JP6858775B2 - 開鎖修飾セルロース系パルプならびにその作製方法および使用方法 - Google Patents

開鎖修飾セルロース系パルプならびにその作製方法および使用方法 Download PDF

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Description

技術分野
本開示は、一般に、セルロース系パルプのポリマー鎖上のグルコース環を開環し、それによってセルロース系パルプ上の官能基を化学的誘導体化に供しやすくするように修飾された新規のセルロース系パルプに関する。本開示の開鎖修飾セルロースを、セルロース誘導体生成物(セルロースエステル、セルロースエーテル、および再生セルロース生成物など)の製造で使用することができる。
背景
セルロース系パルプを、植物系材料(木材または綿など)からセルロース繊維を化学的または機械的に分離することによって調製することができる。木材から誘導する場合、セルロース系パルプは、以下の3つの主な成分から構成される:セルロース、ヘミセルロース、およびリグニン。セルロースは、以下の構造1に示すように反復β−D−1,4−アンヒドログルコース単量体から構成される非分枝の直鎖ポリマーである。
構造1:
Figure 0006858775
セルロース鎖を構成するアンヒドログルコース単量体の炭素原子は、以下の構造2に示すように慣習的にC1からC6までラベルされており、隣接するアンヒドログルコース単量体は、一つのグルコース単量体のC1炭素と隣のグルコース単量体のC4炭素との間の連結によって結合している。
構造2:
Figure 0006858775
セルロース誘導体生成物(セルロースエステル、セルロースエーテル、および再生セルロース生成物など)は、セルロースを、アンヒドログルコース単量体上の官能基(ヒドロキシル基など)をヒドロキシル基以外の置換基に置換する化学反応に供するプロセスから誘導された生成物である。伝統的には、かかるセルロース誘導体生成物は、ヘミセルロースおよびリグニンのレベルが低いかほとんど認められない木質または綿系の高αセルロース系パルプから作製されている。
セルロース系パルプのセルロース誘導体生成物への変換を制限する要因のうちの1つは、セルロース鎖の官能基(ヒドロキシル基など)への化学物質の接近性にあり、この接近性が制限されることにより、反応性および/または総合的な反応の変換効率が低下し得る。この接近性の制限は、少なくとも部分的には、β−D−1,4−アンヒドログルコース単量体のC2炭素およびC3炭素上の第二級ヒドロキシル基が関連する結合によってセルロース繊維が高結晶質の構造をとる性質に起因する。例えば、C2炭素のヒドロキシル基は、隣接するセルロース鎖のヒドロキシル基と水素結合を形成することができるか、またはC3炭素のヒドロキシル基は、隣接鎖のC1炭素とC5炭素との間に存在する環内酸素と結合を形成することができる。この結合により、セルロース系パルプの各鎖間に強固で高結晶質の構造が作出される。セルロース系パルプの結晶構造内に含まれるヒドロキシル基は、セルロース系パルプの誘導体生成物(セルロースエーテルおよび再生セルロース生成物など、、特に、セルロースエステルなどの酸触媒生成物)への変換で使用される化学物質の接近が困難である。この接近性の制限は、典型的には広葉樹パルプよりも高い結晶性を示す針葉樹パルプで特に問題とされることが見出されている。
セルロース系パルプからセルロース誘導体生成物を調製する伝統的な方法に関連する欠点および問題を考慮して、官能基(ヒドロキシル基など)への接近性が改善されたセルロース系パルプが望ましい。
本発明は、第一級アルコール基レベルが増加した新規の開鎖修飾セルロース系パルプを提供する。かかる開鎖修飾セルロース系パルプは、セルロースアンヒドログルコース単量体上に存在する官能基(ヒドロキシル基など)への接近性が改善され、それにより、セルロース誘導体生成物の調製プロセスにおける出発物質として使用した場合に反応性および/または変換効率が増大する。本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、かかる誘導体生成物の製造でしばしば使用される場合に溶解性の改善が示され得るとさらに考えられる。本明細書中に記載の新規の開鎖修飾セルロース系パルプを、かかる適用のために伝統的に使用されるより高価な高αセルロース系パルプの代わりに使用することができる。本発明は、さらに、かかる新規の開鎖修飾セルロース系パルプから作製されたセルロース誘導体生成物(セルロースエステル、セルロースエーテル、再生セルロース、および他の特殊生成物など)を提供する。
本発明は、さらに、第一級アルコール基レベルが増加した新規の開鎖修飾セルロース系パルプを作製する方法を提供する。本明細書中に記載の方法によれば、セルロース系パルプの結晶構造を、第1に、セルロースアンヒドログルコース単量体上に存在する第二級アルコール基を酸化してC2炭素およびC3炭素にアルデヒド構造および/またはカルボキシル構造を含む酸化されたパルプを作出し、その後に、第2に、酸化されたパルプを還元反応に供して酸化されたセルロース上のアルデヒド基および/またはカルボキシル基を第一級アルコールに変換することによって還元することができる。
この第二級アルコールの第一級アルコールへの最終的な変換により、伝統的なセルロース系パルプと比較して、セルロース系パルプの官能基の、さらなる化学的誘導体化への接近性がより高い、開鎖修飾セルロース系パルプが提供されると考えられる。理論に拘束されないが、本明細書中に記載の新規の開鎖修飾セルロース系パルプ上に存在する官能基、特に新規に作出した第一級アルコール基のこのより高い接近性により、さらなる化学的誘導体化プロセス(エステル化、エーテル化、または硫化/再生などの各プロセス)における溶解、反応性、誘導体化率、および/または置換レベルのうちの少なくとも1つを増大させると考えられる。この溶解、反応性、誘導体化率、および/または置換レベルの増加により、伝統的なセルロース系パルプよりも長鎖であり、そして/またはより高度に置換されているか分岐している置換基で、実施者が、本明細書中に記載の新規の開鎖修飾セルロース系パルプを誘導体化することを可能にし得る。
本開示のさらなる目的および利点は、その一部が以下の説明に記載される。本開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘した要素および組み合わせによってさらに実現および達成される。
図1は、実施例1からのカルボキシル含有量の結果を示す。
図2は、実施例1からのアルデヒド含有量の結果を示す。
図3は、実施例1からのカルボニル含有量の結果を示す。
図4は、実施例1からの粘度含有量の結果を示す。
図5は、実施例1からの白色度含有量の結果を示す。
図6は、実施例2からのカルボキシル含有量の結果を示す。
図7は、実施例2からのアルデヒド含有量の結果を示す。
図8は、実施例2からのカルボニル含有量の結果を示す。
図9は、実施例2からの粘度含有量の結果を示す。
図10は、実施例2からの白色度含有量の結果を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、開鎖修飾セルロース系パルプ、開鎖修飾セルロース系パルプを作製する方法、およびかかる開鎖修飾セルロース系パルプから作製されたセルロース誘導体生成物を開示する。本明細書中で使用する場合、用語「開鎖修飾セルロース系パルプ」は、本明細書中に詳述される酸化工程および還元工程に供していないセルロース系パルプと比較して、セルロースアンヒドログルコース単量体上に存在するC2炭素およびC3炭素における第一級アルコール基レベルが増大したセルロース系パルプをいう。本明細書中で使用する場合、用語「第一級アルコール」は、ヒドロキシル(−OH)基を保有する炭素がたった1つの他の炭素に付着したアルコールを意味する。本明細書中で使用する場合、用語「第二級アルコール」は、ヒドロキシル(−OH)基を保有する炭素が2つの他の炭素に付着したアルコールを意味する。
本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、任意の一般的なセルロース系材料(木材または綿が含まれる)から誘導することができる。セルロース系パルプを、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはその混合物から誘導することができる。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、針葉樹(ダイオウマツなど)から誘導することができる。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、広葉樹(ユーカリなど)から誘導することができる。
セルロース系パルプを、任意の一般的なパルプ化プロセス(化学的、機械的、および半機械的パルプ化プロセスが含まれる)から誘導することができる。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、化学的パルプ化プロセスから誘導することができる(例えば、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、または硫酸塩パルプ)。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプは、クラフトパルプであり得る。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプは、クラフト針葉樹ダイオウマツであり得る。
いくつかのプロセス、特に、高αセルロース生成物を作出するために使用されるプロセスでは、セルロース系材料は、ヘミセルロース含有量を減少させるために、パルプ化前に前加水分解を受けることができる。前加水分解を、当業者に公知の任意の方法によって実施することができる。例えば、前加水分解は、酸前加水分解であり得る。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、前加水分解に供することができる。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、前加水分解およびクラフトパルプ化の両方に供することができる。
いくつかのプロセスでは、セルロース系パルプを、クラフトパルプ化と漂白開始との間に酸素脱リグニンプロセスに供することもできる。この脱リグニンプロセスは、一般に、リグニン含有量をさらに減少させ、その後の漂白シーケンスの有効性を改善する。当業者に公知の任意の方法によって酸素脱リグニンを実施することができる。例えば、酸素脱リグニンは、従来の二段酸素脱リグニンであり得る。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプを、パルプ化後に酸素脱リグニンにさらに供する。
パルプ化および/または酸素脱リグニン後、セルロース系パルプを、一般に、しばしば伝統的に強酸および強アルカリによる漂白段を含む多段シーケンスにおいて漂白する。木材パルプの漂白は、一般に、典型的には物理的性質に悪影響を及ぼすことなくリグニンおよび他の夾雑物を除去することによって、パルプの白度および/または白色度を選択的に増大させることを目的として実施される。化学パルプ(クラフトパルプなど)の漂白は、一般に、良好な選択性で所望の白度および/または白色度を達成するために、いくつかの異なる漂白段を必要とする。典型的には、漂白シーケンスは、pH範囲を変更して行う段階を使用する。この変更は、例えば、リグニン分解生成物の可溶化によって漂白シーケンスにおいて生成された夾雑物の除去に役立つと考えられる。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプは、酸前加水分解、その後のクラフトパルプ化、その後の漂白を含むプロセスから誘導することができる。
いくつかの実施形態では、漂白プロセスは、多段漂白シーケンスを含み得る。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、冷苛性段を含み得る。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、酸サワー洗浄段を含み得る。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、冷苛性段および酸サワー洗浄段の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、従来の条件下で行われる任意のさらなる段階または一連の段階を含み得る。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、D段、P段、E段、Eo段、およびEop段のうちの1つまたは複数を含み得る。
酸化処理
本明細書中に記載の方法によれば、セルロース系パルプを酸化して、酸化されたセルロース系パルプを形成する。セルロース酸化では、セルロース鎖のグリコシドのヒドロキシル基を、例えば、カルボニル基(アルデヒド基およびケトン基など)ならびにカルボン酸基に変換することができる。種々のセルロース酸化方法が公知である。使用される酸化方法および条件に依存して、修飾のタイプ、程度、および位置は変動し得る。本発明によれば、酸化方法は、アンヒドログルコース単量体のC2炭素およびC3炭素にアルデヒド構造および/またはカルボキシル構造を作出する任意のセルロース酸化方法であり得る。C2炭素およびC3炭素にジアルデヒド構造およびジカルボキシル構造を保有するアンヒドログルコース単量体の例を、それぞれ、以下の構造3および構造4に示す。
Figure 0006858775
構造3および構造4に見られるように、ジアルデヒド構造およびジカルボキシル構造の作出により、C2炭素とC3炭素との間の結合が有効に切断され、それにより、酸化されたセルロースアンヒドログルコース単量体まで開環する。本明細書中に記載の酸化の効果は、C2炭素およびC3炭素におけるジアルデヒド構造およびジカルボキシル構造の形成のみに制限されず、C2炭素およびC3炭素におけるアルデヒド基、カルボン酸基、およびケトン基の組み合わせ、ならびにさらなる炭素(C6炭素が含まれる)での修飾も含まれ得る。いくつかの実施形態では、酸化前のセルロース系パルプのC2炭素およびC3炭素の大部分は、第二級アルコールである。いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、C2炭素およびC3炭素における複数の第二級アルコールをアルデヒド官能基および/またはカルボキシル官能基に変換する。いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、C2炭素およびC3炭素における第二級アルコールの大部分をアルデヒド官能基および/またはカルボキシル官能基に変換する。
セルロース系パルプの酸化はまた、パルプの他の成分にも影響を及ぼし得る。セルロース系パルプがヘミセルロース(例えば、キシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノース、および/またはアラビノース)を含むいくつかの実施形態では、これらのヘミセルロースを、酸化プロセスによってアルデヒド構造、ケトン構造、および/またはカルボン酸構造をヘミセルロースに付与するように修飾することもできる。いくつかの実施形態では、アルデヒドおよび/またはカルボン酸をヘミセルロースに付与し、それらもまた、これらのヘミセルロース単量体まで、単量体環内の隣接炭素間の結合を切断することによって開環することができる。いくつかの実施形態では、酸化方法は、セルロース系パルプのセルロース成分およびヘミセルロース成分の両方の単量体を開環する。
いくつかの実施形態では、セルロース系パルプの酸化は、セルロース系パルプを過ヨウ素酸塩で処理することを含み得る。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプの酸化は、セルロース系パルプを二酸化窒素で処理することを含み得る。いくつかの実施形態では、セルロース系パルプの酸化は、セルロース系パルプを少なくとも触媒量の金属触媒および過酸化物で処理することを含み得る。
いくつかの実施形態では、酸化方法は、セルロース系材料を鉄および過酸化水素で酸化することを含み得る。鉄の供給源は、当業者が認識する任意の適切な供給源(例えば、硫酸第一鉄(例えば、硫酸第一鉄七水和物)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、またはクエン酸第二鉄アンモニウムなど)であり得る。いくつかの実施形態では、この方法は、セルロース系材料を銅および過酸化水素で酸化することを含む。同様に、銅の供給源は、当業者に認識されるであろう任意の適切な供給源であり得る。いくつかの実施形態では、この方法は、セルロース系材料を銅、鉄、および過酸化水素の組み合わせで酸化することを含む。
酸化方法を、酸化反応に有用であることが公知の任意のpHで行うことができる。いくつかの実施形態では、この方法は、セルロース系材料を酸性pHで酸化することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、セルロース系材料を準備すること、セルロース系材料を酸性化すること、次いで、セルロース系材料を酸性pHで酸化することを含む。いくつかの実施形態では、pHは、約pH2〜約pH6(例えば、約2〜約5または約2〜約4)の範囲である。
いくつかの実施形態では、セルロース系材料を、酸化中にも酸化後にもアルカリ条件に供さない。理論に拘束されないが、C2炭素およびC3炭素にアルデヒド基を含めるために酸化に供されたセルロースはアルカリ条件に供した場合に著しい分解を受け得ると考えられる。いくつかの実施形態では、セルロース系材料を、セルロース系材料の重合度を低下させるために酸化後にアルカリ条件に供する。いくつかの実施形態では、酸化されたセルロースをさらに還元反応に供した後にのみ、セルロース系材料をアルカリ条件に供することができる。理論に拘束されないが、アルカリ条件に供する前に還元反応にさらに供した酸化されたセルロースは、アルカリ感受性アルデヒド基のヒドロキシル基への還元に起因して、あまり分解されないと考えられる。
いくつかの実施形態では、セルロース系材料を酸化する方法は、(例えば、硫酸を使用して)クラフトパルプを約2〜約5の範囲にpHを酸性化すること、鉄供給源(例えば、硫酸第一鉄、例えば、硫酸第一鉄七水和物)を、クラフトパルプの乾燥重量に対して約15〜約300ppmのFe+2(例えば、約25〜約150ppm)を適用して、約1%〜約15%(例えば、約3.5%〜約12%)の範囲の粘稠度で、酸性化されたクラフトパルプと混合し、さらにクラフトパルプの乾燥重量に対して約0.01%〜約2.0%の範囲の量(例えば、約0.05%〜約0.5%)の過酸化水素も適用することを含み得る。いくつかの実施形態では、酸性クラフトパルプを、鉄供給源と混合し、過酸化水素と、約60〜約80℃の範囲の温度(例えば、約70℃)で約40〜約240分間(例えば、約60〜約90分間)の範囲の時間反応させる。
触媒量の金属触媒(例えば、鉄触媒または銅触媒)および過酸化物(過酸化水素など)を用いて酸化を行ういくつかの実施形態では、酸化後に酸性工程(酸性漂白段など)が存在してよく、この工程は、驚いたことに、多くの残存金属触媒を除去することが見出された。いくつかの実施形態では、酸性工程が触媒的酸化工程の後に行われる場合、得られた酸化されたセルロースの残存金属触媒含有量は、それぞれ10ppm未満(例えば、5ppm未満)である。
セルロース系材料の酸化を、セルロース系材料生産中の任意の時点で(前加水分解の前または後、クラフトパルプ化の前または後、酸素脱リグニンの前または後、漂白の前または後、あるいは漂白プロセスのうちの1つまたは複数の段階の間が含まれる)行うことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、多段漂白シーケンスのうちの1つまたは複数の段階においてセルロース系材料の酸化を行うことを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸性漂白段が酸化段の後に行われる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、冷苛性抽出段前の漂白段で酸化することができる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、冷苛性抽出段後の漂白段で酸化を行うことができる。いくつかの実施形態では、セルロース系材料を、漂白シーケンスの前または後の1つまたは複数のさらなる酸化段でさらに酸化することができる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、冷苛性抽出段の前の漂白段および冷苛性抽出段後の漂白段で酸化を行うことができる。
本発明で使用することができるセルロース系パルプを酸化する方法には、国際公開第2010/138941号パンフレット、同第2012/170183号パンフレット、および同第2013/106703号パンフレット(本明細書中で参照により援用される)に開示の方法が含まれる。
いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプの粘度は、約3mPa・s〜約12mPa・s(例えば、約4mPa・s〜約10mPa・s、約5mPa・s〜約9mPa・s、または約6mPa・s〜約8mPa・s)の範囲であり得る。粘度を、TAPPI T230−om99にしたがって測定することができる。いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプの粘度は、12mPa・s未満、10mPa・s未満、8mPa・s未満、6mPa・s未満、または5mPa・s未満であり得る。
いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、セルロース系パルプのカルボキシル含有量を、少なくとも0.5meq/100g(例えば、少なくとも1meq/100g、少なくとも1.5meq/100g、少なくとも2.5meq/100g、または少なくとも5meq/100g)増加させることができる。カルボキシル含有量を、TAPPI T237−cm98にしたがって測定することができる。いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプのカルボキシル含有量は、少なくとも約2meq/100g、例えば、少なくとも約3meq/100g、少なくとも約5meq/100g、少なくとも約7meq/100g、または少なくとも約9meq/100gであり得る。いくつかの実施形態では、酸化されたセルロースのカルボキシル含有量は、約1meq/100g〜約10meq/100g(例えば、約3meq/100g〜約6meq/100g)の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、セルロース系パルプのアルデヒド含有量を少なくとも1meq/100g(例えば、少なくとも2meq/100g、少なくとも4meq/100g、少なくとも6meq/100g、または少なくとも8meq/100g)増加させることができる。アルデヒド含有量を、Econotech Services LTDの手順ESM 055Bにしたがって測定することができる。いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプのアルデヒド含有量は、少なくとも約2meq/100g、少なくとも約4meq/100g、少なくとも約6meq/100g、少なくとも約8meq/100g、または少なくとも約12meq/100gであり得る。いくつかの実施形態では、酸化されたパルプのアルデヒド含有量は、約1meq/100g〜約15meq/100g(例えば、約2〜約12meq/100g、または約3〜約7meq/100g)の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプのカルボキシル含有量に対するカルボニル含有量の比は、約5:1〜1:5(例えば、約3:1〜約1:3、約2:1〜1:1、または約1.5:1〜1:1であり得る。
いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプの銅価は、約0.1〜約10の範囲であり得る。銅価を、TAPPI T430−cm99にしたがって測定することができ、銅価は、カルボニル含有レベルに関連すると考えられる。いくつかの実施形態では、酸化されたパルプの銅価は、1超、2超、3超、4超、または5超であり得る。
いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、セルロース系パルプのカルボニル含有量を、少なくとも1meq/100g(例えば、少なくとも2meq/100g、少なくとも4meq/100g、少なくとも6meq/100g、または少なくとも8meq/100g)増加させることができる。カルボニル含有量を、以下の式にしたがって銅価から計算することができる:カルボニル=(銅価−0.07)/0.6(Biomacromolecules 2002,3,969−975から引用)。いくつかの実施形態では、酸化後のセルロース系パルプのカルボニル含有量は、少なくとも約2meq/100g、少なくとも約4meq/100g、少なくとも約6meq/100g、少なくとも約8meq/100g、または少なくとも約12meq/100gであり得る。いくつかの実施形態では、酸化されたパルプのカルボニル含有量は、約1meq/100g〜約16meq/100g(例えば、約2〜約12meq/100g、または約3〜約7meq/100g)の範囲であり得る。
還元処理
本明細書中に記載の方法によれば、酸化されたセルロースを、その後に、開鎖修飾セルロース系パルプを形成するために、還元反応に供することができる。種々の還元反応方法が公知である。本発明によれば、「還元反応」は、アンヒドログルコース単量体上のアルデヒド基および/またはカルボン酸基をヒドロキシル基(C2炭素およびC3炭素におけるヒドロキシル基が含まれる)に変換する任意の反応である。以下の構造5に示すように、C2炭素およびC3炭素における事前の酸化工程によって付与されたアルデヒド基および/またはカルボン酸基がヒドロキシル基に還元される場合、得られるセルロース系パルプは、酸化および還元前にアンヒドログルコース単量体中に第二級アルコール基が存在していたC2炭素およびC3炭素に第一級アルコール基を示し得る。
構造5:
Figure 0006858775
上記の構造5に見られるように、この還元反応により、開鎖修飾セルロース系パルプが得られる。本明細書中に記載の還元反応の効果は、C2炭素およびC3炭素におけるアルデヒド基およびカルボン酸基の還元に制限されず、酸化されたセルロース中の他の炭素(C6炭素およびC1還元末端基が含まれる)に存在するアルデヒド、ケトン、および/またはカルボン酸官能基のさらなる還元も含まれ得る。いくつかの実施形態では、酸化されたセルロース系パルプのC2炭素およびC3炭素における複数のアルデヒド基を、還元反応によってヒドロキシル基に還元する。いくつかの実施形態では、酸化されたセルロース系パルプのC2炭素およびC3炭素におけるアルデヒド基の大部分を、還元反応によってヒドロキシル基に還元する。いくつかの実施形態では、酸化されたセルロース系パルプのC2炭素およびC3炭素における実質的に全てのアルデヒド基を、還元反応によってヒドロキシル基に還元する。
セルロース系パルプがヘミセルロースを含むいくつかの実施形態では、還元反応はまた、ヘミセルロース成分中に存在するアルデヒド基、ケトン基、および/またはカルボン酸基(事前の酸化工程によって付与されたものが含まれる)の還元を含み得る。いくつかの実施形態では、事前の酸化工程によってジアルデヒドおよび/またはジカルボン酸がヘミセルロースに付与されている場合、還元反応により、ヘミセルロース上に開鎖構造を得ることもでき、第一級アルコール基は、ヘミセルロース上の、酸化および還元前に第二級アルコール基が存在していた場所に存在する。
アンヒドログルコース単量体上のアルデヒド基および/またはカルボン酸基をヒドロキシル基(C2炭素およびC3炭素のヒドロキシル基が含まれる)に変換する任意の還元剤を、還元反応で使用することができる。例えば、還元剤を、テトラヒドリドアルミン(III)酸リチウム(水素化アルミニウムリチウムとしても公知)、テトラヒドリドホウ(III)酸ナトリウム(水素化ホウ素ナトリウムとしても公知)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、9−BBN−ピリジン、水素化トリブチルスズ、水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリド、ジボラン、ジアゼン、および水素化アルミニウムなどのうちの1つまたは複数から選択することができる。反応は、触媒(例えば、金属触媒)を用いても用いなくてもさらに起こり得る。いくつかの実施形態では、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、水素化アルミニウムリチウムを還元剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、ジボランを還元剤として使用することができる。還元反応を、還元反応に有用であることが公知の任意のpHで行うことができる。いくつかの実施形態では、方法は、中性からアルカリ性のpHでの酸化されたセルロース系材料の還元を含む。
いくつかの実施形態では、酸化されたパルプを、セルロース系パルプの乾燥重量に対して約0.1%〜約1%(例えば、約0.2%〜約0.8%または約0.25%〜約0.5%)の量の還元剤を用いて処理することができる。いくつかの実施形態では、還元反応を、約6〜約14(例えば、約pH8〜約pH13または約pH10〜約pH12)の範囲のpHで実施することができる。いくつかの実施形態では、還元反応を、約60〜約80℃の範囲(例えば、約70℃)の温度で5〜約90分間(例えば、約30〜約60分間)の範囲の時間で実施することができる。
セルロース系材料の還元反応を、酸化工程の後に行われるセルロース系パルプ生産中の任意の時点で(前加水分解の前または後、クラフトパルプ化の前または後、酸素脱リグニンの前または後、漂白の前または後、あるいは漂白プロセスのうちの1つまたは複数の段階の間が含まれる)行うことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、多段漂白シーケンスのうちの1つまたは複数の段階中に、セルロース系材料に酸化および還元の両方を行うことを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのさらなる漂白段が、酸化段および還元段の後に行われる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、酸化プロセスおよび還元プロセスの両方を、冷苛性抽出段の前に行うことができる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、酸化プロセスおよび還元プロセスの両方を、冷苛性抽出段の後に行うことができる。いくつかの実施形態では、多段漂白シーケンスが冷苛性抽出段を含む場合、酸化プロセスを、冷苛性抽出段の前に漂白段において行うことができ、還元プロセスを、冷苛性抽出段の後に漂白段において行うことができる。いくつかの実施形態では、セルロース系材料を、酸化プロセス後の1つまたは複数のさらなる還元段でさらに還元することができる。
いくつかの実施形態では、多段漂白プロセスシーケンスは、少なくとも1つの酸化段および少なくとも1つの還元段を含む5段漂白シーケンスであり得る。例えば、多段漂白プロセスシーケンスは、DBED、DBD、DEB、DEDB、DBP、DB、およびDBPBなどであり得、ここで、「D」は、二酸化塩素を含む漂白段をいい;「P」は、酸化処理段をいい、「B」は還元処理段をいい、「E」はアルカリ抽出段をいい、「E」には、例えば、E、E、E、またはEOP漂白段(ここで、「E」は、酸素での処理を含むアルカリ抽出段を示し、「E」は、過酸化物での処理を含むアルカリ抽出段を示し、「EOP」は、酸素および過酸化物での処理を含むアルカリ抽出段を示す)が含まれる。
いくつかの実施形態では、多段漂白プロセスシーケンスは、少なくとも1つの酸化段を含む5段漂白シーケンスであり得、ここで、少なくとも1つの還元処理が多段漂白プロセスの後に行われる。例えば、シーケンスは、DED−B、DED−B、D−Bであり得る。
いくつかの実施形態では、多段漂白プロセスシーケンスは、5段漂白シーケンス以外(例えば、4段漂白シーケンス、3段漂白シーケンス、または6段漂白シーケンス)であり得る。例えば、多段漂白プロセスシーケンスは、DEPB、DBD、DB、DB、またはDBDEDなどであり得る。
いくつかの実施形態では、多段漂白プロセスシーケンスは、少なくとも1つの酸化段を含む4段または3段漂白シーケンスであり得、ここで、少なくとも1つの還元処理が多段漂白プロセスの後に行われる。例えば、シーケンスは、DEP−B、DED−B、DE−B、DED−B、D−B、D−B、D−B、DEP−B、またはDPE−Bであり得る。
カルボキシル化処理
いくつかの実施形態では、酸化されたパルプを、アルデヒド官能基をカルボキシル官能基に変換するカルボキシル化剤での、少なくとも1つの処理にさらに供することができる。カルボキシル化処理を、セルロース系パルプ生産中の、酸化工程の後の任意の時点で(前加水分解の前または後、クラフトパルプ化の前または後、酸素脱リグニンの前または後、漂白の前または後、還元処理の前および/または後、あるいは漂白プロセスのうちの1つまたは複数の段階の間が含まれる)行うことができる。いくつかの実施形態では、カルボキシル化処理を、酸化処理後であって還元処理前に行うことができる。いくつかの実施形態では、カルボキシル化処理を、酸化処理後であって還元処理後に行うことができる。いくつかの実施形態では、カルボキシル化処理を、酸化処理後であって、還元処理前と還元処理後の両方で行うことができる。いくつかの実施形態では、セルロースを、酸化前と酸化後との両方でカルボキシル化剤を用いて処理することができる。
いくつかの実施形態では、カルボキシル化剤は、カルボキシル化酸(例えば、亜塩素酸、酸性二クロム酸カリウム、および/または過マンガン酸カリウム)であり得る。いくつかの実施形態では、酸化されたパルプのカルボキシル化剤での処理は、酸化されたパルプを亜塩素酸供給源(亜塩素酸ナトリウムなど)および過酸化水素、または二酸化塩素および過酸化水素で処理することを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、酸化されたパルプを、亜塩素酸ナトリウムを含むカルボキシル化剤および過酸化水素で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、酸化されたパルプを、二酸化塩素を含むカルボキシル化剤および過酸化水素で処理することを含む。
いくつかの実施形態では、カルボキシル化剤を、酸化されたパルプに、最終セルロース生成物が所望のカルボキシル官能性を達成するのに十分な量で添加することができる。例えば、亜塩素酸ナトリウムまたは二酸化塩素を、酸化されたセルロースに、亜塩素酸の供給源として、パルプの乾燥重量に対して約0.1重量%〜約5重量%(例えば、約0.25重量%〜約1.5重量%、約1.5重量%〜約2.5重量%、または約2.5重量%〜約5重量%)の濃度の溶液として添加することができ;過酸化水素を、パルプの乾燥重量に対して少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約1.5重量%、または少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、または少なくとも約3重量%(例えば、約0.1重量%〜約5重量%、または約0.25重量%〜約1重量%、約1重量%〜約2重量%、または約2.5重量%〜5重量%)の濃度で添加することができる。
いくつかの実施形態では、カルボキシル化処理を、反応を望ましく完了させるのに十分な時間および温度で実施することができる。例えば、カルボキシル化処理を、少なくとも約55℃、または少なくとも約80℃の温度で約15〜約120分間(例えば、約15〜約60分間、または約120〜約150分間)の範囲の時間で実施することができる。当業者は、所望のアルデヒドのカルボキシル基への変換に応じて、カルボキシル化処理の所望の時間および温度を容易に確認することが可能であろう。
いくつかの実施形態では、本方法は、多段漂白シーケンスのうちの1つまたは複数の段階の間にセルロース系材料をカルボキシル化することを含み得る。例えば、上記で考察された例示の漂白シーケンスの任意のもので、「D」段のうちの1つまたは複数を、例えば、二酸化塩素および過酸化水素(hydgrogen peroxide)または亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素での処理を含むカルボキシル化処理段「D(C/A)」で置き換えることができる。例えば、5段漂白プロセスでは、第3漂白段がD(C/A)段であり得るか、第5漂白段がD(C/A)段であり得るか、第3および第5漂白段が共にD(C/A)段であり得るか、または、第1、第3、および第5漂白段が全てD(C/A)段であり得る。同様に、4段漂白シーケンスでは、例えば、第3漂白段がD(C/A)段であり得るか、第4漂白段がD(C/A)段であり得るか、第1および第3漂白段が共にD(C/A)段であり得るか、または第1および第4漂白段が共にD(C/A)段であり得る。
繊維の性質
いくつかの実施形態では、酸化されたセルロースが針葉樹クラフト繊維である場合、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの長さ加重平均繊維長は約2mmまたはそれを超え得る。繊維長を、OPTEST,Hawkesbury,OntarioのFiber Quality Analyzer(商標)にて、製造者の標準的な手順にしたがって決定することができる。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、約3.7mm以下である。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、少なくとも約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、または約3.7mmである。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、約2mm〜約3.7mmまたは約2.2mm〜約3.7mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの最終ISO白色度は、少なくとも約88%(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、または少なくとも約93%)であり得る。白色度を、TAPPI T525−om02にしたがって決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのCIE白度は、少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、または少なくとも約88%)であり得る。CIE白度を、TAPPI Method T560にしたがって決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのb色値は、約3未満(例えば、約2.5未満、約2.25未満、または約2未満)であり得る。b色値を、TAPPI T527にしたがって決定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの粘度は、約3.0mPa・s〜約20mPa・s(例えば、約7mPa・s〜約18mPa・s、約9mPa・s〜約18mPa・s、約10mPa・s〜約16mPa・s、または約11mPa・s〜約14mPa・s)の範囲であり得る。粘度を、TAPPI T230−om99にしたがって測定することができる。理論に拘束されることを望まないが、還元反応によってジアルデヒド基が第一級アルコール基に変換されることにより、粘度試験方法TAPPI T230−om99で使用されるアルカリ条件中に起こるパルプの分解を防止することができるので、還元プロセス後に採取した試料の粘度測定値が酸化プロセス後に採取された試料の粘度測定値より増大し得ると考えられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの粘度は、4mPa・s超、6mPa・s超、8mPa・s超、10mPa・s超、12mPa・s超、または14mPa・s超であり得る。
いくつかの実施形態では、特にカルボキシル化処理を酸化処理と還元処理との間に行う場合、酸化処理後に採取された試料の粘度と比較して、還元処理後の粘度は有意に増加しない可能性がある。このような場合、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの粘度は、7mPa・s未満(例えば、6mPa・s未満、5mPa・s未満、4mPa・s未満、または3mPa・s未満)であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのカルボキシル含有量は、約5meq/100g未満(例えば、約3meq/100g未満、約2meq/100g未満、または約1meq/100g未満)であり得る。カルボキシル含有量を、TAPPI T237−cm98にしたがって測定することができる。いくつかの実施形態では、開鎖修飾セルロース系パルプのカルボキシル含有量は、約0.1meq/100g〜約5meq/100g(例えば、約0.5meq/100g〜約2meq/100g)の範囲であり得る。
いくつかの実施形態、特に、カルボキシル化処理を使用した実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのカルボキシル含有量は、約5meq/100g超(例えば、約6meq/100g超、約8meq/100g超、または約10meq/100g超)であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのアルデヒド含有量は、約2meq/100g未満(例えば、約1meq/100g未満、約0.5meq/100g未満、または約0.1meq/100g未満)であり得る。アルデヒド含有量を、Econotech Services LTDの手順ESM 055Bにしたがって測定することができる。いくつかの実施形態では、開鎖修飾セルロース系パルプのアルデヒド含有量は、約0.01meq/100g〜約2meq/100g(例えば、約0.01meq/100g〜約1meq/100g、または約0.01meq/100g〜約0.5meq/100g)の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの銅価は、約0.01〜約5の範囲であり得る。銅価を、TAPPI T430−cm99にしたがって測定する。いくつかの実施形態では、銅価は、約4未満(例えば、約2未満、約1未満、約0.5未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのカルボニル含有量は、約2meq/100g未満(例えば、約1meq/100g未満、約0.5meq/100g未満、または約0.1meq/100g未満)であり得る。カルボニル含有量を、以下の式にしたがって銅価から計算する:カルボニル=(銅価−0.07)/0.6(Biomacromolecules 2002,3,969−975から引用)。いくつかの実施形態では、開鎖修飾セルロース系パルプのカルボニル含有量は、約0.01meq/100g〜約2meq/100g(例えば、約0.01meq/100g〜約1meq/100g、または約0.01meq/100g〜約0.5meq/100g)の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのカルボキシル含有量に対するカルボニル含有量の比は、約1:10〜5:1(例えば、約1:5〜約3:1、約1:3〜1:1、または約1:1.5〜1:1)であり得る。
いくつかの実施形態、特にカルボキシル化処理を使用した実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのカルボキシル含有量に対するカルボニル含有量の比は、約1:20〜1:1(例えば、約1:10〜約1:5)であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのヘミセルロース含有量は、酸化処理および還元処理の前のセルロースと実質的に同一であり得る。例えば、針葉樹クラフト繊維のヘミセルロース含有量は、約14%〜約18%(例えば、約14%〜約15%)の範囲であり得る。同様に、広葉樹クラフト繊維のヘミセルロース含有量は、約18%〜約30%の範囲であり得る。ヘミセルロース含有量を、パルプの炭水化物含有量の和−セルロース含有量から計算する。セルロース含有量を、以下の式にしたがって炭水化物含有量から計算する:セルロース=グルカン−(マンナン/3)(TAPPI Journal 65(12):78−80 1982から引用)。炭水化物含有量を、TAPPI T249−cm00にしたがってDionexイオンクロマトグラフィによる分析を用いて測定する。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプの還元ヘミセルロース含有量は、約10%未満(例えば、約8%未満、約6%未満、約4%未満、または約2%未満)であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのヘミセルロース含有量は、約2%〜約6%であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのR10値は、約90%〜約99%(例えば、約93%〜約98%、または約95%〜約97%)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのR18値は、約92%〜約99%(例えば、約95%〜約99%、または約97%〜約99%)の範囲であり得る。R18およびR10を、TAPPI 235にしたがって測定することができる。
R10は、10重量%の苛性溶液でのパルプの抽出後に残存する不溶存材料を示し、R18は、18%苛性溶液でのパルプの抽出後に残存する不溶存材料量を示す。一般に、10%苛性溶液中では、ヘミセルロースおよび化学的に分解された短鎖セルロースが溶解され、溶液中に除去される。対照的に、18%苛性溶液中では一般的にヘミセルロースのみが溶解され、除去される。したがって、R10値とR18値との間の差(ΔR=R18−R10)は、パルプ試料中に存在する化学的に分解された短鎖セルロースの量を示す。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのΔRは、約4未満(例えば、約3未満、約2未満、約1未満、または約0.5未満)であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、本明細書中に開示の酸化工程および還元工程を含まないプロセスによって作製されたパルプより低い結晶性を有し得る。例えば、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、酸化段の前に測定した出発結晶化度指数と比較して少なくとも2%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも20%)低下した結晶化度指数を示し得る。結晶化度指数を、X線回折、固体13C核磁気共鳴、赤外分光法、またはラマン分光法によって測定することができる。X線回折が好ましい。
本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプはまた、本明細書中に詳述される酸化工程および還元工程に供していないセルロース系パルプと比較して、β−D−1,4−アンヒドログルコース単量体上に存在する第一級アルコールであるC2炭素およびC3炭素の百分率が増加し得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのβ−D−1,4−アンヒドログルコース単量体のC2炭素およびC3炭素のうちの少なくとも約1%(例えば、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約20%)は、第一級アルコールであり得る。本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプのβ−D−1,4−アンヒドログルコース単量体のC2炭素およびC3炭素の百分率を、適切な方法(例えば、分光法、高速液体クロマトグラフィ、またはX線回折)によって決定することができる。
セルロース誘導体生成物
本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、種々のセルロース誘導体生成物の生産において使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、かかる生成物の生産において高αパルプ、コットンリンターパルプ、または亜硫酸パルプの一部または全部の代替物として使用することができる。いくつかの実施形態では、セルロース誘導体生成物を、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、開鎖修飾セルロース系パルプのβ−D−1,4−アンヒドログルコース単量体上の複数のヒドロキシル基をヒドロキシル基以外の置換基に変換する化学反応に供することによって作製することができる。いくつかの実施形態では、化学反応はエステル化反応であり得る。いくつかの実施形態では、化学反応はエーテル化反応であり得る。いくつかの実施形態では、化学反応は硫化反応であり得る。
理論に拘束されないが、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、セルロースアンヒドログルコース単量体上に存在する第一級アルコールの形態のヒドロキシル基により改善された接近性が示され、それにより、セルロース誘導体生成物の調製プロセスにおいて出発物質として使用した場合に溶解性、反応性、および/または変換効率の増大をもたらすと考えられる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、セルロースエーテル誘導体生成物の製造のために適切にする化学的性質を有する。したがって、本開示は、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプから誘導されたセルロースエーテル生成物を提供する。いくつかの実施形態では、セルロースエーテル誘導体生成物を、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシエチルメチルセルロースなどから選択することができる。本開示のセルロースエーテル誘導体生成物を、セルロースエーテルを伝統的に使用する任意の応用分野で使用することができると考えられる。例えば、制限されないが、本開示のセルロースエーテルを、コーティング、インク、結合剤、制御放出薬の錠剤、および薄膜で使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは、セルロースエステルの製造のために適切にする化学的性質を有する。したがって、本開示は、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプから誘導されたセルロースエステル生成物を提供する。いくつかの実施形態では、セルロースエステル誘導体生成物は、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプから誘導された酢酸セルロース(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、および酢酸プロピオン酸セルロース)であり得る。本開示のセルロースエステル誘導体生成物を、セルロースエステルを伝統的に使用する任意の応用分野で使用することができると考えられる。例えば、制限されないが、本開示のセルロースエステルを、家財道具、紙巻タバコ、インク、吸収性製品、医療機器、薄膜、およびプラスチック類(例えば、LCDおよびプラズマ画面が含まれる)、ならびにウインドシールドで使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、再生セルロース生成物(例えば、ビスコースおよびレーヨンなど)の生産で使用することができる。かかる再生セルロース系生成物の製造は、しばしば、再生および紡績前の材料の溶解を補助するためにセルロース系パルプを誘導体化することを含む。いくつかの実施形態では、誘導体化プロセスは硫化プロセスである。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、他の特殊セルロース誘導体生成物(例えば、ニトロセルロース、プラスチック成形化合物、微結晶性セルロース、ケーシング、セロハン、およびタイヤコードなど)の生産で使用することができる。
理論に拘束されることを望まないが、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプは他の生成物の生産に関与する場合に、改善された溶解を示すことができるとさらに考えられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の開鎖修飾セルロース系パルプを、リヨセル生成物で使用することができる。
本開示の実施形態の説明は、網羅的ではなく、且つ開示の厳密な形態または実施形態に制限されない。明細書の考慮および開示の実施形態の実施から、実施形態の修正および適合が明らかである。
実施例1
南方針葉樹クラフトの酸素脱リグニンパルプを、5段漂白プラントの第1の二酸化塩素(D)洗浄機から回収し、試験に使用した。
パルプを、P(c/a)BD漂白段でさらに処理した。ここで、Pは、過酸化物による酸性触媒酸化段であり、D(c/a)は、亜塩素酸生産を増強するために添加される過酸化水素での二酸化塩素段であり、Bは水素化ホウ素ナトリウム段であり、Dは最後の二酸化塩素段である。HおよびFe+2を4つの異なるレベルで適用するP段を行い、それぞれの後にD(c/a)段を行う。次いで、これらの各パルプを、3つの水素化ホウ素ナトリウムレベルのうちの1つで処理し、その後に一定のClO適用を用いる最後のD段を行った。水素化ホウ素ナトリウムを、市販溶液(Montgomery Chemicals,Conshohocken,PAのBoromet 10(登録商標))として供給した。塩基性プロセスの条件および適用化学物質を、表1に示す。
Figure 0006858775
漂白された最終パルプを、白色度、粘度、および官能基(カルボキシル、アルデヒド、およびカルボニル(銅価から計算)が含まれる)について試験した。カルボキシル含有量、アルデヒド含有量、およびカルボニル含有量についての官能基の含有量を、それぞれ図1、図2、および図3に示す。粘度および白色度を、それぞれ図4および図5に示す。比較のために、DEOPDEDシーケンスで漂白した標準パルプ(Std.)、DP(c/a)Dシーケンスで漂白したパルプ(4865)、およびDP(c/a)(c/a)シーケンスで漂白したパルプ(4875)の結果も、図に示す。
この実施例は、とりわけ、いかなる還元剤も使用しないでPを使用したシーケンスと比較して、漂白シーケンスの第4段において還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを使用するとアルデヒド含有量およびカルボニル含有量が有意に減少することを示す。
実施例2
実施例1と同一のDパルプを、DP(c/a)(c/a)−Bシーケンス(最終D(c/a)漂白段の後に水素化ホウ素ナトリウム処理を行った)を試験するために使用した。各D(c/a)段で、亜塩素酸生産を増強するためにHを添加した。水素化ホウ素ナトリウム「B」段処理を、3つの異なるレベルで行った。プロセスの条件および適用化学物質を、表2に示す。
Figure 0006858775
漂白された最終パルプを、白色度、粘度、および官能基(カルボキシル、アルデヒド、およびカルボニル(銅価から計算)が含まれる)について試験した。カルボキシル含有量、アルデヒド含有量、およびカルボニル含有量についての官能基の含有量を、それぞれ図6、図7、および図8に示す。粘度および白色度を、それぞれ図9および図10に示す。比較のために、DEOPDEDシーケンスで漂白した標準パルプ(Std.)、DP(c/a)Dシーケンスで漂白したパルプ(4865)、およびDP(c/a)(c/a)シーケンスで漂白したパルプ(4875)の結果も、図に示す。
この実施例は、とりわけ、漂白シーケンス後に十分な量の水素化ホウ素ナトリウムを提供した場合、DP(c/a)Dシーケンスと比較してアルデヒド含有量およびカルボニル含有量を減少させることができることを示す。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
開鎖修飾セルロース系パルプを作製する方法であって、
セルロース系パルプを得ること、
前記セルロース系パルプを少なくとも1つの酸化する工程で酸化して、酸化されたセルロース系パルプを形成する、酸化すること、
前記酸化されたセルロース系パルプを少なくとも1つの還元工程における還元反応に供して、開鎖修飾セルロース系パルプを形成する、還元反応に供すること
を含む、方法。
(項目2)
前記セルロース系パルプが、前記少なくとも1つの酸化工程前に約1未満の銅価を有し、前記セルロース系パルプが、少なくとも1つの酸化工程中に銅価約3超に酸化され、前記酸化されたセルロースが、前記還元工程中に銅価約0.5未満に還元される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記少なくとも1つの酸化する工程を、過ヨウ素酸塩、二酸化窒素、ならびに過酸化物および金属触媒のうちの少なくとも1つから選択される酸化剤を使用して実施する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記少なくとも1つの酸化する工程を、約pH2〜約pH6にて過酸化水素および銅または鉄から選択される金属触媒を使用して実施する、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記少なくとも1つの酸化する工程を、多段漂白プロセスのうちの少なくとも1つの段階の間に実施する、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記少なくとも1つの還元工程を、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、9−BBN−ピリジン、水素化トリブチルスズ、水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリド、ジボラン、ジアゼン、および水素化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される還元剤を使用して実施する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記少なくとも1つの還元工程を少なくとも7のpHで実施する、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記酸化されたセルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む、少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記酸化されたセルロース系パルプを、前記少なくとも1つの酸化工程後であって前記少なくとも1つの還元工程前に、前記少なくとも1つのカルボキシル化工程に供する、項目9に記載の方法。
(項目11)
開鎖修飾セルロース系パルプであって、
セルロース系パルプを得ること、
前記セルロース系パルプを少なくとも1つの酸化する工程において酸化して、酸化されたセルロース系パルプを形成する、酸化すること、
前記酸化されたセルロース系パルプを少なくとも1つの還元工程における還元反応に供して、開鎖修飾セルロース系パルプを形成する、還元反応に供すること
を含む方法によって作製された開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目12)
前記セルロース系パルプを酸化する工程を、多段漂白プロセスのうちの少なくとも1つの段階の間に実施する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目13)
前記セルロース系パルプを酸化する工程を、過酸化水素および鉄触媒を使用して、約2〜約6のpHで実施する、項目12に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目14)
前記還元反応を、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、9−BBN−ピリジン、水素化トリブチルスズ、水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリド、ジボラン、ジアゼン、および水素化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される還元剤を使用して少なくともpH7で実施する、項目13に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目15)
前記酸化されたセルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含む、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目16)
前記酸化されたセルロース系パルプを、前記少なくとも1つの酸化工程後であって前記少なくとも1つの還元工程前に、前記少なくとも1つのカルボキシル化工程に供する、項目15に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目17)
前記開鎖修飾セルロース系パルプが約0.5未満の銅価を有する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目18)
前記開鎖修飾セルロース系パルプが約6mPa未満の粘度を有する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目19)
前記開鎖修飾セルロース系パルプが約0.5meq/100g未満のカルボキシル含有量を有する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目20)
前記開鎖修飾セルロース系パルプが約6meq/100g超のカルボキシル含有量を有する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目21)
前記開鎖修飾セルロース系パルプが少なくとも約90%のISO白色度を有する、項目11に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目22)
セルロース誘導体生成物を作製する方法であって、
セルロース系パルプを酸化して酸化されたセルロース系パルプを形成し、前記酸化されたセルロース系パルプを還元反応に供することを含む方法によって調製された、ヒドロキシル基を有する開鎖修飾セルロース系パルプを得ること;および
セルロース誘導体生成物を形成させるために、前記開鎖修飾セルロース系パルプを、前記開鎖修飾セルロース系パルプ上の複数のヒドロキシル基をヒドロキシル基以外の置換基に変換する化学反応に供すること
を含む、方法。
(項目23)
前記化学反応がエステル化反応である、項目11に記載の方法。
(項目24)
前記セルロース誘導体生成物が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシエチルメチルセルロースから選択される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記化学反応がエーテル化反応である、項目11に記載の方法。
(項目26)
前記セルロース誘導体生成物が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、および酢酸プロピオン酸セルロースから選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記化学反応が硫化反応である、項目11に記載の方法。
(項目28)
セルロース誘導体生成物がレーヨンである、項目27に記載の方法。
(項目29)
C2炭素およびC3炭素を含むβ−D−1,4−アンヒドログルコース単量体を含む開鎖修飾セルロース系パルプであって、前記C2炭素およびC3炭素のうちの少なくとも5%が第一級アルコールである、開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目30)
ヘミセルロース含有量が約4%未満である、項目29に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目31)
ΔRが約2未満である、項目30に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目32)
粘度が少なくとも約12である、項目30に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目33)
ISO白色度が少なくとも約90%であり、CIEが少なくとも約85%であり、b 色値が約2.5未満である、項目30に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目34)
銅価が約0.2未満である、項目30に記載の開鎖修飾セルロース系パルプ。
(項目35)
セルロース誘導体生成物を作製する方法であって、
C2炭素およびC3炭素を含むβ−D−1,4−アンヒドログルコース単量体を含む開鎖修飾セルロース系パルプを得ることであって、前記C2炭素およびC3炭素のうちの少なくとも5%が第一級アルコールである、得ること;および
セルロース誘導体生成物を形成させるために、前記開鎖修飾セルロース系パルプを、前記開鎖修飾セルロース系パルプ上の複数のヒドロキシル基をヒドロキシル基以外の置換基に変換する化学反応に供すること
を含む、方法。
(項目36)
前記化学反応がエステル化反応である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記セルロース誘導体生成物が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシエチルメチルセルロースから選択される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記化学反応がエーテル化反応である、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記セルロース誘導体生成物が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、および酢酸プロピオン酸セルロースから選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記化学反応が硫化反応である、項目35に記載の方法。
(項目41)
セルロース誘導体生成物がレーヨンである、項目40に記載の方法。

Claims (17)

  1. セルロース誘導体生成物を作製する方法であって、
    セルロース系パルプを、少なくとも1つの酸化工程に供して酸化されたセルロース系パルプを形成し、そして前記酸化されたセルロース系パルプを、少なくとも1つの還元工程において還元反応に供することを含む方法によって調製された、ヒドロキシル基を有する開鎖修飾セルロース系パルプを得ること;および
    セルロース誘導体生成物を形成させるために、前記開鎖修飾セルロース系パルプを、前記開鎖修飾セルロース系パルプ上の複数のヒドロキシル基をヒドロキシル基以外の置換基に変換する化学反応に供すること
    を含
    ここで、前記酸化工程が、pH2〜6において過酸化水素および銅もしくは鉄または両方を含む金属触媒を使用して実施され、
    ここで、前記還元が、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、9−BBN−ピリジン、水素化トリブチルスズ、水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリド、ジボラン、ジアゼン、および水素化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される還元剤を使用して実施される、
    方法。
  2. 前記化学反応がエテル化反応である、請求項に記載の方法。
  3. 前記セルロース誘導体生成物が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシエチルメチルセルロースから選択される、請求項に記載の方法。
  4. 前記化学反応がエテル化反応である、請求項に記載の方法。
  5. 前記セルロース誘導体生成物が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、および酢酸プロピオン酸セルロースから選択される、請求項に記載の方法。
  6. 前記化学反応が硫化反応である、請求項に記載の方法。
  7. セルロース誘導体生成物がレーヨンである、請求項に記載の方法。
  8. 前記セルロース系パルプが、前記少なくとも1つの酸化工程の前に1未満の銅価を有し、ここで、前記セルロース系パルプが、前記少なくとも1つの酸化工程の終わりに3よりも大きい銅価に酸化され、そしてここで、前記酸化されたセルロースが、前記還元工程の終わりに0.5未満の銅価に還元される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの酸化する工程が、多段漂白プロセスのうちの少なくとも1つの段階の間に実施される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの還元工程が、少なくとも7のpHにおいて実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記酸化されたセルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記カルボキシル化工程が、前記少なくとも1つの酸化工程の後であって前記少なくとも1つの還元工程の前に行われる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記開鎖修飾セルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記少なくとも1つのカルボキシル化工程が、前記還元工程の後であって前記開鎖修飾セルロース系パルプを前記化学反応に供する前に行われる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記酸化されたセルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素および過酸化水素の組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記カルボキシル化工程が、前記少なくとも1つの酸化工程の後であって前記少なくとも1つの還元工程の前に行われる、請求項2に記載の方法。
  15. 前記開鎖修飾セルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記少なくとも1つのカルボキシル化工程が、前記還元工程の後であって前記開鎖修飾セルロース系パルプを前記化学反応に供する前に行われる、請求項2に記載の方法。
  16. 前記酸化されたセルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記カルボキシル化工程が、前記少なくとも1つの酸化工程の後であって前記少なくとも1つの還元工程の前に行われる、請求項4に記載の方法。
  17. 前記開鎖修飾セルロース系パルプを、亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との組み合わせまたは二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせを含む少なくとも1つのカルボキシル化工程に供することをさらに含み、ここで、前記少なくとも1つのカルボキシル化工程が、前記還元工程の後であって前記開鎖修飾セルロース系パルプを前記化学反応に供する前に行われる、請求項4に記載の方法。
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