ回転保持部12は、ステレオカメラ11を搭載可能とするマウント部材121、マウント部材121に設置されたステレオカメラ11を後述するベースラインの中心を回転軸としてステレオカメラ11を所定角度回転させた姿勢で保持する回転制御機構122、及び信号線L31を介して回転制御機構122へ所定の回転角度指令である信号を出力する回転情報記録部123を有する。マウント部材121は、例えば、ステンレス鋼製であり、ステレオカメラ11を構成する2つのカメラを水平且つ光軸が平行となるよう収容する図示しない筐体と、例えば、ボルト締結により固定される。回転制御機構122は、回転情報記録部123からの信号により指定されたロール角方向に、回転制御機構122を構成する例えば、図示しないサーボモータ等によりマウント部材121を所定の回転角度に回転させ、その姿勢を保持する。また、回転情報記録部123は、例えば、CPU等のプロセッサ、プログラムを格納するROM、ROMより読み出されたプログラムをプロセッサが実行する過程のデータ等を一時的に格納するRAM等の記憶装置にて実現される。
図5は、図1に示すステレオカメラ11とステレオカメラ11を搭載するカメラ回転保持部12の正面図である。図5の上図は回転角度θが0°の状態を示している。図5の上図に示すように、右カメラ11a及び左カメラ11bの中心はベースライン(2つのカメラの中心間を結ぶ線)上に位置、すなわち、右カメラ11a及び左カメラ11bは水平に位置し、それぞれの光軸は相互に平行である。なお、パンタグラフ9がトロリ線に接触しているものとした場合、鉄道設備モニタリング装置1の起動直後では、図5の上図に示すように、カメラ回転角度θ=0°となっている。
図5の下図は、マウント部材121がベースラインの中心を回転軸として時計回りにロール回転角θだけ回転し、保持された状態を示している。このように、マウント部材121は、回転制御機構122によりベースラインの中心を回転軸として任意のロール回転角方向に回転可能で、ステレオカメラ11を所定の回転角度θだけ回転させた姿勢で保持される。なお、パンタグラフ9がトロリ線に接触しているものとした場合、鉄道設備モニタリング装置1が起動してから所定時間経過後においては、図5の下図に示すように、カメラ回転角度θ≠0°となる。
なお、回転情報記録部123は、回転制御機構122へ信号線L31を介して所定の回転角度指令である信号を出力することに加え、少なくともステレオカメラ11の回転角度毎に詳細後述する測距可能な画素数を記録する機能を有し、当該カメラ回転角度毎に測距可能な画素数を、信号線L10(図1)を介して制御演算部10を構成する記憶部17の所定の記憶領域に格納する。なお、記憶部17は、少なくとも1つ以上の記憶媒体にて構成されている。
また、カメラ回転保持部12を構成するマウント部材121に搭載されるステレオカメラ11は、所定の周期にて右カメラ11a及び左カメラ11bにて撮像し、撮像した2つの原画像を、図1及び図4に示すように、信号線L1を介してステレオ処理部13へ、信号線L2を介して対象物抽出部14へ、及び信号線L8を介してカメラ回転保持部12を構成する回転情報記録部123へ出力する。
図1に示すように、制御演算部10を構成するステレオ処理部13は、所定の回転角度にて回転させた姿勢にてカメラ回転保持部12により保持されるステレオカメラ11により撮像された原画像(ステレオ原画像)を、信号線L1を介して入力する。そして、ステレオ処理部13は、入力された原画像(ステレオ原画像)へ三角測量に基づくステレオ法で測距を施して距離画像を生成し、信号線L3を介して生成した距離画像を対象物抽出部14へ出力する。ここで距離画像の一例について説明する。図6は、図1に示すステレオ処理部13により生成される、パンタグラフの距離データをグレースケールで表現した距離画像の一例を示す図である。図6に示すように、距離画像(パンタグラフ距離画像)は、ステレオカメラ11から近い部分は明るく(輝度が高い)、離れるにつれて暗く(輝度が低い)表示されるグレースケール画像として生成される。図3に示した原画像(パンタグラフ原画像)と比較すると分かるように、グレースケール画像として生成される距離画像(パンタグラフ距離画像)は、上述の図2に示したステレオカメラ11とパンタグラフ9との間の距離を反映した画像となっている。
図1に示すように、制御演算部10を構成する対象物抽出部14は、所望の値を設定可能な対象物体の存在範囲以外をマスクする距離フィルタを、ステレオ処理部13で生成された距離画像(パンタグラフ距離画像)に適用して対象物体の距離情報が存在する画素の座標を抽出し、対象物体存在領域から構成される2値の対象物存在領域画像(白で存在領域を表現)と信号線L2を介してステレオカメラ11より入力される原画像との乗算を実行して対象物体のみが抽出された画像を生成する。
対象物抽出部14は、図8に示す2値化処理を施して得られたパンタグラフ存在領域内の物体のシルエット画像を、図1及び図4に示すように信号線L4を介してカメラ回転保持部12を構成する回転情報記録部123へ出力する。回転情報記録部123は、信号線L4を介して入力されたパンタグラフ存在領域内の物体のシルエット画像内に存在する有効画素(「1」(白)が有効画素で、「0」(黒)が無効画素)を集計し、集計値(測距可能画素数)と対応するカメラ回転角度の情報を、信号線L10を介して制御演算部10の記憶部17の所定領域に格納される。図9は、図1に示す記憶部17に格納される、カメラ回転角度と測距可能画素数とを対応付けるデータ構造の一例を示す図である。図9に示すように、記憶部17は、カメラ回転角度θ[°]と測距可能画素数とを対応付けて(紐づけて)格納する。例えば、「カメラ回転角度θ[°]」が「0」のとき「測距可能画素数」は「625」であり、「カメラ回転角度θ[°]」が「15」のとき「測距可能画素数」は「777」であり、「カメラ回転角度θ[°]」が「30」のとき「測距可能画素数」は「900」であり、「カメラ回転角度θ[°]」が「45」のとき「測距可能画素数」は「625」である。また、「カメラ回転角度θ[°]」が「60」のとき「測距可能画素数」は「888」であり、「カメラ回転角度θ[°]」が「75」のとき「測距可能画素数」は「800」であり、「カメラ回転角度θ[°]」が「90」のとき「測距可能画素数」は「700」である。このように、所定の回転角度15°毎(粒度)にステレオカメラ11の回転角度を順次変化させた場合の測距可能画素数が紐づけて格納される。なお、仮に外部環境条件に変化がない場合においては、一般的には45°がステレオカメラ11の最適なカメラ回転角度となる。しかしながら、実際には外部環境条件の変化に応じて、最適なステレオカメラ11のカメラ回転角度は、45°からずれる。そのため、粒度を15°として、ステレオカメラ11のカメラ回転角度を変化させ測距可能画素数を集計する構成としている。なお、粒度は15°に限られるものではなく、例えば粒度を5°に設定しても良い。
図1に示すように、制御演算部10を構成する回転補正部15は、ステレオカメラ11を所定の回転角度だけ回転させた姿勢で対象物体を撮像した場合、対象物体のみ抽出された画像に対して、撮像時におけるステレオカメラ11の回転角度の逆回転補正処理を適用し、ステレオカメラ11が無回転の状態で撮影した場合と同一姿勢の対象物体のみ抽出された逆回転補正後の画像を生成する。
具体的には、回転補正部15は、信号線L5を介して対象物抽出部14にて生成されたパンタグラフ9のみが抽出された画像(パンタグラフ抽出画像)を入力すると共に、信号線L6を介してカメラ回転保持部12を構成する回転情報記録部123よりステレオカメラ11のカメラ回転角度θを入力する。回転補正部15は、入力されたカメラ回転角度θがゼロではない場合、当該カメラ回転角度θだけパンタグラフ抽出画像に対し逆回転補正処理を施すことにより、監視員に見易い画像を生成する。ここで、逆回転補正処理として、例えば、アフィン変換等の処理が用いられる。なお、仮に、カメラ回転角度θ=0の場合、回転補正部15は、逆回転補正処理を実行しない。
回転補正部15は、逆回転補正処理後の画像(逆回転補正後画像)を、信号線L9を介して記憶部17の所定の記憶領域に格納すると共に、信号線L7を介して画像表示部16及び通信制御部18へそれぞれ出力する。
画像表示部16は、信号線L7を介して回転補正部15より入力された逆回転補正後画像を画面上に表示する。これにより、電車車両の乗務員は、容易にパンタグラフ9の状態を把握することが可能となる。
図1に示すように、制御演算部10を構成する通信制御部18は、信号線L7を介して回転補正部15より入力された逆回転補正後画像を、位置情報通知モジュール30より得られる当該電車車両の位置情報と共に、通信ネットワーク3を介して、運行管理センター等の地上設備に設置される電子端末2或いはサーバへ送信する。これにより、運行管理センター等の地上設備内の監視員は、容易にパンタグラフ9の状態を把握することが可能となる。
<鉄道設備モニタリング装置1の動作>
以下に鉄道設備モニタリング装置1の動作を説明する。特に、環境条件の変化による影響を抑制し得るステレオカメラ11のカメラ回転角度の最適値の探索処理を含め、鉄道設備モニタリング装置1による全体処理及び動作について説明する。図11は、図1に示す鉄道設備モニタリング装置1により実行される処理フローを示すフローチャートであって、電車起動直後にカメラ回転角度θを最適値に設定するフローチャートである。
図11に示すように、ステップS11では、車庫にて鉄道設備モニタリング装置1を搭載する電車を起動する。
ステップS12では、鉄道設備モニタリング装置1の起動の際、ステレオカメラ11のカメラ回転角度θは0°となっている。この状態において、カメラ回転保持部12を構成する回転情報記録部123は、上述のシルエット画像内に存在する有効画素を集計し、集計値を測距可能画素数の最適値の初期値として記録する。
ステップS15では、回転情報記録部123は、集計値である測距可能画素数が最大となるカメラ回転角度θを決定する。そして、回転情報記録部123は、最適値(測距可能画素数が最大)に基づくステレオカメラ11のカメラ回転角度θを決定した後、集計値(測距可能画素数)が最大となるカメラ回転角度θにマウント部材121を保持させるための信号を、回転制御機構122へ信号線L31を介して出力する。
図12は、図1に示す鉄道設備モニタリング装置1により実行される処理フローを示すフローチャートであって、走行中に照度が変化した場合にカメラ回転角度θを最適値に変更させるフローチャートである。以下では、図11の処理フローにより、駅を出発した電車のカメラ回転角度θの変更について説明する。
図12に示すように、ステップS21では、車庫を出発し始発駅に到着した電車は走行を開始する。
ステップS27では、制御演算部10を構成する記憶部17に格納された走行照度値を更新し、ステップS22へと戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
鉄道設備モニタリング装置1が、上述の図11及び図12の処理フローを実行することにより、外部環境条件(天候、時間、日射量、昼/夜等)の変化に応じて、最適なステレオカメラ11のカメラ回転角度θを決定することが可能となり、外部環境条件の変化による影響を抑制し、パンタグラフ9の状態を監視員に見え易く表示することが可能となる。
本実施例の回転情報記録部123は、信号線L4を介して入力された制御演算部10を構成する対象物抽出部14により生成されたパンタグラフ存在領域内の物体のシルエット画像内に存在する有効画素の形状、すなわち、シルエット画像内のパンタグラフ9の形状と、図1及び図4に示す信号線L8を介してステレオカメラ11より入力される図3に示すパンタグラフ9の原画像(カメラ回転角度θ=0で撮像された原画像)の形状とを比較する。比較の結果、パンタグラフ9の原画像に対するシルエット画像内に存在する有効画素の形状の類似度が最大となるカメラ回転角度θを、ステレオカメラ11の最適なカメラ回転角度θとして決定する。換言すれば、回転情報記録部123は、カメラ回転角度θが0°のときのステレオカメラ11にて撮像されたパンタグラフ9の原画像をテンプレートとし、各カメラ回転角度にて得られるシルエット画像内のパンタグラフ9の形状に対しパターンマッチング処理を実行し、パンタグラフに対する類似度をカメラ回転角度毎に求める。求めたカメラ回転角度毎のパンタグラフに対する類似度は、図1に示す信号線L10を介して記憶部17の所定の記憶領域に格納される。
なお、本実施例では、カメラ回転角度θが0°のときのステレオカメラ11にて撮像されたパンタグラフ9の原画像をテンプレートとしたがこれに限られるものではない。例えば、予め電車車両の屋根構体に設置される新品のパンタグラフ9を、所定のカメラ回転角度θ(例えば、15°)間隔にて順次ステレオカメラ11のカメラ回転角度を変化させ、ステレオカメラ11により撮像されたパンタグラフ9の原画像を、所定のカメラ回転角度θ毎のテンプレートとして用いても良い。この場合、所定のカメラ回転角度θ毎にテンプレートを対応付けて予め記憶部17に格納しておくことで、車両が運行中におけるステレオカメラ11のカメラ回転角度θに対応するテンプレートを記憶部17より読み出すことで、パターンマッチング処理が実行される。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
2…電子端末
3…通信ネットワーク
9…パンタグラフ
10…制御演算部
11…ステレオカメラ
11a…右カメラ
11b…左カメラ
12…カメラ回転保持部
13…ステレオ処理部
14…対象物抽出部
15…回転補正部
16…画像表示部
17…記憶部
18…通信制御部
19…入力部
20…照度計
30…位置情報通知モジュール
100…鉄道設備モニタリングシステム
121…マウント部材
122…回転制御機構
123…回転情報記録部
Claims (15)
- 2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、
前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、
前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、
前記制御演算部は、
前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、
前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、
前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、
前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、
前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、
前記2つのカメラは光軸が平行であり、且つ、相互に水平に配され、
前記カメラ回転保持部は、前記2つのカメラの中心間を結ぶベースラインの略中心を回転軸として、前記所定の回転角度毎に前記ステレオカメラをロール回転角方向に回転させ、
前記制御演算部は、
前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、
前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、
前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の鉄道設備モニタリング装置において、
前記対象物抽出部は、前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像に対しパンタグラフの存在領域以外をマスク処理する距離フィルタを有することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 請求項3に記載の鉄道設備モニタリング装置において、
入力部と記憶部を備え、
前記入力部を介して設定される前記距離フィルタの適用範囲を前記記憶部に格納し、
前記対象物抽出部は、前記記憶部に格納される前記距離フィルタの適用範囲に基づき、マスク処理することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 請求項4に記載の鉄道設備モニタリング装置において、
前記入力部を介して設定される前記所定の回転角度を前記記憶部に格納し、
前記カメラ回転保持部は、前記記憶部に格納される所定の回転角度に基づき前記ステレオカメラを回転させることを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 請求項5に記載の鉄道設備モニタリング装置において、
前記記憶部は、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像におけるパンタグラフに対応する画素数を集計し得られる測距可能画素数と、前記所定の回転角度とを対応付けて格納し、
前記カメラ回転保持部は、前記記憶部に格納される測距可能画素数のうち最大値に対応する前記所定の回転角度を前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度として決定することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 請求項5に記載の鉄道設備モニタリング装置において、
前記カメラ回転保持部は、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像におけるパンタグラフに対応する画素の形状と前記ステレオカメラにより撮像されたパンタグラフの画像とを比較し、前記パンタグラフの画像に対する前記パンタグラフに対応する画素の形状の類似度が最大となる前記所定の回転角度を前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度として決定することを特徴とする鉄道設備モニタリング装置。 - 鉄道設備モニタリング装置と、運行管理センターを含む地上設備に設置される電子端末と、これらを相互に通信可能に接続する通信ネットワークを備え、
前記鉄道設備モニタリング装置は、
2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、
前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、
前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、
前記制御演算部は、
前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、
前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、
前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 鉄道設備モニタリング装置と、運行管理センターを含む地上設備に設置される電子端末と、これらを相互に通信可能に接続する通信ネットワークを備え、
前記鉄道設備モニタリング装置は、
2つのカメラから構成され、対象物体であるパンタグラフを撮像するステレオカメラと、
前記ステレオカメラを回転可能に保持するカメラ回転保持部と、
前記ステレオカメラを所定の回転角度毎に変化させ、各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成し、前記パンタグラフの距離画像に基づき前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度を決定する制御演算部と、画像表示部を備え、
前記2つのカメラは光軸が平行であり、且つ、相互に水平に配され、
前記カメラ回転保持部は、前記2つのカメラの中心間を結ぶベースラインの略中心を回転軸として、前記所定の回転角度毎に前記ステレオカメラをロール回転角方向に回転させ、
前記制御演算部は、
前記各回転角度にて得られる撮像画像からパンタグラフの距離画像を生成するステレオ処理部と、
前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像及び前記ステレオカメラにて撮像されたパンタグラフの原画像に基づき、前記対象物体であるパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を生成する対象物抽出部と、
前記決定されたステレオカメラの回転角度に応じて、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を、逆回転補正処理を行う回転補正部と、を有し、前記回転補正部による逆回転補正処理後の前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項8又は請求項9に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記対象物抽出部は、前記ステレオ処理部により生成されたパンタグラフの距離画像に対しパンタグラフの存在領域以外をマスク処理する距離フィルタを有することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項10に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記鉄道設備モニタリング装置は、入力部と記憶部を備え、
前記入力部を介して設定される前記距離フィルタの適用範囲を前記記憶部に格納し、
前記対象物抽出部は、前記記憶部に格納される前記距離フィルタの適用範囲に基づき、マスク処理することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項11に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記入力部を介して設定される前記所定の回転角度を前記記憶部に格納し、
前記カメラ回転保持部は、前記記憶部に格納される所定の回転角度に基づき前記ステレオカメラを回転させることを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項12に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記記憶部は、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像におけるパンタグラフに対応する画素数を集計し得られる測距可能画素数と、前記所定の回転角度とを対応付けて格納し、
前記カメラ回転保持部は、前記記憶部に格納される測距可能画素数のうち最大値に対応する前記所定の回転角度を前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度として決定することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項12に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記カメラ回転保持部は、前記対象物抽出部により生成されたパンタグラフを抽出し他と識別可能な画像におけるパンタグラフに対応する画素の形状と前記ステレオカメラにより撮像されたパンタグラフの画像とを比較し、前記パンタグラフの画像に対する前記パンタグラフに対応する画素の形状の類似度が最大となる前記所定の回転角度を前記カメラ回転保持部によるステレオカメラの回転角度として決定することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。 - 請求項14に記載の鉄道設備モニタリングシステムにおいて、
前記鉄道設備モニタリング装置は、最大となる前記パンタグラフの画像に対する前記パンタグラフに対応する画素の形状の類似度が予め設定された類似度の閾値未満の場合、前記パンタグラフに破損又は欠損が生じていると判定し、前記通信ネットワークを介して前記電子端末に前記パンタグラフに破損又は欠損が生じている可能性を示す警告を送信することを特徴とする鉄道設備モニタリングシステム。
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