本発明に係る端末装置の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本実施形態に係る端末装置100を組み込んだ監視システムについて説明する。まず、本実施形態に係る監視システムは、監視対象区域に設けられているプラントや、水、電気、ガス等を供給・処理するためのインフラ設備等を監視するために、各プラントや設備に設けられた装置における振動や電流値、圧力等や、気温、湿度、ダム等の水位、川等の流量、風速、雨量、揺れ等の周囲環境の状態など、各プラントや設備における監視対象となる1又は複数の装置や気温等を計測するための地点などに端末装置100を設置し、端末装置100によりサンプリングしたデータを監視サーバ1に収集して監視対象区域におけるプラントや設備の監視を行うためのシステムを想定している。そして、図1に示すように、本監視システムは、各プラントや設備における監視対象となる1又は複数の装置や気温等を計測するための地点などにそれぞれに取り付けられて、監視対象に関する情報を検出するセンサからのセンサデータ3や監視対象に生じたイベント(運転の開始や終了、装置の故障等)に関するイベントデータ4をサンプリングする端末装置100と、各端末装置100から各プラントや設備のデータを電話回線やインターネット等のネットワーク2を介して取得して各プラントや設備を監視する監視サーバ(監視装置に相当)1とからなる。つまり、本監視システムでは、端末装置100でサンプリングされたデータが監視サーバ1に集約されて、監視サーバ1により監視対象区域におけるプラントや設備が一括して監視可能になっている。
次に、図2,3を用いて本実施形態に係る端末装置100について説明する。まず、本実施形態に係る端末装置100は、大まかには、監視対象に取り付けたセンサからのセンサデータ3を取得して数値に変換するデータ変換部101と、データ変換部101からのデータを統計処理してその統計値をサンプリングする統計値サンプリング部102と、データ変換部101からのデータから監視対象の状態等を判定するための判定指標値を演算する指標値演算部103と、イベントデータ4を処理するイベントデータ処理部104と、監視サーバ1と通信可能な通信部105と、を有する。そして、端末装置100は、監視対象からのセンサデータ3を統計値サンプリング部102によりサンプリングして通信部105を介して監視サーバ1に送信しつつ、イベントデータ処理部104によりイベントデータ4を処理して監視対象に生じたイベントも監視サーバ1に送信するようになっている。さらに、端末装置100は、センサデータ3から指標値演算部103により判定指標値を求めて監視対象の状態を判定し、異常があると判定したときは監視対象に異常があることを監視サーバ1に送信するようになっている。つまり、端末装置100は、監視対象に関するセンサデータ3及びイベントデータ4を処理して監視サーバ1に送信するデータ収集機能と、監視対象に異常があったときは異常を監視サーバ1に伝達する監視機能とを有したものとなっている。以下、各部について詳細に説明する。
まず、データ変換部101は、監視対象としての装置における振動や電流値、圧力等や、監視対象とする地点における気温、湿度、風速、雨量等の周囲環境の状態など、各監視対象に関連するセンサデータ3を、所定の処理用サンプリング周期(例えば10ミリ秒周期)で各種センサから取得して、これを数値に変換して統計値サンプリング部102や指標値演算部103における処理用データとしてサンプリングする。つまり、データ変換部101は、センサからのセンサデータ3を処理用データとして所定の処理用サンプリング周期でサンプリングする処理用データサンプリング部として機能する。
統計値サンプリング部102は、データ変換部101でサンプリングされた処理用データを複数のサンプリング周期で統計処理し、統計処理により得た統計値を保存し、各周期で得た統計値をそれぞれ所定のタイミングで監視サーバ1に送信するものである。そして、本実施形態では、統計値サンプリング部102は、機能部として、処理用データをその後の各サンプリング部109,113,116のために統計処理するデータ処理部106と、データ処理部106や各サンプリング部109,113,116で行う統計処理を設定する統計処理設定部107と、統計処理設定部107の設定を切替可能な統計処理切替部108と、処理用データをそれぞれ異なる周期で統計処理して統計値を得る各サンプリング部109,113,116と、各サンプリング部109,113,116で得られた統計値をそれぞれ蓄積的に記憶する各サンプリング記憶部110,114,117と、各サンプリング記憶部110,114,117で記憶された統計値をそれぞれ通信部105に送信させる各サンプリング送信制御部111,115,118と、イベントデータ処理部104からの各種のイベント信号を取得するイベント信号取得部112と、イベントデータ処理部104からの運転信号を取得する運転信号取得部119と、長時間サンプリング部113で取得された長時間サンプリングデータに基づき異常の判定を行う判定部145と、判定部145の判定結果に基づき監視対象に異常がある旨の異常信号を生成する異常信号生成部146と、を備えている。以下、各機能部について説明する。
データ処理部106は、各サンプリング部109,113,116での統計処理のための前処理として、上記した処理用サンプリング周期より長く、後述する短時間サンプリング周期と同じか、又は短時間サンプリング周期よりも短いデータ処理周期(例えば0.1秒周期)で処理用データを統計処理するものである。そして、データ処理部106により処理された後の処理用データは各サンプリング部109,113,116に送られ、各サンプリング部109,113,116においてさらに統計処理されることになる。
統計処理設定部107は、データ処理部106や各サンプリング部109,113,116における統計処理を設定するためのものであり、データ処理部106や各サンプリング部109,113,116における統計処理において、各サンプリング部109,113,116に送るデータや各サンプリングデータ(短時間サンプリングデータ、長時間サンプリングデータ、傾向管理サンプリングデータ)として取得させる統計値の種類を1又は複数設定可能なものである。そして、本実施形態では、統計処理設定部107は、取得させる統計値として、最大値、最小値、及び、平均値のうちのいずれか又は2以上を設定可能となっている。なお、統計処理設定部107で設定可能な統計値は最大値、最小値、及び、平均値に限らず、その他の統計値を適宜設定可能にしてもよい。例えば、最大値と最小値の振れ幅を統計値としてもよいし、その他、平均値を取得する設定とする場合でも、サンプリング期間中に他の値よりも一定以上大きい又は小さいデータがある場合には、平均値と合わせて最大値又は最小値も取得するようにするなど、処理するデータに応じて取得させる統計値を変更する設定も設定可能にしてもよい。また、統計処理設定部107は、データ処理部106や各サンプリング部109,113,116において統計処理を行う周期(データ処理周期、短時間サンプリング周期、長時間サンプリング周期、傾向管理サンプリング周期)も変更可能になっている。なお、データ処理部106や各サンプリング部109,113,116のそれぞれについて、各別に取得させる統計値の種類を設定可能になっている。
統計処理切替部108は、統計処理設定部107の設定を切替可能なものであり、具体的には、本実施形態では、通信部105を介して統計処理切替部108に指示することで統計処理設定部107の設定を切替可能になっている。例えば、監視サーバ1から統計処理切替部108に指示を伝送するようにしたり、その他の装置から統計処理切替部108に指示を送るようにしてもよい。また、通信部105を介して統計処理切替部108に指示するのではなく、統計処理切替部108を外部から操作可能なスイッチ等で構成し、端末装置100に対し直接指示を入力可能にしてもよい。
短時間サンプリング部109は、処理用サンプリング周期より長い短時間サンプリング周期(例えば1秒〜10秒周期)ごとに、統計処理設定部107の設定に従って、短時間サンプリングデータ(第2サンプリングデータに相当)を取得する。具体的には、統計処理設定部107で設定された短時間サンプリング周期がデータ処理部106に設定されたデータ処理周期と同じであるとき、短時間サンプリング部109は、データ処理部106により処理された後の処理用データを短時間サンプリングデータとして取得する(この場合、データ処理部106及び短時間サンプリング部109が第2サンプリング部に相当する)。一方、統計処理設定部107で設定された短時間サンプリング周期がデータ処理部106に設定されたデータ処理周期よりも長いとき、短時間サンプリング部109は、短時間サンプリング周期ごとに、統計処理設定部107の統計処理の設定に従って、各短時間サンプリング周期の間にサンプリングされた処理用データ(本実施形態では、データ処理部106で処理された後の処理用データ)に基づいて統計処理を行い、統計処理により得られた1又は複数の統計値を短時間サンプリングデータとして取得する(この場合、短時間サンプリング部109が第2サンプリング部に相当する)。
短時間サンプリング記憶部(第2記憶部に相当)110は、短時間サンプリング部109で取得された短時間サンプリングデータを時系列的に且つ蓄積的に記憶するものである。即ち、短時間サンプリング記憶部110には、短時間サンプリング部109により短周期でサンプリングされたトレンドデータが記憶される。本実施形態では、短時間サンプリング記憶部110は、所定数(例えば240点。時間に換算すると4分〜40分)の短時間サンプリングデータを記憶可能なリングバッファとしてあり、新たにデータが取得される度に古いデータが削除され、直近の必要なデータのみが保管されるようになっている。これにより、保存する短時間サンプリングデータの数を必要最小限度に抑えてある。そして、後述するように、送信用データ保管部111aにより必要なデータを保存可能になっているので、古いデータが削除されていっても不都合はない。
短時間サンプリング送信制御部(第2送信制御部に相当)111は、所定の送信条件が満たされたときにのみ、通信部105に、短時間サンプリング記憶部110に記憶された短時間サンプリングデータの少なくとも一部を監視サーバ1へ送信させるようになっている。具体的には、短時間サンプリング送信制御部111は、イベント信号取得部112がイベント信号を取得したとき、短時間サンプリング記憶部110に記憶された短時間サンプリングデータのうち、当該イベント信号に応じた範囲の短時間サンプリングデータを取得して保管する送信用データ保管部111aと、送信条件が満たされたとき、通信部105に、送信用データ保管部111aに保管された短時間サンプリングデータを監視サーバ1へ送信させる送信制御部111bと、を備えている。つまり、送信用データ保管部111aにより故障や運転等の何らかのイベントが生じたときに対応するデータを保管しておき、送信条件を満たしたときに監視サーバ1側(監視サーバ1や監視サーバ1を利用する端末の側)にその保管されたデータを送信することで、故障や運転に関連するイベントが生じた場合の詳細なセンサデータ(短時間サンプリングデータ)を監視サーバ1側に送信することが可能になっている。特に、送信条件として通信部105が監視サーバ1側からの所定のデータ要求信号を受信したことを設定している場合でも、通信時間や通信障害の関係等で、故障や運転等の何らかのイベントが生じてから監視サーバ1側からのデータ要求信号を受信するまでに時間に大きなずれがあったとしても、監視サーバ1側に送信されるデータを所望のタイミングのデータとすることができる。
具体的には、本実施形態では、送信用データ保管部111aは、イベント信号取得部112がイベント信号を取得したときに短時間サンプリング記憶部110に格納されている短時間サンプリングデータを保管するようになっている。つまり、短時間サンプリング記憶部110は新たなデータが取得される度に古いデータが削除され、リアルタイムで記憶されているデータが更新されていくが、送信用データ保管部111aにより、イベント発生時の必要な状態のデータについては送信用データ保管部111aに保持されるようになっている。なお、送信用データ保管部111aは、新たにイベント信号を取得する度に、保管するデータを更新するようにしてもいいし、送信制御部111bにより保管したデータを送信させたときに、送信させたデータを削除してもよい。また、送信用データ保管部111aは複数の時点について短時間サンプリング記憶部110に格納されたデータを保管可能にして、新たにイベント信号を取得する度に、イベント信号の種類やイベント信号を取得した時間等と保管するデータとを対応付けて各別に保管するようにしてもよい。この場合、新たにイベント信号を取得する度に、最も古い保管データを削除して代わりに新しい保管用のデータを保管するようにすればいい。そして、送信制御部111bは、送信条件を満たしたと判定したときに、複数の時点の保管データのうち、監視サーバ1側から指定されたものや直近の1又は複数のデータを送信してもいいし、全ての保管データを送信してもいい。
そして、送信制御部111bは送信条件を設定可能な送信条件設定部としても機能し、種々の送信条件を設定可能になっている。本実施形態では、送信制御部111bは、送信用データ保管部111aが新たに短時間サンプリングデータを保管したこと(即ち、イベント信号取得部112がイベント信号を取得したこと)や、通信部105が監視サーバ1側からの所定のデータ要求信号を受信したことのいずれか一方又は双方を設定可能となっている。つまり、送信制御部111bは、送信条件の設定に従って、送信用データ保管部111aが新たに短時間サンプリングデータを保管したとき、又は、通信部105が所定のデータ要求信号を受信したとき、送信条件が満たされたと判定するようになっている。そして、本実施形態では、通信部105を介して送信制御部111bに指示することで送信条件を切替可能になっている。例えば、監視サーバ1から送信制御部111bに指示を伝送するようにしたり、その他の装置から送信制御部111bに指示を送るようにしてもよい。また、通信部105を介して送信制御部111bに指示するのではなく、端末装置100に設けた外部から操作可能なスイッチ等により、送信制御部111bに対し直接指示を入力可能にしてもよい。また、イベント信号取得部112が特定の種類のイベント信号を取得したことを送信条件として設定可能にし、イベント信号の種類によって送信条件を満たすか否かを変更可能としてもよい。例えば、イベント信号が緊急を要する故障データ等の場合はイベント信号取得部112がイベント信号を取得したときにデータ送信するように送信条件を設定し、緊急を要しない運転データ等の場合は、監視サーバ1側からの要求によりデータ送信するよう送信条件を設定する。なお、送信条件として設定するのは上記したものに限られず、他の条件を設定可能にしてもよい。
長時間サンプリング部(第1サンプリング部に相当)113は、短時間サンプリング周期より長い長時間サンプリング周期(第1サンプリング周期に相当。例えば1分周期)ごとに、統計処理設定部107の設定に従って、各長時間サンプリング周期の間にサンプリングされた処理用データ(本実施形態では、データ処理部106で処理された後の処理用データ)に基づいて統計処理を行い、統計処理により得られた1又は複数の統計値を長時間サンプリングデータとして取得する。なお、長時間サンプリング部113は、各長時間サンプリング周期の間にサンプリングされた短時間サンプリングデータを用いて統計処理を行うようにしてもよく、また、処理用データを用いて統計処理を行うか、短時間サンプリングデータを用いて統計処理を行うかを統計処理設定部107の設定に従って切替可能にしてもよい。つまり、データ処理部106、短時間サンプリング部109、長時間サンプリング部113のデータの種類の組合せにより、監視データの種類を柔軟に選択することができる。
長時間サンプリング記憶部114は、長時間サンプリング部113で取得された長時間サンプリングデータを時系列的に且つ蓄積的に記憶するものである。即ち、長時間サンプリング記憶部114には、長時間サンプリング部113により定期的にサンプリングされたトレンドデータが記憶される。そして、本実施形態では、長時間サンプリング記憶部114は、所定数(例えば2880点。時間に換算すると48時間)の長時間サンプリングデータを記憶可能なリングバッファとしてあり、新たにデータが取得される度に古いデータが削除され、直近の必要なデータのみが保管されるようになっている。これにより、保存する長時間サンプリングデータの数を必要最小限度に抑えてある。
長時間サンプリング送信制御部(第1送信制御部に相当)115は、定期的に、通信部105に、長時間サンプリング記憶部114に記憶された長時間サンプリングデータの少なくとも一部を監視サーバ1へ送信させるようになっている。本実施形態では、長時間サンプリング記憶部110が記憶可能な時間よりも短い所定時間(例えば24時間など)ごとに、前回の送信から新たにサンプリングされたデータを送信させるようにしてある。なお、長時間サンプリング記憶部114を設けない構成として、長時間サンプリング部113がデータをサンプリングする度に、長時間サンプリング送信制御部115がサンプリングされたデータを送信するようにしてもよい。また、送信を行う間隔や送信を行う条件等は、送信制御部111bと同様に、通信部105や端末装置100に設けた外部から操作可能なスイッチ等からの指示により切替可能になっている。
そして、本実施形態では、統計値サンプリング部102には、長時間サンプリング部113で取得された長時間サンプリングデータに基づき監視対象に異常があるかを判定する判定部145と、判定部145で異常があると判定されたときに監視対象に異常がある旨の異常信号を生成する異常信号生成部146と、を設けてある。そして、送信制御部111bは、異常信号生成部146で異常信号が生成されたとき、送信条件が満たされたと判定して通信部105に異常信号を監視サーバ1へ送信させるようになっている。そして、本実施形態では、長時間サンプリングデータに閾値を定めておき、閾値を超えたとき又は下回ったときに判定部145が監視対象に異常があると判定し、判定部145で異常があると判定されたときに異常信号生成部146が異常信号を生成し、送信制御部111bがかかる異常信号を通信部105から監視サーバ1に送信させるようになっている。これにより、サンプリングしたデータに異常があるときに、異常信号を監視サーバ1に即時に送信することができる。なお、異常信号生成部146が異常信号を生成したとき、送信用データ保管部111aに短時間サンプリング記憶部110に格納されている短時間サンプリングデータを保管させて、異常信号とともに、又は、異常信号に代えて、送信用データ保管部111aに保管された短時間サンプリングデータを監視サーバ1へ送信させるようにしてもよく、また、長時間サンプリング送信制御部115や、後述する傾向管理サンプリング送信制御部118、指標値演算部103によるデータ送信のタイミングと重複したときには、異常信号や短時間サンプリングデータの送信を優先させるようにしてある。
なお、本実施形態では、短時間サンプリングデータを送信させるのは故障時や運転開始や運転終了時、データ異常時のみの必要時であり、監視サーバ1側に送信する必要性が高いので、送信制御部111b及び長時間サンプリング送信制御部115は、短時間サンプリングデータを送信させるタイミングと長時間サンプリングデータを送信させるタイミングとが重なったとき、通信部105に、短時間サンプリングデータを優先して送信させるようにしてある。
傾向管理サンプリング部116は、長時間サンプリング周期より長い傾向管理サンプリング周期(例えば1時間周期や1日周期)ごとに、統計処理設定部107の設定に従って、各傾向管理サンプリング周期の間にサンプリングされた処理用データ(本実施形態では、データ処理部106で処理された後の処理用データ)に基づいて統計処理を行い、統計処理により得られた1又は複数の統計値を傾向管理サンプリングデータとして取得する。そして、本実施形態では、傾向管理サンプリング部116は、運転信号取得部119が運転信号を取得しているときにのみ傾向管理サンプリングデータを取得するようになっている。つまり、サンプリング周期が十分長期になると、運転時のデータのみを監視できれば十分となるので、運転停止時の不要なデータの取得を回避して、保存するサンプリングデータの数を低減させている。なお、傾向管理サンプリング部116は、各傾向管理サンプリング周期の間にサンプリングされた短時間サンプリングデータや長時間サンプリングデータを用いて統計処理を行うようにしてもよく、また、処理用データ、短時間サンプリングデータ、及び、長時間サンプリングデータのいずれを用いて統計処理を行うかを統計処理設定部107の設定に従って切替可能にしてもよい。
傾向管理サンプリング記憶部117は、傾向管理サンプリング部116で取得された傾向管理サンプリングデータを時系列的に且つ蓄積的に記憶するものである。即ち、傾向管理サンプリング記憶部117には、傾向管理サンプリング部116により定期的にサンプリングされたトレンドデータが記憶される。そして、本実施形態では、傾向管理サンプリング記憶部110は、所定数(例えば240点。時間に換算すると10日や24日)の傾向管理サンプリングデータを記憶可能なリングバッファとしてあり、新たにデータが取得される度に古いデータが削除され、直近の必要なデータのみが保管されるようになっている。
傾向管理サンプリング送信制御部118は、定期的に、通信部105に、傾向管理サンプリング記憶部117に記憶された傾向管理サンプリングデータの少なくとも一部を監視サーバ1へ送信させるようになっている。本実施形態では、傾向管理サンプリング記憶部110が記憶可能な時間よりも短い所定時間(例えば1日など)ごとに、前回の送信から新たにサンプリングされたデータを送信させるようにしてある。なお、送信を行う間隔や送信を行う条件等は、送信制御部111bと同様に、通信部105や端末装置100に設けた外部から操作可能なスイッチ等からの指示により切替可能になっている。
なお、各サンプリング部109,113,116では、それぞれ1つのサンプリング周期ではなくそれぞれ複数のサンプリング周期で統計処理を行い、各サンプリング記憶部110,114,117は各サンプリング周期でのサンプリングデータを各別に記憶するようにしてもよく、例えば、傾向管理サンプリング部116は、1時間周期と1日周期で傾向管理サンプリングデータをサンプリングし、傾向管理サンプリング記憶部117は1時間周期と1日周期とのそれぞれの傾向管理サンプリングデータを各別に記憶するようにしてもよい。
以上のように、統計値サンプリング部102は、データ処理部106により、統計処理切替部108に対する指示に応じて設定された統計処理設定部107の設定に従って統計処理を行い、設定に応じた1又は複数の統計値を得て、データ処理部106により処理した後の処理用データを短時間サンプリング部109、長時間サンプリング部113、傾向管理サンプリング部116の3つによりそれぞれ異なるサンプリング周期でデータを統計処理してサンプリングするようになっている。
そして、統計処理を行う場合、サンプリング周期より期間の短い変動が生じたときに、統計処理として平均値を取得すると、その変動を見逃すおそれがあるので、その場合には、変動の種類に応じて最大値や最小値を取得する必要がある(図7参照)。そこで、本実施形態に係る統計値サンプリング部102は、統計処理切替部108により各サンプリング部で得る統計値の数と種類を各別に設定できるので、端末装置100を設置する監視対象の種類に応じて適切な統計値を設定できる。例えば、大きなデータの流れを観察できるように長時間サンプリング部113や傾向管理サンプリング部116は平均値処理を行い、故障時等に発生する短時間のサージ波形などを観察するために短時間サンプリング部109は最大値、あるいは最大値と最小値の統計処理を設定することが挙げられる。
なお、データ処理部106、短時間サンプリング部109、長時間サンプリング部113、及び、傾向管理サンプリング部116におけるデータの統計処理の種類は、その後段(統計処理後のデータの送り先)のサンプリング部の統計処理の種類と同じものが設定され、短時間サンプリング部109、長時間サンプリング部113、傾向管理サンプリング部116が前段(統計処理用のデータの送り元)のサンプリング部からサンプリングするデータは、同じ統計処理のものから取得されるようにしている。例えば、共にデータ処理部106のデータに基づいて、統計処理により、短時間サンプリング部109が最大値と最小値、長時間サンプリング部113が平均値を求める場合、データ処理部106の統計処理は最大、最小、平均が設定され、短時間サンプリング部109はデータ処理部106の統計処理により得られた最大値及び最小値のデータから最大値及び最小値を得る統計処理を行い、長時間サンプリング部113は、データ処理部106の統計処理により得られた平均値データから平均値を得る統計処理を行う。
また、本実施形態に係る統計値サンプリング部102は、短時間サンプリング部109により短周期でサンプリングしたデータを故障や運転等のイベントが生じたとき等必要時にのみ監視サーバ1側に送信させるようにしつつ、長時間サンプリング部113によりサンプリングしたデータを定期的に監視サーバ1側に送信させて監視対象を定期監視するようになっている。つまり、通常時は長時間サンプリング周期で取得したデータを送信するのみとし、短周期でサンプリングした詳細なデータについては必要時にのみ送信することで、詳細なデータを必要時には確実に得ながらも全体としてデータ伝送量を抑え、データ通信料を抑制できるようになっている。また、より長期のサンプリング周期の傾向管理サンプリング部116によって、監視対象の経時的な劣化等の長期的な傾向を監視するためのより長周期のデータを得るようになっている。
次に、指標値演算部103について説明する。指標値演算部103は、データ変換部101からのデータから監視対象の状態等を判定するための判定指標値を演算するためものであり、そのために、機能部として、処理用データから判定指標値を演算するための各演算処理部120,126と、短時間演算処理部120で演算された判定指標値を所定の周期で統計処理して統計値を得る傾向管理サンプリング部129と、各演算処理部120,126で得られた判定指標値及び傾向管理サンプリング部129で得られた統計値をそれぞれ蓄積的に記憶する各記憶部121,127,130と、各記憶部121,127,130で記憶されたデータをそれぞれ通信部105に送信させる各送信制御部121,128,131と、イベントデータ処理部104からの各種のイベント信号を取得するイベント信号取得部123と、各演算処理部120,126で行う演算処理を設定する演算処理設定部124と、演算処理設定部124の設定を切替可能な演算処理切替部125と、イベントデータ処理部104からの運転信号を取得する運転信号取得部132と、傾向管理サンプリング部129で行う統計処理を設定する統計処理設定部133と、統計処理設定部133の設定を切替可能な統計処理切替部134と、短時間演算処理部120で演算された判定指標値に基づき判定を行う判定部135と、判定部135の判定結果に基づき監視対象に異常がある旨の異常信号を生成する異常信号生成部136と、を備えている。以下、各機能部について説明する。
短時間演算処理部(第2サンプリング部に相当)120は、処理用サンプリング周期(及び上記したデータ処理周期)より長い短時間サンプリング周期(第2サンプリング周期に相当。例えば1秒〜10秒周期)ごとに、演算処理設定部124の設定に従って、各短時間サンプリング周期の間にサンプリングされた時系列的な処理用データに基づいて短時間判定指標値を演算する。具体的には、図3に示すように、短時間演算処理部120は、差分値群取得部120aと、分散値演算部120bと、分析値演算部120cと、演算設定部120dと、を備えている。
差分値群取得部120aは、短時間サンプリング周期ごとに、各短時間サンプリング周期の間にサンプリングされた時系列的な処理用データについて平滑化処理を行い、処理用データとこれに対応する平滑化処理により得た値との差分値を各処理用データについて得た差分値群を取得するものであり、分散値演算部120bは、短時間判定指標値として、短時間サンプリング周期ごとに、差分値群取得部120aで取得された差分値群における分散値を演算するものである。例えば、ある短時間サンプリング周期において図4に示すような処理用データ(図4における生データ)が得られた場合、差分値群取得部120aは、平滑化処理により例えば移動平均(図4における移動平均)を算出し、各処理用データと対応する移動平均値とについて差分値(残差)を算出する。これにより、図5に示すような差分値の時間変化(差分値群)が得られ、そして、分散値演算部120bは、差分値の時間変化(差分値群)から図6に示すような差分値のヒストグラムを作成でき、差分値群の分散値を算出することができる。
分析値演算部120cは、短時間サンプリング周期ごとに、各短時間サンプリング周期の間にサンプリングされた時系列的な処理用データについて周波数分析を行い、短時間判定指標値として分析値を演算する。例えば、分析値としては振動数や周波数等が挙げられる。
演算設定部120dは、短時間判定指標値として、分散値演算部120bにより分散値群を演算するか、分析値演算部120cにより分析値を演算するか、又は、両方を演算するかを設定するものであり、第1演算処理部120では、演算設定部120dの設定に応じて、分散値及び分析値の一方又は双方を短時間判定指標値として演算するようになっている。具体的には、演算設定部120dは、演算処理設定部124の設定に応じて、分散値及び分析値の一方又は双方を短時間判定指標値として演算するかを設定するようになっている。
演算処理設定部124は、短時間演算処理部120や長時間演算処理部126における演算処理を設定するためのものであり、前述のように短時間判定指標値としていずれを演算させるか、差分値群取得部120aにおける平滑化処理として何を行うか、分散値や分析値を得るためのパラメータ、演算処理を行う周期(短時間サンプリング周期、長時間サンプリング周期)等の種々の演算処理のための条件を設定可能になっている。
演算処理切替部125は、演算処理設定部124の設定を切替可能なものであり、本実施形態では、統計処理切替部108と同様にして、通信部105や端末装置100に設けた外部から操作可能なスイッチ等からの指示により演算処理設定部124の設定を切替可能になっている。
短時間演算処理記憶部(第2記憶部に相当)121は、短時間演算処理記憶部121で取得された短時間判定指標値を時系列的に且つ蓄積的に記憶するものである。なお、短時間演算処理記憶部121は、短時間サンプリング記憶部110と同様に、所定数(例えば240点。時間に換算すると4分〜40分)の短時間判定指標値を記憶可能なリングバッファで構成されている。
短時間演算処理送信制御部(第2送信制御部に相当)122は、短時間演算処理記憶部121で取得された短時間判定指標値を通信部105に送信させるものであり、イベント信号取得部123がイベント信号を取得したとき、短時間演算処理記憶部121に記憶された短時間判定指標値のうち、当該イベント信号に応じた範囲の短時間判定指標値を取得して保管する送信用データ保管部122aと、送信条件(送信用データ保管部122aが新たにデータを保管したことや、通信部105が監視サーバ1側からの所定のデータ要求信号を受信したことなど)が満たされたとき、通信部105に、送信用データ保管部122aに保管された短時間判定指標値を監視サーバ1へ送信させる送信制御部122bと、を備えている。なお、短時間演算処理送信制御部122は、基本的に、短時間演算処理記憶部121で取得された短時間判定指標値を送信させることを除き、短時間サンプリング送信制御部111と同様に構成されている。
そして、本実施形態では、指標値演算部103には、短時間演算処理部120で演算された短時間判定指標値に基づき監視対象に異常があるかを判定する判定部135と、判定部135で異常があると判定されたときに監視対象に異常がある旨の異常信号を生成する異常信号生成部136と、を設けてある。そして、送信制御部122bは、異常信号生成部136で異常信号が生成されたとき、通信部105に異常信号を監視サーバ1へ送信させるようになっている。つまり、監視対象の異常の種類によっては処理用データの揺らぎが大きくものがあり、処理用データの揺らぎが大きくなると分散値が大きくなることになる。このような場合、短時間判定指標値として分散値を演算すれば、処理用データの揺らぎを大きくさせるような監視対象の異常を検出できる。また、短時間判定指標値として振動数や周波数等の分析値を演算すれば、異常の発生によりセンサデータ3の固有振動数を変化させる等の分析値に関連する異常を検出できる。そして、本実施形態では、分散値や分析値に閾値を定めておき、閾値を超えたとき又は下回ったときに判定部135が監視対象に異常があると判定し、判定部135で異常があると判定されたときに異常信号生成部136が異常信号を生成し、送信制御部122bがかかる異常信号を通信部105から監視サーバ1に送信させるようになっている。なお、異常信号を送信するとき、送信用データ保管部122aに保管された短時間判定指標値を監視サーバ1へ送信させるようにしてもよく、また、統計値サンプリング部102によるデータ送信のタイミングや短時間演算処理送信制御部122や、後述する長時間演算処理送信制御部128、傾向管理サンプリング送信制御部131における判定指標値の送信のタイミングと重複したときには、異常信号の送信を優先させるようにしてある。
長時間演算処理部(第1サンプリング部に相当)126は、短時間サンプリング周期より長い長時間サンプリング周期(第1サンプリング周期に相当。例えば1分周期)ごとに、演算処理設定部124の設定に従って、各長時間サンプリング周期の間にサンプリングされた時系列的な処理用データに基づき、短時間演算処理部120で演算された短時間判定指標値に対応する長時間判定指標値を演算するものである。なお、長時間演算処理部126は、サンプリング周期が異なるのみで、他は短時間演算処理部120と同様の構成を有している。また、長時間演算処理部126で求めた長時間判定指標値についても判定部135により判定を行い、異常時には異常信号生成部136により異常信号を生成させてもよい。
長時間演算処理記憶部127は、長時間演算処理部126で演算された長時間判定指標値を時系列的に且つ蓄積的に記憶するものであり、長時間サンプリング記憶部114と同様に、所定数(例えば240点。時間に換算すると4時間)の長時間判定指標値を記憶可能なリングバッファとしてあり、新たにデータが取得される度に古いデータが削除され、直近の必要なデータのみが保管されるようになっている。
長時間演算処理送信制御部(第1送信制御部に相当)128は、定期的に、長時間演算処理記憶部127に記憶された長時間判定指標値を通信部105に送信させるものであり、長時間演算処理記憶部127に記憶された長時間判定指標値を記憶することを除き、長時間サンプリング送信制御部115と同様に構成されている。
傾向管理サンプリング部129は、長時間サンプリング周期より長い傾向管理サンプリング周期(例えば1時間周期や1日周期)ごとに、統計処理設定部133の設定に従って、各傾向管理サンプリング周期の間に取得された時系列的な短時間判定指標値に基づき統計処理を行い、統計処理により得られた1又は複数の統計値を傾向管理サンプリングデータとして取得する。そして、本実施形態では、傾向管理サンプリング部129は、運転信号取得部132が運転信号を取得しているときにのみ傾向管理サンプリングデータを取得するようになっている。なお、傾向管理サンプリング部129は、各傾向管理サンプリング周期の間にサンプリングされた長時間判定指標値を用いて統計処理を行うようにしてもよく、また、短時間判定指標値、及び、長時間判定指標値のいずれを用いて統計処理を行うかを統計処理設定部133の設定に従って切替可能にしてもよい。
なお、傾向管理サンプリング記憶部130、傾向管理サンプリング送信制御部131、統計処理設定部133、及び、統計処理切替部134は、それぞれ、傾向管理サンプリング記憶部117、傾向管理サンプリング送信制御部118、統計処理設定部107、及び、統計処理切替部108と同様の構成を有している。つまり、傾向管理サンプリング部129により、統計処理切替部134で設定された統計処理設定部133に基づき統計処理を行い、得られた統計値を傾向管理サンプリング記憶部130に蓄積的に記憶して、傾向管理サンプリング送信制御部131により、傾向管理サンプリング記憶部130に記憶された統計値の少なくとも一部を、定期的に通信部105に送信させるようになっている。
以上のように、指標値演算部103は、異なるサンプリング周期で、監視対象の状態を判定するための判定指標値を演算させて、監視対象の状態を判定することができるようになっている。そして、演算した判定指標値を蓄積的に記憶し、長時間判定指標値や傾向管理サンプリングデータを定期的に監視サーバ1側に送信させつつ、短周期でサンプリングした判定指標値については必要時にのみ送信することでデータ伝送量を抑えて、データ通信料を抑制できるようになっている。なお、統計値サンプリング部102で採用されている構成、及び、採用することのできる構成は、指標値演算部103でも同様に採用することができる。
次に、イベントデータ4を処理するイベントデータ処理部104について説明する。イベントデータ処理部104は、イベントデータ4に基づき監視対象に生じたイベントを示すイベント信号を生成して、統計値サンプリング部102や指標値演算部103の動作を制御したり、生成したイベント信号を監視サーバ1側に送信させるものであり、機能部として、イベントデータ取得部137と、イベント信号生成部138と、データ保管範囲設定部139と、データ保管制御部140と、を備えている。
イベントデータ取得部137は、監視対象に所定のイベントが生じたことを示す各種イベントデータ4を取得するものである。イベントデータ4としては、例えば、監視対象が故障したことを示す故障データ、運転中であることを示す運転データが挙げられる。
イベント信号生成部138は、イベントデータ取得部137が取得したイベントデータ4に応じたイベント信号を生成する。例えば、装置を監視対象とする場合には、イベントデータ取得部137が故障データを取得したときは監視対象が故障したことを示す故障信号を故障の種類に応じて生成し、イベントデータ取得部137が運転データを取得していた状態から運転データを取得しない状態に切り替わったときは監視対象が運転停止したことを示す運転停止信号を生成し、イベントデータ取得部137が運転データを取得していない状態から運転データを取得する状態に切り替わったときは監視対象が運転開始したことを示す運転開始信号を生成し、イベントデータ取得部137が運転データを継続して取得しているときは監視対象が運転中であることを示す運転信号を生成するようになっている(設置地点における気温等を監視する場合には、雨等の気象の変化や地震等の天災の発生等を示すイベント信号を生成することが挙げられる)。そして、生成されたイベント信号はデータ保管制御部140に送られ、また、イベント信号のうち、判別部141により運転信号のみが運転信号取得部119,132に送られる。また、監視対象の誤作動により誤ったイベントデータ4が瞬間的に生じたりした場合にイベント信号が生じないように、イベント信号生成部138は、イベントデータ取得部137がイベントデータを所定時間継続して取得したときにイベント信号を生成するようになっている。
データ保管範囲設定部139は、イベント信号生成部138で生成されたイベント信号の種類ごとに、送信用データ保管部111a,122aが保管すべき短時間サンプリングデータ及び短時間判定指標値の範囲を設定したデータ保管範囲情報を格納するものであり、データ保管制御部140は、データ保管範囲情報に基づき、イベント信号の種類に応じて、送信用データ保管部111a,122aに、送信用データ保管部111a,122aが保管すべき短時間サンプリングデータ及び短時間判定指標値の範囲を保管させるようになっている。具体的には、データ保管範囲設定部139には、イベント信号の種類ごとに、データ保管制御部140に送信を遅延させる時間が設定されており、データ保管制御部140は、イベント信号生成部138で生成されたイベント信号を受け取って、データ保管範囲設定部139の設定に基づきイベント信号の種類に応じた時間だけイベント信号を保持して、その後受け取ったイベント信号を送信用データ保管部111a,122aに送信するものである。つまり、データ保管制御部140は、イベント信号の種類に応じた時間だけイベント信号の送信用データ保管部111a,122aへの送信を遅延させるようになっている。そして、送信用データ保管部111a,122aに送信されたイベント信号は、判別部142により送信用データ保管部111a,122aの一方又は双方に送信される。なお、データ保管範囲設定部139の設定は、通信部105や端末装置100に設けた外部から操作可能なスイッチ等からの指示により切替可能になっている。
例えば、運転開始時のデータとして必要となるのは運転開始後定常運転に移るまでの所定期間の範囲のデータであり、運転終了時のデータとして必要となるのは運転終了後から運転が完全に停止するまでの所定期間の範囲のデータであるが、運転開始信号や運転停止信号が生成されたとき、直ちに送信用データ保管部111a,122aに短時間サンプリング記憶部110や短時間演算処理記憶部121に記憶されたデータを保管させると、運転開始前や運転終了前の範囲のデータしか取得できず、必要な範囲のデータが保管できない。そこで、データ保管範囲設定部139によりイベント信号の種類ごとにデータ保管制御部140に送信を遅延させる時間を設定しておき、データ保管制御部140によりイベント信号の種類に応じた時間だけイベント信号の送信用データ保管部111a,122aへの送信を遅延させることで、イベント信号取得部112,123が運転開始信号や運転停止信号等を取得するタイミングを運転開始後定常運転に移った後のタイミングや運転終了後から運転が完全に停止するタイミングとして、必要な範囲のデータが送信用データ保管部111a,122aに保管されるようになっている。なお、データ保管制御部140は、送信用データ保管部111a,122aに送信する信号から運転信号は除いてある。
また、データ保管制御部140は、送信用データ保管部111a,122aに送信するのと同じタイミングで、又は、イベント信号生成部138からイベント信号を受け取ったときに、通信部105にイベント信号を監視サーバ1側に送信させるようにしてある。
このように、イベントデータ処理部104は、イベントデータ4に応じたイベント信号を生成し、イベント信号を監視サーバ1側に送信させるようになっている。そして、データ保管制御部140により、送信用データ保管部111a,122aにデータを保管させるタイミングを適切なものとしている。
以上のように、本実施形態に係る端末装置100は、統計値サンプリング部102により監視対象からのセンサデータ3をサンプリングして監視サーバ1に送信し、指標値演算部103によりセンサデータ3から判定指標値を求めて監視対象の状態を判定し、イベントデータ処理部104によりイベントデータ4を処理して監視対象に生じたイベントも監視サーバ1に送信するとともに統計値サンプリング部102及び指標値演算部103を制御するようになっている。
最後に、本実施形態に係る端末装置100の利点について説明する。まず、監視対象の種類によってはサンプリング周期より期間の短い変動が生じることがあり、統計処理として平均値を取得すると、その変動を見逃すおそれがある。そして、データにどのような変動が生じ得るかは装置の種類によってある程度決まっている。その場合には、変動の種類に応じて最大値や最小値を取得する必要がある。これに対し、本実施形態では、統計処理切替部107,133により各サンプリング部109,113,116,129で得る統計値の数と種類を各別に設定できるから、端末装置100を設置する監視対象の種類に応じて適切な統計値を設定できる。これにより、必要なデータを取得しつつ、保存するサンプリングデータの数を効果的に低減できる。
そして、本実施形態に係る端末装置100は、監視サーバ1にサンプリングデータを送信するのみならず、指標値演算部103によりサンプリングデータから判定指標値を求め監視対象の状態を判定可能になっており、監視対象に生じた異常を的確に察知できるようになっている。また、端末装置100で行う上記した判定指標値の演算を監視サーバ1側で行うとすると、膨大な量のデータを監視サーバ1側に送信することになるが、判定指標値の演算を端末装置100で行うことでデータ伝送量を抑え、データ通信料を抑制できるようになっている。
本実施形態に係る端末装置100は、短時間サンプリング部109、短時間演算処理部120により短周期で得たデータを故障や運転等のイベントが生じたとき等必要時にのみ監視サーバ1側に送信させるようにしつつ、長時間サンプリング部113、長時間演算処理部126により得たデータは定期的に監視サーバ1側に送信させて監視対象を定期監視するようにしてある。つまり、通常時は長時間サンプリング周期で取得したデータを送信するのみとし、短周期でサンプリングした詳細なデータについては必要時にのみ送信することで、詳細なデータを必要時には確実に得ながらも全体としてデータ伝送量を抑え、データ通信料を抑制できるようになっている。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る端末装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)図2で示す構成は全て採用する必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、図2で示した構成の一部のみを採用するものであってもよい。例えば、傾向管理サンプリング部116,129、及び、これに関連する構成を採用することなく、短時間サンプリング周期と長時間サンプリング周期によるデータのみを得るようにしてもよいし、統計値サンプリング部102と指標値演算部103との一方のみを設けてもよく、また、イベントデータ処理部104を設けなくてもよいし、データ処理部106での統計処理は行わずデータ変換部101の処理用データを各サンプリング部109,113,116に送る構成とする、など適宜変更可能である。
(2)上記の実施形態では、データ保管制御部140は、イベント信号の種類に応じた時間だけイベント信号の送信用データ保管部111a,122aへの送信を遅延させる構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、データ保管制御部140は、データ保管範囲情報に基づき、イベント信号の種類に応じて、送信用データ保管部111a,122aに、送信用データ保管部111a,122aが保管すべき短時間サンプリングデータ及び短時間判定指標値の範囲を保管させる構成であれば、特に限定されない。
(3)端末装置100に接続されるセンサは1つでも複数であってもよい。複数のセンサが接続される場合、それぞれのセンサ毎に統計処理の種類やサンプリング周期等の設定が行えるようにしてもよい。
(4)端末装置100が用いられるシステムは、図1に示すものに限られず、端末装置100と監視サーバ1との間にデータを受け渡しする中継局を設けるものであるなど、適宜変更可能である。
(5)各記憶部110,114,117,121,127,130はリングバッファに限らず、種々のものを用いることができる。
(6)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。