以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の正面図である。以下では、図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zといい、図1における左右方向を洗濯機1の左右方向Xといい、図1に直交する方向を洗濯機1の前後方向Yという。上下方向Zは、図1の上側に相当する上側Z1と、図1の下側に相当する下側Z2とを含む。左右方向Xは、図1の左側に相当する左側X1と、図1の右側に相当する右側X2とを含む。前後方向Yは、図1の紙面手前側に相当する前側Y1と、図1の紙面奥側に相当する後側Y2とを含む。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。
洗濯機1のサイズは、一般的な家庭用洗濯機と同程度の大きさであってもよいし、例えば卓上に設置できる程度に小型であってもよい。洗濯機1は、上下方向Zに延びる中心軸線Jを有する略円筒状の全体形状を有する。以下では、中心軸線Jまわりの周方向を周方向Qといい、中心軸線Jを中心とする径方向を径方向Rという。周方向Qおよび径方向Rは、横方向に含まれる。径方向Rのうち、中心軸線Jに近づく方向を径方向内側R1といい、中心軸線Jから離れる方向を径方向外側R2という。図2の分解斜視図で示すように、洗濯機1は、洗濯槽2と、回転部材3と、洗濯機本体4と、扉5と、マイコンピュータなどによって構成されて例えば洗濯機本体4に内蔵された制御部6とを含む。洗濯機1は、以下に説明するように、工具などの道具を用いなくても洗濯槽2と回転部材3と洗濯機本体4とに分離できるので、メンテナンスの際には、完成状態の洗濯機1では手の届かない箇所まで掃除することができる。以下では、完成した状態における洗濯機1(図1参照)を基準として、洗濯槽2、回転部材3、洗濯機本体4および扉5を、この順番で説明する。
洗濯槽2は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する有底円筒状に形成される。洗濯槽2は、周方向Qに沿って延びる円筒状の円周壁9と、円周壁9の上端部に同軸状で取り付けられる円環状のリング部材10と、リング部材10に取り付けられた取っ手11と、円周壁9の下端縁に同軸状で接続された円盤状の底壁12とを含む。洗濯槽2の縦断面図である図3を参照して、円周壁9は、例えば金属製であり、径方向Rにおける円周壁9の厚みは、上下方向Zおよび周方向Qのほぼ全域にわたって一定である。円周壁9の外周面および内周面は、上側Z1へ向かうにつれて径方向Rにおいて次第に小さい。そのため、円周壁9の外周面によって構成される洗濯槽2の外周面部2Aは、上側Z1ヘ向かうにつれて縮径する。
円周壁9の外周面の下端部には、この下端部を縁取りつつ周方向Qに延びる円環状の外側部材13が一体的に設けられる。外側部材13は、例えば樹脂製である。外側部材13における下部分13Aは、外側部材13における上部分13Bよりも大径であって、周方向Qの全域にわたって円周壁9の下端よりも下側Z2へはみ出して配置される。円周壁9の内周面の下端部には、この下端部を縁取りつつ周方向Qに延びる円環状の内側部材14が一体的に設けられる。内側部材14は、例えば樹脂製である。内側部材14は、円周壁9の内周面に沿って上下に延びる縦部分14Aと、縦部分14Aの下端部から径方向内側R1に突出した横部分14Bとを一体的に含む。そのため、周上1箇所で切断したときの内側部材14の断面は、略L字状に形成される。縦部分14Aを上下方向Zに貫通した複数の切り欠き14Cが、周方向Qに並んで形成される。
リング部材10は、例えば樹脂製である。リング部材10は、円周壁9の外周面の上端部を縁取った下部分10Aと、円周壁9の内周面から上側Z1および径方向内側R1の両方にはみ出た上部分10Bとを一体的に含む。そのため、周上1箇所で切断したときのリング部材10の断面は、略クランク状に形成される。円周壁9の内周面を貫通したボルトなどの締結部材15が下部分10Aに組み付けられることによって、リング部材10は、円周壁9の上端部の外周面に固定され、洗濯槽2の外周面部2Aの一部をなす。上部分10Bによって取り囲まれた領域は、洗濯槽2の上端に位置する出入口2Bを構成する。
リング部材10において周方向Qに180度ずれた2箇所には、把持部16が一体的に設けられる(図2参照)。各把持部16は、上部分10Bの一部として周方向Qに延びるブロック状に形成される。各把持部16において、径方向内側R1の内面部は、リング部材10の内周面の一部であり、この内面部には、径方向外側R2へ凹湾曲した内側凹部16Aが形成される(図2参照)。各把持部16において、径方向外側R2の外面部は、リング部材10の外周面の一部であり、この外面部には、径方向内側R1へ凹湾曲した外側凹部16Bが形成される(図2参照)。このように内側凹部16Aおよび外側凹部16Bが形成された各把持部16は、周方向Qにおける両側から中央に向かうにつれて径方向Rに薄くなる。
リング部材10には、下部分10Aの上面と上部分10Bの外周面とによって段差10Cが形成される。段差10Cは、2つの把持部16の間で周方向Qに延びる円弧状に形成され、中心軸線Jを挟んで2つ存在する(図2参照)。各段差10Cは、径方向外側R2および上側Z1に開放される。
取っ手11は、針金などによって周方向Qに延びる円弧状に形成され、各段差10Cに1つずつ存在する。各取っ手11の両端部11Aは、径方向内側R1に折り曲げられる。リング部材10の上部分10Bにおいて各取っ手11の両端部11Aと周方向Qで一致する位置には、径方向Rに延びる貫通穴10Dが1つずつ形成され、各取っ手11の両端部11Aは、周方向Qで一致する貫通穴10Dに径方向外側R2から1つずつ挿通される。これにより、各取っ手11は、リング部材10によって支持され、両端部11Aを中心として回動可能である。詳しくは、各取っ手11は、図3において実線で示すように水平になって段差10Cに収納された収納位置と、図3において破線で示すように段差10Cから上側Z1へ引き出されて略垂直になった引出位置との間で回動する。なお、取っ手11は、1つだけ設けられてもよい。
取っ手11に関連して、リング部材10の上部分10Bの外周面には、径方向外側R2に膨出して周方向Qに延びる位置決め部10Eが一体的に設けられる。位置決め部10Eは、収納位置の取っ手11に上側Z1から係合することによって、取っ手11を収納位置に位置決めする。これにより、収納位置にある取っ手11が不意に上側Z1へずれることが防止される。使用者が取っ手11を引き上げることによって、取っ手11が位置決め部10Eを上側Z1へ乗り越えると、破線矢印で示すように、取っ手11を引出位置まで回動させることができる。
底壁12は、例えば樹脂製であり、上下方向Zに一致した板厚方向を有する。底壁12は、中心軸線Jの周囲に位置する中央部12Aと、中央部12Aを径方向外側R2から取り囲んで中央部12Aよりも低い位置にある外周部12Bと、径方向Rにおける中央部12Aと外周部12Bとの間に位置する途中部12Cとを一体的に含む。中央部12A、外周部12Bおよび途中部12Cは、周方向Qに延びる円環状に形成され、ほぼ同じ板厚を有する。中央部12Aおよび外周部12Bは、横方向に沿って平坦に延びるが、途中部12Cは、径方向内側R1に向かうにつれて上側Z1にずれるように横方向に対して傾斜し、中央部12Aと外周縁と外周部12Bの内周縁との間に架設される。そのため、中央部12Aおよび外周部12Bのそれぞれの上面は、横方向に沿って平坦であるが、途中部12Cの上面は、横方向に対して傾斜する。
中央部12Aの中心には、中央部12Aを上下方向に貫通した円形状の貫通穴12Dが形成される。中央部12Aにおいて貫通穴12Dを縁取った内周面12Eは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。中央部12Aには、その下面部の外周部から下側Z2へ突出して貫通穴12Dを取り囲んだ円筒状の筒部12Fが一体的に形成される。外周部12Bの例えば周上1箇所には、外周部12Bを上下方向に貫通した円形状の排出口12Gが形成される。外周部12Bにおいて排出口12Gを縁取った内周面12Hは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。外周部12Bの外周面は、円周壁9の外側部材13の下部分13Aに対して周方向Qの全域にわたって径方向内側R1から接触した状態にある。ボルトなどの締結部材17が、径方向外側R2から下部分13Aを貫通して外周部12Bに組み付けられる。これによって、底壁12は、円周壁9が固定される。円周壁9によって径方向外側R2から取り囲まれて底壁12によって下側Z2から塞がれた空間は、洗濯槽2の内部空間2Cである。内部空間2Cは、出入口2Bから上側Z1に開放される。円周壁9の内周面が上側Z1へ向かうにつれて縮径することに応じて、内部空間2Cは、出入口2Bから離れて下側Z2へ向かうにつれて径方向Rに広くなる。内部空間2Cには洗濯物が収容される。
洗濯槽2を下側Z2から見た斜視図である図4も参照して、洗濯槽2は、底壁12に取り付けられる支持軸18、第1ロック部材19、シール部材20、開閉機構21および脚部材22をさらに含む。
支持軸18は、金属製であり、中心軸線Jに一致した中心軸線を有して上下方向Zに延びる柱状に形成される。支持軸18の上端部には上側係合部18Aが形成され、支持軸18の下端部には下側係合部18Bが形成される。上側係合部18Aおよび下側係合部18Bのそれぞれを横方向に沿って切断したときの断面は、六角形などの略多角形状である。支持軸18において上側係合部18Aと下側係合部18Bとの間の途中部18Cは、周方向Qに延びる円周状の外周面を有する。途中部18Cは、上側係合部18Aおよび下側係合部18Bよりも太い。途中部18Cの外周面の上端部には、周方向Qに延びる環状の溝18Dが1つ形成される。途中部18Cの外周面において溝18Dよりも下側Z2には、径方向外側R2へ張り出してから下側Z2に折れ曲がった円環状のフランジ部18Eが一体形成される。
支持軸18は、底壁12の中央部12Aにおける貫通穴12Dに挿通されることによって、中心軸線Jにおいて底壁12を貫通する。支持軸18では、上側係合部18Aが、中央部12Aよりも上側Z1に突出し、溝18Dが、貫通穴12Dとほぼ同じ高さ位置にあり、フランジ部18Eが、中央部12Aにおける下側Z2の筒部12Fとほぼ同じ高さ位置にあって、筒部12Fによって径方向外側R2から非接触で取り囲まれた状態にある。
第1ロック部材19は、金属製である。第1ロック部材19は、中心軸線Jに一致した中心軸線と、上下方向Zに一致した板厚方向とを有する円盤状に形成される。第1ロック部材19の外径は、筒部12Fの外径とほぼ同じである。第1ロック部材19の中心には、第1ロック部材19を上下方向Zに貫通した貫通穴19Aが形成される。第1ロック部材19の上面部には、貫通穴19Aを縁取って上側Z1へ突出した円筒状の内側筒部19Bと、内側筒部19Bを取り囲んで上側Z1へ突出した円筒状の外側筒部19Cとが一体形成される。第1ロック部材19の下面部の中央部には、貫通穴19Aを縁取って下側Z2へ突出した円環状の位置決め部19Dが一体形成される。
図4に示すように、第1ロック部材19の下面部の外周部には、複数の凹部19Eおよび位置決め穴19Fが、周方向Qに例えば等間隔で並んで設けられる。この実施形態では、凹部19Eは6つ設けられ、位置決め穴19Fは、凹部19Eに対応して6つ設けられる。ここで、周方向Qのうち、下側Z2から見た場合における時計回りの方向を第1周方向Q1といい、反時計回りの方向を第2周方向Q2という。各凹部19Eは、第1ロック部材19を上下方向Zに貫通する。第1ロック部材19の下面部において、各凹部19Eでは、第1周方向Q1における下流側の縁部19Gが、第1周方向Q1へ膨出する円弧状に形成され、第2周方向Q2における下流側の縁部19Hが、径方向Rに沿った直線状に形成される。各凹部19Eは、第1ロック部材19の下面部から上側Z1に凹んでから第1ロック部材19内において縁部19Hよりも第2周方向Q2へ延びるように形成される。各位置決め穴19Fは、第1ロック部材19の下面部から上側Z1へ円弧状に窪み、各凹部19Eに対して第1周方向Q1から1つずつ隣接して配置される。
第1ロック部材19は、底壁12の中央部12Aに下側Z2から取り付けられる。このとき、第1ロック部材19の外周部が、中央部12Aの筒部12Fの下端面に下側Z2から接触した状態にある。ボルトなどの締結部材23が、第1ロック部材19の外周部において凹部19Eおよび位置決め穴19Fを避けた部分を下側Z2から貫通して筒部12Fに組み付けられる。これにより、第1ロック部材19は、中央部12Aに同軸状で固定されて、底壁12の一部となる。
図3を参照して、第1ロック部材19では、貫通穴19Aに支持軸18の途中部18Cが挿入される。支持軸18の下側係合部18Bは、貫通穴19Aからはみ出して第1ロック部材19の下面部の位置決め部19Dよりも下側Z2に突出する。第1ロック部材19では、内側筒部19Bが、途中部18Cのフランジ部18Eに対して内嵌され、外側筒部19Cが、筒部12Fに対して内嵌される。支持軸18は、フランジ部18Eにおいて内側筒部19Bに上側Z1から引っ掛かることによって、第1ロック部材19に対して上下方向Zに位置決めされた状態にある。第1ロック部材19において貫通穴19Aにおける内周面と途中部18Cの外周面との隙間には、すべり軸受などによって構成された円環状の軸受24が配置される。これにより、支持軸18は、中心軸線Jまわりに回転可能な状態で、第1ロック部材19および底壁12によって支持される。位置決め部19Dの内周部は、貫通穴19Aの下端部において径方向内側R1に突出して配置されることによって、軸受24に下側Z2から係合する。これによって、軸受24が上下方向Zにおいて位置決めされる。
シール部材20に関連して、支持軸18のフランジ部18Eと、フランジ部18Eを取り囲む第1ロック部材19の外側筒部19Cとの間には、周方向Qに延びる円環状のスペース25が形成される。円環状の蓋部材26が、フランジ部18Eおよび外側筒部19Cの上端間に架設された状態で周方向Qに延びることによって、スペース25を上側Z1から塞ぐ。また、底壁12の筒部12Fの下端面において、締結部材23が組み付けられるねじ穴12Iよりも径方向内側R1には、周方向Qに延びる円環状の溝12Jが形成される。シール部材20は、スペース25に嵌め込まれる第1シール部材20Aと、溝12Jに嵌め込まれる第2シール部材20Bとを含む。第1シール部材20Aは、略矩形状の断面を有する円環状であり、第2シール部材20Bは、略円形状の断面を有する円環状である。第1シール部材20Aおよび第2シール部材20Bとして、オイルシールやOリングなどを使用できる。
底壁12における支持軸18の周囲には、底壁12の貫通穴12Dから支持軸18と第1ロック部材19との境界を通って第1ロック部材19の貫通穴19Aから洗濯槽2の外へ向けて下側Z2へ延びる第1隙間27と、貫通穴12Dから底壁12と第1ロック部材19との境界を通って洗濯槽2の外へ向けて径方向外側R2へ延びる第2隙間28とが存在する。第1シール部材20Aが、フランジ部18Eの外周面、外側筒部19Cの内周面、第1ロック部材19の上面および蓋部材26の下面のそれぞれに密着した状態にあるので、第1隙間27が途中で塞がれる。第2シール部材20Bが、底壁12における溝12Jの内壁面および第1ロック部材19の上面のそれぞれに密着した状態にあるので、第2隙間28が途中で塞がれる。これらのシール部材20は、第1ロック部材19を上下方向Zに貫通した各凹部19E(図4参照)よりも径方向内側R1に配置される。そのため、洗濯槽2内に水を溜めた場合に、洗濯槽2内の水が第1隙間27、第2隙間28および各凹部19Eを通って漏れ出すことを防止できる。これにより、水が溜まった洗濯槽2を、水漏れを気にせずに洗濯機本体4に対して容易に着脱できるし、洗濯機本体4から離脱された洗濯槽2を、水を汲むためのバケツとして使用することができる。
開閉機構21は、洗濯槽2の底壁12の排出口12Gを開閉するための機構であり、固定部材30と、回動部材31と、回動軸32と、付勢部材33と、支持部材34と、開閉部材35と、挟込部36とを含む。
固定部材30は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する横部分30Aと、横部分30Aから下側Z2へ突出した縦部分30Bとを一体的に含む。横部分30Aは、洗濯槽2の底壁12の外周部12Bにおいて排出口12Gに径方向内側R1から隣接する部分に対して、ボルトなどの締結部材37を介して下側Z2から固定される。縦部分30Bは一対存在し、周方向Qに対する接線方向に並んで配置される(図4参照)。回動部材31は、平板状に形成され、その上面部には、上側Z1へ突出した突出部31Aが一体的に設けられる。回動部材31は、排出口12Gの真下に配置される。回動部材31において径方向内側R1の端部は、一対の縦部分30Bによって挟まれる(図4参照)。回動軸32は、周方向Qに対する接線方向に延び、回動部材31と一対の縦部分30Bとを連結する。これにより、回動部材31は、回動軸32まわりに上下に回動可能である。
付勢部材33は、例えば、回動軸32に巻き付けられるねじりコイルばねである。付勢部材33は、回動軸32に巻き付けられた部分から延び出た2つの腕部33Aを有する。一方の腕部33Aは、突出部31Aに形成された穴31Bに差し込まれ、他方の腕部33Aは、固定部材30の横部分30Aに形成された穴30C(図4参照)に差し込まれる。この状態の付勢部材33は、回動部材31を下側Z2へ向けて常に付勢する。
支持部材34は、例えば金属製であり、上下方向Zに延びる中心軸線を有する円盤状に形成される。支持部材34の上面部の中心には、上側Z1へ突出した上側突出部34Aが一体的に設けられる。支持部材34の下面部には、その中心から下側Z2へ突出した下側突出部34Bと、その外周縁から下側Z2へ延びる円筒状の外周部34Cとが一体的に設けられる。支持部材34は、回動部材31の真上に配置され、支持部材34の上部は、洗濯槽2の排出口12Gに対して、遊びを持って下側Z2から嵌め込まれた状態にある。支持部材34では、下側突出部34Bが、回動部材31の突出部31Aに連結される。そのため、支持部材34は、付勢部材33によって、回動部材31とともに下側Z2へ向けて付勢される。
開閉部材35は、例えばゴム製であり、上下方向Zに延びる中心軸線を有する略円筒状に形成される。開閉部材35の中心には、開閉部材35を上下方向Zに貫通した貫通穴35Aが形成される。開閉部材35の外周面35Bは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。開閉部材35は、支持部材34の上面部に上側Z1から載せられる。支持部材34の上側突出部34Aが、貫通穴35Aに下側Z2から挿通される。
挟込部36は、例えば円環状のワッシャであって、開閉部材35の上面部に上側Z1から載せられる。上側突出部34Aの上端部は、貫通穴35Aから上側Z1にはみ出して、挟込部36の中心の穴に挿通される。ボルトなどの締結部材38がワッシャ39を介して上側突出部34Aの上端部に組み付けられる。これにより、開閉部材35は、支持部材34と挟込部36とによって上下方向Zから挟み込まれた状態で、これらに固定される。そのため、開閉部材35は、付勢部材33によって、支持部材34および回動部材31とともに下側Z2へ向けて付勢される。
開閉部材35は、洗濯槽2の底壁12の排出口12Gに配置される。開閉部材35は、回動部材31の回動に伴って上下方向Zに移動可能である。図3に示す開閉部材35は、開位置にあって、開閉部材35の外周面35Bは、底壁12において排出口12Gを縁取った内周面12Hから上側Z1へ離間する。そのため、開閉部材35が開位置にあるときには、排出口12Gが開放される。開閉部材35は、下側Z2への回動部材31の回動に伴って開位置から下降すると閉位置に到達する。閉位置にある開閉部材35では、外周面35Bが、内周面12Hの周方向における全域に対して上側Z1から密着する(後述する図22参照)。そのため、開閉部材35が閉位置あるときには、排出口12Gが閉じられる。前述したように下側Z2へ向けて付勢された開閉部材35は、閉位置へ向けて付勢された状態にある。
脚部材22は、例えば金属製であり、複数存在する。図4を参照して、この実施形態では、3つの脚部材22が、底壁12の外周部12Bの下面部において周方向Qに例えば等間隔で並んで配置される。各脚部材22は、下側Z2へ突出して周方向Qに沿って湾曲した湾曲部22Aと、湾曲部22Aの両端部から径方向内側R1へ折れ曲がった一対の折曲部22Bとを一体的に含む。ボルトなどの締結部材40が各折曲部22Bと貫通して底壁12に組み付けられることによって、各脚部材22は、底壁12に固定される。3つの脚部材22のうち、1つの脚部材22Cは、開閉機構21から周方向Qに180度離れた位置に配置される。底壁12の下面部において脚部材22Cによって囲まれた部分には、例えば平板状のバランスウェイト41が固定される。
底壁12の下面部における開閉機構21の周囲には、脚部材22と近似した形状を有する保護部材42が取り付けられる。開閉機構21は、保護部材42によって周方向Qの両側および径方向外側R2から保護される。各脚部材22および保護部材42の下端は、洗濯槽2内で最も下側Z2に位置する。そのため、単体の洗濯槽2が床面などの載置面に載置された場合には、各脚部材22および保護部材42の下端が載置面に接触することによって、第1ロック部材19や開閉機構21が載置面から離されるので、第1ロック部材19や開閉機構21が載置面に衝突して破損することを防止できる。
次に、回転部材3が洗濯槽2に装着された状態を基準として、回転部材3について説明する。図5は、回転部材3の平面図であり、図6は、回転部材3の縦断面図である。回転部材3のほとんどは、樹脂製であり、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円盤状に形成される。回転部材3は、その大部分をなす円盤状の本体部45と、回転部材3を洗濯槽2に対して着脱するための着脱機構46とを含む。本体部45の上面部において径方向Rにおける中央部45Aは、上側Z1へ盛り上がって形成される。中央部45Aの中心には、下側Z2へ半球状に窪んだ窪み45Bが形成される。本体部45の上面部において中央部45Aを取り囲んだ外周部45Cには、上側Z1へ盛り上がった複数の隆起部45Dが、周方向Qに等間隔で並んで形成される。外周部45Cには、本体部45を上下方向Zに貫通した貫通穴45Eが多数形成される。
図6を参照して、貫通穴45Eは、窪み45Bの底にも1つ形成される。中央部45Aにおいて窪み45Bの底の貫通穴45Eを挟む2箇所には、本体部45を上下方向Zに貫通した挿通穴45Fが1つずつ形成される。中央部45Aにおいて窪み45Bよりも下側Z2には、外周部45Cによって取り囲まれて本体部45の下面部から下側Z2に開放されたスペース47が形成される。2つの挿通穴45Fは、スペース47に上側Z1から連通した状態にある。
着脱機構46は、保持部材48と、ロック部材49と、昇降部材50とを含む。保持部材48は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状に形成される。保持部材48には、その下端から上側Z1へ凹んだ第1凹部48Aと、第1凹部48Aからさらに上側Z1へ凹んだ第2凹部48Bとが形成される。横方向に沿って切断したときの第1凹部48Aの断面は、円形状に形成される。横方向に沿って切断したときの第2凹部48Bの断面は、支持軸18の上側係合部18A(図3参照)の断面にほぼ一致した略多角形状に形成される。第2凹部48Bの断面は、第1凹部48Aの断面よりも小さい。保持部材48には、第1凹部48Aにおける保持部材48を径方向Rに貫通した円形状の保持穴48Cが、周方向Qに等間隔で並んで複数形成される。保持部材48の上端には、横方向に張り出したフランジ部48Dが一体形成される。保持部材48は、スペース47内において本体部45の中央部45Aの窪み45Bの真下に配置される。ボルトなどの締結部材51が、フランジ部48Dを下側Z2から貫通して中央部45Aに組み付けられる。これにより、保持部材48は、中央部45Aに固定される。保持部材48では、保持穴48Cが形成された下端部が、本体部45よりも下側Z2に突出して配置される。
ロック部材49は、例えば金属製の球であり、保持部材48の保持穴48Cに対応して複数存在し、各保持穴48Cに1つずつ嵌め込まれる。各ロック部材49は、嵌め込まれた保持穴48Cから外れ不能な状態で、径方向Rに移動可能である。
昇降部材50は、樹脂製であり、上部52と下部53とを含む。上部52は、本体部45における2つの挿通穴45Fの間で径方向Rに沿って延びる棒状に形成された取っ手52Aと、取っ手52Aの両端に1つずつ設けられて挿通穴45Fを通って下側Z2に突出した突出部52Bとを一体的に含む。中心軸線Jは、取っ手52Aの長手方向における中央を通る。取っ手52Aの上面部は、径方向外側R2へ向かうにつれて下側Z2へずれるように滑らかに湾曲して形成される。2つの突出部52Bは、スペース47内において、保持部材48を径方向外側R2から非接触で挟むように配置される。下部53は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する板状に形成され、2つの突出部52Bの下端に対してボルトなどの締結部材54によって固定され、これらの突出部52Bの下端間に架設される。
下部53において中心軸線Jに一致する位置には、下部53を上下方向Zに貫通した円形状の貫通穴53Aと、貫通穴53Aを取り囲んで下部53の下面部から下側Z2に突出した円筒状の筒部53Bとが形成される。筒部53Bの内周面において下側Z2に偏った領域には、径方向内側R1に突出して周方向Qに延びる環状の凸部53Cと、凸部53Cによって上側Z1から区画されて周方向Qに延びる環状の凹部53Dとが形成される。凹部53Dは、筒部53Bの下端面から下側Z2に露出される。貫通穴53Aには、保持部材48の下端部が上側Z1から挿通される。
昇降部材50は、図6に示すロック位置と、ロック位置よりも上側Z1の解除位置(図7参照)との間で昇降可能である。ロック位置の昇降部材50では、取っ手52Aの上面部は、本体部45の中央部45Aの上端縁45Gよりも下側Z2に配置され、中央部45Aよりも上側Z1へはみ出さない。また、ロック位置の昇降部材50では、凸部53Cが上下方向Zにおいて各ロック部材49と同じ位置にあり、各ロック部材49を径方向外側R2から押圧することによって、各ロック部材49の一部を、保持部材48の第1凹部48Aにおける内周面から径方向内側R1へはみ出させる。解除位置の詳細については、追って説明する。
保持部材48と昇降部材50との間には、バネなどの付勢部材55が配置される。付勢部材55は、例えば、筒部53Bの内周面において凸部53Cよりも上側Z1の部分と保持部材48の下端部との径方向Rにおける隙間において、上下方向Zに圧縮された状態で配置され、昇降部材50を常に下側Z2へ付勢する。これにより、昇降部材50は、ロック位置へ向けて常に付勢される。
回転部材3を洗濯槽2に装着する場合には、使用者は、昇降部材50がロック位置にある状態における回転部材3の取っ手52Aを指でつまむことによって、回転部材3を移動させ、洗濯槽2の出入口2Bから洗濯槽2の内部空間2Cに収容する(図2も参照)。取っ手52Aが、本体部45の中央部45Aの中心の窪み45Bを横切るように配置されるので(図5参照)、使用者は、窪み45Bにおける取っ手52Aの両側の領域に指を差し込んで取っ手52Aを容易につまむことができる。そのため、使用者は、回転部材3を片手で移動させることができる。また、回転部材3が出入口2Bを円滑に通過できるように、回転部材3の本体部45の外径D1は、出入口2Bにおける洗濯槽2の内径D2よりも小さい(図7参照)。
回転部材3を内部空間2Cにおいて下降させた使用者は、取っ手52Aを上側Z1へ引っ張ることによって、昇降部材50を、図7に示す解除位置まで上昇させる。解除位置の昇降部材50では、取っ手52Aの上面部は、本体部45の中央部45Aの上端縁45Gから上側Z1へはみ出した状態にある。また、解除位置の昇降部材50では、凸部53Cが各ロック部材49よりも上側Z1にずれて、凹部53Dが上下方向Zにおいて各ロック部材49と同じ位置にある。そのため、各ロック部材49は、径方向外側R2に移動して凹部53Dによって受け入れられることによって、保持部材48の第1凹部48Aにおける内周面からはみ出なくなる。
使用者は、昇降部材50が解除位置にある状態における回転部材3を内部空間2Cにおいてさらに下降させる。すると、洗濯槽2の底壁12に取り付けられた支持軸18の上側係合部18Aが、回転部材3の保持部材48の第1凹部48Aおよび第2凹部48Bに対して下側Z2からこの順番で挿入される。支持軸18の途中部18Cが、保持部材48の内周面における第1凹部48Aと第2凹部48Bとの間の段差48Eに下側Z2から接触すると、回転部材3の下降が停止する。このとき、回転部材3における各ロック部材49は、上下方向Zにおいて途中部18Cの溝18Dと同じ位置にある。
ここで、支持軸18の上側係合部18Aの外径D3は、回転部材3の本体部45の外周面と、洗濯槽2の内周面の下端部、詳しくは内側部材14の縦部分14Aとの横方向における隙間の寸法D4の最大値よりも大きい。これにより、内部空間2Cにおける回転部材3の下降の際に、使用者が、回転部材3の下側Z2に隠れた上側係合部18Aを目視できなくても、上側係合部18Aが第2凹部48Bおよび第1凹部48Aに対して横方向にある程度位置合わせされる。また、洗濯槽2の底壁12の貫通穴12Dにおけるテーパ状の内周面12Eによって、回転部材3の保持部材48や昇降部材50の下端部が上側係合部18Aへ向けてガイドされる。以上により、使用者が回転部材3を下降させれば、上側係合部18Aが第2凹部48Bおよび第1凹部48Aに対して自然に挿入される。そのため、回転部材3の装着に係る作業性の向上を図れる。ただし、上側係合部18Aおよび第2凹部48Bの互いの略多角形状が一致しなければ、上側係合部18Aが第1凹部48Aに嵌り込まないので、使用者は、必要に応じて回転部材3の周方向Qの位置を微調整する。
そして、使用者が回転部材3の取っ手52Aから指を離すと、図8に示すように、昇降部材50は、付勢部材55の付勢力によってロック位置まで下降する。すると、昇降部材50の凸部53Cが、各ロック部材49を径方向外側R2から押圧するので、各ロック部材49の一部が保持部材48の第1凹部48Aにおける内周面から径方向内側R1へはみ出て支持軸18の溝18Dに嵌り込む。これにより、回転部材3は、支持軸18に対して上下方向Zに相対移動不能に固定される。つまり、各ロック部材49を有する着脱機構46は、いわゆるボールロック機構である。また、支持軸18において略多角形状の断面を有する上側係合部18Aが、回転部材3において上側係合部18Aと同じ断面を有する第2凹部48Bに挿入されることによって、回転部材3は、支持軸18に対して周方向Qに相対移動不能に固定される。そのため、回転部材3は、支持軸18にロックされ、支持軸18によって中心軸線Jまわりに一体回転可能に支持される。このように支持軸18にロックされた回転部材3は、洗濯槽2の内部空間2Cの下端部に配置されて内側部材14の縦部分14Aによって非接触で取り囲まれ、洗濯槽2に装着された状態にある。
使用者が、洗濯槽2に装着された回転部材3における取っ手52Aを上側Z1へ引っ張ると、昇降部材50が解除位置まで上昇する。すると、回転部材3の各ロック部材49が支持軸18の溝18Dから径方向外側R2へ外れるので、支持軸18に対する回転部材3のロックが解除される(図7参照)。そこで、使用者が、取っ手52Aを引き続き上側Z1へ引っ張ると、回転部材3が上昇し、支持軸18の上側係合部18Aが回転部材3の保持部材48の第2凹部48Bおよび第1凹部48Aから外れる。使用者が回転部材3を洗濯槽2の出入口2Bよりも上側Z1まで移動させると、回転部材3は洗濯槽2から完全に離脱された状態になる(図2参照)。このように回転部材3が洗濯槽2に対して着脱可能なので、取り外して単体になった回転部材3を隅々まで掃除できるし、洗濯槽2において回転部材3の裏に位置した領域も掃除できる。さらに、洗濯の用途に応じて回転部材3に複数の種類が存在する場合には、回転部材3を洗濯槽2に対して着脱することによって、洗濯の用途に応じて回転部材3の種類を交換できる。
次に、洗濯槽2が洗濯機本体4に装着された状態を基準として、洗濯機本体4について説明する。図9は、洗濯機本体4の平面図である。図10は、図9のA−A矢視断面図である。図9および図10を参照して、洗濯機本体4は、有底筒状に形成される。洗濯機本体4は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状の円周壁60と、円周壁60の外周面の周上1箇所に設けられた延設部61と、円周壁60の下端縁に同軸状で接続されて制御部6が内蔵された円盤状の底壁62とを含む。円周壁60によって径方向外側R2から取り囲まれて底壁62によって下側Z2から塞がれた空間は、洗濯機本体4に形成された収容空間4Aである。収容空間4Aは、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状に形成される。
円周壁60の上端部によって取り囲まれた領域は、洗濯機本体4の上端に位置する着脱口4Bを構成する。着脱口4Bは、洗濯機本体4の収容空間4Aを上側Z1へ開放する。円周壁60には、その上端縁を縁取って周方向Qに延びる環状のパッキン63が取り付けられる。パッキン63は、例えばゴム製である。延設部61は、円周壁60における後側Y2の外周面に設けられて後側Y2へ突出しつつ、上下方向Zに延びる。延設部61の下端は、円周壁60の下端と上下方向Zにおいて同じ位置にあり、延設部61の上端部61Aは、円周壁60の上端よりも上側Z1にはみ出して配置される。上端部61Aにおいて周方向Qにおける中央には、上側Z1および径方向内側R1の両方に開放された窪み61Bが形成される。
底壁62の上面部は、中心軸線Jの周囲に位置する中央部62Aと、中央部62Aを径方向外側R2から取り囲んで中央部62Aよりも低い位置にある外周部62Bと、径方向Rにおける中央部62Aと外周部62Bとの間に位置する途中部62Cとを含む。中央部62A、外周部62Bおよび途中部62Cは、周方向Qに延びる円環状に形成される。中央部62Aおよび外周部62Bは、横方向に沿ってほぼ平坦に延びるが、途中部62Cは、径方向外側R2に向かうにつれて下側Z2にずれるように横方向に対して傾斜し、中央部62Aと外周縁と外周部62Bの内周縁との間に架設される。中央部62Aには、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円形状の開口部62Dと、開口部62Dを縁取りつつ上側Z1へ突出した円環状のフランジ部62Eとが形成される。フランジ部62Eの内周面の上端部には、当該上端部を面取りした面取り部62Fが形成される。
このような上面部を有する底壁62は、図10に示すように、中心軸線Jに近づくにつれて上下方向Zに厚くなるが、中空体である。底壁62は、固定部64と、支持部65と、駆動軸66と、モータ67と、位置決め機構68と、排水路69と、排水機構98(図9参照)とを内蔵する。
固定部64は、周方向Qに沿って延びる円環状に形成され、底壁62の上面部における中央部62Aの真下において底壁62に固定される。固定部64を底壁62の一部とみなしてもよい。固定部64の上面部には、固定部64の内周面を縁取りつつ下側Z2に窪んだ窪み64Aと、窪み64Aを径方向外側R2から取り囲みつつ上側Z1へ突出した円環状のフランジ部64Bとが形成される。固定部64の周上1箇所、詳しくは、固定部64における後側Y2の外周面には、貫通穴64Cが形成される(図11も参照)。貫通穴64Cは、径方向内側R1へ向かうにつれて上側Z1へずれるように傾斜しながら固定部64の周上1箇所を貫通して、径方向外側R2から窪み64Aに連通した状態にある。固定部64の下面部には、固定部64の内周面を縁取りつつ下側Z2に突出した円筒状の筒部64Dが形成される。
支持部65は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円盤状の円盤部65Aと、円盤部65Aの下面部の中心から下側Z2に突出した円筒状の筒部65Bとを一体的に含む。円盤部65Aの上面部の中央部には、下側Z2へ凹んだ位置決め凹部65Cが形成される。円盤部65Aには、位置決め凹部65Cの底面の中央部から下側Z2へ延びる貫通穴65Dが形成される(図11も参照)。筒部65Bの内部空間は、貫通穴65Dの一部である。円盤部65Aの外周面の周上1箇所には、径方向内側R1へ窪んだ位置決め穴65Eが形成される(後述する図21参照)。
図11を参照して、円盤部65Aの上面部には、第2ロック部材70が設けられる。第2ロック部材70は、複数の凸部71と複数の球72とを含む。この実施形態では、凸部71は、洗濯槽2の第1ロック部材19の凹部19E(図4参照)に対応して6つ設けられ、位置決め凹部65Cよりも径方向外側R2において周方向Qに等間隔で並んで配置される。各凸部71は、円柱状のピンである。各凸部71において、その外面部をなす外周面71Aには、第1周方向Q1へ窪む窪み部71Bが形成される。窪み部71Bは、径方向内側R1、径方向外側R2および第2周方向Q2へ開放される。円盤部65Aの上面部において各凸部71に第1周方向Q1から隣接する位置には、円形状の位置決め穴65Eが1つずつ形成され、各位置決め穴65Eには、球72が1つずつ外れ不能に嵌め込まれる。各位置決め穴65E内の球72は、位置決め穴65E内に収容されたバネなどの付勢部材73によって上側Z1へ付勢される。そのため、各球72の一部は、位置決め穴65Eから上側Z1へはみ出した状態にある。このような球72および付勢部材73は、ボールプランジャを構成する。
図10を参照して、支持部65では、円盤部65Aが固定部64の窪み64Aに上側Z1から嵌め込まれて、筒部65Bが固定部64の内側を通って、筒部65Bの下端部が固定部64の筒部64Dの内部から下側Z2にはみ出した状態にある。支持部65は、筒部64Dと筒部65Bとの間において上下に並んで介挿された軸受74および軸受75によって回転自在に支持される。ただし、下側Z2に位置する軸受74は、一般的なベアリングであるが、軸受74よりも上側Z1に位置する軸受75は、いわゆるワンウェイベアリングであり、支持部65を第2周方向Q2(図11参照)にしか回転しないように支持する。円盤部65Aと固定部64のフランジ部64Bとの隙間は、オイルシールなどの環状のシール部材76によって塞がれる。フランジ部64Bよりも径方向外側R2における固定部64と底壁62との隙間は、別のシール部材57によって塞がれる。円盤部65Aの上面部と、この上面部に設けられた凸部71および球72は、底壁62の上面部の中央部62Aに形成された開口部62Dから上側Z1へ露出される。ただし、凸部71および球72は、底壁62における開口部62Dの周囲のフランジ部62Eの上端よりも下側Z2に配置される。
駆動軸66は、中心軸線Jに一致した中心軸を有する円柱状に形成される。駆動軸66の上端面には、下側Z2へ凹んだ凹状の受入部66Aが形成される。横方向に沿って切断したときの受入部66Aの断面は、支持軸18の下側係合部18B(図4参照)の断面にほぼ一致した略多角形状に形成される。駆動軸66は、支持部65の貫通穴65Dに挿通される。駆動軸66の上端面は、円盤部65Aの上面部における位置決め凹部65Cの底面よりも下側Z2配置され(図11参照)、駆動軸66の下端部は、支持部65の筒部65Bから下側Z2にはみ出して配置される。駆動軸66は、駆動軸66と支持部65との間に介挿されたすべり軸受などの軸受77によって回転自在に支持される。円盤部65Aと駆動軸66の上端部との隙間は、オイルシールなどの環状のシール部材89によって塞がれる。
モータ67は、固定部64に対して下側Z2から固定される。モータ67は、制御部6によって駆動が制御されることによって駆動力を発生する。モータ67が発生した駆動力は、支持部65および駆動軸66のそれぞれに対して選択的に伝達される。これにより、支持部65および駆動軸66のそれぞれが、中心軸線Jまわりの周方向Qに沿って別々に駆動回転される。
位置決め機構68は、固定部64の後側Y2に配置される。位置決め機構68は、ピン78と、ピン78を支持したホルダ79と、付勢部材80と、アクチュエータ81とを含む。ピン78は、径方向内側R1へ向かうにつれて上側Z1へずれるように傾斜しながら延びる軸状に形成され、ホルダ79によって支持された状態において径方向Rに沿ってスライド可能である。図10におけるピン78は、待機位置にあって、ピン78における径方向内側R1の先端部78Aは、固定部64の貫通穴64Cに収容された状態にあって、固定部64の窪み64Aにはみ出さない。付勢部材80は、バネなどによって構成され、ピン78を常に径方向内側R1へ付勢する。アクチュエータ81は、ソレノイドなどによって構成され、ONされることによって、ピン78を径方向外側R2に引っ張って待機位置に保持する。アクチュエータ81がOFFになると、アクチュエータ81によるピン78の保持が解除されるので、ピン78は、付勢部材80の付勢力によって径方向内側R1へスライドする。アクチュエータ81のON・OFFは、制御部6によって制御される。
排水路69は、底壁62内で延びる。排水路69の一端は、排水口69Aとして、底壁62の上面部における外周部62Bの周上1箇所に配置され(図9参照)、排水路69の他端(図示せず)は、洗濯機本体4の外に引き出される。また、底壁62の下面部には、洗濯機1を載置面に載置したときに載置面に接触する脚部82が設けられる。脚部82は、延設部61の下面部にも設けられてもよい。
排水機構98は、上下方向Zに延びるピン99(図9参照)と、ソレノイドなどによって構成されてピン99を上下方向Zにスライドさせるアクチュエータ100(後述する図22参照)とを含む。ピン99は、底壁62の上面部における外周部62Bの周上1箇所、詳しくは、周方向Qにおいて排水口69Aから180度ずれた後側Y2の位置に配置される(図9参照)。ピン99における上側Z1の先端部99Aは、底壁62から上側Z1に露出される。ピン99は、アクチュエータ100の駆動に応じて、下位置(図示せず)と上位置(図示せず)との間で上下方向Zにスライド可能である。アクチュエータ100の駆動は、制御部6によって制御される。ピン99は、通常では下位置に配置される。
次に、洗濯機本体4に対する洗濯槽2の着脱について説明する。なお、回転部材3が装着された状態の洗濯槽2が洗濯機本体4に対して着脱されてもよいし、洗濯槽2が単体で洗濯機本体4に対して着脱されてもよい。洗濯槽2が単体で洗濯機本体4に対して着脱される場合には、前述した手順によって回転部材3が洗濯機本体4内の洗濯槽2に装着される。
洗濯槽2の装着に際し、まず、使用者は、洗濯槽2の各把持部16における内側凹部16Aおよび外側凹部16Bに指を掛けることによって、各把持部16を指先で挟むように把持する(図2参照)。把持部16は、洗濯槽2の上端部に位置するので、少ない力でも把持しやすい。使用者は、各把持部16を把持した状態で、洗濯槽2を洗濯機本体4の着脱口4Bの真上まで持ち上げてから(図2参照)、洗濯槽2を下げる。洗濯槽2を下げると、洗濯槽2は、着脱口4Bを通過して洗濯機本体4の収容空間4A内に収容されていく。その際、洗濯槽2と収容空間4Aとが同軸状になるように、使用者が収容空間4A内における洗濯槽2の横方向の位置を微調整する。すると、洗濯槽2の第1ロック部材19が、洗濯機本体4の底壁62の開口部62Dの真上に配置され、洗濯槽2の支持軸18が、径方向Rにおいて洗濯機本体4の駆動軸66とほぼ同じ位置に配置される(図8も参照)。
そして、洗濯槽2のほぼ全体が収容空間4A内に収まるまで洗濯槽2が下降すると、図12に示すように、洗濯槽2における支持軸18の下側係合部18Bが、洗濯機本体4における駆動軸66の受入部66Aの上端に到達する。このとき、洗濯機本体4の支持部65の上面部における第2ロック部材70の各凸部71は、洗濯槽2の底壁12へ向けて上側Z1に突出した状態にある。また、洗濯槽2の底壁12における第1ロック部材19は、第2ロック部材70の各凸部71および各球72よりも高い位置にある。つまり、洗濯槽2の装着時において、第1ロック部材19の凹部19Eが凸部71を受け入れるよりも先に、受入部66Aが支持軸18を受け入れる。上側Z1から見た平面視において下側係合部18Bおよび受入部66Aの互いの略多角形状が一致した状態にあれば、下側係合部18Bが受入部66Aに上側Z1から進入する。平面視において下側係合部18Bおよび受入部66Aの互いの略多角形状が一致した状態になければ、使用者は、周方向Qにおける洗濯槽2の位置を微調整することによって下側係合部18Bおよび受入部66Aの互いの略多角形状を一致させて、下側係合部18Bを受入部66Aに上側Z1から進入させる。
下側係合部18Bが受入部66Aに進入するとき、第2ロック部材70の各凸部71は、第1ロック部材19における各凹部19Eと周方向Qにおいて1つずつ同じ位置にあり、対応する凹部19Eに下側Z2から対向する。そのため、図13に示すように、洗濯槽2の下降に伴って下側係合部18Bが受入部66Aにある程度進入すると、各凸部71が、対応する凹部19Eに下側Z2から進入することによって、この凹部19Eによって受け入れられる。つまり、前述したように先の段階で受入部66Aが支持軸18を受け入れることによって、凹部19Eと凸部71とが予め位置合わせされるので、その後、凸部71が円滑に凹部19Eに受け入れられる。そのため、洗濯機本体4に対する洗濯槽2の装着が容易になる。なお、下側係合部18Bおよび受入部66Aの断面が円形状であれば、凹部19Eと凸部71とが径方向Rにしか位置合わせされないが、下側係合部18Bおよび受入部66Aの断面が、略多角形状であるので、凹部19Eと凸部71とは径方向Rだけでなく周方向Qにも位置合わせされる。
そして、図14に示すように、下側係合部18Bが受入部66Aの底に到達すると、洗濯槽2の下降が停止し、洗濯槽2は、洗濯機本体4の収容空間4Aに完全に収容される。このとき、各凸部71において窪み部71B(図11参照)よりも上側Z1の部分が、対応する凹部19E内に収まり、第1ロック部材19の全体が、洗濯機本体4の底壁62の開口部62D内に嵌まり込み、第1ロック部材19の位置決め部19Dが、底壁62における支持部65の位置決め凹部65Cに嵌まり込む。この際、底壁62において開口部62Dを縁取ったフランジ部62Eの面取り部62F(図10参照)によって、第1ロック部材19が開口部62D内へ向けてガイドされる。
ここで、横方向における位置決め部19Dと位置決め凹部65Cの内周面との遊びは、横方向における下側係合部18Bと受入部66Aの内周面との遊びや、凸部71と凹部19Eの縁との間の遊びよりも小さい。そのため、下側係合部18Bを受入部66Aに進入させやすく、凸部71を凹部19Eに挿入しやすいので、装着時における作業性の向上を図れる一方で、位置決め部19Dが位置決め凹部65Cに嵌まり込むことによって、洗濯槽2と支持部65との間におけるガタを詰めることができる。そのため、回転中の洗濯槽2に異常振動が発生することを抑制できる。
また、下側係合部18Bが受入部66Aの底に到達したときには、支持部65において開口部62Dから上側Z1へ露出された円盤部65Aは、収容空間4A内の洗濯槽2の底壁12に下側Z2から対向し、洗濯槽2を支持した状態にある。この状態を図14とは違う断面で示した図15に示すように、底壁12における第1ロック部材19の各凹部19Eでは、縁部19H(図4も参照)が、対応する凸部71から第2周方向Q2へ僅かに離れ、この凸部71の窪み部71Bに対して第2周方向Q2から対向した状態にある。
また、図15のB−B矢視断面図である図16に示すように、支持部65の上面部における第2ロック部材70の各球72が、第1ロック部材19の各位置決め穴19Fに対して1つずつ第1周方向Q1から隣接した状態にある。各球72は、第1ロック部材19によって上側Z1から押さえ付けられることによって支持部65の上面部の位置決め穴65E内で下側Z2へずれて配置されるので、各位置決め穴65E内における付勢部材73は、圧縮された状態にある(図11参照)。
次に、使用者が、引き続き把持部16を掴んだ状態で、洗濯機本体4の収容空間4A内の洗濯槽2を、中心軸線Jまわりに第1周方向Q1へ回転させる。ここでの回転とは、凸部71の窪み部71Bの周方向Qの深さにほぼ相当する微小角度だけ、洗濯槽2を微小回転させることである。前述したように洗濯機本体4の支持部65が軸受75(図10参照)によって第2周方向Q2にしか回転しないように支持されるので、洗濯槽2の第1周方向Q1への微小回転に伴って、洗濯槽2の第1ロック部材19が支持部65に対して第1周方向Q1へ相対移動する。
すると、図17に示すように、第1ロック部材19の各凹部19Eでは、縁部19Hが、支持部65の第2ロック部材70において対応する凸部71の窪み部71Bに対して第2周方向Q2から嵌め込まれて、凸部71によって上下方向Zにおける窪み部71Bの両側から挟まれた状態になる。これにより、洗濯槽2が、上下方向Zにおいて支持部65に対して位置決めされ、周方向Q、特に第2周方向Q2については支持部65に対して相対移動できなくなる。また、図17のC−C矢視断面図である図18に示すように、第2ロック部材70の各球72が、周方向Qにおいて第1ロック部材19の各位置決め穴19Fと1つずつ整合し、付勢部材73(図11参照)によって上側Z1へ付勢されることにより、対応する位置決め穴19Fに下側Z2から嵌まり込んだ状態にある。これにより、収容空間4A内の洗濯槽2が、周方向Q、ここでは第1周方向Q1および第2周方向Q2の両方において支持部65に対してロックされる。なお、各球72と第1ロック部材19との間の摩擦によって洗濯槽2の円滑な微小回転が阻害されないように、且つ、各球72が各位置決め穴19Fに確実に嵌まり込むように、各球72を付勢する付勢部材73の付勢力が予め調整される。以上のように洗濯槽2の微小回転に応じて洗濯槽2が上下方向Zおよび周方向Qにおいて支持部65にロックされると、洗濯機本体4に対する洗濯槽2の装着が完了する。
図19は、洗濯機本体4への洗濯槽2の装着が完了した状態における洗濯機1の斜視図である。洗濯槽2が洗濯機本体4に装着された状態では、洗濯槽2の上端部が、洗濯機本体4の円周壁60の上端部における着脱口4Bとほぼ同じ高さ位置にある。そのため、洗濯槽2の各把持部16は、洗濯槽2の外周面部2Aにおける上側Z1の端部、つまり着脱口4B側の端部に設けられ、着脱口4Bから上側Z1に露出される。
また、洗濯槽2が洗濯機本体4に装着された状態では、洗濯槽2の外周面部2Aと円周壁60の内周面との間には、周方向Qに延びる円環状の隙間83が形成される。前述したように洗濯槽2の外周面部2Aが着脱口4Bへ向かうにつれて縮径するように形成されるので、隙間83は、上側Z1ヘ向かうにつれて径方向内側R1へ広がる。そのため、隙間83の上端部、つまり、外周面部2Aにおいて着脱口4B側の上端部と着脱口4Bの縁部との間には、径方向内側R1へ最も広がったスペースが確保される。各把持部16は、このスペースに配置される。そのため、洗濯槽2の着脱時には、このスペースに指を差し込んで、把持部16を確実に把持することができる。
また、洗濯槽2が洗濯機本体4に装着された状態では、洗濯槽2の支持軸18の下側係合部18Bが、駆動軸66の受入部66Aに嵌まり込んで、支持軸18と駆動軸66とが一体回転可能に連結される(図14参照)。そのため、支持軸18によって一体回転可能に支持された回転部材3(図8参照)は、支持軸18を介して駆動軸66に連結されるので、駆動軸66と一体回転可能である。
洗濯機本体4から洗濯槽2を離脱させる場合には、まず、洗濯槽2の第1ロック部材19の各凹部19Eの縁部19Hが第2ロック部材70の凸部71の窪み部71Bから外れるように(図15および図16参照)、使用者が、洗濯槽2の把持部16を把持して、洗濯槽2を、先ほどの装着時とは逆向きの第2周方向Q2へ微小回転させる。ただし、凸部71が設けられた支持部65(図11参照)が、洗濯槽2とともに第2周方向Q2に回転すると、縁部19Hが窪み部71Bから外れない。
そこで、図20に示すように、制御部6は、洗濯機本体4の底壁62内の位置決め機構68のアクチュエータ81をOFFにすることによってピン78を待機位置から径方向内側R1へスライドさせるとともに、モータ67を駆動させることによって支持部65を、例えば10rpm以下の回転数で低速回転させる。すると、ピン78の先端部78Aは、図20において破線で示すように、底壁62における固定部64の貫通穴64Cから径方向内側R1へはみ出して、支持部65の円盤部65Aの外周面に押し付けられ、円盤部65Aに対して相対的に摺動する。
図21に示すように、支持部65の回転に伴って、先端部78Aが周方向Qにおいて円盤部65Aの位置決め穴65Eに一致すると、ピン78は、付勢部材80の付勢力によって径方向内側R1へさらにスライドし、先端部78Aが位置決め穴65Eに径方向外側R2から嵌まり込む。これにより、支持部65の回転が停止し、支持部65が周方向Qにおいて位置決めされる。このときのピン78は、進出位置にある。制御部6は、例えば洗濯槽2やモータ67の回転数を監視してもよく、所定時間経過しても当該回転数が増加しない場合には、支持部65の回転が停止したこと、つまり、ピン78が進出位置にあると判断する。もちろん、制御部6は、ピン78自体の位置をセンサ(図示せず)によって監視することによって、ピン78が待機位置および進出位置のいずれにあるのかを判断してもよい。
ピン78が進出位置にある状態では、作業者が洗濯槽2を第2周方向Q2へ回転させても、支持部65が洗濯槽2とともに回転しない。そのため、使用者が洗濯槽2を微小回転させると、洗濯槽2の第1ロック部材19が支持部65の第2ロック部材70に対してQ2へ相対移動する。すると、第1ロック部材19の各凹部19Eの縁部19Hが第2ロック部材70の凸部71の窪み部71Bから第2周方向Q2へ外れるので、洗濯槽2のロックが解除され、洗濯槽2は、上下方向Zにおいて支持部65に対して位置決めされなくなる(図15および図16参照)。また、第2ロック部材70の各球72が、第1ロック部材19の各位置決め穴19Fから外れて、位置決め穴19Fから第1周方向Q1へずれる(図16参照)。以上により、上下方向Zおよび周方向Qにおける支持部65に対する洗濯槽2のロックが、洗濯槽2の微小回転に応じて解除される。
次に、使用者が、引き続き把持部16を掴んだ状態で洗濯槽2を引き上げると、支持部65の上面部の各凸部71が、対応する凹部19Eから下側Z2へ外れるとともに、洗濯槽2の支持軸18の下側係合部18Bが、洗濯機本体4の駆動軸66の受入部66Aから上側Z1へ外れる(図12参照)。使用者が、さらに洗濯槽2を引き上げて、洗濯槽2が洗濯機本体4の着脱口4Bを通過して収容空間4Aから抜け出すと(図2参照)、洗濯機本体4からの洗濯槽2の離脱が完了する。
以上のように、凹部19Eが形成された第1ロック部材19(図4参照)と、凹部19Eに受け入れられる凸部71とを有する第2ロック部材70(図11参照)とは、着脱時の洗濯槽2の回転に応じて、洗濯機本体4の収容空間4A内の洗濯槽2を支持部65に対してロックしたり、そのロックを解除したりするロック解除機構84を構成する。ロック解除機構84を備える洗濯機1では、前述したように洗濯槽2を収容空間4Aに出し入れして回転させるだけで、洗濯槽2を洗濯機本体4に対して容易に着脱できる。特に、使用者は、洗濯槽2の外周面部2Aと洗濯機本体4の円周壁60との隙間83の上端部、つまり、隙間83において径方向内側R1へ最も広がったスペース(図19参照)に指を差し込んで把持部16を把持することによって、洗濯槽2を収容空間4Aに出し入れして回転させる作業が一層容易になる。そのため、洗濯槽2を洗濯機本体4に対して容易に着脱できる。このように洗濯槽2が洗濯機本体4に対して着脱可能なので、取り外して単体になった洗濯槽2を隅々まで掃除できるし、洗濯機本体4において洗濯槽2の裏に隠れた領域、例えば円周壁60の内周面なども掃除できる。
図22は、完成状態における洗濯機1の縦断面右側面図である。次に、扉5について説明する。扉5は、洗濯機本体4の着脱口4Bと、洗濯機本体4に装着された洗濯槽2の出入口2Bとを一括して開閉する。扉5は、上下方向Zに厚みを有する円盤状に形成された扉本体部85と、扉本体部85の外周面の周上1箇所から突出した扉連結部86とを一体的に含む(図19も参照)。
扉本体部85の外径は、洗濯機本体4の円周壁60の外径とほぼ同じである。図22に示すように扉5が閉じた状態を基準として、扉本体部85には、その径方向における中央部を上下方向Zに貫通した円筒状の穴85Aが形成される。扉本体部85は、穴85Aを上側Z1から塞いだ閉塞部87を含む。閉塞部87は、上下方向Zに薄い板状に形成され、例えば透明または半透明の樹脂製である。扉本体部85の下面部には、扉本体部85を縁取りながら下側Z2に突出した外側フランジ部85Bと、穴85Aを縁取りながら下側Z2に突出した内側フランジ部85Cとが一体形成される。外側フランジ部85Bは、完全な円環状に形成されるが、内側フランジ部85Cは、その周上1箇所を切り欠いた溢水部85Dが形成されることによって、周上1箇所が途切れた円環状に形成される(図19参照)。外側フランジ部85Bの下端部の外径は、洗濯機本体4の円周壁60の上端部におけるパッキン63の上端部の内径とほぼ同じである。内側フランジ部85Cの外径は、洗濯槽2の上端部におけるリング部材10の内径よりも小さい。
扉連結部86は、扉本体部85の周方向において溢水部85Dと同じ位置にあるとともに、洗濯機本体4の延設部61と平面視で重なるように洗濯機1における後側Y2の位置に配置される。扉連結部86は、扉本体部85の周方向に対する接線方向に延びるブロック状に形成され、当該接線方向における扉連結部86の両端部には、凹部86Aが1つずつ形成される(図19参照)。延設部61の上端部61Aにおいて窪み61Bの両側の部分が、各凹部86Aに対して下側Z2から1つずつ嵌め込まれ、上端部61Aは、当該接線方向に延びる連結軸88を介して扉連結部86に連結される(図19参照)。これにより、扉5は、洗濯機本体4によって支持される。扉5は、水平になった閉位置(図22参照)と、略垂直になった開位置(図19参照)との間において連結軸88まわりに回動可能である。
閉位置の扉5では、扉本体部85が、洗濯機本体4および洗濯槽2と同軸状に配置され、洗濯機本体4の着脱口4Bと洗濯槽2の出入口2Bとを上側Z1から閉じる。このとき、扉本体部85の下面部では、外側フランジ部85Bが、洗濯機本体4のパッキン63に対して周方向Qの全域に亘って密着するので、洗濯機本体4の収容空間4Aが密閉される。また、内側フランジ部85Cが、リング部材10の内側に嵌まり込む。そして、溢水部85Dが、出入口2Bと、洗濯槽2の外周面部2Aと円周壁60との隙間83の上端部とを連通させる。開位置の扉5では、扉本体部85が、着脱口4Bおよび出入口2Bから後側Y2にずれるので、着脱口4Bおよび出入口2Bの真上には扉5が存在せず、着脱口4Bおよび出入口2Bのそれぞれの全域が、上側Z1へ開放される(図19参照)。
扉5は、洗濯槽2の内部空間2Cに水を供給するための給水機構90を内蔵する。給水機構90は、給水路91と、給水弁92とを含む。給水路91は、扉連結部86と扉本体部85とに跨って設けられる。給水路91の一端は、蛇口(図示せず)につながり、給水路91の他端は、給水口91Aとして、扉本体部85において穴85Aを区画した内周面における後側Y2の領域において、溢水部85Dの上側Z1に配置される。給水弁92は、給水路91の途中に設けられる。給水弁92が開くと、水道水が給水路91を流れて給水口91Aから流れ落ち、内部空間2Cに供給される。給水弁92が閉じると、内部空間2Cへの水道水の供給が停止される。給水弁92の開閉は、制御部6によって制御される。制御部6は、この給水弁92、前述したモータ67、アクチュエータ81(図20参照)およびアクチュエータ100のそれぞれに対して電気的に接続される。
洗濯機1では、給水機構90が扉5に設けられるので、給水機構90に相当する構成がいわゆる上面板に設けられた従来の洗濯機と比べで、横方向における寸法を小さく抑えることができる。また、扉本体部85の内周面に給水口91Aを配置すれば、従来の洗濯機と比べて、溢水部85Dや内部空間2Cの設計が給水口91Aによる制約を受けにくい。さらに、内部空間2Cの中心側に給水されるように、給水口91Aの位置や、給水口91Aから流出する水の向きなどを自由に調整できる。
洗濯槽2の内部空間2Cへの給水に関連して、洗濯機1は、内部空間2C内に溜まった水位を検知するための水位検知機構93を含む。水位検知機構93は、ケース94と、センサ95と、通信部96とを含む。ケース94は、洗濯槽2の内部空間2Cに配置され、洗濯槽2の円周壁9の内周面の周上1箇所に固定される。ケース94は、上下方向Zに長手であり、円周壁9の下端から上端まで延びる。ケース94の略上半分には、中空部94Aが設けられる。中空部94Aの下端には、中空部94A内に下側Z2から連通した入口94Bが形成される。センサ95は、中空部94A内に配置される。センサ95は、内部空間2Cの水位を検知するためのセンサであり、例えば電気的な構成が用いられる。具体的には、内部空間2Cの水位が上昇すると、内部空間2Cの水が入口94Bから中空部94A内に進入してセンサ95に接触する。これにより、センサ95における電極(図示せず)が導通する。水位の上昇に伴って、この電極の電圧が変化するので、電極の電圧値によって、内部空間2Cの水位を検知できる。なお、センサ95は、電極の導通の有無によって内部空間2Cにおける水の有無だけを検知してもよい。
通信部96は、中空部94A内に配置されたケース側通信部96Aと、扉5の扉本体部85の周上1箇所に内蔵された扉側通信部96B(図19参照)とを含む。例えば中空部94A内の共通の基板(図示せず)にケース側通信部96Aおよびセンサ95が搭載されることによって、ケース側通信部96Aは、センサ95に対して電気的に接続される。扉側通信部96Bは、制御部6に対して電気的に接続される。扉本体部85の下面部において、その周方向で扉側通信部96Bに一致する部分には、例えば透明な樹脂プレートで構成された窓97が設けられる(図19参照)。扉5が閉位置にある状態において、ケース側通信部96Aと扉側通信部96Bとが周方向Qで同じ位置にあると、扉側通信部96Bは、窓97を介して上側Z1から非接触でケース側通信部96Aに対向する。この状態では、例えば赤外線を用いることによって、ケース側通信部96Aと扉側通信部96Bとが無線通信することができるので、センサ95が検知した内部空間2Cの水位の情報が、通信部96を介して制御部6に入力される。
次に、洗濯機1で実行される洗濯運転について説明する。洗濯運転は、洗い工程と、洗い工程後のすすぎ工程と、脱水工程とを含む。すすぎ工程および脱水工程は、複数回実施されてもよく、その場合、脱水工程は、各すすぎ工程の後に実施されてもよい。
洗濯運転の開始に先立って、使用者は、扉5を開いて洗濯槽2の出入口2Bおよび洗濯機本体4の着脱口4Bを開放し(図19参照)、洗濯物Sを出入口2Bから洗濯槽2の内部空間2Cに収容する。または、使用者は、予め洗濯物Sが内部空間2Cに収容された洗濯槽2を洗濯機本体4に装着してもよい。使用者は、このように洗濯物Sを洗濯機本体4内に投入した後に扉5を閉じる。この際、必要に応じて、内部空間2Cに洗剤が投入されてもよい。そして、使用者が、例えば扉5の表面に設けられたスイッチなどの操作部(図示せず)を操作すると、制御部6が洗い工程を開始する。
制御部6は、洗い工程の最初に、給水機構90の給水弁92を開いて、洗濯槽2の内部空間2Cに給水する。内部空間2Cにおける水位が所定水位まで到達したことがセンサ95によって検知されると、制御部6は、給水を停止する。なお、内部空間2Cにおける水位が所定水位を超えて洗濯槽2の出入口2Bまで上昇した場合には、内部空間2Cの水は、扉5の扉本体部85における溢水部85Dを通って、洗濯槽2と洗濯機本体4の円周壁60との隙間83に溢れ出て排水路69から機外に排出される。また、前述したように、洗濯物Sを収容した洗濯槽2を洗濯運転の開始に先立って洗濯機本体4に装着する場合には、予め洗濯槽2によって水を汲んで内部空間2Cに溜めておいてもよい。その場合には、内部空間2Cに洗濯物Sが収容されるとともに所定水位まで水が溜まった洗濯槽2が、洗濯運転の開始に先立って洗濯機本体4に装着されるので、洗濯運転の最初における給水機構90による給水は省略される。
制御部6は、内部空間2Cに所定水位まで水が溜まったことを確認すると、モータ67を駆動させることによって、駆動軸66を駆動回転させる。これにより、支持軸18を介して駆動軸66に連結された回転部材3だけが、中心軸線Jまわりに駆動回転される。すると、内部空間2Cにおいて回転部材3の上側Z1に位置する洗濯物Sは、回転する回転部材3の隆起部45Dに触れたり、回転部材3が内部空間2Cに発生させた水流に乗ったりすることによって撹拌される。これにより、洗濯物Sから汚れが除去される。また、内部空間2Cに洗剤が投入された場合には、洗濯物Sの汚れが洗剤によって分解される。なお、回転中の回転部材3では、ロック位置の昇降部材50における取っ手52Aも中心軸線Jまわりに回転するが、前述したように取っ手52Aの上面部は、回転部材3の本体部45の中央部45Aよりも上側Z1へはみ出さないので(図6参照)、洗濯物Sが取っ手52Aに引っ掛かって傷むような不具合を抑制できる。
制御部6は、回転部材3が所定時間回転した後に、回転部材3の回転を停止させてから、排水機構98のピン99を今までの下位置から上位置まで上昇させる。すると、ピン99の先端部99Aが、洗濯槽2の開閉機構21の回動部材31を下側Z2から押し上げるので、回動部材31に連結された開閉部材35は、今までの閉位置から開位置まで上昇し、洗濯槽2の底壁12の排出口12Gを開く(図8参照)。そのため、内部空間2Cにおける水は、排出口12Gを通って流出し、洗濯機本体4の底壁62の排水口69Aから排水路69を通って機外に排出される。内部空間2Cの排水が完了すると、制御部6がピン99を下位置まで下降させるので、開閉部材35が閉位置まで戻る。これにより、洗い工程が終了する。なお、回転部材3の回転が停止した時点において、周方向Qにおいてピン99が回動部材31と同じ位置になければ、制御部6は、モータ67を駆動させることによって洗濯槽2を回転させて、回動部材31を周方向Qにおいてピン99に一致させる。これに関連して、洗濯機1は、周方向Qにおける回動部材31の位置を検知するセンサ(図示せず)を含んでもよい。
洗い工程後に、制御部6は、すすぎ工程を開始する。すすぎ工程において、制御部6は、まず、洗濯槽2の内部空間2Cに給水する。制御部6は、内部空間2Cに所定水位まで水道水が溜まったことを確認すると、モータ67を駆動させることによって、駆動軸66だけを駆動回転させる。これにより、内部空間2Cの洗濯物Sは、回転する回転部材3が内部空間2Cに発生させた水流によってすすがれる。回転部材3が所定時間回転させた後に、制御部6は、前述したように排水機構98のピン99を上位置まで上昇させて開閉部材35を開位置まで移動させることによって、内部空間2Cの排水を行う。内部空間2Cの排水が完了すると、制御部6が、ピン99を下位置まで下降させて開閉部材35を閉位置まで戻す。これにより、すすぎ工程が終了する。
すすぎ工程後に、制御部6は、脱水工程を開始し、モータ67を駆動させることによって、支持部65だけを駆動回転させる。これにより、支持部65によって支持された洗濯槽2も回転する。このとき、排水機構98のピン99は、回転する洗濯槽2に接触しないように、下位置にある。洗濯槽2は、中心軸線Jに一致した回転軸線まわりに回転する。洗濯槽2の回転による遠心力が洗濯物Sに作用することによって、洗濯物Sから水分が、洗濯槽2の円周壁9の内周面に向けて径方向外側R2へ飛ばされる。円周壁9の内周面は、上側Z1へ向かうにつれて縮径するように傾斜するので、洗濯物Sから円周壁9の内周面に向けて飛ばされた水分は、水滴となって、円周壁9の内周面の傾斜に沿って洗濯槽2の底壁12まで流れ落ちる。
そして、洗濯槽2の回転数が所定値まで上昇すると、洗濯槽2の底壁12の開閉機構21では、回動部材31が、遠心力によって径方向外側R2に移動しようするので、付勢部材33の付勢力に抗して上側Z1へ回動する。すると、回動部材31に連結された支持部材34が、開閉部材35を伴って上昇するので、開閉部材35が、今までの閉位置から開位置まで上昇し、洗濯槽2の底壁12の排出口12Gを開く(図8参照)。そのため、洗濯物Sから絞り出されて底壁12まで流れ落ちた水は、排出口12Gを通って流出し、前述したように排水路69を通って機外に排出される。なお、回転する洗濯槽2の底壁12では、開閉機構21とバランスウェイト41(図4参照)とがバランスすることによって、洗濯槽2は安定して脱水回転できる。
そして、洗濯槽2が所定時間回転した後に、制御部6は、洗濯槽2の回転を停止させる。すると、遠心力が小さくなることによって、回動部材31および支持部材34が付勢部材33の付勢力によって元の位置に戻るので、開閉部材35が開位置から閉位置に戻る。これにより、脱水工程が終了するとともに洗濯運転の全体が終了する。洗濯運転終了後に、使用者は、扉5を開いて、洗濯槽2内の洗濯物Sを回収する。一例として、使用者は、洗濯物Sを収容した洗濯槽2そのものを洗濯機本体4から離脱させてもよい。その場合には、使用者は、洗濯槽2の取っ手11を引出位置まで回動させて(図3において点線で示した取っ手11を参照)、取っ手11を掴んで洗濯槽2を、例えば物干し場に持って行き、洗濯槽2内の洗濯物Sを干す。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態のロック解除機構84では、凸部71が、洗濯機本体4の支持部65に設けられて洗濯槽2の底壁12へ向けて突出し、凸部71を受け入れる凹部19Eが底壁12に設けられるが(図15および図17参照)、逆の構成もあり得る。具体的には、凸部71が底壁12に設けられて支持部65へ向けて下側Z2へ突出し、凹部19Eが支持部65に設けられてもよい。また、前述した実施形態では、支持部65が第2周方向Q2にしか回転しない構成上、凸部71の窪み部71Bが第1周方向Q1へ窪むように形成されるが、支持部65が第1周方向Q1にのみ回転可能であって窪み部71Bが第2周方向Q2へ窪むという逆の構成もあり得る。もちろん、支持部65が第1周方向Q1および第2周方向Q2の両方に回転可能であってもよく、その場合に支持部65を回転自在に支持する軸受75は、ワンウェイベアリングでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、洗濯機本体4の位置決め機構68が、洗濯機本体4に対する洗濯槽2の離脱のタイミングにおいて、支持部65を、洗濯槽2とともに回転しないように周方向Qにおいて位置決めする(図21参照)。この位置決めにより、洗濯槽2を微小回転させたときに、洗濯槽2の第1ロック部材19の各凹部19Eの縁部19Hを第2ロック部材70の凸部71の窪み部71Bから確実に外すことができる(図15および図16参照)。もちろん、離脱のタイミングにおいて、縁部19Hが窪み部71Bから外れやすいのであれば、この位置決めを省略できる。また、この位置決めは、洗濯機本体4に対する洗濯槽2の装着のタイミングにも実施されてもよい。
具体的には、装着前の脱着時において、支持部65を位置決めするために位置決め機構68のアクチュエータ81が前述したようにOFFになるので、装着時もアクチュエータ81が引き続きOFFになって支持部65が位置決めされる。装着のタイミングに支持部65が位置決めされれば、洗濯槽2を微小回転させたときに、縁部19Hを窪み部71Bに確実に嵌め込むことができる。そして、装着完了後に制御部6がアクチュエータ81をONにすることによって、ピン78が待機位置に保持されるので、その後の洗濯運転中では支持部65は、洗濯槽2を伴って駆動回転可能となる。このように、位置決め機構68は、洗濯槽2の装着および離脱の少なくともいずれかのタイミングにおいて支持部65を周方向Qにおいて位置決めすればよい。
また、洗濯機1は、回転部材3が洗濯槽2に装着されたか否かを検知するためのセンサや、洗濯槽2が洗濯機本体4に装着されたか否かを検知するためのセンサを備えてもよい(図示せず)。このようなセンサとして、マグネットスイッチやマイクロスイッチを用いることができる。