JP6862979B2 - 大判プリンター - Google Patents

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Description

本発明は、大判プリンターに関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッド(プリントヘッド)において複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号に従って駆動されることにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットを形成する。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、上述のインクジェットプリンターにおいては、駆動回路が増幅回路によって増幅した高電圧の駆動信号をヘッドに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。
特許文献1には、印刷装置の筐体に取り付けられた制御基板から制御信号と駆動信号とをフレキシブルケーブルを介してプリントヘッドに供給するインクジェットプリンターが開示されている。また、特許文献2には、印字ヘッド(インクジェットヘッド)と駆動パルスを発生させて印字ヘッドに印加する駆動回路とが搭載されたキャリッジが往復移動し、印字ヘッドからインク液滴を噴射することで画像の記録を行う記録装置が開示されている。
特開2014−133358号公報 特許第4196523号公報
ところで、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うことが可能な大判プリンター(ラージフォーマットプリンター(LFP:Large Format Printer))では、プリントヘッドの移動距離が長くなり、プリントヘッドと制御基板とを接続するケーブルが1m以上になり得るため、当該信号線のインダクタンスやインピーダンスが大きくなる。従って、大判プリンターにおいて、特許文献1に開示されているインクジェットプリンターのように、制御基板から制御信号と駆動信号とをプリントヘッドに供給する場合、信号線のインダクタンスが大きくなると駆動信号のオーバーシュートやアンダーシュートが大きくなって、プリントヘッドに搭載される回路や駆動素子に耐圧を超える過電圧が瞬時的に印加されると、プリントヘッドが故障するおそれがある。また、信号線のインピーダンスが大きくなると、駆動信号の電圧降下が大きくなって印字精度や印字安定性が低下し、あるいは、インクの誤吐出等の誤動作が生じ得る。また、プリントヘッドと制御基板とを接続するケーブルが長くなると、駆動信号と制御信号とのクロストークが大きくなるため、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号の影響を受けやすくなり、誤吐出等の誤動作が生じ得る。さらに、プリントヘッドと制御基板とを接続するケーブルが長くなると、プリントヘッドの移動に伴うプリンターの筐体とケーブルとの摩擦によって静電気が発生してケーブルが帯電しやすくなるため、プリントヘッドに搭載される低電源電圧で動作する回路が静電破壊を起こし、プリントヘッドが故障するおそれがある。
また、大判プリンターにおいて、特許文献2に開示されている記録装置のように、キャリッジに駆動回路を搭載すると、シリアル印刷を行うための可動部の重量が大きくなり、
可動部を往復移動させるためのモーターの負荷が大きくなるため、高価なモーターが必要となり、低コスト化が難しい。また、駆動回路の発熱に起因して吐出精度や吐出安定性が低下するおそれがある。さらに、可動部の重量が大きくなると往復移動時の振動が大きくなるため、プリントヘッドの大きな振動によっても印字精度や印字安定性が低下するおそれがある。
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、ケーブルが長くなることに起因する問題の少なくとも1つを低減させることが可能な大判プリンターを提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例を実現することが可能となる。
[適用例1]
本適用例に係る大判プリンターは、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うことが可能な大判プリンターであって、駆動信号が入力される第1コネクターと、制御信号が入力される第2コネクターと、を有し、前記駆動信号に応じて液体を吐出し、前記制御信号に応じて前記液体の吐出が制御される印刷ヘッド部と、前記駆動信号を出力する第3コネクターと、前記駆動信号が入力される第4コネクターと、を有する第1基板と、前記制御信号を出力する第5コネクターを有する第2基板と、前記第1コネクターと一端が接続し、前記第3コネクターと他端が接続し、前記駆動信号が伝搬する第1ケーブルと、前記第2コネクターと一端が接続し、前記第5コネクターと他端が接続し、前記制御信号が伝搬する第2ケーブルと、を備え、前記制御信号は、前記第1基板を経由せずに前記第2コネクターに入力され、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとは重なり、弧をなし、前記第1ケーブルは、前記第2ケーブルよりも前記弧の外側にある。
「シリアル印刷」とは、印刷ヘッド部が移動して印刷を行う印刷方法である。前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、フレキシブルフラットケーブルであってもよい。また、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとは、直接重なってもよいし、間に他のケーブルを挟んで重なってもよい。また、「弧の外側」とは曲率半径が大きい側である。従って、弧の部分において、第1ケーブルの曲率半径は第2ケーブルの曲率半径よりも大きい。また、前記印刷ヘッド部は、駆動素子を含み、前記駆動素子に前記駆動信号が印加されて前記駆動素子が駆動することにより、前記液体を吐出してもよい。前記駆動素子は、例えば、圧電素子でもよいし、発熱素子でもよい。
本適用例に係る大判プリンターでは、駆動信号は、第2基板あるいは他の基板から第1基板を経由して第1ケーブルを伝搬して印刷ヘッド部に供給されるのに対して、制御信号は第1基板を経由せずに第2ケーブルを伝搬して印刷ヘッド部に伝搬する。そして、第1基板と接続される第1ケーブルが弧の外側を通って印刷ヘッド部と接続され、第1基板と接続されない第2ケーブルが弧の内側を通って印刷ヘッド部と接続されるので、第1ケーブルと第2ケーブルとの重なり順を、第1基板と印刷ヘッド部との間の途中で変える必要がなく、駆動信号と制御信号とのクロストークが小さくなる。さらに、制御信号は第1基板を経由しないので、第1基板における駆動信号と制御信号とのクロストークも回避される。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため、印刷ヘッド部まで駆動信号や制御信号が伝搬する信号線が長くなるが、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号から受ける影響が低減されるので、印刷ヘッド部が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、本適用例に係る大判プリンターによれば、低電圧の制御信号が伝搬する第2ケーブルが弧の内側を通って印刷ヘッド部と接続されるので、印刷ヘッド部の移動に伴う、大判プリンターの筐体と第2ケーブルとの摩擦が起こりにくく、第2ケーブルが帯電しにくいため、印刷ヘッド部に搭載される低電源電圧で動作する回路が静電破壊を起こして印刷ヘッドが故障するおそれが小さい。
また、本適用例に係る大判プリンターでは、第1ケーブルと第2ケーブルとの重なり順を途中で変える必要がなくなるため、駆動信号が伝搬する第1ケーブルが不必要に長くなることが回避され、印刷ヘッド部まで駆動信号が伝搬する信号線のインダクタンスやインピーダンスが低減される。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、駆動信号が伝搬する信号線のインダクタンスに起因して生じる駆動信号のオーバーシュートやアンダーシュートが低減され、印刷ヘッド部が故障や誤動作を起こすおそれが小さくなる。また、本適用例に係る大判プリンターによれば、駆動信号が伝搬する信号線のインピーダンスに起因して生じる駆動信号の電圧降下が低減され、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例2]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記駆動信号は、前記第1ケーブルを含む、前記第1基板と前記印刷ヘッド部とを接続する複数のケーブルを伝搬し、前記複数のケーブルと前記第2ケーブルとは重なり、前記弧をなし、前記複数のケーブルは、前記第2ケーブルよりも前記弧の外側にあってもよい。
前記複数のケーブルは、いずれもフレキシブルフラットケーブルであってもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、駆動信号が伝搬する複数のケーブル制御信号が伝搬する第2ケーブルとの重なり順を途中で変える必要がなくなるため、駆動信号と制御信号とのクロストークが小さくなり、第1基板における複数の駆動信号と制御信号とのクロストークも回避されるので、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例3]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第2ケーブルは、前記制御信号を保護するシールド部を有してもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため第2ケーブルが長くなるが、低電圧の制御信号は、第2ケーブルを伝搬するときにシールド部によって保護されるため、第1ケーブルを伝搬する高電圧の駆動信号からのノイズの影響が低減されるので、印刷ヘッド部が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例4]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記制御信号は、差動信号であってもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため第2ケーブルが長くなるが、低電圧の制御信号は、差動信号であるため、コモンモードノイズの影響が低減されるので、印刷ヘッド部が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例5]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記シリアル印刷が可能な最大幅が、24
インチ以上75インチ以下であってもよい。
シリアル印刷が可能な最大幅が24インチ以上75インチ以下の場合、駆動信号や制御信号が伝搬する信号線の全長が1m〜3m程度になり得るため、第1ケーブルと第2ケーブルとが重なる面積が大きくなる。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、駆動信号と制御信号とのクロストークを低減させることによる上記の効果がより大きい。なお、シリアル印刷が可能な最大幅が75インチを超えると、駆動信号が伝搬する信号線のインピーダンスやインダクタンスが大きくなりすぎて、駆動信号のオーバーシュートやアンダーシュートによって印刷ヘッド部が故障や誤動作を起こすおそれがより大きくなるため、上記の効果が得られにくい。
[適用例6]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記シリアル印刷が可能な最大幅が、24インチ、36インチ、44インチ、64インチのいずれかに対応していてもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、特に需要が大きい24インチ対応プリンター、36インチ対応プリンター、44インチ対応プリンターあるいは64インチ対応プリンターとして、優れた印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例7]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記印刷ヘッド部は、30kHz以上の周波数で前記液体を吐出してもよい。
液体を吐出する周波数が高いほど(高速に印刷を行うほど)、駆動信号の電圧変化が急峻になるためオーバーシュートやアンダーシュートが大きくなり、駆動信号と制御信号とのクロストークが大きくなりやすい。本適用例に係る大判プリンターによれば、特に駆動信号と制御信号とのクロストークが大きくなりやすい30kHz以上の周波数で高速印刷を行うため、上記の効果がより大きい。
[適用例8]
上記適用例に係る大判プリンターは、第3ケーブルをさらに備え、前記印刷ヘッド部は、定電圧信号が入力される第6コネクターをさらに有し、前記第3ケーブルは、前記第6コネクターと一端が接続し、前記定電圧信号が伝搬し、前記第1ケーブル、前記第2ケーブル及び前記第3ケーブルは、前記第3ケーブルが前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの間に挟まれるように重なり、前記弧をなし、前記第3ケーブルにおいて前記定電圧信号が伝搬する信号線のインピーダンスは、前記第1ケーブルにおいて前記駆動信号が伝搬する信号線のインピーダンスよりも小さく、かつ、前記第2ケーブルにおいて前記制御信号が伝搬する信号線のインピーダンスよりも小さくてもよい。
前記第3ケーブルは、フレキシブルフラットケーブルであってもよい。
本適用例に係る大判プリンターでは、第1ケーブルと第2ケーブルの間に、第1ケーブル及び第2ケーブルよりもインピーダンスが小さく、定電圧信号が伝搬する第3ケーブルが挟まれるので、第3ケーブルはシールド線として機能し、第1ケーブルを伝搬する駆動信号と第2ケーブルを伝搬する制御信号とのクロストークが小さくなる。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため、第1ケーブルや第2ケーブルが長くなるが、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号から受ける影響が低減されるので、印刷ヘッド部が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例9]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第3ケーブルにおいて前記定電圧信号が伝搬する前記信号線の厚みは、前記第1ケーブルにおいて前記駆動信号が伝搬する前記信号線の厚みよりも大きく、かつ、前記第2ケーブルにおいて前記制御信号が伝搬する前記信号線の厚みよりも大きくてもよい。
本適用例に係る大判プリンターでは、第1ケーブルと第2ケーブルの間に、第1ケーブル及び第2ケーブルよりも信号線の厚みが大きく強度が高い第3ケーブルが挟まれるので、第3ケーブルは芯材として機能し、印刷ヘッド部の移動中に、弧の外側を通る第1ケーブルあるいは第2ケーブルが自重によって垂れ下がって変形することによる第1ケーブル及び第2ケーブルの相互インダクタンスの動的な変化が低減される。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため、第1ケーブルや第2ケーブルが長くなるが、駆動信号の波形の再現性が向上するので、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例10]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第3ケーブルは、芯材として機能してもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うため、第1ケーブルや第2ケーブルが長くなるが、第3ケーブルが芯材として機能するので、印刷ヘッド部の移動中における第1ケーブルあるいは第2ケーブルの変形による相互インダクタンスの動的な変化が低減され、駆動信号の波形の再現性が向上するので、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例11]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第1ケーブル、前記第2ケーブル及び前記第3ケーブルを含む複数のケーブルが重なり、前記弧をなし、前記第3ケーブルよりも前記弧の外側にある前記ケーブルの数は、前記第3ケーブルよりも前記弧の内側にある前記ケーブルの数よりも多くてもよい。
前記複数のケーブルは、いずれもフレキシブルフラットケーブルであってもよい。
本適用例に係る大判プリンターでは、第3ケーブルよりも弧の外側にある複数のケーブルの総重量が大きいが、第3ケーブルが心材として機能するため、印刷ヘッド部の移動中に、弧の外側を通る複数のケーブルが自重によって垂れ下がって変形することによる第1ケーブル及び第2ケーブルの相互インダクタンスの動的な変化が低減される。従って、本適用例に係る大判プリンターによれば、駆動信号の波形の再現性が向上するので、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
[適用例12]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第6コネクターは、前記印刷ヘッド部の温度情報を含む温度信号をさらに出力し、前記温度信号は、前記第3ケーブルを伝搬してもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、印刷ヘッド部の温度情報を含む温度信号が、シールド線として機能する第3ケーブルを安定して伝搬し、例えば、印刷ヘッド部による液体の吐出特性の温度依存性をより正確に補正することにより、印字精度や印字安定性を向上させることができる。
[適用例13]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、複数の前記定電圧信号が前記第3ケーブルを伝搬し、前記第3ケーブルにおいて、前記温度信号が伝搬する信号線の両隣には、前記定電圧信号が伝搬する信号線が設けられていてもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、温度信号が、シールド線として機能する両隣の信号線によってさらに安定して伝搬するので、印字精度や印字安定性をさらに向上させることができる。
[適用例14]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、前記第6コネクターは、前記印刷ヘッド部の異常を示す異常信号をさらに出力し、前記異常信号は、前記第3ケーブルを伝搬してもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、印刷ヘッド部の異常を示す異常信号が、シールド線として機能する第3ケーブルを安定して伝搬するため、異常信号に基づく制御が誤るおそれが低減されるので、印刷ヘッド部が故障するおそれが低減される。
[適用例15]
上記適用例に係る大判プリンターにおいて、複数の前記定電圧信号が前記第3ケーブルを伝搬し、前記第3ケーブルにおいて、前記異常信号が伝搬する信号線の両隣には、前記定電圧信号が伝搬する信号線が設けられていてもよい。
本適用例に係る大判プリンターによれば、異常信号が、シールド線として機能する両隣の信号線によってさらに安定して伝搬するので、印刷ヘッド部が故障するおそれがさらに低減される。
大判プリンターの外観模式図である。 ヘッドの下面(インク吐出面)を示す図である。 大判プリンターの内部構成を概略的に示す図である。 大判プリンターの電気的な構成を示すブロック図である。 1つの吐出部に対応した概略構成を示す図である。 駆動信号COMA,COMBの波形を示す図である。 駆動信号VOUTの波形を示す図である。 駆動信号選択回路の構成を示す図である。 デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。 駆動回路の回路構成を示す図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。 基板とケーブルとの接続関係について説明するための図である。 ケーブルの構造を示す図である。 ケーブルの構造を示す図である。 ケーブルの信号線の番号及び信号とコネクターの接続端子の番号及び信号との関係の具体例を示す図である。 ケーブルの信号線の番号及び信号とコネクターの接続端子の番号及び信号との関係の具体例を示す図である。 ケーブルの信号線の番号及び信号とコネクターの接続端子の番号及び信号との関係の具体例を示す図である。 駆動回路基板のコネクターの配置を示す図である。 第1中継基板のコネクターの配置を示す図である。 第2中継基板のコネクターの配置を示す図である。 基板及びケーブルの配置を概略的に示す図である。 シールドケーブルの一例を示す図である。 ケーブルの信号線の番号及び信号とコネクターの接続端子の番号及び信号との関係の具体例を示す図である。 デイジーチェーンの一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.大判プリンターの概要
本実施形態に係る大判プリンター(ラージフォーマットプリンター)は、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じてインクを吐出させることによって、紙などの印刷媒体にインクドット群を形成し、これにより、当該画像データに応じた画像(文字、図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、本実施形態に係る大判プリンター1の外観模式図である。図1に示されるように、本実施形態に係る大判プリンター1は、シリアルスキャン型(シリアル印刷型)の大判プリンターであり、本体2と、本体2を支持する支持スタンド3とを備えている。本実施形態において、大判プリンターとは、A3短辺幅(297mm)以上の幅を有する媒体(印刷媒体)にシリアル印刷を行うことが可能なプリンターであり、換言すれば、A3短辺幅(297mm)以上の印刷幅でシリアル印刷を行うことが可能なプリンターである。なお、本実施形態では、大判プリンター1において、キャリッジ24の移動方向を主走査方向X、印刷媒体Pの搬送方向を副走査方向Y、鉛直方向をZとして説明する。また、主走査方向Xと、副走査方向Yと、鉛直方向Zとは互いに直交する3軸として図面に記載するが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。なお、以下では、必要な場合には、主走査方向X、副走査方向Y、鉛直方向Zについて正方向と負方向とを区別して説明する。主走査方向Xについては、キャリッジ24が後述するホームポジションから離れるように移動する方向を正方向(図1の矢印の向き)とし、その逆方向を負方向とする。また、副走査方向Yについては、印刷媒体Pが上流から下流へと搬送される方向を正方向(図1の矢印の向き)とし、その逆方向を負方向とする。また、鉛直方向Zについては、重力の向きと反対の方向を正方向(図1の矢印の向き)とし、重力の向きを負方向とする。
図1に示すように、本体2は、印刷媒体P(例えば、ロール紙)を供給する供給部4と、印刷媒体Pに対しインク滴を吐出し、印刷媒体Pに印刷を行うヘッドユニット20と、ヘッドユニット20により印刷された印刷媒体Pを本体2の外部に排出する排出部6と、印刷の実行、停止等の操作を行う操作部7と、吐出されるインク(液体)が貯留されているインク貯留部8と、を備えている。また、図示省略するが、大判プリンター1の後面には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、大判プリンター1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。
ヘッドユニット20は、キャリッジ24と、印刷媒体(ロール紙)Pと対向するようにキャリッジ24に搭載されたヘッド21とを含んで構成されている。
ヘッド21は、多数のノズルからインク滴(液滴)を吐出させるための液体噴射ヘッドである。詳細には、ヘッド21は、駆動素子である圧電素子60(図4、図5参照)を含み、圧電素子60に駆動信号が印加されて圧電素子60が駆動することにより、インク(液体)を吐出する。
図2は、ヘッド21の下面(インク吐出面)を示す図である。図2に示されるように、ヘッド21のインク吐出面には、それぞれ多数のノズル651が副走査方向Yに沿って所定のピッチPyで並ぶノズル列650を2つ有する6つのノズルプレート632が主走査方向Xに沿って並んで設けられている。各ノズルプレート632に設けられている2つのノズル列650の間では、各ノズル651が副走査方向YにピッチPyの半分だけシフトした関係となっている。このように,本実施形態では、ヘッド21のインク吐出面には、12個のノズル列650(第1ノズル列650a〜第12ノズル列650l)が設けられている。
キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に支持されて、主走査方向Xに移動(往復動)し、このとき、印刷媒体Pは副走査方向Yに搬送される。すなわち、本実施形態における大判プリンター1は、インク滴を吐出するヘッド21を搭載したキャリッジ24を備えたヘッドユニット20が、主走査方向Xに移動(往復動)し印刷するシリアル印刷を行う。
インク貯留部8には、複数のインクカートリッジ22が取り付けられており、各インクカートリッジ22には対応する色のインクが充填されている。図1では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の4色に対応する4個のインクカートリッジ22が図示されているが、インクカートリッジ22は本構成に限る物ではなく、インク貯留部8には、例えば、5個以上のインクカートリッジ22が備えられていてもよく、グレー、グリーン、バイオレットなどの色に対応するインクカートリッジ22が備えられていてもよい。各インクカートリッジ22に収容されているインクは、インクチューブ9を介してヘッド21に供給される。なお、大判プリンター1は、キャリッジ24に複数のインクカートリッジ22が取り付けられた構成でもよい。
図3は、大判プリンター1を副走査方向Yの負方向に視たときの内部構成を概略的に示す図である。図3に示されるように、大判プリンター1は、ヘッドユニット20と、キャリッジガイド軸32と、プラテン33と、キャッピング機構35と、メンテナンス機構80と、を備えている。
ヘッドユニット20は、不図示のキャリッジ移動機構の制御に基づき、キャリッジガイド軸32に沿って可動領域Rの範囲内において移動(往復動)する。ヘッドユニット20のキャリッジ24には、ヘッド21と、第2中継基板103とが搭載されている。ヘッド21にはヘッド基板104が搭載されており、ヘッド21のインク吐出面は、印刷媒体Pと対向する。
プラテン33には、印刷媒体Pを搬送する不図示のローラーが設けられ、印刷媒体Pを副走査方向Yに搬送するとともに、印刷媒体Pに対しインク滴が吐出されたとき、印刷媒体Pを保持する。すなわち、大判プリンター1のヘッドユニット20によるシリアル印刷が可能な最大幅(以下、「最大印刷幅」という)は、プラテン33の主走査方向Xの幅であるプラテン幅PWと同等である。プラテン幅PWは、印刷媒体Pを安定して保持・搬送するために主走査方向Xにおける印刷媒体Pの幅である媒体幅Wの規格寸法Wsよりも広く設定される。本実施形態では、プラテン幅PW(すなわち、最大印刷幅)は、規格寸法Wsに対してWs<PW≦Ws×1.15を満たす。換言すれば、規格寸法Wsに対応する大判プリンター1は、最大印刷幅が規格寸法Wsよりも大きく規格寸法Wsの115%
以下のプリンターである。
例えば、媒体幅Wの規格寸法Wsが24インチである大判プリンター1は、最大印刷幅が24インチに対応するプリンター(「24インチ対応プリンター」と呼ばれる)であり、具体的には、最大印刷幅が24インチよりも大きく27.6インチ以下のプリンターである。また、媒体幅Wの規格寸法Wsが36インチである大判プリンター1は、最大印刷幅が36インチに対応するプリンター(「36インチ対応プリンター」と呼ばれる)であり、具体的には、最大印刷幅が36インチよりも大きく41.4インチ以下のプリンターである。また、媒体幅Wの規格寸法Wsが44インチである大判プリンター1は、最大印刷幅が44インチに対応するプリンター(「44インチ対応プリンター」と呼ばれる)であり、具体的には、最大印刷幅が44インチよりも大きく50.6インチ以下のプリンターである。また、媒体幅Wの規格寸法Wsが64インチである大判プリンター1は、最大印刷幅が64インチに対応するプリンター(「64インチ対応プリンター」と呼ばれる)であり、具体的には、最大印刷幅が64インチよりも大きく73.6インチ以下のプリンターである。
ヘッドユニット20の移動(往復動)の起点であるホームポジションには、ヘッド21のノズル形成面(インク吐出面)を封止するキャッピング機構35が設けられている。ホームポジションは、大判プリンター1が、印刷を実行していないときに、ヘッドユニット20を待機させる位置でもある。すなわち、ホームポジション(キャッピング機構35)の主走査方向Xにおける幅であるキャッピング機構幅CWは、ヘッドユニット20の主走査方向Xの幅であるヘッドユニット幅HW以上設けられていることが好ましい。
また、ヘッドユニット20の可動領域Rにおいて、ホームポジションから最も遠い場所には、メンテナンス機構80が設けられている。メンテナンス機構80は、メンテナンス処理として、吐出部600内の増粘したインクや気泡等をチューブポンプ(図示省略)により吸引するクリーニング処理(ポンピング処理)や、ノズル近傍に付着した紙粉等の異物をワイパーにより拭き取るワイピング処理を行う。当該メンテナンス処理の実行中は、鉛直方向Zから視たときに、ヘッドユニット20と印刷領域であるプラテン33とが重ならないことが好ましい。すなわち、メンテナンス機構80の主走査方向Xの幅であるメンテナンス機構幅MWは、ヘッドユニット20の主走査方向Xの幅であるヘッドユニット幅HW以上設けられていることが好ましい。
また、大判プリンター1は、制御基板100と、駆動回路基板101と、第1中継基板102と、複数のケーブル19と、を備えている。制御基板100と駆動回路基板101との間、駆動回路基板101と第1中継基板102との間、第1中継基板102と第2中継基板103との間、第2中継基板103とヘッド基板104との間、第1中継基板102とヘッド基板104との間、制御基板100とヘッド基板104との間は、それぞれ、1又は複数のケーブル19で接続されている。そして、ヘッド基板104には、ケーブル19を伝搬した駆動信号と制御信号が供給され、駆動信号と制御信号とに基づいてヘッド21の吐出面に形成された各ノズル651からインクが吐出される。本実施形態では、ケーブル19は、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)である。また、本実施形態では、制御基板100、駆動回路基板101及び第1中継基板102は、大判プリンター1の筐体内の所定の場所に固定されている。従って、制御基板100と駆動回路基板101との間、及び、駆動回路基板101と第1中継基板102との間をそれぞれ接続するケーブル19は、ヘッドユニット20の移動(往復動)に伴って変形しない。これに対して、第1中継基板102と第2中継基板103との間、第2中継基板103とヘッド基板104との間、第1中継基板102とヘッド基板104との間、及び、制御基板100とヘッド基板104との間をそれぞれ接続するケーブル19は、ヘッドユニット20の往復動に伴って変形する。なお、これらの基板とケーブル19との接続関係
の詳細については後述する。
2.大判プリンターの電気的構成
図4は、本実施形態に係る大判プリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。前述の通り、大判プリンター1は、制御基板100と、駆動回路基板101と、第1中継基板102と、第2中継基板103と、ヘッド基板104とを備えている。
図4に示されるように、制御基板100には、制御部111と、電源回路112と、制御信号送信部113とが設けられている(実装されている)。
制御部111は、例えば、マイクロコントローラー等のプロセッサーで実現され、ホストコンピューターから供給される画像データ等の各種の信号に基づいて、各種のデータや信号を生成する。
具体的には、制御部111は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、ヘッド21が有する各吐出部600を駆動する駆動信号COMA,COMBの元となるデジタルデータである、それぞれ2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1を生成する。駆動データCOMA_D0,COMA_D1は、ケーブル19(図3参照)を伝搬し、駆動回路基板101に設けられている駆動回路50a,50cに供給される。同様に、駆動データCOMB_D0,COMB_D1は、ケーブル19を伝搬し、駆動回路基板101に設けられている駆動回路50b,50dに供給される。
また、制御部111は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、吐出部600からの液体の吐出を制御する複数種類の制御信号として、6つの印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKを生成し、制御信号送信部113に出力する。
さらに、制御部111は、駆動回路基板101から供給される温度信号TH及び異常信号XHOTに応じた各種の処理を行う。例えば、制御部111は、温度信号THに応じて、駆動信号COMA,COMBの波形が補正されるように駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1を生成する。また、制御部111は、異常信号XHOTがアクティブ(例えば、ハイレベル)である場合(異常を示す場合)には、駆動回路50a〜50dへの駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1の供給を停止し、ヘッド21からのインクの吐出を停止させる。
なお、制御部111は、上記の処理以外にも、キャリッジ24(ヘッドユニット20)の走査位置(現在位置)を把握し、キャリッジ24の走査位置に基づいて、不図示のキャリッジモーターを駆動する処理を行う。これにより、キャリッジ24の主走査方向Xへの移動が制御される。また、制御部111は、不図示の搬送モーターを駆動する処理を行う。これにより、印刷媒体Pの副走査方向Yへの移動が制御される。
さらに、制御部111は、メンテナンス機構80(図3参照)に、ヘッド21のインクの吐出状態を正常に回復させるためのメンテナンス処理(クリーニング処理(ポンピング処理)やワイピング処理)を実行させる。
制御信号送信部113は、制御部111から出力される6つの印刷データ信号SI1〜SI6を、それぞれ差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−)に変換する。また、制御信号送信部113は、制御部111から出力されるラッチ信号LAT、チ
ェンジ信号CH及びクロック信号SCKを、それぞれ差動信号(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)に変換する。そして、これらの差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−),(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)は、ケーブル19を伝搬し、ヘッド基板104に設けられている制御信号受信部115に供給される。制御信号送信部113は、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号を生成する。LVDS転送方式の差動信号はその振幅が350mV程度であるため高速データ転送を実現することができる。なお、制御信号送信部113は、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速転送方式の差動信号を生成してもよい。
電源回路112は、一定電圧(例えば、42V)の高電源電圧信号VHV及びグラウンド電圧(0V)のグラウンド電圧信号GNDを生成する。高電源電圧信号VHVは、ケーブル19を伝搬し、駆動回路基板101に設けられている駆動回路50a〜50dやヘッド基板104に設けられている駆動信号選択回路120a〜120fに供給される。また、グラウンド電圧信号GNDは、ケーブル19を伝搬し、駆動回路基板101に設けられている各回路やヘッド基板104に設けられている各回路に供給される。
駆動回路基板101には、4つの駆動回路50a〜50dと、電圧変換回路114とが設けられている(実装されている)。
電圧変換回路114は、高電源電圧信号VHV(例えば、42V)を、一定電圧(例えば、3.3V)の低電源電圧信号VDDに変換する。また、電圧変換回路114は、高電源電圧信号VHV(例えば、42V)を、一定電圧(例えば、7.5V)の電源電圧信号GVDDに変換し、駆動回路50a〜50dに供給する。
駆動回路50a,50cは、制御部111から出力される2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1に基づいて、駆動信号COMAを生成する。同様に、駆動回路50b,50dは、制御部111から出力される2ビットの駆動データCOMB_D0,COMB_D1に基づいて、駆動信号COMBを生成する。本実施形態では、駆動回路50a,50cは、駆動データCOMA_D0,COMA_D1を積算し、積算したデータをD/A変換して増幅することにより駆動信号COMAを生成する。同様に、駆動回路50b,50dは、駆動データCOMB_D0,COMB_D1を積算し、積算したデータをD/A変換して増幅することにより駆動信号COMBを生成する。すなわち、駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1は、直近の積算データに対する差分を示すデジタルデータである。なお、制御部111が、駆動データとして積算データそのもの(駆動信号COMA,COMBの波形をアナログ/デジタル変換したデジタルデータに対応する駆動データ)を生成し、駆動回路50a〜50dが、当該駆動データをD/A変換して増幅することにより駆動信号COMA,COMBを生成してもよい。
また、駆動回路50a〜50dは、電圧変換回路114から出力される電源電圧信号GVDDから基準電圧信号VBS(例えば、6V)を生成する。なお、駆動回路50a〜50dは、入力される駆動データ、及び、出力する駆動信号が異なるのみであって、回路的な構成は同一であってもよく、その詳細については後述する。
駆動回路50aが生成する駆動信号COMA及び基準電圧信号VBSは、それぞれ、駆動回路基板101において、3つの駆動信号COMA1〜COMA3及び3つの基準電圧信号VBS1〜VBS3に分離される。同様に、駆動回路50bが生成する駆動信号COMB及び基準電圧信号VBSは、それぞれ、駆動回路基板101において、3つの駆動信
号COMB1〜COMB3及び3つの基準電圧信号VBS1〜VBS3に分離される。同様に、駆動回路50cが生成する駆動信号COMA及び基準電圧信号VBSは、それぞれ、駆動回路基板101において、3つの駆動信号COMA4〜COMA6及び3つの基準電圧信号VBS4〜VBS6に分離される。同様に、駆動回路50dが生成する駆動信号COMB及び基準電圧信号VBSは、それぞれ、駆動回路基板101において、3つの駆動信号COMB4〜COMB6及び3つの基準電圧信号VBS4〜VBS6に分離される。なお、駆動信号COMA1〜COMA6はすべて同じ波形の信号であり、駆動信号COMB1〜COMB6はすべて同じ波形の信号であり、基準電圧信号VBS1〜VBS6はすべて同じ波形の信号である。
そして、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6の各々は、駆動回路基板101において複数(以下では8本)の信号線を伝搬し、さらに、複数(以下では4本)のケーブル19を伝搬して第1中継基板102に供給される。また、基準電圧信号VBS1〜VBS6の各々は、駆動回路基板101において複数(以下では16本)の信号線を伝搬し、さらに、複数(以下では8本)のケーブル19を伝搬して第1中継基板102に供給される。
また、駆動回路基板101には、制御基板100に設けられている電源回路112から供給される高電源電圧信号VHV及びグラウンド電圧信号GNDがそれぞれ伝搬する複数の信号線と、電圧変換回路114が生成する低電源電圧信号VDDが伝搬する複数の信号線とが設けられている。そして、高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND及び低電源電圧信号VDDは、さらに、ケーブル19を伝搬して第1中継基板102に供給される。
また、駆動回路基板101には、第1中継基板102から供給される温度信号TH及び異常信号XHOTがそれぞれ伝搬する複数の信号線が設けられている。そして、温度信号TH及び異常信号XHOTは、さらに、ケーブル19を伝搬して制御基板100に供給される。
第1中継基板102には、駆動回路基板101からそれぞれ4本のケーブル19を介して駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6が供給される。そして、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6の各々は、第1中継基板102において、8本の信号線を伝搬した後、当該8本の信号線を2本ずつ短絡させた4本の信号線を伝搬し、さらに、2本のケーブル19を伝搬して第2中継基板103に供給される。また、第1中継基板102には、駆動回路基板101からそれぞれ8本のケーブル19を介して基準電圧信号VBS1〜VBS6が供給される。そして、基準電圧信号VBS1〜VBS6の各々は、第1中継基板102において、16本の信号線を伝搬した後、当該16本の信号線を2本ずつ短絡させた8本の信号線を伝搬し、さらに、4本のケーブル19を伝搬して第2中継基板103に供給される。
また、第1中継基板102には、駆動回路基板101から供給される高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND及び低電源電圧信号VDDがそれぞれ伝搬する複数の信号線が設けられている。そして、高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND及び低電源電圧信号VDDは、ケーブル19を伝搬し、ヘッド基板104に設けられている各回路に供給される。
また、第1中継基板102には、ヘッド基板104から供給される温度信号TH及び異常信号XHOTがそれぞれ伝搬する複数の信号線が設けられている。そして、温度信号TH及び異常信号XHOTは、ケーブル19を伝搬し、駆動回路基板101に供給される。
第2中継基板103には、第1中継基板102からそれぞれ2本のケーブル19を介して駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6が供給される。そして、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6の各々は、第2中継基板103において、4本の信号線を伝搬した後、当該4本の信号線を2本ずつ短絡させた2本の信号線を伝搬し、さらに、1本のケーブル19を伝搬してヘッド基板104に供給される。また、第2中継基板103には、第1中継基板102からそれぞれ4本のケーブル19を介して基準電圧信号VBS1〜VBS6が供給される。そして、基準電圧信号VBS1〜VBS6の各々は、第2中継基板103において、8本の信号線を伝搬した後、当該8本の信号線を2本ずつ短絡させた4本の信号線を伝搬し、さらに、2本のケーブル19を伝搬してヘッド基板104に供給される。
ヘッド基板104には、第2中継基板103からそれぞれ1本のケーブル19を介して駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6が供給される。そして、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6の各々は、ヘッド基板104において、2本の信号線を伝搬した後、当該2本の信号線を短絡させた1本の信号線を伝搬する。また、ヘッド基板104には、第2中継基板103からそれぞれ2本のケーブル19を介して基準電圧信号VBS1〜VBS6が供給される。そして、基準電圧信号VBS1〜VBS6の各々は、ヘッド基板104において、4本の信号線を伝搬した後、当該4本の信号線を短絡させた1本の信号線を伝搬する。
ヘッド基板104には、制御信号受信部115と、温度検出回路116と、6つの駆動信号選択回路120a〜120fとが設けられている(実装されている)。
制御信号受信部115は、制御信号送信部113から送信されたLVDS転送方式の差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−),(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)を受信し、受信した差動信号をそれぞれ差動増幅して、シングルエンドの印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKに変換する。なお、制御信号受信部115は、LVDS以外のLVPECLやCML等の各種の高速転送方式の差動信号を受信してもよい。
そして、印刷データ信号SI1〜SI6は、それぞれ、駆動信号選択回路120a〜120fに供給される。また、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKは、駆動信号選択回路120a〜120fに共通に供給される。
駆動信号選択回路120a〜120fは、ヘッド21における複数のノズルからインクを吐出させる複数の吐出部600のいずれかに、それぞれ駆動信号VOUT1〜VOUT6を出力する。具体的には、駆動信号選択回路120a〜120fは、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHに基づいて、それぞれ、駆動信号COMA1〜COMA6とCOMB1〜COMB6のいずれかを選択して駆動信号VOUT1〜VOUT6として出力し、あるいは、いずれも選択せずに出力をハイインピーダンスとする。なお、駆動信号選択回路120a〜120fの回路的な構成は同一であってもよく、その詳細については後述する。
駆動信号VOUT1は、第1ノズル列650a及び第2ノズル列650bに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS1が印加される。また、駆動信号VOUT2は、第3ノズル列650c及び第4ノズル列650dに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS2が印加される。また、駆動信号VOUT3は、第5ノズル列650e及び第6ノズル列650fに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電
素子60の他端には、基準電圧信号VBS3が印加される。また、駆動信号VOUT4は、第7ノズル列650g及び第8ノズル列650hに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS4が印加される。また、駆動信号VOUT5は、第9ノズル列650i及び第10ノズル列650jに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS5が印加される。また、駆動信号VOUT6は、第11ノズル列650k及び第12ノズル列650lに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS6が印加される。
各圧電素子60は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられており、駆動信号VOUT1〜VOUT6(駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6)が印加されることで変位する。そして、各圧電素子60は、駆動信号VOUT1〜VOUT6(駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6)と基準電圧信号VBS1〜VBS6との電位差に応じて変位して液体(インク)を吐出させる。このように、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6は吐出部600のそれぞれを駆動して液体を吐出させるための信号であり、ヘッドユニット20(ヘッド21)は、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6に応じて液体(インク)を吐出する。
このとき、圧電素子60の温度特性によって吐出特性が変化し、その結果、液体の吐出精度に影響が生じる。そこで、温度検出回路116は、不図示の温度センサーにより、ヘッドユニット20(ヘッド21、ヘッド基板104)の温度を検出し、ヘッドユニット20の温度情報を含むアナログ信号である温度信号THを出力する。また、温度検出回路116は、温度信号THの電圧値を所定の閾値(インクの吐出に異常が生じ得る温度に対応する電圧値)と比較し、ヘッドユニット20の異常を示す(例えば、高温すぎるか否かを示す)デジタル信号である異常信号XHOTを出力する。すなわち、異常信号XHOTがアクティブ(例えば、ハイレベル)であれば異常であることを示す。温度信号TH及び異常信号XHOTは、ケーブル19を伝搬し、第1中継基板102に供給される。そして、前述の通り、温度信号TH及び異常信号XHOTは、さらに駆動回路基板101を経由して制御基板100に設けられた制御部111に供給され、制御部111は、駆動回路基板101から供給される温度信号TH及び異常信号XHOTに応じた各種の処理を行う。これにより、吐出部600からのインクの吐出精度を高めることができるとともに、ヘッドユニット20(ヘッド21、ヘッド基板104)の動作異常や故障等を未然に防ぐことができる。
なお、駆動信号COMA(COMA1〜COMA6),COMB(COMB1〜COMB6)は、吐出部600を駆動する信号であるため高電圧(数十V)の信号であり、駆動信号COMA,COMBを生成する駆動回路50a〜50dは消費電力が大きく高温になりやすい。また、駆動回路50a〜50dの温度特性に応じて駆動信号COMA,COMBの波形が変化すると、吐出部600からの液体の吐出精度に影響が生じる。従って、駆動回路基板101において駆動回路50a〜50dの近傍に温度センサーを設けておき、制御部111が、ケーブル19を介して当該温度センサーの出力信号を受信し、当該温度センサーの出力信号及び温度信号THに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形が温度補正されるように駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1を生成してもよい。
3.吐出部の構成
図5は、ヘッド21が有する1つの吐出部600に対応した概略構成を示す図である。図5に示されるように、ヘッド21は、吐出部600と、リザーバー641とを含む。
リザーバー641は、インクの色毎に設けられており、インクが供給口661からリザーバー641に導入される。なお、インクは、インク貯留部8からインクチューブ9を介して供給口661まで供給される。
吐出部600は、圧電素子60と振動板621とキャビティー(圧力室)631とノズル651とを含む。このうち、振動板621は、図において上面に設けられた圧電素子60によって変位(屈曲振動)し、インクが充填されるキャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティー631に連通する開孔部である。キャビティー631は、内部に液体(例えば、インク)が充填され、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する。ノズル651は、キャビティー631に連通し、キャビティー631の内部容積の変化に応じてキャビティー631内の液体を液滴として吐出する。
図5で示される圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601にあっては、電極611,612により印加された電圧に応じて、電極611,612、振動板621とともに図5において中央部分が両端部分に対して上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60は、駆動信号VOUT(駆動信号VOUT1〜VOUT6のいずれか)の電圧が高くなると、上方向に撓む一方、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、下方向に撓む構成となっている。この構成において、上方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が拡大するので、インクがリザーバー641から引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が縮小するので、縮小の程度によっては、インクがノズル651から吐出される。
なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60を変形させてインクのような液体を吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、いわゆる縦振動を用いる構成でもよい。
また、圧電素子60は、ヘッド21においてキャビティー631とノズル651とに対応して設けられ、後述する選択部230(図8参照)にも対応して設けられる。このため、圧電素子60、キャビティー631、ノズル651および選択部230のセットは、ノズル651毎に設けられることになる。
4.駆動信号の構成
印刷媒体Pにドットを形成する方法としては、インク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法のほかに、単位期間にインク滴を2回以上吐出可能として、単位期間において吐出された1以上のインク滴を着弾させ、当該着弾した1以上のインク滴を結合させることで、1つのドットを形成する方法(第2方法)や、これら2以上のインク滴を結合させることなく、2以上のドットを形成する方法(第3方法)がある。
本実施形態では、第2方法によって、1つのドットについては、インクを最多で2回吐出させることで、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録(ドットなし)」の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COMA(COMA1〜COMA6),COMB(COMB1〜COMB6)を用意して、それぞれにおいて、1周期に前半パターンと後半パターンとを持たせている。1周期のうち、前半・後半において駆動信号COMACOMBを、表現すべき階調に応じて選択して(又は選択しないで)、圧電素子60に供給する構成となっている。
図6は、駆動信号COMA,COMBの波形を示す図である。図6に示されるように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上が
るまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってから次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。期間T1と期間T2からなる期間を周期Taとして、周期Ta毎に、印刷媒体Pに新たなドットが形成される。
本実施形態において、台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。本実施形態において、台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズル651の開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子60の一端に供給されたとしても、当該圧電素子60に対応するノズル651からインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcで開始し、電圧Vcで終了する波形となっている。
図7は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号VOUT(VOUT1〜VOUT6)の波形を示す図である。
図7に示されるように、「大ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1における駆動信号COMAの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COMAの台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して大ドットが形成されることになる。
「中ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1における駆動信号COMAの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COMBの台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度及び小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して中ドットが形成されることになる。
「小ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなり、期間T2では駆動信号COMBの台形波形Bdp2となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出される。このため、印刷媒体Pにはこのインクが着弾して小ドットが形成されることになる。
「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1では駆動信号COMBの台形波形
Bdp1となり、期間T2では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651が、期間T2において微振動するのみで、インクは吐出されない。このため、印刷媒体Pにはインクが着弾せず、ドットが形成されない。
5.駆動信号選択回路の構成
図8は、駆動信号選択回路120(120a〜120f)の構成を示す図である。図8に示されるように、駆動信号選択回路120は、選択制御部220と、複数の選択部230とを含む。
選択制御部220には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHが供給される。選択制御部220では、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの駆動信号選択回路120が有するシフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組の数は、2つのノズル列650に含まれるノズル651の総数mと同じである。
印刷データ信号SIは、m個の吐出部600(圧電素子60)のそれぞれに対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を含む、合計2mビットの信号である。
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であり、ノズル651に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ(SIH,SIL)毎に、一旦保持するための構成がシフトレジスター222である。
詳細には、圧電素子60(ノズル651)に対応した段数のシフトレジスター222が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される構成となっている。
なお、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
m個のデコーダー226の各々は、m個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をデコードして、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa,Sbを出力して、選択部230での選択を規定する。
図9は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、例えばラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であれば、選択信号Sa,Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH,Lレベルとし、期間T2ではそれぞれL,Hレベルとして、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa,Sbの論理レベルについては、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
選択部230は、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの駆動信号選択回路120が有する選択部230の数は、2つのノズル列650に含まれるノズル651の総数mと同じである。
図10は、圧電素子60(ノズル651)の1個分に対応する選択部230の構成を示す図である。
図10に示されるように、選択部230は、インバーター(NOT回路)232a,232bと、トランスファーゲート234a,234bとを有する。
デコーダー226からの選択信号Saは、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート234bの正制御端に供給される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給され、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。トランスファーゲート234a,234bの出力端同士は共通接続され、当該共通接続端子を介して駆動信号VOUTが吐出部600に出力される。
トランスファーゲート234aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート234bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
次に、駆動信号選択回路120(120a〜120f)の動作について図11を参照して説明する。
印刷データ信号SI(印刷データ信号SI1〜SI6のいずれか)が、クロック信号SCKに同期してシリアルで供給されて、ノズルに対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター222のそれぞれには、ノズル651に対応した2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が保持された状態になる。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター222における最終m段、…、2段、1段のノズルに対応した順番で供給される。
ここで、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を一斉にラッチする。図11において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を示している。
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa,Sbの論理レベルを図9に示されるような内容で出力する。
すなわち、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,
Lレベルとし、期間T2においてもH,Lレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Hレベルとし、期間T2においてL,Lレベルとする。
選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp1)を選択し、期間T2でもSa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp2)を選択する。その結果、図7に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp1)を選択し、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図7に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COMA,COMBのいずれも選択せず、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図7に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。なお、期間T1において、駆動信号COMA,COMBのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号VOUTは直前の電圧Vcに保持される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp1)を選択し、期間T2では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COMA,COMBのいずれも選択しない。その結果、図7に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。なお、期間T2において、駆動信号COMA,COMBのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号VOUTは直前の電圧Vcに保持される。
なお、図6及び図11に示した駆動信号COMA,COMBはあくまでも一例である。実際には、ヘッドユニット20の移動速度や印刷媒体Pの性質などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って上方向に撓む例で説明したが、電極611,612に供給する電圧を逆転させると、圧電素子60は、電圧の上昇に伴って下方向に撓むことになる。このため、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って下方向に撓む構成では、図6及び図11に例示した駆動信号COMA,COMBが、電圧Vcを基準に反転した波形となる。
6.駆動回路の構成
続いて、駆動回路50a〜50dについて説明する。このうち、駆動回路50a,50
cについて概略すると、次のようにして駆動信号COMAを生成する。すなわち、駆動回路50a,50cは、第1に、2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1を積算し、積算したデータをアナログ変換し、第2に、出力の駆動信号COMAを帰還するとともに、当該駆動信号COMAに基づく信号(減衰信号)と目標信号との偏差を、当該駆動信号COMAの高周波成分で補正して、当該補正した信号に従って変調信号を生成し、第3に、当該変調信号に従ってトランジスターをスイッチングすることによって増幅変調信号を生成し、第4に、当該増幅変調信号をローパスフィルターで平滑化(復調)して、当該平滑化した信号を駆動信号COMAとして出力する。
駆動回路50b,50dについても同様な構成であり、2ビットの駆動データCOMB_D0,COMB_D1から駆動信号COMBを出力する点についてのみ異なる。そこで以下の図12においては、駆動回路50a〜50dについて区別しないで、駆動回路50として説明する。
図12は、駆動回路50の回路構成を示す図である。図12に示されるように、駆動回路50は、集積回路装置500と、出力回路550と、第1帰還回路570と、第2帰還回路572と、を備えている。
集積回路装置500は、端子In1,In2を介して入力された2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1(COMB_D0,COMB_D1)に基づいて、第1トランジスターM1および第2トランジスターM2のそれぞれにゲート信号(増幅制御信号)を出力するものである。このため、集積回路装置500は、積算部501と、DAC(Digital to Analog Converter)511と、加算器512、加算器513と、コンパレーター514と、積分減衰器516、減衰器517と、インバーター515と、第1ゲートドライバー521、第2ゲートドライバー522と、第1電源部530と、基準電圧生成部580と、を含む。また、集積回路装置500は、第1電源部530を備える。
基準電圧生成部580は、第1基準電圧DAC_HV(高電圧側基準電圧)と第2基準電圧DAC_LV(低電圧側基準電圧)とを生成し、DAC511に供給する。
積算部501は、2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1(COMB_D0,COMB_D1)を積算し、積算したkビットのデータ(駆動データdA(dB))をDAC511に供給する。
DAC511は、駆動信号COMAの波形を規定するkビットの駆動データdA(dB)を、第1基準電圧DAC_HVと第2基準電圧DAC_LVとの間の電圧の元駆動信号Aaに変換し、加算器512の入力端(+)に供給する。なお、この元駆動信号Aaの電圧振幅は、その最大値および最小値がそれぞれ第1基準電圧DAC_HVおよび第2基準電圧DAC_LVで決まり(例えば1〜2V程度)、この電圧を増幅したものが、駆動信号COMAとなる。つまり、元駆動信号Aaは、駆動信号COMAの増幅前の目標となる信号である。
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力した端子Outの電圧、すなわち、駆動信号COMAを減衰するとともに、積分して、加算器512の入力端(−)に供給する。
加算器512は、入力端(+)の電圧から入力端(−)の電圧を差し引いて積分した電圧の信号Abを加算器513の入力端(+)に供給する。
なお、DAC511からインバーター515までに至る回路の電源電圧は、例えば、低振幅の3.3V(電圧変換回路114(図4参照)から供給される低電源電圧信号VDD
の電圧)である。このため、元駆動信号Aaの電圧が最大でも2V程度であるのに対し、駆動信号COMAの電圧が最大で40Vを超える場合があるので、偏差を求めるにあたって両電圧の振幅範囲を合わせるため、駆動信号COMAの電圧を積分減衰器516によって減衰させている。
減衰器517は、端子Ifbを介して入力した駆動信号COMAの高周波成分を減衰して、加算器513の入力端(−)に供給する。加算器513は、入力端(+)の電圧から入力端(−)の電圧を減算した電圧の信号Asを、コンパレーター514に供給する。減衰器517の機能は、変調利得(感度)の調整である。すなわち、駆動データdA(dB)に合わせて、変調信号Msの周波数やデューティー比が変化するが、減衰器517はこれらの変化量を調整する。
加算器513から出力される信号Asの電圧は、元駆動信号Aaの電圧から、端子Vfbに供給された信号の減衰電圧を差し引いて、端子Ifbに供給された信号の減衰電圧を減算した電圧である。このため、加算器513による信号Asの電圧は、目標である元駆動信号Aaの電圧から、端子Outから出力される駆動信号COMA(COMB)の減衰電圧を指し引いた偏差を、当該駆動信号COMA(COMB)の高周波成分で補正した信号ということができる。
コンパレーター514は、加算器513による減算電圧に基づいて、次のようにパルス変調した変調信号Msを出力する。詳細には、コンパレーター514は、加算器513から出力される信号Asが電圧上昇時であれば、電圧閾値Vth1以上になったときにHレベルとなり、信号Asが電圧下降時であれば、電圧閾値Vth2を下回ったときにLレベルとなる変調信号Msを出力する。なお、後述するように、電圧閾値は、Vth1>Vth2という関係に設定されている。
コンパレーター514による変調信号Msは、インバーター515による論理反転を経て、第2ゲートドライバー522に供給される。一方、第1ゲートドライバー521には、論理反転を経ることなく変調信号Msが供給される。このため、第1ゲートドライバー521と第2ゲートドライバー522に供給される論理レベルは互いに排他的な関係にある。
第1ゲートドライバー521および第2ゲートドライバー522に供給される論理レベルは、実際には、同時にHレベルとはならないように(第1トランジスターM1および第2トランジスターM2が同時にオンしないように)、タイミング制御してもよい。このため、ここでいう排他的とは、厳密にいえば、同時にHレベルになることがない(第1トランジスターM1および第2トランジスターM2が同時にオンすることがない)、という意味である。
ところで、ここでいう変調信号は、狭義には、変調信号Msであるが、元駆動信号Aaに応じてパルス変調したものと考えれば、変調信号Msの否定信号も変調信号に含まれる。すなわち、元駆動信号Aaに応じてパルス変調した変調信号には、変調信号Msのみならず、当該変調信号Msの論理レベルを反転させたものや、タイミング制御されたものが含まれる。
なお、加算器512と、加算器513と、コンパレーター514と、インバーター515と、積分減衰器516と、減衰器517とは、元駆動信号Aaを変調して変調信号Msを生成する変調部510として機能する。
第1ゲートドライバー521は、コンパレーター514の出力信号である低論理振幅を
高論理振幅にレベルシフトして、端子Hdrから出力する。第1ゲートドライバー521の電源電圧のうち、高位側は、端子Bstを介して印加される電圧であり、低位側は、端子Swを介して印加される電圧である。端子Bstは、コンデンサーC5の一端および逆流防止用のダイオードD1のカソード電極に接続される。端子Swは、第1トランジスターM1におけるソース電極、第2トランジスターM2におけるドレイン電極、コンデンサーC5の他端、および、インダクターL1の一端に接続される。ダイオードD1のアノード電極は、端子Gvdの一端に接続され、電圧変換回路114(図4参照)から供給される電源電圧信号GVDDの電圧Vm(例えば7.5V)が印加される。従って、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち、電圧Vm(例えば7.5V)におよそ等しい。
第2ゲートドライバー522は、第1ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。第2ゲートドライバー522は、インバーター515の出力信号である低論理振幅(Lレベル:0V、Hレベル:3.3V)を高論理振幅(例えばLレベル:0V、Hレベル:7.5V)にレベルシフトして、端子Ldrから出力する。第2ゲートドライバー522の電源電圧のうち、高位側として、電圧Vm(例えば7.5V)が印加され、低位側として、グラウンド端子Gndを介して電源回路112(図4参照)から供給されるグラウンド電圧信号GNDの電圧(0V)が印加される(低位側の電源端子はグラウンドに接地される)。
第1トランジスターM1および第2トランジスターM2は、例えばNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)である。このうち、ハイサイドの第1トランジスターM1において、ドレイン電極には、電圧変換回路114(図4参照)から供給される高電源電圧信号VHVの電圧Vh(例えば42V)が印加され、ゲート電極が、抵抗R1を介して端子Hdrに接続される。ローサイドの第2トランジスターM2については、ゲート電極が、抵抗R2を介して端子Ldrに接続され、ソース電極が、グラウンドに接地されている。
従って、第1トランジスターM1がオフ、第2トランジスターM2がオンの時は、端子Swの電圧は0Vとなり、端子Bstには電圧Vm(例えば7.5V)が印加される。一方、第1トランジスターM1がオン、第2トランジスターM2がオフの時は、端子Swには電圧Vh(例えば42V)が印加され、端子Bstには電圧Vh+Vm(例えば49.5V)が印加される。
すなわち、第1ゲートドライバー521は、コンデンサーC5をフローティング電源として、第1トランジスターM1および第2トランジスターM2の動作に応じて、基準電位(端子Swの電位)が0V又は電圧Vh(例えば42V)に変化するので、Lレベルが0V近傍かつHレベルが電圧Vm(例えば7.5V)近傍、または、Lレベルが電圧Vh(例えば42V)近傍かつHレベルが電圧Vh+Vm(例えば49.5V)近傍の増幅制御信号を出力する。これに対して、第2ゲートドライバー522は、第1トランジスターM1および第2トランジスターM2の動作に関係なく、基準電位(グラウンド端子Gndの電位)が0Vに固定されるので、Lレベルが0V近傍かつHレベルが電圧Vm(例えば7.5V)近傍の増幅制御信号を出力する。
なお、第1ゲートドライバー521と、第2ゲートドライバー522とは、変調信号Msに基づいて増幅制御信号を生成するゲートドライバー520として機能する。また、第1トランジスターM1と、第2トランジスターM2とは、変調信号Msを増幅した増幅変調信号を生成する増幅回路として機能する。
インダクターL1の他端は、この駆動回路50で出力となる端子Outであり、当該端
子Outから駆動信号COMA(COMB)が、選択部230のそれぞれに供給される。
端子Outは、コンデンサーC1の一端と、コンデンサーC2の一端と、抵抗R3の一端と、にそれぞれ接続される。このうち、コンデンサーC1の他端は、グラウンドに接地されている。このため、インダクターL1とコンデンサーC1とは、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2との接続点に現れる増幅変調信号を平滑化(復調)して駆動信号を生成するローパスフィルター(Low Pass Filter)560として機能する。
抵抗R3の他端は、端子Vfbおよび抵抗R4の一端に接続され、当該抵抗R4の他端には電圧Vhが印加される。これにより、端子Vfbには、端子Outから第1帰還回路570(抵抗R3、抵抗R4で構成される回路)を通過した駆動信号COMAがプルアップされて帰還されることになる。
一方、コンデンサーC2の他端は、抵抗R5の一端と抵抗R6の一端とに接続される。このうち、抵抗R5の他端はグラウンドに接地される。このため、コンデンサーC2と抵抗R5とは、端子Outからの駆動信号COMA(COMB)のうち、カットオフ周波数以上の高周波成分を通過させるハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。なお、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。
また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端とコンデンサーC3の一端とに接続される。このうち、コンデンサーC3の他端はグラウンドに接地される。このため、抵抗R6とコンデンサーC3とは、上記ハイパスフィルターを通過した信号成分のうち、カットオフ周波数以下の低周波成分を通過させるローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。なお、LPFのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。
上記ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、上記ローパスフィルターのカットオフ周波数よりも低く設定されているので、ハイパスフィルターとローパスフィルターとは、駆動信号COMAのうち、所定の周波数域の高周波成分を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。
コンデンサーC4の他端は、集積回路装置500の端子Ifbに接続される。これにより、端子Ifbには、上記バンドパスフィルターとして機能する第2帰還回路572(コンデンサーC2、抵抗R5、抵抗R6、コンデンサーC3およびコンデンサーC4で構成される回路)を通過した駆動信号COMAの高周波成分のうち、直流成分がカットされて帰還されることになる。
ところで、端子Outから出力される駆動信号COMA(COMB)は、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2との接続点(端子Sw)における増幅変調信号を、インダクターL1およびコンデンサーC1からなるローパスフィルターによって平滑化した信号である。この駆動信号COMA(COMB)は、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還されるので、帰還の遅延(インダクターL1およびコンデンサーC1の平滑化による遅延と、積分減衰器516による遅延と、の和)と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振することになる。
ただし、端子Vfbを介した帰還経路の遅延量が大であるために、当該端子Vfbを介した帰還のみでは、自励発振の周波数を、駆動信号COMA(COMB)の精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。
そこで、本実施形態では、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して、駆
動信号COMA(COMB)の高周波成分を帰還する経路を設けることによって、回路全体でみたときの遅延を小さくしている。このため、信号Abに、駆動信号COMAの高周波成分を加算した信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMA(COMB)の精度を十分に確保できるほど高くなる。
図13は、信号Asと変調信号Msとの波形を、元駆動信号Aaとの波形と関連付けて示す図である。
図13に示されるように、信号Asは三角波であり、その発振周波数は、元駆動信号Aaの電圧(入力電圧)に応じて変動する。具体的には、入力電圧が中間値である場合に最も高くなり、入力電圧が中間値から高くなるにつれて、または、低くなるにつれて低くなる。
また、信号Asにおいて三角波の傾斜は、入力電圧が中間値付近であれば、上り(電圧の上昇)と下り(電圧の下降)とでほぼ等しくなる。このため、信号Asをコンパレーター514によって電圧閾値Vth1、Vth2と比較した結果である変調信号Msのデューティー比は、ほぼ50%となる。入力電圧が中間値から高くなると、信号Asの下りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に長くなって、デューティー比が大きくなる。一方、入力電圧が中間値から低くなるにつれて、信号Asの上りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に短くなって、デューティー比が小さくなる。
このため、変調信号Msは、次のようなパルス密度変調信号となる。すなわち、変調信号Msのデューティー比は、入力電圧の中間値でほぼ50%であり、入力電圧が中間値よりも高くなるにつれて大きくなり、入力電圧が中間値よりも低くなるにつれて小さくなる。
第1ゲートドライバー521は、変調信号Msに基づいて第1トランジスターM1をオン/オフさせる。すなわち、第1ゲートドライバー521は、第1トランジスターM1を、変調信号MsがHレベルであればオンさせ、変調信号MsがLレベルであればオフさせる。第2ゲートドライバー522は、変調信号Msの論理反転信号に基づいて第2トランジスターM2をオン/オフさせる。すなわち、第2ゲートドライバー522は、第2トランジスターM2を、変調信号MsがHレベルであればオフさせ、変調信号MsがLレベルであればオンさせる。
従って、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2の接続点における増幅変調信号をインダクターL1およびコンデンサーC1で平滑化した駆動信号COMA(COMB)の電圧は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなるので、結果的に、駆動信号COMA(COMB)は、元駆動信号Aaの電圧を拡大した信号となるように制御されて、出力されることになる。
この駆動回路50は、パルス密度変調を用いているので、変調周波数が固定のパルス幅変調と比較して、デューティー比の変化幅を大きく取れる、という利点がある。
すなわち、回路全体で扱うことができる最小の正パルス幅と負パルス幅はその回路特性で制約されるので、周波数固定のパルス幅変調では、デューティー比の変化幅として所定の範囲(例えば10%から90%までの範囲)しか確保できない。これに対し、パルス密度変調では、入力電圧が中間値から離れるにつれて、発振周波数が低くなるため、入力電圧が高い領域においては、デューティー比をより大きくすることができ、また、入力電圧
が低い領域においては、デューティー比をより小さくすることができる。このため、自励発振型パルス密度変調では、デューティー比の変化幅として、より広い範囲(例えば5%から95%までの範囲)を確保することができるのである。
また、駆動回路50は、駆動信号COMA(COMB)、変調信号Ms及び増幅変調信号が伝搬する信号経路を含み、自励発振する自励発振回路であり、他励発振のように高い周波数の搬送波を生成する回路が不要である。このため、高電圧を扱う回路以外の、すなわち集積回路装置500の部分の、集積化が容易である、という利点がある。
加えて、駆動回路50では、駆動信号COMA(COMB)の帰還経路として、端子Vfbを介した経路だけでなく、端子Ifbを介して高周波成分を帰還する経路があるので、回路全体でみたときの遅延が小さくなる。このため、自励発振の周波数が高くなるので、駆動回路50は、駆動信号COMA(COMB)を精度良く生成することが可能になる。
図12に戻り、図12に示される例では、抵抗R1、抵抗R2、第1トランジスターM1、第2トランジスターM2、コンデンサーC5、ダイオードD1およびローパスフィルター560は、変調信号に基づいて増幅制御信号を生成し、増幅制御信号に基づいて駆動信号COMA(COMB)を生成して容量性負荷(圧電素子60)に出力する出力回路550として構成されている。
第1電源部530は、圧電素子60の駆動信号VOUTが印加される端子と異なる端子に信号を印加する。第1電源部530は、例えば、バンドギャップ・リファレンス回路のような定電圧回路で構成される。第1電源部530は、一定電圧(例えば、6V)の基準電圧信号VBSを端子Vbsから出力する。第1電源部530は、グラウンド端子Gndのグラウンド電位を基準として基準電圧信号VBSを生成する。
7.基板及びケーブルの構成
次に、図14を用いて、制御基板100、駆動回路基板101、第1中継基板102、第2中継基板103及びヘッド基板104と複数のケーブル19(19a〜19t)との接続関係について説明する。なお、図14において、基板同士の相対的な位置関係、各ケーブル19の長さ、コネクターの位置や向きは実際とは異なる。
図14に示されるように、制御基板100(「第2基板」の一例)には、4個のコネクター10a〜10dが設けられている。コネクター10aにはケーブル19aの第1端が接続され、コネクター10bにはケーブル19bの第1端が接続され、コネクター10cにはケーブル19cの第1端が接続され、コネクター10d(「第5コネクター」一例)にはケーブル19d(「第2ケーブル」の一例)の第1端(「第2ケーブルの他端」の一例)が接続されている。
駆動回路基板101には、12個のコネクター11a〜11lが設けられている。コネクター11aにはケーブル19aの第2端が接続され、コネクター11bにはケーブル19bの第2端が接続され、コネクター11cにはケーブル19cの第2端が接続されている。また、コネクター11dにはケーブル19eの第1端が接続され、コネクター11eにはケーブル19fの第1端が接続され、コネクター11fにはケーブル19gの第1端が接続され、コネクター11gにはケーブル19hの第1端が接続され、コネクター11hにはケーブル19iの第1端が接続され、コネクター11iにはケーブル19jの第1端が接続され、コネクター11jにはケーブル19kの第1端が接続され、コネクター11kにはケーブル19lの第1端が接続され、コネクター11lにはケーブル19mの第1端が接続されている。
第1中継基板102(「第1基板」の一例)には、14個のコネクター12a〜12nが設けられている。コネクター12a(「第4コネクター」一例)にはケーブル19eの第2端が接続され、コネクター12bにはケーブル19fの第2端が接続され、コネクター12cにはケーブル19gの第2端が接続され、コネクター12dにはケーブル19hの第2端が接続され、コネクター12eにはケーブル19iの第2端が接続され、コネクター12fにはケーブル19jの第2端が接続され、コネクター12gにはケーブル19kの第2端が接続され、コネクター12hにはケーブル19lの第2端が接続され、コネクター12iにはケーブル19mの第2端が接続されている。また、コネクター12j(「第3コネクター」一例)にはケーブル19n(「第1ケーブル」の一例)の第1端(「第1ケーブルの他端」の一例)が接続され、コネクター12kにはケーブル19оの第1端が接続され、コネクター12lにはケーブル19pの第1端が接続され、コネクター12mにはケーブル19qの第1端が接続され、コネクター12nにはケーブル19r(「第3ケーブル」の一例)の第1端が接続されている。
ヘッドユニット20(「印刷ヘッド部」の一例)が有する第2中継基板103には、6個のコネクター13a〜13fが設けられている。コネクター13a(「第1コネクター」一例)にはケーブル19nの第2端(「第1ケーブルの一端」の一例)が接続され、コネクター13bにはケーブル19оの第2端が接続され、コネクター13cにはケーブル19pの第2端が接続され、コネクター13dにはケーブル19qの第2端が接続されている。また、コネクター13eにはケーブル19sの第1端が接続され、コネクター13fにはケーブル19tの第1端が接続されている。
ヘッドユニット20のヘッド21が有するヘッド基板104には、4個のコネクター14a〜14dが設けられている。コネクター14aにはケーブル19sの第2端が接続され、コネクター14bにはケーブル19tの第2端が接続され、コネクター14c(「第6コネクター」一例)にはケーブル19rの第2端(「第3ケーブルの一端」の一例)が接続され、コネクター14d(「第2コネクター」一例)にはケーブル19dの第2端(「第2ケーブルの一端」の一例)が接続されている。
例えば、ケーブル19aは、高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND、駆動データCOMA_D0,COMA_D1、駆動データCOMB_D0,COMB_D1等が伝搬する。ケーブル19bは、高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND等が伝搬する。ケーブル19cは、高電源電圧信号VHV、グラウンド電圧信号GND、温度信号TH、異常信号XHOT等が伝搬する。ケーブル19dは、グラウンド電圧信号GND及び複数種類の制御信号(印刷データ信号SI1〜SI6の差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−)、ラッチ信号LATの差動信号(LAT+,LAT−)、チェンジ信号CHの差動信号(CH+,CH−)、クロック信号SCKの差動信号(SCK+,SCK−))等が伝搬する。
ケーブル19eは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19fは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19gは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19hは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19iは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19jは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,C
OMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19kは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19lは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19mは、高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD、グラウンド電圧信号GND、温度信号TH、異常信号XHOT等が伝搬する。
ケーブル19nは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19оは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19pは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19qは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19rは、高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD、グラウンド電圧信号GND、温度信号TH、異常信号XHOT等が伝搬する。
ケーブル19sは、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。ケーブル19tは、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6、基準電圧信号VBS1〜VBS6等が伝搬する。
大判プリンター1の筐体内の空間を有効に利用するために、例えば、制御基板100はコネクター10a〜10dの接続口が副走査方向Yの正方向を向くように筐体内の背面側に固定され、駆動回路基板101はコネクター11a〜11lの接続口が鉛直方向Zの正方向を向くように筐体内の背面側に固定され、第1中継基板102はコネクター12a〜12nの接続口が鉛直方向Zの正方向を向くように筐体内の背面側に固定されている。また、第2中継基板103はコネクター13a〜13fの接続口が主走査方向Xの負方向を向くようにキャリッジ24内のホームポジション側に固定され、ヘッド基板104はコネクター14a,14bの接続口が主走査方向Xの負方向を向き、コネクター14c,14dの接続口が主走査方向Xの正方向を向くようにヘッド21内に固定されている。
このような制御基板100、駆動回路基板101、第1中継基板102、第2中継基板103及びヘッド基板104の配置に基づき、基板間の接続の容易性を考慮し、ケーブル19a〜19tとして、それぞれ、両端(第1端及び第2端)において接続端子193がともに第1面191(表面)に設けられているタイプAのケーブル(図15参照)と、一端(第1端及び第2端のいずれか一方)において接続端子193が第1面191(表面)に設けられ、他端(第1端及び第2端のいずれか他方)において接続端子193が第2面192(裏面)に設けられているタイプBのケーブル(図16参照)とのいずれかが用いられる。例えば、ケーブル19a〜19d,19n〜19q,19sとしてタイプAのケーブル(図15参照)が用いられ、ケーブル19e〜19m,19r,19tとしてタイプBのケーブル(図16参照)が用いられる。
ここで、大判プリンター1は、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ヘッドユニット20の可動領域Rの幅が長くなるのに対して、筐体内で駆動回路基板101を配置可能な空間が制約されることにより、駆動回路基板101からヘッドユニット20へと駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線は1m以上になり得る。そのため、何らかの対策をとらなければ、当該信号線のインダクタンスが非常に大きくなり、これにより、駆動信号COMA,COMBに大きなオーバーシュートやアンダーシュートが生じるため、駆動信号選択回路120や圧電素子60に動作保証電
圧範囲外の電圧が瞬時的に印加され、駆動信号選択回路120や圧電素子60が故障するおそれが生じる。また、当該信号線のインピーダンスが大きくなり、これにより、駆動信号COMA,COMBの電圧降下が大きくなるため、印字安定性が低下するおそれが生じる。
そこで、本実施形態では、駆動信号COMA(COMA1〜COMA6),COMB(COMB1〜COMB6)が伝搬する信号線のインダクタンスやインピーダンスを低減させる目的で、第1中継基板102及び第2中継基板103が設けられている。そして、駆動信号COMB1,COMA2,COMB3,COMA4,COMB5,COMA6は、駆動回路基板101から4本のケーブル19e,19g,19i,19kを伝搬して第1中継基板102へと入力され、第1中継基板102から2本のケーブル19n,19pを伝搬して第2中継基板103へと入力され、第2中継基板103から1本のケーブル19sを伝搬してヘッド基板104へと入力される。また、駆動信号COMA1,COMB2,COMA3,COMB4,COMA5,COMB6は、駆動回路基板101から4本のケーブル19f,19h,19j,19lを伝搬して第1中継基板102へと入力され、第1中継基板102から2本のケーブル19о,19qを伝搬して第2中継基板103へと入力され、第2中継基板103から1本のケーブル19tを伝搬してヘッド基板104へと入力される。すなわち、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6は、それぞれ、駆動回路基板101からヘッド基板104へと1本のケーブル19のみを伝搬するのではなく、複数のケーブル19を伝搬することにより、駆動信号COMA1〜COMA6,COMB1〜COMB6がそれぞれ伝搬する信号線の合成インダクタンス及び合成インピーダンスが低減されている。
図17に、ケーブル19e〜19lの各信号線の番号及び各信号線を伝搬する信号とコネクター11d〜11k,12a〜12hの各接続端子の番号及び各接続端子から入出力される信号との関係の具体例を示す。また、図18に、ケーブル19n〜19qの各信号線の番号及び各信号線を伝搬する信号とコネクター12j〜12m,13a〜13dの各接続端子の番号及び各接続端子から入出力される信号との関係の具体例を示す。また、図19に、ケーブル19s,19tの各信号線の番号及び各信号線を伝搬する信号とコネクター13e,13f,14a,14bの各接続端子の番号及び各接続端子から入出力される信号との関係の具体例を示す。
図17〜図19の例では、例えば、駆動回路基板101に設けられた4個のコネクター11e,11g,11i,11kの25,23番端子から出力された駆動信号COMA1は、4本のケーブル19f,19h,19j,19lの2,4番信号線(合計8本の信号線)を伝搬し、4個のコネクター12b,12d,12f,12hの2,4番端子から第1中継基板102に入力される。そして、第1中継基板102において、コネクター12bの2番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター12dの2番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり(同じ駆動波形の2つの駆動信号COMA1が伝搬する2つの信号線が短絡されて1つの駆動信号COMA1となり)、コネクター12kの25番端子から出力され、コネクター12bの4番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター12dの4番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり、コネクター12kの23番端子から出力される。同様に、第1中継基板102において、コネクター12fの2番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター12hの2番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり、コネクター12mの25番端子から出力され、コネクター12fの4番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター12hの4番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり、コネクター12mの23番端子から出力される。
第1中継基板102のコネクター12k,12mの25,23番端子から出力された駆
動信号COMA1は、2本のケーブル19о,19qの2,4番信号線(合計4本の信号線)を伝搬し、コネクター13b,13dの2,4番端子から第2中継基板103に入力される。そして、第2中継基板103において、コネクター13bの2番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター13dの2番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり、コネクター13fの25番端子から出力され、コネクター13bの4番端子から入力された駆動信号COMA1と、コネクター13dの4番端子から入力された駆動信号COMA1とが合わさり、コネクター13fの23番端子から出力される。
第2中継基板103のコネクター13fの25,23番端子から出力された駆動信号COMA1は、1本のケーブル19tの2,4番信号線(合計2本の信号線)を伝搬し、コネクター14bの25,23番端子からヘッド基板104に入力される。そして、ヘッド基板104において、コネクター14bの25,23番端子から入力された駆動信号COMA1が合わさり、駆動信号選択回路120aに供給される。
駆動信号COMA2〜COMA6,COMB1〜COMB6の伝搬経路についても、駆動信号COMA1と同様であるため、その説明を省略する。
ここで、駆動回路基板101と第1中継基板102とを接続する4本のケーブル19f,19h,19j,19lにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計8本の信号線)の単位長さ当たりの合成インピーダンスは、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続する2本のケーブル19о,19qにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計4本の信号線)の単位長さ当たりの合成インピーダンスよりも小さい。また、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続する2本のケーブル19о,19qにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計4本の信号線)の単位長さ当たりの合成インピーダンスは、第2中継基板103とヘッド基板104とを接続する1本のケーブル19tにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計2本の信号線)の単位長さ当たりの合成インピーダンスよりも小さい。駆動信号COMA2〜COMA6,COMB1〜COMB6についても同様である。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ヘッドユニット20(ヘッド21)まで駆動信号COMA(COMA1〜COMA6),COMB(COMB1〜COMB6)が伝搬する信号線が長くなるが、駆動回路基板101から第1中継基板102まで駆動信号COMA,COMBが伝搬する全ての信号線の合成インピーダンスや第1中継基板102から第2中継基板103まで駆動信号COMA,COMBが伝搬する全ての信号線の合成インピーダンスが低減されるので、駆動信号COMA,COMBの電圧降下が低減され、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、駆動回路基板101と第1中継基板102とを接続する4本のケーブル19f,19h,19j,19lにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計8本の信号線)の単位長さ当たりの合成インダクタンスは、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続する2本のケーブル19о,19qにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計4本の信号線)の単位長さ当たりの合成インダクタンスよりも小さい。また、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続する2本のケーブル19о,19qにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計4本の信号線)の単位長さ当たりの合成インダクタンスは、第2中継基板103とヘッド基板104とを接続する1本のケーブル19tにおいて駆動信号COMA1が伝搬する全ての信号線(合計2本の信号線)の単位長さ当たりの合成インダクタンスよりも小さい。駆動信号COMA2〜COMA6,COMB1〜COMB6についても同様である。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ヘッドユニット20(ヘッド21)まで駆動信号COMA(C
OMA1〜COMA6),COMB(COMB1〜COMB6)が伝搬する信号線が長くなるが、駆動回路基板101から第1中継基板102まで駆動信号COMA,COMBが伝搬する全ての信号線の合成インダクタンスや第1中継基板102から第2中継基板103まで駆動信号COMA,COMBが伝搬する全ての信号線の合成インダクタンスが低減されるので、駆動信号COMA,COMBのオーバーシュートやアンダーシュートが低減され、ヘッドユニット20(ヘッド21)が故障や誤動作を起こすおそれが小さくなる。
前述の通り、制御基板100、駆動回路基板101及び第1中継基板102は、大判プリンター1の筐体内で固定されているため、ヘッドユニット20の移動に伴って動かない。従って、制御基板100、駆動回路基板101及び第1中継基板102のいずれか2つを接続するケーブル19a〜19c,19e〜19mは、シリアル印刷のためのヘッドユニット20の移動に伴って変形しない。また、ヘッドユニット20に設けられている第2中継基板103とヘッド基板104は、シリアル印刷のためのヘッドユニット20の移動に伴って動くが、これらの基板の相対位置関係は変わらない。従って、第2中継基板103とヘッド基板104とを接続するケーブル19a,19bも、シリアル印刷のためのヘッドユニット20の移動に伴って変形しない。従って、制御基板100とヘッド基板104とを接続するケーブル19d、第1中継基板102とヘッド基板104とを接続するケーブル19r及び第1中継基板102と第2中継基板103とを接続するケーブル19n〜19qのみが、シリアル印刷のためのヘッドユニット20の移動に伴って変形する。このように、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、ヘッドユニット20と接続され、ヘッドユニット20の移動に伴って変形するケーブルの数をヘッドユニット20と接続されず、ヘッドユニット20の移動に伴って変形しないケーブルの数よりも少ないため、ヘッドユニット20の可動性を確保しつつ、ヘッドユニット20(ヘッド21)の故障や誤動作、印字精度や印字安定性の低下等の問題が生じるおそれを小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第1中継基板102と第2中継基板103との間が4本のケーブル19n〜19qで接続されているが、第1中継基板102と第2中継基板103との間を接続するケーブル19の数が多いほど、駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の合成インダクタンスや合成インピーダンスが小さくなり、印字精度や安定性が向上する。また、駆動回路50a〜50dのインダクターL1とコンデンサーC1(図12参照)とで決まる共振周波数と、駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の合成インダクタンスと圧電素子60の合成容量とで決まる共振周波数とが近づくと、駆動信号COMA,COMBの波形が歪むことになるが、一般に、駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の合成インダクタンスが小さいほど、この2つの共振周波数の差が大きくなるため、印字精度や安定性が低下するおそれが低減される。その一方、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続するケーブル19の数が増えると、コストが増大するとともにヘッドユニット20の摺動性が悪化する。従って、ケーブル数を増やすことのメリットとデメリットのトレードオフを考慮して、適切なケーブル数とすることが好ましい。
また、本実施形態では、ヘッドユニット20(ヘッド21)からの液体(インク)の吐出を制御する制御信号(印刷データ信号SI1〜SI6の差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−)、ラッチ信号LATの差動信号(LAT+,LAT−)、チェンジ信号CHの差動信号(CH+,CH−)及びクロック信号SCKの差動信号(SCK+,SCK−))は、制御基板100からヘッド基板104までケーブル19dを伝搬する。すなわち、これらの制御信号は、駆動回路基板101、第1中継基板102及び第2中継基板103を経由せずにヘッド基板104(ヘッド21)に伝搬する。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、駆動回路基板101、第1中継基板102及び第2中継基板103における駆動信号COMA,COMBとこれらの制御信号とのクロストークが回避されるので、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号COMA,COMBか
ら受ける影響が低減され、ヘッドユニット20(ヘッド21)が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、本実施形態では、多数のケーブル19が用いられ、特に、駆動回路基板101、第1中継基板102及び第2中継基板103には多くのケーブル19が接続されるため、各ケーブル19がなるべく短くなるように各コネクターの配置が考慮されている。図20は、駆動回路基板101のコネクターの配置を示す図である。また、図21は、第1中継基板102のコネクターの配置を示す図である。また、図22は、第2中継基板103のコネクターの配置を示す図である。また、図23は、大判プリンター1を副走査方向Yの負方向に視たときの駆動回路基板101、第1中継基板102、第2中継基板103及びケーブル19d〜19rの配置を概略的に示す図である。
図20及び図23に示されるように、駆動回路基板101のコネクター11a〜11lが設けられている面(接続面)は鉛直方向Zの正方向を向いている。すなわち、駆動回路基板101は、大判プリンター1の筐体内において、接続面が上向きになるように固定されている。そして、ホームポジションに近い側において副走査方向Yの負方向に向かって3個のコネクター11a〜11cがこの順に並び、ホームポジションから遠い側において副走査方向Yの正方向に向かって9個のコネクター11d〜11lがこの順に並んでいる。すなわち、ケーブル19a〜19cによって制御基板100と接続される3個のコネクター11a〜11cは制御基板100に近い側に設けられ、ケーブル19e〜19mによって第1中継基板102と接続される9個のコネクター11d〜11lは第1中継基板102に近い側に設けられている。これにより、ケーブル19a〜19c,19e〜19mが短くなっている。
図21及び図23に示されるように、第1中継基板102のコネクター12a〜12jが設けられている面(接続面)は鉛直方向Zの正方向を向いている。すなわち、第1中継基板102は、大判プリンター1の筐体内において、接続面が上向きになるように固定されている。そして、ホームポジションに近い側において主走査方向Xの正方向に向かって9個のコネクター12a〜12iがこの順に並び、ホームポジションから遠い側において主走査方向Xの負方向に向かって5個のコネクター12j〜12nがこの順に並んでいる。すなわち、ケーブル19e〜19mによって駆動回路基板101と接続される9個のコネクター12a〜12iは駆動回路基板101に近い側に設けられ、ケーブル19n〜19qによって第2中継基板103と接続される4個のコネクター12j〜12m及びケーブル19rによってヘッド基板104と接続されるコネクター12nは、ヘッドユニット20(第2中継基板103及びヘッド基板104)に近い側に設けられている。これにより、ケーブル19e〜19qが短くなっている。
図22及び図23に示されるように、第2中継基板103のコネクター13a〜13fが設けられている面(接続面)は主走査方向Xの負方向を向いている。すなわち、第2中継基板103は、ヘッドユニット20のキャリッジ24内において、接続面がホームポジション側を向くように固定されている。そして、筐体の背面に近い側において副走査方向Yの正方向に向かって4個のコネクター13a〜13dがこの順に並び、筐体の正面に近い側において鉛直方向Zの負方向に向かって2個のコネクター13e,13fがこの順に並んでいる。すなわち、ケーブル19n〜19qによって第1中継基板102と接続される4個のコネクター13a〜13dは接続口が第1中継基板102の方を向き、ケーブル19s,19tによってヘッド基板104と接続される2個のコネクター13e,13fはヘッド基板104に設けられている2個のコネクター14a,14bと同じ方向を向いている。これにより、ケーブル19n〜19q,19s,19tが短くなっている。
図23に示されるように、駆動回路基板101と第1中継基板102とを接続するケー
ブル19e〜19m及び制御基板100とヘッド基板104(図23では不図示)とを接続するケーブル19dは、鉛直方向Zの正方向に向かってこの順に重なっている。これに対して、図20に示されるように、駆動回路基板101において、9個のコネクター11d〜11lは、接続口の内部において接続端子が設けられている面(端子面)がすべて同じ方向(副走査方向Yの正方向)を向いており、また、図21に示されるように、第1中継基板102において、9個のコネクター12a〜12iは端子面がすべて同じ方向(主走査方向Xの負方向)を向いている。そして、ケーブル19e〜19mは、折り曲がり、コネクター11d〜11lとコネクター12a〜12iとそれぞれ接続されている。これにより、ケーブル19e〜19mの配置空間が小さくなっている。
また、図23に示されるように、第1中継基板102と第2中継基板103とを接続するケーブル19n〜19q、第1中継基板102とヘッド基板104とを接続するケーブル19r及び制御基板100とヘッド基板104とを接続するケーブル19dは、鉛直方向Zの正方向に向かってこの順に重なっている。これに対して、図21に示されるように、第1中継基板102において、5個のコネクター12j〜12nは端子面がすべて同じ方向(主走査方向Xの正方向)を向いており、また、図22に示されるように、第2中継基板103の接続面において、4個のコネクター13a〜13dは端子面がすべて同じ方向(副走査方向Yの負方向)を向いている。そして、ケーブル19n〜19rは、折り曲がり、コネクター12j〜12nとコネクター13a〜13d,14c(図23では不図示)とそれぞれ接続されている。これにより、ケーブル19n〜19rの配置空間が小さくなっている。
特に、本実施形態では、図23に示されるように、ケーブル19n〜19r,19dは、重なり、弧ARをなし、駆動信号COMA,COMBが伝搬する4つのケーブル19n〜19qは、制御信号(差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−),(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−))が伝搬するケーブル19dよりも弧ARの外側にある。ヘッドユニット20が移動しても、弧ARにおけるケーブル19n〜19r,19dの重なり順は変わらない。
このように、駆動信号COMA,COMBは、駆動回路基板101から第1中継基板102を経由してケーブル19n〜19qを伝搬してヘッドユニット20(第2中継基板103)に供給されるのに対して、制御信号は第1中継基板102を経由せずにケーブル19dを伝搬してヘッドユニット20(ヘッド基板104)に伝搬する。そして、第1中継基板102と接続されるケーブル19n〜19qが弧ARの外側を通ってヘッドユニット20と接続され、第1中継基板102と接続されないケーブル19dが弧ARの内側を通ってヘッドユニット20と接続されるので、ケーブル19n〜19q,19dの重なり順は、第1中継基板102とヘッドユニット20との間の途中で変わらないため、駆動信号COMA,COMBと制御信号とのクロストークが小さくなる。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ヘッドユニット20まで駆動信号COMA,COMBや制御信号が伝搬する信号線が長くなるが、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号COMA,COMBから受ける影響が低減されるので、ヘッドユニット20(ヘッド21)が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、低電圧の制御信号が伝搬するケーブル19dが弧ARの内側を通ってヘッドユニット20と接続されるので、ヘッドユニット20の移動に伴う筐体とケーブル19dとの摩擦が起こりにくく、ケーブル19dが帯電しにくいため、ヘッドユニット20に搭載される低電源電圧で動作する回路(選択制御部220等)が静電破壊を起こしてヘッドユニット20(ヘッド21)が故障するおそれが小さい。
また、ケーブル19n〜19q,19dの重なり順が途中で変わらないため、駆動信号COMA,COMBが伝搬するケーブル19n〜19qが不必要に長くなることが回避され、ヘッドユニット20まで駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線のインダクタンスやインピーダンスが低減される。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、駆動信号COMA,COMBのオーバーシュートやアンダーシュートや駆動信号COMA,COMBの電圧降下が低減されるので、ヘッドユニット20(ヘッド21)が故障や誤動作を起こすおそれが小さくなるとともに、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
なお、ケーブル19dを伝搬する制御信号は、差動信号であるため、コモンモードノイズの影響が低減されるが、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号COMA,COMBから受けるノイズの影響を低減させるために、制御信号が伝搬するケーブル19dは、制御信号を保護するシールド部を有するケーブル(シールドケーブル)であることが望ましい。図24にシールドケーブルの一例を示す。図24に示されるシールドケーブルは、内部に導電性のシールド線を含むシールドテープ194(シールド部)で覆われており、シールド線露出部195で固定電位(例えばグラウンド電位)となるように電気的に接続される構造であり、このような構造により、ノイズ耐性を有する。なお、シールド線は必ずしも線状である必要はなく(つまり、配線が並んでいる必要はなく)、電導性の細線が編み目状になっていてもよいし、シールドテープ194の内部の金属層がシールド線であってもよい。
また、図23に示されるように、ケーブル19n〜19r,19dは、定電圧信号である高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD、グラウンド電圧信号GND等が伝搬するケーブル19rが、駆動信号COMA,COMBが伝搬するケーブル19n〜19qの一群と制御信号が伝搬するケーブル19dとの間に挟まれるように重なり、弧ARをなしている。そして、ケーブル19rにおいて定電圧信号が伝搬する信号線の単位長さ当たりのインピーダンスは、ケーブル19n〜19qにおいて駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の単位長さ当たりのインピーダンスよりも小さく、かつ、ケーブル19dにおいて制御信号が伝搬する信号線の単位長さ当たりのインピーダンスよりも小さい。具体的には、ケーブル19rにおいて定電圧信号が伝搬する信号線の厚み(例えば、100μm)は、ケーブル19n〜19qにおいて駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の厚み(例えば、50μm)よりも大きく、かつ、ケーブル19dにおいて制御信号が伝搬する信号線の厚み(例えば、50μm)よりも大きい。
このように、ケーブル19n〜19qの一群と制御信号が伝搬するケーブル19dとの間に、インピーダンスが小さく、定電圧信号が伝搬するケーブル19rが挟まれるので、ケーブル19rはシールド線として機能し、ケーブル19n〜19qを伝搬する駆動信号COMA,COMBとケーブル19dを伝搬する制御信号とのクロストークが小さくなる。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ケーブル19n〜19q,19dが長くなるが、低電圧の制御信号が高電圧の駆動信号COMA,COMBから受ける影響が低減されるので、ヘッドユニット20が誤動作を起こすおそれが小さくなり、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、図23に示されるように、ケーブル19rよりも弧ARの外側にあるケーブル19の数(4本)は、ケーブル19rよりも弧ARの内側にあるケーブル19の数(1本)よりも多い。すなわち、弧ARとヘッドユニット20との間において、多くのケーブル19n〜19qがケーブル19rの上に重なるため、これらのケーブル19n〜19qが自重によって垂れやすい状況にある。これに対して、ケーブル19rは、ケーブル19n〜19q,19dよりも信号線の厚みが大きいため、強度が高く、ケーブル19n〜19q
の垂れを抑止するための芯材としても機能する。そのため、ヘッドユニット20の移動中に、ケーブル19n〜19qが自重によって垂れ下がって変形することによるケーブル19n〜19q,19dの相互インダクタンスの動的な変化が低減される。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、ケーブル19n〜19q,19dが長くなるが、駆動信号COMA,COMBの波形の再現性が向上するので、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
さらに、ケーブル19rの信号線は、厚みが大きく、インピーダンスが小さいため、伝搬する定電圧信号(高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD、グラウンド電圧信号GND等)の電圧降下が小さく、駆動信号選択回路120a〜120fが誤動作するおそれが低減される。なお、本実施形態では、定電圧信号の電圧降下をさらに低減させるために、定電圧信号が伝搬するケーブル19c,19mの信号線についても、ケーブル19rの信号線と同等の厚み(例えば、100μm)となっている。
また、定電圧信号が伝搬するケーブル19c,19m,19rは、高いシールド効果を有するため、本実施形態の大判プリンター1は、ヘッドユニット20の故障を未然に防ぐために極めて重要な温度信号TH及び異常信号XHOTがケーブル19c,19m,19rを伝搬するように構成されている。
図25に、ケーブル19c,19m,19rの各信号線の番号及び各信号線を伝搬する信号とコネクター10c,11c,11l,12i,12n,14cの各接続端子の番号及び各接続端子から入出力される信号との関係の具体例を示す。
図25の例では、ヘッド基板104に設けられたコネクター14cの24番端子から出力された温度信号THは、ケーブル19rの3番信号線を伝搬し、コネクター12nの24番端子から第1中継基板102に入力され、コネクター12iの3番端子から出力される。コネクター12iの3番端子から出力された温度信号THは、ケーブル19mの3番信号線を伝搬し、コネクター11lの3番端子から駆動回路基板101に入力され、コネクター11cの3番端子から出力される。コネクター11cの3番端子から出力された温度信号THは、ケーブル19cの3番信号線を伝搬し、コネクター10cの24番端子から制御基板100に入力される。そして、ケーブル19c,19m,19rにおいて、温度信号THが伝搬する3番信号線の両隣には、定電圧信号である低電源電圧信号VDDが伝搬する2,4番信号線が設けられている。そのため、ケーブル19c,19m,19rの2,4番信号線がシールド線として機能し、アナログ信号であるため高電圧の駆動信号COMA,COMB等の影響を受けやすい温度信号THが、ヘッド基板104から制御基板100まで安定して伝搬する。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、制御部111の温度信号THに基づく制御(ヘッドユニット20によるインクの吐出特性の温度依存性の補正等)が誤るおそれが低減され、印字精度や印字安定性を向上させることができる。
また、図25の例では、ヘッド基板104に設けられたコネクター14cの4番端子から出力された異常信号XHOTは、ケーブル19rの23番信号線を伝搬し、コネクター12nの4番端子から第1中継基板102に入力され、コネクター12iの23番端子から出力される。コネクター12iの23番端子から出力された異常信号XHOTは、ケーブル19mの23番信号線を伝搬し、コネクター11lの23番端子から駆動回路基板101に入力され、コネクター11cの23番端子から出力される。コネクター11cの23番端子から出力された異常信号XHOTは、ケーブル19cの23番信号線を伝搬し、コネクター10cの4番端子から制御基板100に入力される。そして、ケーブル19c,19m,19rにおいて、異常信号XHOTが伝搬する23番信号線の両隣には、定電
圧信号であるグラウンド電圧信号GNDが伝搬する22,24番信号線が設けられている。そのため、ケーブル19c,19m,19rの22,24番信号線がシールド線として機能し、異常信号XHOTが、ヘッド基板104から制御基板100まで安定して伝搬する。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、制御部111の異常信号XHOTに基づく制御(ヘッドユニット20の停止指示等)が誤るおそれが低減される。
なお、第1中継基板102は、シリアル印刷のためにヘッドユニット20が移動する方向(主走査方向X)と直交する方向(例えば、副走査方向Y)から視たときにヘッドユニット20が移動する領域(可動領域R)と少なくとも一部が重なるように設けられているのが好ましく、可動領域Rの中央近傍に設けられているのがより好ましい。このようにすれば、ケーブル19n〜19rをより短くすることができるので、筐体との摩擦による帯電が少なくなり、また、相互インダクタンスの動的な変化が低減されるため、ヘッドユニット20(ヘッド21)が故障するおそれが低減され、印字精度や印字安定性が向上する。
これまでに説明したように、本実施形態に係る大判プリンター1では、多数のケーブル19が用いられ、また、すべてのケーブル19の第1端あるいは第2端に設けられた接続端子193の数が同じであるため、各ケーブル19の接続場所や接続方向の間違いが発生しやすい。そこで、ケーブル19の接続方向の間違いを発生しにくくするために、前述の通り、すべてのケーブル19a〜19rにおいて、両端において片面(第1面191又は第2面192)にのみ接続端子193が設けられている(図15、図16参照)。また、すべてのコネクター10a〜10d,11a〜11l,12a〜12n,13a〜13f,14a〜14dにおいて、接続口の内部の1つの面(端子面)にのみ接続端子が設けられている。これにより、各ケーブル19の各コネクターへの接続方向が間違っていると、物理的にあるいは電気的に接続端子同士が正しく接続されないようになっている。
さらに、駆動回路基板101と第1中継基板102には、多数のケーブル19が接続されるため、各ケーブル19の接続場所の間違いが特に発生しやすい。そこで、図21に示されるように、第1中継基板102において、コネクター12j〜12nの端子面と、コネクター12a〜12iの端子面とが異なる方向を向いている。具体的には、コネクター12j〜12nの端子面と、コネクター12a〜12iの端子面とが逆方向を向いている(前者は主走査方向Xの正方向を向き、後者は主走査方向Xの負方向を向いている)。そのため、コネクター12a〜12iにそれぞれ接続されるべきケーブル19e〜19mの少なくとも1つをコネクター12j〜12nのいずれかに誤って接続し、あるいは、コネクター12j〜12nにそれぞれ接続されるべきケーブル19n〜19rの少なくとも1つをコネクター12a〜12iのいずれかに誤って接続しようとしても、物理的にあるいは電気的に接続端子同士が正しく接続されず、ケーブル19e〜19mとケーブル19n〜19rとの挿し間違えが起こりにくい。
同様に、図22に示されるように、第2中継基板103において、コネクター13e,13fの端子面と、コネクター13a〜13dの端子面とが異なる方向を向いている。具体的には、コネクター13e,13fの端子面と、コネクター13a〜13dの端子面とが直交する方向を向いている(前者は鉛直方向Zの負方向を向き、後者は副走査方向Yの負方向を向いている)。そのため、コネクター13a〜13dにそれぞれ接続されるべきケーブル19n〜19qの少なくとも1つをコネクター13e,13fのいずれかに接続し、あるいは、コネクター13e,13fにそれぞれ接続されるべきケーブル19s,19tの少なくとも1つをコネクター13a〜13dのいずれかに接続することは難しいため、ケーブル19n〜19qとケーブル19s,19tとの挿し間違えが起こりにくい。
従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、第1基板におけるケーブルの挿
し間違えに起因してヘッドユニット20(ヘッド21)が故障あるいは誤動作するおそれが小さくなる。
ただし、各ケーブル19が各コネクターに斜めに刺さる等により接続端子同士が短絡等の接触不良を起こす可能性は残る。このような接触不良の状態では、駆動信号COMA,COMBや各種の制御信号等がヘッド基板104に正しく伝搬することができずに吐出不良等の誤動作が起こる可能性があり、最悪の場合は駆動信号選択回路120a〜120fや圧電素子60が故障する事態も起こり得る。そこで、本実施形態に係る大判プリンター1は、ケーブル19a〜19rがデイジーチェーンの少なくとも一部をなし、当該デイジーチェーンにより、各ケーブルと各コネクターとの接続不良が検出可能に構成されている。
図26は、デイジーチェーンの一例を示す図である。図26に示される例では、矢印で示されるように、すべてのケーブル19の両端の信号線(1,26番信号線)及びすべてのコネクターの両端の接続端子(1,26番接続端子)が接続されたデイジーチェーンが構成されている。そして、制御基板100に設けられている制御部111は、コネクター10cの1番端子に接続確認信号FCCを供給する。すべてのケーブル19とすべてのコネクターの接続が適切であれば、接続確認信号FCCはデイジーチェーンを最後まで伝搬し、制御部111には、コネクター10aの26番端子から接続確認信号FCCが入力される。これに対して、少なくとも1つのケーブル19又は少なくとも1つのコネクターの接続が不適切であれば、接続確認信号FCCはデイジーチェーンを最後まで伝搬することができず、制御部111には、コネクター10aの26番端子から接続確認信号FCCとは異なる信号が入力される。そのため、制御部111は、コネクター10aの26番端子から入力される信号が接続確認信号FCCと一致するか否かに基づいて接続を確認することができる。そして、制御部111は、接続不良と判断すれば、駆動回路50a〜50dによる駆動信号COMA,COMBの生成を停止させるようにしてもよい。従って、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、ケーブル19a〜19rの少なくとも1つの斜め刺し等によりコネクターの接続端子間で短絡が生じてヘッドユニット20(ヘッド21)が故障あるいは誤動作するおそれが小さくなる。
なお、制御部111は、接続確認信号FCCとしてグラウンド電圧信号GND等の定電圧信号を用いることにより、接続確認信号FCCがノイズ源とならないので、シリアル印刷動作時も含めて、常時、接続を確認することができる。しかも、定電圧信号である接続確認信号FCCが伝搬する信号線はシールド線として機能する。従って、例えば、図25の例において、温度信号THが、ケーブル19c,19m,19rの2番信号線、コネクター10c,12n,14cの25番端子及びコネクター11c,11l,12iの2番端子を伝搬し、かつ、低電源電圧信号VDDが、ケーブル19c,19m,19rの3番信号線、コネクター10c,12n,14cの24番端子及びコネクター11c,11l,12iの3番端子を伝搬するように変更することにより、ケーブル19c,19m,19rにおいて接続確認信号FCCが伝搬する1番信号線を、温度信号THを保護するシールド線として利用することも可能である。
8.作用効果
以上に説明したように、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、A3短辺幅以上の印刷媒体Pに対してシリアル印刷を行うことが可能であるため、各種の信号が伝搬する信号線が長くなるが、ヘッドユニット20(ヘッド21)が故障あるいは誤動作するおそれが低減され、高い印字精度や印字安定性を実現することができる。
特に、シリアル印刷の最大印刷幅(プラテン幅PW)が24インチ以上の場合、駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の全長が1m以上になり得るため、当該信号線の
インピーダンスやインダクタンスを低減させ、あるいは、駆動信号COMA,COMBと制御信号とのクロストークを低減させることによる上記の各種の効果がより大きい。ただし、シリアル印刷が可能な最大幅が75インチを超えると、駆動信号COMA,COMBが伝搬する信号線の全長が3m以上になり得る。そのため、駆動信号が伝搬する信号線のインピーダンスやインダクタンスが大きくなりすぎて、あるいは、駆動信号COMA,COMBと制御信号とのクロストークが大きくなりすぎて、ヘッドユニット20(ヘッド21)が故障や誤動作を起こすおそれがより大きくなるため、上記の効果が得られにくい。従って、本実施形態に係る大判プリンター1は、シリアル印刷の最大印刷幅(プラテン幅PW)が、24インチ以上75インチ以下であることが好ましい。
本実施形態に係る大判プリンター1は、シリアル印刷の最大印刷幅(プラテン幅PW)が、24インチ、36インチ、44インチ、64インチのいずれかに対応していてもよい。この大判プリンター1によれば、特に需要が大きい24インチ対応プリンター、36インチ対応プリンター、44インチ対応プリンターあるいは64インチ対応プリンターとして、優れた印字精度や印字安定性を実現することができる。
また、本実施形態に係る大判プリンター1において、ヘッドユニット20(ヘッド21)は、30kHz以上の周波数で液体(インク)を吐出してもよい。インクを吐出する周波数が高いほど(高速に印刷を行うほど)、駆動信号COMA,COMBの電圧変化が急峻になるためオーバーシュートやアンダーシュートが大きくなり、また、駆動信号COMA,COMBと制御信号とのクロストークも大きくなりやすい。従って、この大判プリンター1によれば、上記の各種の効果がより大きい。
さらに、本実施形態に係る大判プリンター1によれば、キャリッジ24に駆動回路50が搭載される場合と比較して、ヘッドユニット20の重量が小さいので、ヘッドユニット20を往復移動させるためのモーターとして高価なモーターが不要であり、また、ヘッドユニット20の往復移動時の振動が小さく、ヘッド21が駆動回路50の発熱の影響を受けないため、印字精度や印字安定性が高い。
9.変形例
上記の実施形態では、駆動信号COMA,COMBをヘッド基板104まで中継するための基板(中継基板)が2つ(第1中継基板102及び第2中継基板103)であるが、中継基板は1つでもよいし、3つ以上あってもよい。また、基板間を接続するケーブル19の数は、上記の実施形態で例示したものに限られない。
また、上記の実施形態では、駆動回路が駆動素子としての圧電素子(容量性負荷)を駆動するピエゾ方式の大判プリンターを例に挙げたが、本発明は、駆動回路が容量性負荷以外の駆動素子を駆動する大判プリンターにも適用可能である。このような大判プリンターとしては、例えば、駆動回路が駆動素子としての発熱素子(例えば、抵抗)を駆動し、発熱素子が加熱されることにより発生するバブルを利用して液体(インク)を吐出するサーマル方式(バブル方式)の大判プリンター等が挙げられる。
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実
施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…大判プリンター、2…本体、3…支持スタンド、4…供給部、6…排出部、7…操作部、8…インク貯留部、9…インクチューブ、10a〜10d,11a〜11l,12a〜12n,13a〜13f,14a〜14d…コネクター、19,19a〜19t…ケーブル、20…ヘッドユニット、21…ヘッド、24…キャリッジ、32…キャリッジガイド軸、33…プラテン、35…キャッピング機構、50,50a〜50d…駆動回路、60…圧電素子、80…メンテナンス機構、100…制御基板、101…駆動回路基板、102…第1中継基板、103…第2中継基板、104…ヘッド基板、111…制御部、112…電源回路、113…制御信号送信部、114…電圧変換回路、115…制御信号受信部、116…温度検出回路、120,120a〜120f…駆動信号選択回路、191…第1面、192…第2面、193…接続端子、194…シールドテープ、195…シールド線露出部、220…選択制御部、222…シフトレジスター、224…ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択部、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、500…集積回路装置、501…積算部、510…変調部、511…DAC、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライバー、521…第1ゲートドライバー、522…第2ゲートドライバー、530…第1電源部、550…出力回路、560…ローパスフィルター、570…第1帰還回路、572…第2帰還回路、580…基準電圧生成部、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、650…ノズル列、650a〜650l…第1ノズル列〜第12ノズル列、651…ノズル、661…供給口、C1,C2,C3,C4,C5…コンデンサー、D1…ダイオード、R1,R2,R3,R4,R5,R6…抵抗、L1…インダクター、M1…第1トランジスター、M2…第2トランジスター

Claims (15)

  1. A3短辺幅以上の媒体に対してシリアル印刷を行うことが可能な大判プリンターであって、
    駆動信号が入力される第1コネクターと、制御信号が入力される第2コネクターと、を有し、前記駆動信号に応じて液体を吐出し、前記制御信号に応じて前記液体の吐出が制御される印刷ヘッド部と、
    前記駆動信号を出力する第3コネクターと、前記駆動信号が入力される第4コネクターと、を有する第1基板と、
    前記制御信号を出力する第5コネクターを有する第2基板と、
    前記第1コネクターと一端が接続し、前記第3コネクターと他端が接続し、前記駆動信号が伝搬する第1ケーブルと、
    前記第2コネクターと一端が接続し、前記第5コネクターと他端が接続し、前記制御信号が伝搬する第2ケーブルと、
    を備え、
    前記制御信号は、前記第1基板を経由せずに前記第2コネクターに入力され、
    前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとは重なり、弧をなし、
    前記第1ケーブルは、前記第2ケーブルよりも前記弧の外側にある、
    ことを特徴とする大判プリンター。
  2. 前記駆動信号は、前記第1ケーブルを含む、前記第1基板と前記印刷ヘッド部とを接続する複数のケーブルを伝搬し、
    前記複数のケーブルと前記第2ケーブルとは重なり、前記弧をなし、
    前記複数のケーブルは、前記第2ケーブルよりも前記弧の外側にある、
    ことを特徴とする請求項1に記載の大判プリンター。
  3. 前記第2ケーブルは、
    前記制御信号を保護するシールド部を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の大判プリンター。
  4. 前記制御信号は、差動信号である、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  5. 前記シリアル印刷が可能な最大幅が、24インチ以上75インチ以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  6. 前記シリアル印刷が可能な最大幅が、24インチ、36インチ、44インチ、64インチのいずれかに対応している、
    ことを特徴とする請求項5に記載の大判プリンター。
  7. 前記印刷ヘッド部は、30kHz以上の周波数で前記液体を吐出する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  8. 第3ケーブルをさらに備え、
    前記印刷ヘッド部は、
    定電圧信号が入力される第6コネクターをさらに有し、
    前記第3ケーブルは、前記第6コネクターと一端が接続し、前記定電圧信号が伝搬し、
    前記第1ケーブル、前記第2ケーブル及び前記第3ケーブルは、前記第3ケーブルが前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの間に挟まれるように重なり、前記弧をなし、
    前記第3ケーブルにおいて前記定電圧信号が伝搬する信号線のインピーダンスは、前記
    第1ケーブルにおいて前記駆動信号が伝搬する信号線のインピーダンスよりも小さく、かつ、前記第2ケーブルにおいて前記制御信号が伝搬する信号線のインピーダンスよりも小さい、
    ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  9. 前記第3ケーブルにおいて前記定電圧信号が伝搬する前記信号線の厚みは、前記第1ケーブルにおいて前記駆動信号が伝搬する前記信号線の厚みよりも大きく、かつ、前記第2ケーブルにおいて前記制御信号が伝搬する前記信号線の厚みよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項8に記載の大判プリンター。
  10. 前記第3ケーブルは、芯材として機能する、
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の大判プリンター。
  11. 前記第1ケーブル、前記第2ケーブル及び前記第3ケーブルを含む複数のケーブルが重なり、前記弧をなし、
    前記第3ケーブルよりも前記弧の外側にある前記ケーブルの数は、前記第3ケーブルよりも前記弧の内側にある前記ケーブルの数よりも多い、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の大判プリンター。
  12. 前記第6コネクターは、前記印刷ヘッド部の温度情報を含む温度信号をさらに出力し、
    前記温度信号は、前記第3ケーブルを伝搬する、
    ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  13. 複数の前記定電圧信号が前記第3ケーブルを伝搬し、
    前記第3ケーブルにおいて、前記温度信号が伝搬する信号線の両隣には、前記定電圧信号が伝搬する信号線が設けられている、
    ことを特徴とする請求項12に記載の大判プリンター。
  14. 前記第6コネクターは、前記印刷ヘッド部の異常を示す異常信号をさらに出力し、
    前記異常信号は、前記第3ケーブルを伝搬する、
    ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の大判プリンター。
  15. 複数の前記定電圧信号が前記第3ケーブルを伝搬し、
    前記第3ケーブルにおいて、前記異常信号が伝搬する信号線の両隣には、前記定電圧信号が伝搬する信号線が設けられている、
    ことを特徴とする請求項14に記載の大判プリンター。
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