図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動輪ユニット3を含む自動搬送台車1の底面図である。図2は、自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図2では、自動搬送台車1の構成の一部を断面にて示す。後述する図3ないし図5においても同様である。図2では、後述するキャスタ12の従動輪121と、駆動輪ユニット3の駆動輪33とが、略同じ高さの床面91に接している状態を描いている。
自動搬送台車1は、例えば、工場内の生産ラインで被搬送物の搬送に利用される。自動搬送台車1は、無人搬送車とも呼ばれ、例えばコンピュータ制御により自動運転される。自動搬送台車1は、AGV(Automated Guided Vehicle)とも呼ばれる。以下の説明では、図1および図2中の左右方向を「前後方向」と呼び、図1中の上下方向を「幅方向」と呼ぶ。なお、上述の前後方向は、自動搬送台車1の移動方向とは必ずしも一致しない。
自動搬送台車1は、台車本体11と、複数のキャスタ12と、駆動輪ユニット3と、制御部4と、を含む。台車本体11は、例えば、略平板状の部材である。自動搬送台車1により搬送される被搬送物は、台車本体11の上面上に載置される。台車本体11の上面は、例えば、床面91に略平行である。制御部4は、駆動輪ユニット3を制御する。制御部4は、例えば、台車本体11に取り付けられる。制御部4は、台車本体11から離れた位置に設置されてもよい。
複数のキャスタ12は、台車本体11に取り付けられ、台車本体11を下方から支持する。自動搬送台車1では、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が、複数のキャスタ12により支持される。自動搬送台車1では、駆動輪ユニット3は、台車本体11および被搬送物の重量をほとんど支持しない。
自動搬送台車1は、3つ以上のキャスタ12を含む。当該3つ以上のキャスタ12は、非直線上に配置される。換言すれば、台車本体11に取り付けられた複数のキャスタ12のうち、いずれか3つのキャスタ12が、三角形の頂点を構成する。さらに換言すれば、当該複数のキャスタ12は、直線上に配置された2つのキャスタ12と、当該直線から離間した位置に配置される1つ以上のキャスタ12と、を含む。
図1に示す例では、自動搬送台車1は4つのキャスタ12を含む。当該4つのキャスタ12は、平面視において略矩形状の台車本体11の4つの角部近傍にそれぞれ配置される。すなわち、当該4つのキャスタ12は、四角形の頂点を構成する。幅方向において隣接する各2つのキャスタ12は、前後方向の略同じ位置に配置される。各キャスタ12は、台車本体11の下方に配置される。
キャスタ12は、従動輪121と、従動輪支持部122と、を含む。従動輪121は、従動輪支持部122により支持される。従動輪支持部122は、例えば、台車本体11の下面に接続される。従動輪121は、水平方向を向く中心軸を中心として回転する略円板状の車輪である。従動輪支持部122は、例えば、上下方向を向く略柱状の部材である。従動輪支持部122が上下方向を向く中心軸を中心として回転することにより、従動輪121の向きが変更される。
キャスタ12の従動輪121は、駆動輪ユニット3による台車本体11の移動に従って回転する。具体的には、キャスタ12の従動輪支持部122が、従動輪121の中心軸が台車本体11の移動方向に略垂直となるように回転する。そして、従動輪121が、台車本体11の移動に伴って、台車本体11の移動方向に平行に回転する。
駆動輪ユニット3は、台車本体11に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。図1に示す例では、自動搬送台車1は2つの駆動輪ユニット3を含む。駆動輪ユニット3は、例えば、台車本体11の下方に位置する。図2に示す例では、駆動輪ユニット3の上方において、台車本体11の下面に穴部111が設けられる。穴部111は、例えば、台車本体11を上下方向に貫通する貫通孔である。駆動輪ユニット3の上端は、例えば、台車本体11の穴部111内に位置する。穴部111は、台車本体11の下面から上方に窪む凹部であってもよい。
駆動輪ユニット3は、アーム支持部31と、アーム32と、駆動輪33と、駆動機構34と、弾性部材35と、を含む。アーム支持部31は、台車本体11に取り付け可能な部材である。図1および図2に示す例では、アーム支持部31は、ボルト等により台車本体11の下面に取り付けられ、台車本体11から下方に突出する。アーム32は、略水平方向に延びる部材である。アーム32は、アーム支持部31の支点311を中心として、回転可能にアーム支持部31により支持される。アーム32と支点311との間には、例えば、滑り軸受けが設けられる。アーム支持部31は、支点311の図中における右側に突出する弾性部材支持部312を含む。弾性部材支持部312は、床面91に略平行な略矩形の板状部である。弾性部材支持部312の中央には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられる。
図1および図2に示す例では、アーム32の左端部には、アーム32から上方に広がる駆動輪接続部321が設けられる。駆動輪接続部321は、床面91に略垂直な略矩形の板状部である。また、アーム32の右端部324には、アーム32から上方に延びる柱状のガイド部322が設けられる。ガイド部322は、例えば、略上下方向を向くボルトである。ガイド部322の下端部は、アーム32に固定される。ガイド部322は、弾性部材支持部312の貫通孔を介して弾性部材支持部312の上方へと延びる。ガイド部322と弾性部材支持部312とは非接触である。ガイド部322の上端部には、弾性部材35と接触する弾性部材接触部323が設けられる。弾性部材接触部323は、例えば、ガイド部322に略垂直に広がる板状の部材である。
駆動輪33は、幅方向を向く駆動軸331を中心として回転する略円板状の車輪である。駆動軸331の中心軸J1は、駆動輪33の中心軸でもある。中心軸J1は、床面91に略平行であり、幅方向に略平行である。中心軸J1の向く方向は、台車本体11に対して相対的に固定されている。
駆動輪33は、アーム32に接続される。具体的には、駆動輪33の駆動軸331は、駆動輪接続部321に接続される。換言すれば、駆動輪33の駆動軸331は、駆動輪接続部321にてアーム32により支持される。アーム32は、駆動輪接続部321の下端からアーム支持部31の支点311へと前後方向に延びる。駆動輪33の駆動軸331は、アーム32により下方から支持される。駆動輪33の上端は、台車本体11の穴部111内に位置する。アーム支持部31の支点311は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
駆動輪接続部321の駆動輪33と反対側には、駆動機構34が配置される。駆動機構34も、駆動輪接続部321を介してアーム32により下方から支持される。駆動機構34は、駆動輪33に接続されて駆動輪33を回転駆動する。具体的には、駆動機構34は、駆動輪33の駆動軸331に接続され、駆動軸331を回転することにより駆動輪33を回転駆動する。駆動機構34は、例えば、電動モータである。
弾性部材35は、ガイド部322に沿って配置される。弾性部材35は、例えば、上下方向を向くコイルバネであり、ガイド部322は、弾性部材35の径方向内側に位置する。弾性部材35は、ガイド部322に沿って上下方向に弾性変形する。弾性部材35は、アーム支持部31の弾性部材支持部312と、アーム32の弾性部材接触部323との間に圧縮された状態で配置される。弾性部材35の下端および上端はそれぞれ、弾性部材支持部312および弾性部材接触部323に接触する。弾性部材35に接触する弾性部材接触部323は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。ガイド部322の上端は、例えば、台車本体11の穴部111内に位置する。
弾性部材35の下端は、弾性部材支持部312に押しつけられている。弾性部材35の下端は、アーム支持部31を介して台車本体11により支持される。弾性部材35の上端は、ガイド部322の弾性部材接触部323に押しつけられている。弾性部材35の上端は、ガイド部322を介してアーム32に接触する。ガイド部322をアーム32の一部と捉えると、弾性部材35の上端は、弾性部材接触部323にてアーム32に接触する。換言すれば、弾性部材35は、アーム32とアーム支持部31との間にて弾性変形する。さらに換言すれば、弾性部材35は、アーム支持部31を介して台車本体11とアーム32との間にて弾性変形する。なお、弾性部材35の下端および上端はそれぞれ、溶接等により弾性部材支持部312および弾性部材接触部323に接続されてもよい。
上述のように、弾性部材35は圧縮された状態でアーム32と台車本体11との間に配置されている。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持部31の支点311を中心として図2中における反時計回り方向のモーメントが付与される。これにより、駆動輪33に対して下方に向かう力が付与される。その結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。弾性部材35の復元力により駆動輪33に付与される当該力は、必ずしも鉛直下方に向かう力である必要はなく、下方に向かう成分を有する力であればよい。
上述のように、自動搬送台車1では、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が、複数のキャスタ12により支持される。このため、弾性部材35により駆動輪33を床面91に押しつける力は、複数のキャスタ12の転がり抵抗よりも僅かに大きければよい。このため、駆動機構34の動力を小さくすることができ、自動搬送台車1の省エネルギー化に寄与することができる。弾性部材35により駆動輪33を床面91に押しつける力は、例えば、ガイド部322に取り付けられたナットの上下方向の位置を変更し、弾性部材支持部312と弾性部材接触部323との間隔を変更することにより、調整可能である。弾性部材35により駆動輪33を床面91に押しつける力は、他の方法により調整されてもよい。
図2に示す例では、アーム支持部31の支点311は、水平方向において、駆動輪33の中心軸J1とアーム32の弾性部材接触部323との間に位置する。駆動輪33の中心軸J1とアーム支持部31の支点311との間の水平方向の距離は、アーム支持部31の支点311と弾性部材接触部323との間の水平方向の距離よりも大きい。換言すれば、アーム32が延びる方向であるアーム長手方向において、駆動輪33の中心軸J1と支点311との距離は、支点311と弾性部材接触部323との距離よりも大きい。好ましくは、駆動輪33の中心軸J1と支点311との距離は、支点311と弾性部材接触部323との距離の1.5倍以上3倍以下である。図2に示す例では、駆動輪33の中心軸J1と支点311との距離は、支点311と弾性部材接触部323との距離の約2倍である。
図3および図4は、自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図3では、床面91において、駆動輪ユニット3の駆動輪33が接する部位が、キャスタ12の従動輪121が接する部位よりも下方に凹んでいる。図4では、床面91において、駆動輪ユニット3の駆動輪33が接する部位が、キャスタ12の従動輪121が接する部位よりも上方に突出している。
図3に示す状態では、図2に示す状態から、アーム32が支点311を中心として図中における反時計回り方向に回転し、アーム32の右端部324およびガイド部322の下端が上方へと移動している。また、アーム32の右端部324は、図2に示す状態よりも、アーム支持部31の弾性部材支持部312に近接している。これにより、ガイド部322のうち弾性部材支持部312よりも上方に突出する部位の長さである突出長が僅かに長くなり、弾性部材35も上下方向に僅かに長くなる。図3に示す状態においても、弾性部材35は圧縮状態である。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持部31の支点311を中心として図3中における反時計回り方向のモーメントが付与される。その結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。また、弾性部材35に接触する弾性部材接触部323は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
図4に示す状態では、図2に示す状態から、アーム32が支点311を中心として図中における時計回り方向に回転し、アーム32の右端部324およびガイド部322の下端が下方へと移動している。また、アーム32の右端部324は、図2に示す状態よりも、アーム支持部31の弾性部材支持部312から離間している。これにより、ガイド部322のうち弾性部材支持部312よりも上方に突出する部位の長さである突出長が僅かに短くなり、弾性部材35も上下方向に僅かに短くなる。図4に示す状態においても、弾性部材35は圧縮状態である。このため、アーム32には、弾性部材35の復元力により、アーム支持部31の支点311を中心として図4中における反時計回り方向のモーメントが付与される。その結果、駆動輪33が床面91に対して押しつけられる。また、弾性部材35に接触する弾性部材接触部323は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
図5は、自動搬送台車1の一部を示す側面図である。図5は、自動搬送台車1が持ち上げられる等して、駆動輪33および従動輪121が床面から離れた状態を示す。図5に示す状態では、図3に示す状態よりも、アーム32が支点311を中心として図中における反時計回り方向に回転し、駆動輪33が下方へと移動する。アーム32の右端部324は、上方へと移動し、アーム支持部31の弾性部材支持部312に接触する。これにより、図5に示す状態以上に、アーム32が反時計回り方向に回転することが防止され、駆動輪33が下方に移動することが防止される。すなわち、アーム32の右端部324は、アーム支持部31に接触してアーム32の回転を制限するストッパ324である。換言すれば、アーム32は、アーム支持部31を介して台車本体11に接触してアーム32の回転を制限するストッパ324を含む。アーム32のストッパ324が弾性部材支持部312に接触する状態においても、弾性部材35は圧縮状態が維持される。
図1に示す例では、自動搬送台車1は、2つの駆動輪ユニット3を含む。以下の説明では、2つの駆動輪ユニット3を区別する際に、図1中の上側の駆動輪ユニット3を「第1の駆動輪ユニット3」と呼び、下側の駆動輪ユニット3を「第2の駆動輪ユニット3」と呼ぶ。第2の駆動輪ユニット3の駆動輪33である「第2の駆動輪33」は、第1の駆動輪ユニット3の駆動輪33である「第1の駆動輪33」の中心軸J1に平行な方向において、第1の駆動輪33とは異なる位置に配置されて台車本体11に取り付けられる。図1に示す例では、2つの駆動輪ユニット3は、前後方向のおよそ同じ位置において、幅方向に離間して配置される。2つの駆動輪ユニット3は、台車本体11の幅方向の端部近傍に配置される。
第1の駆動輪ユニット3および第2の駆動輪ユニット3は、制御部4により制御される。制御部4により、第1の駆動輪ユニット3および第2の駆動輪ユニット3の回転速度および回転方向が制御されることにより、台車本体11の移動速度および移動方向が制御される。
具体的には、例えば、第1の駆動輪33および第2の駆動輪33が、図2中における時計回り方向に回転することにより、台車本体11が図1中における右側に移動する。また、第1の駆動輪33および第2の駆動輪33が、図2中における反時計回り方向に回転することにより、台車本体11が図1中における左側に移動する。台車本体11が図1中における右側または左側に移動するとき、第1および第2の駆動輪33のうち一方の駆動輪33の回転速度を他方の駆動輪33の回転速度よりも低くすると、台車本体11は当該一方の駆動輪33側へと曲がりつつ移動する。
また、例えば、第1の駆動輪33が図2中における時計回り方向に回転し、第2の駆動輪33が図2中における反時計回り方向に回転することにより、台車本体11がその場において図1中における時計回り方向に旋回する。また、第1の駆動輪33が図2中における反時計回り方向に回転し、第2の駆動輪33が図2中における時計回り方向に回転することにより、台車本体11がその場において図1中における反時計回り方向に旋回する。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3は、台車本体11と、台車本体11を下方から支持する複数のキャスタ12と、を含む自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3は、アーム支持部31と、アーム32と、駆動輪33と、駆動機構34と、弾性部材35と、を含む。アーム支持部31は、台車本体11に取り付け可能である。アーム32は、アーム支持部31の支点311を中心として回転可能に支持される。駆動輪33は、アーム32に接続される。駆動機構34は、駆動輪33に接続されて駆動輪33を回転駆動する。弾性部材35は、アーム32とアーム支持部31との間にて弾性変形し、駆動輪33に対して下方に向かう力を付与する。台車本体11に取り付けられたアーム支持部31の支点311は、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。
これにより、駆動輪33の下方の床面91が、従動輪121が接触する床面91と上下方向の異なる位置に位置する場合であっても、駆動輪33を床面91に対して適切な強さで押しつけることができる。換言すれば、駆動輪33の下方の床面91の上下方向における位置にかかわらず、駆動輪33を好適に床面91に接触させることができる。その結果、駆動輪ユニット3による自動搬送台車1の好適な移動を実現することができる。また、上述のように、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が複数の従動輪121により支持されるため、台車本体11と床面91の間隔が安定的に保持され、駆動輪33の上下方向の位置が変更される場合であっても、台車本体11の上下方向の位置や水平面に対する傾きが変更されることを防止することができる。
自動搬送台車1では、駆動輪ユニット3を小型化することができる。具体的には、1つの駆動輪33の床面91への押圧を1つの弾性部材35により行うことにより、複数の弾性部材により駆動輪の押圧を行う場合に比べて、駆動輪ユニット3を平面視において小型化することができる。また、アーム支持部31の支点311を上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置させることにより、駆動輪ユニット3を上下方向に小型化することができる。
駆動輪ユニット3では、弾性部材35に接触する弾性部材接触部323が、上下方向において駆動輪33の上端と下端との間に位置する。これにより、駆動輪ユニット3を上下方向にさらに小型化することができる。また、上述のように、アーム支持部31の支点311は、水平方向において、駆動輪33の中心軸J1と弾性部材35に接触する弾性部材接触部323との間に位置する。これにより、駆動輪33の中心軸J1と支点311との距離と、支点311と弾性部材接触部323との距離との関係を、比較的高い自由度にて設定することができる。これにより、弾性部材35の復元力を適切な大きさに容易に設定することができる。
上述のように、駆動輪33の中心軸J1とアーム支持部31の支点311との距離は、アーム支持部31の支点311と弾性部材接触部323との距離よりも大きい。これにより、駆動輪33の上下動に伴う弾性部材35の変形を小さくすることができる。その結果、弾性部材35の復元力が平均化し、駆動輪33に安定した力が加わることで、床面91に凹凸が存在する場合であっても、駆動輪ユニット3による駆動力のばらつきを小さく抑制することができる。
駆動輪ユニット3では、弾性部材35が上下方向に弾性変形する。このように、弾性部材35の変形方向を駆動輪33の変位方向と略平行とすることにより、駆動輪ユニット3の構造を簡素化することができる。また、アーム32は、アーム支持部31に接触してアーム32の回転を制限するストッパ324を含む。これにより、駆動輪33が床面91から離間した際に、駆動輪33が下方に過剰に移動することを防止することができる。なお、弾性部材支持部312の下面のうちストッパ324が接触する位置に、下方への突出量を変更することができるボルト等の可動部を設けることにより、アーム32の回転が制限される位置を可変とすることができる。
上述のように、アーム32は、駆動輪33の駆動軸331を下方から支持する。これにより、駆動軸331が上方からアーム32により支持される場合に比べて、駆動輪ユニット3を上下方向にさらに小型化することができる。また、アーム32と台車本体11との干渉を抑制することができるため、自動搬送台車1を上下方向にさらに小型化することができる。
自動搬送台車1は、台車本体11と、3以上のキャスタ12と、駆動輪ユニット3と、を含む。3以上のキャスタ12は、非直線上に配置され、台車本体11を下方から支持する。駆動輪ユニット3は、台車本体11に取り付けられる。上述のように、駆動輪ユニット3が上下方向に小型化されることにより、自動搬送台車1を上下方向に小型化することができる。
また、駆動輪ユニット3は、台車本体11の下方に位置する。このため、駆動輪ユニット3が上述のように上下方向に小型化されることにより、自動搬送台車1を上下方向にさらに小型化することができる。さらに、駆動輪ユニット3の上端が台車本体11の穴部111内に位置する。これにより、自動搬送台車1を上下方向により一層小型化することができる。
自動搬送台車1は、第1の駆動輪ユニット3と、第2の駆動輪ユニット3と、第1および第2の駆動輪ユニット3を制御する制御部4と、をさらに含む。第2の駆動輪ユニット3の第2の駆動輪33は、第1の駆動輪ユニット3の第1の駆動輪33の中心軸J1に平行な方向において、第1の駆動輪33とは異なる位置に配置されて台車本体11に取り付けられる。制御部4は、第1および第2の駆動輪33の回転速度および回転方向を制御することにより、台車本体11の移動速度および移動方向を制御する。これにより、駆動輪の中心軸の方向を変更する機構を有する自動搬送台車に比べて、駆動輪33に係る構造を簡素化しつつ、自動搬送台車1を様々な方向に所望の速度で移動することができる。上述のように、駆動輪ユニット3では、駆動輪33を好適に床面91に接触させることができるため、上記駆動輪ユニット3は、高精度な駆動輪33の回転制御が必要となる上述の自動搬送台車1に特に適している。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る駆動輪ユニット3aの側面図である。駆動輪ユニット3aは、例えば、上述の駆動輪ユニット3に代えて図1に示す自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3aでは、図2に示すアーム32および弾性部材35に代えて、アーム32aが設けられる。駆動輪ユニット3aの他の構成は、図2に示す駆動輪ユニット3と略同様である。
図6に示すように、駆動輪ユニット3aは、アーム支持部31aと、アーム32aと、駆動輪33aと、駆動機構34aと、を含む。アーム支持部31aは、台車本体11に取り付け可能な部材である。アーム支持部31aは、例えば、ボルト等により台車本体11の下面に取り付けられ、台車本体11から下方に突出する。アーム32aは、板バネ325aを含む。板バネ325aの図中の右端部は、例えば、ボルト等を介してアーム支持部31aに固定される。換言すれば、アーム32aは、アーム支持部31aを介して台車本体11に間接的に取り付け可能である。板バネ325aは、アーム支持部31aから略幅方向に突出する板バネ接触部313aにおよそ下方から接触する。板バネ接触部313aは、例えば、略幅方向を向く略円柱状の部位である。
板バネ325aは、板バネ接触部313aから略前後方向に延びる。板バネ325aの図中の左端部には、板バネ325aから上方に広がる駆動輪接続部321aが設けられる。アーム32aの駆動輪接続部321aには、駆動輪33aおよび駆動機構34aが接続される。駆動機構34aは、駆動輪33aに接続されて駆動輪33aを回転駆動する。駆動輪33aの駆動軸331aおよび駆動機構34aは、アーム32aの板バネ325aにより下方から支持される。
板バネ325aは、板バネ接触部313aを支点として、左端部が上方へと曲げられた状態に弾性変形している。換言すれば、板バネ325aの左端部は、板バネ325aが弾性変形していない状態に比べて上方に位置する。このため、板バネ325aの復元力により、駆動輪33aに対して下方に向かう力が付与される。その結果、駆動輪33aが床面91に対して押しつけられる。板バネ325aの復元力により駆動輪33aに付与される当該力は、必ずしも鉛直下方に向かう力である必要はなく、下方に向かう成分を有する力であればよい。アーム32aにおける板バネ325aの支点は、詳細には、板バネ接触部313aのうち板バネ325aと接触する部位である。図6に示す例では、板バネ325aの支点は、板バネ接触部313aのうち図中の右下の部位である。
上述のように、自動搬送台車1では、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が、複数のキャスタ12により支持される。このため、板バネ325aにより駆動輪33aを床面91に押しつける力は、複数のキャスタ12の転がり抵抗よりも僅かに大きければよい。このため、駆動機構34の動力を小さくすることができ、自動搬送台車1の省エネルギー化に寄与することができる。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3aは、台車本体11と、台車本体11を下方から支持する複数のキャスタ12と、を含む自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3aは、アーム32aと、駆動輪33aと、駆動機構34aと、を含む。アーム32aは、台車本体11に取り付け可能である。アーム32aは、板バネ325aを含む。駆動輪33aは、アーム32aに接続される。駆動輪33aは、板バネ325aにより下方に向かう力を付与される。駆動機構34aは、駆動輪33aに接続されて、駆動輪33aを回転駆動する。台車本体11に取り付けられたアーム32aにおける板バネ325aの支点は、上下方向において駆動輪33aの上端と下端との間に位置する。
これにより、上述の駆動輪ユニット3と同様に、駆動輪33aの下方の床面91の上下方向における位置にかかわらず、駆動輪33aを好適に床面91に接触させることができる。その結果、駆動輪ユニット3aによる自動搬送台車1の好適な移動を実現することができる。また、上述のように、台車本体11および被搬送物の重量のおよそ全体が複数の従動輪121により支持されるため、駆動輪33aの上下方向の位置が変更される場合であっても、台車本体11の上下方向の位置や水平面に対する傾きが変更されることを防止することができる。
自動搬送台車1では、駆動輪ユニット3aを小型化することができる。具体的には、1つの駆動輪33aの床面91への押圧を1つの板バネ325aにより行うことにより、複数の弾性部材により駆動輪の押圧を行う場合に比べて、駆動輪ユニット3aを平面視において小型化することができる。また、板バネ325aの支点を上下方向において駆動輪33aの上端と下端との間に位置させることにより、駆動輪ユニット3aを上下方向に小型化することができる。さらに、駆動輪ユニット3aでは、板バネ325aをアーム32aとして利用することにより、駆動輪ユニット3aを構成する部品点数を少なくすることができ、駆動輪ユニット3aを小型軽量化することができる。
なお、駆動輪ユニット3aでは、板バネ325aは、台車本体11に直接的に取り付け可能とされてもよい。また、板バネ325aは、アーム32aの少なくとも一部として利用されていればよい。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る駆動輪ユニット3bの側面図である。駆動輪ユニット3bは、例えば、上述の駆動輪ユニット3に代えて図1に示す自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3bは、図2に示す駆動輪ユニット3と同様に、アーム支持部31bと、アーム32bと、駆動輪33bと、駆動機構34bと、弾性部材35bと、を含む。
駆動輪ユニット3bでは、アーム支持部31bの弾性部材支持部312bが、図2に示すアーム支持部31の弾性部材支持部312よりも図中の右側に延びる。また、アーム32bも、図2に示すアーム32よりも図中の右側に延びる。さらに、弾性部材支持部312bの右端部に、弾性部材支持部312bを貫通するねじ穴314bが設けられる。換言すれば、ねじ穴314bは、ガイド部322bを挟んで支点311bの反対側に設けられる。駆動輪ユニット3bの他の構成は、図2に示す駆動輪ユニット3と略同様である。
駆動機構34bとして、例えば、電磁ブレーキ付きの電動モータが利用される場合、電磁ブレーキが作動している状態で、駆動機構34bへの電力供給が停止したり、電磁ブレーキの解放不具合等が発生すると、床面91に接触している駆動輪33bが回転しないため、自動搬送台車1を作業者が押して動かすことが困難となる。そこで、駆動輪ユニット3bでは、何らかの要因で駆動輪33bが正常に回転しなくなった場合、駆動輪33bを持ち上げるための持ち上げ部であるボルト51bが、アーム支持部31bのねじ穴314bに上側から挿入される。ボルト51bは、ねじ穴314bに螺合することによりアーム支持部31bに固定される。換言すれば、ねじ穴314bは、ボルト51bをアーム支持部31bに固定する固定部である。ボルト51bは、ねじ穴314bにおいてアーム支持部31bに接触する。ボルト51bは、例えば、六角穴付きボルトである。
ボルト51bの下端は、アーム32bの右端部324bに接触する。ボルト51bが締め込まれると、アーム支持部31bから下方に突出するボルト51bの下端部の長さが長くなる。換言すれば、ボルト51bとアーム支持部31bとの接点と、ボルト51bとアーム32bとの接点との間の距離が長くなる。このため、アーム32bの右端部324bが下方に押し下げられ、アーム32bが支点311bを中心として図中の時計回りに回転される。これにより、駆動輪33bが上方に移動して床面91から上方に離間する。その結果、作業者が自動搬送台車1を押して容易に移動させることができる。なお、駆動輪33bが正常に回転している状態では、ねじ穴314bにボルト51bは挿入されていない。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3bは、アーム32bに力を加えて駆動輪33bを上方に持ち上げる持ち上げ部を固定する固定部をさらに含む。これにより、駆動輪33bを床面91から上方に離間させた状態で維持することができる。その結果、駆動輪33bが正常に回転しなくなった場合であっても、自動搬送台車1を容易に移動させることができる。
図7に示す例では、上記固定部は、アーム支持部31bに設けられたねじ穴314bである。また、上記持ち上げ部は、アーム32bおよびアーム支持部31bに接触し、ねじ穴314bに固定されるボルト51bである。これにより、駆動輪33bを持ち上げる構造を簡素化することができる。さらに、駆動輪33bが正常に回転している場合には、ボルト51bを駆動輪ユニット3bから取り外しておくことにより、駆動輪ユニット3bの構造を簡素化することもできる。
なお、ボルト51bは、駆動輪33bが正常に回転している状態であっても、ねじ穴314bに固定されていてもよい。この場合、アーム支持部31bから下方に突出するボルト51bの下端部の長さを、図7に示すものよりも短くしておき、上述のように、ストッパであるアーム32bの右端部324bに接触してアーム32bの回転を制限する構造として利用されてもよい。
駆動輪ユニット3bでは、ねじ穴314bに代えて、ねじ溝が有しない貫通孔が設けられ、ボルト51bに代えて、単なる柱状の棒部材が当該貫通孔に挿入されてアーム32bの右端部324bを下方に押し下げることにより、駆動輪33bを上方に移動させてもよい。この場合、例えば、当該棒部材およびアーム支持部31bに互いに重なる貫通孔がそれぞれ設けられ、重なった状態の2つの貫通孔にピン等を挿入することにより、棒部材がアーム支持部31bに固定されてもよい。アーム支持部31bに設けられた上記貫通孔は、上述の持ち上げ部である棒部材を固定する固定部である。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る駆動輪ユニット3cの側面図である。駆動輪ユニット3cは、例えば、上述の駆動輪ユニット3に代えて図1に示す自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3cは、図2に示す駆動輪ユニット3と同様に、アーム支持部31cと、アーム32cと、駆動輪33cと、駆動機構34cと、弾性部材35cと、を含む。
駆動輪ユニット3cは、レバー36cと、第1係止部37cと、第2係止部38cと、をさらに含む。駆動輪ユニット3cの他の構成は、図2に示す駆動輪ユニット3と略同様である。レバー36cは、端部がアーム32cに接続された棒状部材である。図8に示す例では、レバー36cは、およそ上下方向に延びる棒状部材である。レバー36cの下端部は、支点311cの上方にてアーム32cに接続される。レバー36cは、着脱可能にアーム32cに接続されてもよく、溶接等によりアーム32cに固定されてもよい。第1係止部37cは、レバー36cから側方に突出する板状部材である。第1係止部37cは、レバー36cの上下方向の略中央部に接続される。第1係止部37cは、幅方向に略垂直に広がる。第1係止部37cには、貫通孔が設けられる。第2係止部38cは、アーム支持部31cから上方に突出する板状部材である。第2係止部38cは、アーム支持部31cの上端部に接続される。第2係止部38cには、貫通孔が設けられる。第2係止部38cは、幅方向に関して第1係止部37cから僅かにずれた位置に配置される。第2係止部38cは、第1係止部37cに略平行に広がる。換言すれば、第2係止部38cの主面は、第1係止部37cの主面に略平行である。
駆動輪ユニット3cでは、何らかの要因で駆動輪33cが正常に回転しなくなった場合、レバー36cが図中の右側に押される。これにより、アーム32cが図中の時計回りに回転され、駆動輪33cが上方に移動して床面91から上方に離間する。そして、第1係止部37cの貫通孔を第2係止部38cの貫通孔に重ね、重なった状態の2つの貫通孔にピン等を挿入することにより、レバー36cが、図中の右側に傾いた状態でアーム支持部31cに固定される。これにより、駆動輪33cが床面91から離間した状態が維持されるため、作業者が自動搬送台車1を押して容易に移動させることができる。駆動輪ユニット3cでは、レバー36cは、駆動輪33cを上方に持ち上げる持ち上げ部であり、第1係止部37cおよび第2係止部38cは、レバー36cを固定する固定部である。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3cは、アーム32cに力を加えて駆動輪33cを上方に持ち上げるレバー36cを固定する第1係止部37cおよび第2係止部38cをさらに含む。これにより、駆動輪33cを床面91から上方に離間させた状態で維持することができる。その結果、駆動輪33cが正常に回転しなくなった場合であっても、自動搬送台車1を容易に移動させることができる。
駆動輪ユニット3cでは、レバー36cは、アーム32cから必ずしも上下方向に延びる必要はない。例えば、レバー36cは、アーム32cから床面91に略平行に延びていてもよい。この場合、台車本体11の上部からレバー36cが突出することがないため、台車本体11の運搬作業が容易となる。
図9は、本発明の第5の実施形態に係る駆動輪ユニット3dの側面図である。駆動輪ユニット3dは、例えば、上述の駆動輪ユニット3に代えて図1に示す自動搬送台車1に取り付けられて、自動搬送台車1を駆動する。駆動輪ユニット3dは、図2に示す駆動輪ユニット3と同様に、アーム支持部31dと、アーム32dと、駆動輪33dと、駆動機構34dと、弾性部材35dと、を含む。
駆動輪ユニット3dでは、アーム支持部31dの弾性部材支持部312dが、図2に示すアーム支持部31の弾性部材支持部312よりも図中の右側に延びる。また、アーム32dも、図2に示すアーム32よりも図中の右側に延びる。駆動輪ユニット3dは、カム391dと、カムレバ−392dと、第1係止部37dと、第2係止部38dと、をさらに含む。駆動輪ユニット3dの他の構成は、図2に示す駆動輪ユニット3と略同様である。
カム391dは、側面視において略楕円形の略楕円柱状の部材である。カム391dは、弾性部材支持部312dの右端部と、アーム32dの右端部324dとの間に配置される。換言すれば、カム391dは、ガイド部322dを挟んで支点311dの反対側に配置される。カム391dの上端部および下端部は、アーム32d、および、アーム支持部31dの弾性部材支持部312dに接触する。図9に示す状態では、カム391dの短径方向は、上下方向に略平行である。カムレバ−392dは、略上下方向に延びる棒状部材である。カムレバ−392dの下端部は、カム391dの幅方向の端部に接続される。第1係止部37dは、カムレバ−392dから側方に突出する板状部材である。第1係止部37dは、カムレバ−392dの上下方向の略中央部に接続される。第1係止部37dは、幅方向に略垂直に広がる。第1係止部37dには、貫通孔が設けられる。第2係止部38dは、アーム支持部31dに接続される板状部材である。第2係止部38dは、例えば、アーム支持部31dの弾性部材支持部312dに接続される。第2係止部38dには、貫通孔が設けられる。第2係止部38dは、幅方向に関して第1係止部37dから僅かにずれた位置に配置される。第2係止部38dは、第1係止部37dに略平行に広がる。。換言すれば、第2係止部38dの主面は、第1係止部37dの主面に略平行である。
駆動輪ユニット3dでは、何らかの要因で駆動輪33dが正常に回転しなくなった場合、カムレバ−392dが図中の右側に押される。これにより、カム391dが図中の時計回りに回転され、カム391dの長径部がアーム支持部31dおよびアーム32dに接する。換言すれば、カム391dとアーム支持部31dとの接点と、カム391dとアーム32dとの接点との間の距離が長くなる。このため、アーム32dの右端部324dが下方に押し下げられ、アーム32dが支点311dを中心として図中の時計回りに回転し、駆動輪33dが上方に移動して床面91から上方に離間する。そして、第1係止部37dの貫通孔を第2係止部38dの貫通孔に重ね、重なった状態の2つの貫通孔にピン等を挿入することにより、カムレバ−392dが、図中の右側に傾いた状態でアーム支持部31dに固定される。これにより、駆動輪33dが床面91から離間した状態が維持されるため、作業者が自動搬送台車1を押して容易に移動させることができる。駆動輪ユニット3dでは、カム391dは、駆動輪33dを上方に持ち上げる持ち上げ部であり、第1係止部37dおよび第2係止部38dは、カム391dを固定する固定部である。カム391dは、アーム32dとアーム支持部31dとの間の距離を変更する距離変更部でもある。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3dは、アーム32dに力を加えて駆動輪33dを上方に持ち上げるカム391dを固定する第1係止部37dおよび第2係止部38dをさらに含む。これにより、駆動輪33dを床面91から上方に離間させた状態で維持することができる。その結果、駆動輪33dが正常に回転しなくなった場合であっても、自動搬送台車1を容易に移動させることができる。
駆動輪ユニット3dでは、カムレバ−392dは、カム391dから必ずしも上下方向に延びる必要はない。例えば、カムレバ−392dは、カム391dから床面91に略平行に延びていてもよい。この場合、台車本体11の上部からカムレバ−392dが突出することがないため、台車本体11の運搬作業が容易となる。
上述の駆動輪ユニット3,3aおよび自動搬送台車1では、様々な変更が可能である。
自動搬送台車1のキャスタ12の数は、適宜変更されてよい。キャスタ12は、必ずしも略円板状の従動輪121を含むものである必要はなく、例えば、床面91上にて転がるボールを含む、いわゆるボールキャスタであってもよい。
図1に示す自動搬送台車1では、2つの駆動輪ユニット3は、必ずしも前後方向の略同じ位置に配置される必要はない。2つの駆動輪ユニット3は、前後方向に平行に配置されるのでなければ、様々な位置関係にて配置されてよい。駆動輪ユニット3に代えて駆動輪ユニット3aが設けられる場合も同様である。
自動搬送台車1が含む駆動輪ユニット3,3aの数は、必ずしも2である必要はなく、1であっても3以上であってもよい。自動搬送台車1が含む駆動輪ユニット3,3aの数が1である場合、例えば、当該駆動輪ユニット3,3aの向きを変更する操舵軸が設けられる。自動搬送台車1では、台車本体11の形状は適宜変更されてよい。
駆動輪ユニット3,3aの上端は、必ずしも台車本体11の穴部111内に位置する必要はなく、台車本体11の下面よりも下方に位置してもよい。台車本体11の下面には、必ずしも穴部は設けられる必要はない。駆動輪ユニット3,3aは、必ずしも台車本体11の下方に配置される必要はなく、台車本体11の側方に配置されてもよい。
弾性部材35は、コイルバネまたは板バネである必要はなく、他の構造のバネであってもよい。また、弾性部材35は、バネ以外の種類の弾性部材であってもよい。
駆動輪ユニット3の駆動輪33の駆動軸331は、アーム32により、必ずしも下方から支持される必要はなく、例えば側方または上方から支持されてもよい。駆動輪ユニット3aにおいても同様である。
駆動輪ユニット3では、駆動輪33の中心軸J1とアーム支持部31の支点311との距離は、アーム支持部31の支点311と弾性部材接触部323との距離以下であってもよい。
図10および図11は、駆動輪ユニット3のアーム支持部31の支点311、アーム32、駆動輪33および弾性部材35の他の好ましい配置例を示す図である。図10および図11では、上記各構成を簡素化して描いている。図10および図11に示すように、アーム支持部31e,31fの支点311e,311fは、水平方向において、必ずしも駆動輪33e,33fの中心軸J1とアーム32e,32fの弾性部材接触部323e,323fとの間に位置する必要はない。
図10に示す例では、駆動輪33eの中心軸J1が、水平方向において、アーム支持部31eの支点311eとアーム32eの弾性部材接触部323eとの間に位置する。図11に示す例では、アーム32fの弾性部材接触部323fが、水平方向において、アーム支持部31fの支点311fと駆動輪33fの中心軸J1との間に位置する。図10および図11に示す構造の駆動輪ユニット3e,3fにおいても、上述の駆動輪ユニット3と同様に、駆動輪33e,33fの下方の床面の上下方向における位置にかかわらず、駆動輪33e,33fを好適に床面に接触させることができる。その結果、駆動輪ユニット3e,3fによる自動搬送台車1の好適な移動を実現することができる。また、駆動輪ユニット3e,3fを小型化することができる。
弾性部材35は、必ずしも上下方向に弾性変形する必要はない。例えば、図12に示すように、弾性部材35gは略水平方向に弾性変形してもよい。図12に示す駆動輪ユニット3gでは、アーム32gは、左端部に設けられた駆動輪接続部321gの下端から、アーム支持部31gの支点311gへと前後方向に延び、支点311gから上方へと延びる。アーム32gの上端部には、弾性部材35gの図中の左端部に接触する弾性部材接触部323gが設けられる。弾性部材接触部323gは、前後方向に略垂直な板状部材である。弾性部材接触部323gの中央には、前後方向に貫通する貫通孔が設けられる。
ガイド部322gは、当該貫通孔を介して前後方向に延びる。ガイド部322gの左端部は、アーム支持部31gに固定される。ガイド部322gは、弾性部材接触部323gの貫通孔を介して前後方向へと延びる。ガイド部322gと弾性部材接触部323gとは非接触である。ガイド部322gの右端部には、弾性部材35gを支持する弾性部材支持部312gが設けられる。
弾性部材35gは、ガイド部322gに沿って配置される。弾性部材35gは、例えば、前後方向を向くコイルバネであり、ガイド部322gは弾性部材35gの径方向内側に位置する。弾性部材35gは、ガイド部322gに沿って前後方向に弾性変形する。弾性部材35gは、アーム支持部31gの弾性部材支持部312gと、アーム32gの弾性部材接触部323gとの間に圧縮された状態で配置される。弾性部材35gの左端および右端はそれぞれ、弾性部材接触部323gおよび弾性部材支持部312gに接触する。弾性部材35gに接触する弾性部材接触部323gは、上下方向において駆動輪33gの上端と下端との間に位置する。
弾性部材35gの右端は、弾性部材支持部312gに押しつけられている。弾性部材35gの右端は、ガイド部322gおよびアーム支持部31gを介して、図示省略の台車本体11により支持される。弾性部材35gの左端は、アーム32gの弾性部材接触部323gに押しつけられている。弾性部材35gは、アーム32gとアーム支持部31gとの間にて弾性変形する。換言すれば、弾性部材35gは、アーム支持部31gを介して台車本体11とアーム32gとの間にて弾性変形する。なお、弾性部材35gの右端および左端はそれぞれ、溶接等により弾性部材支持部312gおよび弾性部材接触部323gに接続されてもよい。
弾性部材35gは圧縮された状態でアーム32gと台車本体11との間に配置されている。このため、アーム32gには、弾性部材35gの復元力により、アーム支持部31gの支点311gを中心として図12中における反時計回り方向のモーメントが付与される。これにより、駆動輪33gに対して下方に向かう力が付与される。その結果、駆動輪33gが床面91に対して押しつけられる。弾性部材35gの復元力により駆動輪33gに付与される当該力は、必ずしも鉛直下方に向かう力である必要はなく、下方に向かう成分を有する力であればよい。
駆動輪ユニット3gにおいても、上述の駆動輪ユニット3と同様に、駆動輪33gの下方の床面91の上下方向における位置にかかわらず、駆動輪33gを好適に床面91に接触させることができる。その結果、駆動輪ユニット3gによる自動搬送台車1の好適な移動を実現することができる。また、駆動輪ユニット3gを小型化することができる。
図13は、駆動輪ユニットの他の好ましい例を示す側面図である。図13に示す駆動輪ユニット3hは、図12に示す駆動輪ユニット3gと同様に、アーム支持部31hと、アーム32hと、駆動輪33hと、駆動機構34hと、弾性部材35hと、を含む。
駆動輪ユニット3hでは、アーム支持部31hの上端部が、図12に示すアーム支持部31hの上端部よりも図中の左側に延びる。アーム支持部31hの上端部の左端部には、アーム支持部31hを上下方向に貫通する貫通孔315hが設けられる。また、駆動機構34hと支点311hとの前後方向における間において、アーム32hにねじ穴326hが設けられる。ねじ穴326hは、アーム32hを上下方向に貫通する。駆動輪ユニット3hの他の構成は、図12に示す駆動輪ユニット3gと略同様である。
駆動輪ユニット3hでは、何らかの要因で駆動輪33hが正常に回転しなくなった場合、駆動輪33hを持ち上げるための持ち上げ部であるボルト51hが、アーム支持部31hの貫通孔315hに上側から挿入され、アーム32hのねじ穴326hに上側から挿入される。ボルト51hは、ねじ穴326hに螺合することによりアーム32hに固定される。換言すれば、ねじ穴326hは、ボルト51hをアーム32hに固定する固定部である。ボルト51hの頭部は、アーム支持部31hの貫通孔315hの周囲の部位に接する。また、ボルト51hは、ねじ穴326hにおいてアーム32hに接触する。ボルト51hは、例えば、六角穴付きボルトである。
ボルト51hが締め込まれると、ボルト51hとアーム支持部31hとの接点と、ボルト51hとアーム32hとの接点との間の距離が短くなる。このため、アーム32hが支点311hを中心として図中の時計回りに回転される。これにより、駆動輪33hが上方に移動して床面91から上方に離間する。その結果、作業者が自動搬送台車1を押して容易に移動させることができる。なお、駆動輪33hが正常に回転している状態では、ねじ穴326hにボルト51hは挿入されていない。
以上に説明したように、駆動輪ユニット3hは、アーム32hに力を加えて駆動輪33hを上方に持ち上げる持ち上げ部を固定する固定部をさらに含む。これにより、駆動輪33hを床面91から上方に離間させた状態で維持することができる。その結果、駆動輪33hが正常に回転しなくなった場合であっても、自動搬送台車1を容易に移動させることができる。
図13に示す例では、上記固定部は、アーム32hに設けられたねじ穴326hである。また、上記持ち上げ部は、アーム32hおよびアーム支持部31hに接触し、ねじ穴326hに固定されるボルト51hである。これにより、駆動輪33hを持ち上げる構造を簡素化することができる。さらに、駆動輪33hが正常に回転している場合には、ボルト51hを駆動輪ユニット3hから取り外しておくことにより、駆動輪ユニット3hの構造を簡素化することもできる。
なお、ボルト51hは、駆動輪33hが正常に回転している状態であっても、ねじ穴326hに固定されていてもよい。この場合、ボルト51hの頭部がアーム支持部31hから上方に離間する状態で、ボルト51hがねじ穴326hに固定される。ボルト51hは、ボルト51hの頭部がアーム支持部31hに接触してアーム32hの回転を制限する構造として利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。