JP6873191B2 - 固定子およびこの固定子を備えた回転電機 - Google Patents

固定子およびこの固定子を備えた回転電機 Download PDF

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Description

本願は、固定子およびこの固定子を備えた回転電機に関する。
近年、自動車に対する環境負荷低減として、燃料消費量削減のためのアイドリング回転数の低下、燃費向上のための軽量化、さらには車室内空間確保のためのエンジンルームの狭小化などの要求が強くなっている。このような要求に対して、車載用の回転電機には、小型化および高出力化が求められている。小型および高出力の回転電機として、複数の導体セグメントを固定子鉄心のスロットに挿入し、異なるスロットから突出した導体セグメント同士を接合部で接合して固定子コイルを形成することで、固定子コイルの高占積率化および低抵抗化を実現した回転電機がある。
このように構成された回転電機において、導体セグメント同士を接合する接合部は、周方向に等ピッチで形成されている。回転子には導体セグメントを冷却するために冷却ファンが取り付けられているが、この冷却ファンで発生した冷却風が等ピッチに形成された接合部と干渉して騒音(以下、ピッチノイズと記す)を発生するという問題があった。
このようなピッチノイズを低減する方法として、従来の回転電機においては、等ピッチに形成された接合部を絶縁性樹脂で被覆し、絶縁性樹脂の付着量を周方向に不均一とすることでピッチノイズを低減していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−204151号公報
従来の回転電機は、接合部の形状を周方向に不均一とすることでピッチノイズを低減することはできる。しかしながら、絶縁性樹脂の付着量を周方向に不均一にしているので、一部の接合部では絶縁性樹脂同士が連結し、その連結部分が冷却風の通過の妨げになる場合がある。また、絶縁性樹脂の熱伝導率は金属の熱伝導率より小さいため、絶縁性樹脂の付着量が多い箇所では接合部の冷却性能が低下する。つまり、従来の回転電機では、ピッチノイズの低減と導体セグメントの接合部の冷却性能の向上とが両立できないという問題があった。
本願は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ピッチノイズの低減と導体セグメントの接合部の冷却性能の向上とを両立できる固定子および回転電機を提供することを目的とする。
本願に係る固定子は、円環状に配置された複数のスロットを有する固定子鉄心と、各スロットに径方向に並んで挿入された複数の導体セグメントとを有し、導体セグメントの軸方向端部は、対となる他の導体セグメントの軸方向端部と接合部で接合されており、複数のスロットの最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向内側に突出した内周側の突出部を備えており、複数のスロットの最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向外側に突出した外周側の突出部を備えており、最内周側に挿入された導体セグメントの周方向に配置される接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっており、最外周側に挿入された導体セグメントの周方向に配置される接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっている。
本願の固定子は、複数のスロットの最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向内側に突出した内周側の突出部を備えており、複数のスロットの最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向外側に突出した外周側の突出部を備えており、最内周側に挿入された導体セグメントの周方向に配置される接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっており、最外周側に挿入された導体セグメントの周方向に配置される接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっているので、ピッチノイズの低減と導体セグメントの接合部の冷却性能の向上とを両立することができる。
実施の形態1に係る回転電機の構成を示す断面図である。 実施の形態1の固定子を示す斜視図である。 実施の形態1の固定子を軸方向から見た上面図である。 実施の形態1の固定子の側面図である。 実施の形態1の通常導体セグメントの斜視図である。 実施の形態1に係る回転電機の製造工程を示すフローチャートである。 実施の形態1の導体セグメントの平面図である。 実施の形態1の導体セグメントの捻りの軌跡を示した上面図である。 実施の形態1の通常導体セグメントの接合部を示す斜視図である。 実施の形態1の通常導体セグメントおよびリード導体セグメントの端部を示す斜視図である。 実施の形態1の導体セグメントの接合部の断面模式図である。 実施の形態1の固定子を軸方向から見た上面図である。 実施の形態1の導体セグメントの接合部の断面模式図である。
以下、本願を実施するための実施の形態に係る固定子および回転電機について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態の回転電機は、例えば車両用の交流発電機である。この回転電機1は、ランドル型の回転子2がアルミニウム製のフロントブラケット3およびリヤブラケット4から構成されたハウジング5内にシャフト6を介して回転自在に装着され、円筒形状の固定子7が回転子2の外周側を覆うようにハウジング5の内壁面に固着されて構成されている。つまり、回転子2は、円筒形状の固定子7の内径側に固定子7に対して回転自在に設けられている。固定子7は、固定子鉄心71とこの固定子鉄心71のスロットに挿入された固定子コイル72とで構成されている。シャフト6は、フロントブラケット3およびリヤブラケット4に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端部にはプーリ8が固着され、エンジンの回転トルクをプーリ8に張られたベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるように構成されている。回転子2に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにハウジング5内に設置されたブラシホルダ11に収納されている。固定子7で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ12がブラシホルダ11に嵌合されたヒートシンク13に接着されている。固定子コイル72に電気的に接続され、固定子コイル72で生じた交流を直流に整流する整流器14がハウジング5内に装着されている。
回転子2は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル21と、この回転子コイル21を覆うように設けられ、回転子コイル21で発生した磁束によって磁極が形成される一対のポールコア22、23とから構成される。一対のポールコア22、23は鉄製であり、それぞれ8つの爪形状の爪状磁極24、25が外周縁に周方向に等ピッチで突設され、爪状磁極24、25をかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。さらに、冷却ファン15が回転子2の軸方向の両端に固着されている。また、ハウジング5には、吸気孔3a、4aがフロントブラケット3およびリヤブラケット4の軸方向の端面にそれぞれ設けられている。さらに、ハウジング5には、排気孔3b、4bがフロントブラケット3およびリヤブラケット4の外周両肩部に、固定子コイル72の径方向外側に対向してそれぞれ設けられている。
図2は、本実施の形態の固定子を示す斜視図である。固定子7は、円環状に配置され軸方向に貫通する複数のスロット71aが等ピッチで形成された円筒形状の固定子鉄心71と、固定子鉄心71に巻き回された固定子コイル72と、各スロット71a内に装着されて固定子鉄心71と固定子コイル72とを電気的に絶縁するインシュレータ73とを備えている。固定子鉄心71は積層された電磁鋼板で構成されており、円筒形状のコアバック71bと、このコアバック71bの内周側に中心軸に向かって突出する複数のティース71cとを備えている。円環状に並んだティース71cの間の空間がスロット71aである。
図3は、本実施の形態の固定子を軸方向から見た上面図である。また、図4は、本実施の形態の固定子の側面図である。図3に示すように、固定子7は、各スロットに径方向に内周側から外周側に複数本配設された固定子コイル72を備えている。以下、同一スロット内に挿入された固定子コイルの内周側を内層側、外周側を外層側と表現する。ここでは、固定子鉄心71には、回転子の磁極数に対応して、後述する3相の固定子コイルを2組収容するように、96個のスロットが等間隔に形成されている。図4に示すように、固定子コイル72は、断面が矩形の複数の導体セグメント30が接合部32aで接合されて構成されている。この導体セグメント30は、固定子鉄心71の外で折り返されて予め決められた数だけ離れたスロットに挿入された他の導体セグメントと接合部32aで接合されている。このとき、内層側の導体セグメントと外層側の導体セグメントとが交互に接合されて、固定子コイル72を構成している。
また、複数の導体セグメント30は、同じ長さの通常導体セグメントと、通常導体セグメントの一方の端部に延長されたリード線部を備えたリード導体セグメントとに分けられる。例えば、3相の固定子コイルを2組収容する96個のスロットを備えた回転電機の場合、全部で576本の導体セグメントがあり、その中の552本が通常導体セグメントであり、残り24本がリード導体セグメントである。リード導体セグメントは、延長されたリード線部で整流器などの出力端子部に接続されるか、もしくは中性点としてリード導体セグメント同士が接合される。
図5は、通常導体セグメントの斜視図である。図5は、2つの通常導体セグメント30aを示している。通常導体セグメント30aは、固定子鉄心のスロット内に挿入される軸方向に直線状の挿入部31aと、この挿入部31aから周方向に屈曲されて固定子鉄心の外部に露出するコイルエンド部31bとで構成されている。通常導体セグメント30aのコイルエンド部31bの端部で2つの通常導体セグメント30aが接合部32aで接合されている。図示はしていないが、リード導体セグメントは、通常導体セグメント30aのコイルエンド部31bの一方の端部から延長されたリード線部をさらに備えている。なお、図5のA、BおよびCの部分の拡大図に示すように、通常導体セグメント30aのそれぞれのコイルエンド部31bの端部には、面取り部31cが設けられている。
次に、本実施の形態の回転電機の製造工程について説明する。なお、本実施の形態の回転電機の製造工程においては、接合部はレーザー溶接を用いて形成される。
図6は、回転電機の製造工程を示すフローチャートである。回転電機の製造工程は、ステップS1の棒状の導体セグメントを製造する導体セグメント製造工程、ステップS2の導体セグメント保持治具に複数の棒状の通常導体セグメントを挿入する通常導体セグメント挿入工程、ステップS3の通常導体セグメントの一方の端部(以下、一端側と記す)を捻る通常導体セグメントの一端側捻り工程、ステップS4の固定子鉄心へのインシュレータを挿入するインシュレータ挿入工程、ステップS5の通常導体セグメントとリード導体セグメントとを合わせた導体セグメント集合体を固定子鉄心へ挿入する導体セグメント集合体挿入工程、ステップS6の導体セグメント集合体の他方の端部(以下、他端側と記す)を捻る導体セグメント集合体の他端側捻り工程、ステップS7の導体セグメント集合体の両端部をそれぞれ接合して接合部を形成する接合部形成工程、ステップS8のリード導体セグメントのリード線部を成形するリード導体セグメント成形工程、ステップS9の中性点を接合する中性点接合工程、ステップS10の接合した箇所に絶縁処理を施す絶縁処理工程、およびステップS11の固定子コイルにワニスを含浸させて固定子コイルを固定子鉄心に固着させるワニス含浸工程を備えている。
以下、各工程の概要を説明する。
導体セグメント製造工程(ステップS1)
この工程においては、ボビンに巻かれた断面が円形の銅線を直線状に決められた長さ引き出して切断し、断面の丸い銅線を平角状に潰して断面が矩形の棒状の導体セグメントとする加工を行う。ボビンに巻かれた銅線は絶縁被覆が施してあるので、接合部となる端部の絶縁被覆を剥離する。さらに、端部を溶接し易い形状へ塑性加工を施す。このとき、導体セグメントの端部は、図5のA、BおよびCの部分の拡大図に示すように、接合部32aの外側となる面に塑性加工により面取り部31cが設けられている。なお、断面の丸い銅線を平角状に潰して断面が矩形の棒状の導体セグメントとする加工を行う際に、図7に示すように、導体セグメント30は、両端部から中央部に向かって断面積が増加または減少する形状であってもよい。図7に示す導体セグメント30を用いる場合、導体セグメント30は、その中央部がスロットの中央部に位置するように固定子鉄心のスロットに挿入される。このような形状を備えた導体セグメントを用いると、後述するワニスを含浸する工程において、スロット内へのワニスの侵入が容易になる。
通常導体セグメント挿入工程(ステップS2)
図5に示した導体セグメントのコイルエンド部を形成するために、第1捻り機において、導体セグメント保持治具の通常導体セグメントに対応するスロットに棒状の導体セグメントを挿入する。このとき、導体セグメントが抜け落ちないように、導体セグメント保持治具の下方に平板状の受け具を置き、すべての導体セグメントの一端側の端部を導体セグメント保持治具の上方に露出させて同じ高さに保持する。
通常導体セグメントの一端側捻り工程(ステップS3)
第1捻り機において、導体セグメント保持治具の上方に露出して一端側の端部が同じ高さに保持された導体セグメントに対して、第1捻り機の円環治具を用いて軸方向に押さえながら円周方向および径方向に捻る。このようにして、通常導体セグメントの一端側が捻られる。
図8は、ステップS3の通常導体セグメントの一端側捻り工程およびステップS6の導体セグメント集合体の他端側捻り工程における、導体セグメントの捻りの軌跡を示した上面図である。図8に示す両端矢印は、接合される通常導体セグメントの捻りの軌跡を表し、その長さをL11、L12、L13およびL14とする。接合する導体セグメント対の捻る長さが同じとなるように、すなわちL11=L13およびL12=L14となるように、捻り回転角度を調整する。言い換えると、複数の導体セグメントのスロットの端部から接合部までの長さを同じにしている。この方法を用いることにより、同じ長さの導体セグメントを使用することができ、設備費、加工費を押さえることができる。さらに、異なる長さの導体セグメントを使用した場合でも、回転角度の調整によって導体セグメントの端部の位置を精度よく揃えることができ、溶接不良の低減につながる。
インシュレータ挿入工程(ステップS4)
固定子鉄心のスロットにインシュレータを挿入する。挿入したインシュレータがスロットから抜け落ちないように、挿入側と反対側のインシュレータの外径は、スロットの外径より大きく設計されている。
導体セグメント集合体挿入工程(ステップS5)
ステップS3の通常導体セグメントの一端側捻り工程で一端側が捻られた通常導体セグメントを導体セグメント保持治具から分離する。このとき、通常導体セグメントは円環状に配置された状態を維持する。これとは別に一端側が捻られたリード導体セグメントを準備し、円環状の配置が維持された通常導体セグメントの間の決められた位置にリード導体セグメントを挿入して、一端側が捻られた状態の導体セグメント集合体を形成する。最後に、この導体セグメント集合体をインシュレータが挿入された固定子鉄心に挿入する。
導体セグメント集合体の他端側捻り工程(ステップS6)
導体セグメント集合体が挿入された固定子鉄心を他端側が上方になるように第2捻り機に設置する。固定子鉄心の下方に捻りが完了している一端側の導体セグメントの形状に合わせた受け具を置き、すべての導体セグメントの他端側を固定子鉄心の上方に露出させて同じ高さに保持する。第2捻り機において、固定子鉄心の上方に露出して同じ高さに保持された導体セグメント集合体に対して、第2捻り機の円環治具を用いて軸方向に押さえながら円周方向および径方向に捻る。このようにして、導体セグメントの他端側が捻られる。
接合部形成工程(ステップS7)
ステップS1からステップS6の工程を経て、両方の端部が捻られた導体セグメント集合体において、接合される通常導体セグメント同士の両端部は、図5のA部分に示すように、ほぼ隙間のない状態となっている。この接合される通常導体セグメント同士の端部をレーザー溶接機を用いて接合する。図9は、通常導体セグメント30aの接合部を示す斜視図である。図9(a)に示すように、接合される通常導体セグメント30a同士の端部は、絶縁被覆31dが剥離されている。この通常導体セグメント30a同士の両端部に対してレーザー光を径方向に進行させて溶接を行い、図9(b)に示すように、通常導体セグメント30a同士を接合する接合部32aを形成する。なお、図5のAの拡大図に示すように、接合部の外側に塑性加工により面取り部31cが設けられていると、レーザー溶接のときに熱拡散が小さくなり、溶接不良の低減が期待できる。
リード導体セグメント成形工程(ステップS8)
導体セグメント集合体に含まれるリード導体セグメントの端部が整流器などの出力端子部に接続できる、もしくは中性点としてリード導体セグメント同士が接合できるように、リード導体セグメントのリード線部を成形する。
中性点接合工程(ステップS9)
ステップS8のリード導体セグメント成形工程で中性点として接合できるように成形されたリード導体セグメントの端部をレーザー溶接機を用いて接合する。
絶縁処理工程(ステップS10)
ステップS7の接合部形成工程およびステップS9の中性点接合工程においてレーザー溶接機を用いて接合された部分に対して、粉体塗装を用いて絶縁性樹脂の粉体を塗布することにより接合部の表面および中性点の表面に絶縁性樹脂層を形成する。
ワニス含浸工程(ステップS11)
導体セグメント同士を接合部で接合して固定子コイルが構成された固定子鉄心のスロットにワニスを含浸させて、固定子コイルを固定子鉄心に固着する。このとき、図7に示すような導体セグメントが両端部から中央部に向かって断面積が増加または減少する形状の導体セグメントを用いると、固定子鉄心のスロットの開口部と導体セグメントとの間に隙間が生じているので、スロット内へのワニスの注入が容易になる。また、スロットの開口部からスロットの中央部に向かって導体セグメントの表面が傾斜しているので、ワニスがこの傾斜部に沿って中央部まで侵入し易くなる。
以下、主要な工程をさらに詳しく説明する。
導体セグメント製造工程(ステップS1)
上述のとおり、導体セグメントは大きく分けると2種類ある。1つは導体セグメント同士を接合する通常導体セグメントであり、もう1つはリード導体セグメントである。リード導体セグメントは、通常導体セグメントの一方の端部に延長されたリード線部を備えており、このリード線部で整流器などの出力端子部に接続されるか、もしくは中性点としてリード導体セグメント同士が接合される。
通常導体セグメントはエナメルの絶縁被覆が施された銅製の円柱状部材を潰して成形した角柱状部材であり、両端に塑性加工による絶縁被覆の剥離部を有している。通常導体セグメントは、固定子鉄心のスロット内に挿入される軸方向に直線状の挿入部と、この挿入部から周方向に屈曲されて固定子鉄心の外部に露出するコイルエンド部とで構成されている。リード導体セグメントは、通常導体セグメントと同じ形状の挿入部とコイルエンド部とは銅製の円柱状部材を潰して成形した角柱状であり、コイルエンド部から延長されたリード線部は円柱状である。リード導体セグメントも、端部に絶縁被覆の剥離部を有しており、剥離部以外は外側にエナメルの絶縁被覆が施されている。
図5の拡大図に示すように、通常導体セグメントおよびリード導体セグメントの両端部または片方の端部には面取り部31c(あるいは銅切り取り部ともいう)が施されている。この面取り部31cは、導体セグメントをインシュレータの中に差し込み易くするためなどの目的で設けられている。この面取り部31cは、捻り加工をする際に、捻り機に取り付けられている導体セグメント保持治具、円環治具などへの導体セグメントの挿入も容易にする。また、この面取り部31cは、接合工程における導体セグメントの固定のための治具への取り付けにおいても、同様の効果を奏する。さらに、面取り部31cによってレーザー溶接を行うときに導体セグメントが溶ける量が少なくなるので、溶けた導体セグメントが横方向に広がり隣接する導体セグメントと接触することを防ぐ効果がある。
図10は、通常導体セグメントおよびリード導体セグメントの端部を示す斜視図である。図10(a)は、リード導体セグメント30bの端部の面取り部31cを示している。図10(b)から(e)は、通常導体セグメント30aの端部の面取り部31cを示している。図10に示すように、通常導体セグメントおよびリード導体セグメントは、端部の側面を直方体形状あるいは角錐台形状などの形状で切り欠くことで面取り部31cが形成されており、先端部に向かって断面積が小さくなる形状である。
通常導体セグメント挿入工程(ステップS2)
始めに、導体セグメント保持治具について説明する。導体セグメント保持治具は、固定子鉄心に類似した形状であり、軸方向に延びるスロットが周方向に等ピッチで複数形成された円筒形状である。導体セグメント保持治具のスロットは、固定子鉄心のスロットとほぼ同じ形状でピッチも同じである。導体セグメント保持治具の下方には、通常導体セグメントの他端側を支持するための受け具が設けられている。この受け具は、導体セグメント保持治具に対して上下できる機構を備えている。
導体セグメント保持治具に通常導体セグメントを差し込む際には、長さの同じ棒状の通常導体セグメントを導体セグメント保持治具のスロットに端から順に差し込んでいく。このとき、導体セグメント保持治具のスロットの径方向に一列に内周側から外周側に1層目から4層目までの4本の通常導体セグメントを整列して挿入する。ここでは、リード導体セグメントは挿入せず、通常導体セグメントのみを挿入する。なお、導体セグメント保持治具に通常導体セグメントを差し込む際には、通常導体セグメントの両端部には面取り部が施されているために、スロットに容易に挿入することができる。
導体セグメント保持治具の軸方向の一方の面から露出した通常導体セグメントの飛び出し部分の長さが、他方の面から露出した通常導体セグメントの飛び出し部分の長さより長くなるように、導体セグメント保持治具の下方に設置された受け具を上下させて通常導体セグメントの飛び出し長さを調整する。
通常導体セグメントの一端側捻り工程(ステップS3)
図4に示すように、導体セグメント30の両側を捻る必要があるが、まずは導体セグメント保持治具に挿入された通常導体セグメントの一端側を捻る工程を説明する。第1捻り機において、導体セグメント保持治具の上方に露出して一端側の端部が同じ高さに保持された導体セグメントに対して、第1捻り機の円環治具を用いて軸方向に押さえながら円周方向および径方向に捻る。このとき、同じスロットにおいて径方向に隣り合う導体セグメント同士が離れる方向に捻るので、隣り合う導体セグメント同士が接触することはない。
また、隣り合うスロットに挿入された導体セグメント同士は、同じ方向に捻られるが、高さ方向に隙間が生じるので、お互いに接触することはない。なお、仮に導体セグメント同士が接触した場合でも、端部以外は表面にエナメルの絶縁被覆が施されているので、電気的に短絡することはない。このようにして、通常導体セグメントの一端側が捻られる。
詳細に第1捻り機の動作について説明する。スロットに通常導体セグメントが挿入された導体セグメント保持治具は、導体セグメント保持治具受けにセットされる。そして、導体セグメント保持治具の外周部がクランパによって固定される。また、導体セグメント保持治具押さえで導体セグメント保持治具の上部を押さえることにより、導体セグメント保持治具の上下方向の動きが規制される。
クランパおよび導体セグメント保持治具押さえにより、導体セグメント保持治具が固定された後、捻り成形部である円環治具が上部から下降され、この円環治具に形成された導体セグメント挿入部に通常導体セグメントの一端側の端部が挿入される。なお、導体セグメント挿入部には通常導体セグメントの端部で後に接合部となる部分のみが挿入される。また、通常導体セグメントの端部は、図5の拡大図に示すようなテーパー状の面取り部31cが形成されているため、導体セグメント挿入部にスムーズに挿入される。
導体セグメント挿入部に通常導体セグメントの一端側の端部が挿入された円環治具は、回転駆動機構と下降駆動機構とにより、回転並びに下降される。なお、捻り成形は、通常導体セグメントの全てに対して同時に行われる。なお、円環治具は内層の導体セグメントを捻る円環治具と外層の導体セグメントを捻る円環治具とに分割されて構成されており、分割された円環治具同士が異なる方向となるように予め決められた角度回転される。
捻り工程は、通常導体セグメントがスロットに挿入された導体セグメント保持治具を第1捻り機へ装着し、通常導体セグメントの一端側の端部を円環治具に挿入して、捻り加工前の準備を行う装着工程と、成形工程と、成形された導体セグメント保持治具を取り出す取出工程とを含んでいる。ここで、成形工程は、まず通常導体セグメントの端部を周方向にのみ回転変位させて通常導体セグメントを周方向に倒し、続いて通常導体セグメントを周方向ならびに軸方向に変位させて導体セグメントを深く傾ける曲げ工程と、さらに設計上の変位量を越えて通常導体セグメントの端部を周方向ならびに軸方向に変位させて導体セグメントを過剰に深く傾ける過剰曲げ工程と、通常導体セグメントの端部を設計上の変位量まで曲げ戻す戻し工程とを含んでいる。
この工程において、通常導体セグメントを精度よく捻るためには、通常導体セグメントの押さえ機構が必要となる。この機構は、通常導体セグメントの高さを決める上で重要である。通常導体セグメントの押さえ機構は、導体セグメント保持治具を第1捻り機に設置したのち、導体セグメント保持治具の下方に設置された受け具を上下させて通常導体セグメントの飛び出し長さを調整して通常導体セグメントを固定する機構である。その後、上述の捻り工程を経ることで、精度の良い捻りが実現できる。通常導体セグメントを固定して高さを規制することで、捻った後の通常導体セグメントの端部の高さを揃えることができる。その結果、レーザー溶接を用いた接合部形成工程において、導体セグメントの端部の高さばらつきが少なくなるので、溶接不良を減少させる効果がある。
インシュレータ挿入工程(ステップS4)
インシュレータは、一方の端部の外径がスロットの外径より大きく、他方の端部の外径がスロットの内径より小さい。すなわち、インシュレータの一方の端部はラッパ状に形成されている。このように、固定子鉄心の各スロットに挿入されるインシュレータの軸方向の一方の端部のみがラッパ状の拡大部となり、他方の端部は平坦な形状となっている。そのため、この他方の端部を先頭にしてインシュレータを各スロットに挿入する場合の作業がし易くなる。また、インシュレータの挿入方向と各導体セグメントの挿入方向とが同じであるため、導体セグメントの挿入時にインシュレータに対して軸方向の力が加わった場合であっても、拡大部の端部が固定子鉄心の端面に接触してインシュレータの軸方向の位置ずれが防止される。
導体セグメント集合体挿入工程(ステップS5)
ステップS3の通常導体セグメントの一端側捻り工程で一方の端部が捻られた通常導体セグメントを導体セグメント保持治具から抜き取る。このとき、通常導体セグメントは円環状に配置された状態を維持する。これとは別に一方の端部が捻られたリード導体セグメントを準備し、円環状の配置が維持された通常導体セグメントの間の決められた位置にリード導体セグメントを挿入して、一方の端部が捻られた状態の導体セグメント集合体を形成する。最後に、導体セグメント集合体を、ステップS4のインシュレータ挿入工程でインシュレータが挿入された固定子鉄心のスロットに挿入する。
なお、導体セグメント保持治具から通常導体セグメント抜き取る工程と固定子鉄心への導体セグメント集合体を挿入する工程は同じ設備で行うことが好ましい。例えば、固定子鉄心の隣接するスロットの間隔と同じ幅をもつ規制片がスロットと同じピッチで円周状に配置された規制治具を準備する。円環状に配置された導体セグメント集合体に対して、規制治具の規制片が各導体セグメントの直線状の挿入部の間となるように規制治具を配置する。この状態で、固定子鉄心と規制治具とを軸方向に移動させることで、スロットと同じピッチで円周状に配置された導体セグメント集合体が固定子鉄心のスロットに挿入される。
導体セグメント集合体の他端側捻り工程(ステップS6)
第2捻り機の動作は、ステップS3の通常導体セグメントの一端側捻り工程の第1捻り機と同様の動作となる。一端側が捻られた導体セグメント集合体が挿入された固定子鉄心が固定子鉄心受けにセットされる。このとき、他端側が上方となるようにセットされる。固定子鉄心の下方に捻りが完了している一端側の導体セグメントの形状に合わせた受け具を置き、すべての導体セグメントの他端側の端部を固定子鉄心の上方に露出させて同じ高さに保持する。固定子鉄心の外周部がクランパによって固定される。また、固定子鉄心押さえで固定子鉄心の上部を押さえることにより、固定子鉄心の上下方向の動きが規制される。
クランパおよび固定子鉄心押さえにより、固定子鉄心が固定された後、捻り成形部である円環治具が上部から下降され、この円環治具に形成された導体セグメント挿入部に導体セグメント集合体の他端側の端部が挿入される。なお、導体セグメント挿入部には導体セグメント集合体の端部で後に接合部となる部分のみが挿入される。また、導体セグメント集合体の端部は、図5の拡大図に示すようなテーパー状の面取り部31cが形成されているため、導体セグメント挿入部にスムーズに挿入される。
導体セグメント挿入部に導体セグメント集合体の他端側の端部が挿入された円環治具は、回転駆動機構と下降駆動機構とにより、回転並びに下降される。なお、捻り成形は、導体セグメント集合体の全てに対して同時に行われる。なお、円環治具は内層の導体セグメントを捻る円環治具と外層の導体セグメントを捻る円環治具とに分割されて構成されており、分割された円環治具同士が異なる方向となるように予め決められた角度回転される。
捻り工程は、導体セグメント集合体が挿入された固定子鉄心を第2捻り機へ装着し、導体セグメント集合体の他端側の端部を円環治具に挿入して、捻り加工前の準備を行う装着工程と、成形工程と、成形された固定子鉄心を取り出す取出工程とを含んでいる。成形工程は、ステップS3の通常導体セグメントの一端側捻り工程と同様である。このようにして、導体セグメント集合体の他端側が捻られる。
接合部形成工程(ステップS7)
通常導体セグメント同士の接合方法について説明する。なお、この方法は、回転電機のコイルを形成するために、複数の導体セグメントを用いて異なる通常導体セグメントの端部同士を接合する方法であり、導体セグメントの形状に限定されるものではない。また、回転電機のコイルとして固定子コイルに限定されるものではない。
この接合方法は、大きく2つの工程を有する。第1の工程は、通常導体セグメントの端部の位置揃え工程である。通常導体セグメントの端部の位置揃え工程では、接合対象物となる2つの通常導体セグメントが、図9(a)に示すように、通常導体セグメント30aの隣り合う端部の側面同士がほぼ接触する状態に保持される。通常導体セグメントの端部の位置揃え工程においては、両端の捻り工程が完了した固定子を固定したあと、円錐状のテーパーピンを用いてスロット内の導体セグメントを周方向に動かして固定することにより導体セグメントの端部が保持される。なお、図9(a)に示すように、接合対象物の通常導体セグメント30aは、端部の先端から予め規定された領域の絶縁被覆31dが除去されている。
第2の工程は、予め規定された照射角度で、2つの隣接した導体セグメントの端部にレーザー溶接機のレーザー光を照射して導体セグメントの端部同士を溶接接合するレーザー照射工程である。図9(a)に示すように、このとき、通常導体セグメント30a同士の端部に対してレーザー光を径方向に進行させて溶接を行い、図9(b)に示すように、通常導体セグメント30a同士を接合する接合部32aを形成する。このとき、2つの隣り合う端部の片側を狙って初めにレーザー光が照射され、その後、レーザー光をもう一方の片側に移動させる。2つの隣り合う端部の隙間は微細であるため、一方の端部において溶融した導体が他方の端部との隙間を埋めた後、レーザー光を動かす。これにより、レーザー光が照射された一方の端部から他方の端部にレーザー光が移り、他方の端部も溶融する。このようにして、図9(b)に示すように、2つの導体セグメントの端部同士を溶接接合することで接合部32aとなる溶融痕ができる。なお、第2の工程におけるレーザー溶接は、不活性ガスの雰囲気中で行われる。このようにして、固定子鉄心に挿入され、両端部が捻られた通常導体セグメントの接合部を形成する。
図11は、接合部形成工程におけるレーザー溶接時の導体セグメントの接合部の断面模式図である。図11は、1つのスロットに挿入された導体セグメントの断面を示している。図11(a)に示すように、1つのスロットに4本の導体セグメントが挿入されており、内層側の2本と外層側の2本とがそれぞれ接合部32aで接合されている。図11において、横方向は固定子鉄心の径方向であり、左側が内周側、右側が外周側である。図11(a)に示すように、レーザー溶接を行うときに内層側の溶接部に内周側から不活性ガスを吹き付けながら行う。そうすると、不活性ガスが吹き付けられた側からレーザー光の照射によって溶融した金属の冷却が始まり、表面張力により内層の接合部32aには溶融した金属が内周側に偏って突出部32bが形成される。一方、外層の接合部32aは、吹き付けられたガスの影響を受けないため、溶融した金属は内周側へも外周側へも偏らず接合部は均等に形成される。
図11(b)は、1つのスロットに6本の導体セグメントが挿入された場合であり、内層側の2本と中間層の2本と外層側の2本とがそれぞれ接合部32aで接合されている。図11(b)に示すように、レーザー溶接を行うときに内層側の溶接部に内周側から不活性ガスを吹き付けながら行う。そうすると、不活性ガスが吹き付けられた側からレーザー光の照射によって溶融した金属の冷却が始まり、表面張力により溶融した金属が内周側に偏って突出部32bが形成される。一方、中間層および外層の接合部32aは、吹き付けられたガスの影響を受けないため、溶融した金属は内周側へも外周側へも偏らず接合部は均等に形成される。
また、レーザー溶接を行うときに外層側の溶接部に外周側から不活性ガスを吹き付けながら行うと、不活性ガスを吹き付けた側からレーザー光の照射によって溶融した金属の冷却が始まり、表面張力により溶融した金属が外周側に偏って突出部32bが形成される。
このように、本実施の形態の固定子においては、最内周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに径方向内側に突出した突出部32bを形成し、最外周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに径方向外側に突出した突出部32bを形成している。
図12は、本実施の形態の固定子を軸方向から見た上面図である。図12(a)は、1つのスロットに4本の導体セグメントが挿入された場合であり、最内周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに突出部32bが形成された例を示している。図12(a)のA−A断面が図11(a)に相当する。内層側の接合部32aの径方向の長さをL1、外層側の接合部32aの径方向の長さをL2とすると、L1>L2となっている。また、突出部をもたない他のスロットの内層側の接合部32aの径方向の長さをL3とすると、L1>L3となっている。
図12(b)は、1つのスロットに4本の導体セグメントが挿入された場合であり、最外周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに突出部32bが形成された例を示している。通常導体セグメント30aの端部には接合部32aが形成されているが、リード導体セグメント30bの端部には接合部は形成されていない。内層側の接合部32aの径方向の長さをL3、外層側の接合部32aの径方向の長さをL4とすると、L4>L3となっている。また、図12(a)に示す突出部をもたない他のスロットの外層側の接合部32aの径方向の長さをL2とすると、L4>L2となっている。
図12(c)は、1つのスロットに6本の導体セグメントが挿入された場合であり、内層側の2本と中間層の2本と外層側の2本とがそれぞれ接合部32aで接合されている。さらに、図12(c)は、最内周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに突出部32bが形成された例を示している。図12(c)のB−B断面が図11(b)に相当する。内層側の接合部32aの径方向の長さをL5、中間層の接合部32aの径方向の長さをL6、外層側の接合部32aの径方向の長さをL7とすると、L5>L6≒L7となっている。また、突出部をもたない他のスロットの内層側の接合部32aの径方向の長さをL8とすると、L5>L8となっている。
図12(d)は、1つのスロットに6本の導体セグメントが挿入された場合であり、最外周の導体セグメントの少なくとも1つの接合部32aに突出部32bが形成された例を示している。通常導体セグメント30aの端部には接合部32aが形成されているが、リード導体セグメント30bの端部には接合部は形成されていない。内層側の接合部32aの径方向の長さをL8、中間層の接合部32aの径方向の長さをL9、外層側の接合部32aの径方向の長さをL10とすると、L10>L8≒L9となっている。また、図12(c)に示す突出部をもたない他のスロットの外層側の接合部32aの径方向の長さをL7とすると、L10>L7となっている。
図12(e)は、1つのスロットに4本の導体セグメントが挿入された場合であり、内周側に向かって突出部32bが形成された接合部32aをもつ最内層の導体セグメントと、外周側に向かって突出部32bが形成された接合部32aをもつ最外層の導体セグメントとが同じスロットに挿入された例を示している。
図12(f)は、1つのスロットに6本の導体セグメントが挿入された場合であり、内周側に向かって突出部32bが形成された接合部32aをもつ最内層の導体セグメントと、外周側に向かって突出部32bが形成された接合部32aをもつ最外層の導体セグメントとが同じスロットに挿入された例を示している。
このように、本実施の形態の固定子の導体セグメントの軸方向端部は、対となる他の導体セグメントと接合部で接合されており、各スロットに挿入された複数の導体セグメントのうち、最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向外側に突出した外周側の突出部を備えており、各スロットに挿入された複数の導体セグメントのうち、最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向内側に突出した内周側の突出部を備えている。
図3に本実施の形態の固定子の例を示す。固定子7は、各スロットに径方向に内周側から外周側に複数本配設された固定子コイル72を備えている。固定子コイル72は、複数の導体セグメントが接合部で接合されて構成されている。図3に示すように、最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の5箇所は、他の接合部よりも径方向外側に突出した外周側の突出部を備えており、最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の7箇所は、他の接合部よりも径方向内側に突出した内周側の突出部を備えている。なお、図3に示す固定子における突出部の数は一例であり、固定子の形状、固定子が適用される回転電機の形状などによって突出部の数は適宜設定される。
このように構成された固定子を備えた回転電機は、接合部の形状を周方向に不均一にしているのでピッチノイズを低減することができる。また、外周側の突出部および内周側の突出部は径方向に突出しているので、径方向に流れる冷却風の通過の妨げにならず、接合部を効率よく冷却することができる。したがって、本実施の形態の固定子を備えた回転電機は、ピッチノイズの低減と導体セグメントの接合部の冷却性能の向上とを両立することができる。
図13は、本実施の形態の導体セグメントの接合部の断面模式図である。通常導体セグメント30aの接合部32aの表面には、ステップS10の絶縁処理工程において絶縁性樹脂層33が形成されている。図13(a)は、接合部32aに突出部32bが形成されており、その外表面が絶縁性樹脂層33で覆われている状態を示している。図13(b)は比較例であり、接合部32aには突出部が形成されておらず、ピッチノイズの低減のために絶縁性樹脂層33で突出部を形成した状態を示している。本実施の形態の突出部の部分の絶縁性樹脂層33の厚さをW1、比較例の突出部の部分の絶縁性樹脂層33の厚さをW2とすると、W1<W2となる。
固定子コイルに通電させた場合、導体セグメントは流れる電流で発熱する。導体セグメントの接合部32aで発熱した熱は冷却風で冷却される。図13(a)に示す本実施の形態の接合部32aでは、突出部32bが形成されているので放熱面積が増え、さらにその周囲を覆う絶縁性樹脂層33の厚さは薄いので、冷却性能が低下することもない。これに対して、図13(b)に示す比較例では、導体セグメントの接合部32aに絶縁性樹脂層33で突出部を形成しているので、絶縁性樹脂層33の厚さが厚くなり、冷却性能が低下する。また、比較例は、絶縁性の機能を発揮するために必要となる厚さ以上に絶縁性樹脂層33を形成する必要があり、さらには絶縁性樹脂層33で突出部を形成する必要もあるため、工作性が低下する。
なお、本実施の形態においては、レーザー溶接を行うときに不活性ガスを吹き付けながらレーザー溶接を行って突出部を形成していたが、これに限るものではない。例えば、導体セグメント端部に径方向の一方からのみレーザー光を照射する方法がある。この方法では、溶融部の溶融開始の時間差によって先に溶融した端面から冷却されて固まるので、表面張力により接合部の溶融痕がレーザー光の入射側に偏る。このような方法で突出部を形成することもできる。また、レーザー溶接の溶融痕を内周側あるいは外周側に偏らせて突出部を形成しているので、突出部と反対側の溶融痕の広がりを抑えることができる。その結果、図11の(a)から(d)に示すように、隣接する接合部同士の間隔W3が大きくなり、固定子コイル間の絶縁距離を確実に確保することができる。
接合部同士の絶縁性をさらに向上させるためには、図12(c)において、L5>L7>L6となっていることが好ましい。また、図12(d)において、L10>L8>L9となっていることが好ましい。つまり、各スロットにおいて、最内周側に挿入された導体セグメントと最外周側に挿入された導体セグメントとの間に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法は、最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法および最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法よりも小さいことが好ましい。このように構成された固定子では、隣接する接合部同士の間隔W3、W4が大きくなり、固定子コイル間の絶縁距離をさらに大きくすることができる。定格電圧にもよるが、例えば48V系の回転電機においては、間隔W3および間隔W4は0.8mm以上必要であり、本実施の形態の形状にすることで、導体セグメント間の絶縁距離の確保が容易となる。
最後に、レーザー光の照射モードと溶融領域とについて説明する。
レーザー光の照射モードには、シングルモードとマルチモードとがある。シングルモードと称される照射モードは、1つの励起光で増幅されたレーザー光を用いるモードである。シングルモードでは、エネルギー分布がガウス分布となり、レーザー光の径を小さくすることができ、エネルギー密度も大きくすることができる。これに対して、マルチモードと称される照射モードでは、複数の励起光で増幅されたレーザー光が用いられる。マルチモードのエネルギー分布は、等脚台形の上辺および下辺の中点を通る直線を回転軸として回転させたようなトップハット型の分布となる。このため、マルチモードでは容易に出力を大きくすることができるが、レーザー光の径は大きく(太く)なる。
アーク溶接に比べてレーザー溶接では、エネルギーを狭い領域に高い密度で与えることが好ましいため、照射モードとしてはシングルモードが好ましい。シングルモードの照射モードでレーザー光が導体に照射されると、導体が気化し、導体の内部から溶融が始まる。さらにレーザー光の照射を続けると、溶融領域が次第に拡大していく。このように、シングルモードでは、導体の内部から溶融し、狭く深い領域に溶融が拡大する。一方、マルチモードでは、導体の表面から溶融し、広く浅い領域で溶融することになる。また、マルチモードでは、レーザー光を照射している側から溶融すること、溶融領域が広く浅い領域となることなどから、液状化した導体の温度がさらに上昇して沸点に達し、気化した導体によって液状化した導体が吹き飛ばされてボイド(穴空き)が生じる可能性が、シングルモードよりも高くなる。
上述したように、シングルモードでは溶融領域が狭く深い形状となるため、溶接対象物である導体内部での熱拡散領域が広くなり、液状化した導体が沸点に達する可能性も抑制される。即ち、溶融領域の温度を溶接対象物の融点から沸点までの温度範囲で制御することが容易である。シングルモードでは、中央が鋭く尖ったガウス分布に従った高いエネルギー密度を有するレーザー光を照射することができ、溶接対象物の内部まで高いエネルギー密度を維持することができるので、マルチモードのように表面に近い箇所が加熱されてボイドが生じる可能性が低くなる。
また、シングルモードでは、レーザー光の焦点距離を長くしても、高いエネルギー密度を維持できることが確認されている。このため、レーザーヘッドを接合対象物から離すことが可能となり、接合の際のレーザーヘッドから溶接対象物までの距離の設定範囲が広がる。そのため、リード導体セグメントなどの障害物でレーザーヘッドを溶接対象物に近づけることが困難な場合でも溶接可能となり、生産性が向上する。なお、当然ながらレーザー光の出力が大きいほど、溶接対象物は早く溶融する。そして、溶接対象物が液体状態となることによって、反射が少なくなりレーザー光のエネルギーの吸収率も高くなる。
なお、本実施の形態においては、接合部をレーザー溶接で形成する方法を説明したが、これに限るものではない。例えば、アーク溶接、カシメなどを用いて接合部を形成してもよい。また、一端側の接合部であれば、複数本の通常導体セグメントが予め一体で成形されたものを用いることもできる。
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 回転電機、 2 回転子、 3 フロントブラケット、 4 リヤブラケット、 3a、4a 吸気孔、 3b、4b 排気孔、 5 ハウジング、 6 シャフト、7 固定子、 8 プーリ、 9 スリップリング、 10 ブラシ、 11 ブラシホルダ、 12 レギュレータ、 13 ヒートシンク、 14 整流器、 15 冷却ファン、 21 回転子コイル、 22、23 ポールコア、 24、25 爪状磁極、 30 導体セグメント、 30a 通常導体セグメント、 30b リード導体セグメント、 31a 挿入部、 31b コイルエンド部、 31c 面取り部、 31d 絶縁被覆 、 32a 接合部、 32b 突出部、 33 絶縁性樹脂層、 71 固定子鉄心、 71a スロット、 71b コアバック、 71c ティース、 72 固定子コイル、 73 インシュレータ。

Claims (9)

  1. 円環状に配置された複数のスロットを有する固定子鉄心と、
    各スロットに径方向に並んで挿入された複数の導体セグメントと
    を有する固定子であって、
    前記導体セグメントの軸方向端部は、対となる他の導体セグメントの軸方向端部と接合部で接合されており、
    前記複数のスロットの最内周側に挿入された前記導体セグメントの前記接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向内側に突出した内周側の突出部を備えており、
    前記複数のスロットの最外周側に挿入された前記導体セグメントの前記接合部の少なくとも1つは、他の接合部よりも径方向外側に突出した外周側の突出部を備えており、
    前記最内周側に挿入された前記導体セグメントの周方向に配置される前記接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっており、前記最外周側に挿入された前記導体セグメントの周方向に配置される前記接合部の周方向に並んだ形状が不均一となっていることを特徴とする固定子。
  2. 前記導体セグメントの軸方向端部の断面積は、先端部に向かって減少する
    ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
  3. 前記導体セグメントの軸方向端部は、対となる他の導体セグメントに対向する面と反対側の面が切り欠かれている
    ことを特徴とする請求項2に記載の固定子。
  4. 前記各スロットにおいて、最内周側に挿入された導体セグメントと最外周側に挿入された導体セグメントとの間に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法は、
    前記最内周側に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法および前記最外周側に挿入された導体セグメントの接合部の径方向の寸法よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固定子。
  5. 前記スロットに挿入された部分の前記導体セグメントの断面積は、前記スロットの両端部から前記スロットの中央部に向かって増加または減少する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の固定子。
  6. 複数の前記導体セグメントの接合部が、前記スロットの端部から同じ高さの位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固定子。
  7. 複数の前記導体セグメントの前記スロットの端部から前記接合部までの長さが同じである
    ことを特徴とする請求項6に記載の固定子。
  8. 前記内周側の突出部を備えた接合部を有する前記導体セグメントと、前記外周側の突出部を備えた接合部を有する前記導体セグメントとが同じスロットに挿入されている
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固定子。
  9. ハウジングと、
    このハウジングに固定された請求項1から8のいずれか1項に記載の固定子と、
    この固定子の内径側に前記固定子に対して回転自在に設けられた回転子と
    を備えたことを特徴とする回転電機。
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