JP6866300B2 - タンパク質精製の方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質精製の分野、より具体的には抗体精製の分野におけるものである。
治療法の分野において、タンパク質並びに抗体及び抗体由来分子の使用は、特に存在感及び重要性が益々増加してきており、結果として、それと同時に管理された製造プロセスの必要性が生じてきた。治療用タンパク質の商業化には、その大量生産が必要とされる。この目的のためには、タンパク質を宿主細胞において頻繁に発現させ、その後、投与可能な形態に調製する前に回収し、精製しなければならない。
抗体分子の最も一般的なクラスは、免疫グロブリンG(IgG)であり、2本の重鎖及び2本の軽鎖で構成されるヘテロ四量体である。IgG分子は、2つの機能的サブユニット:(1)抗体の尾部を構成し、細胞表面受容体と相互作用して免疫応答を活性化する結晶化可能な断片(Fc)、及び(2)抗原認識を媒介する抗原結合断片(Fab)に細分することができる。Fc領域は、2つの対合している重鎖由来の定常ドメイン(CH2及びCH3)を2対含むが、Fab領域は、可変ドメインとそれに続く重鎖由来の定常ドメイン(それぞれVH及びCH1)からなり、それらは、軽鎖由来の可変及び定常ドメイン(それぞれVL及びCL)と対合する。Fc及びFab領域は、ヒンジ領域により線引きされ、その領域は、2本の鎖を結びつけるジスルフィド結合を含有する。IgGクラスの全長抗体は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)から得られるプロテインAを使用する親和性クロマトグラフィーの捕捉工程を含む方法を使用して伝統的に精製されてきた。プロテインAと抗体のFc領域との結合の特異性が高いため、クロマトグラフィーのこのモードは、細胞培養採集培地などの複合溶液から直接開始する単一の工程で98%より多くの不純物を除去することができる。このプロセス工程から得られる大きな精製率は、下流の精製プロセス全ての簡素化に役立つ。一般に、この精製工程後にはごく微量の夾雑物(高分子量集塊、残留宿主細胞タンパク質、浸出したプロテインA)のみが除去されずに残り、精製は、その後1〜2回のクロマトグラフィー工程で通常実現し得る。
更に、プロテインAを結合する「代替の結合」部位が、ヒト重鎖可変領域の特異的フレームワークサブグループ3を含有する抗体において記述されておりSassoらJ.Immunol 1991年、147:1877〜1883頁、「ブドウ球菌プロテインAに結合するヒトIgA及びIgG F(ab’)2は、VHIIIサブグループに属する(Human IgA and IgG F(ab’)2 that、bind to staphylococcal protein A belong to the VHIII subgroup)」、可変重鎖ドメインVH3とも呼ばれ、しばしば二次相互作用として分類されてきた。プロテインAの5つ全てのドメイン(A、B、C、D、E)がIgGに、そのFc領域を介して結合するが、ドメインD及びEだけが有意なVH3結合を呈する。プロテインA親和性クロマトグラフィーを使用する、即ちIgGのFcドメインとプロテインAとの相互作用に基づくIgG精製の文脈において、これらVH3ドメインとプロテインAとの相互作用は、精製しようとする抗体の溶出プロファイルに影響を及ぼすならば、好ましくないと考えられており、GE Healthcare製SuRe(登録商標)などプロテインAのドメインBだけを含有する別の樹脂が開発され、市販されている。
しかしながら、現在利用可能な並びに/又は開発中の抗体及び抗体由来分子の多くはFc領域を含有しておらず、その精製方法を更に修正する必要がある。VH3領域によるプロテインAの上記結合のため、そのような抗体の製造にプロテインAを使用できる可能性がある。
抗体精製の特別な要件は、単量体形態である所望の抗体若しくは抗体由来分子を回収すること、又は二量体及び三量体などより高分子量の種が本質的に存在しないことである。
特定の抗体分子は、可変ドメインと隣接する分子内の可変ドメインとの無差別対合の結果得られる多量体を形成する傾向がより高い。特にこれは、対象とする異なるドメイン間にリンカー領域を使用するより複雑な抗体由来分子に当てはまる。
従って、特に分子がFc領域を含有しない単量体形態の抗体及び抗体由来分子を製造し、精製する更なる方法の必要性が当業者に残されている。
pH勾配溶出によるプロテインA樹脂からのA26Fab−645dsFvの溶出プロファイルを示しているクロマトグラムである。 SEC−HPLCにより分析した、図1に表されるクロマトグラフィーの結果得られる画分のそれぞれに存在する合計タンパク質、単量体及び多量体A26Fab−645dsFvの量を示す図である。 pH勾配溶出によるプロテインA樹脂からのFc構築物の溶出プロファイルを示しているクロマトグラムである。 SEC−HPLCにより分析した、図3に表されるクロマトグラフィーの結果得られる画分のそれぞれに存在する合計タンパク質、単量体及び多量体形態の量を示す図である。 pH段階溶出によるプロテインA樹脂からのA26Fab−645dsFvの溶出プロファイルを示しているクロマトグラムである。 図5に表されるプロテインAクロマトグラフィーの結果得られる画分のSEC−HPLC分析を示す図である。点線は、pH3.8で溶出された画分の分析を表し、実線は、pH3.0で溶出された画分の分析を表す。 図5に表されるpH段階溶出によりA26Fab−645dsFvのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の非還元SDS−PAGE分析を示す図である。レーン1は、分子量マーカーを示し、レーン2は、プロテインAクロマトグラフィーにロードした、清澄な細胞培養上清のサンプルを示し、レーン3は、プロテインAクロマトグラフィーから回収したフロースルー画分を示し、レーン4は、pH3.8での溶出後に回収した画分、及びレーン5は、pH3.0での溶出後に回収した画分である。 図5に表されるpH段階溶出によりA26Fab−645dsFvのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の還元SDS−PAGE分析を示す図である。レーン1は、分子量マーカーを示し、レーン2は、プロテインAクロマトグラフィーにロードした、清澄な細胞培養上清のサンプルを示し、レーン3は、プロテインAクロマトグラフィーから回収したフロースルー画分を示し、レーン4は、pH3.8での溶出後に回収した画分、及びレーン5は、pH3.0での溶出後に回収した画分である。 例4に記載の勾配溶出によりA26Fab−645dsFvのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分のSEC−UPLC分析を示す図であり、合計タンパク質、単量体及び多量体A26Fab−645dsFvの量を示す図である。 例5に記載の勾配溶出によりA26Fab−645dsFvのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分のSEC−UPLC分析を示す図であり、合計タンパク質、単量体及び多量体A26Fab−645dsFvの量を示す図である。 例6に記載の勾配溶出によりA26Fab−645dsFvのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分のSEC−UPLC分析を示す図であり、合計タンパク質、単量体及び多量体A26Fab−645dsFvの量を示す図である。 単量体Fab−dsFv及びFab−dsFvの多量体バージョン、並びにその基本的な構成要素であるFab及びdsFvの概略図である。この図解は、考え得る単量体、二量体及び三量体を例示している。しかしながら、二量体及び三量体が環状構造を形成する場合、全てのリンカーは、実際には同じ長さになる。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 様々な抗体分子配列及びその構成要素を示す図である。 pH勾配溶出によるプロテインA樹脂からのTrYbeの溶出プロファイルを示しているクロマトグラムを示す図である。 図21に表されるプロテインAクロマトグラフィーの結果得られる画分のSEC−HPLC分析を示す図である。 図23Aは、図21に表されるpH勾配溶出によりTrYbeのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の非還元SDS−PAGE分析を示す図である。 図23Bは、図21に表されるpH勾配溶出によりTrYbeのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の還元SDS−PAGE分析を示す図である。 SEC−HPLCにより分析した、図21に表されるクロマトグラフィーの結果得られる画分のそれぞれに存在する合計タンパク質、単量体及び多量体TrYbeの量を示す図である。 pH勾配溶出によるプロテインA樹脂からのBYbeの溶出プロファイルを示しているクロマトグラムを示す図である。 図25に表されるプロテインAクロマトグラフィーの結果得られる画分のSEC−HPLC分析を示す図である。 図27Aは、図25に表されるpH勾配溶出によりBYbeのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の非還元SDS−PAGE分析を示す図である。 図27Bは、図25に表されるpH勾配溶出によりBYbeのプロテインAクロマトグラフィーから回収した画分の還元SDS−PAGE分析を示す図である。 SEC−HPLCにより分析した、図25に表されるクロマトグラフィーの結果得られる画分のそれぞれに存在する合計タンパク質、単量体及び多量体BYbeの量を示す図である。 本発明の方法による精製の影響を受けやすい別の単量体Fab−scFv形式の概略図である。 本発明の方法による精製の影響を受けやすい別の単量体Fab−2x dsscFv(TrYbe[登録商標])及びFab−dsscFv−dsFv形式の概略図である。
本発明は、単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を回収するための新たな方法を提供することにより上で判明した必要性を解決する。ヒトVH3ドメインとプロテインAの結合の間で結合活性効果が今や観察された。この効果は、Fc領域とプロテインAとの相互作用について記述されておらず、この効果により、抗体の単量体及び多量体形態を含有する混合物からの単量体ヒトVH3ドメイン含有抗体の回収を可能にする新たな方法の開発に至ったことを思えば、この発見は驚くべきものである。
第1の実施形態において、本発明は、単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を得るための方法であって、方法が、
a)抗体がプロテインAに結合できる条件下で、プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
b)単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を回収する工程と
を含み、ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法に関する。
第2の別の実施形態において、本発明は、ヒトVH3ドメイン含有抗体を製造するための方法あって、方法が、
a)宿主細胞において抗体を発現させる工程と、
b)抗体、宿主細胞及び他の夾雑物を含有する混合物を回収する工程と、
c)プロテインAがドメインD及び/又はEを含む少なくとも1つのプロテインAクロマトグラフィー工程を使用して抗体を精製する工程と、
d)ヒトVH3ドメイン含有抗体を回収する工程と
を含み、ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法に関する。
第3の別の実施形態において、本発明は、多量体形態の抗体から単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を分離する方法であって、方法が、
a)プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
b)前記抗体をプロテインAに結合させる工程と、
c)単量体形態の抗体の結合を選択的に破壊する溶出緩衝液を適用する工程と、
d)得られた溶出液を回収する工程と、任意選択で、
e)多量体形態の抗体の結合を破壊する第2の溶出緩衝液を適用し、この第2の溶出液を回収する工程と
を含み、ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法に関する。
第4の別の実施形態において、本発明は、多量体形態の抗体から単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を分離する方法であって、方法が、
a)プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
b)多量体形態の抗体を結合させる工程と、
c)フロースルーにおいて単量体形態の抗体を回収する工程と、任意選択で
d)多量体形態の抗体の結合を選択的に破壊する溶出緩衝液を適用する工程と、
e)d)の結果得られる溶出液を回収する工程と
を含み、ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法に関する。
更なる実施形態において、本発明の方法は、残存している不純物を除去するために1つ又は複数の別のクロマトグラフィー工程を更に含むことになる。一般にそのような工程は、ゲルろ過クロマトグラフィー、陽イオンクロマトグラフィー、陰イオンクロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー及び疎水性電荷誘導クロマトグラフィー用として適当な官能性を持つ固相を使用する非親和性クロマトグラフィー工程を利用することになる。これらは、結合及び溶出モード又はフロースルーモードで操作することができる。フロースルーモードにおいて、標的タンパク質は溶出液又はフロースルー中に回収されるが、不純物は固相に結合する又は固相中での移動度が減少する。適当な官能性を持つビーズ樹脂又は膜などクロマトグラフィー用として適当な固相は、当業者にとって容易に利用できる。本発明の方法による特定の実施形態において、方法は、フロースルーモードで操作される陰イオン交換クロマトグラフィーの工程を更に含む。
更なる特定の実施形態において、本発明の方法は、プロテインAクロマトグラフィー工程とそれに続くタンパク質を含有するフロースルーを産生する陰イオン交換クロマトグラフィーである第1のクロマトグラフィー工程及びタンパク質を含有する溶出液が回収される陽イオン交換クロマトグラフィーである第2のクロマトグラフィー工程を含む。
別法として、本発明の方法は、プロテインAクロマトグラフィーとそれに続くタンパク質を含有する溶出液を回収する陽イオン交換クロマトグラフィーである第1のクロマトグラフィー工程及びタンパク質を含有するフロースルーを産生する陰イオン交換クロマトグラフィーである第2のクロマトグラフィー工程を含む。
一般に、プロテインAクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで実行され、固相への対象とするタンパク質の結合により対象とするタンパク質は固相に結合したまま残り、混在タンパク質などの不純物はクロマトグラフィー媒体を通過することができる。次いで、結合している対象とするタンパク質は、対象とするタンパク質が前記固相に結合する機構を破壊する溶出緩衝液により固相から回収される。
更なる実施形態において、本発明の方法は、溶液中において結合していない物質が除去されるように、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用した後に第1の溶液がプロテインAクロマトグラフィー物質に添加される工程を含む。
本発明による方法の更なる実施形態において、結合している抗体が遊離するように溶出緩衝液がプロテインAクロマトグラフィー物質に適用される。
本発明による方法の更なる実施形態において、プロテインAクロマトグラフィーから回収された溶出液は、適用した混合物に対して多量体抗体よりも単量体抗体が濃縮されている。
本文脈において、プロテインAクロマトグラフィーから回収された溶出液が、プロテインAクロマトグラフィー工程前の混合物に対してより高いパーセンテージで単量体形態の抗体を含有するタンパク質内容物を有することは、当業者には理解されよう。
特定の実施形態において、プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、75%、80%、85%、又は少なくとも90%含む。
更なる別の実施形態において、多量体形態の抗体を回収しようとする場合、プロテインAクロマトグラフィーからの溶出液は、プロテインAクロマトグラフィー工程前の混合物に対してより高いパーセンテージで多量体形態の抗体を含有するタンパク質内容物を有する。特定の実施形態において、プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、75%、80%、85%、又は少なくとも90%含む。
本発明による方法の更なる実施形態において、前記プロテインAは、天然の組換えプロテインAである。
例えばMabSelect(登録商標)(GE Healthcare)、Absolute(登録商標)(Novasep)、Captiv A(登録商標)(Repligen)、又はAmsphere(登録商標)(JSR)など前記天然の組換えプロテインAを含有する当業者に利用可能なクロマトグラフィー物質が多く存在する。
本発明の方法の特定の実施形態において、結合している抗体は、抗体結合を破壊するのに適当なpHの溶出緩衝液を適用することにより、プロテインAクロマトグラフィー物質から遊離する。前記pHは、特定の分子によって決まり、一般に当業者により経験的に決定され、所望の終点を実現するように調整される、即ち、適用した混合物から可能な限り最大量の単量体を回収することが望ましい場合があり、又は可能な限り最高純度で単量体を得ることが望まれる場合もある。本発明の方法の特定の実施形態において、溶出緩衝液は、pH3.0〜pH4.5、好ましくはpH3.2〜pH4.3、pH3.5〜pH4、好ましくはpH3.6〜pH3.9、又はpH3.8を有する。
プロテインAクロマトグラフィーにおいて洗浄及び溶出緩衝液用として適当な緩衝液は、当技術分野においては容易に利用でき、非限定的な例としてリン酸緩衝食塩水(PBS)、Tris、ヒスチジン、酢酸、クエン酸緩衝液、又はMES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸イミダゾール)、BES(N,N−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)−プロパンスルホン酸)、若しくはHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)緩衝液の中から選ぶことができる。
特定の実施形態において、本発明の方法は、抗体がプロテインAに結合できる条件下で、プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、溶液中において結合していない物質が除去されるように第1の溶液又は洗浄緩衝液を適用する工程と、結合している抗体が遊離するようにプロテインAクロマトグラフィー物質に溶出緩衝液を適用する工程と、単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を回収する工程とを含み、回収した溶液は、適用した混合物に対して単量体形態のVH3ドメイン含有抗体に濃縮されており、ヒトVH3ドメイン含有抗体はFc領域を含有しない。
更に特定の実施形態において、本発明の方法は、抗体がプロテインAに結合できる条件下で、プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、溶液中において結合していない物質が除去されるように第1の溶液又は洗浄緩衝液を適用する工程と、単量体形態で結合している抗体が遊離するようにプロテインAクロマトグラフィー物質に溶出緩衝液を適用する工程と、単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を回収する工程とを含み、回収した溶液は、適用した混合物に対して単量体形態のVH3ドメイン含有抗体に濃縮されており、ヒトVH3ドメイン含有抗体はFc領域を含有しない。
本発明による更なる実施形態において、VH3ドメイン含有抗体は、Fab’、F(ab’)、scFv、Fab−Fv、Fab−scFv、Fab−(scFv)、Fab−(Fv)、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディから選択される。
本発明による方法の更なる実施形態において、VH3ドメイン含有抗体は、ヒトVH3ドメインを少なくとも2つ含む。
本発明による方法の更なる実施形態において、ヒトVH3ドメイン含有抗体は、OX40に特異的に結合する。
本発明の方法の一実施形態において、抗体は、PCT/EP2014/074409に開示されているFabFv又はそのジスルフィド安定化形態であり、参照により本明細書に組み込む。
一実施形態において、抗体は、ヒト血清アルブミンに特異的な結合ドメイン、特にWO 2013/068563に開示されているCDR又は可変領域を含み、参照により本明細書に組み込む。
本発明の方法の更なる実施形態において、前記ヒトVH3ドメイン含有抗体は、
−配列番号1、配列番号2及び配列番号3でそれぞれ定義される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3;並びに
−配列番号4、配列番号5及び配列番号6でそれぞれ定義される軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。
本発明による方法の更なる特定の実施形態において、抗体は、WO 2013/068563に定義されている通りOX40に特異的に結合するFab部及び血清アルブミンを特異的に結合するFv部を含むA26Fab−645dsFvであり、両方の部分がジスルフィド結合によって安定化されており、参照により本明細書に組み込む。
更に特定の実施形態において、本発明の方法は、抗体がプロテインAに結合できる条件下で、プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のA26Fab−645dsFvを含む混合物を適用する工程と、溶液中において結合していない物質が除去されるように第1の溶液又は洗浄緩衝液を適用する工程と、単量体形態で結合している抗体が遊離するようにプロテインAクロマトグラフィー物質に溶出緩衝液を適用する工程と、単量体形態のA26Fab−645dsFvを回収する工程とを含み、回収した溶液は、適用した混合物に対して単量体形態のA26Fab−645dsFvに濃縮されており、溶出緩衝液は、pH3.5〜pH4.2、好ましくは、pH3.6〜pH4.1、pH3.7〜pH4.0、好ましくはpH3.8〜pH3.9又はpH3.8を有する。
更なる特定の実施形態において、本発明の方法は、プロテインAクロマトグラフィー物質に第2の溶出緩衝液を適用して、多量体形態で結合しているA26Fab−645dsFvを回収する工程を更に含み、前記第2の溶出緩衝液は、pH3.5未満、好ましくはpH3.4未満、好ましくはpH2.8〜pH3.2、好ましくはpH2.9〜pH3.1、好ましくはpH3.0を有する。
従って、本開示は、N末端から順に、第1の重鎖可変ドメイン(VH#1)、CH1ドメイン及び第2の重鎖可変ドメイン(VH#2)を含む重鎖、N末端から順に、第1の軽鎖可変ドメイン(VL#1)、CLドメイン及び第2の軽鎖可変ドメイン(VL#2)を含む軽鎖を含むヒトOX40並びにヒト血清アルブミンに結合する二重特異性抗体融合タンパク質を提供し、前記重及び軽鎖は、VH#1及びVL#1が第1の抗原結合部位を形成し、VH#2及びVL#2が第2の抗原結合部位を形成するように整列されており、第1の抗原結合部位が結合する抗原がヒトOX40であり、第2の抗原結合部位が結合する抗原がヒト血清アルブミンであり、特に、重鎖の第1の可変ドメイン(VH#1)が、CDR−H1に対する配列番号1に与えられる配列、CDR−H2に対する配列番号2に与えられる配列及びCDR−H3に対する配列番号3に与えられる配列を含み、並びに軽鎖の第1の可変ドメイン(VL#1)が、CDR−L1に対する配列番号4に与えられる配列、CDR−L2に対する配列番号5に与えられる配列及びCDR−L3に対する配列番号6に与えられる配列を含み、第2の重鎖可変ドメイン(VH#2)が、配列番号11に与えられる配列を有し、第2の軽鎖可変ドメイン(VL#2)が、配列番号12に与えられる配列を有し、第2の重鎖可変ドメイン(VH#2)及び第2の軽鎖可変ドメイン(VL#2)がジスルフィド結合により接続されている。
一実施形態において、CH1ドメインと第2の重鎖可変ドメイン(VH#2)の間にペプチドリンカーが存在する。一実施形態において、CLドメインと第2の軽鎖可変ドメイン(VL#1)の間にペプチドリンカーが存在する。一実施形態において、第1の重鎖可変ドメイン(VH#1)は、配列番号8に与えられる配列を含む。一実施形態において、第1の軽鎖可変ドメイン(VL#1)は、配列番号7に与えられる配列を含む。一実施形態において、重鎖は、配列番号15に与えられる配列を含む又はそれからなる。一実施形態において、軽鎖は、配列番号16に与えられる配列を含む又はそれからなる。
従って一実施形態において、ヒトOX40及びヒト血清アルブミンに結合し、配列番号15に与えられる配列を含む重鎖、及び配列番号16に与えられる配列を含む軽鎖を有する二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
一実施形態において、Fab−dsFv形式などの抗体分子は、PCT/EP2014/074409又はWO2014/019727に開示される1つであり、参照により本明細書に組み込む。
別の実施形態において、抗体分子は、WO 2013/068571に開示されるFab−scFv融合タンパク質形式であり、参照により本明細書に組み込む。
別の実施形態において、抗体分子は、
a)式(I)のポリペプチド鎖:
VH−CH1−X−V1;及び
b)式(II)のポリペプチド鎖:
VL−CL−Y−V2;
を含む又はそれからなる多重特異性抗体分子であり、
式中、
VHは、重鎖可変ドメインを表し;
CH1は、重鎖定常領域のドメイン、例えばそのドメイン1を表し;
Xは、結合又はリンカーを表し;
Yは、結合又はリンカーを表し;
V1は、dsFv、sdAb、scFv又はdsscFvを表し;
VLは、軽鎖可変ドメインを表し;
CLは、Cκなどの軽鎖定常領域由来のドメインを表し;
V2は、dsFv、sdAb、scFv又はdsscFvを表し;
V1又はV2のうちの少なくとも1つがdsFv若しくはdsscFvであり、WO 2015/197772に記述されており、参照により本明細書に組み込む。
特定の一実施形態において、抗体分子は、WO 2015/197772に記述される形式Fab−2x dsscFvの多重特異性抗体分子であり、参照により本明細書に組み込む。
更なる特定の実施形態において、形式Fab−2x dsscFvの多重特異性抗体分子は、三価抗体であり、即ち各Fvは異なるエピトープに結合する。
更なる特定の実施形態において、多重特異性抗体分子は、WO2015/197772に記載の通りFab−dsscFv−dsFv形式を有し、参照により本明細書に組み込む。
本発明の方法に従って製造することができる抗体は、組換え抗体をコードしている1つ又は複数の発現ベクターをトランスフェクトした真核生物宿主細胞を培養することにより産生できる。真核生物宿主細胞は、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
哺乳動物細胞は、その生育及び抗体の発現を支援することになる任意の培地中で培養することができ、好ましくは、培地は、動物血清及びペプトンなど動物由来の産物を含まない化学的に定義済みの培地である。細胞生育及びタンパク質産生を可能にする適当な濃度で存在するビタミン、アミノ酸、ホルモン、成長因子、イオン、緩衝液、ヌクレオシド、グルコース又は同等のエネルギー源の異なる組み合わせを含む、当業者に利用可能な異なる細胞培養培地がある。更なる細胞培養培地構成要素を、当業者に公知であろう細胞培養サイクル中の異なる時間に適当な濃度で細胞培養培地に含めることができる。
哺乳動物細胞培養は、振とうフラスコ又はバイオリアクターなど任意の適当な容器中で行うことができ、その培養は、必要とされる産生規模に応じてフェドバッチ培養モードで操作できる場合も又は操作できない場合もある。これらのバイオリアクターは、攪拌槽又はエアリフトリアクターであってよい。様々な大規模バイオリアクターは、1000L〜50000Lより大きい、好ましくは5000L〜20000L、又は10000Lの容積で利用可能である。別法として、2L〜100Lなどより小規模のバイオリアクターを使用して本発明の方法による抗体を製造することもできる。
本発明の方法に従って製造することができる抗体又はその抗原結合断片は、哺乳動物宿主細胞培養、一般にCHO細胞培養の上清中に一般に見られる。抗体又はその抗原結合断片など対象とするタンパク質が、上清に分泌されるCHO培養プロセスの場合、前記上清は、当技術分野においてに公知の方法、一般に遠心分離により採取される。
従って本発明の特定の実施形態において、本方法は、タンパク質精製の前に遠心分離及び上清回収の工程を含む。更なる特定の実施形態において、前記遠心分離は、連続遠心分離である。念のために明記すると、上清とは、細胞培養の遠心分離の結果得られる沈降した細胞の上に存在する液体を意味する。
別法として前記上清は、当業者に公知の清澄化技術例えば深層ろ過などを使用して回収することができる。従って本発明の特定の実施形態において、本方法は、タンパク質精製の前に深層ろ過及び上清回収の工程を含む。
別法として、宿主細胞は、原核生物細胞、好ましくはグラム陰性細菌である。より好ましくは、宿主細胞は大腸菌(E.coli)細胞である。タンパク質発現用の原核宿主細胞は、当技術分野において公知である(Terpe、K.[2006年]、「異種タンパク質産生のための細菌発現系の概要:分子及び生化学の基礎から商業的システムまで(Overview of bacterial expression systems for heterologous protein production:from molecular and biochemical fundamentals to commercial systems)」、Appl Microbiol Biotechnol 72、211〜222頁)。宿主細胞は、抗体断片など対象とするタンパク質を産生するために遺伝子操作されている組換え細胞である。組換え大腸菌宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue及びJM109を含めた任意の適当な大腸菌株から得ることができる。1例は、組換えタンパク質発酵に一般に使用される宿主株の大腸菌株W3110(ATCC27325)である。抗体断片は、修飾された大腸菌株、例えばWO 2011/086136、WO 2011/086138又はWI 2011/086139に記述されている株など代謝突然変異体若しくはプロテアーゼ欠失大腸菌株、を培養することにより産生することもでき、参照により本明細書に組み込む。
本発明の方法に従って精製することができる抗体は、タンパク質の性質、産生規模及び使用する大腸菌株に応じて、大腸菌宿主細胞のペリプラズム又は宿主細胞培養上清のいずれかの中に一般に見られる。これらの区画へとタンパク質を標的化する方法は、当技術分野において公知である(Makrides,S.C.[1996年]「大腸菌において遺伝子の高レベル発現を実現するための戦略(Strategies for achieving high−level expression of genes in Escherichia coli.)」Microbiol Rev 60、512〜538頁)。タンパク質を大腸菌のペリプラズムに導く適当なシグナル配列の例には、大腸菌PhoA、OmpA、OmpT、LamB及びOmpFシグナル配列がある。タンパク質は、天然の分泌経路を利用することにより又は外膜のわずかな漏出を誘導してタンパク質分泌を引き起こすことにより上清へと標的化することができ、それらの例は、pelBリーダー、プロテインAリーダーの使用、培養培地へのグリシンの添加を伴うバクテリオシン放出タンパク質、マイトマイシン誘導性バクテリオシン放出タンパク質の同時発現、及び膜透過化処理のためのkil遺伝子の同時発現である。最も好ましくは、本発明の方法において、組換えタンパク質は、宿主大腸菌のペリプラズムに発現される。
大腸菌宿主細胞における組換えタンパク質の発現は、誘導可能な系の制御下にあってもよく、それにより、大腸菌における組換え抗体の発現は、誘導可能なプロモーターの制御下にある。大腸菌における使用に適当な多くの誘導可能なプロモーターが、当技術分野において公知であり、組換えタンパク質の発現は、プロモーターに応じて温度又は生育培地中の特定の材料の濃度など様々な因子により誘導することができる。誘導可能なプロモーターの例には、ラクトース又は加水分解抵抗性ラクトース類似体、イソプロピル−b−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導可能な大腸菌lac、tac及びtrcプロモーター並びにリン酸塩、トリプトファン及びL−アラビノースによりそれぞれ誘導されるphoA、trp及びaraBADプロモーターがある。発現は、例えば、誘導物質の添加又は誘導が温度依存的である場合には温度の変化により誘導することができる。組換えタンパク質発現の誘導が、培養への誘導物質の添加により実現される場合、誘導物質は、発酵系及び誘導物質に応じた任意の適当な方法、例えば、単回若しくは複数回のショット添加(shot additions)により又は供給による誘導物質の漸進的な添加により添加することができる。当然のことながら誘導物質の添加とタンパク質発現の実際の誘導との間に遅延がある場合があり、例えば、誘導物質がラクトースである場合、タンパク質発現の誘導が起こる前に、任意の先在する炭素供給源がラクトースより先に利用される間の遅延があり得ることが理解されよう。
大腸菌宿主細胞培養(発酵)は、大腸菌の生育及び組換えタンパク質の発現を支援することになる任意の培地中で培養することができる。培地は、例えばDurany Oら(2004年)「大腸菌における組換えフクロース−1−リン酸アルドラーゼの発現に関する研究(Studies on the expression of recombinant fuculose−1−phosphate aldolase in Escherichia coli.)」Process Biochem 39、1677〜1684頁に記述されているものなど化学的に定義されている任意の培地であってよい。
大腸菌宿主細胞の培養は、必要とされる産生の規模に応じて 振とうフラスコ又は発酵槽など任意の適当な容器中で行うことができる。様々な大規模発酵槽が、1000Lより大きく約100000Lまでの容積で利用可能である。好ましくは、1000〜50000Lの発酵槽、より好ましくは1000〜25000、20000、15000、12000又は10000Lが使用される。より小規模の発酵槽を、0.5〜1000Lの容積で使用することもできる。
大腸菌の発酵は、任意の適当な系、例えばタンパク質及び必要とする収量に応じて連続、バッチ又フェドバッチ培養モードで実行することができる。バッチモードは、必要な際に栄養分又は誘導物質をショット添加して使用することができる。別法として、フェドバッチ培養を使用することができ、培養は、発酵槽中に最初から存在する栄養分を使用して持続させ得る最大比生育速度でのバッチモード前誘導、及び発酵が完了するまで生育速度を制御するために使用される1つ又は複数の栄養分の供給体制で生育させ得る。フェドバッチモードは、前誘導を使用して、大腸菌宿主細胞の代謝を制御し、より高い細胞密度に至らせることもできる。
必要に応じて、宿主細胞は、発酵培地から採取されてもよく、例えば、宿主細胞は、遠心分離、ろ過又は濃化によりサンプルから採取することができる。
一実施形態において、本発明によるプロセスは、タンパク質を抽出する前に遠心分離及び細胞回収の工程を含む。
抗体断片など対象とするタンパク質が宿主細胞のペリプラズム空間に見られる大腸菌発酵プロセスの場合、宿主細胞からタンパク質を遊離させることが必要である。遊離は、機械的若しくは圧力処理、凍結−解凍処理、浸透圧ショック、抽出薬剤又は熱処理による細胞溶解など任意の適当な方法により実現することができる。タンパク質遊離のためのそのような抽出方法は、当技術分野において公知である。従って特定の実施形態において、本発明の方法は、タンパク質精製の前に追加のタンパク質抽出工程を含む。
更なる実施形態において、本発明による方法は、細胞培養培地から宿主細胞を回収する工程と、タンパク質抽出工程を使用してタンパク質を採集する工程と、タンパク質抽出工程の結果得られる混合物を含有するタンパク質を回収する工程と、混合物から前記タンパク質を精製する工程とを更に含み、前記精製が、少なくとも1つのプロテインAクロマトグラフィー工程を含む。
特定の実施形態において、抽出工程は、サンプルに抽出緩衝液を添加する工程と、得られたタンパク質を回収する工程とを含む。好ましくは、抽出工程は、天然の立体配座でタンパク質を回収できるような適当な時間に、適当な温度で実行され、各特定のタンパク質について経験的に最適化される。本発明の特定の実施形態において、前記抽出工程は、25℃〜35℃、27℃〜33℃、好ましくは29℃〜31℃で実行される。タンパク質抽出工程は、ある期間にわたって実行され、及び使用される特定のタンパク質及び温度に応じて経験的に最適化される。特定の実施形態において、前記抽出工程は、4〜20時間、6〜18時間、好ましくは8〜12時間実行される。特定の実施形態において、タンパク質抽出工程は、29℃〜31℃で8〜12時間、好ましくは30℃で11時間実行される。
別の実施形態において、抽出緩衝液がサンプルに添加され、次いでサンプルは熱処理工程を受ける。熱処理工程は、好ましくは米国特許第5,665,866号に詳細に記載されている通りであり、参照により本明細書に組み込む。
抽出の工程の後に、抗体など対象とするタンパク質を含有する混合物は、遠心分離及び/又はろ過の工程を受けることができる。
更なる特定の実施形態において、本発明の方法は、抽出工程の後及び前記混合物からタンパク質を精製する前に、対象とするタンパク質を含有する混合物のpHを調整する工程を含むことができる。
本明細書で使用するとき、用語「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」とは、モノクローナル又はポリクローナル抗体のことを指す。本明細書で使用するとき、用語「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」は、当業者に公知の組換え技術により生成される組換え抗体を含むが、これに限定されない。「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」は、任意の種、特に、2本の本質的に完全な重及び2本の本質的に完全な軽鎖を有する抗体を含めた哺乳動物種の抗体、IgD、IgG、IgG2a、IgG2b、IgG、IgG、IgEを含めた任意のアイソタイプのヒト抗体及びIgA、IgAを含めたこの基本構造の二量体若しくはIgMなどの五量体及びその修飾されたバリアントとして産生される抗体、例えばチンパンジー、ヒヒ、アカゲザル若しくはカニクイザル由来の非ヒト霊長類抗体、例えばマウス若しくはラット由来の齧歯目抗体;ウサギ抗体、ヤギ若しくはウマ抗体、及びラクダ科抗体(例えば、Nanobodies[商標]などラクダ又はラマ由来)及びその誘導体、並びに鶏抗体などトリ種又はサメ抗体など魚種の抗体を含む。用語「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」とは、少なくとも1つの重鎖及び/又は軽鎖抗体配列の第1の部分が第1の種由来であり、重鎖及び/又は軽鎖抗体配列の第2の部分が第2の種由来である「キメラ」抗体のことも指す。本明細書で対象とするキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えばヒヒ、アカゲザル又はカニクイザルなど旧世界ザル)から得られる可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体がある。「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体から得られる配列を含有するキメラ抗体である。大部分の場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基がマウス、ラット、ウサギ、鶏又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域[又は、相補性決定領域(CDR)](ドナー抗体)由来の残基により置き換えられているヒト抗体(レシピエント抗体)であり、所望の特異性、親和性及び活性を有する。殆どの場合、CDR以外の、即ちフレームワーク領域(FR)にある、ヒト(レシピエント)抗体の残基は、対応する非ヒト残基により更に置き換えられる。更にまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体能力を更に洗練するために作られる。ヒト化は、ヒトにおける非ヒト抗体の免疫原性を減少させ、従って、ヒト疾患の処置への抗体の適用を容易にする。ヒト化抗体及びそれを生成するためのいくつかの異なる技術は、当技術分野において公知である。用語「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」とは、ヒト化に代わるものとして生成できるヒト抗体のことも指す。例えば、免疫化と同時に、内生的なマウス抗体を産生することなくヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することが可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失が、内生的な抗体産生を完全に阻害することが記述されている。そのような生殖細胞系変異体マウスにヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイを移植することにより、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子を保有しているトランスジェニック動物を前記抗原で免疫化すると、特定の抗原に対して特異性を持つヒト抗体を産生することになる。そのようなトランスジェニック動物を産生する技術及びそのようなトランスジェニック動物からヒト抗体を単離し、産生する技術は当技術分野において公知である。別法として、トランスジェニック動物;例えばマウスにおいて、マウス抗体の可変領域をコードしている免疫グロブリン遺伝子だけが、対応するヒト可変免疫グロブリン遺伝子配列で置き換えられる。抗体定常領域をコードしているマウス生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子は、変化しないままである。このように、トランスジェニックマウスの免疫系における抗体エフェクター機能、ひいてはB細胞発生は本質的に変化せず、in vivoで抗原投与に対する抗体応答の改善が導かれ得る。対象とする特定の抗体をコードしている遺伝子が、そのようなトランスジェニック動物から単離されたら、完全なヒト抗体を得るために定常領域をコードしている遺伝子をヒト定常領域遺伝子で置き換えることができる。in vitroでヒト抗体を得るための他の方法は、ファージディスプレイ又はリボソームディスプレイ技術などの表示技術に基づいており、少なくとも部分的に人工的か又はドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからかいずれかで生成される組換えDNAライブラリーが使用される。ヒト抗体を生成するためのファージ及びリボソームディスプレイ技術は、当技術分野において公知である。ヒト抗体は、対象とする抗原によりex vivoで免疫化され単離したヒトB細胞から生成することもでき、その後ハイブリドーマを生成するために融合され、次いで最適なヒト抗体としてスクリーニングされ得る。本明細書で使用するとき、用語「抗体(単数)」又は「抗体(複数)」は、脱グリコシル化抗体のことも指す。
本発明の実施形態のいずれかにおいて使用される抗体分子には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvなどの抗体断片及びscFv断片;並びにBiTEs(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー[Engagers])及びDARTs(商標)(二重親和性再標的化技術)などの形式を含めたダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、sdAbs、VHH及びVNAR断片などのドメイン抗体(dAbs)、Fab−Fv、Fab−scFv、Fab(Fv)若しくはFab−(scFv)構築物を含むがこれに限定されない抗体断片若しくは抗体から形成される一本鎖抗体、二重特異性、三重特異性、四重特異性又は多重特異性抗体がある。上で定義した抗体断片は、当技術分野においてに公知である。明快にするために、Fab−Fvとは、任意の順序で連結された1つのFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物、即ちFab−Fv又はFv−Fabのことを指し、一方の領域の最後のアミノ酸の後ろに次の領域の第1のアミノ酸がある又はその逆であると理解されるべきである。同様に、Fab−scFvとは、任意の順序で連結された1つのscFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物、Fabについてはいずれかのポリペプチド鎖、即ちFab−scFv又はscFv−Fabのことを指し、一方の領域の最後のアミノ酸の後ろに次の領域の第1のアミノ酸がある又はその逆であると理解されるべきである。同じ様式で、Fab−(Fv)とは、任意の順序で連結された2つのFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物、即ちFab−Fv−Fv、Fv−Fab−Fv又はFv−Fv−Fabのことを指し、一方の領域の最後のアミノ酸の後ろに次の領域の第1のアミノ酸がある又はその逆であると理解されるべきである。同様に、Fab−(scFv)とは、任意の順序で連結された2つのscFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物、Fabについてはいずれかのポリペプチド鎖のことを指し、20個の可能な置き換えを得られると理解されるべきである。
一般にこれらの構築物は、第1の領域(例えばFab)と第2の領域(例えばFv)の間にペプチドリンカーを含む。そのようなリンカーは当技術分野において公知であり、1つ又は複数のアミノ酸であってよく、当業者により長さ及び組成が一般に最適化され得る。別法として前記領域は、直接接続されてもよい、即ちペプチドリンカーを含まない。
可変ドメインをFab又はFab’に接続するのに適当なリンカー領域の例は、WO 2013/068571及びWO 2014/096390に記述されており、参照により本明細書に組み込み、柔軟なリンカー配列及び剛直なリンカー配列があるが、これに限定されない。柔軟なリンカー配列には、Hustonら、1988年、10 PNAS 85:5879〜5883頁;Wright及びDeonarain、Mol.Immunol.2007年、44(11):2860〜2869頁;Alfthanら、Prot.Eng.1995年、8(7):725〜731頁;Luoら、J.Biochem.1995年、118(4):825〜831頁;Tangら、1996年、J.Biol.Chem.271(26):15682〜15686頁;及びTurnerら、1997年、JIMM 205、42〜54頁に開示されているものがある。
本明細書使用するとき、用語「VH3ドメイン」とは、免疫グロブリンのヒト重鎖可変領域のフレームワークサブグループ3のことを指す。抗体の重鎖可変ドメインは、DNA配列及びタンパク質相同性に基づいて別個のサブファミリー(VH1〜VH6)に分類される(WalterらAm.J.Hum.Genet.42:446〜451頁、1988年、「遺伝的変動の分析により、ヒト免疫グロブリンVH−領域遺伝子組織化が明らかになる(Analysis for genetic variation reveals human immunoglobulin VH−region gene organization)」;Schroederら、Int Immunol.1990年;2(1):41〜50頁、「哺乳動物VHファミリーの構造と進化(Structure and evolution of mammalian VH families)」。
本明細書使用するとき、用語「Fc領域」とは、天然の抗体のFc領域のことを指し、これは、定常重ドメイン1(CH1)を欠く定常領域二量体である。当技術分野において公知のように、抗体のFc領域は、ペプシン又はパパインのいずれかによる天然の抗体の消化後に回収される結晶化可能な断片(Fc)である。
本明細書では「Fc領域を含有しない」抗体とは、天然の定常重ドメイン2(CH2)、天然の定常重ドメイン3(CH3)及び天然の定常重ドメイン4(CH4)領域を含有しない抗体のことを指す。
プロテインAへの結合に関与するFc領域内の残基は、当技術分野においてこれまでに記載されている(Nagaokaら、「マウスIgG1 Fc領域における単一アミノ酸置換は、プロテインAに対する親和性の急激な増大を誘導する(Single amino acid substitution in the mouse IgG1 Fc region induces drastic enhancement of the affinity to protein A)」、PEDS第16巻、第4号、243〜245頁)。結果的に、当業者は、プロテインAに結合する能力を失ったFc領域を有する抗体を開発することができ、そのような抗体は、本発明による方法での使用に適当であろう。
本明細書使用するとき、用語「多量体」又は「多量体形態」とは、2つ以上の単量体由来のドメインからなる抗体形態のことを指し、その形態においてドメインの全ては正しく折り畳まれ、対合している。多量体の例が図12に提供されており、異なる抗体分子が正しく折り畳まれ、各VHドメインは相補的VLドメインと対合される。
明快にするために、相補的VH−VL対が協調して同じ抗原に結合することは理解されよう。本明細書使用するとき、用語「プロテインA」又は「ブドウ球菌のプロテインA」とは、グラム陽性細菌スタフィロコッカス・アウレウスの殆どの株の細胞壁に共有結合しているI型膜タンパク質のことである。それは、様々な種、例えばヒト、ウサギ及びモルモット由来のIgGに高い親和性を有するが、ウシ及びマウスとは弱い相互作用しかない。プロテインAは、2つの別個の結合事象:ヒトIgG、IgG及びIgGのFc部分にある「標準的な」結合部位、並びにVH3サブファミリーの重鎖を含有するヒトIgG、IgM、IgA及びIgEのFab部分に見られる「代替の」結合部位によって抗体と相互作用する。スタフィロコッカス・アウレウス由来プロテインAの最も報告されている分子量は、約42000Daである。組換え連鎖球菌プロテインAは、299アミノ酸からなり、SDS−PAGEにより推定した通り33.8kDaの予測分子量を有する。
プロテインAは、3つの領域:分泌中にプロセスされるシグナル配列であるS;5つの相同なIgG結合ドメインE、D、A、B及びC並びに細胞壁係留領域XMからなる。領域Xを欠いている短縮タンパク質は、約31kDの分子量を有する。ドメインは、IgG、IgG及びIgGのFc部分にそれぞれ独立に結合できるが、IgGとは弱い相互作用しか示さない。加えて、天然のプロテインAドメインの全ては、同程度のFab結合を示し、領域D及びEにより媒介されると記述されている。
本明細書使用するとき、用語「OX40」とは、CD134、TNFRSF4、ACT35又はTXGP1Lとしても公知の分子のことを指し、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーであり、最適なT細胞増殖並びに生存に必要とされるCD28及びOX40の連続する会合による共刺激受容体として作用する。
本明細書で抗体に言及する場合に使用する用語、所与の分子及び等価物に「特異的に結合する」、「特異的に結合している」は、抗体が、生物学的に意味がある効果を実現するのに充分な親和性及び特異性で前記所与の分子に結合することになることを意味する。選択された抗体は、所与の分子に対して結合親和性を通常有することになり、例えば、抗体は、Kd値100nM〜1pMで所与の分子に結合することができる。抗体親和性は、例えば、BIAcoreアッセイなど表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ;酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA);及び競合アッセイ(例えばRIA)により決定することができる。本発明の意味の範囲で、前記所与の分子に特異的に結合する抗体は、例えば二重特異性抗体の場合の非限定的な例として別の分子に結合することもできる。
(例1)
pH勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製
A26Fab−645dsFvの大腸菌発現、抽出及び清澄化
A26Fab−645dsFv(ヒトOX40及び血清アルブミンに結合する抗体断片)を、大腸菌W3110宿主細胞においてIPTG(イソプロピル−b−D−1−チオガラクトピラノシド)による誘導で異種タンパク質として発現させ、異種タンパク質を、pH7.4に調整した100mM Tris/10mM EDTA緩衝液の添加及び30℃でのタンパク質抽出工程により宿主細胞のペリプラズム空間から遊離させた。細胞物質を遠心分離によって除去し、異種タンパク質を含有する細胞抽出物を、遠心分離及び0.22μmろ過の組み合わせを使用して次いで清澄化した。
pH勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製
清澄な大腸菌抽出物を、Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡化した天然のプロテインAクロマトグラフィーカラム、HiTrap MabSelect(GE Healthcare)5mLに適用した。カラムを、PBSで先ず洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、pH勾配pH7.4〜pH2.1でその後溶出させた。溶出した物質を、TSKゲルG3000SWXL SEC−HPLC(Tosoh Corporation)を使用してSEC−HPLC(サイズ排除クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー)によって分画し、分析した。SEC−HPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体を決定した。A26Fab−645dsFv単量体は、およそ9分間の保持時間を有した。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、9分間未満の保持時間を示し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した。
プロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出の間に、2つのピークがpH勾配全体で観察された、図1を参照のこと。第2のピークにおける多量体種のレベル上昇と比較して、単量体のレベル上昇が、第1のピークに観察された、表1及び図2を参照のこと。
A26Fab−645dsFvは、Fcを欠き、従ってプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出のために低いpHを必要とする。
Figure 0006866300
(例2)
pH勾配溶出によるFc構築物のプロテインA精製
多量体FcのCHO発現及び清澄化
Fcを多量体へと組み立てるヒトIgM尾部に融合されたヒトIgG1のFcドメインを含有するFc構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをトランスフェクした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。培養を、バッチモードの振盪されたフラスコ培養で維持し、14日後に採集した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。
清澄な細胞培養上清を濃化し、構築物を含むFcの全てを、PBS pH7.4で平衡化したプロテインAクロマトグラフィーカラム、HiTrap MabSelect SuRe(GE Healthcare)5mLを使用して精製した。カラムをPBSで洗浄し、結合している物質を0.1Mクエン酸pH3.4で溶出させた。溶出した物質を、PBS pH7.4に緩衝液交換した。
精製したFc構築物を、PBS pH7.4で平衡化した天然のプロテインAクロマトグラフィーカラム、HiTrap MabSelect(GE Healthcare)5mLに適用した。カラムを、PBSで先ず洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、pH勾配pH7.4〜pH2.1でその後溶出させた、図3を参照のこと。溶出した物質を、SEC−HPLC(G3000 SEC−HPLC、Tosoh Corporation)によって分画し、分析した。SEC−HPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体Fcを決定した。Fc単量体は、およそ9.3分間の保持時間を有する。三量体、六量体及びより高次構造は全て、9.4分間未満の保持時間を有し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した、表2及び図4を参照のこと。
Figure 0006866300
Fc構築物は、上向及び下向の湾曲上にわずかな肩を伴う単一のピークとして溶出した。しかしながら、SEC−HPLCによる画分の分析から、分子の単量体及び多量体形態が同時に溶出することが明らかになった、表2及び図4を参照のこと。異なる種間の分離は、勾配溶出全体で観察されなかった。
Fc構築物の多量体は、複数のFc領域を含有するが、可変領域を欠き、そのためヒトVH3ドメインによってプロテインAに結合する可能性を欠いている。単量体及び多量体Fc構築物は、勾配溶出においてプロテインAカラムから共溶出し、このことは樹脂に対するFc領域結合活性が溶出の因子でなかったことを実証している。従って、単量体及び多量体Fc領域含有分子を、この技術によって効率的に分離することはできない。pH勾配を使用するFc領域を持たないVH3−ドメイン含有抗体の、プロテインAからの溶出が、単量体と多量体とを分離できたことは、例1及び2とは対照的である。
(例3)
pH段階溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製
A26Fab−645dsFvのCHO発現及び清澄化
ヒトOX40及び血清アルブミンに結合する構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。培養を、バッチモードの振盪されたフラスコ培養で維持し、14日後に採集した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。
pH段階溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製
清澄な細胞培養上清を、Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH 7.4で平衡化した天然のプロテインAクロマトグラフィーカラム、HiTrap MabSelect(GE Healthcare)5mLに適用した。カラムを、PBSで先ず洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、その後先ずpH3.8で溶出させ、次いで第2の溶出工程をpH3.0で実施した、図5を参照のこと。溶出した物質を、SEC−HPLC(G3000 SEC−HPLC、Tosoh Corporation)によって分画し、分析し、4〜20%Tris/グリシンSDS−PAGEを還元及び非還元条件下の両方で実行した。
SEC−HPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体を決定した。A26Fab−645dsFv単量体は、およそ9分間の保持時間を有する。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、9分間未満の保持時間を有し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した。図6及び表3を参照のこと。
Figure 0006866300
非還元SDS−PAGEにより、溶出ピークにおける上の単量体及び多量体レベルを確認した。A26Fab−645dsFv単量体は、97〜66kDaの間に泳動され、レーン4における主要なバンドであり、pH3.8での溶出に対応しており、A26Fab−645dsFv多量体は、120kDaより上の複数のバンドとして泳動され、レーン5におけるバンドの大多数であり、pH3.0での溶出から回収した画分に対応している、図7を参照のこと。
還元SDS−PAGEにより、非還元SDS−PAGEにおけるバンドの全てが、A26Fab−645dsFvと関連していることが確認された、図8を参照のこと。
pH3.8での溶出は、2.8カラム体積において下向の湾曲上にわずかなテールを伴う単一のピークを溶出した。SEC−HPLC分析は、このピークが単量体形態のA26Fab−645dsFvを79%含有したことを実証し、多量の単量体も、非還元SDS−PAGE分析によって確認された。pH3.0での溶出は、単一のピークを溶出した。HPLC−SEC分析は、このピークが多量体形態のA26Fab−645dsFv 97%であることを実証し、多量の多量体も、非還元SDS−PAGE分析によって確認された。
上の結果は、プロテインAに対するVH3結合により多量体種から単量体を効果的に分離できることを実証している。これは、前例に示したプロテインAに対するFc結合と対照的である。
(例4)
勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA(Amsphere)精製
A26Fab−645dsFvのCHO発現及び清澄化
ヒトOX40及び血清アルブミンに結合する構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。培養を、バッチモードの振盪されたフラスコ培養で維持し、14日後に採集した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。
pH勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製(Amsphere)
清澄な上清を、AmsphereプロテインAクロマトグラフィーカラムに適用し、(ベッド高10cmでカラム体積5mL)Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡した。次いでカラムを、PBSで洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、pH勾配、pH6.0〜pH2.1でその後溶出させた。溶出した物質を、Acquity UPLC BEH450 SEC 2.5μmカラムを使用してSEC−UPLC(サイズ排除クロマトグラフィー−超高速高分離液体クロマトグラフィー)によって分画し、分析した。SEC−UPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体を決定した。A26Fab−645dsFv単量体は、およそ2.2分間の保持時間を有した。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、2.2分間未満の保持時間を示し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した。
AmsphereプロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出の間に、2つのピークがpH勾配全体で観察された、図9を参照のこと。第2のピークにおける多量体種のレベル上昇と比較して、単量体のレベル上昇が、第1のピークに観察された、表4及び図9を参照のこと。
A26Fab−645dsFvは、Fcを欠き、従ってAmsphereプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出により低いpHを必要とする。
Figure 0006866300
(例5)
勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA(NovaSep Absolute)精製
A26Fab−645dsFvのCHO発現及び清澄化
ヒトOX40及び血清アルブミンに結合する構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。培養を、バッチモードの振盪されたフラスコ培養で維持し、14日後に採集した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。
pH勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製(NovaSep Absolute)
清澄な上清を、NovaSep AbsoluteプロテインAクロマトグラフィーカラム(ベッド高10cmでカラム体積5mL)に適用し、Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡化した。カラムを、PBSで先ず洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、pH勾配pH6.0〜pH3.0でその後溶出させた。溶出した物質を、Acquity UPLC BEH450 SEC 2.5μmカラムを使用してSEC−UPLCによって分画し、分析した。SEC−UPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体を決定した。A26Fab−645dsFv単量体は、およそ2.2分間の保持時間を有した。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、2.2分間未満の保持時間を示し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した。
NovaSep AbsoluteプロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出の間に、2つのピークがpH勾配全体で観察された、図10を参照のこと。第2のピークにおける多量体種のレベル上昇と比較して、単量体のレベル上昇が、第1のピークに観察された、表5及び図10を参照のこと。
A26Fab−645dsFvは、Fcを欠き、従ってNovaSep AbsoluteプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出により低いpHを必要とする。
Figure 0006866300
(例6)
勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA(AcroSep)精製
A26Fab−645dsFvのCHO発現及び清澄化
ヒトOX40及び血清アルブミンに結合する構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。培養を、バッチモードの振盪されたフラスコ培養で維持し、14日後に採集した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。
pH勾配溶出によるA26Fab−645dsFvのプロテインA精製(AcroSep)
清澄な上清を、AcroSepプロテインAクロマトグラフィーカラム(ベッド高1.5cmでカラム体積1mL)に適用し、Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡化した。カラムを、PBSで先ず洗浄して結合していない物質を除去し、結合している物質を、pH勾配pH6.0〜pH3.0でその後溶出させた。溶出した物質を、Acquity UPLC BEH450 SEC 2.5μmカラムを使用してSEC−UPLCによって分画し、分析した。SEC−HPLC分析を使用して、各画分に存在する%単量体及び多量体を決定した。A26Fab−645dsFv単量体は、およそ2.2分間の保持時間を有した。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、2.2分間未満の保持時間を示し、一括して多量体種又はより高分子量種(HMWS)と称した。
AcroSepプロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出の間、単一の幅広い溶出ピークが、pH勾配全体で観察された、図11を参照のこと。分解能の減少は、おそらくベッド高の減少によるものであるが、溶出ピークの下向の湾曲中の多量体種のレベル上昇と比較して、単量体のレベル上昇が、ピークの上向の湾曲中もなお観察された、表6及び図11を参照のこと。
A26Fab−645dsFvは、Fcを欠き、従ってAcroSep AbsoluteプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出により低いpHを必要とする。
Figure 0006866300
(例7)
pH勾配溶出によるTrYbe(登録商標)のプロテインA精製
pH勾配溶出によるTrYbe(登録商標)のプロテインA精製
TrYbe(登録商標)のCHO発現及び清澄化
WO 2015/197772に記載されている形式Fab−2x dsscFvの多重特異性三価抗体分子(TrYbe[登録商標])を、安定なジヒドロ葉酸(dihyrofolate)レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをトランスフェクした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。発現を、高い細胞数を産する独自のフェドバッチ培養プロセスで実施した。
細胞培養上清の清澄化を、遠心分離(4000×g、室温で60分間)によって実施し、次に深層及び滅菌ろ過した。 清澄な細胞培養上清を、Delbeccosリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡化したHiTrap MabSelect(GE Healthcare)5mLに適用した。カラムをPBSで洗浄し、結合している物質をpH勾配、pH7.4〜pH2.1で溶出させた、図21を参照のこと。溶出した物質を、G3000 SEC−HPLC及び4〜20%Tris/グリシンSDS−PAGE(還元及び非還元)によって分画し、分析した。SEC−HPLC分析を使用して、%単量体及び多量体を決定した。TrYbe(登録商標)単量体は、およそ9.4分間の保持時間を有する。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、保持時間<9.4分を有し、一括して多量体種又はHMWSと称した。SEC−HPLC分析の場合、画分のクロマトグラムは、図22を参照のこと。
pH勾配溶出の全体で、2つのピークが、下向の湾曲上の肩とともに観察された、図21を参照のこと。これら3つの画分をSDS−PAGEにより分析した、図23を参照のこと。非還元SDS−PAGEにより溶出プロファイルの全体でいくつかのバンドが、観察された。単量体は、116〜200kDa分子量バンドの間に泳動される。単量体より上に泳動される全てのバンドを、一括して多量体又はHMWSと称した。鎖間ジスルフィド種を欠いている軽鎖関連不純物並びにジスルフィド結合していない重鎖及び軽鎖は、37〜55kDa分子量マーカーの間に泳動される。画分1(レーン2)は、単量体及び軽鎖関連種で主に構成されており、HMWSは殆ど又は全く見えなかった。単量体は、画分2(レーン3)における主要なバンドである。HMWSバンドが見えるが、そのレベルは、画分3(レーン4)に見られるそれに対し有意に減少している。還元ゲルにおいて、産物関連種の全ては、レーン3及び4において還元できない物質の弱いバンドを有する重鎖及び軽鎖にまで還元される。レーン2により、画分1が軽鎖関連種についてかなり濃縮されたことが確認される。
第1ピーク(1)は、還元SDS−PAGEにより軽鎖関連不純物と同定され、SEC−HPLCで分析したときHMWS 2%を含有した。第2ピーク(2)は、TrYbe(登録商標)と同定され、単量体72%及びHMWS 22%を含有した、表7及び図24を参照のこと。ピーク2の下向の湾曲、画分3は、TrYbe(登録商標)と同定され、単量体6%及びHMWS 92%を含有した。
TrYbe(登録商標)は、Fcを欠き、従ってプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出により低いpHを必要とする。
Figure 0006866300
(例8)
pH勾配溶出によるBYbeのプロテインA精製
BYbeのCHO発現及び清澄化
Fab−scFv融合タンパク質(Bybe)を、異なる可変領域配列を使用してWO2013/068571の例4に記載の通り基本的に構築した。構築物を、安定なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞系(CHO DG44)において発現させた。細胞に、製造業者の使用説明書に従ってNuclefector(Lonza)を使用して、選択可能なマーカーであるDHFR遺伝子と産物をコードしている遺伝子の両方を含有するプラスミドベクターをトランスフェクした。トランスフェクトした細胞を、ヒポキサンチン及びチミジンを欠く培地中で、DHFR阻害剤メトトレキサートの存在下で選択した。振とうフラスコ段階まで培養した後に、生育及び生産性を評価し、24個の最も高発現しているクローンを選んで、フェドバッチ培養振とうフラスコプロセスにおいて評価した。3Lの振とうフラスコに、0.3×10個生細胞/mLの開始密度で、1Lの培養で植え付け、5% COの空気中で、36.8℃に制御した。栄養分供給を3〜12日目に添加し、グルコースを、その濃度が5.8g/L未満に低下した際にボーラス添加で添加した。14日目に培養を、4000×gで60分間の遠心分離によって採集し、その後0.2μmろ過した。
pH勾配溶出によるBYbeのプロテインA精製
清澄な細胞培養上清を、Sigmaリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4で平衡化したHiScreen MabSelect(GE Healthcare)カラム4.7mLに適用した。カラムを、PBSで、続けて90% 0.2Mリン酸ナトリウム/10%クエン酸、pH7.4で洗浄し、結合している物質をpH7.4〜pH2.1のpH勾配で溶出させた、図25を参照のこと。溶出した物質を、G3000 SEC−HPLC及び4〜20%Tris/グリシンSDS−PAGE(還元及び非還元)によって分画し、分析した。SEC−HPLC分析を使用して、%単量体及び多量体を決定した。BYbe単量体は、およそ9.6分間の保持時間を有する。二量体、三量体、四量体及びより高次構造は全て、保持時間<9.6分を有し、一括して多量体種又はHMWSと称した。SEC−HPLC分析の場合、画分のクロマトグラムは、図26を参照のこと。
pH勾配溶出の全体で、単一のピークが観察された、図25を参照のこと。溶出ピーク画分を、SDS−PAGEにより分析した、図27を参照のこと。非還元SDS−PAGEにより溶出プロファイルの全体でいくつかのバンドが、観察された。単量体は、98kDa分子量マーカー近くに泳動される。単量体(250kDa〜98kDa分子量マーカーの間)より上に泳動される全てのバンドを、一括して多量体又はHMWSと称した。ジスルフィド結合していない重及び軽鎖は、50〜64kDaの間及び30kDa分子量マーカーの位置にそれぞれ泳動される。画分B9〜B6(レーン6〜9)は、単量体で主に構成されており、HMWSは殆ど又は全く見えなかった。画分B5〜B3(レーン10〜12)においてHMWSバンドは、pH勾配がより酸性になるにつれて増加する/より強くなる。還元ゲルにおいて、産物関連種の全ては、重鎖及び軽鎖にまで還元される。
溶出ピークは、BYbeと同定され、全体で単量体84%及びHMWS 16%を含有した、表8及び図28を参照のこと。
BYbeは、Fcを欠き、従ってプロテインAに対する結合は、V−領域のヒトVH3可変フレームワークサブクラスによるものであった。多量体種の結合の増加が、プロテインAに対するこれら分子の結合活性の増加によるものであったことが、提案される。多量体種は、より多くのVH3領域を有し、従ってプロテインA樹脂により強く結合し、溶出により低いpHを必要とする。
Figure 0006866300

Claims (14)

  1. 単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を得るための方法であって、前記方法が、
    a)抗体がプロテインAに結合できる条件下で、プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
    b)単量体形態の前記ヒトVH3ドメイン含有抗体を回収する工程と
    を含み、
    プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、適用した混合物に対して多量体抗体よりも単量体抗体が濃縮されており、
    前記ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法。
  2. ヒトVH3ドメイン含有抗体を製造するための方法であって、前記方法が、
    a)宿主細胞において抗体を発現させる工程と、
    b)前記抗体、宿主細胞及び他の夾雑物を含有する混合物を回収する工程と、
    c)プロテインAがドメインD及び/又はEを含む少なくとも1つのプロテインAクロマトグラフィー工程を使用して前記抗体を精製する工程と、
    d)ヒトVH3含有抗体を回収する工程と
    を含み、
    プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、適用した混合物に対して多量体抗体よりも単量体抗体が濃縮されており、
    前記ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法。
  3. a)プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
    b)前記抗体をプロテインAに結合させる工程と、
    c)単量体形態の前記抗体の結合を選択的に破壊する溶出緩衝液を適用する工程と、
    d)得られた溶出液を回収する工程と
    を含、多量体形態の抗体から単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を分離する方法であって、プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、適用した混合物に対して多量体抗体よりも単量体抗体が濃縮されており、
    前記ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法。
  4. さらに、
    e)多量体形態の前記抗体の結合を破壊する第2の溶出緩衝液を適用し、この第2の溶出液を回収する工程を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 多量体形態の抗体から単量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を分離する方法であって、前記方法が、
    a)プロテインAがドメインD及び/又はEを含むプロテインAクロマトグラフィー物質に、単量体及び多量体形態のヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用する工程と、
    b)多量体形態の前記抗体を結合させる工程と、
    c)フロースルーにおいて単量体形態の前記抗体を回収する工程と
    を含み、
    プロテインAクロマトグラフィーから回収される溶出液は、適用した混合物に対して多量体抗体よりも単量体抗体が濃縮されており、
    前記ヒトVH3ドメイン含有抗体がFc領域を含有しない、上記方法。
  6. さらに、
    d)多量体形態の前記抗体の結合を選択的に破壊する溶出緩衝液を適用する工程と、
    e)d)の結果得られる溶出液を回収する工程と
    を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 溶液中において結合していない物質が除去されるように、単量体及び多量体形態の前記ヒトVH3ドメイン含有抗体を含む混合物を適用した後に第1の溶液が前記プロテインAクロマトグラフィー物質に添加される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記結合している抗体が遊離するように溶出緩衝液が前記プロテインAクロマトグラフィー物質に適用される、請求項1、2又は7に記載の方法。
  9. 前記プロテインAが、天然の組換えプロテインAである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記VH3ドメイン含有抗体が、Fab’、F(ab’)、scFv、Fab−Fv、Fab−scFv、Fab−(scFv)、Fab−(Fv)、Fab−dsFv、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディから選択される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記VH3ドメイン含有抗体が、ヒトVH3ドメインを少なくとも2つ含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記VH3ドメイン含有抗体が、OX40に特異的に結合する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記VH3ドメイン含有抗体が、
    −配列番号1、配列番号2及び配列番号3でそれぞれ定義される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3;並びに
    −配列番号4、配列番号5及び配列番号6でそれぞれ定義される軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記VH3ドメイン含有抗体が、配列番号11で定義される第2重鎖可変ドメイン及び配列番号12で定義される第2軽鎖可変ドメインをさらに含む、請求項13に記載の方法。
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