以下、図面を参照して本発明の温度管理方法および恒温ユニットを説明する。以下では、まず、本発明の恒温ユニットの実施の形態について説明し、次に、本発明の温度管理方法の実施の形態について説明する。
[恒温ユニット:実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る恒温ユニット100の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット100は、たとえば、医薬品やその他、所定の管理温度の範囲に維持することが必要な物品の輸送などに用いられる。すなわち、恒温ユニット100は、収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持するものである。恒温ユニット100は、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する恒温組成物21を備え、管理時間の間、管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20と、恒温材20とともに内容物Cを収容する断熱容器30と、を備えている。
本実施形態において、管理時間は、たとえば、10時間以上24時間以下であり、管理温度の範囲は、たとえば、10℃以上30℃以下である。また、本実施形態の恒温ユニット100は、少なくとも一時的に管理温度の範囲よりも高温または低温になる冷熱材10を備え、冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20が配置されている。本実施形態の恒温ユニット100は、冷熱材10として、管理温度の上限温度よりも高温になる加温材11を備えている。
加温材11は、たとえば、破断可能な収容袋12aと、この収容袋12aに収容された液体12bと、収容袋12aの破断により液体12bと接触して発熱する発熱剤12cと、を備える発熱ユニット12である。加温材11は、たとえば、収容袋12aの表面に一端が接合された紐12dの他端を引っ張ることで、収容袋12aが破断し、収容袋12aに収容された水などの液体12bが、生石灰などの発熱剤12cに接触するように構成されている。
恒温材20は、たとえば、熱抵抗が5.0W/mK以下、比熱が2.0J/gK以上、かつ密度が0.5g/cm3以上の恒温組成物21と、この恒温組成物21を収容する容器22とを備えている。恒温組成物21は、たとえば、所定の管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有している。恒温組成物21は、たとえば、水を主体とするものを用いることができる。この場合、恒温組成物21の融点または凝固点は、おおむね0℃である。したがって、恒温組成物21は、上記管理温度の範囲において、常に融解した液相である。また、恒温組成物21は、エチレングリコールを含んでもよい。
水は、熱抵抗が約0.6W/mkであり、比熱が約4.2J/gK、密度が1g/cm3である。また、氷は、比熱が約2.1J/gKであり、密度が約0.9g/cm3である。エチレングリコールは、比熱が2.3J/gKであり、密度が1.11g/cm3である。恒温材20の容器22は、特に限定されないが、たとえば、可撓性を有する樹脂フィルムや、定形性を有する樹脂成形体などからなるものを用いることができる。
なお、恒温材20とともに、管理温度の範囲内に融点または凝固点を有する蓄熱組成物41を備えた蓄熱材40を用いてもよい。たとえば、管理温度の範囲が10℃以上かつ30℃以下である場合、蓄熱材40の蓄熱組成物41として、硫酸ナトリウム10水塩やノルマルパラフィンなどを用いることができる。
本実施形態の恒温ユニット100は、冷熱材10と内容物Cとの間に配置された恒温材20以外にも、内容物Cと断熱容器30との間に複数の恒温材20を備えている。図示の例において、恒温材20は、冷熱材10と内容物Cとの間に一つ、断熱容器30の本体31の底壁と冷熱材10との間に一つ、内容物Cと蓋32との間に二つが配置されている。すなわち、図示の例において、恒温材20は、冷熱材10の両側に配置されている。なお、恒温材20は、断熱容器30の本体31の側壁と内容物Cの間に配置されていてもよい。
断熱容器30は、断熱性を有するものであれば特に限定されないが、コスト削減と高断熱性を両立する観点から、たとえば、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)などの発泡樹脂製容器を用いることが好ましい。断熱容器30は、たとえば、上部に開口部を有する本体31と、本体31の開口部を閉塞する蓋32を有している。前述のように、加温材11として紐12dを引っ張ることで発熱する発熱ユニット12を用いる場合、断熱容器30は、発熱ユニット12の紐12dを通す貫通孔33を有することができる。
断熱容器30の断熱性の低下を防止する観点から、貫通孔33は、発熱ユニット12の紐12dを操作できる範囲で、できるだけ小さいことが好ましい。図1に示す例において、貫通孔33は、本体31の上端面または蓋32の下端面に溝状に形成され、蓋32の下端面に設けられた凸部32aを貫通している。なお、貫通孔33は、断熱容器30の内部に収容される発熱ユニット12の紐12dの一端の高さに合わせて本体31の側壁に形成してもよい。
本実施形態の恒温ユニット100は、断熱容器30に内容物Cを収容した後、たとえば輸送中などに、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも高温または低温になることが考えられる。このような場合、たとえば、断熱容器30の外表面の温度が管理温度の範囲よりも高温または低温になり、断熱容器30の外部と内部の温度差の影響により、恒温材20の温度が変化する。
ここで、本実施形態において、恒温材20は、熱抵抗が5W/mK以下、比熱が2.0J/gK以上、かつ密度が0.5g/cm3以上の恒温組成物21を備えている。これにより、恒温材20の温度変化が抑制され、恒温材20の温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度範囲に維持することが可能になる。また、本実施形態において、恒温組成物21は、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有している。これにより、恒温組成物21は、所定の管理時間の間、融解した液相の状態を維持することができ、恒温材20の温度変化を抑制することができる。
なお、断熱容器30の外部の気温の時間変化が既知である場合、たとえば、断熱容器30と外気との間の熱の移動を算出し、上記の特性を備えた恒温組成物21の初期温度と重量を管理することで、恒温材20を所定の管理時間の間、所定の管理温度に維持することができる。これにより、断熱容器30に収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持することが可能になる。
また、恒温ユニット100を、たとえば寒冷地に向けて輸送する場合には、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも大幅に低下することが考えられる。たとえば、前記従来の定温保管容器は、環境温度が第2の蓄熱材の融点または凝固点よりも低い場合には、第2の蓄熱材の凝固後に、被収容物を収容する空間の温度が急激に低下するおそれがある。すなわち、第2の蓄熱材の凝固後は、環境温度によって凝固状態の第2の蓄熱材の温度が急速に低下し、第2の蓄熱材によって冷却された凝固状態の第1の蓄熱材の温度が急速に低下して、被収容物を収容する空間の温度が急激に低下するおそれがある。
これに対し、本実施形態の恒温ユニット100は、断熱容器30の内部に冷熱材10として加温材11が収容され、加温材11が発熱ユニット12によって構成されている。本実施形態の恒温ユニット100は、断熱容器30の外部の気温が管理温度よりも低下すると、断熱容器30の温度が管理温度の範囲よりも低下して、断熱容器30の内部の恒温材20の温度が徐々に低下する。しかし、恒温材20の温度が管理温度の範囲よりも低下する前に、発熱ユニット12の紐12dを引っ張って発熱剤12cを発熱させることで、加温材11によって恒温材20を加温して、恒温材20の温度低下を防止できる。
また、本実施形態の恒温ユニット100は、断熱容器30に内容物Cを収容するときに、内容物Cと冷熱材10との間に恒温組成物21が液相の恒温材20を介在させることができる。これにより、冷熱材10としての加温材11が、少なくとも一時的に管理温度の範囲よりも高温になっても、恒温材20が加温材11の加温による内容物Cの温度変化を緩和する熱緩衝材として機能し、内容物Cが管理温度の範囲を超えて高温になることが防止される。また、恒温材20は、加温材11によって加温されることで、管理時間の間、管理温度の範囲内の温度に維持される。
また、本実施形態の恒温ユニット100は、内容物Cと断熱容器30との間に恒温組成物21が液相の恒温材20を有することで、恒温材20によって断熱容器30の内部の温度変化を抑制することができる。より詳細には、内容物Cと断熱容器30との間に配置された恒温材20は、断熱容器30の外部から内部へ伝わる熱を吸収し、または、断熱容器30の内部から外部へ伝わる熱を吸収する。ここで、恒温材20は、前述のように、温度変化を小さくして、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲の温度を維持するための熱特性を有している。これにより、恒温材20によって断熱容器30の内部の温度変化を抑制することができる。
また、本実施形態の恒温ユニット100において、恒温材20は、冷熱材10の両側に配置されている。これにより、冷熱材10によって、二つの恒温材20を同時に加温して恒温材20を所定の管理温度の範囲内の温度することで、より長時間にわたって恒温材20によって内容物Cを所定の管理温度の範囲内に維持することができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット100によれば、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する恒温組成物21を備え、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[恒温ユニット:実施形態2]
次に、本発明の恒温ユニットの実施形態2について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態2に係る恒温ユニット200の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット200は、複数の冷熱材10を備える点で、前述の実施形態1の恒温ユニット100と異なっている。本実施形態の恒温ユニット200のその他の構成は、前述の実施形態1の恒温ユニット100と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。実施形態においても、管理時間は、たとえば、10時間以上24時間以下であり、管理温度の範囲は、たとえば、10℃以上30℃以下である。
本実施形態の恒温ユニット200は、冷熱材10として、発熱ユニット12により構成された二つの加温材11が、恒温材20を介して内容物Cの上下方向の両側に配置されている。なお、冷熱材10の数は、二つに限定されず、断熱容器30の外部の気温等に応じて追加することができる。また、複数の冷熱材10は、恒温材20を介して、たとえば内容物Cの横方向両側、すなわち前後方向の両側や左右方向の両側に配置されていてもよい。
また、本実施形態の恒温ユニット200は、前述の実施形態1の恒温ユニット100と同様に、一つの冷熱材10の両側に二つの恒温材20が配置されている。これにより、二つの冷熱材10によって、四つの恒温材20を同時に、または、二つずつ順次加温して、恒温材20を所定の管理温度の範囲内の温度にする。これにより、より長時間にわたって恒温材20によって内容物Cの温度を所定の管理温度の範囲内に維持することができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット200によれば、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[恒温ユニット:実施形態3]
次に、本発明の恒温ユニットの実施形態3について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態3に係る恒温ユニット300の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット300は、主に、冷熱材10の構成が、前述の実施形態1の恒温ユニット100と異なっている。本実施形態の恒温ユニット300のその他の構成は、前述の実施形態1の恒温ユニット100と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。実施形態においても、管理時間は、たとえば、10時間以上24時間以下であり、管理温度の範囲は、たとえば、10℃以上30℃以下である。
本実施形態の恒温ユニット300は、冷熱材10として、恒温材20と同一の構成を有し、初期温度が管理温度の範囲よりも高温になるように温度が調節された加温材11を備えている。したがって、本実施形態の恒温ユニット300によれば、前述の実施形態1の恒温ユニット100と同様に、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも低い場合に、加温材11によって恒温材20を加温して、恒温材20の温度低下を防止できる。
また、本実施形態の恒温ユニット300は、前述の実施形態1の恒温ユニット100と同様に、断熱容器30に内容物Cを収容するときに、内容物Cと冷熱材10との間に恒温材20を介在させることができる。これにより、冷熱材10としての加温材11が、少なくとも一時的に管理温度の範囲よりも高温になっても、恒温組成物21が液相の恒温材20が加温材11の加温による内容物Cの温度変化を緩和する熱緩衝材として機能し、内容物Cが管理温度の範囲を超えて高温になることが防止される。また、加温材11の温度が管理温度の範囲内の温度に低下した後も、加温材11が恒温材20と同一の構成を有することで、加温材11の温度低下が防止され、恒温材20を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
また、本実施形態の恒温ユニット300は、前述の実施形態1および実施形態2の恒温ユニット100,200と異なり、断熱容器30に発熱ユニット12の紐12dを挿通させる貫通孔33を形成する必要がない。したがって、断熱容器30の断熱性をより向上させることができ、貫通孔33を形成する手間を省くことができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット300によれば、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する恒温組成物21を備え、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[恒温ユニット:実施形態4]
次に、本発明の恒温ユニットの実施形態4について、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態4に係る恒温ユニット400の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット400は、複数の冷熱材10を備える点で、前述の実施形態3の恒温ユニット300と異なっている。本実施形態の恒温ユニット400のその他の構成は、前述の実施形態3の恒温ユニット300と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においても、管理時間は、たとえば、10時間以上24時間以下であり、管理温度の範囲は、たとえば、10℃以上30℃以下である。
本実施形態の恒温ユニット400は、冷熱材10としての二つの加温材11が、恒温材20を介して内容物Cの上下方向の両側に配置されている。なお、冷熱材10の数は、二つに限定されず、断熱容器30の外部の気温等に応じて追加することができる。また、複数の冷熱材10は、恒温材20を介して、たとえば内容物Cの横方向両側、すなわち前後方向の両側や左右方向の両側に配置されていてもよい。
また、本実施形態の恒温ユニット400は、前述の実施形態3の恒温ユニット300と同様に、一つの冷熱材10の両側に二つの恒温材20が配置されている。これにより、二つの冷熱材10によって、四つの恒温材20を同時に加温して、恒温材20を所定の管理温度の範囲内の温度にすることで、より長時間にわたって、恒温材20によって内容物Cを所定の管理温度の範囲内に維持することができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット400によれば、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温組成物21が液相の恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[恒温ユニット:実施形態5]
次に、本発明の恒温ユニットの実施形態5について、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態5に係る恒温ユニット500の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット500は、冷熱材10を有しない点で、前述の実施形態4の恒温ユニット400と異なっている。本実施形態の恒温ユニット500のその他の構成は、前述の実施形態4の恒温ユニット400と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態において、管理温度の範囲は、たとえば、10℃以上30℃以下、または、2℃以上8℃以下である。
恒温ユニット500は、収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持するものである。恒温ユニット500は、管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20と、恒温材20とともに内容物Cを収容する断熱容器30と、を備えている。これにより、所定の管理時間の間、恒温組成物21が液相の恒温材20によって、内容物Cの温度を所定の管理温度の範囲内に維持することができる。また、本実施形態の恒温ユニット500は、冷熱材10を有しないことで、前述の実施形態4の恒温ユニット400よりも、軽量化とコスト低減を図ることができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット500によれば、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[恒温ユニット:実施形態6]
次に、本発明の恒温ユニットの実施形態6について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態6に係る恒温ユニット600の概略構成の一例を示す模式的な断面図である。本実施形態の恒温ユニット600は、内容物Cの上に一つの恒温材20を介して一つの冷熱材10が配置され、内容物Cの下に一つの恒温材20を介して一つの冷熱材10が配置されている点で前述の実施形態5の恒温ユニット500と異なっている。本実施形態の恒温ユニット600のその他の構成は、前述の実施形態5の恒温ユニット500と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態において、管理温度の範囲は、たとえば、2℃以上8℃以下である。
本実施形態の恒温ユニット600は、冷熱材10として、管理温度の下限温度よりも低温になる冷却材13を備えている。冷却材13は、たとえば、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する冷却用組成物14と、この冷却用組成物14を収容する容器15とを備えている。本実施形態において、冷却材13は、前述の水を主体とする恒温組成物21を備える恒温材20と同一の構成を有し、断熱容器30に収容される前に、管理温度の下限温度よりも低温になるように温度管理されている。すなわち、冷却用組成物14と恒温組成物21は、同一の組成を有し、同一の凝固点または融点を有している。図示の例において、冷却材13は、冷却用組成物14の凝固点よりも低温になるように温度管理されて凍結している。
本実施形態の恒温ユニット600は、断熱容器30に内容物Cを収容した後、たとえば輸送中などに、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも高温になることが考えられる。このような場合、たとえば、断熱容器30の外表面の温度が管理温度の範囲よりも高温になる。ここで、本実施形態の恒温ユニット600は、冷熱材10として、管理温度の下限温度よりも低温になる冷却材13を備えている。これにより、冷熱材10によって液相の恒温組成物21を備える恒温材20を冷却し、所定の管理時間の間、断熱容器30の外部から内部へ流入する熱によって恒温材20の温度が所定の管理温度の範囲を超えて上昇するのを抑制し、恒温材20の温度を所定の管理温度の範囲に維持することができる。
以上のように、本実施形態の恒温ユニット600によれば、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温組成物21が液相の恒温材20によって、断熱容器30の内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
[加温材の変形例]
次に、前述の実施形態1および2の加温材11の変形例について、図7を用いて説明する。図7は、図1および図2に示す加温材11の変形例を示す概略的な部分断面図である。
加温材11は、前述のように、破断可能な収容袋12aと、この収容袋12aに収容された液体12bと、収容袋12aの破断により液体12bと接触して発熱する発熱剤12cと、を備える発熱ユニット12によって構成されている。図7に示す変形例において、加温材11は、発熱ユニット12の収容袋12aを破断するための紐12dの引っ張り方向を規制する治具16を備えている。治具は、発熱ユニット12に固定され、発熱ユニット12の上面に沿うガイド面16aを有し、紐12dを挿通させる貫通孔16bを有している。
この変形例の加温材11によれば、紐12dを発熱ユニット12の上面に交差する方向に引っ張っても、収容袋12aに接合された紐12dの一端から治具16の貫通孔16bに挿通された部分までは、治具16のガイド面16aによってガイドされ、発熱ユニット12の上面に沿う方向に引っ張られる。これにより、発熱ユニット12の収容袋12aをより確実に破断させ、収容袋12aに収容された液体12bと発熱剤12cをより確実に接触させ、発熱ユニット12をより確実に発熱させることができる。したがって、加温材11によって恒温材20をより確実に加温することができる。
[温度管理方法:実施形態]
次に、本発明の温度管理方法の実施の形態について、図1から図7を援用し、図8を参照して説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る温度管理方法S100のフロー図である。
本実施形態の温度管理方法S100は、たとえば、前述の恒温ユニット100から恒温ユニット600のいずれかを用いた温度管理方法であって、断熱容器30に収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持する方法である。本実施形態の温度管理方法S100は、主に、収容工程S10と、温度管理工程S20と、を有している。また、本実施形態の温度管理方法S100は、収容工程S10の前に、温度調整工程S0を有している。なお、温度調整工程S0は、省略することも可能である。
温度調整工程S0は、恒温材20の温度を管理温度の範囲内の温度に調整する工程である。また、温度調整工程S0は、冷熱材10の温度を管理温度の範囲よりも低い温度に調整する工程であってもよい。また、温度調整工程S0は、冷熱材10の温度を管理温度の範囲よりも高い温度に調整する工程であってもよい。
より具体的には、温度調整工程S0では、たとえば、恒温材20を管理温度の範囲内の温度の環境に保管して、恒温材20の温度を管理温度の範囲内の温度に調整する。たとえば、管理温度の範囲が10℃以上30℃以下の場合、恒温材20の温度は、20℃以上30℃以下に調節される。
また、温度調整工程S0では、たとえば、冷熱材10を管理温度の範囲よりも低い温度に冷却してもよい。このとき、冷熱材10として、冷却材13を冷却用組成物14の凝固点以下の温度に冷却して、冷却用組成物14を凝固させて固相にしてもよい。また、冷熱材10を冷却用組成物14の凝固点よりも高い温度に冷却し、冷却用組成物14が融解した液相にしてもよい。
また、温度調整工程S0では、たとえば、冷熱材10を管理温度の範囲よりも高温になるように加温してもよい。このとき、冷熱材10として、恒温材20と同一の構成の加温材11を、管理温度の範囲よりも高温になるように加温することで、恒温組成物21を管理温度の範囲よりも高温で液相の加温組成物として用いることができる。
収容工程S10は、断熱容器30の内部に、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する恒温組成物21を備え、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20と、内容物Cとを収容する工程である。温度管理工程S20は、断熱容器30に収容された恒温材20によって、内容物Cの温度を所定の管理温度の範囲内に維持する工程である。
このように、収容工程S10において、断熱容器30の内部に、管理時間の間、管理温度の範囲内の温度に維持される恒温材20と、内容物Cとを収容することで、温度管理工程S20において、恒温材20によって、内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。また、恒温材20が管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する恒温組成物21を備えることで、恒温組成物21は、所定の管理時間の間、融解した液相の状態を維持することができ、恒温材20の温度変化を抑制することができる。
また、収容工程S10において、断熱容器30の内部に、少なくとも一時的に管理温度の範囲よりも高温または低温になる冷熱材10を収容し、前記冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20を介在させてもよい。この場合、温度管理工程S20において、冷熱材10によって恒温組成物21が液相の恒温材20を加温または冷却して、所定の管理時間の間、恒温材20の温度を管理温度の範囲内に維持する。
このように、収容工程S10において、内容物Cと冷熱材10との間に恒温組成物21が液相の恒温材20を介在させることで、温度管理工程S20において、内容物Cが管理温度の範囲外の温度になることが防止される。すなわち、温度管理工程S20において、冷熱材10が、少なくとも一時的に管理温度の範囲よりも高温または低温になっても、恒温組成物21が液相の恒温材20が冷熱材10の加温または冷却による内容物Cの温度変化を緩和する熱緩衝材として機能する。これにより、内容物Cが管理温度の範囲外の温度になることが防止される。
また、温度管理工程S20において、恒温材20は、断熱容器30の外部の気温に応じて、冷熱材10によって加温または冷却され、管理時間の間、管理温度の範囲内の温度に維持される。このように、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持された恒温組成物21が液相の恒温材20によって、内容物Cを、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
また、収容工程S10では、図1から図4に示すように、冷熱材10として、管理温度の上限温度よりも高温になる加温材11を用いることができる。この場合、温度管理工程S20において、たとえば、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも低温のときに、加温材11によって恒温材20を加温することができる。これにより、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも低温になった場合でも、恒温組成物21が液相の恒温材20の温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
また、収容工程S10では、図1、図2および図7に示すように、加温材11として、破断可能な収容袋12aと、該収容袋12aに収容された液体12bと、収容袋12aの破断により液体12bと接触して発熱する発熱剤12cと、を備える発熱ユニット12を用いることができる。この場合、温度管理工程S20において、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも低温のときに、収容袋12aを破断させる。
たとえば、温度管理工程S20において、管理時間の開始当初は、管理温度の範囲内またはそれよりも高温であった断熱容器30の外部の気温が、管理時間の途中で、管理温度の範囲よりも低温になる場合がある。この場合、加温材11を構成する発熱ユニット12の紐12dを引っ張って、収容袋12aを破断させる。これにより、収容袋12aに収容された液体12bと発熱剤12cを接触させて発熱させ、その熱を利用して加温材11によって恒温組成物21が液相の恒温材20を加温し、恒温材20の温度が管理温度の範囲よりも低温になるのを防止することができる。
また、収容工程S10では、図1から図6に示すように、恒温材20として、熱抵抗が5.0W/mK以下、比熱が2.0J/gK以上、かつ密度が0.5g/cm3以上の恒温組成物21を備え、管理温度の範囲内の温度に調温されたものを用いてもよい。このような特性を有する恒温組成物21を用いることで、恒温材20の温度変化を抑制し、所定の管理時間の間、恒温材20を所定の管理温度の範囲の温度に維持することが容易になる。
また、収容工程S10では、図1から図6に示す恒温材20とともに、管理温度の範囲内に融点または凝固点を有する蓄熱組成物41を備えた蓄熱材40を用いてもよい。これにより、蓄熱組成物41の潜熱を利用して蓄熱材40の温度変化を抑制し、所定の管理時間の間、蓄熱材41を所定の管理温度の範囲の温度に維持することが容易になる。なお、この場合にも、管理温度の範囲内の温度に調温された蓄熱材40を用いてもよい。
また、収容工程S10では、図6に示すように、冷熱材10として、管理温度の下限温度よりも低温になる冷却材13を用いてもよい。これにより、たとえば、温度管理工程S20において、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも高温のときに、冷却材13によって恒温材20を保冷することで、恒温材20の温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
なお、冷却材13は、図1、図2および図7に示す発熱ユニット12と同様に、破断可能な収容袋12aと、収容袋12aに収容された液体12bと、収容袋12aの破断により液体12bと接触して吸熱する吸熱剤と、を備える冷却ユニットを用いてもよい。収容袋12aに収容される液体12bとしては、たとえば、水を用いることができ、吸熱材としては、たとえば、尿素を用いることができる。
また、冷却材13と前述の発熱ユニット12によって構成された加温材11とを併用することも可能である。この場合、管理時間の開始当初、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも高温のときに、冷却材13によって恒温材20を保冷し、その後、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも低温のときに、加温材11によって恒温材20を保温することができる。したがって、恒温材20の温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
また、収容工程S10では、図6に示すように、冷却材13として、管理温度の下限温度よりも低い融点または凝固点を有する冷却用組成物14を備え、この冷却用組成物14を凝固させたものを用いてもよい。これにより、温度管理工程S20において、断熱容器30の外部の気温が管理温度の範囲よりも高温のときに、冷却材13によって恒温材20を保冷することで、恒温材20の温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内の温度に維持することができる。
また、前述のように、冷却用組成物14と恒温組成物21は、同一の組成を有していてもよい。これにより、融点および凝固点が等しい同一の組成物を、冷却用組成物14および恒温組成物21として用いることができ、冷却材13と恒温材20を同一の素材によって構成することができる。すなわち、恒温材20を冷却して恒温組成物21を管理温度の範囲よりも低温にすることで、恒温材20を冷却材13として用いることができる。また、冷却材13を管理温度の範囲内の温度にして冷却用組成物14を融解した状態にすることで、冷却材13を恒温材20として用いることができる。したがって、異なる素材からなる恒温材20と冷却材13を用いる場合よりも、恒温材20と冷却材13の管理を容易にしてコストを低減することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る温度管理方法S100によれば、断熱容器30に収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持することが可能になる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
[実施例]
以下、本発明の恒温ユニットおよび温度管理方法の実施例1から実施例5を、断熱容器30を用いた比較例1および比較例2との比較によって説明する。
(実施例1)
まず、発泡倍率が50倍のEPSにより、大きさが450mm×325mm×390mm、厚さが60mmの断熱容器30を製作した。また、断熱容器30に収容する内容物Cとして、大きさが1000mm×500mm、厚さが2mmの発泡ポリエチレンシートを折り畳み、その中に温度計を入れたものを用意した。この内容物Cの管理温度の範囲を、10℃以上かつ30℃以下に設定した。
次に、恒温材20として、積水化成品工業株式会社製の蓄冷材「アクアUエース」(登録商標)を4つ用意した。この恒温材20は、恒温組成物21の融点または凝固点が約0℃である。個々の恒温材20の重量は、1kgであった。また、冷熱材10として、双日プラネット株式会社製のM型の発熱ユニット12により構成された加温材11を用意した。恒温材20および内容物Cの初期温度は、18℃であった。
次に、収容工程S10を行って、図1に示すように、断熱容器30の内部に、一つの冷熱材10と、四つの恒温材20と、内容物Cとを収容し、冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20を介在させた。次に、温度管理工程S20を開始し、恒温ユニット100を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、冷熱材10としての加温材11を構成する発熱ユニット12の紐12dを引っ張って、加温材11によって恒温材20を加温し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(実施例2)
前述の実施例1と同様に、冷熱材10、恒温材20、断熱容器30、および内容物Cを用意し、収容工程S10を行って、図2に示すように、断熱容器30の内部に、二つの冷熱材10と、四つの恒温材20と、内容物Cとを収容し、冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20を介在させた。次に、前述の実施例1と同様に、温度管理工程S20を開始し、恒温ユニット200を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、冷熱材10としての加温材11を構成する発熱ユニット12の紐12dを引っ張って、加温材11によって恒温材20を加温し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(実施例3)
まず、前述の実施例1と同様に、恒温材20、断熱容器30、および内容物Cを用意し、実施例1の恒温材20と同じ蓄冷材を50℃に加温したものを加温材11として用意した。次に、収容工程S10を行って、図3に示すように、断熱容器30の内部に、一つの冷熱材10としての加温材11と、四つの恒温材20と、内容物Cとを収容し、冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20を介在させた。次に、前述の実施例1と同様に、温度管理工程S20を開始し、恒温ユニット300を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、加温材11によって恒温材20を加温し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(実施例4)
前述の実施例3と同様に、冷熱材10としての加温材11、恒温材20、断熱容器30、および内容物Cを用意した。次に、収容工程S10を行って、図4に示すように、断熱容器30の内部に、二つの冷熱材10としての加温材11と、四つの恒温材20と、内容物Cとを収容し、冷熱材10と内容物Cとの間に恒温材20を介在させた。次に、前述の実施例1と同様に、温度管理工程S20を開始し、恒温ユニット400を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、加温材11によって恒温材20を加温し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(実施例5)
前述の実施例1と同様に、恒温材20、断熱容器30、および内容物Cを用意した。次に、収容工程S10を行って、図5に示すように、断熱容器30の内部に、四つの恒温材20と、内容物Cとを収容した。次に、前述の実施例1と同様に、温度管理工程S20を開始し、恒温ユニット500を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(比較例1)
前述の実施例1と同様に、断熱容器30および内容物Cを用意し、図9に示すように、断熱容器30の内部に内容物Cのみを収容した。次に、断熱容器30を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
(比較例2)
前述の実施例1と同様に、冷熱材10としての加温材11、断熱容器30、および内容物Cを用意し、図10に示すように、断熱容器30の内部に内容物Cを収容し、その上に発熱ユニット12によって構成された加温材11を配置した。次に、断熱容器30を、気温がおおむね0℃の環境に配置し、発熱ユニット12の紐12dを引っ張って、加温材11によって恒温材20を加温し、24時間にわたって内容物Cの温度を測定した。
図11は、本発明の実施例1から実施例5、比較例1および比較例2における内容物Cの温度変化を示すグラフである。図11のグラフにおいて、横軸は、時間[Hr]であり、縦軸は、温度[℃]である。環境の温度、すなわち断熱容器30の外部の気温は、細い二点鎖線で示すように、おおむね0℃である。
図1に示す構成の実施例1の恒温ユニット100およびそれを用いた温度管理方法S100では、前述のように、冷熱材10としての加温材11により恒温材20が加温される。これにより、図11のグラフにおいて太い実線で示すように、管理時間の開始から1時間程度の間、内容物Cの温度が、管理温度の範囲の上限である30℃よりも低い約25℃まで上昇している。その後、内容物Cの温度は徐々に低下し、21.5時間後に管理温度の範囲の下限である10℃になった。すなわち、実施例1の恒温ユニット100および温度管理方法S100によれば、外部の気温が0℃の断熱容器30に収容された内容物Cの温度を、21.5時間の管理時間の間、10℃以上かつ30℃以下の管理温度の範囲内に維持することができた。
図2に示す構成の実施例2の恒温ユニット200およびそれを用いた温度管理方法S100では、前述のように、冷熱材10としての加温材11により恒温材20が加温される。これにより、図11のグラフにおいて太い破線で示すように、管理時間の開始から1時間程度の間、内容物Cの温度が、管理温度の範囲の上限である30℃よりも低い約29℃まで上昇している。その後、内容物Cの温度は徐々に低下し、24時間後に約14℃になっているが、管理温度の範囲の下限である10℃よりも高い温度に維持されている。すなわち、実施例2の恒温ユニット200および温度管理方法S100によれば、外部の気温が0℃の断熱容器30に収容された内容物Cの温度を、24時間以上の管理時間の間、10℃以上かつ30℃以下の管理温度の範囲内に維持することができた。
図3に示す構成の実施例3の恒温ユニット300およびそれを用いた温度管理方法S100では、前述のように、冷熱材10としての加温材11により恒温材20が加温される。これにより、図11のグラフにおいて太い一点鎖線で示すように、管理時間の開始から1時間程度の間、内容物Cの温度が、管理温度の範囲の上限である30℃よりも低い約21℃まで上昇している。その後、内容物Cの温度は徐々に低下し、24時間後に約10.6℃になっているが、管理温度の範囲の下限である10℃よりも高い温度に維持されている。すなわち、実施例3の恒温ユニット300および温度管理方法S100によれば、外部の気温が0℃の断熱容器30に収容された内容物Cの温度を、24時間以上の管理時間の間、10℃以上かつ30℃以下の管理温度の範囲内に維持することができた。
図4に示す構成の実施例4の恒温ユニット400およびそれを用いた温度管理方法S100では、前述のように、冷熱材10としての加温材11により恒温材20が加温される。これにより、図11のグラフにおいて太い二点鎖線で示すように、管理時間の開始から1時間程度の間、内容物Cの温度が、管理温度の範囲の上限である30℃よりも低い約27℃まで上昇している。その後、内容物Cの温度は徐々に低下し、24時間後に約14.3℃になっているが、管理温度の範囲の下限である10℃よりも高い温度に維持されている。すなわち、実施例4の恒温ユニット400および温度管理方法S100によれば、外部の気温が0℃の断熱容器30に収容された内容物Cの温度を、24時間以上の管理時間の間、10℃以上かつ30℃以下の管理温度の範囲内に維持することができた。
図5に示す構成の実施例5の恒温ユニット500およびそれを用いた温度管理方法S100では、前述のように、恒温材20と内容物Cとが収容されている。これにより、図11のグラフにおいて細い実線で示すように、管理時間の開始時に約17℃であった内容物Cの温度が徐々に低下し、15時間後に管理温度の範囲の下限である10℃になった。すなわち、実施例5の恒温ユニット500および温度管理方法S100によれば、外部の気温が0℃の断熱容器30に収容された内容物Cの温度を、15時間の管理時間の間、10℃以上かつ30℃以下の管理温度の範囲内に維持することができた。
図9に示す構成の比較例1の断熱容器30では、図11のグラフにおいて細い破線で示すように、管理時間の開始時に約17度であった内容物Cの温度が急激に低下し、0.5時間未満で管理温度の範囲の下限である10℃を下回った。また、図10に示す構成の比較例2の断熱容器30および発熱ユニット12では、図11のグラフにおいて細い一点鎖線で示すように、管理時間の開始時に約18℃であった内容物Cの温度が急激に上昇し、0.5時間後に約87.6℃まで上昇した。その後、内容物Cの温度は急激に低下し、4時間後に管理温度の範囲の下限である10℃を下回った。
以上のように、本発明の恒温ユニットおよび温度管理方法の実施例1から実施例5によれば、断熱容器30に収容される内容物Cの温度を、所定の管理時間の間、所定の管理温度の範囲内に維持することが可能であった。