JP6867225B2 - 衝撃式破砕機 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭、コークス、石膏、岩石などの破砕原料に衝撃力を付与して破砕するためのハンマクラッシャ、インペラブレーカなどの衝撃式破砕機に関する。
衝撃式粉砕機、例えば、ハンマクラッシャは、上部に投入口および下部に排出口を有するケーシングと、ケーシング内に配設され水平な回転軸の外周部に多数のハンマ(衝撃部材)を回転自在に連結した一方向回転式又は可逆回転式のロータ(回転体)と、ロータが回転する際のハンマの先端の軌跡円との間に半径方向に所定の間隙を有して表面が湾曲した磨砕板とを備え、投入口から投入された破砕原料(被破砕物)が、ロータ外周に連結された多数のハンマによる打撃と磨砕板表面での反撥衝撃により、ハンマと磨砕板の間で繰り返し磨砕、衝撃作用を受けて効果的に粉砕し、粉粒体製品となって重力落下し排出口から排出する。
このようなハンマクラッシャにおいては、粉粒体製品の重要な品質の一つである、粉粒体製品における(粉粒体全量に対する)特定粒径(粒子径)以下の粉粒体の割合(%)(以下「特定粒度」という。)は、破砕原料の硬度等の性状および運転条件、例えば破砕室間隙(ロータが回転する際におけるハンマの先端と磨砕板との間の半径方向における間隙)、ロータの回転速度により定まるハンマの周速度、投入口から供給される破砕原料の供給量(単位時間当たりの供給質量)などに依存して変化するため、特定粒度について予め設定した目標粒度(以下「目標粒度」という。)に調整するためには、投入される破砕原料の種類等に応じて、適正な破砕室間隙や周速度を調整することが必要となる(例えば、特許文献1)。
このため、例えば、特許文献2においては、磨砕板をロータに対して接近離反できるようにケーシングの上下2箇所により支持連結する間隙調整機構を備え、間隙調整機構を操作することにより破砕室間隙を調整することができるように構成し、破砕運転を行う前に、破砕対象となる原料(対象原料)について、先ず、予備的な破砕運転(予備破砕)を行い、対象原料における適正な破砕室間隙を選定し、対象原料に応じて(選定された)破砕室間隙に調整して、目標粒度となる粉粒体製品を製造することができるハンマクラッシャが提案されている(特許文献2の段落[0019]ないし[0020]等)。
また、ハンマクラッシャは、運転時間の経過に伴い、ハンマおよび磨砕板の表面が徐々に磨耗するため、破砕室間隙が増大し、粉粒体製品の特定粒度が変化する(一般に、粉粒体製品の粒度分布において、大きな粒径の割合が増加する)。このため、例えば特許文献3においては、運転時間の経過に応じて、適宜、インパクトクラッシャについて、磨砕板の新品時からの運転経過時間と磨砕板磨耗量との関係、および磨砕板が磨耗したときに磨砕板新品時の粉粒体製品の特定粒度を維持するための周速度の補正値と磨砕板の磨耗量との関係を予め実験により求め、これら2つの関係に基づいて、粉粒体製品の特定粒度が一定となるように調整する方法が提案されている(例えば、特許文献3の段落[0016])。
しかし、特許文献2における破砕機においては、対象原料が変わるごとに、予備破砕試験を行い、対象原料における適正な破砕室間隙を選定しなければならないため、短期間で対象原料が変わる場合には、製品製造のための運転時間の割合が少なくなり、稼働率が低下するなど非常に不便であった。
また、特許文献3における破砕機においては、インバータを使用して周速度の制御を行うために、制御装置ひいては破砕機が高度化・高価となることに加えて、対象原料について、運転経過時間と磨砕板の磨耗量との関係および磨砕板の磨耗量とロータ周速度の補正値との関係を取得する必要があり、特に運転経過時間と磨砕板の磨耗量との関係は加速試験による取得が困難であることから、これらの取得に長時間を要し、労力と時間を非常に要するという問題があった。特に、短期間で対象原料が変わる場合には、その都度、製品製造のための運転を頻繁かつ長時間にわたり休止して関係データを取得する必要があり、稼働率の大幅な低下という不都合があった。
特開2004−277709号公報 特開2003−93903号公報 特開平7−275726号公報
本発明は、従来技術の前記問題点に鑑みなされたものであって、原料変更するたびに予備試験を行う必要が無く、稼働率の低下を防ぐことができる衝撃式破砕機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による衝撃式破砕機は、破砕原料が投入される破砕室を内部に形成したケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に設けられた衝撃部材と、前記衝撃部材を回転駆動するためのモータと、前記衝撃部材の先端に対して半径方向に所定の間隙を有して配置された磨砕板と、前記磨砕板を前記衝撃部材に対して接近離反させるための間隙調整機構と、を備え、前記破砕原料の供給量と前記間隙が形成する破砕室によって定義される破砕室密度と、前記破砕原料を粉砕して生成される粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係に基づいて、前記間隙、前記衝撃部材の周速度および前記破砕原料の供給量の少なくとも一つを調整することにより、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合を予め設定された目標割合に調整するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第2の態様による衝撃式破砕機は、第1の態様において、前記破砕室密度と、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係が、性状の異なる多数の種類の前記破砕原料について予め取得されたものである、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様による衝撃式破砕機は、第1または第2の態様において、前記破砕室密度と、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との前記関係が、前記衝撃部材および前記磨砕板に磨耗が存在しない状態において取得されたものである、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様による衝撃式破砕機は、第1ないし第3のいずれかの態様において、前記破砕室密度と前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合との関係が、前記周速度および前記供給量をパラメータとしたもの、並びに前記周速度および前記間隙をパラメータとしたものを含む、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様による衝撃式破砕機は、第1ないし第4のいずれかの態様において、前記破砕室密度と、前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係が、前記周速度および前記供給量をパラメータとしたもの、並びに前記周速度および前記間隙をパラメータとしたものを含む、ことを特徴とする。
本発明の第6の態様による衝撃式破砕機は、第1ないし第5のいずれかの態様において、前記間隙調整機構は、前記磨砕板が予め設定された近接制限位置を超えて前記衝撃部材に近接しないように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第7の態様による衝撃式破砕機は、第1ないし第6のいずれかの態様において、前記間隙、前記周速度、前記供給量の順序で調整することにより、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合を前記目標割合に調整するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、原料変更するたびに関係データを取得するための予備試験を行う必要が無く、稼働率の低下を防ぐことができる衝撃式破砕機を提供することができる。
本発明に係る破砕機の一実施形態であるハンマクラッシャの構造を示す縦断面図。 本発明に係る破砕機の一実施形態であるハンマクラッシャの全体構成概念図。 運転条件の異なる場合の粉粒体製品における粒度分布の一例を示す図。 破砕室密度mと特定粒度との関係を示す図であり、(a)は、供給量Wを一定としたときの破砕室密度mと特定粒度との関係(特性線X)を示す図、(b)は、間隙gを一定としたときの破砕室密度mと特定粒度との関係(特性線Y)を示す図。 破砕室密度mと動力原単位Eとの関係を示す図であり、(a)は、供給量Wを一定としたときの破砕室密度mと動力原単位Eとの関係(特性線Z)を示す図、(b)は、間隙gを一定としたときの破砕室密度mと動力原単位Eとの関係(特性線U)を示す図。 ハンマクラッシャ1を使用して、目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を調整するための基本的な操作制御方法を示すフロー図。 図4および図5の関係に基づいて、目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を設定するための方法を示す図。 (a)は磨耗のないハンマおよび磨砕板を使用した場合に磨砕板を近接制限位置Lfに位置決めした状態を示す図であり、(b)は磨砕板を位置L1に位置決めしたときの、磨耗前後のハンマと磨砕板との関係を示す図であり、(c)はハンマおよび磨砕板が磨耗した後に、近接制限位置Lfにより制限されることなく、磨砕板をハンマに向けて位置L1まで移動して、破砕室間隙g1となるように位置決めした状態を示す図であり、(d)はハンマおよび磨砕板の磨耗が大きい場合に、近接制限位置Lfにより制限されることにより、破砕室間隙g1とするための位置L1まで磨砕板を移動できないことを示す図。 図6のフロー図において、工程13の判定がNOとなってS14に移行後調整が終了する場合の目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を設定するための方法を示す図。 図6のフロー図において、工程S17の判定がYESとなってSEにスキップして調整が終了する場合の目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を設定するための方法を示す図。 (a)は性状の異なる新たな破砕原料に変更して粉粒体製品の製造を行う場合の運転方法を示すフロー図であり、(b)は同一の種類の破砕原料について長期間継続して粉粒体製品の製造を行う場合の運転方法を示すフロー図。
以下、本発明に係る衝撃式破砕機の一実施形態であるハンマクラッシャについて、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示したように、本実施形態によるハンマクラッシャ1は、ケーシング7の内部に、電動モータ28により駆動されて可逆回転可能な回転軸3および回転軸3の軸方向に所定間隔で配設された複数の回転板5を有するロータ8と、ロータ8の外周部に周方向に所定の間隔で配設され、ロータ8の軸心に平行な軸心を有する複数の取付軸4と、取付軸4それぞれに揺動自在に取り付けられた複数のハンマ(衝撃部材)2と、ハンマ2の周囲にロータ8を挟んで両側に一対配設された磨砕板6とを備える。
なお、本明細書において「磨砕板」は、ハンマとの間に挟まれた原料がそこに押し付けられて破砕されるものや、高速で飛翔する原料がそこに衝突して破砕されるものを含んでいる。
ハンマクラッシャ1においては、ケーシング7の上部に配置された投入口11から投入された石炭、コークス、石膏、岩石などの破砕対象の原料(破砕原料)を、高速回転するハンマ2の頭部による打撃と磨砕板6表面での反撥衝撃とにより、ハンマ2と磨砕板6との間で繰り返し磨砕、衝撃作用を受けて効果的に破砕され、粉粒体製品として重力落下し、ケーシング7の下部に配置された排出口12から排出する。
なお、図1に示される例においては、回転軸3が可逆回転可能となっているため、磨砕板6は、ロータ8の両側に一対配設されているが、回転軸3は一方向回転式でもよく、一方向回転式の場合には、磨砕板6はロータ8の片側であって、回転軸3の回転方向にある側(図1において、回転軸3の右回転する場合にはロータ8の右側)にのみ配設される。
一対の磨砕板6のそれぞれには、ケーシング7の上部および下部に、それぞれ、磨砕板6をハンマ2に対して接近離反するために、ケーシング7により連結支持された油圧シリンダ20(20a、20b)が配設されている。油圧シリンダ(間隙調整機構)20a、20bはそれぞれ直動動作するピストンロッド29を有し、ピストンロッド29の先端が磨砕板6に連結されている。これにより、油圧シリンダ20a、20bのそれぞれのピストンロッド29を前後進させることにより、ハンマ2および磨砕板6の表面の磨耗状況や粉粒体製品の特定粒度の調整の必要に応じて、ピストンロッド29の先端に連結した磨砕板6をハンマ2の先端部に対して接近離反させることができ、ハンマ2の先端の回転軌跡(円弧)22と磨砕板6表面との間の半径方向の間隙を調整することができる。
以下、ハンマ2の先端の回転軌跡22と磨砕板6表面との間の空間(図1において多数の小さな点により網掛けしている領域)を破砕室9、回転軌跡22と磨砕板6表面との間隙を破砕室間隙という。
磨砕板6のロータ8側の表面には、表面の磨耗を防止ないし低減するために、例えば高マンガン鋳鋼などの耐摩耗性材料で製造されたライナ21が磨砕板6と一体に連結されている。なお、以下、特に断らない限り、磨砕板6にはライナ21を含むものとする。
油圧シリンダ20a、20bは、所定の基準位置を基準として磨砕板6を所定の位置に位置決めするために、変位センサ、シンクロ発信機、レーザセンサ、磁気スケール、光学スケール等のロッド移動距離測定手段(図示省略)を備えており、基準位置を基準として磨砕板6を所定の位置に位置決めすることができる。なお、油圧シリンダ20a、20bに代えて、例えば、電動シリンダを使用してもよい。以下、説明等の便宜のため、特に必要がない限り、油圧シリンダ20a、20bを総称して油圧シリンダ20とよぶ。
ハンマ2は、図1に示されるように、アーム16とハンマピン17とハンマヘッド15とを有しており、アーム16は、根元部に形成された取付軸用軸孔24に貫通している取付軸4に揺動自在に取り付けられている。また、ハンマヘッド15はハンマピン用軸孔23に貫通したハンマピン17に取り付けられている。本例においては、ハンマ2は、回転軸3に垂直な1つの平面ごとに、円周方向に等間隔(60度おき)に6つ配置されている。なお、ロータ8の外周部の円周方向に配置されるハンマ2の個数については、破砕原料の性状(形状・大きさ、硬度等)やロータ8の大きさなどに応じて適宜変更して設定される。
図2に示したように、ハンマクラッシャ1は制御装置14を備えており、破砕原料の硬度等の性状に応じて選定ないし調整された運転条件(破砕室間隙、周速)、投入口から供給される破砕原料の供給量(単位時間当たりの供給質量)など)を設定、調整、制御ができるようになっている。制御装置14は、入出力部25、演算部26、および記憶部27を備えており、操作・入力装置19からの信号が入出力部25に入力される。また、制御装置14の入出力部25は、モータ28のモータ駆動回路10および電流計18に接続されている。なお、電流計18は、これに限られるものではなく、動力計やトルクメータ等、粉砕に要するエネルギーを監視できる監視計であれば良い。
油圧ユニット13と油圧シリンダ20a、bとは油圧配管32により接続されており、制御装置14からの指令により、油圧ユニット13から所定の圧力と流量の作動油が油圧シリンダ20a、bに供給されて、ピストンロッド29を動作させることにより、磨砕板6をハンマ2に対して接近離反させることができる。
破砕原料を破砕する破砕運転中に、ハンマ2と磨砕板6との接触を防止するために、油圧シリンダ20には、磨砕板6が所定の位置(以下「近接制限位置」という。)Lfを超えてハンマ2に近接することを制限するための近接制限手段が備えられている。近接制限手段としては、油圧シリンダ20の動作を制御する制御装置14におけるソフトウエアによる手段であってもよいが、磨砕板6のハンマ2への接触を確実に防止するためには、図8に示した機械的なストッパ(本例においては、ピストンロッド29に設けた突起部31がケーシング7に連結された固定部30に当接して停止するような構造)を設けている。なお、ストッパの構造としては、磨砕板6やケーシング7に突起を設ける構造とすることもできる。
なお、磨砕板6が位置Lfに停止したときの破砕室間隙をg0とする(図8(a)参照)。
また、近接制限手段が、第一段階の近接制限位置Lf1を超えて近接することを制限する第一の近接制限手段をソフトウエアによる手段、および第二段階の近接制限位置Lf2を超えて近接することを制限する第二の近接制限手段としてより確実な機械的手段を備える2段階のものとしてもよい。また、ハンマ2および磨砕板6の磨耗を考慮して、破砕室間隙が所定の範囲内に調整できるように、磨砕板6が所定の位置(以下「離反制限位置」という。)Lrを超えてハンマ2から離反することを制限する離反制限手段が備えられている。なお、離反制限手段は、機械的なもの(例えば、シリンダのストロークエンド)であっても、ソフトウエア的なものであってもよく、また近接制限手段と同様に2段階のものとしてもよい。
ハンマクラッシャ1により破砕する場合、破砕原料の性状が、粉粒体製品の特定粒度に大きく影響するため重要である。なお、破砕原料が石炭やコークスの場合には、粉砕性の指標としてハードグローブ粉砕性指数HGI(Hardgrove
Grindability Index)(JIS M8801)が一般的に使用されている。
そこで、本実施形態におけるハンマクラッシャ1においては、種類の異なる多数の破砕原料について、HGI等の特性に対する運転条件と粉粒体製品の特定粒度との関係を予め実験等により取得し、それら取得したデータを整理して目標粒度の粉粒体製品を製造するために適正な運転条件を選定、調整するためのデータベース等(以下「特定データベース」という。)を整備しておく。
そして、特定データベースを制御装置14内の記憶部27に記憶し、また制御装置14により特定データベースを使用した選定アルゴリズムに基づいて目標粒度の粉粒体製品を製造するために適正な運転条件になるように自動的に調整・制御してハンマクラッシャ1の運転が実行される。これにより、破砕原料の種類の変更等があった場合等において、その都度、破砕条件を取得するための事前の予備試験等が不要となり、また、長期間の連続運転をする場合にハンマや磨砕板の磨耗量の測定等のための運転休止等が不要となり、稼働率の低下を防止できる。
なお、ハンマ2等の磨耗の変化を無視できる程度の短期間の破砕運転であって、破砕原料に対する運転条件等が既知である場合には、自動調整・制御によらず、操作・入力装置19を使用して既知の運転条件を手動入力して破砕運転を行うこともできる。
以下、ハンマクラッシャ1の運転条件の設定・調整および運転の方法等について詳細に説明する。
まず、ハンマクラッシャ1の運転方法等の詳細な説明に先立ち、ハンマクラッシャ1を運転して製造される粉粒体製品の特定粒度について説明する。
ハンマクラッシャ1により製造された粉粒体製品は、特定の粒径ではなく、多数の粒径の粉粒体の集合であり、破砕原料の種類や破砕運転条件に応じて異なる粒度分布となっている。運転条件の異なる場合の粉粒体製品における粒度分布の一例を図3に示す(運転条件AおよびB)。図3において、横軸は、粉粒体製品の粒径(粒子径)であり、縦軸は、粉粒体製品における特定の粒径以下の粉粒体の累積割合(%)(特定粒度)である。
この図3の例の場合において、特定粒度の目標値(目標粒度)が粒径3mm以下の粉粒体の割合が90%(このような粒度条件を「−3mm90%」と表現することがある。)として設定された運転条件Aが運転条件B(例えば、ハンマ2および磨砕板6が磨耗して破砕室間隙が増加した場合)に変化することにより、粉粒体製品における累積割合90%となる粒径は約5.6mmとなり、粒径が3mm以上の粉粒体製品の割合が、運転条件Aに比べて15%(=90%−75%)増加して、粉粒体製品の品質が低下する。
このため、例えば、運転時間の経過に伴なうハンマ2等の磨耗による破砕室間隙の増加に対して、粉粒体製品の特定粒度が低下しないように、運転条件を再調整する必要がある。
ただし、ハンマ2等の磨耗量の正確な予測や破砕運転中の磨耗による破砕室間隙の測定は困難であり、また、油圧シリンダ20による磨砕板6の可動範囲が離反制限位置と接近制限位置の間に限定されているために、ハンマ2等の磨耗後に、磨耗前と同様な大きさの破砕室間隙を設定・調整できなくなることがあり、さらに、粉粒体製品の特定粒度に影響を与える運転条件であって、調整可能なものは、破砕室間隙のほか、周速度、破砕原料の供給量など多数存在することから、それら多数の調整すべき量の間の相互の関連性を踏まえて適宜調整することが必要である。
目標粒度となる粉粒体製品を製造する際の前記要求に対して、本発明の発明者らは、破砕室密度という新たな概念ないしパラメータを導入することにより、前記要求を解決して、簡易な構成により容易に目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件の再調整の可能な衝撃式破砕機および衝撃破砕機の運転方法を発明した。
そこで、まず、本発明において新たに導入した破砕室密度について説明する。
ハンマクラッシャ1による破砕は、前記説明のとおり、ハンマ2による打撃と磨砕板6表面での反撥衝撃(の繰り返し)に基づくものであり、破砕過程において破砕室9内に多数の破砕原料が存在し、高速で飛翔しつつお互いに接触、衝突するなどして、破砕に影響を与えている。すなわち、ハンマクラッシャ1においては、上部に配置された投入口11から投入された破砕原料が、破砕室9内の下部に配置された排出口12に向かって全体としてほぼ同一の方向に飛翔しながら、ハンマ2による打撃と磨砕板6表面での反撥衝撃の繰り返しにより破砕が進行していくものであるところ、ハンマ2による打撃により磨砕板6に向かって飛翔する破砕原料が、飛翔の途中で他の破砕原料と接触、衝突することで破砕を助長している。しかし、この効果は、破砕室9内に存在する破砕原料の量が多くなるほど飛翔エネルギーの一部を消費し、破砕の効果が阻害されることになると考えられる。
また、破砕室間隙が拡大(増加)すると、ハンマ2と磨砕板6との繰り返し衝突回数が減少するとともに被破砕物(粉粒体製品)の排出が容易となるところ、破砕室間隙の増加は破砕室密度の減少となることから、破砕室密度の減少により、粉粒体製品における特定粒度は低下する(特定粒径以上の粉粒体の割合が増加する)。これらのことより、破砕室9内に存在する破砕原料の量と粉粒体製品の特定粒度との間に関係があることがわかる。
破砕室9内に存在する破砕原料の量は、破砕室奥行きを一定とした場合、破砕原料の供給量(単位時間あたりの供給質量)にほぼ比例し、破砕室間隙にほぼ反比例すると考えられることから、以下の式にて定義される破砕室密度mを導入する。なお、この式により定義される物理的意義は、破砕室の単位容積当たりの破砕原料の供給量である。
破砕室密度m=(破砕原料の供給量W)/(破砕室)・・・(1)
なお、破砕室9は破砕室間隙と奥行きによって定義される。以下、破砕原料の供給量を単に「供給量」と記載することがある。
破砕能力の目標または評価のための指標として、破砕後の粉粒体において、全粉粒体の量に対する特定粒径d[mm]以下の粉粒体の累積量の割合a%、または、全粉粒体の量に対する粉粒体の累積量の特定割合がa%となる粒径d[mm]が使用されることが多い。
例えば、前者を指標とする場合には、特定粒径d=5mm以下の破砕後の粉粒体の累積割合aが60%であると評価し、破砕能力(性能)が高まると、破砕後の粉粒体の累積割合aが増加し、後者を指標とする場合には、全粉粒体の量に対する破砕後の粉粒体の特定累積割合aが90%となる特定粒径dが3mmであると評価し、破砕能力(性能)が向上すると、特定粒径dが減少する。
図4は、周速度Vをパラメータとして、破砕室密度mと粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の(累積)割合(特定粒度)との関係を示す概念図であり、(a)は、供給量Wをパラメータとして固定したときの破砕室密度mと特定粒度との関係(特性線X)を示す概念図、(b)は、(a)と逆に、破砕室間隙gをパラメータとして固定したときの破砕室密度mと特定粒度との関係(特性線Y)を示す概念図である。
なお、図4および図5に示す各種関係を示す特性線X、Y、ZおよびUは、直線で表現されているが、説明や理解等の容易のために各種関係量間の関係の傾向を示す概念図であって、現実には、直線関係にあるとは限らない。
周速度Vおよび供給量Wをパラメータとして固定したとき、特定粒度は、図4(a)の特性線X(点A1と点A2とを結ぶ線)で示されるように、破砕室密度mが増大(または減少)すると増大(または減少)する。また、特性線Xは、パラメータである供給量Wが増大(または減少)すると紙面右下(または左上)方向に向けてシフトし、パラメータである周速度Vが増大(または減少)すると紙面略上方(または略下方)方向に向けてシフトする。
周速度Vおよび間隙gをパラメータとして固定したとき、特定粒度は、図4(b)の特性線Y(点A3と点A4とを結ぶ線)で示されるように、砕室室密度mが増大(または減少)すると減少(または増大)する。また、特性線Yは、パラメータである間隙gが増大(または減少)すると紙面左下(または右上)方向に向けてシフトし、パラメータである周速度Vが増大(または減少)すると紙面略上方(または略下方)方向に向けてシフトする。
図5は、周速度Vをパラメータとして、破砕室密度mと動力原単位Eとの関係を示す概念図であり、(a)は、供給量Wをパラメータとして固定としたときの破砕室密度mと動力原単位Eとの関係(特性線Z)を示す概念図、(b)は、破砕室間隙gをパラメータとして固定したときの破砕室密度mと動力原単位Eとの関係(特性線U)を示す概念図である。ここで、動力原単位Eは、単位質量の原料を破砕処理するために必要な動力(エネルギー)または単位質量の破砕製品を製造するために必要な動力(エネルギー)をいい、単位は、例えば[kWh/ton]である。
供給量Wをパラメータとして固定したとき、動力原単位Eは、図5(a)の特性線Z(点B1と点B2とを結ぶ線)で示されるように、破砕室密度mが増大(または減少)すると増大(または減少)する。また、特性線Zは、パラメータである供給量Wが増大(または減少)すると紙面右下(または左上)方向に向けてシフトし、パラメータである周速度Vが増大(または減少)すると紙面略上方(または略下方)方向に向けてシフトする。
破砕室間隙gをパラメータとして固定したとき、動力原単位Eは、図5(b)の特性線U(点B3と点B4とを結ぶ線)で示されるように、破砕室密度mが増大(または減少)すると減少(または増大)する。また、特性線Uは、パラメータである破砕室間隙gが増大(または減少)すると紙面左下(または右上)方向に向けてシフトし、パラメータである周速度Vが増大(または減少)すると紙面略上方(または略下方)方向に向けてシフトする。
なお、本実施形態においては、モータ28の回転駆動により原料を破砕するため、モータ28の電流Iまたは電力Pにより動力原単位を取得することができる。
次に、新たに導入した破砕室密度に基づく図4および図5の関係(特性)を利用して、ハンマクラッシャ1を用いて、所定の性状(例えば、ハードグローブ粉砕性指数HGI)を有する破砕原料を使用して破砕したときの粉粒体製品の特定粒度が所定の目標割合となるための運転条件を設定ないし調整・制御するための方法について説明する。
<基本調整方法>
図6はハンマクラッシャ1を用いて、所定の性状を有する破砕原料に対して目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を設定、調整するための基本的な操作制御方法(基本調整方法)を示す手順フロー図、図7は図4および図5の関係に基づいて目標粒度の粉粒体製品を製造するための運転条件を調整するための方法を示す図である。
ハンマクラッシャ1による図6による操作制御を実行するための事前準備として、性状、例えばハードグローブ粉砕性指数HGIが異なる種類の破砕原料について、個別に供給量W、周速度Vをパラメータとして、破砕室密度mと特定粒度を取得し、図4や図5のような関係についてデータベース(特定データベース)として整理・整備し、制御装置14の記憶部27に記憶しておく。
破砕運転を実行する際は、破砕原料の供給量Wは破砕原料をハンマクラッシャ1(の投入口11)に搬送する搬送装置(例えばベルトコンベア。図示省略)の搬送速度、ロータ8の周速度Vはモータ28の回転数、破砕室間隙gは油圧シリンダ20の移動および位置決めにより、それぞれ制御する。なお、油圧シリンダ20は、上部油圧シリンダ20aおよび下部油圧シリンダ20bを備えているが、説明および理解の容易のため、以下では、両者を総括して油圧シリンダ20として説明する。
ただし、油圧シリンダ20により磨砕板6が位置L1に位置決めされたとき、破砕運転の経過によるハンマ2および磨砕板6の表面の磨耗が発生した後である運転条件の設定・調整の実施・実行時点(以下、「現時点」という。)の破砕室間隙g2と、ハンマ2等に磨耗がないとしたときの破砕室間隙g1との間の乖離(g2>g1)が生じ(図8(b)参照)、この乖離は破砕運転時間の経過に伴い増加するため、油圧シリンダ20を使用して破砕室間隙gの位置決めを実行する場合は、本来、破砕運転時に適宜、そのときの破砕室間隙と油圧シリンダ20に位置決め位置と対応付けする作業(キャリブレーション)が必要となるが、キャリブレーションを行うことは、煩雑であり、非常に労力と時間を要し好ましくない。
そこで、本実施形態における操作制御方法においては、キャリブレーションを実施することなく、予め取得し記憶部27に記憶された特定データベースを使用して、目標粒度の粉粒体製品を製造することとしている。
ハンマクラッシャ1を使用して破砕原料の破砕運転を行うときは、先ず、破砕原料の種類(具体的には、例えばHGI等の性状)を操作・入力装置19により入力する(図6のS1。以下図番号(図6)は省略)。
その後、粉粒体製品の目標粒度として特定粒径d[mm]および特定粒度a[%](S2)、さらに供給量の暫定値W1(S3)、周速度の暫定値V1(S4)を設定し、操作・入力装置19により入力する。なお、これらの量の設定および入力の順番については、この順で行われる必要はなく、任意である。
目標粒度、暫定供給量W1または暫定周速度V1は、破砕原料の種類等に応じたデフォルト値として予め設定され、記憶部27に記憶されたものを使用してもよく、その場合には、破砕原料の種類の入力により、目標粒度、暫定供給量W1または暫定周速度V1が記憶されていたデフォルト値により自動的に設定される。
その後、条件1(周速度V1および供給量W1)における特性線X1において特定粒度aとなる点P1に対応する破砕室密度m1を求め(図7の下グラフ参照)(S5)、さらに、(1)式により、破砕室間隙g1を求める(S6)。
その後、条件1(周速度V1および供給量W1)における特性線Z1において破砕室密度m1となる点Q1に対応する動力原単位E1を求める(図7の上グラフ参照)(S7)。
その後、現時点において、破砕原料の破砕を実施し、動力原単位E2を取得する(S8)。
その後、E2がE1と略一致するか否か比較する(S9)。
工程S9における比較の結果、E2がE1と略一致しているときは、油圧シリンダ20により位置決めされた磨砕板6の現時点における位置(以下「現在位置」という。なお、S9実行時においては、現在位置はL1。)においてハンマ2等の磨耗量が少なく、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度に略一致していると判断して、破砕条件の再設定・調整作業はSEにスキップして調整が終了する。
なお、略一致の判断基準としては、(E2−E1)/E1がE1の例えば±5、±3または±1%以内であることなどと設定すること(粉粒体製品の要求品質により設定し、操作・入力装置19により入力する)ができるが、判定基準を厳しくすると、次の工程S10以降の工程を行う必要があることを考慮して、合理的な判定基準が設定される。なお、以降の工程における判定においても同様である。
工程S9において、E2がE1と略一致していないと判断されたときは、現時点における運転条件では、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度に到達していないと判断し、破砕室間隙g、周速度V、供給量Wを適宜調整して目標粒度を実現できる運転条件を選定することになるところ、そのような組み合わせは理論的には任意であるため、多数の組み合わせ(運転条件)が存在しうる。
ここで、破砕運転が平衡状態にあるとき、粉粒体製品の製造量(単位時間当たりの製造質量)は破砕原料の供給量Wに等しく、破砕運転においては、製造量に基づき供給量Wを設定するため、原則として、予め設定された供給量Wを維持することが好ましい。このため、前記3つの調整すべき量のうち、供給量Wについては、できるだけ予め設定されたものを変更することなく維持して、残りの調整すべき量である破砕室間隙gおよび/または周速度Vを調整することとする。
また、運転条件は、本来、ハンマ2等に磨耗がない状態または所定の磨耗がある状態(所定の破砕室間隙の状態)において適正な周速度、供給量を選定したものであるため、ハンマ2等が磨耗した場合には、運転条件のうち変化したものは基本的に破砕室間隙であることから、前記状態で選定された適正な周速度V、供給量Wを維持しつつ、磨砕板6を移動してハンマ2等が磨耗のない状態または所定の磨耗がある状態(所定の破砕室間隙の状態)における破砕室間隙に戻すことが好ましい。そのため、調整すべき量のうち、破砕室間隙を優先的に調整して粒度調整を行うことが好ましい。
そこで、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度となるように運転条件を選定する際は、破砕室間隙g、周速度V、供給量Wの優先順位で調整するものとしている。
以上を踏まえて、S10以降では、まず、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度となるような破砕室間隙の選定、調整を行う。
そこで、まず、S10において、条件1における特性線Z1において動力原単位E2となる点Q2を求め、さらに点Q2に対応する破砕室密度m2を求める(図7の上グラフ)。
その後、(1)式により、破砕室密度m2から破砕室間隙g2を求める(S11)。
ここで、図8(b)に示されるように、磨砕板6が位置L1に位置決めされたとき、破砕室間隙は、ハンマ2およびライナ21に磨耗がないときのg1がハンマ2等に磨耗が生じるとg2に変化(増大)するため、特性線X1における破砕室間隙g2に対応する破砕室密度m2に対応する点P2の特定粒度は、破砕室間隙g1に対応する破砕室密度m1に対応する点P1の特定粒度より低下している。
そこで、ハンマ2等の磨耗が発生した状態にある磨砕板6を、油圧シリンダ20により破砕室間隙g1に対応した位置(L2)に移動させることにする(図8(c)参照)。磨砕板6を破砕室間隙g1に対応した位置(L2)に移動させて位置決め(停止)することより、図9の下グラフに示すように、粉粒体製品の特定粒度が、点P2から特性線X1上で増大して目標粒度aを達成する点P1到達させることができる。
ここで、磨砕板6の移動距離は、L2−L1=g2−g1であり、符号が正のときは磨砕板6をハンマ2に接近させる方向に移動し、負のときは離反する方向に移動する。
なお、説明と理解の便宜のため、図を含む前記の説明においては、破砕室間隙の方向と磨砕板6の移動方向とを同一としているが、両者の方向が交差している場合には、その交差する角度θにより補正する(L2−L1=(g2−g1)/cosθ)。或いは、上下シリンダの位置から間隙を計算で求めるようにしても良い。
また、前記においては、破砕室間隙と特定粒度等の関係データ(特性線X1等の特性関係データ)をハンマ2等に磨耗がない状態を基準としているが、ハンマ2等に所定の磨耗が存在する状態を基準として特性データを取得した後、ハンマ2および磨砕板6を磨耗のないものに交換すれば、磨砕板6が位置L1に位置決めされたとき、前記とは逆に、交換後の破砕室間隙g2は交換前g1より小さくなる。このため、特性関係データがハンマ2等に所定の磨耗が存在する状態を基準としたものであって、ハンマ2および磨砕板6を磨耗のないものに交換した状態で、運転条件を設定・調整を行う場合は、図7等とは逆に、動力原単位E2、破砕室密度m2は、それぞれE1、m1より大きくなり、また点P2は特性線X1上において点P1より右方の位置になる。特性関係データの基準が異なることによる前記の傾向の相違は以下の説明においても同様であるが、以下では、説明等の便宜のため、ハンマ2等に磨耗がない状態を基準として説明する。
ここで、磨砕板6を位置L1から位置L2に向けて移動しようとする際、近接制限位置Lfおよび離反制限位置Lrが設定されているため、例えば、ハンマ2等の磨耗量が非常に多くなったような場合には、現在位置L1、目標粒度等との関係により、位置L2まで磨砕板6を移動(到達)させることができない場合がある(近接制限位置Lfにより近接が制限される場合について図8(d)参照)。
そこで、S12の後、磨砕板6が位置L2に到達する前に近接制限位置Lfまたは離反制限位置Lrに到達するか否かを検知・判断して(S13)、その結果に応じてその後の対応を実行することとしている。
S13において、磨砕板6の移動中に近接制限位置Lfおよび離反制限位置Lrに到達する前に(すなわち、近接制限位置Lfおよび離反制限位置Lrにより制限を移動の制限を受けることなく)、磨砕板6を位置L2まで移動することができた場合には、油圧シリンダ20により磨砕板6を位置L2に位置決めして停止する(S14)。これにより、図9下グラフに示すように、粉粒体製品の特定粒度が、点P2から特性線X1上で増大して目標粒度aを達成する点P1に到達させることができるため(図7の下グラフ)、調整が終了する(SE)。
一方、S13において、磨砕板6が位置L2まで移動する前に近接制限位置Lfまたは離反制限位置Lrに到達した場合には、近接制限位置Lfまたは離反制限位置Lrにて磨砕板6の移動を停止する(S15)。このときの停止位置(ハンマ2等の磨耗がない状態を基準とした特定関係データを前提とした図7においては近接制限位置Lf)における特性線X1上の点は、点P2と点P1との中間の点P3となる(図7の下グラフ)。ただし、この時点では、点P3については未だ具体的に特定されていない。
そこで、S15の後、現在位置である近接制限位置Lfまたは離反制限位置Lrにおいて、破砕運転を実行してそのときの動力原単位E3を取得する(S16)。
その後、E3がE1と略一致するか否か比較する(S17)。
工程S17における比較の結果、E3がE1と略一致しているときは、磨砕板6の現在位置において、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度に略一致していると判断して、破砕条件の再設定・調整作業はSEにスキップして調整が終了する(図10参照)。
工程S17において、E3がE1と略一致していないと判断されたときは、その後、条件1における特性線Z1において動力原単位がE3となる点Q3を求め、さらに点Q3に対応する破砕室密度m3を求める(図7の上グラフ)(S18)。なお、破砕室密度がm3のときに、式(1)により求まる破砕室間隙をg3とする。このときの破砕室間隙g3が、磨砕板6が近接制限位置Lfまたは離反制限位置Lrにおいて停止したときの破砕室間隙である(図8(d)参照)。
その後、破砕室密度m3により特性線X1上の破砕室密度m3に対応するP3を特定し、さらに破砕室密度がm3のときの特定粒度がaとなる点P4を特定し、点P4とP3の特定粒度の差より点P4を通過する特性線X2の周速度V2を求める(図7の下グラフ)(S19)。すなわち、周速度V2、供給量W1(条件2)のときの特定線X2が点P4を通過する。
その後、条件2において、破砕運転を実行してそのときの動力原単位E4を取得する(S20)。
その後、E4がE1と略一致するか否か比較する(S21)。
工程S21における比較の結果、E4がE1と略一致しているときは、条件2において、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度に略一致していると判断して、破砕条件の再設定・調整作業はSEにスキップして調整が終了する。
工程S21において、E4がE1と略一致していないと判断されたときは、その後、条件2における特性線Z2において破砕室密度がm3となる点Q4を求める(図7の上グラフ)(S22)。
その後、点Q4を通過する特性線U1(条件3(周速度V2、破砕室密度g3)において、供給量Wを変数とする特性線)を求める(図7の上グラフ)(S23)。
その後、特性線U1において、動力原単位E1となる点Q5を求め、点Q5における供給量W2を求める(図7の上グラフ)(S24)。すなわち、特性線U1において、点Q4における供給量がW1、点Q5における供給量がW2である。
条件3(周速度V2、破砕室密度g3)のもと供給量W2となる点Q5において、動力原単位がE1となるため、当該運転条件において、粉粒体製品の特定粒度が目標粒度aとなることから、破砕条件の再設定・調整作業が終了する(SE)。
なお、データベースとのズレが存在する可能性があるときは、調整終了後に再比較を行い、微調整を実施するようにしても良い。
<性状の異なる新たな破砕原料に変更して粉粒体製品の製造を行う場合の運転方法>
性状の異なる新たな破砕原料に変更して破砕を行う場合には、基本的に、前記基本調整方法に基づいて運転条件を設定、調整して(調整運転)、破砕原料を破砕して粉粒体製品を製造する本運転を行う(図11(a)参照)。
<同一の種類の破砕原料について長期間継続して粉粒体製品の製造を行う場合の運転方法>
前記基本的調整方法に基づいて設定、調整する調整運転により設定、調整された運転条件により、破砕原料を破砕して粉粒体製品を製造する本運転を開始し、同一の種類の破砕原料を長期間にわたり継続して破砕を行うと、運転時間の経過に伴い、ハンマ2等が徐々に磨耗して破砕室間隙が増大することにより運転条件が変化し、目標粒度の粉粒体製品の製造ができなくなる可能性がある。
このため、運転時間の経過に伴い、適時、運転条件の変化等を確認し、必要に応じ、目標粒度の粉粒体製品の製造を維持できるように運転条件について再調整を行う必要がある。
そこで、同一の種類の破砕原料について長期間にわたり継続して粉粒体製品の製造を行う場合の運転方法を図11(b)に基づいて説明する。
同一種類の破砕原料について長期間継続して粉粒体製品の製造を行う場合も、最初は、その種類の破砕原料について運転条件を設定するための調整運転1を実施し、設定された運転条件のもとで、粉粒体製品を製造する本運転1を行う。
その後、一定の運転時間の経過後または必要に応じ、破砕室間隙の変化の確認および変化に対応して運転条件の再調整を行う調整運転2を行い、再調整後の運転条件により粉粒体製品を製造する本運転2を行う。
その後、同様に、調整運転3、本運転3が行われる。
なお、図11(b)においては、本運転3で運転は終了しているが、同一種類の破砕原料について以後も継続的に粉粒体の製造が継続される場合には、調整運転および本運転が繰り返される。
ここで、調整運転2以降の調整運転については、図6における工程S1ないしS4は省略される。
なお、同一種類の破砕原料を使用した粉粒体製品の製造が非常に長期間にわたる場合には、途中において、ハンマおよび/または磨砕板が磨耗による寿命限界に到達して交換することになる場合がある。この場合には、交換後のハンマ等について改めて運転条件の再設定を行うために、図11(b)の調整運転1から実行される。
上記の通り、本実施形態による衝撃式破砕機によれば、所望の粒度を有する粉粒体製品を生成するために必要な運転条件を容易に実現し、且つ所望の粒度を継続して生成することができる。
以上の実施形態においては、ハンマクラッシャについて説明したが、本発明に係る衝撃式破砕機は、ハンマクラッシャに限られるものではなく、インペラブレーカその他の衝撃式破砕機であってもよい。
1 ハンマクラッシャ
2 ハンマ(衝撃部材)
3 回転軸
4 取付軸
5 回転板
6 磨砕板
7 ケーシング
8 ロータ
9 破砕室
10 モータ駆動回路
11 投入口
12 排出口
13 油圧ユニット
14 制御装置
15 ハンマヘッド
16 アーム
17 ハンマピン
18 電流計
19 操作・入力装置
20 油圧シリンダ
20a 上部油圧シリンダ
20b 下部油圧シリンダ
21 ライナ
22 ハンマ2の先端部の周回軌跡円弧
23 ハンマピン用軸孔
24 取付軸用軸孔
25 入出力部
26 演算部
27 記憶部
28 モータ
29 ピストンロッド
30 固定部(ストッパ)
31 突起部(ストッパ)
32 油圧配管

Claims (6)

  1. 破砕原料が投入される破砕室を内部に形成したケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に設けられた衝撃部材と、前記衝撃部材を回転駆動するためのモータと、前記衝撃部材の先端に対して半径方向に所定の間隙を有して配置された磨砕板と、前記磨砕板を前記衝撃部材に対して接近離反させるための間隙調整機構と、を備え、
    前記破砕原料の供給量と前記間隙が形成する破砕室によって定義される破砕室密度と、前記破砕原料を粉砕して生成される粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係に基づいて、前記間隙、前記衝撃部材の周速度および前記破砕原料の供給量の少なくとも一つを調整することにより、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合を予め設定された目標割合に調整するように構成されており、
    前記破砕室密度と、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係が、性状の異なる多数の種類の前記破砕原料について予め取得されたものである、衝撃式破砕機。
  2. 前記破砕室密度と、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合および前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との前記関係が、前記衝撃部材および前記磨砕板に磨耗が存在しない状態において取得されたものである、請求項に記載の衝撃式破砕機。
  3. 前記破砕室密度と前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合との関係が、前記周速度および前記供給量をパラメータとしたもの、並びに前記周速度および前記間隙をパラメータとしたものを含む、請求項1または2に記載の衝撃式破砕機。
  4. 前記破砕室密度と、前記破砕原料の破砕時の前記モータの動力原単位との関係が、前記周速度および前記供給量をパラメータとしたもの、並びに前記周速度および前記間隙をパラメータとしたものを含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の衝撃式破砕機。
  5. 前記間隙調整機構は、前記磨砕板が予め設定された近接制限位置を超えて前記衝撃部材に近接しないように構成されている、請求項1ないしのいずれか一項に記載の衝撃式破砕機。
  6. 前記間隙、前記周速度、前記供給量の順序で調整することにより、前記粉粒体製品における特定粒径以下の粉粒体の割合を前記目標割合に調整するように構成されている、請求項1ないしのいずれか一項に記載の衝撃式破砕機。
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