JP6858344B2 - タンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
このような構成によれば、薄板状の金属板を原材料として、種々の容量の貯湯タンクを比較的廉価に製造することが可能である。
ここで、従来においては、鏡板と胴板とを接合させるべく環状溶接部を設ける場合、その始点・終点領域を胴板溶接部との相対的な関係においてどのような位置に設けるかについては、なんら考慮されていないのが実情である。このため、環状溶接部の始点・終点領域は、胴板溶接部から比較的近い位置に設けられている。
の溶接品質がより低下することとなり、この部分に孔あきなどの溶接不良が一層発生し易くなる。このような溶接不良も、貯湯タンクの耐久性を低下させる大きな要因となる。
ここで、「胴板溶接部とは反対側の半分領域」とは、たとえば図4に示す領域Aが相当する。同図は、タンク本体Taの軸長方向視の断面図(平面断面図)である。同図において、領域Aは、胴板溶接部Waの位置を角度0°とした上で、タンク本体Taの中心O周りの一定方向に角度θを増加させていく場合において、この角度θが90°〜270°の範囲である。
また、本発明の第2の側面により提供されるタンクは、軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板と、この胴板の端部に開口周縁部が嵌合または突き合わせ状態で接触し、かつこの接触部分に設けられた環状溶接部を介して前記胴板に接合されている椀状の鏡板と、を具備して構成されたタンク本体を有する、タンクであって、前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置する構成とされており、前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記始点・終点領域の両側領域の双方に、跨がるようにして接合された補強部材を、さらに備えており、前記補強部材は、前記タンク本体を支持する脚部であることを特徴としている。
すなわち、前記構成においては、胴板と鏡板とを接合するための環状溶接部のうち、溶接の品質が低くなる可能性が高い始点・終点領域は、胴板溶接部から遠ざけられた配置とされている。このため、本発明によれば、従来技術とは異なり、タンク本体内に湯水などの流体が流入出することによってタンク本体の内圧が変化する際に、胴板溶接部付近が比較的大きく変形する現象を生じたとしても、その影響を環状溶接部の始点・終点領域に及び難くし、この始点・終点領域に応力集中を生じないようにすることが可能となる。その結果、環状溶接部の始点・終点領域に亀裂などの欠陥を発生し難くし、タンクの耐久性を高めることができる。
さらに、環状溶接部の始点・終点領域が溶接歪みの大きい胴板溶接部から遠ざけられた配置とされていれば、従来技術とは異なり、環状溶接部の始点・終点領域に相当する箇所に溶接を施す際に、胴板と鏡板とを適切に密接させることが困難になるといったことも解消される。このため、環状溶接部の始点・終点領域の溶接品質が低下することを抑制し、この部分に孔あき(溶け落ち)などの溶接不良を生じ難くすることもできる。その結果、タンクの耐久性を一層高めることができる。
さらに、補強部材を利用した補強作用により、タンク本体の胴板溶接部付近がタンク本体の内圧の変化に伴って大きく変形しないようにして、環状溶接部の始点・終点領域の付近が、胴板溶接部付近の影響を受けて大きく変形することを一層抑制し、始点・終点領域に応力集中を生じ難くすることができ、または環状溶接部の始点・終点領域の付近を補強部材によって補強することができる。その結果、始点・終点領域に亀裂などの欠陥が生じることをより適切に防止することが可能となる。
さらに、タンクの脚部を前記した補強部材として兼用しているため、その構成は合理的であり、部品点数の増加などを適切に解消することができる。
接部の始点・終点領域に及ぶことを防止するのに最適化され、または最適化に近いものとなる。したがって、タンクの耐久性を高める上で、より好ましいものとなる。
本発明の第4の側面により提供されるタンクの製造方法は、軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板の端部と、椀状の鏡板の開口周縁部とを嵌合または突き合わせ状態で接触させ、かつこの接触部分に環状溶接部を設けることにより、前記胴板と前記鏡板とを接合してタンク本体を形成するための溶接工程を、有している、タンクの製造方法であって、前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置するように設ける一方、前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記始点・終点領域の両側領域の双方に跨がるようにして補強部材を接合する工程を、さらに有しており、前記補強部材として、前記タンク本体を支持する脚部を用いることを特徴としている。
いる。
相当する箇所において、胴板1と鏡板2とを適切に接触させることができず、これらの相互間に溶接不良の原因となる隙間が発生し、始点・終点領域Pの溶接の質が低下する虞がある。本実施形態によれば、そのような虞も適切に解消することが可能である。
このような構成によれば、ブラケット部30は、前記実施形態とは異なり、胴板溶接部Waの実際の両側領域AR1には接合されていないが、鏡板2と胴板1とは接合されて一体化されているため、図3に示す構成であっても、胴板溶接部Waの下端付近Sbが容易に変形しないように補強することが可能である。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、補強部材(脚部3A)を用いることによって、タンク本体の内圧変化時における胴板溶接部付近の変形を抑制するための補強を図る場合、この補強部材は、必ずしも胴板溶接部の実際の両側領域に接合されていなくてもよく、要は、タンク本体の軸長方向視において、胴板溶接部の両側領域に相当する部分に接合された配置にあればよい。
本発明に係るタンクは、給湯装置用の貯湯タンクに限らず、これ以外の用途に用いられるタンクとして構成することができる。タンク本体内に入れられる流体は、湯水に限らず、これ以外の液体、気体などの流体であってもよい。したがって、タンクの材質もステンレスなどに限定されない。
Ta タンク本体
Wa 胴板溶接部
Wb 環状溶接部
P 始点・終点領域(環状溶接部の)
AR1 両側領域(胴板溶接部の)
AR2 両側領域(環状溶接部の)
1 胴板
12 周壁部
2 鏡板
20 開口周縁部
3(3A,3B) 脚部(補強部材)
Claims (5)
- 軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板と、
この胴板の端部に開口周縁部が嵌合または突き合わせ状態で接触し、かつこの接触部分に設けられた環状溶接部を介して前記胴板に接合されている椀状の鏡板と、
を具備して構成されたタンク本体を有する、タンクであって、
前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置する構成とされており、
前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記胴板溶接部の両側領域の双方に、跨がるようにして接合された補強部材を、さらに備えており、
前記補強部材は、前記タンク本体を支持する脚部であることを特徴とする、タンク。 - 軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板と、
この胴板の端部に開口周縁部が嵌合または突き合わせ状態で接触し、かつこの接触部分に設けられた環状溶接部を介して前記胴板に接合されている椀状の鏡板と、
を具備して構成されたタンク本体を有する、タンクであって、
前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置する構成とされており、
前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記始点・終点領域の両側領域の双方に、跨がるようにして接合された補強部材を、さらに備えており、
前記補強部材は、前記タンク本体を支持する脚部であることを特徴とする、タンク。 - 請求項1または2に記載のタンクであって、
前記環状溶接部の始点・終点領域は、前記タンク本体の中心を挟んで前記胴板溶接部とは略正反対の位置に設けられている、タンク。 - 軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板の端部と、椀状の鏡板の開口周縁部とを嵌合または突き合わせ状態で接触させ、かつこの接触部分に環状溶接部を設けることにより、前記胴板と前記鏡板とを接合してタンク本体を形成するための溶接工程を、有している、タンクの製造方法であって、
前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置するように設ける一方、
前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記胴板溶接部の両側領域の双方に跨がるようにして補強部材を接合する工程を、さらに有しており、
前記補強部材として、前記タンク本体を支持する脚部を用いることを特徴とする、タンクの製造方法。 - 軸長方向に延びる胴板溶接部が周壁部に設けられている円筒状の胴板の端部と、椀状の鏡板の開口周縁部とを嵌合または突き合わせ状態で接触させ、かつこの接触部分に環状溶接部を設けることにより、前記胴板と前記鏡板とを接合してタンク本体を形成するための溶接工程を、有している、タンクの製造方法であって、
前記環状溶接部は、前記胴板溶接部とは反対側の半分領域のいずれかに始点・終点領域が位置するように設ける一方、
前記胴板および前記鏡板の少なくとも一方のうち、前記タンク本体の軸長方向視における前記始点・終点領域の両側領域の双方に跨がるようにして補強部材を接合する工程を、さらに有しており、
前記補強部材として、前記タンク本体を支持する脚部を用いることを特徴とする、タンクの製造方法。
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