以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る異常検出装置、異常検出方法および異常検出システムを詳細に説明する。なお、かかる実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[1.車両搭載用システムの構成]
図1は、実施形態に係る異常検出システムを含む車両搭載用システムの構成例を示す図である。車両搭載用システム100は、例えば、図示しないハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、および、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載される。
かかる車両搭載用システム100は、組電池1と、組電池監視システム2と、車両制御装置3と、電動機4と、電力変換器5と、リレー6とを備える。
組電池1は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などであり、図示しない車体に対して絶縁されている。組電池1は、複数の電池ブロック10が直列に接続されて構成される。各電池ブロック10は、直列に接続された複数の電池セル11を備える。そして、各電池セル11には、内部圧力が上昇した時に、機械的に電流経路を遮断する不図示の電流遮断デバイス(Current Interrupt Device)が設けられている。
組電池監視システム2は、組電池1の充電状態などを監視し、車両制御装置3へ通知するとともに、組電池1を監視する機能に異常が発生したか否かを検出する異常検出システムとしても機能する。かかる組電池監視システム2は、複数のサテライト基板21_1〜21_6と、電池状態監視部23と、I/F(インターフェース)部24とを備える。なお、複数のサテライト基板21_1〜21_6を特に区別しないときは「サテライト基板21」と記載する。また、サテライト基板21の個数は6個に限定されず、5個以下であっても7個以上であってもよい。
各サテライト基板21は、ブロック監視部22(電圧監視装置の一例)を有しており、電池ブロック10毎に個別に設けられる。なお、複数のサテライト基板21は、例えば、互いに離間した位置に配置される。また、複数のサテライト基板21は、いわゆるデイジーチェーン方式で互いに通信可能に接続されており、デイジーチェーンの端に位置するサテライト基板21と電池状態監視部23とがI/F部24を介して通信可能に接続される。
ブロック監視部22は、電池ブロック10や電池セル11の電圧を検出したり、電池ブロック10の過電圧や電池ブロック10の断線などを検出したりし、これらの検出結果を電池状態監視部23へ通知する。なお、かかるブロック監視部22の構成および動作については後で詳述する。
I/F部24は、絶縁性の通信インターフェースであり、サテライト基板21_6と電池状態監視部23との間に設けられる。I/F部24は、電池状態監視部23から所定のサテライト基板21宛ての通信信号S1aを受信すると各サテライト基板21を介して、当該サテライト基板21に送信する。また、I/F部24は、所定のサテライト基板21から各サテライト基板21を介して通信信号S1bを受信すると、電池状態監視部23に送信する。なお、かかる通信信号S1a、S1bは、たとえばSPI(Serial Peripheral Interface)によるシリアル通信によりやり取りされる。かかるI/F部24によってサテライト基板21と電池状態監視部23との間の絶縁性を保ちつつ、電池状態監視部23とサテライト基板21との間で通信を行うことができる。
また、電池状態監視部23は、例えば電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)であり、異常検出部25(異常検出装置の一例)を有する。かかる電池状態監視部23は、複数のブロック監視部22から取得した情報に基づいて、組電池1の充電状態を判定する。電池状態監視部23は、組電池1の充電状態を車両制御装置3へ通知したり、組電池1の充電状態に基づいて、リレー6をオフにして、組電池1に対する充放電を停止させたりすることができる。
例えば、電池状態監視部23は、組電池1の電圧が許容値より大きい場合に組電池1またはブロック監視部22に異常があると判定し、リレー6をオフにして、組電池1に対する充放電を停止させることができる。また、電池状態監視部23は、ブロック監視部22によって電池ブロック10の異常が検出された場合、リレー6をオフにして、組電池1に対する充放電を停止させることができる。
また、異常検出部25は、ブロック監視部22が電池ブロック10の電圧を正常に監視できているか否かを検出することで、ブロック監視部22の異常を検出する。なお、かかる異常検出部25の構成および動作については後で詳述する。
車両制御装置3は、組電池1の充電状態に応じて組電池1に対する充放電を行って車両を制御する。例えば、車両制御装置3は、組電池1に充電された電圧を電力変換器5に直流から交流の電圧に変換させ、変換された電圧を電動機4へ供給して電動機4を駆動させる。これにより、組電池1が放電される。
また、車両制御装置3は、電動機4の回生制動によって発電した電圧を電力変換器5に交流から直流の電圧に変換させ、組電池1へ供給する。これにより、組電池1が充電される。このように、車両制御装置3は、組電池監視システム2から取得した組電池1の充電状態に基づいて組電池1の電圧を監視し、監視結果に応じた制御を実行する。
[2.ブロック監視部22]
図2は、ブロック監視部22を含むサテライト基板21の構成例を示す図である。図2に示すように、サテライト基板21は、電池ブロック10毎に設けられており、複数のセル接続端子T1と、通信端子T2a、T2bと、出力端子T3、T5と、ブロック監視部22とを備える。
ブロック監視部22は、複数のヒューズ30と、電源電圧生成部31と、セルモニタIC(Integrated Circuit)32と、過電圧検出部34と、高電圧検出部35とを備える。
電源電圧生成部31は、電池ブロック10の正極と負極との間の電圧Vbr(以下、ブロック電圧Vbrと記載する場合がある)に基づいて、電源電圧Vcを生成する。かかる電源電圧Vc(<Vbr)は、電源電圧生成部31からセルモニタIC32、過電圧検出部34および高電圧検出部35へ出力される。セルモニタIC32、過電圧検出部34および高電圧検出部35は、電源電圧Vcによって動作する。
各電池セル11の正極および負極のそれぞれは異なるセル接続端子T1に接続され、セルモニタIC32(制御部の一例)は、複数のヒューズ30を介して各電池セル11の正極および負極のそれぞれと接続される。セル接続端子T1とセルモニタIC32との間に大きな電流が流れた場合、ヒューズ30が溶断し、セルモニタIC32が保護される。
セルモニタIC32は、電池ブロック10を構成する各電池セル11の電圧(以下、セル電圧Vceと記載する場合がある)やブロック電圧Vbrを検出する。かかるセルモニタIC32は、例えば、電池状態監視部23から電圧検出要求に応じてセル電圧Vceやブロック電圧Vbrを検出し、かかる検出結果を電池状態監視部23へ通知することができる。
セルモニタIC32は、通信端子T2a、T2bを介してI/F部24または他のサテライト基板21と接続される。また、セルモニタIC32は、出力端子T6を介して過電圧検出部34の入力端子T4と接続される。なお、セルモニタIC32とI/F部24または他のサテライト基板21との間は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)によるシリアル通信によってやり取りされる。すなわち、出力端子T6は、いわゆる汎用入力/出力ポートである。
セルモニタIC32は、I/F部24または他のサテライト基板21を介して電池状態監視部23(図1参照)から通信信号S1aを受信する。通信信号S1aは、過電圧検出部34で使用する閾値を制御するデューティ信号S5のデューティ比を指示する指示信号を含み、セルモニタIC32は、指示信号に基づいて出力端子T6からデューティ信号S5を出力することで、過電圧検出部34で使用する閾値を制御する。また、セルモニタIC32は、指示信号に応答する応答信号を含む通信信号S1bを電池状態監視部23に出力する。なお、かかる閾値、指示信号およびデューティ信号S5については後で詳述する。
過電圧検出部34(比較部の一例)は、電池ブロック10の電圧が過電圧になったか否かを判定し、かかる判定結果を示す検出結果信号S2を出力端子T3から電池状態監視部23へ出力する。かかる過電圧検出部34は、ブロック電圧Vbrに対応する電圧と閾値電圧Vath(閾値の一例)とを比較し、かかる比較結果に基づいて電池ブロック10の過電圧を検出する。このように、セルモニタIC32に加え、過電圧検出部34を設けることで、電池ブロック10の電圧の監視をより適切に行うことができる。
また、過電圧検出部34は、セルモニタIC32から入力端子T4を介して入力されるデューティ信号S5に基づいて、閾値電圧Vathを変更することができる。デューティ信号S5は電池状態監視部23が出力する指示信号に応じてセルモニタIC32から出力されるため、電池状態監視部23は、セルモニタIC32を介して閾値電圧Vathを調整することができる。なお、かかる過電圧検出部34の構成については後で詳述する。
高電圧検出部35は、「CID切れ」や「バスバー外れ」などのような電池ブロック10の断線が発生したか否かを判定し、かかる判定結果を示す検出結果信号S4を出力端子T5経由で電池状態監視部23へ出力することができる。なお、「CID切れ」は、電池セルに設けられた電流遮断デバイス(図示せず)が作動して電池セル11の電流経路が遮断された状態である。また、「バスバー外れ」は、電池セル11間を接続するバスバー(図示せず)が電池セル11間から外れた状態である。
高電圧検出部35は、整流ブリッジ回路を有しており、かかる整流ブリッジ回路の出力電圧に基づいて、電池ブロック10の断線を検出する。そのため、高電圧検出部35は、電池ブロック10の放電時および充電時のいずれの場合においても、電池ブロック10の断線を精度よく検出することができる。
このように、セルモニタIC32に加え、高電圧検出部35を設けることで、電池ブロック10の監視をより適切に行うことができる。また、高電圧検出部35により電池セルの断線を検出することで、フライングキャパシタにより電池セルの断線を検出する場合に比べ、低コスト化を図ることができる。なお、かかる高電圧検出部35の構成については後で詳述する。
図3は、過電圧検出部34の構成例を示す図である。図3に示す過電圧検出部34は、分圧回路41と、閾値電圧出力部42と、コンパレータ43と、出力部44と、閾値電圧調整部46と、電源電圧監視部47とを備える。
分圧回路41は、ブロック電圧Vbrに対応する電圧を生成する。具体的には、分圧回路41は、抵抗R1、R2を有しており、ブロック電圧Vbrを分圧した電圧である分圧電圧Va(=Vbr×R2/(R1+R2))を生成する。なお、ブロック電圧Vbrに比例する電圧をコンパレータ43に出力できる構成であればよく、図3に示す分圧回路41に限定されない。
閾値電圧出力部42は、閾値電圧Vathを生成して出力する。かかる閾値電圧Vathは、ブロック電圧Vbrが正常範囲にある場合に、ブロック電圧Vbrよりも高い電圧である。
かかる閾値電圧出力部42は、例えば、分圧回路41と同様の分圧回路を有しており、電源電圧Vcを分圧した電圧を閾値電圧Vathとして生成する。なお、閾値電圧出力部42は、例えば、抵抗とツェナーダイオードの直列回路などによって構成してもよい。
コンパレータ43は、分圧電圧Vaと閾値電圧Vathとを比較し、かかる比較結果を示す検出信号Scmpを出力する。具体的には、コンパレータ43は、分圧電圧Vaが閾値電圧Vath以上である場合に、電池ブロック10が過電圧であることを示すHighレベルの検出信号Scmpを出力する。一方、コンパレータ43は、分圧電圧Vaが閾値電圧Vath未満である場合に、電池ブロック10が過電圧でないことを示すLowレベルの検出信号Scmpを出力する。
このように、過電圧検出部34は、コンパレータ43により電池ブロック10が過電圧であるか否かを判定することから、フライングキャパシタとマイクロコンピュータとにより過電圧を検出する場合に比べ、過電圧検出部34を低コストで構成することができる。
出力部44は、出力端子T3とコンパレータ43の出力との間に設けられる。かかる出力部44は、検出信号Scmpに応じた検出結果信号S2を電池状態監視部23へ出力する。かかる出力部44によって過電圧検出部34と電池状態監視部23との間の絶縁性を保ちつつ、検出信号Scmpに応じた検出結果信号S2を電池状態監視部23へ出力することができる。
図4は、ブロック電圧Vbrが正常状態から過電圧になった場合の分圧電圧Va、検出信号Scmpおよび検出結果信号S2の変化の一例を示す図である。図4に示すように、電池ブロック10の過充電などによってブロック電圧Vbrが閾値電圧Vath以上になった場合(時刻t1)、検出信号ScmpはLowレベルからHighレベルへ変化する。そのため、過電圧を示す検出結果信号S2が出力部44から電池状態監視部23へ出力される。
図3に戻って、過電圧検出部34の説明を続ける。閾値電圧調整部46は、入力端子T4を介して入力されたデューティ信号S5に基づいて、閾値電圧Vathを調整する。
閾値電圧調整部46は、デューティ信号S5のデューティ比に基づいて、閾値電圧Vathを調整することができる。この場合、例えば、閾値電圧出力部42には出力端にコンデンサが接続されており、かかるコンデンサの電荷をデューティ信号S5のデューティ比で放電させることで、コンデンサの電圧を減少させる。これにより、閾値電圧Vathが調整される。
電池状態監視部23は、指示信号を調整することによって、セルモニタIC32や過電圧検出部34が正常に動作しているかどうかの自己診断処理(異常検出処理)を実行することができ、サテライト基板21の故障などを精度よく検出することができる。
例えば、電池状態監視部23は、セルモニタIC32による検出結果に基づいて、閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し高い程度の電圧になるように、即ち検出結果信号S2が正常を示すようにする指示信号を調整することができる。かかる調整により、異常ありを示す検出結果信号S2が出力部44から電池状態監視部23へ出力された場合、電池状態監視部23は、セルモニタIC32または過電圧検出部34に異常があることを検出することができる。
また、電池状態監視部23は、セルモニタIC32による検出結果に基づいて、閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し低い程度の電圧になるように、即ち検出結果信号S2が異常を示すようにする指示信号を調整することができる。かかる調整により、異常ありを示す検出結果信号S2が出力部44から電池状態監視部23へ出力されない場合、電池状態監視部23は、セルモニタIC32または過電圧検出部34に異常があることを検出することができる。
図5は、電池状態監視部23による自己診断処理が実行された場合の閾値電圧Vath、デューティ信号S5および検出信号Scmpの変化の一例を示す図である。なお、図5においては、デューティ信号S5の大きさは、デューティ比を示すものとし、また、セルモニタIC32は正常に動作しているものとする。
図5に示すように、自己診断処理が実行される前(時刻t10よりも前)において、デューティ信号S5はデューティ比がゼロであり、閾値電圧調整部46によって閾値電圧Vathは調整されない。この状態では、閾値電圧Vathは、分圧電圧Vaよりもある程度高く、検出信号ScmpはLowレベルである。
その後、時刻t10において、自己診断処理が実行されると、電池状態監視部23は、セルモニタIC32の検出結果に応じたブロック電圧Vbrに基づいてデューティ比がDuty1の指示信号を生成する。
このとき、セルモニタIC32から出力されるデューティ信号S5のデューティ比はDuty1であり、閾値電圧調整部46によって閾値電圧Vathが調整され、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaを少し上回るぐらいまで低下する。この状態では、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaより高いため、検出信号ScmpはLowレベルである。
一方で、例えば、分圧回路41が故障して分圧電圧Vaが通常よりも高い電圧Va’になっていると仮定する。この場合、時刻t11で閾値電圧Vathが電圧Va’を下回る。そのため、検出信号Scmpは、「Scmp’」に示すようにHighレベルになり、過電圧を示す検出結果信号S2が出力部44から電池状態監視部23へ出力される。
したがって、電池状態監視部23は、過電圧検出部34から出力される検出結果信号S2に基づいて、分圧回路41の故障、すなわち、過電圧検出部34の異常を検出することができる。
また、分圧回路41が正常である場合であっても、閾値電圧出力部42または閾値電圧調整部46の故障によって、閾値電圧Vathが通常よりも低くなった場合も同様に、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaを下回ることがある。この場合にも、過電圧検出部34から出力される検出結果信号S2に基づいて、閾値電圧出力部42または閾値電圧調整部46の故障、すなわち、過電圧検出部34の異常を検出することができる。
電池状態監視部23は、過電圧検出部34に異常がないと判定した場合、時刻t12に、デューティ信号S5のデューティ比がDuty1からDuty2へ上がるように指示信号を変更する。これにより、Duty2のデューティ信号S5によって閾値電圧調整部46により閾値電圧Vathが調整され、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaを少し下回るぐらいまで低下する。この状態では、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaより低いため、検出信号ScmpはHighレベルであり、過電圧を示す検出結果信号S2が出力部44から電池状態監視部23へ出力される。
一方、例えば、分圧回路41が故障して分圧電圧Vaが通常よりも低い電圧Va”になっていると仮定する。この場合、時刻t13〜t15の期間で閾値電圧Vathが電圧Va”を上回る。そのため、検出信号Scmpは、「Scmp”」に示すようにLowレベルのままであり、過電圧を示す検出結果信号S2は出力部44から電池状態監視部23へ出力されない。したがって、電池状態監視部23は、検出結果信号S2に基づいて、分圧回路41の故障、すなわち、過電圧検出部34の異常を検出することができる。
また、分圧回路41が正常である場合であっても、閾値電圧出力部42または閾値電圧調整部46の故障によって、閾値電圧Vathが通常よりも高くなった場合も同様に、閾値電圧Vathが分圧電圧Vaを上回ることがある。この場合にも、同様に過電圧検出部34の異常を検出することができる。
なお、過電圧検出部34が正常であっても、セルモニタIC32が正常に動作しておらず、ブロック電圧Vbrが正常に検出できない場合、あるいはデューティ信号S5が正常に出力できない場合、上述した場合と同様に、指示信号に応じた適切な検出結果信号S2が出力されない場合がある。このような場合には、セルモニタIC32が故障等の異常を検出することができる。
図3に戻って、過電圧検出部34の説明を続ける。過電圧検出部34の電源電圧監視部47は、電源電圧Vcが上昇する異常を検出することができる。電源電圧監視部47は、電源電圧Vcが閾値電圧Vcth以上に上昇した場合、電源電圧Vcが異常であると判定する。
電源電圧Vcが異常であると判定した場合、電源電圧監視部47は、Highレベルの異常検出信号Sabを出力部44へ出力し、異常を示す検出結果信号S2を出力部44から電池状態監視部23へ出力させる。なお、異常を示す検出結果信号S2は、過電圧を示す検出結果信号S2と共用することで、出力部44の構成を簡易化することができる。
閾値電圧Vathの大きさが電源電圧Vcの大きさに依存して変化する場合、電源電圧Vcが上昇する異常が発生すると、閾値電圧Vathも上昇する。そのため、電池ブロック10が過電圧になる場合に、分圧電圧Vaが閾値電圧Vath以上になるまでの時間がかかったり、分圧電圧Vaが閾値電圧Vath以上にならなかったりする場合がある。このような場合、過電圧の検出が遅れたり、過電圧の検出ができなかったりするため、電池ブロック10がさらに過充電されてしまうおそれがある。
そこで、電源電圧監視部47は、電源電圧Vcが閾値電圧Vcth以上に上昇した場合、電源電圧Vcの異常であると判定し、出力部44から異常を示す検出結果信号S2を電池状態監視部23へ出力させる。これにより、電池状態監視部23は、例えば、リレー6(図1参照)をオフにし、組電池1への充放電を停止させることができ、電池ブロック10の過充電の抑制が遅延することを防止することができる。
図6は、電源電圧Vcが上昇する異常が発生する前後の状態における電源電圧Vc、分圧電圧Vaおよび異常検出信号Sabの状態変化を示す図である。図6に示すように、時刻t20において、電源電圧生成部31に故障が発生した場合、電源電圧Vcが上昇し、かかる電源電圧Vcの上昇に伴って閾値電圧Vathが上昇する。
そして、電源電圧Vcが閾値電圧Vcth以上になった場合(時刻t21)、電源電圧監視部47は、電源電圧Vcが異常であることを示すHighレベルの異常検出信号Sabを出力部44へ出力する。これにより、出力部44から異常を示す検出結果信号S2が電池状態監視部23へ出力される。
このように、過電圧検出部34は、電源電圧監視部47を有しており、電源電圧Vcの異常によって過電圧の検出が遅れるような場合や過電圧の検出ができないような場合であっても、電池ブロック10を適切に保護することができる。
[3.過電圧検出部34の具体的な構成例]
図7は、過電圧検出部34の具体的な構成例を示す図である。図7に示すように、閾値電圧出力部42は、抵抗R3〜R5と、コンデンサC1を備える。電源電圧Vcは、抵抗R3、R4によって分圧され、かかる分圧電圧は、抵抗R5を介してコンデンサC1へ入力され、コンデンサC1の両端電圧が、閾値電圧Vathとして出力される。
かかる閾値電圧出力部42は、入力端子T4へのデューティ信号S5の入力がない場合、すなわち、デューティ信号S5のデューティ比がゼロである場合、電源電圧Vcの分圧電圧を閾値電圧Vath(=Vc×R4/(R3+R4))として出力する。
一方、閾値電圧出力部42は、入力端子T4へのデューティ信号S5の入力がある場合、閾値電圧調整部46によってデューティ信号S5に応じてコンデンサC1の両端電圧が低下させられる。そのため、かかる低下後の電圧が閾値電圧Vathとなる。
出力部44は、抵抗R6〜R8、R18と、コンデンサC2と、トランジスタQ1、Q2と、フォトカプラPC1とを備える。なお、トランジスタQ1は、NPN型トランジスタであり、トランジスタQ2は、PNP型トランジスタである。
図7に示すように、抵抗R6とトランジスタQ1とによって第1のエミッタ接地回路が構成され、抵抗R7とトランジスタQ2とによって第2のエミッタ接地回路が構成される。そして、トランジスタQ1のコレクタがトランジスタQ2のベースに入力される。
かかる構成によって、コンパレータ43から出力される検出信号ScmpがLowレベルの場合、トランジスタQ1がオフであり、トランジスタQ2がオフである。そのため、検出信号ScmpがLowレベルの場合、フォトカプラPC1はオフであり、出力端子T3を構成する端子T3aとT3bとは接続されていない状態であることから過電圧を示す検出結果信号S2は出力端子T3から出力されない。
一方、コンパレータ43から出力される検出信号ScmpがHighレベルの場合、トランジスタQ1がオンであり、トランジスタQ2がオンである。そのため、検出信号ScmpがHighレベルの場合、フォトカプラPC1はオンであり、端子T3aとT3bとが接続された状態であることから過電圧を示す検出結果信号S2が出力端子T3から出力される。
このように、フォトカプラPC1によって検出結果信号S2が出力端子T3から出力されるため、絶縁性を高めつつ、電池状態監視部23と過電圧検出部34との間の通信を行うことができる。なお、抵抗R6およびコンデンサC2はノイズ除去用のフィルタを構成する。これにより、フォトカプラPC1がノイズ等の影響によってオンになってしまうことを防止することができる。
閾値電圧調整部46は、抵抗R11と、トランジスタQ3とを備える。デューティ信号S5は、トランジスタQ3のゲートに入力される。デューティ信号S5がオフ(Lowレベル)の場合、トランジスタQ3がオフになり、コンデンサC1は抵抗R11を介してグランドに接続されない。
一方、デューティ信号S5がオン(Highレベル)の場合、トランジスタQ3がオンになり、コンデンサC1が抵抗R11およびトランジスタQ3を介してグランドに接続される。そのため、デューティ信号S5のデューティ比がゼロでない場合、コンデンサC1の電圧が低下して閾値電圧Vathが低下し、デューティ信号S5のデューティ比が高いほど、閾値電圧Vathを低下させることができる。
電源電圧監視部47は、抵抗R12と、コンパレータ48と、トランジスタQ4とを備える。コンパレータ48の非反転入力端子には電源電圧Vcが入力され、コンパレータ48の反転入力端子には閾値電圧Vcthが入力される。なお、閾値電圧Vcthはブロック電圧Vbrから生成される。例えば、ブロック電圧Vbrをツェナーダイオードに抵抗を介して接続することによって、ツェナーダイオードのツェナーを閾値電圧Vcthとすることができる。
電源電圧Vcが閾値電圧Vcth未満である場合、コンパレータ48はLowレベルの信号を出力する。そのため、トランジスタQ4はオフであり、Highレベルの異常検出信号Sabが出力されるため、過電圧の異常がない場合、フォトカプラPC1はオフである。一方、電源電圧Vcが閾値電圧Vcth以上である場合、コンパレータ48はHighレベルの信号を出力する。そのため、トランジスタQ4はオンであり、Lowレベルの異常検出信号Sabが出力され、フォトカプラPC1はオンである。
[4.電池状態監視部23]
次に、上述した電池状態監視部23のうち自己診断処理(異常検出処理)を行う異常検出部25の構成および動作についてさらに詳細に説明する。図8は、異常検出部25の構成のうち自己診断処理を行う構成例を示す図であり、その他の機能を行う構成については省略している。
図8に示すように、電池状態監視部23は、通信端子T10a、T10bと、入力端子T11と、通信部60と、ブロック電圧値要求部61と、ブロック電圧値取得部62と、閾値決定部63と、信号出力部64と、検出部65とを備える。
かかる電池状態監視部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。マイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、異常検出部25の通信部60、ブロック電圧値要求部61、ブロック電圧値取得部62、閾値決定部63、信号出力部64および検出部65として機能する。
また、通信部60、ブロック電圧値要求部61、ブロック電圧値取得部62、閾値決定部63、信号出力部64および検出部65の少なくともいずれかまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
通信部60は、通信端子T10a、T10bを介して指示信号や指示信号に対する応答信号などをセルモニタIC32との間で例えばSPI通信形式で送受信する。ブロック電圧値要求部61は、通信部60から電圧検出要求をセルモニタIC32へ出力する。これにより、セルモニタIC32に電池セル11の電圧または電池ブロック10の電圧を検出させる。
ブロック電圧値取得部62(取得部の一例)は、電圧検出要求に応じてセルモニタIC32から送信される各電池セル11の電圧値または電池ブロック10の電圧値の情報を取得する。ブロック電圧値取得部62は、セルモニタIC32から各電池セル11の電圧値を取得した場合、電池ブロック10を構成するすべての電池セル11の電圧値を積算することで電池ブロック10の電圧値の情報を取得する。
閾値決定部63は、ブロック電圧値取得部62によって取得された電池ブロック10の電圧値に基づいて、過電圧検出部34の閾値電圧Vathを決定する。閾値決定部63は、閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し高い程度の電圧になるように閾値電圧Vathを決定する。あるいは、閾値決定部63は、閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し低い程度の電圧になるように閾値電圧Vathを決定する。
更に閾値決定部63は、決定した閾値電圧Vathに応じて指示信号を送信するために複数の設定値を決定する。具体的に、閾値決定部63は、設定値として、例えば、閾値電圧Vathを調整するデューティ信号S5のデューティ比、複数のセルモニタIC32に対する指示信号の出力順を決定する。
上述したように、複数のサテライト基板21は、いわゆるデイジーチェーン方式で接続されているため、異常検出部25が複数のサテライト基板21に同時に指示信号を出力することができない。そこで、閾値決定部63は、サテライト基板21のセルモニタIC32に対してHighレベルのデューティ信号S5を出力するよう指示する指示信号(以下、High指示信号と記載する)を出力する出力順を決定する。閾値決定部63は、かかる出力順をデューティ信号S5のデューティ比が小さい順に決定する。ここで、異常検出部25は、High指示信号を出力した後、Lowレベルのデューティ信号S5を出力するよう指示する指示信号(以下、Low指示信号と記載する)を出力する。閾値決定部63がHigh指示信号の出力順をデューティ信号S5のデューティ比が小さい順に決定することで、各セルモニタIC32に出力するLow指示信号の出力タイミングが重なることがなく、異常検出部25が複数のセルモニタIC32に対して確実にHigh指示信号およびLow指示信号を出力することができる。
また、閾値決定部63は、決定したデューティ比および出力順に基づき、デューティ信号S5がHighレベルである時間を示すHigh時間、High指示信号を出力するHighタイミング、および、Low指示信号を出力するLowタイミングを決定する。
通信部60がサテライト基板21に対して指示信号を含む制御信号を送信する場合、通信部60が制御信号を送信し、送信先のサテライト基板21から制御信号を受信した旨を示す応答信号を受信するまでに所定の通信時間(例えば、最大250μs)が必要となる。そこで、閾値決定部63は、所定の通信時間をあけて指示信号が送信されるように、HighタイミングおよびLowタイミングを決定する。
図9は、閾値決定部63が決定する設定値の一例を示す図である。図9では、各サテライト基板21が有するセルモニタIC32を区別するために、サテライト基板21_1〜21_6に対応するセルモニタIC32にそれぞれIC32_1〜IC32_6の番号を付し、符号もセルモニタIC32_1〜32_6と記載する。
図9に示すように、閾値決定部63は、セルモニタIC32_1が出力するデューティ信号S5のデューティ比を50%に決定する。同様に、閾値決定部63は、セルモニタIC32_2〜32_6のデューティ比をそれぞれ「50%」、「30%」、「30%」、「50%」、「50%」に決定する。
また、閾値決定部63は、High信号の出力順を、デューティ比が小さい順に、「IC32_3」、「IC32_4」、「IC32_1」、「IC32_2」、「IC32_5」、「IC32_6」と決定する。なお、決定したデューティ比が同じ場合、閾値決定部63は、セルモニタIC32の番号が小さい順に出力順を決定する。
閾値決定部63は、デューティ信号S5の1周期とデューティ比とからHigh時間を決定する。図9の例では、デューティ信号S5の1周期を8msとしているため、閾値決定部63は、セルモニタIC32_1のHigh時間を4.000msに決定する。同様に、閾値決定部63は、セルモニタIC32_2〜32_6のHigh時間をそれぞれ「4.000ms」、「2.400ms」、「2.400ms」、「4.000ms」、「4.000ms」に決定する。
また、閾値決定部63は、決定した出力順、信号送信にかかる所定の通信時間(ここでは0.25msとする)およびHigh時間に応じてHighタイミングおよびLowタイミングを決定する。図9では、閾値決定部63は、セルモニタIC32_1〜32_6のHighタイミングをそれぞれ「0.500ms」、「0.750ms」、「0.000ms」、「0.250ms」、「1.000ms」、「1.250ms」に決定する。また、閾値決定部63は、セルモニタIC32_1〜32_6のLowタイミングをそれぞれ「4.500ms」、「4.750ms」、「2.400ms」、「2.650ms」、「5.000ms」、「5.250ms」に決定する。
図8に戻って、信号出力部64は、閾値決定部63が決定した閾値に応じたデューティ信号S5がセルモニタIC32の出力端子T6から出力されるよう指示する指示信号を出力する。信号出力部64は、High指示出力部66と、Low指示出力部67と、AWAKE出力部68とを有する。
High指示出力部66は、閾値決定部63が決定した設定値に基づき、セルモニタIC32に対して出力端子T6からHighレベルのデューティ信号S5の出力を指示するHigh指示信号を出力する。
Low指示出力部67は、閾値決定部63が決定した設定値に基づき、セルモニタIC32に対して出力端子T6からLowレベルのデューティ信号S5の出力を指示するLow指示信号を出力する。Low指示出力部67は、例えば各セルモニタIC32に対応する遅延トリガを有し、かかる遅延トリガを用いて、High指示出力部66からHigh指示信号が出力されてからHigh時間経過後にLow指示信号を出力する。このように、遅延トリガを用いてLow指示信号を出力することで、簡易な構成でデューティ信号S5のデューティ比を精度良く設定することができる。
なお、遅延トリガは、Low指示出力部67がLow指示信号を出力するための構成の一例であり、これに限定されない。例えば、Low指示出力部67が、閾値決定部63が決定したLowタイミングに基づいてLow指示信号を出力するようにしてもよい。
AWAKE出力部68は、信号出力部64がHigh指示信号またはLow指示信号を出力してから一定期間信号を送信しない場合に、AWAKE信号(起動信号の一例)をI/F部24に送信する。これは、I/F部24が一定期間信号を送受信しない場合、機能の少なくとも一部を停止するスリープ状態に移行するためである。したがって、信号の送受信の有無にかかわらずI/F部24が常に起動している場合、AWAKE信号の送付は不要である。
このように、High指示信号またはLow指示信号を出力してから一定期間信号を送信しない場合、AWAKE出力部68がAWAKE信号を送信することで、I/F部24を常に起動させておくことができる。I/F部24がスリープ状態に移行すると、I/F部24の再起動に時間が必要となるため、I/F部24が指示信号を受信してからセルモニタIC32に出力するまで時間がかかってしまう。これにより、デューティ信号S5のデューティ比が所望の値からずれてしまう恐れがあるが、AWAKE出力部68がAWAKE信号を送信することで、I/F部24のスリープ状態への移行を抑制することができ、デューティ信号S5のデューティ比を所望の値に保つことができる。
図10は、信号出力部64が出力する指示信号の出力タイミングの一例を説明する図である。なお、図10では、図9と同様に、サテライト基板21_1〜21_6にそれぞれ対応するセルモニタIC32にIC32_1〜IC32_6の番号を付している。また、図10では、閾値決定部63が図9に示すような設定値を決定した場合における指示信号の出力タイミングを示している。
図10に示すように、High指示出力部66は、時刻0.000msから通信周期(0.250ms)で出力順にしたがって、順次High指示信号を出力する。具体的に、閾値決定部63は、セルモニタIC32_3のHighタイミングを時刻0.000msに決定している。そこで、High指示出力部66は、時刻0.000msでセルモニタIC32_3宛てのHigh指示信号を出力する。なお、図10では、High指示信号等の出力信号の宛先であるセルモニタIC32を括弧で示している。
同様にして、High指示出力部66は、通信周期(0.250ms)で閾値決定部63が決定した出力順にHigh指示信号を出力する。High指示出力部66が時刻1.250msでセルモニタIC32_6宛てにHigh指示信号を出力してから、Low指示出力部67がLow指示信号を出力するまで一定期間以上の間があくため、AWAKE出力部68は、例えば時刻1.600msでAWAKE信号を出力する。
次に、閾値決定部63は、セルモニタIC32_3のLowタイミングを時刻2.400msに決定している。そこで、Low指示出力部67は、時刻2.400msでセルモニタIC32_3宛てのLow指示信号を出力する。続いて、Low指示出力部67は、時刻2.650msでセルモニタIC32_4宛てのLow指示信号を出力する。その後、Low指示出力部67がセルモニタIC32_1宛てにLow指示信号を出力するまで一定期間以上の間があくため、AWAKE出力部68は、例えば時刻3.700msでAWAKE信号を出力する。その後、Low指示出力部67は、時刻4.500ms以降、通信時間(0.250ms)間隔で順次Low指示信号をセルモニタIC32_1、32_2、32_5、32_6宛てに送信する。
また、AWAKE出力部68は、Low指示出力部67がセルモニタIC32_6宛てのLow指示信号を出力した後の時刻7.700msでAWAKE信号を出力する。その後、信号出力部64は、指示信号、AWAKE信号を、時刻0.000msから8.000msまでに送信した場合と同様に、デューティ信号S5の周期8.000msで繰り返し出力する。
このように、High指示出力部66およびLow指示出力部67が、閾値決定部63が決定した設定値に応じてHigh指示信号およびLow指示信号を出力する。これにより、異常検出部25は、各セルモニタIC32の出力端子T6から閾値決定部63が決定したデューティ比のデューティ信号S5を出力させることができる。
検出部65は、閾値決定部63が決定した閾値および過電圧検出部34から出力された検出結果信号S2に応じてセルモニタIC32または過電圧検出部34の異常を検出する。具体的に、信号出力部64から閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し高い程度の電圧になるようにデューティ信号S5を制御する指示信号が出力されているとする。この場合において、過電圧検出部34から出力された検出結果信号S2が異常ありを示す場合、検出部65は、セルモニタIC32または過電圧検出部34が異常であると判定する。一方、信号出力部64から閾値電圧Vathがブロック電圧Vbrよりも少し低い程度の電圧になるようにデューティ信号S5を制御する指示信号が出力されているとする。この場合において、過電圧検出部34から出力された検出結果信号S2が異常なしを示す場合、検出部65は、セルモニタIC32または過電圧検出部34が異常であると判定する。
なお、入力端子T11は、過電圧検出部34毎に設けられており、出力端子T3を構成する端子T3a、T3bをそれぞれ接続する2つの端子を備える。これにより、過電圧検出部34毎に検出結果信号S2を入力することができる。
検出部65には、出力端子T3を構成する端子T3a、T3b間の導通状態を検出する検出部(図示せず)を有しており、かかる検出部によって、過電圧検出部34毎の検出結果信号S2の状態を判定し、過電圧検出部34毎に過電圧異常や電源電圧異常を検出する。なお、端子T3a、T3b間の導通状態は、例えば、端子T3a、T3b間に電圧を印加し、その際に電流が流れるか否かによって判定することができる。
また、複数の過電圧検出部34に対して入力端子T11を共通化することができる。例えば、複数の過電圧検出部34の出力端子T3を入力端子T11に並列に接続する構成にもできる。これにより、複数の過電圧検出部34のうちいずれか一つに過電圧異常や電源電圧異常が生じたことを検出可能としつつ入力端子T11の数を低減することができ、電池状態監視部23の小型化を図ることができる。
図11は、電池状態監視部23が行う自己診断処理の流れを示すフローチャートである。なお、セルモニタIC32は正常であるとして説明する。
図11に示すように、電池状態監視部23は、過電圧検出部34の自己診断開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS10)。過電圧検出部34の自己診断開始タイミングであると判定した場合(ステップS10;Yes)、電池状態監視部23は、セルモニタIC32へ電圧検出要求を行い、ブロック電圧Vbrの情報を取得する(ステップS11)。
次に、電池状態監視部23は、ステップS11で取得したブロック電圧Vbrよりも少し高い程度の電圧になるよう閾値電圧Vathを決定する(ステップS12)。その後、電池状態監視部23は、閾値電圧Vathに応じたデューティ比のデューティ信号S5がセルモニタIC32から出力されるように、閾値電圧Vathに応じて指示信号を出力する(ステップS13)。
続いて、電池状態監視部23は、検出結果信号S2が正常を示すか否かを判定する(ステップS14)。
検出結果信号S2が正常を示すと判定した場合(ステップS14;Yes)、電池状態監視部23は、ブロック電圧Vbrよりも少し低い程度の電圧になるよう閾値電圧Vathを決定する(ステップS15)。その後、電池状態監視部23は、閾値電圧Vathに応じたデューティ比のデューティ信号S5がセルモニタIC32から出力されるように、閾値電圧Vathに応じて指示信号を出力する(ステップS16)。
続いて、電池状態監視部23は、検出結果信号S2が異常を示すか否かを判定する(ステップS17)。
検出結果信号S2が異常を示すと判定した場合(ステップS17;Yes)、電池状態監視部23は、過電圧検出部34は正常であると判定する(ステップS18)。一方、ステップS14において検出結果信号S2が正常を示さないと判定した場合(ステップS14;No)、または、ステップS17において検出結果信号S2が異常を示さないと判定した場合(ステップS17;No)、電池状態監視部23は、過電圧検出部34は異常であると判定する(ステップS19)。
自己診断開始タイミングではないと判定した場合(ステップS10;No)、ステップS18またはステップS19の処理が終了した場合、図11に示す処理をステップS10から繰り返し行う。
[5.高電圧検出部35]
次に、高電圧検出部35について説明する。図12は、高電圧検出部35の構成例を示す図である。
図12に示すように、高電圧検出部35は、整流ブリッジ回路51と、断線検出部52とを備える。整流ブリッジ回路51は、電池ブロック10の負極と正極との間に接続され、ブロック電圧Vbrを整流して出力する。
断線検出部52は、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreが所定電圧Vreth以上である場合に、電池ブロック10の断線があることを示す検出結果信号S4(以下、断線を示す検出結果信号S4と記載する)を出力する。一方、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreが所定電圧Vreth未満である場合に、断線を示す検出結果信号S4を出力しない。
断線検出部52は、後で詳述するように、例えば、複数の電圧制限回路を有する構成であり、これらの制限電圧回路の出力電圧差が所定値以上である場合に、出力電圧Vreが所定電圧Vreth以上であるとして、断線を示す検出結果信号S4を出力することができる。
また、断線検出部52は、例えば、出力電圧Vreを分圧する分圧回路とコンパレータを有する構成であってもよい。この場合、断線検出部52は、出力電圧Vreの分圧電圧が所定電圧以上である場合に、出力電圧Vreが所定電圧Vreth以上であるとして、断線を示す検出結果信号S4を出力することができる。
図13は、電池セル11が有する電流遮断デバイス(CID)の作動状態と、電池セル11の充放電状態と、電流遮断デバイスの両端電圧との関係を説明するための図である。なお、図13において、CID切れが発生した場合を「CID切れ」と記載し、CID切れが発生してない場合を「CID正常」と記載している。また、CID切れが発生した場合の電流遮断デバイスの両端電圧は、一例として±300Vであるとしている。
図13に示すように、電池ブロック10の放電中にCID切れが発生するとCID切れ発生箇所の電圧Vcid(以下、CID電圧Vcidと記載する)は、+300Vになり、電池ブロック10の充電中にCID切れが発生するとCID電圧Vcidは、−300Vになる。
上述したように、電池ブロック10の両極間は、整流ブリッジ回路51に接続されており、かかる整流ブリッジ回路51によってブロック電圧Vbrが整流されて整流ブリッジ回路51から出力される。したがって、CID電圧Vcidが+300Vであっても−300Vであっても、整流ブリッジ回路51から同じ正電圧が出力される。
そのため、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreを監視することで、電池ブロック10の充電時にCID切れが発生した場合であっても、電池ブロック10の充電時にセル電流遮断が発生した場合であっても、CID切れを精度よく検出することができる。
また、バスバー外れの場合、CID切れの場合と同様に、バスバーが外れた電池ブロック10間で正の高電圧または負の高電圧が発生するため、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreを監視することで、電池ブロック10の充電時と放電時とに関わらず、バスバー外れを精度よく検出することができる。
さらに、高電圧検出部35は、図2に示すように、ヒューズ30を介さずに電池ブロック10の両端(負極と正極)に接続される。そのため、例えば、電池ブロック10の断線によってセルモニタIC32と電池ブロック10との間に過電流が流れてヒューズ30が溶断された場合であっても、電池ブロック10の断線を検出することができる。
したがって、電池ブロック10の断線によって、ヒューズ30が溶断し、セルモニタIC32および過電圧検出部34によって電池ブロック10の電圧が検出できず、電池状態監視部23への電圧の情報を通知できない場合であっても、電池ブロック10の断線を検出することができる。
[6.高電圧検出部35の具体的な構成例]
図14は、高電圧検出部35の具体的な構成例を示す図である。図14に示すように、整流ブリッジ回路51は、4つのダイオードD10〜D13がブリッジ接続されたダイオードブリッジ回路で構成される。
断線検出部52は、第1電圧制限回路53と、第2電圧制限回路54と、判定部55と、出力部56とを備える。
第1電圧制限回路53は、出力電圧Vreが第1電圧V1以下である場合に、出力電圧Vreに応じた電圧を出力電圧Vcp1として出力し、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreが第1電圧V1より高い場合に、出力電圧Vcp1を第1電圧V1に制限して出力する。なお、「出力電圧Vreに応じた電圧」は、第1電圧制限回路53の入出力間の電圧を無視できるとした場合、出力電圧Vreと同じ電圧である。
第1電圧V1は、電池ブロック10が正常である場合のブロック電圧Vbrよりも高い電圧に設定される。例えば、ブロック電圧Vbrの正常値が110V以下である場合、第1電圧V1は、例えば、130Vに設定される。
したがって、ブロック電圧Vbrの正常値である場合、ブロック電圧Vbrに応じた電圧が出力電圧Vcp1として第1電圧制限回路53から出力される。一方、電池ブロック10の断線などによってブロック電圧Vbrが正常値に対して高電圧になった場合、第1電圧V1が出力電圧Vcp1として第1電圧制限回路53から出力される。
かかる第1電圧制限回路53は、抵抗R20と、コンデンサC10と、ツェナーダイオードZD1とを備える。抵抗R20の一端は、整流ブリッジ回路51の出力に接続され、抵抗R20の他端とグランドとの間にはコンデンサC10およびツェナーダイオードZD1が並列に接続される。なお、抵抗R20とコンデンサC10とによりRCフィルタが構成される。
ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧は、第1電圧V1に設定されており、出力電圧Vreが第1電圧V1より低い場合、出力電圧Vreに応じた電圧が出力電圧Vcp1として出力される。
一方、整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreが第1電圧V1より高い場合、ツェナーダイオードZD1によって抵抗R20の他端の電圧がクランプされる。これにより、出力電圧Vreが第1電圧V1を超える場合に、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第1電圧V1になり、第2電圧制限回路54および判定部55に加わる電圧を第1電圧V1以下に制限することができる。
そのため、第2電圧制限回路54および判定部55に高電圧が加わることを避けることができ、高電圧が加わる場合に比べ、第2電圧制限回路54および判定部55を構成する各素子の定格電圧を抑えることができ、低コスト化や小型化を図ることができる。
第2電圧制限回路54は、出力電圧Vcp1が第1電圧V1よりも低い第2電圧V2(<V1)以下である場合に、出力電圧Vcp1に応じた電圧を出力電圧Vcp2として出力する。なお、「出力電圧Vcp1に応じた電圧」は、第2電圧制限回路54の入出力間の電圧を無視できるとした場合、出力電圧Vcp1と同じ電圧である。
一方、第2電圧制限回路54は、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第2電圧V2より高い場合に、出力電圧Vcp2を第2電圧V2に制限して出力する。
第2電圧V2は、電池ブロック10が正常である場合のブロック電圧Vbrよりも高い電圧に設定され、かつ、第1電圧V1よりも低い電圧に設定される。例えば、ブロック電圧Vbrの正常値が110V以下である場合、第2電圧V2は、例えば、120Vに設定される。
第2電圧制限回路54は、抵抗R21と、コンデンサC11と、ツェナーダイオードZD2とを備え、第1電圧制限回路53と同様に構成される。ただし、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧は、第2電圧V2に設定されており、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第2電圧V2以下である場合、出力電圧Vreに応じた電圧が出力電圧Vcp2として出力される。
一方、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第2電圧V2を超える場合、ツェナーダイオードZD2によって抵抗R21の他端の電圧がクランプされる。これにより、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第2電圧V2を超える場合に、第2電圧制限回路54の出力電圧Vcp2が第1電圧V1よりも低い第2電圧V2になる。
したがって、電池ブロック10の断線などによってブロック電圧Vbrが高電圧になった場合、第1電圧制限回路53から第1電圧V1が出力電圧Vcp1として出力され、第2電圧制限回路54から第2電圧V2が出力電圧Vcp2として出力される。このように、電池ブロック10の断線が発生した場合、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2とは、電圧差ΔV(=V1−V2)を生じる。
そこで、判定部55は、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との差に基づいて、電池ブロック10の断線があるか否かを判定する。例えば、判定部55は、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との差が所定値ΔVcp(<ΔV)以上である場合に、電池ブロック10の断線があると判定する。一方、判定部55は、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との差が所定値ΔVcp未満である場合、電池ブロック10の断線がないと判定する。
判定部55は、例えば、入力抵抗R22とトランジスタQ10とを備える。トランジスタQ10のエミッタには、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が入力され、トランジスタQ10のベースには、入力抵抗R22を介して第2電圧制限回路54の出力電圧Vcp2が入力される。
そのため、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差がトランジスタQ10の閾値電圧以上になった場合にトランジスタQ10がオンになり、電池ブロック10の断線があると判定した状態になる。したがって、図12に示す回路の場合、所定値ΔVcpは、トランジスタQ10の閾値電圧以上の電圧である。一方、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差がトランジスタQ10の閾値電圧未満である場合、トランジスタQ10はオフであり、電池ブロック10の断線がないと判定した状態になる。
出力部56は、絶縁性の出力部であり、判定部55の出力と出力端子T5との間に設けられる。かかる出力部56は、電池状態監視部23へ判定部55の判定結果に応じた検出結果信号S4を出力する。かかる出力部56によって高電圧検出部35と電池状態監視部23との間の絶縁性を保ちつつ、判定部55の判定結果に応じた検出結果信号S4を電池状態監視部23へ出力することができる。
かかる出力部56は、抵抗R23と、フォトカプラPC3とを備える。フォトカプラPC3のダイオード側は、抵抗R23と直列接続され、フォトカプラPC3のトランジスタ側には、出力端子T5を構成する端子T5aとT5bが接続される。
トランジスタQ10がオフである場合、フォトカプラPC3はオフであり、端子T5aとT5bとは接続されていない状態であり、断線を示す検出結果信号S4は出力端子T5から出力されない。一方、トランジスタQ10がオンである場合、フォトカプラPC3はオンであり、端子T5aとT5bとは接続された状態であり、断線を示す検出結果信号S4が出力端子T5から出力される。
なお、電池状態監視部23は、端子T5aとT5bとにそれぞれ接続される2つの端子を有する入力端子T15(図示せず)と、入力端子T15の2つの端子の導通状態を検出する検出部(図示せず)を有している。電池状態監視部23は、かかる検出部によって、高電圧検出部35毎の検出結果信号S4の状態を判定し、高電圧検出部35毎に電池ブロック10の断線を検出することができる。なお、端子T5aとT5b間の導通状態は、例えば、端子T5aとT5b間に電圧を印加し、その際に電流が流れるか否かによって判定することができる。
また、電池状態監視部23は、複数の高電圧検出部35の出力端子T5を入力端子T15(図示せず)に並列に接続する構成にもできる。これにより、複数の高電圧検出部35のうちいずれか一つに電池ブロック10の断線が生じたことを検出可能としつつ入力端子T15の数を低減することができ、電池状態監視部23の小型化を図ることができる。なお、複数の高電圧検出部35の出力端子T5は、入力端子T11に出力端子T3と並列に接続されてもよい。
このように、図14に示す断線検出部52は、ブロック電圧Vbrの正常値よりも高い電圧制限であって電圧制限が互いに異なる2つの電圧制限回路を設け、これらの電圧制限回路の出力の差に基づき、電池ブロック10の断線があるか否かを判定することができる。そのため、例えば、抵抗、ツェナーダイオード、コンデンサおよびトランジスタのみを用いた比較的簡易かつ安価に断線検出部52を構成することができる。
なお、図14に示す判定部55では、トランジスタQ10によって、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差が所定値以上であることを検出したが、かかる構成に限定されない。
例えば、抵抗R23とフォトカプラPC3の直列回路(図12参照)の抵抗R23側に出力電圧Vcp1を入力し、かかる直列回路のフォトカプラPC3側に出力電圧Vcp2を入力する構成であってもよい。これにより、抵抗R23とフォトカプラPC3の直列回路に出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差ΔVに応じた電流が流れる。
また、この場合、抵抗R23とフォトカプラPC3の直列回路に1以上のダイオードを直列に追加することでフォトカプラPC3がオンになる出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差を調整することができる。この場合、ダイオードの順方向はフォトカプラPC3の順方向と同じである。
図15は、電池ブロック10の放電時にCID切れの発生によるCID電圧Vcid、出力電圧Vre、Vcp1、Vcp2、および、検出結果信号S4の変化を示す図である。
図15に示すように、電池ブロック10の放電時にCID切れが発生した場合(時刻t31)、CID電圧Vcidおよび出力電圧Vre、Vcp1、Vcp2が上昇する。そして、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が第2電圧V2より高くなった場合(時刻t32)、第2電圧制限回路54の出力電圧Vcp2が第2電圧V2に制限される。
その後、第1電圧制限回路53の出力電圧Vcp1が上昇して、出力電圧Vcp1と出力電圧Vcp2との電圧差が所定値ΔVcp以上になった場合(時刻t33)に、判定部55が電池ブロック10の断線があると判定し、出力部56が断線を示す検出結果信号S4を出力端子T5から出力する。
図16は、電池ブロック10の充電時にCID切れの発生によるCID電圧Vcid、出力電圧Vre、Vcp1、Vcp2、および、検出結果信号S4の変化を示す図である。
図16に示すように、電池ブロック10の充電時にCID切れが発生した場合(時刻t31)、CID電圧Vcidが負電圧になるが、整流ブリッジ回路51から出力される出力電圧Vreは、図15に示す場合と同様に正電圧である。そのため、図15に示す場合と同様に、判定部55が電池ブロック10の断線があると判定し、出力部56が断線を示す検出結果信号S4を出力端子T5から出力することができる。
ここで、出力部56の抵抗R23とフォトカプラPC3のダイオードとに流れる電流Iaと、フォトカプラPC3のオン/オフとの関係を説明する。図17は、CID電圧Vcid、電流IaおよびフォトカプラPC3のオン/オフ状態を示す図である。
図17に示すように、CID電圧Vcidが所定電圧Vcidth以上になった場合に、電流Iaが閾値Ith以上となって、フォトカプラPC3がオンになり、断線を示す検出結果信号S4が出力端子T5から出力される。なお、所定電圧Vcidthは、所定電圧Vrethに対応する電圧であり、整流ブリッジ回路51の内部ロス分を無視した場合、例えば、Vcidth=Vrethである。
以上のように、高電圧検出部35は、整流ブリッジ回路51を有し、かかる整流ブリッジ回路51の出力電圧Vreに基づいて電池ブロック10の断線を検出する。そのため、電池ブロック10が充電状態である場合も放電状態である場合も、電池ブロック10の断線を同様の構成にて検出することができる。
なお、図14に示す高電圧検出部35は、第2電圧制限回路54の入力側が第1電圧制限回路53の出力側に接続されるが、高電圧検出部35は図14に示す構成に限定されない。図18は、高電圧検出部35の他の構成例を示す図である。図18に示す高電圧検出部35は、第2電圧制限回路54の入力側が整流ブリッジ回路51の出力側に接続される。
図18に示す高電圧検出部35は、第1電圧制限回路53の入力側と第2電圧制限回路54の入力側とがそれぞれ整流ブリッジ回路51の出力側に接続される。そのため、コンデンサC10によって出力電圧Vcp1の立ち上がりが遅延する場合であっても、かかる遅延による出力電圧Vcp2の立ち上がりの遅延を抑制することができる。そのため、電池ブロック10の断線を迅速に検出することができる。
以上のように、実施形態に係る異常検出部25(異常検出装置の一例)は、複数の電池ブロック10を有する組電池1の電池ブロック10ごとに設けられ、閾値電圧Vath(閾値の一例)と電池ブロック10のブロック電圧Vbrとを比較する過電圧検出部34(比較部の一例)と、閾値電圧Vathを制御するセルモニタIC32(制御部の一例)とを有し、過電圧検出部34の比較結果に基づいてブロック電圧Vbrを監視する複数のブロック監視部22(電圧監視装置の一例)の異常を検出する。
かかる異常検出部25は、ブロック電圧値取得部62(取得部の一例)と、閾値決定部63(決定部の一例)と、信号出力部64(出力部の一例)と、検出部65とを備える。ブロック電圧値取得部62は、複数の電池ブロック10のブロック電圧Vbrをそれぞれ取得する。閾値決定部63は、ブロック電圧値取得部62が取得したブロック電圧Vbrに基づき、複数のブロック監視部22の閾値電圧Vathをそれぞれ決定する。信号出力部64は、閾値決定部63が決定した閾値電圧Vathに応じたデューティ信号S5が複数のブロック監視部22のセルモニタIC32の出力端子T6から出力されるように、デューティ信号S5の信号レベルを指示する指示信号をセルモニタIC32に出力する。検出部65は、閾値決定部63が決定した閾値電圧Vathに基づいた複数のブロック監視部22の過電圧検出部34による比較結果に応じて、当該ブロック監視部22の異常を検出する。これにより、ブロック監視部22にデューティ信号S5を生成するための回路を別途設けることなく、セルモニタIC32が異常検出部25からの指示に基づいて所望のデューティ信号S5を出力することができる。そのため、製造コストを抑制しつつ、異常検出部25がブロック監視部22の異常を検出することができる。
また、セルモニタIC32は、出力端子T6からデューティ信号S5を過電圧検出部34に出力する。これにより、セルモニタIC32に専用の端子を設けることなく、汎用出力端子(例えば出力端子T6)を用いて、デューティ信号S5を過電圧検出部34に出力することができる。そのため、製造コストを抑制することができる。
また、信号出力部64は、シリアル通信(例えばSPI通信)によって指示信号をセルモニタIC32に出力する。
また、複数のブロック監視部22はデイジーチェーン方式で互いに接続されており、信号出力部64は、複数のブロック監視部22のセルモニタIC32に対する指示信号をブロック監視部22との1回の通信にかかる期間(例えば通信期間)をあけて順次出力する。このように、ブロック監視部22がデイジーチェーン方式で接続されている場合であっても、指示信号をセルモニタIC32に出力することができる。
また、信号出力部64は、デューティ信号S5のデューティ比が小さい順に、複数のブロック監視部22のセルモニタIC32に対してHighレベルのデューティ信号S5を出力するよう指示する指示信号(例えばHigh指示信号)を出力する。これにより、信号出力部64は、各セルモニタIC32に対して、High指示信号を異なるタイミングでそれぞれ出力することができる。
また、信号出力部64は、Highレベルのデューティ信号S5を出力するよう指示する指示信号を出力してから、閾値決定部63が決定した閾値電圧Vathに応じた期間経過後に、複数のブロック監視部22のセルモニタIC32に対してLowレベルのデューティ信号S5を出力するよう指示する指示信号(例えばLow指示信号)を出力する。これにより、信号出力部64は、各セルモニタIC32に対して、Low指示信号を異なるタイミングでそれぞれ出力することができる。
また、信号出力部64は、ブロック監視部22との間に設けられるI/F部24(インターフェース部の一例)の機能が停止しないように、I/F部24を起動させる起動信号(例えばAWAKE信号)を出力する。これにより、I/F部24がスリープ状態に移行しないようにすることができ、I/F部24が再起動することによって、セルモニタIC32が指示信号を受信するタイミングが遅延しないようにすることができる。したがって、セルモニタIC32が出力するデューティ信号S5のデューティ比を所望の値に維持することができる。
また、実施形態に係る自己診断方法(異常検出方法の一例)は、複数の電池ブロック10を有する組電池1の電池ブロック10ごとに設けられ、閾値電圧Vath(閾値の一例)と電池ブロック10のブロック電圧Vbrとを比較する過電圧検出部34(比較部の一例)と、閾値電圧Vathを制御するセルモニタIC32(制御部の一例)とを有し、過電圧検出部34の比較結果に基づいてブロック電圧Vbrを監視する複数のブロック監視部22(電圧監視装置の一例)の異常を検出する方法である。
実施形態に係る自己診断方法では、複数の電池ブロック10のブロック電圧Vbrをそれぞれ取得し、取得したブロック電圧Vbrに基づき、複数のブロック監視部22の閾値電圧Vathをそれぞれ決定する。また、自己診断方法では、決定した閾値電圧Vathに応じたデューティ信号S5が複数のブロック監視部22のセルモニタIC32の出力端子T6から出力されるように、デューティ信号S5の信号レベルを指示する指示信号をセルモニタIC32に出力する。さらに、自己診断方法では、決定した閾値電圧Vathに基づいた複数のブロック監視部22の過電圧検出部34による比較結果に応じて、ブロック監視部22の異常を検出する。これにより、ブロック監視部22にデューティ信号S5を生成するための回路を別途設けることなく、セルモニタIC32が異常検出部25からの指示に基づいて所望のデューティ信号S5を出力することができる。そのため、製造コストを抑制しつつ、異常検出部25がブロック監視部22の異常を検出することができる。
また、実施形態に係る組電池監視システム2(異常検出システムの一例)は、複数のブロック監視部22(電圧監視装置の一例)と異常検出部25(異常検出装置の一例)とを備える。
ブロック監視部22は、複数の電池ブロック10を有する組電池1の電池ブロック10ごとに設けられ、ブロック電圧Vbrを監視する。ブロック監視部22は、過電圧検出部34(比較部の一例)と、セルモニタIC32(制御部の一例)とを有する。過電圧検出部34は、閾値電圧Vath(閾値の一例)とブロック電圧Vbrとを比較する。セルモニタIC32は、閾値電圧Vathを制御する。
異常検出部25は、ブロック監視部22の異常を検出する。異常検出部25は、ブロック電圧値取得部62(取得部の一例)と、閾値決定部63(決定部の一例)と、信号出力部64(出力部の一例)と、検出部65とを備える。ブロック電圧値取得部62は、複数の電池ブロック10のブロック電圧Vbrをそれぞれ取得する。閾値決定部63は、ブロック電圧値取得部62が取得したブロック電圧Vbrに基づき、複数のブロック監視部22の閾値電圧Vathをそれぞれ決定する。信号出力部64は、閾値決定部63が決定した閾値電圧Vathに応じたデューティ信号S5が複数のブロック監視部22のセルモニタIC32の出力端子T6から出力されるように、デューティ信号S5の信号レベルを指示する指示信号をセルモニタIC32に出力する。検出部65は、閾値決定部63が決定した閾値電圧Vathに基づいた複数のブロック監視部22の過電圧検出部34による比較結果に応じて、当該ブロック監視部22の異常を検出する。これにより、ブロック監視部22にデューティ信号S5を生成するための回路を別途設けることなく、セルモニタIC32が異常検出部25からの指示に基づいて所望のデューティ信号S5を出力することができる。そのため、製造コストを抑制しつつ、異常検出部25がブロック監視部22の異常を検出することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。