JP6858427B1 - 積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法および包装体 - Google Patents

積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】広い温度範囲で、かつ広い運転速度範囲で、被包装物を包装袋内に充填包装することのできる方法と、該充填包装方法によって得られる包装体を提案すること。【解決手段】積層プラスチックフィルムを基本的に、シーラント層(A)と基材層(B)とを有する積層体によって構成し、複層のシーラント層の総厚、各シーラント層の厚み、ならびに主たる構成物の密度およびDSCで求めた融解ピーク温度とピークの半値全幅を特定して積層し、該積層プラスチックフィルムを、シーラント層(A)どうしが対面するように重ね合わせ縦シールして筒状とした後、該筒状の積層プラスチックフィルム内に被包装物を充填しながら所定の位置を、対向配置された一対の横シールロールによって挟持して横シールすることにより対面する前記シーラント層(A)どうしを融着接合させて形成される包装袋内に被包装物を充填包装すること。【選択図】 図4

Description

本発明は、食料品や化学品、薬剤等の被包装物を、積層プラスチックフィルムからなる包装袋内に連続的に充填包装する方法に関し、とりわけ、被包装物の横シール部内への噛み込みに伴うシール不良のおそれのない充填包装方法と、その方法により形成される包装体に関する。
積層プラスチックフィルムからなる包装袋内に被包装物を自動的に充填し、縦横のヒートシールを施して包装する縦ピロー方式の充填包装機については、特許文献1および特許文献2に記載されているような充填包装機がよく知られている。
これらの文献に開示の充填包装機は、例えば、ベース層とシーラント層とを具える積層プラスチックフィルムからなる長尺の包装用フィルムを、長手方向に沿って上方から下方へ連続的に走行させながら、前記シーラント層が向い合わせになるように幅方向に半折りし、その重なり合うフィルム両側縁どうしを縦シールロールによって縦方向に連続的にヒートシールして、縦シール部を形成して該フィルムを筒状(いわゆるピロー形状)とし、次いで該筒状の包装用フィルム内に充填ノズルを介して液状の被包装物を供給しつつ、該包装用フィルムの幅方向に沿って延びる一対の横シールロール(シール刃)によって、液状の被包装物を絞り出しながら所定の間隔で横シール部を形成する(一般に、「夾雑物シール」と言われる。)ことで包装体が連続して製造されるように構成されている。
特開平8−301237号公報 特開2006−248578号公報
前記充填包装機においては、いわゆる「夾雑物シール」方法、即ち、一対の横シールロールによって包装用フィルムを挟持し、該横シールロールの回転によって包装用フィルム間に残存する被包装物を絞り出しながら、該絞り出し位置に横シール部を形成する方法を採用しているため、該横シール部分に被包装物が必然的に介在することになる。そのため、被包装物が、横シール部分に滞留したまま残留し、噛み込まれやすくなり、該被包装物が高温域で発泡等してシール不良が発生し、特に高速運転時に管理温度を狭く管理しなければならず、製造効率に劣るという課題があった。
さらに、従来の充填方法では、液状の被包装物中に胡椒や胡麻などの固形物が含まれていると、横シール部の内部に該固形物が噛み込まれて、その噛み込み位置の融着接合が阻害されて剥離が生じやすくなり、やがては液漏れ(スローリーク)が発生するという問題があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、広い温度範囲で、かつ広い運転速度範囲で、被包装物を包装袋内に充填包装することのできる方法と、該充填包装方法によって得られる包装体を提案することにある。
さらに本発明の他の目的は、胡椒や胡麻、果皮などの固形物を含有する液状や粘稠状の被包装物や、練り物のような流動性を有する固形物からなる被包装物を、プラスチック製の包装袋内に連続して充填包装するにあたり、横シール位置に、たとえ被包装物が介在していても剥離等のシール不良(液漏れ)を招くことのない横シール部の形成方法と、その方法によって形成され、とくに被包装物が飲食品である場合に、横シール部分に残留している固形物由来のカビや細菌等の増殖を抑制することのできる包装体について提案することにある。
上記目的を達成するため鋭意検討した結果、発明者らは、以下に述べる要旨構成に係る本発明に想到した。
即ち、本発明は、少なくともシーラント層(A)と基材層(B)とを具える積層プラスチックフィルムを、該シーラント層(A)どうしが対面するように重ね合わせて縦シールと横シールとを行うことによって形成される包装袋内に、被包装物を連続して充填包装する方法において、
前記シーラント層(A)は、最も基材層(B)側にシーラント第1層(A1)を具え、そして最も被包装物側にシーラント第2層(A2)を具える少なくとも2層からなり、かつ総厚tが25〜75μmのもので構成し、
前記シーラント第1層(A1)を、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
(a11)厚みtA1が15〜70μm、
(a12)主たる構成物の密度が0.925g/cm以上、
(a13)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm1)が120℃以上、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下、のものとし、
前記シーラント第2層(A2)を、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
(a21)厚みtA2が3〜15μmの範囲、
(a22)主たる構成物の密度が0.915g/cm以下、
(a23)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃、のものとして、
前記積層プラスチックフィルムの所定の位置を、対向配置された一対の縦・横シールロールによって挟持して加熱および加圧することにより、少なくとも前記シーラント第2層(A2)を軟化−溶融させて、対面する前記シーラント層(A)どうしを融着接合させて縦・横シールを行うことを特徴とする積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法である。
この積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への充填包装方法においては、
(1)前記シーラント第1層(A1)の厚みtA1と前記シーラント第2層(A2)の厚みtA2とが、0.10≦tA2/tA1≦0.75の関係になるように構成したこと、
)前記包装袋内に固形物を含む被包装物を充填するに際し、一対の横シールロールによるヒートシールによって、ヒートシール位置に残留する固形物を粉砕すると同時に、粉砕された固形物どうしの隙間および当該固形物に発生した割れ目内に、軟化−溶融した前記シーラント層(A)の樹脂を含浸させる粉砕含浸処理を行うこと、
)前記一対の前記横シールロールどうしによる横シールを、500kPa以上の強加圧下で行うこと、
がより好ましい解決手段になる。
また、本発明は、少なくともシーラント層(A)と基材層(B)とを具える積層プラスチックフィルムを、該シーラント層(A)どうしが対面するように重ね合わせて縦シールと横シールとを行うことによって形成される包装袋内に、被包装物が充填包装される包装体であって、
前記シーラント層(A)は、最も基材層(B)側にシーラント第1層(A1)を具え、そして最も被包装物側にシーラント第2層(A2)を具える少なくとも2層からなり、かつ総厚t が25〜75μmのものからなり、
前記シーラント第1層(A1)は、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
(a11)厚みt A1 が15〜70μm、
(a12)主たる構成物の密度が0.925g/cm 以上、
(a13)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm1)が120℃以上、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下、のものであり、
前記シーラント第2層(A2)は、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
(a21)厚みt A2 が3〜15μmの範囲、
(a22)主たる構成物の密度が0.915g/cm 以下、
(a23)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃、のものであり、
前記縦シール部分および横シール部分は、少なくとも前記シーラント第2層(A2)が軟化−溶融されて、対面する前記シーラント層(A)どうしが融着接合されたものからなることを特徴とする包装体を提案する。
なお、本発明の包装体においては、
(1)前記シーラント第1層(A1)の厚みt A1 と前記シーラント第2層(A2)の厚みt A2 とが、0.10≦t A2 /t A1 ≦0.75の関係を有すること、
)前記積層プラスチックフィルムは、シーラント第1層(A1)と前記基材層(B)との間に、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、シリカ蒸着層およびエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層から選ばれた1以上を有すること、
)ヒートシール位置に被包装物に含有される固形物が残留しているとき、この固形物は、粉砕されていると共に、その粉砕された固形物どうしの隙間および当該固形物に発生した割れ目内に、該ヒートシールによって軟化−溶融する前記シーラント層(A)の樹脂が含浸されてシール部内に介在していること、
が好ましい解決手段になる。
本発明によれば、被包装物の充填包装に使用される積層プラスチックフィルムを基本的に、シーラント層(A)と基材層(B)とを有する積層体によって構成し、複層からなるシーラント層を、総厚、各シーラント層の厚み、ならびに主たる構成物の密度およびDSCで求めた融解ピーク温度とピークの半値全幅を特定して積層したことで、夾雑物シール充填に供する場合に広い温度範囲かつ広い運転速度範囲でヒートシールを行うことができ、とくに固形物を含む被包装物(固形物を含有する液状物や粘稠物、流動性を有する粉粒物や固形物(半固形物))を好適に充填包装することができる。
また、本発明によれば、シーラント層(A)を、最も基材層(B)側に設けたシーラント第1層(A1)と、最も被包装物側に設けたシーラント第2層(A2)の、少なくとも2層によって構成し、シーラント第2層(A2)をシーラント第1層(A1)よりも薄くし、かつ、それらの積層比率を特定することにより、包装用積層フィルムとしての強度と、シール部のシール強度との両立や夾雑物の排除機能の向上を図ることができる。
さらに、本発明によれば、シーラント層(A)どうしを対面するように重ね合わせて縦シール、横シールして形成される包装袋内に、被包装物を充填して包装する際に、所定の位置を、対向配置された一対の縦・横シールロールによって挟持してヒートシールすることにより縦・横シール部を形成するにあたり、効率よく包装袋内への被包装物の充填を行うことができる。加えて、包装袋内に充填する被包装物に固形物が含まれているとき(固形物を含む液状物や粘稠物、流動性を有する粉粒物や固形物(半固形物))、前記ヒートシールによってシール位置に残留する固形物が粉砕すると同時に、前記シーラント層(A)の、少なくとも被包装物側に設けた前記シーラント第2層(A2)が軟化−溶融し、その軟化−溶融したシーラント層(A)の樹脂(とくにシーラント第2層(A2)樹脂)が、粉砕された固形物どうしの隙間および当該固形物に発生した割れ目内に含浸(含侵)する処理(以下、「粉砕含浸処理」と言う。)が施され、シール部が形成される。そのため、シール部内に残留する固形物は、島状に分散して点在した状態で溶融したシーラント層(A)樹脂によって含浸もしくは包囲されると共に、積層プラスチックフィルムのシーラント層(A)樹脂と共に融着接合してシール部を形成することになるため、該シール部の融着接合が固形物によって阻害されることがなく、隙間の発生や剥離等によってシール不良(液漏れ)を招くようなことがない。
また、本発明によれば、上記したようにシール部内に隙間や剥離等が発生することがないため、シール部内に被包装物の液体分や、固形物の粉砕によって発生する水分が残留しても、前記積層プラスチックフィルムの軟化−溶融したシーラント層(A)の樹脂によって含浸されてシール部端面に漏れ出すことがなく、シール部端面における微生物の増殖が抑制されることになり、包装体の汚染リスクを低減することができる。
また、本発明によれば、前記シーラント第1層(A1)の厚みtA1と、シーラント第2層(A2)の厚みtA2との比が、0.10≦tA2/tA1≦0.75となるように積層することで、積層プラスチックフィルムとしての強度と、シール部のシール強度との両立を図ることができ、例えば、前記横シールロールによるシール圧力を500kPa以上の高圧にしても、積層プラスチックフィルムが破断等することがなく、被包装物に含有される固形物を粉砕することができる。そのため、被包装物が例えば、レモンやオレンジなどの柑橘類の内果皮やじょうのう膜などの繊維状のものや、肉や魚、野菜等の固形物を含有するレトルト食品であっても夾雑物シール方法によって包装袋内に充填包装することができる。
また、前記横シールロールによるシール圧力を、上記のように500kPa以上の高圧にする場合には、横シールロールによる横ヒートシール速度を、従来の充填包装機における横シールロールによる横ヒートシール速度(12〜18m/min)よりも低速(好ましくは10m/min以下、より好ましくは2〜6m/min以下)にすることが好ましく、これによれば横シール時に発熱が生じ、該発熱によって横シールロールのシール温度を従来よりも低く設定することができるようになる。従って、使用するプラスチックフィルムの選択肢が広がると共に、ヒートシール条件の幅を広げることができる。
縦型充填包装機の一例を示す概略図である。 1対の第1横シールロールによる夾雑物シール方法を説明する拡大側面図である。 従来の方法により形成された横シール部の断面図である。 本発明の充填包装方法において用いられる積層プラスチックフィルムの断面図である。 粉砕含浸処理を説明する模式図である。 本発明の方法により形成された横シール部の断面図である。 本発明の充填包装方法において用いられる第1横シールロール用シール刃の一実施形態を示す部分斜視図である。 本発明の包装体の一実施形態を示す図である。 (a)発明例の積層プラスチックフィルムEの示差走査熱量測定(DSC)曲線を示すグラフであり、(b)比較例の積層プラスチックフィルムRのDSC曲線を示すグラフである。 夾雑物シール可能な範囲に与えるライン速度とヒートシール温度との影響を示すグラフであって、(a)発明例および(b)比較例を表す。
以下、この発明の一実施形態を、図面に示すところに基づいて説明する。
本発明の充填包装方法は、被包装物を連続充填しながらヒートシールを行う夾雑物シールを利用する各種の縦ピロータイプの充填包装機や縦ピロータイプの多列充填包装機等の充填包装機に適用することができる。ここでは図1に示す縦型の充填包装機1によって液状物を連続的に充填包装し、三方シールした包装体Wを製造する場合を代表例として説明する。なお、被包装物としては、液状物や粘稠物の他、例えばポテトサラダのような流動性を有する固形物等の、飲食品や化学品、医薬品等、各種のものを用いることができ、また、胡椒や胡麻などの穀物粒子や肉、魚、果実、野菜などの固形物を含む液状や粘稠状の被包装物も好適に用いることもできる。
図1の充填包装機1は、フィルムロールRから連続的に繰り出されて走行する1枚の長尺のベース層(B)とシーラント層(A)とを具える積層プラスチックフィルムFを上方から下方へ連続的に走行させながら、その走行中にガイドロッド2で案内しつつ積層プラスチックフィルムFをそのシーラント層(A)が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、図では積層プラスチックフィルムFの左端部に位置するその両側端部同士を重ね合わせ、その重ね合わされた両側端部同士を1対の縦シールロール3によって積層プラスチックフィルムFの長手方向(縦方向)に連続的に加圧および加熱して、前記シーラント層(A)同士を融着接合させることで縦シール部4を形成し、これにより積層プラスチックフィルムFを筒状に形成する。
次に、ポンプその他の供給経路を介して供給される被包装物Mは、1対の縦シールロール3間を上方から下方へ貫通している充填ノズル5によって、筒状に形成された積層プラスチックフィルムFの内側へ連続的に充填される。その後、充填後の筒状に形成された積層プラスチックフィルムFは、長手方向に一定間隔をおいて配置された1対の第1横シールロール6a、6bによる挟持によって全幅にわたり加熱しつつ加圧されて、対面するシーラント層(A)同士が融着することで所定間隔ごとに横シール部7が形成される。その後、一対の第2横シールロール8a、8bで横シール部7を挟持して再加圧し、該シールを確実なものとし、これにより多数の包装体Wが積層プラスチックフィルムFの長手方向へつながった状態で連続的に製袋される。なお、包装体Wは、図に示すように第2横シールロール8の下流側に設けた切断機構12によって横シール部7の走行方向中央位置を切断することにより、一袋ずつもしくは複数袋ずつにしてもよい。
ここで、1対の第1横シールロール6a、6bは、図2の拡大側面図を示したように、相互に平行に対向配置され、互いに逆方向に回転駆動するように構成されている。各第1横シールロール6a、6bは、それぞれヒーター(図示しない)が内蔵されると共に、周方向に等間隔で軸線方向に延在するシール刃9が配設されている。なお、図では第1横シールロール6a、6bにそれぞれ4本のシール刃9が設けられているが、該シール刃9の本数は、シールピッチや充填速度等の包装条件に合わせて適宜変更することができる。
一対の第1横シールロール6a、6bは、同期して回転駆動し、これに基づいて対向するシール刃9同士が当接し合って第1横シールロール6a、6b間を走行する筒状の積層プラスチックフィルムFを挟持すると共に、当該位置を加熱および加圧して積層プラスチックフィルムFの内面側に位置する(相互に対面する)前記シーラント層(A)どうしを融着接合させることで横シール部7が形成される。
ここで、筒状の積層プラスチックフィルムF内に充填された被包装物Mは、横シールロール6a、6bの回転に伴い、シール刃9同士が当接することで上方へと絞り出され、該絞り出し位置の対面する積層プラスチックフィルムFのシーラント層(A)どうしが、シール刃9によって加熱および加圧されて融着接合し、上記のように横シール部7が形成されるが、液状の被包装物Mの一部が押し出されず、横シール部内に残留したままになると、横シールロール6a、6bによる加熱によって発泡し、ひぶくれが生じて横シール部7が剥離したり、隙間が生じて包装体W内に充填した被包装物Mが漏れ出すおそれがある。
とくに、液状の被包装物Mに、胡椒や胡麻などの固形物Sが含有されていると、その一部が押し出されず、図3の横シール部7の断面図(図2の一点鎖線部分を拡大して示す断面図)に示したように横シール部7内に噛み込んだまま残留してしまうことがある。
このように横シール部7内に固形物Sが残留したままになると、横シール部7内に未融着部分11が生じて隙間となり、該未融着部分11が通路となって包装体W内に充填した液状の被包装物Mが漏れ出すおそれや、固形物Sの残留位置の横シール部7の厚みが大きくなり、横シール部7表面にシワが発生してスローリークを招くようになる他、見栄えも悪くなってしまう。
これに対し、本発明では、以下に示す構成からなる積層プラスチックフィルムFを用いることで上記問題点を克服することができる。以下、横シール部7を形成する場合を一実施形態として説明するが、それに限定されるものではない。
図4は、本発明の充填包装方法に用いられる積層プラスチックフィルムFの構成を示す断面図である。図4に示すように、積層プラスチックフィルムFは、基本的にシーラント層(A)と基材層(B)とを有し、シーラント層(A)は、基材層(B)側からシーラント第1層(A1)およびシーラント第2層(A2)を具えている。
ここでシーラント層(A)は、総厚tが25〜75μmの範囲にある必要がある。総厚tが25μm未満であると、上記のようにヒートシールによって包装体とした際に、ヒートシール部が十分な破袋強度を得られなくなるおそれがある。一方、75μmを超えると強度は増すものの、コストの増加が問題となるほか、折り返して包装体とした場合、折り返し端において、外側となる基材層(B)に過剰な引張応力がかかり、破断するおそれがある。
シーラント第1層(A1)は、横シール部7の強度を担保するため、主たる構成物としてポリエチレンからなり、下記の特性を有するものである。
(a11)厚みtA1が15〜70μmの範囲にあること。
(a12)主たる構成物の密度が0.925g/cm以上であること。
(a13)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm1)が120℃以上であり、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下であること。
シーラント第1層(A1)の厚みtA1が、下限未満では、ヒートシールによって、包装体とした際にヒートシール部が十分な破袋強度を得られなくなるおそれがある。一方、上限超えでは、コスト増となるほか、折り返して包装体とした場合、折り返し端において、外側となる基材層(B)に過剰な引張応力がかかり、破断するおそれがある。
また、密度が0.925g/cm以上のポリエチレン、好ましくは、シングルサイト触媒(例えば、メタロセン触媒)を用いた直鎖状ポリエチレンをシーラント第1層(A1)の主たる構成物とすることにより、引っ張り強さに優れ、コシのある積層プラスチックフィルムとすることができ、耐熱性・耐寒性に優れた効果が得られる。ここで、「主たる」とは、シーラント第1層(A1)の50質量%を超えることをいう。さらに、密度が0.925〜0.940g/cmの範囲のポリエチレンをシーラント第1層(A1)の主たる構成物とすることが好ましい。たとえば、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いた直鎖状低密度ポリエチレンとして、プライムポリマー製のエボリュー(登録商標)SP3010や東ソー製のニポロン(登録商標)HF250Kなどが例示される。なお、あまりに密度を高くするとフィルムが脆くなってしまい、ピンホールの発生が懸念される。
シーラント第1層(A1)の主たる構成物は、示差走査熱量測定(DSC)で求めた融解ピーク温度(Tm1)が、120℃以上であり、融解ピークの半値全幅(Fw1)が1.5℃以下のポリエチレンである必要がある。ここで、示差走査熱量測定に用いる装置としては、METTLER TOLEDO社製の示差走査熱量測定装置「DSC1」が例示される。DSCで測定した融解ピークの半値全幅(Fw1)が1.5℃以下と狭い範囲にあることは、共重合体における分子量の分布が狭い範囲にあるだけでなく、たとえば、直鎖状ポリエチレンであるなど分子構造のばらつきが少ないことを示していると考えられる。シーラント第1層(A1)は、シーラント第2層(A2)よりも一対のヒートシールロール6a、6bによって、高温で加熱される(ヒートシールロール6a、6bによって基材層(B)側から加熱されるため、基材層(B)に近いシーラント第1層(A1)は、シーラント第2層(A2)に比べて高温で加熱される)ため、シーラント第2層(A2)が溶融したときでもシーラント第1層(A1)が溶融しないように、相対的に融点の高いポリエチレンとする。また、DSCピークの半値全幅を狭く管理し、ポリエチレンの分子量分布を狭く管理する必要がある。シーラント第1層(A1)の主たる構成物は、Tm1が120〜140℃の範囲にあって、Fw1が1.0〜1.5℃の範囲のポリエチレンがより好ましい。
シーラント第1層(A1)を、上記のような構成とすることにより、夾雑物シールする際に、従来品より高温域まで発泡によるシール不良を発生することなく、広い運転速度を選択することができる。
シーラント第1層(A1)の従たる構成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)であることが好ましい。さらに、シングルサイト触媒(例えば、メタロセン触媒)を用いた直鎖状ポリエチレンであることがより好ましい。また、主たる構成物の上記機能を害さないように、密度を0.915〜0.940g/cmの範囲とし、DSCで求めた融解ピーク温度(Tm1)が115〜140℃の範囲にあり、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下にあることが好ましい。従たる構成物のシーラント第1層(A1)中の組成は、合計で50質量%未満とし、好ましくは、35質量%以下である。
シーラント第1層(A1)の従たる構成物として、アイオノマー(IO)等を含んでもよい。また、積層したフィルム層間の応力を緩和する応力調整剤を含んでもよい。
シーラント第2層(A2)は、ヒートシールによってシーラント第1層(A1)より先に溶融し、横シール部7から夾雑物を排除する機能と、被包装物に固形物が含まれる場合に、一対のヒートシールロール6a、6bによる加圧によって粉砕された固形物を溶融したシーラント第2層(A2)の樹脂によって含浸および包囲する(粉砕含浸処理)機能を持つように、主たる構成物としてポリエチレンからなり、下記の特性を有するものである。
(a21)厚みtA2が3〜15μmの範囲にあること。
(a22)主たる構成物の密度が0.915g/cm以下であること。
(a23)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲にあり、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃の範囲にあること。
シーラント第2層(A2)の厚みtA2が、下限未満では、横シール部7の夾雑物除去と固形物の粉砕含浸処理の効果が得られない。一方、上限超えでは、溶融した樹脂による樹脂溜りが過剰に厚くなり引張応力がかかり、破断するおそれがある。また、シーラント第1層(A1)の厚みtA1とシーラント第2層(A2)の厚みtA2とが、0.10≦tA2/tA1≦0.75の関係にあることが好ましい。これは、シーラント層(A)の強度を維持しつつ、横シール部7の夾雑物除去と固形物の粉砕含浸処理作用を確保できるからである。
シーラント第2層(A2)は、密度が0.915g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)または超低密度ポリエチレン(VLDPE)を主たる構成物として用いることで、ヒートシール部で軟化、溶融し、夾雑物の除去効果と固形物の粉砕含浸処理効果とを得ると共に、内容物に直接接触する層として、耐寒性、耐水性や無機溶剤に対する耐薬品性、対衝撃性、成形性に優れる。たとえば、シングルサイト触媒(例えば、メタロセン触媒)を用いた直鎖状ポリエチレンや、マルチサイト触媒(チーグラー触媒)を用いたポリエチレンを用いることができ、東ソー製のニポロン(登録商標)HF210KやHF213Kなどが例示される。ここで、「主たる」とは、シーラント第2層(A2)の50質量%を超えることをいう。好ましくは、密度が、0.890〜0.915g/cmの範囲である。
シーラント第2層(A2)は、DSCで求めた融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲にあり、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃の範囲にある低密度ポリエチレン(LDPE)または超低密度ポリエチレン(VLDPE)である必要がある。それにより、上記夾雑物シール方法において、シールバー9による加熱、加圧によってシーラント層(A)のうちシーラント第2層(A2)が先に溶融・移動し、所望の効果が発揮されるからである。
シーラント第2層(A2)の従たる構成物としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)またはエチレン−アクリル酸共重合体(EAA)等を用いることができる。シーラント第2層(A2)の従たる構成物の組成は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、積層したフィルム層間の応力を緩和する応力調整剤を含んでもよい。
基材層(B)としては、一軸もしくは二軸延伸のポリエステル(PET)やナイロン樹脂(NY)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などにより構成することができるが、これに限定されるものではなく、所要に応じて適宜選択することができる。
また、積層プラスチックフィルムFには、基材層(B)とシーラント第1層(A1)との間に所要に応じて、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、金属アルミニウムまたはその酸化物の蒸着層、シリカ蒸着層等の金属または金属酸化物層や、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂層からなるガスバリア性・水蒸気バリア性の高い層からなる中間層等を積層させることができる。
とくに、夾雑物シール充填する被包装物が、シリコーンのように外気中に含まれる水分によって硬化する性質を有する場合には、3〜20μm程度の厚みのガスおよびその他のバリア性に優れるアルミニウム箔や、金属アルミニウム、その酸化物(アルミナ)またはシリカの蒸着層を積層させることが好ましく、この場合、積層プラスチックフィルムFの積層構造は、例えば、ポリエステル(PET)/アルミニウム箔/ポリエステル(PET)/シーラント第1層(A1)/シーラント第2層(A2)などからなる積層構造の積層プラスチックフィルムFとすることが好ましい。
積層プラスチックフィルムFの製造方法としては、ドライ積層法、押出積層法、共押出法等が挙げられるが、好ましくは、基材層(B)とシーラント第1層(A1)とは、ドライ積層法により接着して積層させ、シーラント第1層(A1)とシーラント第2層(A2)とは、押出積層法により積層し、とくにインフレーション法が好ましい。
次に、夾雑物シール方法において、被包装物Mが流動性を有する固形物や粉粒物、あるいは固形物を含む液状物または粘稠物からなる場合に行われる粉砕含浸処理方法について、被包装物Mが、固形物Sを含有する液状物からなる場合を代表例として説明する。
夾雑物シール方法により横シール部7を形成するにあたり、本発明の好ましい実施形態として、一対の横シールロール6a、6bのそれぞれの圧力を高圧に設定し、シール刃9同士の当接による挟圧によって横シール位置に残留する固形物Sを加圧する。
これにより、図5の模式図に示すように、横シール部7内に残留する固形物Sは粉砕され、その小片となった固形物自体に生じた割れ目や小粒化した固形物同士の隙間に、シール刃9による加熱および加圧によって、軟化し溶融した積層プラスチックフィルムFのシーラント層(A)の樹脂A’(少なくとも対面するシーラント第2層(A2)樹脂)が含浸(浸透)したり包囲したりする、いわゆる粉砕含浸処理が行われる。
このような粉砕含浸処理を行うことにより、前記横シール位置に介在する固形物Sは細かく粉砕されて、軟化−溶融したシーラント層(A)の樹脂(とくにシーラント第2層(A2)樹脂)内に分散して島状に点在し、図6に示すようにシーラント層(A)樹脂と共に融着接合して一体化した状態で横シール部7を形成することになる。その結果、横シール部7は、シール部内に残留する固形物Sによって、従来のような未融着部分(隙間)が発生するようなことがなく、シール不良(液漏れ)の発生を防止することができる。
上記粉砕含浸処理は、一対の横シールロール6a、6bのそれぞれの圧力が、充填包装機1に設けられる一般的な横シールロールの圧力の3倍以上10倍以下の、500kPa以上、好ましくは500〜2000kPa、より好ましくは600kPa〜1500kPaの高圧とすることが好ましい。このように横シールロール6a、6bの圧力を高圧とすることで、固形物が肉や野菜、果実のじょうのう膜等のような夾雑物シール方法によって絞り出し難い繊維状のものであっても、効果的に絞り出すことができると共に細かく粉砕され、粉砕含浸処理を行うことができる。
また、粉砕含浸処理においては、一対の横シールロール6a、6bによって、横シール位置に残留する固形物Sを粉砕し、該粉砕後の固形物Sが厚み方向の大きさで、重ね合わせた積層プラスチックフィルムFの、相互に対面し融着接合するシーラント層(A)のトータル厚み(2枚のシーラント層(A)の合計厚み)未満、好ましくは100μm以下で割れ目付き、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは5〜30μm程度の大きさの割れ目の多い小片となるようにすることが好ましい。これにより、固形物Sが残留している部分であっても、該固形物Sは軟化−溶融したシーラント層(A)の樹脂内に分散した状態で含浸され、横シール部7の厚みが増すことがなく、また固形物Sが非常に小さく、目視で確認できない程度であるため、横シール部7の美観を向上させることができる。なお、固形物の厚みが50μm超になると、横シール部7の、固形物Sの残留する部分の厚みが他の部分に対して大きくなり、横シール部7表面に凹凸ができたり、固形物Sの残留が目視で確認できたりするようになり好ましくない。
さらに、一対の横シールロール6a、6bによって上記のように強加圧下で、かつ横ヒートシール速度を従来よりも低速(好ましくは10m/min以下、より好ましくは2m/min〜6m/min)にすれば、横シール位置に残留する被包装物Mを効果的に絞り出し、横シール部7内に残留する固形物Sをわずかなものとすることができる。しかも、前記のように粉砕含浸処理によって、横シール部7内に通路となるような隙間や剥離等が生じることがなく、また横シール部7内に残存する固形物Sは、シーラント層(A)樹脂(とくにシーラント第2層(A2)樹脂)によって含浸あるいは包囲されているため、該固形物Sがシール部の端面に位置していても、該端面におけるカビの発生や微生物の増殖を抑制することができ、包装体の汚染のリスクを低減することができる。
また、粉砕含浸処理によれば、上記のように一対の横シールロール6a、6bによって横シール位置の積層プラスチックフィルムFを、高い圧力でかつ低速でヒートシールすることで、横シール部7では主として固形物Sが粉砕されることによる発熱が生じる。その結果、前記ヒートシール温度を従来よりも低い温度に設定することができると共に、前記粉砕含浸の処理がより効果的なものになる。
また、本発明では、一対の横シールロール6a、6bの少なくとも一方に設けたシール刃9表面に、図7に示すように(横シールロール6aを代表して示す)、横シールロール6aの軸線方向に延在して1以上の条溝10を設けることが好ましい。これによれば、シール刃9表面が、条溝10を介して回転方向に狭幅に区画されることになるため、条溝10を形成していないシール刃に比べて挟持力(押圧力)が高くなり、被包装物Mを効果的に絞り出すことができると共に、横シール位置に残存する固形物Sの粉砕含浸処理を効果的に行うことができ、また、横シール部7のシール強度を高めることもできる。
なお、条溝10の最大深さは、シール刃9どうしの当接によってヒートシールする重なり合う積層プラスチックフィルムFのトータル厚み以下である、300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下、より好ましくは40μm以上160μm以下とし、これによれば、重なり合う積層プラスチックフィルムFどうしを、条溝10部分において表裏からしっかりと挟持して加熱、加圧することができるため、上記効果を一層高めることができる。
上記実施形態(図1)では、三方シール形の包装体Wを一例として説明したが、包装体Wは四方シール形や背貼りシール形等、各種のものとすることができる。また、被包装物が液状や粘稠状からなる場合には、図8に示すように包装体Wの包装袋本体13の上部側縁または上端縁から突出するように逆止機能を有するフィルム状注出ノズル15を設けてもよく、この場合には、使用開始後においても包装体W内へ外気が進入するのを防止することができるため、袋内に細菌やゴミが進入することや、袋内でのカビ等の好気性菌の成長を抑制することができる。
なお、逆止機能を有するフィルム状注出ノズル15は、少なくともベース層と、該ベース層の両面に積層されたシーラント層とを具えるプラスチック製の積層フィルムからなり、該プラスチック製の積層フィルムを表裏に重ね合わせた状態で、基端部を除いて周縁部で熱融着することで中央部に注出通路が区画形成されたものである。
また、前記フィルム状注出ノズル15の逆止機能とは、包装体W内の被包装物の注出を、包装体Wの傾動または包装体Wへの押圧によって外気を吸い込むことなく行うと共に、包装体Wの起立復帰または包装体Wへの押圧の解除に基づく注出の停止に当っては、包装体W内の減圧雰囲気に伴う負圧に晒されて、注出ノズルの注出通路内面どうしが、注出通路の内表面に付着する(包装体W内から流入した)被包装物による薄膜の介在下で直ちに密着し、包装体W内への外気の侵入を阻止するセルフシール機能のことである。
被包装物Mが飲食品からなる場合には、包装体W内での微生物の増殖を抑制するため、被包装物MのpHを4.0未満とすることが好ましい。これは、飲食品の保存に関係のある微生物の種類によって発育可能なpH値が異なり、pHを4.0未満とすることで一般細菌や大腸菌、乳酸菌の増殖を抑制することができるためである。
さらに、被包装物Mは、70℃以上に加熱した状態で包装体W内に充填包装する(ホットパック)ことが好ましい。これによれば飲食品の保存に関係のある種々の微生物を殺菌することができるため、例えばpHを4.0未満に調整しても増殖を抑制することができないようなカビ(酸性生育限界値:pH:2.0、死滅温度70℃)や酵母(酸性生育限界値:pH:3.0、死滅温度60℃)であっても死滅させることができ、包装体W内の液状物の汚染リスクをより一層、低減することができる。
したがって、包装体Wにフィルム状注出ノズル15を設けることや、充填する被包装物MのpHを調整すること、さらには被包装物Mを70℃以上に加熱して充填包装することを充填する被包装物Mの種類によって種々選択することで、本発明の充填包装方法によって例えば、果物や野菜等を生のまま充填したとしても、包装体W内での微生物の増殖を効果的に抑制することができるようになり、従来よりも長期の保管が可能になる。
<実施例1>
(DSC測定方法)
積層プラスチックフィルムの融解ピーク温度(Tm)は、DSC(示差走査型熱量測定法)に従い、示差走査熱量測定装置「DSC1」(METTLER TOLEDO社製)によって測定した。試料約5mgをアルミニウム製の軽量サンプルパン(内径:約6.0mm)に入れ、室温から300℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融解ピーク温度とした。
(融解ピークの半値全幅)
上記DSCにより得られる吸熱ピーク全体のベースラインから吸熱ピークトップまでの高さの半量の位置におけるピーク幅(℃)を半値全幅とした。
(発明例)
基材層(B)として、15μmのナイロン樹脂(GL−NY)を用い、厚みtA1が25μmのシーラント第1層(A1)の主たる構成物として、密度が0.926g/cmおよびDSCで求めた融解ピーク温度が123℃かつ半値全幅が1.2℃の直鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)を67質量%含み、従たる構成物として、密度が0.919g/cmおよびDSCで求めた融解ピーク温度が119℃かつ半値全幅が1.2℃の直鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)を28%含み、他に応力調整剤を含むものを用い、厚みtA2が10μmのシーラント第2層(A2)の主たる構成物として、密度が0.909g/cmおよびDSCで求めた融解ピーク温度が102℃かつ半値全幅が12℃の超低密度ポリエチレン(VLDPE)を95質量%含み、他に応力調整剤を含むものを用いて、本発明に係る積層プラスチックフィルムEを積層した。ここで、シーラント層(A)の総厚tは35μmであり、シーラント第1層(A1)の厚みとシーラント第2層(A2)の厚みとの比tA2/tA1は0.4であった。
(比較例)
基材層(B)として、上記積層プラスチックフィルムEと同等の15μmのナイロンフィルム(GL−NY)を用い、厚みtA1が25μmのシーラント第1層(A1)の主たる構成物として、密度が0.930g/cmおよびDSCで求めた融解ピーク温度が126℃かつ半値全幅が2.5℃の低密度ポリエチレン(LDPE)を90質量%含み、他に応力調整剤を含むものを用い、厚みtA2が25μmのシーラント第2層(A2)の主たる構成物として、密度が0.900g/cmおよびDSCで求めた融解ピーク温度が96℃かつ半値全幅が13℃の低密度ポリエチレン(LDPE)を80質量%含み、他に応力調整剤を含むものを用いて、比較例に係る積層プラスチックフィルムRを積層した。ここで、シーラント層(A)の総厚tは50μmであり、シーラント第1層(A1)の厚みとシーラント第2層(A2)の厚みとの比tA2/tA1は1.0であった。
図9(a)に積層プラスチックフィルムEのDSC曲線を示し、図9(b)に積層プラスチックフィルムRのDSC曲線を示す。
積層プラスチックフィルムEおよび積層プラスチックフィルムRを用い、図1の充填包装機1を用いて、ライン速度(m/min)やヒートシール温度を変えて、夾雑物シールを施した結果をまとめて図10に示す。図10中、ハッチングした範囲でヒートシールが適正に施された。用いた液温度は30℃であった。図10(a)が積層プラスチックフィルムEの場合であり、温度下限未満では、シーラント第2層(A2)層が未溶融で接着不良となった、一方、温度上限超えでは、シールエッジ部でフィルムが切れて、製造不可となった。図10(b)が積層プラスチックフィルムRの場合であり、温度下限未満でシーラント第2層(A2)層が未溶融で接着不良となった。一方、温度上限超えでは、ヒートシール部に発泡が生じ、シール強度不足のシール不良が多発した。本発明範囲にある積層プラスチックフィルムEは、比較例であり従来の積層プラスチックフィルムRに比べ、このライン速度範囲で幅広いヒートシール温度が適用できることがわかる。特に、160〜190℃の範囲にヒートシール温度を設定すれば、ライン速度を変更しても、ヒートシール温度を変えることなく操業でき、効率的である。一方、積層プラスチックフィルムRの場合には、ライン速度ごとに最適なヒートシール温度の幅が狭く、ライン速度の変更に伴い、ヒートシール温度を厳格に管理しなければならない、煩雑さがある。
本発明は、飲食品、医薬品、化学品、化粧品等の各種の液状や粘稠状、粉粒状、固形状等の被包装物を充填包装する際に利用することができ、シリコーン等の高粘性の材料においても好適に利用することができる。
F 積層プラスチックフィルム
A シーラント層
A1 シーラント第1層
A2 シーラント第2層
B 基材層
M 被包装物
R フィルムロール
S 固形物
1 充填包装機
2 ガイドロッド
3 縦シールロール
4 縦シール部
5 充填ノズル
6a、6b 第1横シールロール
7 横シール部
8a、8b 第2横シールロール
9 シール刃
10 条溝
11 未融着部分
12 切断機構
13 包装袋本体
15 フィルム状注出ノズル

Claims (8)

  1. 少なくともシーラント層(A)と基材層(B)とを具える積層プラスチックフィルムを、該シーラント層(A)どうしが対面するように重ね合わせて縦シールと横シールとを行うことによって形成される包装袋内に、被包装物を連続して充填包装する方法において、
    前記シーラント層(A)は、最も基材層(B)側にシーラント第1層(A1)を具え、そして最も被包装物側にシーラント第2層(A2)を具える少なくとも2層からなり、かつ総厚tが25〜75μmのもので構成し、
    前記シーラント第1層(A1)を、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
    (a11)厚みtA1が15〜70μm、
    (a12)主たる構成物の密度が0.925g/cm以上、
    (a13)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm1)が120℃以上、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下、のものとし、
    前記シーラント第2層(A2)を、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
    (a21)厚みtA2が3〜15μmの範囲、
    (a22)主たる構成物の密度が0.915g/cm以下、
    (a23)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃、のものとして、
    前記積層プラスチックフィルムの所定の位置を、対向配置された一対の縦・横シールロールによって挟持して加熱および加圧することにより、少なくとも前記シーラント第2層(A2)を軟化−溶融させて、対面する前記シーラント層(A)どうしを融着接合させて縦・横シールを行うことを特徴とする積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法。
  2. 前記シーラント第1層(A1)の厚みtA1と前記シーラント第2層(A2)の厚みtA2とが、0.10≦tA2/tA1≦0.75の関係になるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法。
  3. 前記包装袋内に固形物を含む被包装物を充填するに際し、一対の横シールロールによるヒートシールによって、ヒートシール位置に残留する固形物を粉砕すると同時に、粉砕された固形物どうしの隙間および当該固形物に発生した割れ目内に、軟化−溶融した前記シーラント層(A)の樹脂を含浸させる粉砕含浸処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の積層プラスチックフィルムからなる包装袋内への被包装物の充填包装方法。
  4. 前記一対の前記横シールロールどうしによる横シールを、500kPa以上の強加圧下で行うことを特徴とする請求項3に記載の包装袋内への被包装物の充填包装方法。
  5. 少なくともシーラント層(A)と基材層(B)とを具える積層プラスチックフィルムを、該シーラント層(A)どうしが対面するように重ね合わせて縦シールと横シールとを行うことによって形成される包装袋内に、被包装物が充填包装される包装体であって、
    前記シーラント層(A)は、最も基材層(B)側にシーラント第1層(A1)を具え、そして最も被包装物側にシーラント第2層(A2)を具える少なくとも2層からなり、かつ総厚t が25〜75μmのものからなり、
    前記シーラント第1層(A1)は、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
    (a11)厚みt A1 が15〜70μm、
    (a12)主たる構成物の密度が0.925g/cm 以上、
    (a13)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm1)が120℃以上、その半値全幅(Fw1)が1.5℃以下、のものであり、
    前記シーラント第2層(A2)は、主たる構成物としてポリエチレンを含み、
    (a21)厚みt A2 が3〜15μmの範囲、
    (a22)主たる構成物の密度が0.915g/cm 以下、
    (a23)DSCで求めた主たる構成物の融解ピーク温度(Tm2)が95〜105℃の範囲、その半値全幅(Fw2)が8〜15℃、のものであり、
    前記縦シール部分および横シール部分は、少なくとも前記シーラント第2層(A2)が軟化−溶融されて、対面する前記シーラント層(A)どうしが融着接合されたものからなることを特徴とする包装体。
  6. 前記シーラント第1層(A1)の厚みt A1 と前記シーラント第2層(A2)の厚みt A2 とが、0.10≦t A2 /t A1 ≦0.75の関係を有することを特徴とする請求項5に記載の包装体。
  7. 前記積層プラスチックフィルムは、前記シーラント第1層(A1)と前記基材層(B)との間に、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、シリカ蒸着層およびエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層から選ばれた1以上を有することを特徴とする請求項5または6に記載の包装体。
  8. ヒートシール位置に被包装物に含有される固形物が残留しているとき、この固形物は、粉砕されていると共に、その粉砕された固形物どうしの隙間および当該固形物に発生した割れ目内に、該ヒートシールによって軟化−溶融する前記シーラント層(A)の樹脂が含浸されてシール部内に介在していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の包装体。
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