JP3958465B2 - 包装用フィルムのヒートシール方法およびそれに用いるヒートシール刃 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、包装用フィルム、多くは包装用積層フィルムの、相互に対向する熱融着層を加熱および加圧下でヒートシールするヒートシール方法およびそれに用いるヒートシール刃に関し、とくには、練りわさび、練りからし、たらこ、ソースあるいは味噌等のように固形分の混じる粘稠物または液体の包装に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、固形分を含む練りわさびを包装するに当たって、包装用フィルムの熱融着層間に練りわさびを挟み込んだ状態で、対をなすヒートシール刃により、いわゆる夾雑物シールを行う場合、従来は、挟み込んだ練りわさびの、ヒートシール部の前方もしくは後方または側方への迅速にして円滑な完全排出が実質的に不可能であって、熱融着層の相互を十分に融着させることができず、所要のヒートシール強度を実現し得ないことから、従来の自動充填包装では、夾雑物シールを行うことのないように、包装用フィルムに縦および横方向の所要のヒートシールを予め施した後に、ヒートシールされたフィルム間へわさびを間欠的に充填することとしており、包装用フィルムにヒートシールを施す間は、わさびの充填を停止することが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、このような従来技術にあっては、被包装物を間欠充填することに起因して、包装作業能率が自ずと低くなり、練りわさび等の小袋包装についていえば、1分当たりの包装能力は60〜80袋程度が限界であった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの直接的な目的は、固形分の混じった被包装物を充填包装するに際して、夾雑物シールを行ってなお、夾雑物を、ヒートシール強度の確保に影響しない部分へ迅速かつ円滑に、しかも完全に排除することができる包装用フィルムのヒートシール方法およびそれに用いるヒートシール刃を提供するにあり、その結果として、固形分を含まない液体の場合と同様の、被包装物の連続充填を可能として、包装作業能率を従来技術の3〜5倍程度にまで向上させるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の、包装用フィルムのヒートシール方法は、包装用フィルムの、互いに対向する熱融着層を、対をなすヒートシール刃による加熱および加圧下でヒートシールするに当たって、熱伝導性にすぐれる一対のヒートシール刃の少なくとも一方に、刃幅方向に間隔をおく突条および条溝を交互に設け、不完全融着部を形成する条溝に、包装用フィルムに外部圧力を及ぼす、ヒートシール刃それ自体に比して熱伝導率の小さい物質を貼付けもしくは埋め込んでなるヒートシール刃を用いることにより、ヒートシール部の長さ方向に直線状、折線状、曲線状等の態様で延びて、両熱融着層が十分に融着する完全融着域と、完全融着域から押し出された夾雑物を内包した状態で熱融着層がわずかに融着する不完全融着域とのそれぞれを、ヒートシール部の幅方向に交互に形成するものである。
【0005】
このヒートシール方法では、相互に対向する熱融着層間に、たとえば練りわさびを挟み込んだ状態で夾雑物シールを行うに際し、下限値が0.45mm程度の狭幅の完全融着域に存在する夾雑物を、そこでの熱融着層の溶融下での外部加圧に基づき、夾雑物の含有水分が水蒸気になるより先に、熱融着層の一部とともに、隣接する不完全融着域へ迅速かつ円滑に、しかも完全に押し出すことで、熱融着層の、上記完全融着域での融着を確実に、かつ十分に行わせることができる。
【0006】
しかるに、ヒートシール部の幅の全体にわたる熱融着層の十分な融着を企図する、従来技術における夾雑物シールでは、通常は10〜15mm程度の幅のヒートシール部の、極端には一端から他端まで、約10〜15mmの長い距離にわたって夾雑物を完全に、かつ迅速に押し退け排除することは、実質的に不可能であって、両熱融着層間には、それらの融着を直接的に妨げる夾雑物が常に分散残留等することになるため、熱融着層相互の十分強固な融着を実現することができず、しかも、通常は、残留夾雑物の少なくとも一部が、ヒートシール刃から熱融着層へ伝導される熱によって、またとくに、回転シールロールによるヒートシールにあっては、それに加えて、ヒートシール刃による加熱に基づいて熱融着層内を伝わる伝導熱によって100 ℃以上の温度に加熱されて、夾雑物の含有水分が水蒸気となり、その水分が、常圧下では約1600倍の体積に膨張されることから、熱融着層の融着が妨げられるのみならず、一旦融着した融着面までもが剥離されることになる。なお、このような水蒸気は、包装袋の冷却によって元体積に復するので、その後の正確なシール不良検品は極めて困難である。
【0007】
ところで、この発明の方法における不完全融着域では、熱融着層はヒートシール刃からの熱の伝達をわずかしか、またはほとんど受けることがなく、これがため、不完全融着域の熱融着層は、熱融着層内を伝わる伝導熱を受けてなお、それらが完全融着するほどに高温に加熱されることがなく、不完全融着域へ押し出された夾雑物もまた、水蒸気を生ずるほどに加熱されることがない。
従って、不完全融着域へ押し出された夾雑物の含有水分が、前記完全融着域での熱融着層の融着を妨げることはない。
【0008】
なお、不完全融着域の熱融着層は、完全融着域でヒートシール刃から熱融着層に伝達された熱の層内伝導と、ヒートシール刃からのわずかな伝達熱とに基づいて幾分溶融することになり、これにより、両熱融着層は、夾雑物を内包した状態で不完全ながらも融着することになる。従って、包装小袋の相互を、不完全融着部と対応する位置で切断分離することがあっても、その切断個所から夾雑物がこぼれ落ちたり、にじみ出したりすることはない。
【0009】
そして、この方法においてより好ましくは、通常は一のヒートシール部に複数本ずつ延在することになる完全融着部および不完全融着部のうち、完全融着部を、ヒートシール部の幅方向の両側部に形成する。
これはたとえば、巻取りロールから長尺の包装用フィルムを繰り出し走行させながら、夾雑物の連続的な充填包装を行う場合には、その夾雑物を挟み込んでシールを行うのは一般的には横ヒートシール刃であり、この横ヒートシール刃は、帯状に連続する先行包装袋と後行包装袋との境界を区画すべくも機能するものであるので、ヒートシール刃をこのように用いる場合には、ヒートシール部の幅方向の両側部に完全融着部を形成することで、先行包装袋の、包装物収納スペースの終端位置および、後行包装袋の、包装物収納スペースの始端位置のそれぞれを明確に特定し、かつ確実に区画することができる。
【0010】
また、この発明の、包装用フィルムのヒートシール刃は、相互に対をなし、包装用フィルムの、互いに対向する熱融着層を加熱および加圧してヒートシールするものであり、熱伝導性にすぐれる一対のヒートシール刃の少なくとも一方に、刃幅方向に間隔をおく突条および条溝を交互に設け、不完全融着部を形成する条溝に、包装用フィルムに外部圧力を及ぼす、ヒートシール刃それ自体に比して熱伝導率の小さい物質を貼付けもしくは埋め込んだものである。
【0011】
加熱した一対のヒートシール刃で、包装用フィルム、ひいては、熱融着層を押圧した場合、押圧力の高い部分では、ヒートシール刃から熱融着層への熱伝導率が高くなり、その熱融着層を短時間のうちに高い温度に加熱することができるのに対し、押圧力が低い部分では、熱伝導率が小さくなって、熱融着層の加熱効率が低くなる。
そこでここでは、ヒートシール刃に、熱融着層への熱伝導率を高めて、前述した完全融着域の形成に寄与する突条と、熱融着層への熱伝導率を小さくして、前述した不完全融着部の形成に寄与する条溝とを交互に設け、これにより、先に述べたように、夾雑物の、完全融着域から不完全融着域への迅速にして円滑な完全押し出しを担保する。
加えて、このヒートシール刃によれば、それにてヒートシールした部分の幅寸法の熱収縮量を従来技術に比して約5%程度低減できるので、たとえばこのヒートシール刃を横ヒートシール刃として適用した場合、連続帯状包装袋に対する事後の切断、ノッチ加工等の処理のためのピッチ誤差に及ぼす影響を十分小さくすることができる。
【0012】
そして、かかるヒートシール刃では、好ましくは突条幅を約0.45〜4mmとするとともに、条溝幅を約1〜20mm、より好ましくは1〜5mmとする。
ここで、突条幅を約0.45mm以上とするのは、前記完全融着域の幅が約0.45mm以上である場合には、一般的な小袋包装に必要な融着強度を十分に確保できることが確認されていることによるものであり (〔No.95-5 〕日本機械学会材料力学部門講演会 講演論文集 (Vol.A)〔1995.8.23 〜24・盛岡〕「507 液体包装袋に用いるラミネートフィルムの部分的補強効果に関する研究」参照) 、一方、それを約4mm以下とするのは、夾雑物の、融着域からの迅速にして円滑な押し出しを十分に担保するためである。
【0013】
また、条溝幅を約1mm以上とするのは、ヒートシール刃の突条からの輻射熱に起因する、不完全融着域熱融着層の過度の加熱を防止するとともに、その熱融着層内を伝わる伝導熱量の、ヒートシール刃による熱融着層の加熱に熱量累積されるのを防止するためであり、それを約20mm以下とするのは、限られた幅のヒートシール部の少なくとも両側部には完全融着部を形成する必要があることによる。
【0014】
ところで、回転ロールシール方式の横シールロールに用いるヒートシール刃では、一般的には外接円直径が約90mmであり、このようなヒートシール刃は、ヒートシールに際して、加熱加圧下で、包装用フィルムに10〜30μm程度くい込むことになり、このときのヒートシール刃と包装用フィルムとの接触長さは約2.7 〜5.6mm となる。従って、条溝幅を5mmを超えるものとした場合には、ヒートシール刃と包装用フィルムとの、所要の接触長さを確保することができず、ヒートシール刃の突条による押圧力を包装用フィルムに十分に及ぼし得ない個所が存在することになって、完全融着域の熱融着層間に夾雑物が残留するおそれが高くなる。
それ故に、回転ロールシール方式の横シールロールに用いるヒートシール刃にあっては、条溝幅の上限を5mm程度とすることが好ましい。
【0015】
即ち、上記突条および条溝のそれぞれは、ヒートシール刃によるヒートシールに際し、フィルム押圧力の変化 (強弱) をもたらすことになり、その結果として、ヒートシール部には間欠的な温度差が生じ、そのために十分にヒートシールされる完全融着部と、温度が低い (液体の沸騰温度よりも低い温度, 約100 ℃以下) 部位とが交互に形成されるので、十分なヒートシール部位 (完全融着域) をもって袋の封止部を構成し、この一方で、若干温度が低いために水分の蒸発による発泡を防止する程度の簡易接着的な部位, 即ち不完全融着域をもって夾雑物の残留を有効に許容することができる。
【0016】
さらに好ましくは、各条溝の最大深さを0.5 mm以上として、ヒートシール刃の条溝からの輻射熱の影響を十分に除去する。なおここで、「最大深さ」とするのは、条溝底面が曲面状、テーパ面状等をなす場合を考慮したものである。
【0017】
また好ましくは、ヒートシール刃の幅方向の両側部を突条とすることで、前述したように、ヒートシール部の幅方向の両側部への完全融着域の形成を可能とする。
【0018】
ところで、以上に述べたようなヒートシール刃の条溝には、たとえば、セラミック、ふっ素樹脂、ゴム等の、ヒートシール刃それ自身より熱伝導率の小さい物質を貼り付けもしくは埋めることとする。これによれば、条溝部分から包装用フィルムへの輻射熱その他の伝達をより積極的に防止して、ヒートシール時の、熱融着層の所要温度差をより確実に実現することができる。また、この場合には、条溝の底部の底上げによって、不完全融着域にても包装用フィルムに外部圧力を及ぼすことができるので、完全融着域で溶融した熱融着層が不完全融着域へ余剰に流入するのを阻止して、完全融着域の熱融着層が薄くなりすぎることに起因する融着強度の低下のおそれを有効に除去することができる。なおここで、ヒートシール刃と略同等の硬度を持ち、かつそれより熱伝導率の小さいセラミックス等を条溝に貼り付けもしくは埋め込んだときは、ヒートシール刃の局部的な摩耗を防止してヒートシール刃の耐久性を高めることができる。
【0019】
また、ヒートシール刃の突条表面は、全体として一の共通の平坦面内に位置させること、または一の共通の円弧面内に位置させることができる。
前者のヒートシール刃は、間欠シール方式である、いわゆる熱板シール方式に適用して好適であり、また後者のヒートシール刃は回転ロールシール方式に適用して好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。図1は、この発明のヒートシール刃の基本構造を、対をなす平板状ヒートシール刃の一方について示す断面斜視図であり、他方のヒートシール刃の刃面は、図に示すものと対称形状とすることの他、単純な平坦面形状とすることもできる。ここでは、熱伝導性にすぐれる、たとえば真鍮製のヒートシール刃1の刃面に、刃幅方向に間隔をおいて、刃長方向へ連続して延びる突条2および条溝3を交互に形成し、好ましくは刃面の両側部に突条2を配設する。
【0021】
またここでは、突条2の幅を約0.45〜4mmの範囲とするとともに、条溝3の幅を約1〜5mmの範囲とする。なお、条溝3の横断面形状は、図1(a) に示すように、溝側壁および底壁の全体が曲線となる形状の他、底壁だけが曲線状もしくはテーパ状となる形状とすることもでき、また、図1(b)に示すように直角壁となる形状等とすることもできるが、いずれにあっても、条溝3の最大深さは0.5 mm以上とすることが好ましい。
【0022】
図2は、ヒートシール刃の実施形態を示す図であり、これは、ヒートシール刃1に上述のようにして形成した条溝3に、ヒートシール刃それ自体より熱伝導率の小さい物質、たとえばふっ素樹脂4を埋め込み、その表面を突条2と同一の、もしくはそれより幾分低いレベルに位置させたものである。
【0023】
図3は、このように構成してなるヒートシール刃を用い、夾雑物の例として練りわさびを用いてヒートシールを行った場合の、ヒートシール部の横断面を約600倍に拡大した状態で示す模式図であり、図の黒色部分は、包装用フィルムの熱融着層間に存在するわさびを示す。
ここでは、包装用フィルムとして、15μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムからなるベースフィルム層に、リニアロウデンシティポリエチレンからなる50μm厚みの熱融着層を積層したものを用い、シール条件を、ヒートシール刃の加熱温度を160℃、加圧力を2.0 kgf/cm2 、加圧時間を1.0 秒とした。
また、対をなすヒートシール刃は、一方を図1(a) に示す形状とするとともに、突条幅を1.0 mm、条溝幅を1.5 mm、条溝の最大深さを0.5 mmとし、他方を平坦面ヒートシール刃とした。
【0024】
図に示すところによれば、熱融着層間に挟まれた練りわさびは、図に仮想線で示すヒートシール刃1の突条2による加熱および加圧下で、熱融着層の相互が十分に融着される完全融着域5から不完全融着域6へ、一部の熱融着樹脂とともにほぼ完全に押し退けられ、これにより、その完全融着域5にてはすぐれたヒートシールが行われていることが明らかである。この一方で、不完全融着域6へ押し込まれた練りわさびは、熱融着層が、条溝3の作用下で、ヒートシール刃1から少量の熱量を供給されるにすぎないことにより、熱融着層相互のわずかな融着だけが行われるその不完全融着域6内に封じ込められることになる。
しかもここでは、不完全融着域6内のわさびは、ヒートシール工程の終了時点においてなお、蒸気発生温度までは加熱されないので、わさびからの発生蒸気に起因する融着の剥離は、不完全融着域6および完全融着域5のいずれにも発生しない。
【0025】
ところで、このようなヒートシール工程では、突条2による加熱および加圧によって十分に溶融される、完全融着域5の熱融着層の一部は、加圧力の作用下で、わさびとともに不完全融着域6内へ流入することから、図示のように、完全融着域5におけるフィルムの総厚みは、不完全融着域6のそれよりも薄くなる。
【0026】
図4は、一方のヒートシール刃を、図2に示す構造を有するものとし、他方を平坦面ヒートシール刃とした場合の、ヒートシール部の横断面を示す同様の図であり、包装用フィルムの構成およびヒートシール条件はともに先に述べたところと同一としたものである。
なお、一方のヒートシール刃の突条幅および条溝幅はそれぞれ1.0 mmおよび2.0 mmとし、また、条溝深さを2.0 mmとし、この溝内に、ヒートシール刃よりも熱伝導率の小さいふっ素樹脂を、表面が面一になるように埋め込んで、ヒートシール部に温度差が出るようにして、完全および不完全融着域を交互に形成した。
この場合にもまた、完全融着域5からは夾雑物としての練りわさびが十分に排除され、しかもそのわさびは、完全融着域5および不完全融着域6のいずれの領域にても水蒸気を発生しないことから、完全融着域5は十分な強度の下にヒートシールされることになる。
【0027】
ちなみに、図5に示す、ヒートシール部の拡大横断面図は、対をなすヒートシール刃をともに平坦面としたものであり、これによれば、対向する熱融着層の間の、夾雑物としての練りわさびを、ヒートシール刃をもって十分に押し退け排除できないことにより、またその練りわさびが、ヒートシール部の少なくとも一部にて100℃以上に加熱されて含有水分を水蒸気とされること等により、ヒートシール部のほぼ全体にわたって、両熱融着層の融着が、図示のように妨げられ、または剥離されることになる。
【0028】
ところで、以上のようなそれぞれのヒートシール態様の下で、ヒートシール刃の加熱温度および加圧圧力をパラメータとして夾雑物が無い場合およびある場合のそれぞれにつき、ヒートシール部の融着強度、いいかえればヒートシール強度を測定したところ、表1に示す通りとなった。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1によれば、この発明に係るヒートシール刃は、夾雑物シールに当たって、練りわさび用の包装小袋に一般的に要求される2.0kgf/cm2 以上のヒートシール強度を十分に実現し得ることが明らかであり、そのヒートシール強度は、条溝内にふっ素樹脂を配設して、熱融着層の加熱をより有効に抑制した場合に、ふっ素樹脂を配設しない場合に比して一層高まることがわかる。
【0031】
図6は、この発明の他の実施形態を示す図であり、これは、回転ロールシール方式の
横シールロールに用いるヒートシール刃である。
このヒートシール刃11は、回転ロール12の周方向に所定の間隔をおいて、それの軸線方向に延在させて配設されるものであり、ここにおけるこのヒートシール刃11は、円弧状をなす刃面に、先に述べたと同様の幅寸法を有する突条13および条溝14のそれぞれを交互に形成し、そして、その刃面の両側部に突条13を位置させたものである。
ここで、図6(a) に示す条溝14は、横断面形状を曲線状とし、また図6(b)に示す条溝14は角形状とし、それらのいずれも、条溝14に、ヒートシール刃それ自身より熱伝導率の小さい物質、より好ましくは断熱材料15を埋め込んでいる。
そして、これらのヒートシール刃11をもってしてもまた、包装用フィルムの熱融着層間に練りわさび等を挟み込んだ夾雑物シールに対して前述したと同様の作用効果をもたらすことができる。
【0032】
図7は、先に述べた断熱材料または、熱伝導率の小さい物質の横断面形状を変更したものであり、これは、条溝14の各壁部から断熱材料15への熱伝達率の一層の低減をもたらすべく、断熱材料15と条溝壁面との間により多くのスペース、いいかえれば空気断熱層を確保したものである。これによれば、断熱材料15を介して包装用フィルム、ひいては、それの熱融着層に、伝導もしくは輻射によって伝達される熱量をより一層低減できる利点があり、このことは図2に示す場合についてもまた同様である。
【0033】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、固形分の混じった被包装物を夾雑物シールしてなお、包装用フィルムの十分なヒートシール強度をもたらすことができる。従って、かかる被包装物を間欠充填に代えて連続充填することが可能となり、その結果として、被包装物の充填包装作業能率を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るヒートシール刃の基本構造を示す断面斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態を示す断面斜視図である。
【図3】ヒートシール部の拡大横断面図である。
【図4】他のヒートシール部の拡大横断面図である。
【図5】従来のヒートシール刃を用いたヒートシール部の拡大横断面図である。
【図6】ヒートシール刃の他の実施形態を示す横断面図である。
【図7】断熱材料の形状の変更例を示す横断面図である。
Claims (8)
- 包装用フィルムの、互いに対向する熱融着層を、対をなすヒートシール刃による加熱および加圧下でヒートシールするに当たり、
熱伝導性にすぐれる一対のヒートシール刃の少なくとも一方に、刃幅方向に間隔をおく突条および条溝を交互に設け、不完全融着部を形成する条溝に、包装用フィルムに外部圧力を及ぼす、ヒートシール刃それ自体に比して熱伝導率の小さい物質を貼付けもしくは埋め込んでなるヒートシール刃を用いることにより、
ヒートシール部の長さ方向に延びて、両熱融着層が十分に融着する完全融着域と、完全融着域から押し出された夾雑物を内包した状態で熱融着層がわずかに融着する不完全融着域とを、ヒートシール部の幅方向に交互に形成することを特徴とする包装用フィルムのヒートシール方法。 - ヒートシール部の幅方向の両側部に完全融着域を形成する請求項1に記載の包装用フィルムのヒートシール方法。
- 相互に対をなし、包装用フィルムの、互いに対向する熱融着層を加熱および加圧してヒートシールするヒートシール刃であり、
熱伝導性にすぐれる一対のヒートシール刃の少なくとも一方に、刃幅方向に間隔をおく突条および条溝を交互に設け、不完全融着部を形成する条溝に、包装用フィルムに外部圧力を及ぼす、ヒートシール刃それ自体に比して熱伝導率の小さい物質を貼付けもしくは埋め込んでなる包装用フィルムのヒートシールに用いるヒートシール刃。 - 突条幅を約0.45〜4mmとするとともに、条溝幅を約1〜20mmとしてなる請求項3に記載のヒートシール刃。
- 条溝の最大深さを0.5mm以上としてなる請求項3もしくは4に記載のヒートシール刃。
- ヒートシール刃の幅方向の両側部を突条としてなる請求項3〜5のいずれかに記載のヒートシール刃。
- ヒートシール刃のそれぞれの突条表面を一の共通の平坦面内に位置させてなる請求項3〜6のいずれかに記載のヒートシール刃。
- ヒートシール刃のそれぞれの突条表面を一の共通の円弧面内に位置させてなる請求項3〜6のいずれかに記載のヒートシール刃。
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