JP6862717B2 - ウレタン発泡成形用補強材の製造方法 - Google Patents

ウレタン発泡成形用補強材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両用等のシートのポリウレタンフォームとバネ材間の摩擦による摩擦音発生を防止し、静粛性を向上させるウレタン発泡成形用補強材の製造方法に関するものであり、特に発泡成形までの工程においては、層間剥離強力が高く、取扱性に優れ、発泡成形後においては、補強材の強度に優れたウレタン発泡成形用補強材の製造方法に関するものである。
車両用等のシートには軟質ポリウレタンフォームの型内発泡成形品が主流として用いられている。このシートに良好なクッション性を付与するために、ポリウレタンフォームの下部にはバネ材が設置されている。しかし、ポリウレタンフォームとバネ材とが接する箇所では振動などによりポリウレタンフォームが摩擦され、異音が発生し、さらに局部的応力を受け損傷する問題があった。
上記摩擦音発生を防止するため、ポリウレタンフォームのバネ材と接する箇所には、補強材が用いられている。補強材としては嵩高層と緻密層とを有し、緻密層でポリウレタンフォーム発泡時のウレタンの滲み出しを防止するウレタン発泡成形用補強材が多数提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
また、ウレタン染み出し防止用補強材には、不織布などの他に粗毛布が使用されている。粗毛布は空隙が高く、ウレタン染み出し防止性能が低いため、ウレタン発泡後のウレタン表面にスプレーで樹脂を噴霧して異音の発生を抑える処理を行う必要があった。
ウレタン発泡成形用補強材は、意匠性が高い複雑な発泡形状のポリウレタンフォームにも使用される。その際、ウレタン発泡成形用補強材は所定の形状にカットされ、縫製して使用される。縫製されるウレタン発泡成形用補強材において、作業性の向上、コスト削減のために、2枚以上重ねた状態で打抜きにより補強材をカットする方法が従来から取られている。しかし、従来の補強材は、交絡が不十分なニードル貫入面を持つ不織布が使用されていた。その結果、1枚の補強材のニードル貫入面の繊維と、それに接する他の補強材の繊維とが絡み、1枚ずつ取り上げる際に、補強材が剥離する問題が発生していた。
また、例えば特許文献6に記載されているように、長繊維不織布を上下両方向からのニードルパンチによる積層することで上下両面が高い耐摩耗性を有して繊維同士が絡みにくくなり、取扱性が改善されるが、一方向からのニードルパンチに比べると、ニードルパンチによる繊維切断のため繊維脱落が多くなったり、加工が煩雑でコストアップになるといった問題があった。
実開昭58−38433号公報 特開平2−258332号公報 特開平6−171002号公報 特開平6−171003号公報 特開平5−57827号公報 特開2011−168923号公報
本発明は上記従来技術の課題を解決し、車両用等シートのポリウレタンフォームとバネとの摩擦音発生を防止し、ウレタン発泡後の補強材の強度と発泡前の補強材の取り扱い性に優れるウレタン発泡成形用補強材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.不織布の一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造であり、それ以外の部分が嵩高構造である擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に、ポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせ、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側からニードルを貫入させて交絡処理を施し積層一体化する縦方向の5%伸長時応力が10N/5cm以上であるウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
2.縦方向の剥離強力が1.0N/5cm以上、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度が0.5N/5cm/g/m以上である上記1に記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
3.目付が20〜150g/mである上記1または2に記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
4.擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布Aを構成する長繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであり、ポリエステル長繊維不織布Bを構成する長繊維の繊度が1.6〜3.0dtexである上記1〜3のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
5.ポリエステル長繊維不織布Bが、不織布の一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造と、それ以外の部分が嵩高構造である擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布である上記1〜4のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
本発明の製造方法によると、車両用等のシートのポリウレタンフォームとバネとの摩擦音発生を防止し、ウレタン発泡後の補強材の強度と発泡前の補強材の剥離強力が高く、取り扱い性に優れるウレタン発泡成形用補強材を得ることが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のウレタン発泡成形用補強材に使用される単層ポリエステル長繊維不織布Aおよびポリエステル長繊維不織布Bに使用するポリエステルとしては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCHT)、ポリトリメチオレンテレフタレート(PTT)などのホモポリエステルおよびそれらの共重合ポリエステルなどが例示できる。
前記ポリエステルとして好ましいのは、融点が220℃以上のポリエステルで、ガラス転移点温度が80℃以下のポリエステルである。ガラス転移点温度が70℃以下のポリエステルがより好ましい。
前記ポリエステルで最も好ましいポリエステルは、単層ポリエステル長繊維不織布Aにおいて、一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造を形成し易いポリエチレンテレフタレート(PET)およびそれらの共重合ポリエステルである。本発明では、特性を低下させない範囲で、前記ポリエステルに必要に応じて、抗酸化剤、耐光剤、着色剤、抗菌剤、難燃剤などの改質剤を添加できる。
本発明のウレタン発泡成形用補強材は、一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造であり、それ以外の部分が嵩高構造である擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に、ポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせ、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側からニードルを貫入させて機械交絡処理を施し積層一体化する製造方法により得られるものである。
単層ポリエステル長繊維不織布Aは、一方の表面が緻密化され、かつ部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造と、それ以外の部分が繊維が圧着されていない、または圧着が不十分なバルキー構造を形成している嵩高構造とを有する擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布である。すなわち、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側とは異なる片方の表面は、嵩高構造により構成されている。
単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造部分は、ウレタン発泡成形時に発泡ウレタン樹脂の滲み出しの遮断層として機能する。表面が緻密化されていない場合は、発泡ウレタン樹脂を遮断できないため、滲み出しを生じる。両面が表面緻密構造となっている長繊維不織布であると、ニードルによる機械交絡によりポリエステル長繊維不織布Bとの交絡がし難く、積層した不織布同士の層間剥離の問題が発生する。
ポリエステル長繊維不織布Bは、嵩高構造を有する長繊維不織布で形成されるのが好ましく、単層ポリエステル長繊維不織布Aと同様の擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布であることがより好ましい。
単層ポリエステル長繊維不織布Aとポリエステル長繊維不織布Bとは、単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に、ポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせる必要がある。単層ポリエステル長繊維不織布Aは、表面緻密構造側表面が、ウレタン発泡成形用補強材の一方の表面となる必要があり、その表面側よりニードルを貫入させて機械交絡により2層の不織布を積層一体化する必要がある。
単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面をウレタン発泡成形用補強材の一方の表面とした場合、(1)表面緻密構造がポリエステル長繊維不織布B側となり、ニードルによる機械交絡がし難く、積層した不織布同士の層間剥離が発生する、(2)ウレタン発泡成形用補強材の表面である嵩高構造側表面からニードルを貫入すると、その不織布表面が毛羽立ち補強材の取り扱い性が悪くなる、という問題が発生する。
そのため、単層ポリエステル長繊維不織布Aとポリエステル長繊維不織布Bを重ねる場合には、単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に、ポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせることが必要となる。
なお、ポリエステル長繊維不織布Bが、単層ポリエステル長繊維不織布Aと同様の擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布の場合、表面緻密構造側表面および嵩高構造側表面のいずれの表面を、単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に重ね合わせても良い。
単層ポリエステル長繊維不織布Aを構成する長繊維の繊度は1.0〜2.0dtexが好ましく、1.2〜1.8dtexがより好ましい。繊度が1.0dtex未満となると不織布の生産性が悪くなり、従来のスパンボンド設備では生産が困難となる。また、2.0dtexを超えるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。
単層ポリエステル長繊維不織布Aの目付は10〜60g/mが好ましく、25〜50g/mがより好ましい。目付が25g/m未満となるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。また、60g/mを超えると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
単層ポリエステル長繊維不織布Aの見かけ密度は0.05〜0.2g/cmが好ましく、0.07〜0.18g/cmがより好ましい。見かけ密度が0.05g/cm未満となるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。また、0.2g/cmを超えると不織布が硬くなり、ニードルパンチによる交絡がし難くなり、剥離の問題が発生するばかりでなく、成型性への悪化が問題となる。
単層ポリエステル長繊維不織布Aは、縦方向の5%伸張時応力が15〜60N/5cmが好ましく、20〜50N/5cmがより好ましい。なお、本発明において、「縦方向」とは、長繊維不織布および補強材の機械方向(MD方向)のことを意味する。縦方向の5%伸張時応力が15N/5cm未満であると力学特性が劣り、成型時の金型追随変形で追随斑による変形破れを生じやすくなる。60N/5cmを超えると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
ポリエステル長繊維不織布Bを構成する長繊維の繊度は1.6〜3.0dtexが好ましく、2.0〜2.5dtexがより好ましい。繊度が1.6dtex未満となると嵩保持が困難になり、ウレタンフォームとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。また、3.0dtexを超えると不織布の繊維の交絡性が悪くなり剥離の問題が生じやすくなる。
ポリエステル長繊維不織布Bの目付は10〜90g/mが好ましく、30〜80g/m2がより好ましい。目付が10g/m未満となるとウレタンフォームとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。また、90g/mを超えると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
ポリエステル長繊維不織布Bの見かけ密度が0.01〜0.15g/cmが好ましく、0.03〜0.12g/cmがより好ましい。見かけ密度が0.01g/cm未満であると圧縮による嵩保持性が悪くなり、嵩高層としての役割を果たし難くなる。また0.15g/cmを超えると不織布が硬くなり、ニードルパンチによる交絡がし難くなり、剥離の問題が発生するばかりでなく、成型性への悪化が問題となる。
ポリエステル長繊維不織布Bの縦方向の5%伸張時応力は5〜40N/5cmが好ましく、10〜30N/5cmがより好ましい。縦方向の5%伸張時応力が5N/5cm未満であるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。また、40N/5cmを超えると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
本発明の製造方法で得られるウレタン発泡成形用補強材は、縦方向の5%伸張時応力は10N/5cm以上であり、12〜40N/5cmが好ましく、15〜30N/5cmがより好ましい。縦方向の5%伸長時応力は金型へのウレタン発泡成形補強材のセット性、金型セット性と相関があることが分かっている。つまり、縦方向の5%伸張時応力が10N/5cm未満であると、金型に不織布を手でセットする際、金型に馴染み易いがウレタン発泡成形用補強材が容易に伸びきってしまう。また、縦方向の5%伸張時応力が40N/5cmを超えると、金型に馴染み難くなるため、作業性が悪く、さらに成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
本発明の製造方法で得られるウレタン発泡成形用補強材の縦方向の剥離強力は1.0N/5cm以上が好ましく、3.0N/5cm以上がより好ましい。縦方向の剥離強力が1.0N/5cm未満であると、剥離の問題が発生する。剥離強力の上限は特に限定するものではないが、通常は20N/5cm以下が好ましい。
本発明の製造方法で得られるウレタン発泡成形用補強材のウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度は0.5N/5cm/g/m以上が好ましく、0.7N/5cm/g/m以上がより好ましい。ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度が0.5N/5cm/g/m未満であると、補強材としての強度不足で、金属スプリングから受けるダメージでシートが破れやすくなる。ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度の上限は特に限定するものではないが、通常は2.0N/5cm/g/m以下が好ましい。
本発明の製造方法で得られるウレタン発泡成形用補強材は、目付が20〜150g/mが好ましく、30〜130g/mがより好ましい。目付が20g/m未満であると、ウレタンの染み出し防止の効果が低くなったり、ウレタンフォームとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。目付が150g/mを超えると、成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
本発明の製造方法で得られるウレタン発泡成形用補強材は、厚さは0.3〜2.0mmが好ましく、0.5〜1.8mmがより好ましい。厚さが0.3mm未満であると、ウレタンの染み出し防止の効果が低くなったり、ウレタンフォームとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。厚さが2.0mmを超えると、成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。
本発明の単層ポリエステル長繊維不織布Aは、擬似2層構造とするため、その形成において、不織布の一方の片面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成する必要があるため、通常の長繊維不織布におけるエンボス加工条件とは異なる条件でエンボス加工する。すなわち、凸形状文様のエンボスローラーとフラットローラーを対で用い、エンボスローラーはローラー表面温度を低温にし、対のフラットローラーはローラー表面温度を高温にする、またはそれぞれの表面温度を逆に加熱する必要がある。片面を高温に加熱し、対の面を低温とすることで、加熱面側のみが表面を緻密化でき、逆面の低温側は緻密化されない擬似2層構造を形成できる。部分的な圧着繊維集合部は、エンボスローラーのドット部により形成される。
本発明の単層ポリエステル長繊維不織布Aの、部分的な圧着繊維集合部の圧着面積率は10〜30%が好ましく、凸部圧着面の面積が10〜30%に設定したドット状のエンボス文様のエンボスローラーを用いるのが好ましい。本発明では、凹状ドットの形状文様は特には限定されないが、好ましい文様としては、楕円柄、ダイヤ柄や織目柄などが例示できる。
単層ポリエステル長繊維不織布Aのエンボス加工条件としては、例えば加工速度が10m/分では、高温ローラー表面温度は180〜250℃が好ましく、より好ましくは220〜240℃である。線圧は10〜40kN/mが好ましい。低温ローラー表面温度は120〜200℃が好ましく、より好ましくは140〜280℃である。このような条件でエンボス加工された不織布は、高温ローラー側表面のみ緻密化されて、かつ部分的な圧着繊維集合部が緻密表面に対して凹状ドットに形成できる。
単層ポリエステル長繊維不織布Aとポリエステル長繊維不織布Bを積層一体化するためのニードルパンチの方法は一般的に開示されている技術を用いることができる。ニードル密度は30〜100本/cmが好ましく、40〜70本/cmがより好ましい。
以下に本発明の実施例を示す。本発明は実施例に限定されるものではない。
次に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが実施例および比較例中の物性値は以下の方法で測定した。
<単繊維の繊度>
ウレタン発泡成形用補強材を構成する単層ポリエステル長繊維不織布A試料およびポリエステル長繊維不織布B試料の任意の場所10箇所からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように蒸着セットして、視差走査型電子顕微鏡にて繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について写真撮影し、写真を拡大して各繊維の断面から直径を求め、それら値を平均して繊維の直径を算出する。使用樹脂の比重を用い、長さ10000mでの重量を計算して求める。
<厚さ(mm)>
JIS L 1913 6.1(2010)記載の方法に準拠し、0.45N/cmの荷重下にてn=10で測定した。
<目付(g/m)>
JIS L 1913 6.2(2010)記載の方法に準拠し、20cm×20cmのサイズで測定した。
<縦方向の剥離強力(N/cm)>
JIS L 3416(2000)記載の方法に準拠し、任意の場所16点を切り出し、n=16で単層ポリエステル長繊維不織布Aとポリエステル長繊維不織布Bとの層間の縦方向の剥離強力を測定し、平均値を算出した。
<縦方向の5%伸長時応力(N/5cm)>
JIS L 1913 6.3 「引張強さ及び伸び率」に準拠して、任意の場所16点の試料を切り出し、縦方向の5%伸張時荷重を各点n=16で測定し、平均値を算出した。
<金型セット性>
クッションパッド金型に所定の形状に切断した発泡成形用補強材を形状に馴染ませるようにセットして、セット状態をセット性として以下の通り官能評価した。
○:金型に馴染み易くセット性が容易
△:馴染み易いがセットし難い
×:馴染み難くセットしにくい
<取り扱い性>
補強材を10枚重ねてA4サイズに打抜き1枚ずつ剥がした時の各補強材間での絡み性を以下の基準で判断した。
○:絡みなし
△:絡みついているが自然に剥がれる
×:絡みつき引き離さなければ剥がれない
<発泡後評価>
クッションパッド金型に所定の形状に切断した発泡成形用補強材を、形状に馴染ませるようにセットする。サンフォーム IC−505N(三洋化成工業株式会社製)171gとサンフォーム RC−1026(三洋化成工業株式会社製)429gを混合し、約10秒攪拌すると発泡し始めるため、金型に投入する。その後、65℃×5分で発泡を行い、
以下のような成型品の評価を行った。
(1)ウレタン発泡後の目付(g/m
JIS L 1913 6.2(2010)記載の方法に準拠し、任意の場所4点の試料を切り出し、20cm×20cmのサイズで測定した。
(2)ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度(N/5cm/g/m
補強材表面に付着したウレタンを手で剥がし、JIS L 1913 5.3(2010) 「引張強さ及び伸び率」に準拠して、上記、<ウレタン発泡後の目付>にて切り出した試料を、補強材縦方向の破断までの最大荷重を各点n=4で測定し、平均値を算出した。付着したウレタン量分を補正するため、ウレタン発泡後の縦方向の引張強度とウレタン発泡後の目付を用い、以下の式で算出した。
ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度(N/5cm/g/m
=ウレタン発泡後の縦方向の引張強度(N/5cm)÷ウレタン発泡後の目付(g/m
(実施例1)
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.9g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落して、単糸繊度2.0dtex、長繊維からなる目付30g/mのウエッブを得た。次いで、圧着面積率12%の凸ダイヤ文様エンボスローラーを用いて、エンボスローラー温度230℃、対のフラットローラー温度140℃、線圧40kN/mにてエンボスローラー面側表面を緻密化処理とエンボス文様を付与して、目付30g/mの、片面が緻密化され、部分的に圧着繊維集合部を形成した擬似2層構造である単層ポリエステル長繊維不織布Aを得た。
同様に、固有粘度0.65のPETを用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.75g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落して、単糸繊度1.7dtex、長繊維からなる目付30g/mのウエッブを得た。次いで、圧着面積率12%の凸ダイヤ文様エンボスローラーを用いて、エンボスローラー温度180℃、対のフラットローラー温度180℃、線圧40kN/mにて目付30g/mのポリエステル長繊維不織布Bを得た。
次いで、単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面とポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせ、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側より、フォスター製の40番手ニードルを用いて、ニードル密度51本/cm、針深度10mmでニードルパンチ加工して、目付62g/m、厚み0.59mm、縦方向の5%伸長時応力が13N/5cm、縦方向の剥離強力が5.8N/5cm、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が0.89N/5cm/g/m、金型セット性が○、取り扱い性が○のウレタン発泡成形用補強材を得た。
(実施例2)
単層ポリエステル長繊維不織布Aとポリエステル長繊維不織布Bそれぞれの目付を50g/mとした以外、実施例1と同様にして、目付105g/m、厚み0.84mm、縦方向の5%伸長時応力が17N/5cm、縦方向の剥離強力が5.8N/5cm、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が1.45N/5cm/g/m、金型セット性が○、取り扱い性が○のウレタン発泡成形用補強材を得た。
(実施例3)
単層ポリエステル長繊維不織布Aは実施例1と同様とした。
固有粘度0.65のPETを用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.75g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落して、単糸繊度1.7dtex、長繊維からなる目付30g/mのウエッブを得た。次いで、圧着面積率18%の凸ダイヤ文様エンボスローラーを用いて、エンボスローラー温度230℃、対のフラットローラー温度180℃、線圧40kN/mにてエンボスローラー面側表面を緻密化処理とエンボス文様を付与して、目付30g/mの、片面が緻密化され、部分的に圧着繊維集合部を形成した擬似2層構造を有するポリエステル長繊維不織布Bを得た。 次いで、単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面とポリエステル長繊維不織布Bの嵩高構造側表面を重ね合わせ、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側より、フォスター製の40番手ニードルを用いて、ニードル密度51本/cm、針深度10mmでニードルパンチ加工して、目付62g/m、厚み0.55mm、縦方向の5%伸長時応力が23N/5cm、縦方向の剥離強力が3.4N/5cm、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が0.81N/5cm/g/m、金型セット性が○、取り扱い性が○のウレタン発泡成形用補強材を得た。
(比較例1)
固有粘度0.65のPETを用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.9g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落して、単糸繊度2.0dtex、長繊維からなる目付30g/mのウエッブを得た。次いで、圧着面積率12%の凸ダイヤ文様エンボスローラーを用いて、エンボスローラー温度180℃、対のフラットローラー温度180℃、線圧40kN/mにてエンボスローラー面側表面をエンボス文様を付与して、目付30g/mのポリエステル長繊維不織布を得た。
得られたポリエステル長繊維不織布2枚を重ね合わせ、フォスター製の40番手ニードルを用いて、ニードル密度51本/cm、針深度10mmでニードルパンチ加工して、目付62g/m、厚み0.65mm、縦方向の5%伸長時応力が6N/5cm、縦方向の剥離強力が8.1N/5cm、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が0.31N/5cm/g/m、金型セット性が×、取り扱い性が△のウレタン発泡成形用補強材を得た。
(比較例2)
固有粘度0.65のPETを用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量0.75g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落して、単糸繊度1.5dtex、長繊維からなる目付60g/mのウエッブを得た。次いで、圧着面積率12%の凸ダイヤ文様エンボスローラーを用いて、エンボスローラー温度180℃、対のフラットローラー温度180℃、線圧40kN/mにてエンボスローラー面側表面をエンボス文様を付与して、目付30g/mのポリエステル長繊維不織布を得た。
得られたポリエステル長繊維不織布にニードルパンチ加工を試みたが、針折れが顕著で生産性に大きな問題が発生したため、ニードルパンチ加工せず、目付59g/m、厚み0.29mm、5%伸長時応力が124N/5cm、単層なので剥離しないため縦方向の剥離強力は測定できず、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が1.64N/5cm/g/m、金型セット性が×、取り扱い性が○のウレタン発泡成形用補強材を得た。
(比較例3)
単層ポリエステル長繊維不織布Aの目付を40g/m、ポリエステル長繊維不織布Bの目付を20g/mとした以外、実施例1と同様にして、目付60g/m、厚み0.58mm、縦方向の5%伸長時応力が8N/5cm、縦方向の剥離強力が1.8N/5cm、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強力が0.80N/5cm/g/m、金型セット性が×、取り扱い性が△のウレタン発泡成形用補強材を得た。
実施例1〜3、比較例1〜3の結果を表1に示す。
Figure 0006862717
本発明の製造方法により、車両用等のシートのポリウレタンフォームとバネとの摩擦音発生を防止し、ウレタン発泡後の補強材の強度と発泡前の補強材の剥離強力が高く、取り扱い性に優れるウレタン発泡成形用補強材を得ることが初めて可能となり、産業界への寄与大である。

Claims (7)

  1. 不織布の一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造であり、それ以外の部分が嵩高構造である擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造側表面に、ポリエステル長繊維不織布Bを重ね合わせ、単層ポリエステル長繊維不織布Aの表面緻密構造面側からニードルを貫入させて交絡処理を施し積層一体化する縦方向の5%伸長時応力が10N/5cm以上であるウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
  2. 前記単層ポリエステル長線維不織布Aについて、片面を高温に加熱し反対面を低温とすることで、前記擬似2層構造を形成する、請求項1に記載の発泡形成用補強材の製造方法。
  3. 縦方向の剥離強力が1.0N/5cm以上、ウレタン発泡後の縦方向の目付補正引張強度が0.5N/5cm/g/m以上である請求項1または2に記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
  4. 目付が20〜150g/mである請求項1〜のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
  5. 擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布Aを構成する長繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであり、ポリエステル長繊維不織布Bを構成する長繊維の繊度が1.6〜3.0dtexである請求項1〜のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
  6. ポリエステル長繊維不織布Bが、不織布の一方の表面が緻密化され部分的に圧着繊維集合部を形成した表面緻密構造と、それ以外の部分が嵩高構造である擬似2層構造の単層ポリエステル長繊維不織布である請求項1〜のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
  7. 前記単層ポリエステル長繊維不織布Aの嵩高構造と、前記ポリエステル長繊維不織布Bの嵩高構造とを重ね合わせる請求項6に記載のウレタン発泡成形用補強材の製造方法。
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