JP6867183B2 - カーテンの透視性評価方法及びカーテンの透視性を表示する図 - Google Patents

カーテンの透視性評価方法及びカーテンの透視性を表示する図 Download PDF

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Description

本発明は、カーテンの透け具合(透視性)を評価するための方法、及び、カーテンの透視性を表示する図に関する。
レースカーテンやボイルカーテンと称される薄地のカーテンには、室外の光を室内に取り込むとともに、室外からの視線を遮る役割がある。またカーテンを通して、室内から室外の景色をある程度見通せることによって、室内の閉塞感を軽減することができる。従来、さまざまな透け具合を有するカーテンが提案されており、また、カーテンの透け具合を評価するための方法が公知である。
例えば特許文献1には、特定のポリエステル繊維を含み、特定の反射率を有する織物を、採光性及び防視認性に優れたカーテンとして用いることが開示されている。特許文献1における防視認性とは、室外から室内の見とおし難さの程度を表しており、その評価は次の方法による。すなわち、室内の照度を500〜600lxの状態にし、評価者から100cm離れた位置にカーテンを設置する。その後方70cmの位置にJIS−L−0804の変退色用グレースケールを設置し、その前方の空間70cm四方をシルクスクリーンの布で囲い、その布越しに蛍光灯を設置し、さらに、その外部を暗幕で覆う。その際に変退色用のグレースケール前方の70cm四方の照度は1300lxに調整したのち、目視判定を行う。判定基準は変退色用グレースケールが視認できたところの階級を判定結果とする。変退色用グレースケールは1〜5級を0.5級区切りで表示されており、測定は0.5級区切りで行う。結果の算出は5個の測定結果から最大・最小の各1個の測定結果を除き、残り3個の測定結果の平均した値を最終の測定結果とする。
また特許文献2は、布帛の透け難さの評価方法を開示している。特許文献2の方法は、一般的に理解しやすい指標で、かつ客観的に再現性があり実際のカーテンなどの布帛の使用環境に即した透け難さの測定方法を提供することを課題としており、その方法は、ランドルト環(視力測定用のC字環)またはそれに相当する間隔を持つ図形を並べた図を、離れて配置した布帛を通して観測し、判別不可能なランドルト環またはそれに相当する図形に対応する視力値の最小値を、透け難さの指数(遮像指数)として評価するものである。
特許文献3は、布帛の一方の側から他方の側を見とおし易く、他方の側から一方の側を見とおし難い、防視認性に方向性のあるカーテンを開示している。特許文献3は、有機繊維を含む布帛において、布帛の一方表面(A面)を、光沢を有する表面とし、かつA面とは反対側の表面(B面)のL値をA面のL値よりも小さくした布帛(カーテン)を開示している。カーテンを通した見え方の評価は、一定サイズの前面が開放された箱を用い、開放面にサンプルを設置して、開放面と対する面にランドルト環を模した図形を記載し、その図形の隙間の向きを遠距離視力、近距離視力ともに1.5の評価者をサンプルから50cm離れた位置にくるようにして確認する方法によっている。室内から室外の見え易さの評価としては、箱内部の底面の照度6000lx、評価者の目の位置で照度500lxに設定して、光沢の低いB面が評価者側にくるようにサンプルを装着して確認している。また、室外から室内の見え難さの評価は、箱内部の底面の照度60lx、評価者の目の位置で照度500lxに設定して、光沢を有するA面が評価者側にくるようにサンプルを装着して確認する。
また特許文献4は、防透け性に優れた白〜オフホワイト色の織編物を開示している。特許文献4の織編物は主に衣料用途が想定されており、防透け性は、試料(白色布帛)の裏側に黒タフタを重ね合わせた状態で試料のL*値を測定し、白色布帛と白タフタとを重ね合わせて測定した場合のL*値との差分を元に、防透け性を算出している。
特開2009−155736号公報 特開2009−263830号公報 特開2013−227697号公報 特開2016−186137号公報
上記のとおり、布帛の透け具合を評価する方法として、多くの方法が公知である。しかしながら、官能評価を行う場合には、評価者による感覚の違いがあり、また同じ評価者であっても感覚の慣れや変動等の影響が避けられず、多種類のカーテンを常に一定の評価基準で評価することは困難であった。一方で、機器評価による場合、衣料用白地布帛の防透け性試験をカーテンの透視性試験にそのまま転用することは、カーテンの使用環境を反映できるものではないため、適切でないと考えられた。さらに、カーテンを通した室外から室内の見えやすさ(以後、室内透視性と書くことがある。)は、光の透過率で評価されることもあるが、室内から室外を見る場合の見えやすさ(以後、室外透視性と書くことがある。)も同じ評価方法で評価することができるかどうかについて、確実な知見はなかった。
この状況に鑑み、本発明は、官能評価によることなくカーテンの透視性を評価する方法であって、多数のカーテンを一定条件かつ一定基準で評価できる方法を提供することを目的とする。また本発明は、消費者がカーテンを選ぶ場面などにおいて、1種類のカーテン、あるいは、多数のカーテンの透視性を分かりやすく示し、カーテンの特性を理解することができる図を提供することを目的とする。
発明者は前記課題を解決するために、まず、基礎となる評価として、複数のカーテンについて複数の方法で官能評価を行い、官能評価の中でもどのような方法が適切であるかを検討した。次に、最適と考えられた官能評価の結果と相関する結果を得ることができる機器評価の方法について、検討を行った。その結果、室内透視性については透過率の評価が適切であるが、室外透視性の評価については透過率の評価は必ずしも適切ではなく、室内透視性と室外透視性とは、互いに異なる評価方法を用いることが好ましいことを見出した。そして、さらなる検討の結果、室外透視性の評価は、カーテンの後方に設置した、特定範囲の明度(明度差)を有する少なくとも2点の視対象の輝度を測定し、2点の輝度比又は輝度比の常用対数を算出する方法によれば、官能評価結果と高い相関のある評価結果が得られることを見出し、本発明に到達した。また、多数のカーテンの室外透視性と室内透視性とを測定し、室外透視性と室内透視性とを縦軸及び横軸とする散布図中に各カーテンの評価値を示すことによって、多数のカーテンの特性を一覧提示でき、カーテンの特性を比較することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は次の構成を有する。
[1](1)カーテンの後方に配置された、L値の差が15以上である2点の視対象の輝度を、輝度計を用いてカーテンの前方から測定し、
(2)当該2点の輝度を比較した値をカーテンの透視性の指標として評価する、
カーテンの透視性の評価方法。
[2]前記2点の視対象が、
0≦L値<70である第一の視対象、及び、70≦L値≦100である第二の視対象、の2点である、[1]に記載の方法。
[3]前記(2)において、2点の輝度の比較が、当該2点の輝度の比をとること、又は、当該2点の輝度の比の常用対数をとることである、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]カーテンの室外透視性の評価方法である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]1又は複数のカーテンの透視性を、室内透視性及び室外透視性の2軸で規定される平面上に表す図。
[6]前記図が散布図であり、複数のカーテンの透視性が、室内透視性及び室外透視性の2軸で規定される平面上にプロットされている、[5]に記載の図。
[7]前記図が四象限マトリクスであり、1又は複数のカーテンの透視性が、室内透視性及び室外透視性の2軸で規定される平面上にプロットされている、[5]に記載の図。
[8]前記室外透視性の評価方法が、[1]〜[4]のいずれかの1項に記載の方法である、[5]〜[7]のいずれか1項に記載の図。
本発明の評価方法に用いる室外透視性評価装置を側面から見た概略図である。 本発明の評価方法に用いる室内透視性評価装置を側面から見た概略図である。 本発明の実施例である、複数のカーテンの透視性を一覧提示する図である。 本発明の実施例である、カーテンの透視性を四象限マトリクス上に表す図である。
(カーテンの透視性)
本発明において室外透視性とは、上述のとおり、カーテンを通して室内から室外を見る際に、室外の景色を見通せる度合いを意味する。また、室内透視性とは、カーテンを通して室外から室内を見通せる度合いを意味する。本発明の評価方法は、カーテンの室外透視性及び室内透視性を評価するのに好適である。特に、本発明の評価方法は、カーテンの室外透視性の機器評価方法として特に適切である。
本発明の評価方法は、(1)カーテンの後方に配置された、L値の差異が15以上である2点の視対象の輝度を、輝度計を用いて、カーテンの前方から測定し、
(2)当該2点の輝度を比較した値をカーテンの透視性の指標として評価することを特徴とする。図1に、本発明の評価方法を実施するために適切な装置を示す。
図1(A)は透視性評価装置を側面から見た概略図である。透視性評価装置は、奥行き方向(図の左右方向)に細長い空間1で画成されており、空間1は、評価対象であるカーテン2によって、室内想定空間S1と室外想定空間S2とに区切られている。カーテン2の手前側(図の右側)、視点想定位置に輝度計4が備えられている。輝度計4は、空間1を画成する壁面からすぐの位置に備えられる。また、カーテン2の後方(図の左側)に視対象3が備えられている。視対象3は、室外想定空間S2の後壁に取り付けられることができる。輝度計4からカーテン2までの距離(すなわち室内想定空間S1の奥行き)をd1、カーテン2から視対象3までの距離(すなわち室外想定空間S2の奥行き)をd2とする。
室内想定空間S1には、奥行きd1のほぼ中央に照明5が備えられる。照明5は天井設置の室内照明を想定したものであり、真下に向けられている。すなわち、天井と照明5の照射対象とのなす角度は90°である。また、室外想定空間S2には、カーテン2に向けられた照明6及び視対象に向けられた照明7が備えられる。照明6は、カーテン2の表面が最も明るくなるように、天井と45°の角度でカーテン2を照射している。照明7は、視対象3の表面が最も明るくなるように、天井と45°の角度で視対象3を照射している。
輝度計4からカーテン2までの距離d1は、カーテン2から視対象3までの距離d2よりも短いことが好ましい。実施態様においては、d1を1m、d2を2mとするが、発明の効果を得られる限り適宜変更してもよい。評価装置内の照度は、室内想定空間S1よりも、室外想定空間S2が高照度となるように設定する。実施態様においては、輝度計4位置の照度が419lx、カーテン2の室外側照度が1070lx、視対象3位置での照度が4320lxとすることができる。視対象3の位置が最も明るく、室内側は相対的に照度が低く、カーテン付近がその中間程度の照度になることが好ましい。なお、JIS Z9110−1979「照度基準」によれば、居間での団欒・娯楽に望ましい照度は150〜300lxとされており、室内想定空間S1の照度はそれに準じることも好ましい。
視対象3は、実施態様においては、図1(B)に示される、白から黒まで5階調のグレースケールである。しかしながらグレースケールの階調の数は特に制限されず、少なくともL値の差が15以上である2点の視対象を含んでいればよい。より好ましくは、視対象3は少なくとも、0≦L値<70である第一の視対象、及び、70≦L値≦100である第二の視対象を含んでいればよい。なお、周知のとおりL値は明度の尺度であり、0〜100の数値で表され、0が黒、100が白であり、数字が大きいほど明るい色を表す。L値の測定は公知の機器を用いた方法及び条件によって行うことができ、測定機器としては例えば、GretagMacbeth社製 Spectrolinoを用いて、観測光源としてD65、観測視野を2°として測定することができる。
0≦L値<70である第一の視対象は暗色(黒〜灰色)の視対象であり、好ましくは10≦L値≦67であり、より好ましくは16≦L値≦61であり、さらに好ましくは22≦L値≦55である。また、70≦L値≦100である第二の視対象は明色(白〜灰色)の視対象であり、90≦L値≦100であればより好ましい。具体的な実施態様では、白色の視対象と灰色の視対象とを設置し、評価することが好ましい。
視対象3の具体的な形態は、輝度計4で輝度測定が可能であれば特に制限されないが、例えば縦30cm×横70cmのプレートが縦縞状に5分割された、5階調のグレースケールが示されているものを用いることができる。また、グレースケール以外にも、前記のL値の条件を満たす模様(記号、文字等)を表示する図面やディスプレイ等を用いることができる。
図1の評価装置を用いてカーテンの室外透視性を評価する際には、評価対象であるカーテン2をセットし、カーテン2の正面から視対象3に輝度計4のピントを合わせて、視対象3の輝度を測定する。視対象3は前述のとおり2点以上の視対象を含むものであり、当該2点以上の輝度を測定し、各点の輝度値を得る。輝度値の測定は1回でもよいし、測定値のばらつきその他の理由や条件に応じて複数回測定し、測定値の平均値を輝度値として用いてもよい。続いて、得られた2点以上の輝度値を比較する。比較としては、2点の輝度の比を取ることが好ましく、2点の輝度の比の常用対数をとると、官能試験とより相関の高い結果が得られるためより好ましい。視対象が3点以上あり3点以上の輝度値が得られる場合、それらの3点の輝度の近似曲線の傾きないし微分値をとることも好ましい。また輝度値について、測定日や測定場所の違い等によるデータのずれを解消し、精度を向上させるために、コントロールとなるデータ(例えば、カーテン無しでの測定値)をとり、各カーテンについて得られる輝度値をコントロールデータで除した値を、輝度値を示す値として用いることもできる。このようにして得た比較値(輝度比、輝度比の常用対数、近似曲線の傾き又は微分値)を、測定対象のカーテンの室外透視性の指標とする。
上記はカーテンの室外透視性を評価するための指標として特に有用であるが、同様の装置を用いて、カーテンの室内透視性を評価することもできる。室内透視性を評価する場合には、図1における視対象3と輝度計4の配置を互いに入れ替えることによって測定することができる。室内透視性を評価する時の装置設定を図2に示す。視対象3は、室外透視性を評価する場合と同様のものを用いることができる。照明5,6,7も室外透視性を評価する場合と同様のものを用いることができる。但し、照度の設定は適宜変更することも好ましく、図2の実施態様においては、輝度計4の位置が最も照度が高く4030lx、視対象3の位置の照度を814lx、カーテン2(室外側)の照度を392lxとしている。
図2の評価装置を用いてカーテンの室内透視性を評価する際には、室外透視性を評価する際と同様に、評価対象であるカーテン2をセットし、カーテン2の正面から視対象3に輝度計4のピントを合わせて、2点以上の視対象3の輝度を測定し、各点の輝度値を比較する。輝度値の比較は、具体的には2点の輝度の比を取ることでもよく、2点の輝度の比の常用対数を取ることでもよい。得られた比較値を室内透視性の指標とすることができる。
また、カーテンの室内透視性の評価には、カーテンの透過率を用いることも好ましい。カーテンの透過率の測定は公知の方法であり、例えば、「カーテンの遮光性試験方法 JIS L 1055A法1万ルクス」に準じて試験を行い、透過照度から算出される透過率を採用することができる。透過率(%)は次式より算出される。
透過率(%)=[透過照度(ルクス)/10,000(ルクス)]×100
(カーテンの透視性を表す図)
本発明はまた、1又は複数のカーテンの透視性を、室内透視性及び室外透視性の2軸で規定される平面上に表す図に関する。前記図においては、室外透視性と室内透視性とが同じ方法で測定されたものであっても、互いに異なる方法で測定されたものであってもよいが、互いに異なる方法で測定されたものであることが好ましい。このような図としては、例えば、様々なカーテンの透視性能を一覧提示する、散布図がある。散布図の具体的な態様としては、例えば、散布図の縦軸及び横軸の一方をカーテンの室外透視性を示す軸、他方をカーテンの室内透視性を示す軸とし、複数のカーテンについて、上述の評価方法を用いて算出した室外透視性及び室内透視性を示す点をプロットして示すものが挙げられる。散布図の1例を図3に示す。図3の散布図において、横軸は室内透視性を透過率(%)で表す軸である。透過率が高いほど外から見えやすいということを意味する。同じく縦軸は、室外透視性を示す軸であり、数値が大きいほど室内から室外が見えやすいことを意味する。
図3に示されるとおり、室内透視性(透過率)がほぼ同じものの中でも、室外透視性が大きく異なるカーテンがあることがわかる。本発明の散布図は、例えば、ショールームにおいて、あるいは、カタログを見て、消費者がカーテンを選ぼうとする際に、どのカーテンがどれくらいの透け具合であるのか多数のカーテンについて比較検討することが可能である。また、上述の機器評価方法を用いれば、常に一定基準かつ一定条件でカーテンを評価することができるため、新製品をラインナップに加える場合などに、既存のカーテンについてのデータを採りなおして相対評価を行う必要がない。
図3の実施態様における横軸は透過率であるが、横軸を、本発明の評価方法に基づいた室内透視性の評価値を示す軸としてもよい。また、図3に示すように、無地調のカーテンと柄生地のカーテンとについて、それぞれ別種のマーカーを使用して、消費者にさらなる情報を提示することもできる。また例えば、ディスプレイ上に散布図を表示する場合には、散布図上の任意のプロットをクリックすると、そのプロットに該当するカーテンの詳しい情報がポップアップ表示されるようにすること等も好ましい。また、各プロットをそれぞれ対応するカーテンの写真で表すこと、各プロットをそれぞれ対応するカーテンの商品名で表すこと等によって、より分かりやすくカーテンの特性を示すことができる。
また、カーテンの透視性を表す図として、図4に示される、室内透視性及び室外透視性の直交する2軸で表される四象限マトリクスが挙げられる。図4(A)は1種類のカーテンの透視性を表す図である。例えば、カタログの個々の商品の説明ページに、それぞれ図4(A)を示すことによって、個々のカーテンがどのような透視性を有するものか一見して理解しやすくなる。図4(B)は、標準となるカーテン(中央の白丸)を設定し、標準となるカーテンに対して、あるカーテンがどのような透視性を有するかを示す図である。例えば、図4(B)に示されたカーテンは、標準的なカーテンよりも室内透視性がかなり低いが、室外透視性には大きな差がない。すなわち、室外からは室内が見えにくく、室内から室外の景色の見え方は標準的なものに近いということが一見して理解できる。
<カーテンの室外透視性>
[参考例1]
まず、カーテンの室外透視性を官能評価するための方法の検討として、4人の評価者が26種類のカーテンについて、次の3通りの方法で官能評価を行った。
(1)カーテン越しにランドルト環を評価する方法
(i)生地を挟んで、室外側2mにランドルト環を設置し、室内側1.5mに評価者が立つ。
(ii)視力検査の要領で、ランドルト環の隙間の向きが視認できる最小サイズの番号を結果とする。
(2)室内からカーテン越しに室外の景色を評価する方法
(i)生地を挟んで、室内側1.5mに評価者が立つ。
(ii)約110m離れた室外の建築物の窓枠について、1:全くわからない〜5:わかりやすいまでの5段階で評価する。
(3)「カーテン越しに室外の景色を撮影した写真」を評価する方法
(i)生地を挟んで、室内側1mの位置から、室外の景色をカメラ撮影する。
(ii)撮影画像を印刷したものを、評価者が、景色が良く見える順に並べ替えて点数を付ける。
(1)〜(3)の官能評価の結果、(1)及び(2)の方法では、評価者間での評価結果のバラツキが大きく、(3)の方法がもっとも評価者間での評価結果のバラツキが少ないことが判明した。このため、基礎となる官能評価結果として、(3)の結果を採用し、(3)と相関性の高い結果が得られる機器評価方法を検討した。
[比較例1]
参考例1と同じ26種類のカーテンについて、JIS L 1055A法(カーテンの遮光性試験方法)1万ルクスに準じて、透過率(%)を測定した。
[実施例1]
参考例1と同じ26種類のカーテンについて、図1に示す評価装置を用いて、輝度を測定した。測定条件は次のとおりとした。
・輝度計 トプコン社製 分光放射計SR−3
・輝度測定角 2°
・輝度計からカーテンまでの距離 1.0m
・カーテンから視対象までの距離 2.0m
・視対象位置照度 4320lx
・カーテン位置(室外側)照度 1070lx
・輝度計位置照度 419lx
・視対象のL値 明色:91.22、暗色:53.67
・L値の差 37.55
カーテン2をセットし、カーテン2の正面から視対象3に輝度計4のピントを合わせて、2点の視対象について輝度を測定した。輝度値の比(明色の輝度値/暗色の輝度値)を算出し、透視性の評価値とした。
[実施例2]
実施例1で測定した輝度値について、輝度比の常用対数(Log10(明色の輝度値/暗色の輝度値))を算出し、透視性の評価値とした。
比較例1、実施例1〜2の結果を表1に示す。比較例1は、官能評価結果との相関係数が0.53であり官能評価結果との相関が低いと考えられた。実施例1,2は官能評価結果との相関係数が0.88、0.89であり、官能評価結果との相関が高いと考えられた。なお、官能評価結果は、[参考例1](3)の方法での、各試料に対する4人の評価者の点数の平均である。
Figure 0006867183
[実施例3]
視対象のL値を次のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして輝度値の比を算出し、透視性の評価値とした。
・視対象のL値 明色:91.22、暗色:33.53
・L値の差 57.69
官能評価結果との相関係数は0.85であり良好と判断された。
また、実施例2と同様にして輝度値の比の常用対数を算出したところ、官能評価結果との相関係数は0.89であり、良好と判断された。
[実施例4]
視対象のL値を次のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして輝度値の比を算出し、透視性の評価値とした。
・視対象のL値 明色:91.22、暗色:21.59
・L値の差 69.63
官能評価結果との相関係数は0.82であり良好と判断された。
また、実施例2と同様にして輝度値の比の常用対数を算出したところ、官能評価結果との相関係数は0.87であり、良好と判断された。
[実施例5]
視対象のL値を次のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして輝度値の比を算出し、透視性の評価値とした。
・視対象のL値 明色:70.27、暗色:53.67
・L値の差 16.60
官能評価結果との相関係数は0.79であり良好と判断された。
また、実施例2と同様にして輝度値の比の常用対数を算出したところ、官能評価結果との相関係数は0.79であり、良好と判断された。
[実施例6]
視対象のL値を次のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして輝度値の比を算出し、透視性の評価値とした。
・視対象のL値 明色:70.27、暗色:33.53
・L値の差 36.74
官能評価結果との相関係数は0.78であり良好と判断された。
また、実施例2と同様にして輝度値の比の常用対数を算出したところ、官能評価結果との相関係数は0.80であり、良好と判断された。
[実施例7]
視対象のL値を次のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして輝度値の比を算出し、透視性の評価値とした。
・視対象のL値 明色:70.27、暗色:21.59
・L値の差 48.68
官能評価結果との相関係数は0.75であり良好と判断された。
また、実施例2と同様にして輝度値の比の常用対数を算出したところ、官能評価結果との相関係数は0.80であり、良好と判断された。
実施例3〜7について表2にまとめる。
Figure 0006867183
<カーテンの室内透視性>
[参考例2]
まず、カーテンの室内透視性を官能評価するための方法の検討として、4人の評価者が26種類のカーテンについて、次の方法で官能評価を行った。
(1)室外から室内の人物を撮影した写真を評価
(i)生地を挟んで、室外側1mの位置から室内の人物をカメラ撮影した。
(ii)撮影画像を印刷したものを、評価者が、人物が良く見える順に並べ替えて点数を付ける。
(1)の官能評価の結果、評価者間での評価結果のバラツキが極めて少ないことが判明した。このため、基礎となる官能評価結果として、(1)の結果を採用し、(1)と相関性が高い結果が得られる機器評価方法を検討することにした。
[比較例2]
参考例2と同じ26種類のカーテンについて、JIS L 1055A法(カーテンの遮光性試験方法)1万ルクスに準じて、透過率(%)を測定した。
[実施例8]
参考例1と同じ26種類のカーテンについて、図2に示す評価装置を用いて、輝度を測定した。測定条件は次のとおりとした。
・輝度計 トプコン社製 分光放射計SR−3
・輝度測定角 2°
・輝度計からカーテンまでの距離 2.0m
・カーテンから視対象までの距離 0.85m
・視対象位置照度 814lx
・カーテン位置(室外側)照度 392lx
・輝度計位置照度 4030lx
・視対象のL値 明色:91.22、暗色:33.53
・L値の差 57.69
カーテン2をセットし、カーテン2の正面から視対象3に輝度計4のピントを合わせて、2点の視対象について輝度を測定した。輝度値の比(明色の輝度値/暗色の輝度値)を算出し、透視性の評価値とした。
[実施例9]
実施例1で測定した輝度値について、輝度比の常用対数(Log10(明色の輝度値/暗色の輝度値)を算出し、透視性の評価値とした。
比較例2、実施例8、9の結果を表3に示す。比較例2は、官能評価結果との相関係数が−0.91であり官能評価結果との相関が高いと考えられた。すなわち透過率の測定はカーテンの室内透視性の評価として有用であることが確認された。また、実施例8,9は官能評価結果との相関係数がそれぞれ−0.86、−0.89であり、官能評価結果との相関が高かった。なお、官能評価結果は、[参考例2](1)の方法での、各試料に対する4人の評価者の点数の平均である。これらの結果より、カーテンの室内透視性としては、透過率(%)を指標としてもよく、本発明の評価方法を指標としてもよいことが確認された。
Figure 0006867183
[実施例10]
比較例2で得た室内透視性の評価値(透過率(%))を横軸に、実施例2で得た室外透視性の評価値を縦軸として、多種類のカーテンの透視性を一覧表示する散布図を作成した。作成した散布図を図3に示す。

Claims (4)

  1. (1)カーテンの後方に配置された、L値の差が15以上である2点の視対象の輝度を、輝度計を用いてカーテンの前方から測定し、
    (2)当該2点の輝度の比、又は、当該2点の輝度の比の常用対数をカーテンの透視性の指標として評価する、
    カーテンの透視性の評価方法。
  2. (1)カーテンの後方に配置された、L値の差が15以上である2点の視対象を含む3点以上の視対象の輝度を、輝度計を用いてカーテンの前方から測定し、
    (2)当該3点以上の輝度の近似曲線の傾きないし微分値をカーテンの透視性の指標として評価する、
    カーテンの透視性の評価方法。
  3. 前記L値の差が15以上である2点の視対象が、
    0≦L値<70である第一の視対象、及び、70≦L値≦100である第二の視対象、の2点である、請求項1または2に記載の方法。
  4. カーテンの室外透視性の評価方法である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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