JP6860924B2 - バレル槽 - Google Patents
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Description
概ね平板状をなす複数の外壁部を周方向に連ねた多角形断面の外筒部を有し、前記外筒部の軸線方向における少なくとも一方の端面が着脱口として開放された缶体と、
概ね平板状をなす複数の内壁部を周方向に連ねた多角形断面の内筒部と、前記内筒部の軸線方向における基端側端部を閉塞する底壁部とを有し、前記着脱口から前記缶体内に収容される箱形の保護部材と、
前記外筒部の断面視における頂点内周部に取り付けられ、前記缶体に対して着脱可能な支持部材と、
前記支持部材の内面に形成され、前記内筒部の断面視における頂点外周部を嵌合させることで、前記外筒部と前記内筒部の周方向への相対変位を規制可能な嵌合部とを備え、
前記保護部材を前記着脱口から前記缶体内に収容する過程では、前記嵌合部と前記頂点外周部とが摺接することを特徴とする。
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜図9を参照して説明する。尚、以下の説明において、上下の方向については、図1,5,9にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。平面視とは、対象物の上方から対象物を下向きに視ること、と定義する。また、バレル研磨時におけるバレル槽Aの回転中心軸を、軸線Pと定義する。
バレル槽Aは、バレル研磨機(図示省略)に用いられるものである。バレル槽Aの内部に図示しないマス(ワークや研磨石等)を投入した状態でバレル槽Aを遊星回転させることで、ワークが研磨されるようになっている。バレル槽Aは、バレル本体10と、蓋47と、固定部材51とを備えて構成されている。バレル本体10は、上面が概ね正六角形の投入排出口として開放された角筒状をなしている。バレル本体10は、金属製の1つの缶体11と、金属製の3つの受け部材30,31と、合成樹脂製の1つの保護部材35とを備えて構成されている。
図3に示すように、缶体11は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料からなる平面視正六角形の外筒部12を有する。外筒部12は、60°ピッチで配した略方形をなす6つの外壁部13からなる。6つの外壁部13は、概ね同じ形状をなし、周方向に連ねて一体化した形態である。外筒部12の軸線Pと直角に切断した平面視断面形状は、外筒部12の上端から下端に亘って同じ形状である。
支持部材22は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料からなり、缶体11の軸線Pと平行に延びた細長い板状をなしている。図4に示すように、支持部材22は、本体部23と、一対の弾性片29とを有する単一部材である。支持部材22は、各頂点内周部17の内面に当接した状態で取り付けられる。したがって、1つの外筒部12(缶体11)には、6つの支持部材22が取り付けられる。
外筒部12(缶体11)の外面には、3つの受け部材30,31が取り付けられている。3つの受け部材30,31は、周方向において120°ピッチで配され、外壁部13の周方向における中央部と対応するように位置している。3つの受け部材30,31のうち2つの第1受け部材30には、外筒部12の外面から外方へ膨らむように湾曲した形状の取っ手32が形成されている。取っ手32を手で掴むことにより、バレル槽Aの取り扱いが容易となる。
保護部材35は、たとえば、ウレタン等の合成樹脂材料からなり、平面視形状が正六角形の有底角筒状をなしている。保護部材35は、缶体11の内部に収容されるようになっている。保護部材35の上面には、その全領域に亘って開口部35Eが形成されている。保護部材35を缶体11内に取り付けた状態では、保護部材35の開口部35Eが、バレル本体10の投入排出口として機能する。保護部材35は、マス(ワークや研磨石)の摺接に起因して缶体11の内周面(外壁部13の内面)が傷付くことを防止する保護機能と、マスが金属製の缶体11への摺接によって傷付くことを防止する保護機能とを兼ね備えている。
蓋47は、バレル本体10の投入排出口を全領域に亘って開閉するものであり、図5に示すように、金属板材48と金属板材48の下面に固着されたゴムシート49とからなる二枚重ね構造である。図2に示すように、蓋47の外周縁には、周方向に120°の等角度ピッチを空けた3つの回転規制部50が形成されている。
図5に示すように、固定部材51は、金属製の固定具52と、金属製の押圧用ボルト56とを備えて構成されている。固定具52は、平面視円形をなす基部53と、3本のアーム部55とを備えて構成された単一部品である。3本のアーム部55は、基部53の外周面から120°の等角度ピッチを空けて径方向外方へ放射状に且つ片持ち状に延出した形態である。基部53の中心に形成した雌ネジ孔54には、押圧用ボルト56がねじ込み状態で貫通して取り付けられている。押圧用ボルト56の上端部には、合成樹脂製のハンドル57が一体回転し得るように固着されている。
蓋47をバレル本体10から外した状態では、缶体11に支持部材22と保護部材35を取り付けることができる。支持部材22と保護部材35を取り付ける手順の一例としては、まず、6つの支持部材22を缶体11の6つの頂点内周部17に個別に取り付ける。その後、保護部材35を着脱口14から缶体11内に収容する。この間、6つの頂点外周部39が6つの支持部材22の嵌合凹部24に摺接する。また、上記とは別の取付け手順としては、まず、支持部材22の嵌合凹部24を保護部材35の6つの頂点外周部39の外面に密接させて一体化させる。その後、一体化させた保護部材35と6つの支持部材22を、着脱口14から缶体11内に収容する。
保護部材35を缶体11に取り付けた状態では、バレル本体10に蓋47を取り付けることができる。蓋47を取り付ける際には、3つの回転規制部50を3つの受け部材30,31に個別に嵌合させ、蓋47をバレル本体10の上面に載置する。このとき、ゴムシート49が内筒部36の上面に当接する。次に、固定部材51を蓋47の上面に同心状に載置し、3本のアーム部55の延出端部を受け部材30,31のアーム引掛け部33に収容して嵌合させる。
バレル研磨の際には、保護部材35の内部でマスが互いに摺接し合いながら流動するとともに、マスが保護部材35の内壁部37(内筒部36)の内周面に衝突する。この間、保護部材35には、内筒部36の内周面に作用する衝撃力により缶体11(外筒部12)に対して相対回転する方向の力が作用する。そのため、保護部材35の頂点外周部39が支持部材22の嵌合凹部24に対し周方向に相対変位しようとするとともに、支持部材22が缶体11に対して周方向へ相対変位しようとする。
蓋47をバレル本体10から外す際には、ハンドル57を摘んで押圧用ボルト56を反時計回り方向(緩み方向)へ回転させればよい。押圧用ボルト56の回転により、蓋47に対する下向きの反力が解除されるので、固定具52を回転させてアーム部55の延出端部をアーム引掛け部33から外す。この後は、固定部材51と蓋47を一緒に、又は別々に持ち上げれば、蓋47がバレル本体10から外される。
保護部材35の内筒部36や底壁部41や頂点外周部39が、長年の使用や厳しい研磨条件によって摩耗した場合は、摩耗した保護部材35を缶体11から取り出して新しい保護部材35と交換する。蓋47をバレル本体10から外すと、保護部材35と支持部材22を缶体11から取り出すことができる。保護部材35を取り出す際には、ストッパ34を、反時計回り方向へ回転させることにより抜止め位置から径方向外方の退避位置まで移動させる。この後、フランジ部40に指を引っ掛けて保護部材35を缶体11から抜き取る。
上述のように本実施例のバレル槽Aは、缶体11と保護部材35とを備えて構成されている。缶体11は、概ね平板状をなす複数の外壁部13を周方向に連ねた多角形断面の外筒部12を有する。外筒部12の軸線P方向における一方の端面(上端面)は、保護部材35を缶体11に対して着脱するための着脱口14として開放されている。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、支持部材の嵌合凹部の内面が、曲面と平面を含んで構成されているが、嵌合凹部の内面は、曲面のみで構成されていてもよく、互いに角度なして連なる複数の平面のみで構成されていてもよい。
(2)上記実施例では、頂点外周部の外面が曲面のみで構成されているが、頂点外周部の外面は、曲面と平面を含んで構成されていてもよく、互いに角度なして連なる複数の平面のみで構成されていてもよい。
(3)上記実施例では、頂点内周部の嵌合凹部と頂点外周部の外面が、面当たり状態で当接するが、嵌合凹部と頂点外周部の外面が、線接触又は点接触面するようにしてもよい。
(4)上記実施例では、支持部材(嵌合部)を金属製としたが、支持部材(嵌合部)は合成樹脂製であってもよい。
(5)上記実施例では、嵌合部が缶体とは別体の支持部材に形成されているが、嵌合部は、缶体の頂点内周部に一体に形成してもよい。
(6)上記実施例では、嵌合部が、外筒部の軸線方向における全長に亘って連続して延びた形態であるが、これに限らず、複数の嵌合部を外筒部の軸線方向に分断して配置してもよい。この場合、1つの支持部材に複数の嵌合部を形成してもよく、嵌合部が形成された複数の支持部材を、軸線方向に間隔を空けて缶体に取り付けてもよい。
(7)上記実施例では、開口側芯金をインサート成形によって保護部材と一体化させたが、開口側芯金とを保護部材を一体化させる手段は、ビス止めや接着等であってもよい。
(8)上記実施例では、保護部材の開口部の開口縁部に開口側芯金を設けたが、保護部材は開口側芯金を設けない形態としてもよい。
(9)上記実施例では、底面側芯金をインサート成形によって底壁部と一体化させたが、底面側芯金と底壁部を一体化させる手段は、ビス止めや接着等であってもよい。
(10)上記実施例では、保護部材の底面部に底面側芯金を設けたが、保護部材は底面側芯金を設けない形態としてもよい。
(11)上記実施例では、缶体の奥端部に連通口を形成したが、缶体は連通口を有しない形態であってもよい。
(12)上記実施例では、缶体に、保護部材を収容状態に保持するためのストッパを設けたが、缶体はストッパを有しない形態であってもよい。
(13)上記実施例では、缶体の外筒部と保護部材の内筒部との間に径方向の隙間を設けたが、缶体の外筒部と保護部材の内筒部との間に径方向の隙間を設けない形態としてもよい。この場合でも、保護部材の剛性の高い頂点外周部と、剛性の高い頂点内周部に配した嵌合凹部との嵌合により、缶体に対する保護部材の周方向への相対変位を規制する機能が発揮される。
(14)上記実施例では、缶体の外筒部と保護部材の内筒部の平面視形状を正六角形としたが、缶体の外筒部と保護部材の内筒部の平面視形状は、頂点部の数が5つ以下の多角形でもよく、頂点部の数が7つ以上の多角形でもよい。
(15)上記実施例では、缶体の外筒部を構成する複数(6つ)の外壁部が、全て平板状をなしているが、複数の外壁部のうち少なくとも一部は、平面視において湾曲した板状をなしていてもよい。
(16)上記実施例では、保護部材の内筒部を構成する複数(6つ)内外壁部が、全て平板状をなしているが、複数の内壁部のうち少なくとも一部は、平面視において湾曲した板状をなしていてもよい。
(17)上記実施例では、外筒部を構成する複数の外壁部のうち、少なくとも一部の外壁部に、軽量化のための窓孔部を形成してもよい。
(18)上記実施例では、缶体の軸線方向における一方の端部のみを着脱口として開口させたが、缶体の軸線方向における両端部を、保護部材を着脱させるための着脱口として開口させてもよい。
P…軸線
11…缶体
12…外筒部
13…外壁部
14…着脱口
15…連通口
17…頂点内周部
22…支持部材
24…嵌合凹部(嵌合部)
34…ストッパ
35…保護部材
35E…開口部
36…内筒部
37…内壁部
39…頂点外周部
40…フランジ部
41…底壁部
42…開口側芯金
44…底面側芯金
47…蓋
Claims (7)
- 概ね平板状をなす複数の外壁部を周方向に連ねた多角形断面の外筒部を有し、前記外筒部の軸線方向における少なくとも一方の端面が着脱口として開放された缶体と、
概ね平板状をなす複数の内壁部を周方向に連ねた多角形断面の内筒部と、前記内筒部の軸線方向における基端側端部を閉塞する底壁部とを有し、前記着脱口から前記缶体内に収容される箱形の保護部材と、
前記外筒部の断面視における頂点内周部に取り付けられ、前記缶体に対して着脱可能な支持部材と、
前記支持部材の内面に形成され、前記内筒部の断面視における頂点外周部を嵌合させることで、前記外筒部と前記内筒部の周方向への相対変位を規制可能な嵌合部とを備え、
前記保護部材を前記着脱口から前記缶体内に収容する過程では、前記嵌合部と前記頂点外周部とが摺接することを特徴とするバレル槽。 - 前記嵌合部と前記頂点外周部の外面が、曲面を含んでいて面当たり状態で当接していることを特徴とする請求項1記載のバレル槽。
- 前記保護部材が合成樹脂材料からなり、
前記保護部材には、前記内筒部の開口部の開口縁から径方向外方へ張り出した形態であり、前記開口部を閉塞する蓋と前記外筒部との間で挟み付けられるフランジ部が形成されており、
前記フランジ部にはリング状の開口側芯金が一体化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバレル槽。 - 前記保護部材が合成樹脂材料からなり、
前記底壁部に底面側芯金が一体化されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバレル槽。 - 前記外筒部の軸線方向における他方の端面に形成され、前記缶体の内部と外部を連通させる連通口を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバレル槽。
- 前記嵌合部が、前記外筒部の軸線方向における全長に亘って連続して延びた形態であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のバレル槽。
- 前記缶体には、前記保護部材に係止することで、前記保護部材を前記缶体に収容した状態に保持可能なストッパが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のバレル槽。
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