JP6858107B2 - 酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、非晶質酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタ - Google Patents

酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、非晶質酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、非晶質酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタに関する。
薄膜トランジスタに用いられる非晶質酸化物半導体は、汎用の非晶質シリコン(a−Si)に比べて高いキャリヤ移動度を有し、光学バンドギャップが大きく、低温で成膜できる。そのため大型・高解像度・高速駆動が要求される次世代ディスプレイや、耐熱性の低い樹脂基板等への適用が期待されている。
非晶質酸化物半導体薄膜の形成には、スパッタリング法が好適に用いられる。これは、スパッタリング法で形成された薄膜は、イオンプレーティング法、真空蒸着法、または電子ビーム蒸着法で形成された薄膜に比べ、膜面方向(膜面内)の成分組成、膜厚等の均一性に優れるからである。また、スパッタリングターゲットと同じ成分組成の薄膜を形成できるためである。
酸化物半導体のなかでも、インジウム、亜鉛、スズ、および酸素からなるアモルファス酸化物半導体(In−Sn−Zn−O、以下「ITZO」と略記する)は、酸化物半導体の原料としては安価な亜鉛やスズを用いて、比較的高いキャリヤ移動度と蓚酸等の有機酸でのエッチングレートを実現でき、かつ、金属配線のエッチング液であるリン酸・酢酸・硝酸の混酸に対して溶解せず、金属配線と酸化物半導体膜の選択エッチングが可能なため、注目されている。
特許文献1には、インジウム、亜鉛、スズから選ばれる1種以上の金属を成分として含むスパッタリングターゲットであって、第三成分としてハフニウム、タンタル、ビスマス、またはランタノイド系金属からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットに関することが記載されている。このターゲットは、透明導電膜を得るのに好適に使用されることが記載されている。
特許文献2には、InとSmを主成分とする酸化物の焼結体からなり、InSmO3と、酸化インジウムからなる、InSmO3および/またはSn2Sm27を含む酸化物の焼結体に関する記載がある。
特許文献3には、In、SnおよびZnに、スパッタリング時の酸素分圧を下げるために、Mg、Si、Al、Sc、Ti,Y、Zr、Hf、Ta、La、NdおよびSmからなる群より選択される1以上の元素を含有させた酸化物焼結体、およびこれを用いたスパッタリングターゲットが記載されている。この焼結体はIn23とZn2SnO4を含む焼結体である。
特許文献4には、In、Sn、Znを含む酸化物焼結体において、In量を増やしても結晶化しないように、Mg、Al、Ga、Si、Ti、Y、Zr、Hf、Ta、La、Nd、Smから選ばれた元素を添加する旨が記載されている。この酸化物焼結体は、ビックスバイト構造とスピネル構造を含むことが記載されている。
特許文献5には、In、Sn、Znを含む酸化物焼結体において、スパッタリング時の割れ防止のために、Hf、Zr、Ti、Y、Nb、Ta、W、Mo、Smから選ばれた元素Xの添加が例示され、In23構造、スピネル構造、X2Sn27構造(パイロクロア構造)、ZnX26より選ばれた1以上の層を含み、抵抗値が2mΩcm以上、50mΩcm以下である焼結体が記載されている。ランタノイド元素については、Smの含有量:Sm/(In+Sn+Zn+Sm)=0.05および0.1のときZn/(In+Sn+Zn+Sm)=0.35および0.3がそれぞれ記載されている。Zn/(In+Sn+Zn)に換算すると0.3超の値になる。
特許文献6には、酸化物半導体を光電変換素子と組み合わせた、固体撮像装置やイメージセンサーについても開示されている。
特開2004-68054号公報 国際公開第2007/010702号 国際公開第2012/153507号 特開2014-111818号公報 特開2015-214436号公報 特開2017−135410号公報
しかしながら、特許文献1から特許文献5に記載の技術には、以下の問題があった。
特許文献1に記載のターゲットは、導電膜を得るためのターゲットであり、非晶質酸化物半導体薄膜が得られないという問題があった。
特許文献2に記載のターゲットも、透明導電膜を得るためのターゲットであり、非晶質酸化物半導体薄膜が得られないという問題があった。また、特許文献2に記載のターゲットは亜鉛を含まないため、ITZOに適用できないという問題もあった。
特許文献3から特許文献5に記載の技術は、酸化インジウムをベースとするターゲット材に、希土類元素を添加しているが、特にサマリウム元素のような、希土類の中でも原子半径の大きな軽希土類元素を添加すると、酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が変化し、焼結密度が上がらずターゲット材の強度が低下したり、大パワーでのスパッタリング中に熱応力によりマイクロクラックを発生したり、チッピングを起こして異常放電が発生したりする場合があった。これら現象は成膜された半導体薄膜にも欠陥を発生させ、TFT性能の劣化を引き起こす恐れがあった。
また、特許文献3では、希土類元素の添加量を、金属元素全体の原子比に対して0.048原子比程度しか含有できないという問題があった。特許文献3は亜鉛の含有量が多すぎてエッチングの制御が困難であった。
さらに、特許文献5では、バルク抵抗を下げるために亜鉛を多量に含有させる必要があり、亜鉛の含有量が多すぎてエッチングの制御が困難であった。
また、特許文献6には、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタに、酸化物半導体を用いる例が示されており、オフ電流の小さなトランジスタが求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、軽希土類元素を添加した場合であっても、強度を確保でき、TFT性能に優れた非晶質酸化物半導体薄膜を成膜できる酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットの提供を目的とする。
薄膜トランジスタに用いたときに優れた特性を有する非晶質酸化物半導体薄膜、および当該薄膜を備える薄膜トランジスタを提供することも目的とする。
本発明によれば、以下の酸化物焼結体が提供される。
[1]In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素(LREE:light rare earth element:Xと記載する)の原子比が下記の式(1)から(4)を満たし、In23で表されるビックスバイト構造を主成分としてなることを特徴とする酸化物焼結体。
0.55≦In/(In+Sn+Zn)≦0.90 ・・・(1)
0.05≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(2)
0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.20 ・・・(3)
0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(4)
ただし、前記軽希土類元素は、La、Nd、Sm、およびEuから選ばれる1種以上の元素である。
[2]Sn元素の全金属に対する含有量と軽希土類元素の全金属元素に対する含有量の比が、下記式(5)を満たすことを特徴とする[1]に記載の酸化物焼結体。
1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(5)
[3]In23で表されるビックスバイト構造を主成分とし、さらにパイロクロア構造を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の酸化物焼結体。
[4]前記パイロクロア構造がX2Sn27で表されるパイロクロア構造であることを特徴とする、[3]に記載の酸化物焼結体。
[5]In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素を含み、残部が酸素と不可避不純物からなることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体。
[6]バルク抵抗値が1.4mΩcm以下であることを特徴とする[1]から[5]までのいずれか一つに記載の酸化物焼結体。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲットが提供される。
[7][1]から[6]までのいずれか一項に記載の焼結体を備えることを特徴とするスパッタリングターゲット。
本発明によれば、以下の非晶質酸化物半導体薄膜が提供される。
[8]In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素(LREE:light rare earth element:Xと略す)の原子比が下記式(6)から(10)を満たす範囲であることを特徴とする非晶質酸化物半導体薄膜。
0.55≦In/(In+Sn+Zn)≦0.90 ・・・(6)
0.05≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(7)
0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.20 ・・・(8)
0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(9)
1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(10)
ただし、前記軽希土類元素は、La、Nd、Sm、およびEuから選ばれる1種以上の元素である。
[9]In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素を含み、残部が酸素と不可避不純物からなることを特徴とする、[8]に記載の非晶質酸化物半導体薄膜。
本発明によれば、以下の薄膜トランジスタが提供される。
[10][9]に記載の非晶質酸化物半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ。
本発明によれば、軽希土類元素を添加した場合であっても、強度を確保でき、TFT性能に優れた非晶質半導体薄膜を成膜できる酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットを提供できる。
薄膜トランジスタに用いたときに優れた特性を有する非晶質酸化物半導体薄膜、および当該薄膜を備える薄膜トランジスタを提供することもできる。
本実施形態に係るターゲットの形状を示す斜視図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを示す縦断面図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを示す縦断面図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いた表示装置を示す図であって、(A)は上面図、(B)はVA型液晶表示装置の画素に適用することができる画素回路を示す図、(C)は有機EL素子を用いた表示装置の画素構造を示す図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いた固体撮像素子の画素回路を示す図。 実施例1の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、中段および下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例2の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、中段および下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 比較例3の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、中段および下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 (A)はガラス基板上に酸化物膜を形成した状態を示す縦断面図、(B)は、(A)に、さらにSiO2膜を形成した状態を示す縦断面図。
<本発明の背景>
まず、本発明の背景を簡単に説明する。
酸化インジウムをベースとする酸化物焼結体において、軽希土類元素を添加すると、酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が変化し、焼結密度が上がらずターゲット材の強度が低下することは公知である。
例えば、ターゲット強度を上げるためにはIn含有量を増やす必要があるが、一方で、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズをベースとする酸化物半導体において、酸化インジウムの含有量が多くなると、透明導電膜組成となり、半導体化しないことが知られている。
また、薄膜トランジスタの作製において、保護膜または絶縁膜を化学蒸着法(CVD)で形成する際の、加熱等での半導体特性の劣化(CVD耐性)が小さい半導体が求められている。
これに対して本発明者らは、軽希土類元素を添加しても強度が確保できる条件がないか、検討した。また、単に強度が確保できるだけでなく、導体化することなしに半導体としての特性に優れた条件がないか、検討した。
この際、本発明者らはパイロクロア構造が生成する反応について着目した。パイロクロア構造は、軽希土類元素をXとした場合、X2Sn27で表される構造であるため、添加した軽希土類元素がパイロクロア構造の生成に消費されれば、ビックスバイト構造の構造に影響を与えないと考えたためである。一方で、パイロクロア構造はSnも含むため、Snの添加量の影響も受けると考えた。
そこで、本発明者らは、軽希土類元素がパイロクロア構造に消費される条件を検討した。その結果、In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素を所定の組成範囲とすること、特にSnの含有量を従来よりも多くすることにより、軽希土類元素がパイロクロア構造に消費され、ビックスバイト構造に影響しない組成範囲を見出した。
また、従来は、Sn含有量を増やすと、焼結体のバルク抵抗が大きくなることが知られているが、当該組成範囲では、Snもパイロクロア構造に消費されるため、Snを多くしても、バルク抵抗が非常に低くなることを見出し、本発明をするに至った。
以上が本発明の背景の説明である。
<酸化物焼結体の構造>
次に、本実施形態に係る酸化物焼結体の構造について説明する。
本実施形態に係る酸化物焼結体は、In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素(LREE:light rare earth element:Xと記載する)の原子比が下記の式(1)から(4)を満たす。
0.55≦In/(In+Sn+Zn)≦0.90 ・・・(1)
0.05≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(2)
0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.20 ・・・(3)
0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(4)
ただし、前記軽希土類元素は、La、Nd、Sm、およびEuから選ばれる1種以上の元素である。
式(1)において、Inが0.55未満では、焼結体のバルク抵抗が高くなる場合があり、異常放電の原因になる場合がある。また、インジウムによる酸化物半導体の高移動度化の効果が得られず、移動度の低い酸化物半導体しか得られない場合がある。0.90超では、薄膜が結晶化し、導電体になる場合がある。
式(1)の範囲内では、必要とされるTFTの特性を考慮した各添加元素の添加量からその量を規定すればよい。
In/(In+Sn+Zn)で表される原子比は、より好ましくは、0.55以上、0.85以下であり、さらに好ましくは0.60以上、0.80以下である。
式(2)において、Snが0.05未満では、ターゲットの抵抗値が下がらなかったり、焼結密度が上がらず、その後の焼結体の強度が上がらなかったり、線膨張係数や熱伝導性に悪影響を及ぼす場合がある。また、0.05未満の焼結体から製造されたスパッタリングターゲットを用いて、薄膜トランジスタの半導体薄膜を形成した場合、配線金属のエッチング液であるリン酸・硝酸・酢酸からなる混酸に溶解するようになる。これによりバックチャンネルTFTを形成しにくくなる場合がある。一方、0.25超の場合、焼結体から製造されたスパッタリングターゲットを用いて、薄膜トランジスタの半導体層を形成した場合、蓚酸等の有機酸でエッチングできなくなる場合が有り、TFTを形成しにくくなる場合がある。
式(2)において、Snは、より好ましくは0.07以上、0.25以下であり、さらに好ましくは0.10以上、0.22以下である。
式(3)において、Zn/(In+Sn+Zn)で表される原子比が、0.05未満では、得られた薄膜半導体が結晶化して、導電体となる場合がある。0.20超では、亜鉛が酸化インジウムやパイロクロア構造に固溶できなくなり、酸化亜鉛として析出したり、Zn2SnO4からなるスピネル構造などが出現し、焼結体の密度が低下したり、強度が低下したりする場合がある。また、0.20超の場合、焼結体から製造されたスパッタリングターゲットを用いて、薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層を形成した場合、安定性に欠けるTFTしか得られない場合がある。
Zn/(In+Sn+Zn)で表される原子比は、好ましくは0.08以上、0.20以下であり、より好ましくは0.10以上、0.18以下である。
式(4)において、軽希土類元素の含有量が0.05未満では、保護膜を形成する工程であるCVD処理によるSiO2膜の形成段階で、キャリヤ濃度が高くなり過ぎる場合がある。この場合、その後の熱処理によってもキャリヤ濃度が低減せず、半導体としては作動せず導体となる場合がある。また、0.25超では、キャリヤ濃度が低減し過ぎ、半導体として作動しなかったり、作動しても移動度が小さい場合がある。軽希土類元素の含有量は、酸化インジウムの含有量に合わせて調整すればよい。酸化インジウムの含有量が多くなるほど、薄膜中の酸素欠損量が増える傾向にあり、軽希土類元素の含有量を増やす必要がある。一方、酸化インジウムの含有量が少なくなるほど、薄膜中の酸素欠損量が少なくなる傾向にあり、軽希土類元素の含有量を少なくする必要がある。酸化インジウムの含有量に合わせて適宜選択すればよい。式(4)において、軽希土類元素の含有量は、より好ましくは、0.06以上、0.23以下であり、さらに好ましくは、0.07以上、0.20以下である。
軽希土類元素は、好ましくは、La、Nd、およびSmから選ばれる少なくとも1種である。より好ましくはSmである。理由は、天然の存在量も多く、工業的に使用する場合に材料の調達も容易であるからである。
酸化物焼結体は、スズ元素の全金属に対する含有量と軽希土類元素の全金属元素に対する含有量の比が、下記式(5)を満たすことが好ましい。
1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(5)
式(5)の下限を満たすことにより、軽希土類元素がパイロクロア構造に消費されるため、ビックスバイト構造の構造に影響を与えず、半導体特性に悪影響を及ぼさない。
式(5)の上限を満たすことにより、バルク抵抗が悪化するのを防止できる。
焼結体中の各金属元素の含有量(原子比)は、ICP(Inductive Coupled Plasma)測定により、各元素の存在量を測定することで求めることができる。
本発明の酸化物焼結体は、インジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素を含めばよく、実質的にインジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素からなってもよい。
「実質的」とは、酸化物焼結体中に含まれる金属元素に占めるインジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素の含有割合が、90atm%以上であることを意味する。95atm%以上、98atm%以上が好ましく、99atm%以上がより好ましく、100atm%がさらに好ましい。
本発明の酸化物焼結体は、本発明の効果を損なわない範囲で、インジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素以外の金属元素として、ガリウム元素を含んでもよい。
ただし、インジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素を含有し、残部(インジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素以外の元素)が酸素と不可避不純物のみからなる組成が好ましい。残部が酸素と不可避不純物であることにより、インジウム元素、亜鉛元素、スズ元素および軽希土類元素以外の元素が酸化物焼結体や、当該酸化物焼結体を用いて製造された半導体薄膜の特性に与える影響を最小限にできる。
不可避不純物とは、意図的に添加しない元素であって、原料や製造工程で混入する元素を意味する。以下の説明でも同様である。
本実施形態の酸化物焼結体は、In23で表されるビックスバイト構造を主成分とする。
これにより、酸化物焼結体が高い密度を示すため、バルク抵抗が低下し、安定したスパッタ状態が維持できる。
酸化物焼結体がIn23で表されるビックスバイト構造より構成されることは、X線回折測定装置(XRD)により結晶構造を調べることで確認できる。
ここでいう主成分とは、酸化物焼結体において、ビックスバイト構造が70質量%以上であることを意味する。好ましくは、75質量%以上であり、より好ましくは78質量%以上であり、さらに好ましくは、80質量%以上である。
ビックスバイト構造には、軽希土類元素、Sn元素、およびZn元素のいずれか1以上が侵入型固溶、およびまたは、置換型固溶していると好ましい。
In23で表されるビックスバイト構造に亜鉛元素が侵入型固溶していることは、焼結体中の酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が、酸化インジウムのみの格子定数より小さくなっていることにより確認できる。また、In23で表されるビックスバイト構造に軽希土類元素が置換型固溶していることは、焼結体中の酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が、酸化インジウムのみの格子定数より大きくなっていることにより確認できる。また、In23で表されるビックスバイト構造にスズ元素が侵入型固溶していることは、焼結体中の酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が、酸化インジウムのみの格子定数より大きくなっていることにより確認できる。リードベルト解析により、より確実に固溶の状態を把握することができる。一方で、In23で表されるビックスバイト構造は、XRD測定により容易に判定することができる。
パイロクロア構造に亜鉛元素が侵入型固溶していることは、焼結体中のX2Sn27で表されるパイロクロア構造の格子定数が、X2Sn27で表されるパイロクロア構造の格子定数より、小さくなっていることで確認できる。また、X2Sn27で表されるパイロクロア構造に、インジウム元素が侵入型固溶および/または置換型固溶していることは、焼結体中のパイロクロア構造の格子定数が、X2Sn27で表されるパイロクロア構造より小さくなっていることで、確認できる。リードベルト解析により、より確実に固溶の状態を把握することができる。一方で、X2Sn27で表されるパイロクロア構造は、XRD測定により容易に判定することができる。
「格子定数」とは、単位格子の格子軸の長さと定義され、X線回折法によって決定することができる。純物質(ここではICDDに収録された標準物質)の、酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数は、10.118×10-10mである。
純物質におけるX2Sn27で表されるパイロクロア構造について、例えば、Sm2Sn27のパイロクロア構造の格子定数は、10.51005×10-10mである。
酸化物焼結体は、X2Sn27で表されるパイロクロア構造を含むことが好ましい。パイロクロア構造を含むことにより、熱伝導性が良くなり、割れにくくなる。
酸化物焼結体は、ビックスバイト構造とパイロクロア構造以外の構造を含んでもよい。
例えば、In23(ZnO)m(ここで、mは1以上、20以下の整数)で表される六方晶層状構造を含んでもよい。
ただし、Zn2SnO4からなるスピネル構造は含まないのが望ましい。スピネル構造を含有しないことにより、焼結体の密度が低下したり、強度が低下したりするのを防ぐことができる。
<酸化物焼結体の物性>
本実施形態に係る酸化物焼結体は、相対密度が95%以上であることが好ましい。
相対密度が95%以上とすることにより、成膜時のクラック発生やノジュール生成を抑制でき、得られる薄膜トランジスタの性能の低下や、歩留の低下、膜密度の低下を防ぐことができる。また、CVD装置での成膜温度を上げることができる。相対密度は、好ましくは、96%以上であり、より好ましくは、97%以上である。
相対密度は、例えば、アルキメデス法で測定した酸化物焼結体の実測密度を、酸化物焼結体の理論密度で除した値を、百分率にして、算出することができる。
実測密度の測定方法としてはアルキメデス法で測定する方法(見かけ密度)と、ノギスを用いて酸化物焼結体の体積を測定し、計量計で酸化物焼結体の質量を測定して密度を算出する方法(嵩密度)がある。
酸化物焼結体の理論密度としては、例えば、酸化物焼結体の原料粉末として酸化物A、酸化物B、酸化物C、酸化物Dを用いた場合において、酸化物A、酸化物B、酸化物C、酸化物Dの使用量(仕込量)をそれぞれa(g)、b(g)、c(g)、d(g)とすると、理論密度は、以下のように当てはめることで算出できる。
理論密度=(a+b+c+d)/((a/酸化物Aの密度)+(b/酸化物Bの密度)+(c/酸化物Cの密度)+(d/酸化物Dの密度))
なお、各酸化物の密度は、密度と比重はほぼ同等であることから、化学便覧 基礎編I日本化学編 改定2版(丸善株式会社)に記載されている酸化物の比重の値を用いるとよい。なお、理論密度は、各酸化物の質量比を用いて以下のように算出することもできる。
理論密度=1/((酸化物Aの質量比/酸化物Aの密度)+(酸化物Bの質量比/酸化物Bの密度)+(酸化物Cの質量比/酸化物Cの密度)+(酸化物Dの質量比/酸化物Dの密度))
本実施形態に係る酸化物焼結体は、バルク抵抗が1.4mΩcm以下であると好ましく、1.2mΩcm以下であるとより好ましく、1.0mΩcm以下であるとさらに好ましく、0.8mΩcm以下であると、よりさらに好ましい。
バルク抵抗が1.4mΩcm以下であることにより、大パワーでの成膜時に、ターゲットが帯電し、異常放電を起こしたり、プラズマ状態が安定せず、スパークが発生したりするのを防止できる。
バルク抵抗値は、公知の抵抗率計を使用して四探針法(JIS R 1637)に基づき測定できる。測定箇所は5箇所程度であり、平均値をバルク抵抗値とするのが好ましい。
測定箇所は、酸化物焼結体の平面形状が四角形の場合には、中心および四隅と中心の中間点の4点の計5箇所とするのが好ましい。
なお、酸化物焼結体の平面形状が円形の場合は、円に内接する正方形の中心、および正方形の四隅と中心の中間点の4点の、計5箇所とするのが好ましい。
本実施形態に係る酸化物焼結体は、3点曲げ強度が、120MPa以上であると好ましく、140MPa以上であるとより好ましく、150MPa以上であるとさらに好ましい。
3点曲げ強度が120MPa以上であると、大パワーでスパッタ成膜した場合、ターゲットが割れたり、チッピングを起こして、固体がターゲット上に飛散し、異常放電の原因となる恐れが少なくなる。
3点曲げ強度は、JIS R 1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験」に準じて評価できる。具体的には、まず、一定距離(30mm)に配置された2支点上に、幅4mm、厚さ3mm、長さ40mmの標準試験片を置く。次に、支点間の中央からクロスヘッド速度0.5mm/min荷重を加え、破壊した時の最大荷重より、曲げ強さを算出する。
本実施形態に係る酸化物焼結体は、線膨張係数が8.0×10-6(K-1)以下であると好ましく、7.5×10-6(K-1)以下であるとより好ましく、7.0×10-6(K-1)以下であるとさらに好ましい。
線膨張係数が8.0×10-6(K-1)以下であると、大パワーでスパッタリング中に加熱され、ターゲットが膨張し、ボンディングされている銅版との間で変形が起こり、応力によりターゲットにマイクロクラックが入ったり、割れやチッピングにより、異常放電の原因となるおそれが小さい。
線膨張係数は、例えば幅5mm、厚さ5mm、長さ10mmの標準試験片を用いて、昇温速度を5℃/分にセットし、300℃に到達した時の熱膨張による変位を位置検出機を用いることにより評価できる。
本実施形態に係る酸化物焼結体は、熱伝導率が5.0(W・m-1・K-1)以上であると好ましく、5.5(W・m-1・K-1)以上であるとより好ましく、6.0(W・m-1・K-1)以上であるとさらに好ましく、6.5(W・m-1・K-1)以上であると最も好ましい。
熱伝導率が5.0(W・m-1・K-1)以上であると、大パワーでスパッタリング成膜した場合に、スパッタ面とボンディングされた面の温度が異なり、内部応力によりターゲットにマイクロクラックや割れ、チッピングが発生するおそれが小さい。
熱伝導率は、例えば直径10mm、厚さ1mmの標準試験片を用いて、レーザーフラッシュ法により比熱容量と熱拡散率を求め、これに試験片の密度を乗算することにより算出できる。
以上が、本実施形態に係る酸化物焼結体の説明である。
次に、本実施形態に係る酸化物焼結体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る酸化物焼結体が製造できるものであれば、製造方法は特に限定しないが、以下の(a)から(c)の工程を含む製法を例示できる。
(a)原料化合物粉末を混合して混合物を調製する工程。
(b)混合物を成型して成型体を調製する工程。
(c)成型体を焼結する工程。
(1)工程(a):配合工程
配合工程は、酸化物焼結体の原料を混合する工程である。
原料としては、インジウム化合物の粉末、スズ化合物の粉末、亜鉛化合物の粉末、および軽希土類化合物の粉末を用いる。インジウム、スズおよび亜鉛の化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物が挙げられる。軽希土類元素の化合物としては、酸化物が挙げられる。焼結のしやすさ、副生成物の残存のし難さから、酸化物が好ましい。
原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、特に好ましくは4N(99.99質量%)以上である。純度が2N以上とすることにより、耐久性が確保でき、液晶ディスプレイに用いた際に液晶側に不純物が入り、焼き付けが起こる可能性を低減できる。
原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、2μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上、1.5μm以下である。原料粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布装置等で測定することができる。
原料の混合、成型方法は特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。また、混合する際にはバインダーを添加してもよい。
原料の混合は、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルまたは超音波装置等の公知の装置を用いて行うことができる。粉砕時間等の条件は、適宜調整すればよいが、6時間以上、100時間以下が好ましい。
配合した原料は仮焼してもよい。仮焼では、スパッタリングターゲットの原料である化合物の混合物を得た後、この混合物を仮焼する、必要に応じて設けられる工程である。
仮焼により、得られる焼結体の密度を上げることが容易になり好ましいが、コストアップになるおそれがある。そのため、仮焼を行わずに密度を上げることがより好ましい。
仮焼では、原料混合物を500℃以上、1200℃以下で、1時間以上、100時間以下熱処理することが好ましい。500℃以上で1時間以上、熱処理することにより、インジウム化合物、スズ化合物、亜鉛化合物、および軽希土類化合物の熱分解が十分となる。一方、熱処理条件が、1200℃以下、100時間以下とすることにより粒子の粗大化を防止できる。
仮焼は、800℃以上、1200℃以下の温度範囲で、2時間以上、50時間以下、実施することが好ましい。
得られた仮焼物は、下記の成型工程および焼成工程の前に粉砕するのが好ましい。
(2)工程(b):成型工程
成型工程は、原料混合物(上記仮焼工程を設けた場合には仮焼物)を加圧成型して成型体とする工程である。この工程により、ターゲットとして好適な形状に成型する。仮焼工程を設けた場合には、得られた仮焼物の微粉末を造粒した後、プレス成型により所望の形状に成型することができる。
成型体の平均厚みは5.5mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、12mm以上が特に好ましい。5.5mm以上だと、成型体の厚さ方向の温度勾配が減少し、表面と深部の結晶型の組合せの変動が生じにくくなることが期待できる。
本工程で用いることができる成型処理としては、例えば、プレス成型(一軸プレス)、金型成型、鋳込み成型、射出成型等も挙げられる。焼結密度の高い焼結体(ターゲット)を得るためには、冷間静水圧(CIP)等で成型するのが好ましい。
また、プレス成型(一軸プレス)後に、冷間静水圧(CIP)、熱間静水圧(HIP)等で成型するように、2段階以上の成型工程を設けてもよい。
冷間静水圧、または静水圧加圧装置を用いる場合、面圧78.5MPa(800kgf/cm2をSI単位に換算)以上、392.4MPa(4000kgf/cm2をSI単位に換算)で0.5分以上、60分以下保持することが好ましい。面圧196.2MPa以上、294.3MPa以下で、2分以上、30分以下保持することがより好ましい。前記範囲内であると、成型体内部の組成むら等が減り、均一化されることが期待される。面圧を78.5MPa以上とすることによりで、焼結後の密度が低くなり、抵抗も低くなる。面圧392.4MPa以下とすることにより、装置を大型化せずに成型できる。保持時間が0.5分以上であると、焼結後の密度と抵抗が高くなるのを防止できる。60分以下であると時間が掛かりすぎ不経済となるのを防げる。
成型処理では、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、ポリワックス、オレイン酸等の成型助剤を用いてもよい。
(3)工程(c):焼結工程
焼結工程は、上記成型工程で得られた成型体を焼成する必須の工程である。
焼結温度は好ましくは1350℃以上、1600℃以下、より好ましくは1400℃以上、1600℃以下、さらに好ましくは1450℃以上、1600℃以下である。
焼結時間は好ましくは10時間以上、50時間以下、より好ましくは12時間以上、40時間以下、さらに好ましくは13時間以上、30時間以下である。
焼結温度が1200℃以上、焼結時間が10時間以上であると、焼結が十分進行し、ターゲットの電気抵抗が十分下がり、異常放電が生じ難くなる。焼成温度が1650℃以下、焼成時間が50時間以下であると、著しい結晶粒成長により平均結晶粒径の増大や、粗大空孔の発生を防ぐことができ、焼結体強度の低下や異常放電が生じ難くなる。
常圧焼結法では、成型体を大気雰囲気、または酸素ガス雰囲気にて焼結する。酸素ガス雰囲気は、酸素濃度が、例えば10体積%以上、50体積%以下の雰囲気であることが好ましい。昇温過程を大気雰囲気下ですることで、焼結体密度を高くすることができる。
さらに、焼結に際しての昇温速度は、800℃から焼結温度までを0.1℃/分以上、2℃/分以下とすることが好ましい。
本実施形態にかかる焼結体において800℃から上の温度範囲は、焼結が最も進行する範囲である。この温度範囲での昇温速度が0.1℃/分以上であると、過度な結晶粒成長を抑制でき、高密度化を達成することができる。昇温速度が2℃/分以下であることにより、成型体に温度分布が生じ、焼結体が反ったり割れたりするのを抑制できる。
800℃から焼結温度における昇温速度は、好ましくは0.5℃/分以上、2.0℃/分以下、より好ましくは1.0℃/分以上、1.8℃/分以下である。
<スパッタリングターゲット>
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットについて、図1を参照して説明する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、本実施形態に係る酸化物焼結体を備える。
具体的には、スパッタリングターゲットは、酸化物焼結体と、必要に応じて酸化物焼結体に設けられる、バッキングプレート等の冷却および保持用の部材を備える。
酸化物焼結体は、スパッタリングで成膜する膜原料である。形状は特に限定されないが、図1(A)の符号1に示すような板状でもよく、図1(B)の符号1Aに示すように円筒状でもよい。板状の場合、平面形状は、図1(A)の符号1に示すような矩形でもよく、図1(C)の符号1Bに示すように円形でもよい。酸化物焼結体は一体成型でもよく、図1(D)に示すように、複数に分割した酸化物焼結体(符号1B)をバッキングプレート3に各々固定した多分割式でもよい。
バッキングプレートは、酸化物焼結体の保持や冷却用の部材である。材料は銅等の熱伝導性に優れた材料が好ましい。
スパッタリングターゲットは、例えば以下の工程で製造される。
(d)酸化物焼結体の表面を研削する工程。
(e)酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディングする工程。
以下、各工程を具体的に説明する。
(4)工程(d):研削工程
研削(加工)工程は、焼結体を、スパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工する工程である。
焼結体表面は、高酸化状態の焼結部が存在したり、面が凸凹であることが多く、また、指定の大きさに切断加工する必要がある。
焼結体の表面は0.3mm以上研削するのが好ましい。研削する深さは、0.5mm以上研削するのが好ましく、2mm以上が特に好ましい。0.3mm以上研削することにより、表面付近の結晶構造の変動部分を除去できる。
酸化物焼結体を例えば、平面研削盤で研削して平均表面粗さRaが5μm以下の素材とするのが好ましい。さらにスパッタリングターゲットのスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaが1000×10-10m以下としてもよい。この鏡面加工(研磨)は機械的な研磨、化学研磨、メカノケミカル研磨(機械的な研磨と化学研磨の併用)等の、公知の研磨技術を用いることができる。例えば、固定砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液は水)で#2000番以上にポリッシングしてもよく、遊離砥粒ラップ(研磨材はSiCペースト等)にてラッピング後、研磨材をダイヤモンドペーストに換えて、ラッピングしてもよい。研磨方法はこれらの方法に限定されない。研磨材は、#200番、もしくは#400番、さらには#800番のものが挙げられる。
研削工程後の酸化物焼結体は、エアーブローや流水洗浄等で清浄するのが好ましい。エアーブローで異物を除去する際には、ノズルの向い側から集塵機で吸気を行なうとより有効に除去できる。なお、エアーブローや流水洗浄では限界があるので、さらに超音波洗浄等を行なうこともできる。超音波洗浄は、周波数が25kHz以上、300kHz以下の間で、多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数が25kHz以上、300kHzの間で、25kHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて、超音波洗浄を行なうのが良い。
(5)工程(e):ボンディング工程
工程(e)は、研削後の焼結体を、金属インジウムなどの低融点金属で、バッキングプレートにボンディングする工程である。
以上がスパッタリングターゲットの説明である。
<酸化物半導体薄膜>
次に、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜について、説明する。
本実施形態に係る酸化物半導体薄膜は、In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素Xの原子比が下記式(6)から(10)を満たす。
0.50≦In/(In+Sn+Zn)≦0.85 ・・・(6)
0.10≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.45 ・・・(7)
0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(8)
0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(9)
1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(10)
式(6)から式(10)に示す組成範囲外では、薄膜トランジスタを形成する工程で使用されるCVD成膜装置での処理の際に、薄膜トランジスタの半導体部分のキャリヤ濃度が上昇し、その後のアニール処理によってもキャリヤ濃度が低下しない場合がある。この場合、オフ電流が低下せず、トランジスタとして作動しない可能性がある。あるいは、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタや、リセットトランジスタなどに使用した場合、感度の低下が起こったり、センサーとしての機能が低下したりする場合がある。
また、CVD装置の成膜温度を低下させて、キャリヤ濃度の上昇を抑え、TFT特性の発現を行っていたが、CVD装置の成膜温度を低減させたことにより、耐久性の乏しいTFT特性しか得られない場合がある。
式(6)から式(10)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲は、式(1)から式(5)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲と同じである。
In元素、Zn元素、Sn元素、および軽希土類元素以外の元素は特に限定しない。
ただし、本実施形態に係る酸化物半導体薄膜は、In元素、Zn元素、Sn元素、および軽希土類元素を含み、残部が酸素と不可避不純物からなるものが好ましい。残部が酸素と不可避不純物であることにより、In元素、Zn元素、Sn元素、および軽希土類元素以外の元素が酸化物半導体薄膜の特性に与える影響を最小限にできる。
酸化物半導体薄膜のキャリヤ密度は、通常1×1018(cm-3)以下が好ましく、好ましくは1×1012(cm-3)以上、さらに好ましくは1×1017(cm-3)以下であり、さらに好ましくは1×1013(cm-3)以上である。
膜堆積後の加熱処理した酸化物層のキャリヤ密度が1×1018(cm-3)以下であると、薄膜トランジスタ等の素子を構成した際の漏れ電流、ノーマリーオンや、on−off比の低下を防ぐことができ、良好なトランジスタ性能が発揮できる。キャリヤ濃度が1×1013(cm-3)以上であると、トランジスタとして問題なく駆動する。
酸化物半導体薄膜のキャリヤ密度は、ホール効果測定方法により測定することができる。
酸化物半導体薄膜の移動度は1.0cm2/V・s以上、50.0cm2/V・s以下が好ましい。1.0cm2/V・s以上とすることにより、液晶ディスプレイを駆動できる。50.0cm2/V・s以下とすることにより、オフ電流を10-12A以下にでき、オンオフ比を108以上にできる。これにより、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタを駆動できる。
移動度はホール効果・比抵抗測定装置で求められる。
酸化物半導体薄膜は非晶質である。非晶質にすることにより、スズを添加する効果が強くなり過ぎるのを防ぐことができ、薄膜が導体化するのを防止できる。
非晶質であるか否かは、XRDのピーク、特に2θで30〜40°にピークが現れるか否かで判断できる。
<非晶質酸化物半導体薄膜の製造方法>
次に、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜の製造方法について、説明する。
本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜が製造できるのであれば、製造方法は、特に限定しない。具体的には以下の製造方法を例示できる。
非晶質酸化物半導体薄膜の形成には、スパッタリング法が好適に用いられる。これは、イオンプレーティング法、真空蒸着法、または電子ビーム蒸着法で形成された薄膜に比べ、組成、膜厚等の均一性に優れるからである。また、スパッタリングターゲットと同じ成分組成の薄膜を形成できるためである。
スパッタリング法のなかでも、大面積の成膜が可能で、成膜速度が速いDCスパッタリング法が好ましい。RFスパッタリング法、ACスパッタリング法等の、他のスパッタリング法でもよい。
スパッタリングターゲットとして、本実施形態に係るスパッタリングターゲットを用いることにより、式(6)から式(10)に示す条件を満たす酸化物半導体薄膜が得られる。
スパッタリングの雰囲気は、酸化性雰囲気が好ましい。酸化性雰囲気でスパッタリングすることにより、酸化性ガスが半導体薄膜中の酸素欠損を減少させるため、キャリヤ濃度を調整できるためである。酸化性雰囲気とは酸化性ガスを含む雰囲気である。酸化性ガスとは、O2、H2O、CO、CO2などの酸素原子含有ガスを意味する。酸化性ガスの濃度は装置、基板温度、スパッタリング圧力などの使用する条件で、最適化する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットを用いた成膜では、成膜時の酸素分圧は1%程度でもよい。これは、軽希土類元素が、酸素欠損の発生を抑える効果が高いため、成膜時に酸素を付加する必要性が低いためである。酸化性ガスの酸素分圧が低いほど、スパッタリング時のノジュール等の発生が抑制されるため、この点でも、本実施形態に係るスパッタリングターゲットは有用である。
スパッタリング時の電力密度(投入電力をターゲットの面の面積で割った値)は、1.0W/cm2以上、5.0W/cm2以下であることが好ましい。1.0W/cm2以上とすることにより、放電が安定し、所望のスパッタレートも得られる。5.0W/cm2以下とすることにより、ターゲットが発生した熱で割れるのを防ぐことができる。
気体雰囲気の圧力(スパッタ圧力)は、プラズマが安定して放電できる範囲であれば特に限定されないが、0.05Pa以上、5Pa以下が好ましい。
成膜される基体としては、シリコンウェハ、ガラス、セラミックス、プラスチックス、金属などが挙げられる。成膜中の基体温度は、特に制約されないが、非晶質膜を得られやすいという点で、300℃以下であることが好ましい。また、基体温度は、特に意図的な加熱をしない場合は室温程度でもよい。
成膜後、基体を後加熱(熱処理)することもできる。熱処理により、膜が緻密化し、抵抗値が低くなる。
熱処理は、大気中で60℃以上、400℃以下で行うことが好ましい。60℃以上とすることにより、熱処理による効果が発現する。400℃以下とすることにより、逆に抵抗値が高くなるのを防止できる。
以上が非晶質酸化物半導体薄膜の製造方法の説明である。
<薄膜トランジスタ>
次に、本実施形態に係る薄膜トランジスタの構造について説明する。
本実施形態に係る薄膜トランジスタは、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜を備え、トランジスタとして機能するものであれば、特に構造は限定しない。
具体的な薄膜トランジスタの形状としては、バックチャンネルエッチ型トランジスタ、エッチストッパー型トランジスタ、トップゲート型トランジスタ、などが挙げられる。
具体的な薄膜トランジスタの例を図2および図3に示す。
図2に示すように、薄膜トランジスタ100は、シリコンウェハ20、ゲート絶縁膜30、酸化物半導体薄膜40、ソース電極50、ドレイン電極60、および層間絶縁膜70、70Aを備える。
シリコンウェハ20はゲート電極である。ゲート絶縁膜30はゲート電極と酸化物半導体薄膜40の導通を遮断する絶縁膜であり、シリコンウェハ20上に設けられる。
酸化物半導体薄膜40はチャネル層であり、ゲート絶縁膜30上に設けられる。酸化物半導体薄膜40は本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜が用いられる。
ソース電極50およびドレイン電極60は、ソース電流およびドレイン電流を酸化物半導体薄膜40に流すための導電端子であり、酸化物半導体薄膜40の両端近傍に接触するように、各々設けられる。
層間絶縁膜70は、ソース電極50およびドレイン電極60と、酸化物半導体薄膜40の間の接触部分以外の導通を遮断する絶縁膜である。
層間絶縁膜70Aは、ソース電極50およびドレイン電極60と、酸化物半導体薄膜40の間の接触部分以外の導通を遮断する絶縁膜である。ソース電極50とドレイン電極60の間の導通を遮断する絶縁膜でもある。チャネル層保護層でもある。
図3に示すように、薄膜トランジスタ100Aの構造は、薄膜トランジスタ100と同様であるが、ソース電極50およびドレイン電極60を、ゲート絶縁膜30と酸化物半導体薄膜40の両方に接触するように設けている点が異なる。ゲート絶縁膜30、酸化物半導体薄膜40、ソース電極50、およびドレイン電極60を覆うように、層間絶縁膜70Bが一体に設けられている点も異なる。
薄膜トランジスタは、以下の特性を有するのが好ましい。
薄膜トランジスタの飽和移動度は1.0cm2/V・s以上、50.0cm2/V・s以下が好ましい。1.0cm2/V・s以上とすることにより、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタ、液晶ディスプレイを駆動できる。50.0cm2/V・s以下とすることにより、オフ電流を10-12A以下にでき、オンオフ比を108以上にできる。これにより、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタを駆動できる。
飽和移動度は、ドレイン電圧を20V印加した場合の伝達特性から求められる。具体的に、伝達特性Id−Vgのグラフを作成し、各Vgのトランスコンダクタンス(Gm)を算出し、飽和領域の式により飽和移動度を求める。Idはソース・ドレイン電極間の電流、Vgはソース・ドレイン電極間に電圧Vdを印加したときのゲート電圧である。
閾値電圧(Vth)は、−3.0V以上、+3.0以下が好ましく、−2.5以上、+2.5V以下がより好ましい。−3.0V以上、+3.0以下であると、オフ電流が小さく、オンオフ比の大きな薄膜トランジスタができ、バルクのシリコンウェハで構成された回路と組み合わせて、駆動することができる。
閾値電圧(Vth)は、伝達特性のグラフよりId=10-9AでのVgと定義した。
on−off比は106以上、1012以下が好ましく、107以上、1011以下がより好ましく、108以上、1011以下がさらに好ましい。106以上であると、液晶ディスプレイの駆動ができる。1012以下であると、コントラストの大きな有機ELパネルの駆動が可能になる。また、オフ電流を10-12A以下にでき、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタに用いた場合、画像の保持時間を長くしたり、感度を向上させたりできる。
on−off比は、Vg=−10VのIdの値をOff電流値とし、Vg=20VのIdの値をOn電流値として比[On/Off]を決めることにより、求められる。
Off電流値は、10-11A以下が好ましく、10-12A以下がより好ましい。オフ電流を10-11A以下にでき、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタに用いた場合、画像の保持時間を長くしたり、感度を向上させたりできる。
薄膜トランジスタの半導体層に用いられる、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜の欠陥密度が、5.0×1016cm−3以下が好ましく、1.0×1016cm−3以下がより好ましい。欠陥密度の減少により、薄膜トランジスタの移動度がさらに高くなり、光照射時の安定性、熱に対する安定性が高くなり、TFTが安定して作動するようになる。
本実施形態に係る薄膜トランジスタは、電界効果型トランジスタ、論理回路、メモリ回路、差動増幅回路等各種の集積回路にも適用できる。さらに、電界効果型トランジスタ以外にも静電誘起型トランジスタ、ショットキー障壁型トランジスタ、ショットキーダイオード、抵抗素子にも適応できる。
本実施形態に係るの薄膜トランジスタは、表示装置および固体撮像素子等に好適に用いることができる。以下、本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置および固体撮像素子に用いる場合について、説明する。
まず、本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置に用いる場合について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、本発明の一態様の表示装置の上面図である。図4(B)は、本発明の一態様の表示装置の画素に、液晶素子を適用する場合の画素回路を説明するための回路図である。また、図4(C)は、本発明の一態様の表示装置の画素に、有機EL素子を適用する場合の画素回路を説明するための回路図である。
画素部に配置するトランジスタは、本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いることができる。本実施形態に係る薄膜トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、nチャネル型トランジスタで構成できる駆動回路の一部を、画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。画素部や駆動回路に本実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供できる。
アクティブマトリクス型表示装置の上面図の一例を図4(A)に示す。表示装置の基板300上には、画素部301、第1の走査線駆動回路302、第2の走査線駆動回路303、信号線駆動回路304が形成される。画素部301には、複数の信号線が信号線駆動回路304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路302、および第2の走査線駆動回路303から延伸して配置される。走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられる。表示装置の基板300は、FPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続される。
図4(A)では、第1の走査線駆動回路302、第2の走査線駆動回路303、信号線駆動回路304は、画素部301と同じ基板300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板300外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板300上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。
また、画素の回路構成の一例を図4(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示装置の画素に適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ316のゲート配線312と、トランジスタ317のゲート配線313には、異なるゲート信号を与えられるように分離されている。一方、データ線として機能するソース電極またはドレイン電極314は、トランジスタ316とトランジスタ317で共通に用いられる。トランジスタ316とトランジスタ317は、本実施形態に係るトランジスタを用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶表示装置を提供できる。
トランジスタ316には、第1の画素電極が電気的に接続され、トランジスタ317には、第2の画素電極が電気的に接続される。第1の画素電極と第2の画素電極とは分離されている。第1の画素電極と第2の画素電極の形状は、特に限定しない。例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ316のゲート電極はゲート配線312と接続され、トランジスタ317のゲート電極はゲート配線313と接続されている。ゲート配線312とゲート配線313に異なるゲート信号を与えて、トランジスタ316とトランジスタ317の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
また、容量配線310と、誘電体として機能するゲート絶縁膜と、第1の画素電極または第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで、保持容量を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子318と第2の液晶素子319を備える。第1の液晶素子318は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子319は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成される。
画素回路は、図4(B)に示す構成に限定されない。図4(B)に示す画素にスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサー、または論理回路を追加してもよい。
画素の回路構成の他の一例を図4(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示装置の画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が、他方から正孔が、それぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図4(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。本実施形態の酸化物半導体膜は、nチャネル型のトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる。当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用できる。
適用可能な画素回路の構成、およびデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作について、説明する。
画素320は、スイッチング用トランジスタ321、駆動用トランジスタ322、発光素子324および容量素子323を有している。スイッチング用トランジスタ321は、ゲート電極が走査線326に接続され、第1の電極(ソース電極およびドレイン電極の一方)が信号線325に接続され、第2の電極(ソース電極およびドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ322のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ322は、ゲート電極が容量素子323を介して電源線327に接続され、第1の電極が電源線327に接続され、第2の電極が発光素子324の第1の電極(画素電極)に接続される。発光素子324の第2の電極は、共通電極328に相当する。共通電極328は、同一基板上に形成される共通電位線と、電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ321および駆動用トランジスタ322は、本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表示装置を提供することができる。
画素回路の構成は、図4(C)に示す構成に限定されない。図4(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサー、トランジスタまたは論理回路を追加してもよい。
以上が本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置に用いる場合の説明である。
次に、本実施形態に係る薄膜トランジスタを固体撮像素子に用いる場合について、図5を参照して説明する。
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーは、信号電荷蓄積部に電位を保持し、その電位を増幅トランジスタを介して、垂直出力線に出力する固体撮像素子である。CMOSイメージセンサーに含まれるリセットトランジスタ、および/または転送トランジスタにリーク電流があると、そのリーク電流によって充電または放電が起こり、信号電荷蓄積部の電位が変化する。信号電荷蓄積部の電位が変化すると、増幅トランジスタの電位も変わってしまい、本来の電位からずれた値となり、撮像された映像が劣化してしまう。
本実施形態に係る薄膜トランジスタをCMOSイメージセンサのリセットトランジスタ、および転送トランジスタに適用した場合の動作の効果を説明する。増幅トランジスタは、薄膜トランジスタまたはバルクトランジスタのどちらを適用しても良い。
図5は、CMOSイメージセンサーの画素構成の一例を示す図である。画素は光電変換素子であるフォトダイオード3002、転送トランジスタ3004、リセットトランジスタ3006、増幅トランジスタ3008および各種配線で構成されており、マトリクス状に複数が配置されてセンサーを構成する。増幅トランジスタ3008と電気的に接続される選択トランジスタを設けても良い。トランジスタ記号に記してある「OS」は酸化物半導体(Oxide Semiconductor)を、「Si」はシリコンを示しており、それぞれのトランジスタに適用すると好ましい材料を表している。以降の図面についても同様である。
フォトダイオード3002は、転送トランジスタ3004のソース側に接続されており、転送トランジスタ3004のドレイン側には信号電荷蓄積部3010(FD:フローティングディフュージョンとも呼ぶ)が形成される。信号電荷蓄積部3010にはリセットトランジスタ3006のソース、および増幅トランジスタ3008のゲートが接続されている。別の構成として、リセット電源線3110を削除することもできる。例えば、リセットトランジスタ3006のドレインをリセット電源線3110ではなく、電源線3100または垂直出力線3120につなぐ方法がある。
以上が、本実施形態に係る薄膜トランジスタを固体撮像素子に用いる場合の説明である。
このように、本実施形態の酸化物焼結体は、薄膜トランジスタに用いたときに優れた特性を有する酸化物半導体薄膜を形成でき、かつ成膜時の割れやノジュールの生成を抑制できる
以下、本発明を実施例と比較例を用いて説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されない。
<焼結体およびターゲットの強度試験>
まず、本実施形態の構成要件を満たす酸化物焼結体を製造してターゲットに加工し、スパッタリング成膜の際の割れやノジュール発生の有無を試験した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、実施例1および実施例2として、インジウム、スズ、亜鉛、および軽希土類元素としてのサマリウムを含む組成の試料を用意した。また、比較例1として、インジウムが式(1)の下限外れ、亜鉛が式(3)の上限外れの試料を用意した。比較例2として、亜鉛が式(3)の上限外れの試料も用意した。比較例3として、サマリウムを含まない試料も用意した。
各元素の原料は、以下の組成を有し、純度99.99質量%の酸化物粉末を用いた。
インジウム:In23
スズ:SnO2
亜鉛:ZnO
サマリウム:Sm23
各元素の質量比は以下のように求めた。
インジウム質量比 :In23/(In23+ZnO+SnO2+Sm23
スズ質量比 :SnO2/(In23+ZnO+SnO2+Sm23
亜鉛質量比 :ZnO/(In23+ZnO+SnO2+Sm23
サマリウム質量比 :Sm23/(In23+ZnO+SnO2+Sm23
次に、原料粉末を秤量し、ポリエチレン製のポットに入れて、乾式ボールミルにより72時間混合粉砕し、混合粉末を作製した。
この混合粉末を金型に入れ、500kg/cm2の圧力でプレス成型体とした。この成型体を2000kg/cm2の圧力でCIPにより緻密化を行った。次に、この成型体を常圧焼成炉に設置して、大気雰囲気下で、350℃で3時間保持した後に、100℃/時間にて昇温し、1480℃にて、42時間焼結した。その後、放置冷却して酸化物焼結体を得た。
得られた焼結体について、以下の評価を行った。
(1)元素組成比(原子比)
誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AES)により、焼結体中の元素組成(式(1)から、式(4)の不等号で挟まれた中段の式)を求めた。
(2)結晶構造
得られた焼結体について、X線回折測定装置Smartlabにより、以下の条件でX線回折(XRD)を測定した。得られたXRDチャートをJADE6により分析し、焼結体の結晶構造を求めた。さらに、ピーク強度比から、組成を質量%で求めた。
なお、XRDの測定条件は以下の通りである。
・装置:Smartlab(株式会社リガク製)
・X線:Cu−Kα線(波長1.5418×10-10m)
・2θ−θ反射法、連続スキャン(2.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリットDS(発散スリット)、SS(散乱スリット)、RS(受光スリット):1mm
(3)格子定数
得られたXRDパターンを、JADE6を用いて全パターンフィッティング(WPF)解析し、XRDパターンに含まれる各結晶成分を特定し、得られた酸化物焼結体中のIn23結晶構造の格子定数を算出した。
(4)相対密度
相対密度は、製造した酸化物焼結体について、ノギスでの測定での体積と質量より実測密度を測定し、当該実測密度を酸化物焼結体の計算密度で除することにより算出した。計算密度は、酸化物焼結体の製造に用いた原料粉末の総質量を、酸化物焼結体の製造に用いた原料粉末の総体積で除することで算出した。
(5)バルク抵抗
焼結体のバルク抵抗(導電性)を抵抗率計(三菱化学(株)製、ロレスタAX MCP-T370)を使用して四探針法に基づき測定した。
測定箇所は酸化物焼結体の中心および酸化物焼結体の四隅と中心との中間点の4点、計5箇所とし、5箇所の平均値をバルク抵抗値とした。
さらに、得られた焼結体をスパッタリングターゲットに加工して、以下の手順で成膜試験を行った。
<成膜耐久評価>
まず、酸化物焼結体を、研削研磨して、4インチφ×厚さ5mmのスパッタリングターゲットに加工し、インジウムろうを用いて銅製のバッキングプレートにボンディングした。
次に、バッキングプレートをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付け、400WのDCスパッタリングを連続5時間実施した。DCスパッタリング後のターゲット表面の状態、具体的にはクラックの有無と黒色異物(ノジュール)の有無を目視で確認した。
以上の結果を表1に示す。実施例1、実施例2、および比較例3のXRDチャートを図6、図7、および図8に示す。図6、図7、および図8には、所定のピークに対応する結晶構造の角度も示す。
Figure 0006858107
実施例1および実施例2の焼結体では、In23で表されるビックスバイト構造が主成分であり、Sm2Sn27で表されるパイロクロア構造も観察された。実施例1のSm2Sn27の格子定数は、10.50215×10-10mであり、実施例2のSm2Sn27の格子定数は、10.50397×10-10mであった。純物質のSm2Sn27の格子定数比べて、実施例のSm2Sn27の格子定数が小さくなっていることから、元素が密に詰まることにより熱伝導に有利になり、ヘアーラインクラックやチッピング等の割れに対する耐性が向上したものと推察される。In23(ZnO)3で表される六方晶層状構造も僅かに確認された。
比較例1および比較例2では、In23で表されるビックスバイト構造、およびSm2Sn27で表されるパイロクロア構造が確認された。比較例2では、さらにZn2SnO4で表されるスピネル構造も確認された。
比較例3では、In23で表されるビックスバイト構造が主成分であり、Zn2SnOで表されるスピネル構造も観察された。
実施例1および実施例2の焼結体では、In23で表されるビックスバイト構造の格子定数は、純物質のビックスバイト構造の格子定数(10.118×10-10m)より小さかった。そのため、In23で表されるビックスバイト構造に、サマリウム元素は固溶置換していないと考えられた。
さらに、実施例1および実施例2は、式(5)を満たしていた。
相対密度は実施例1、2および比較例1から比較例3で同程度であった。
一方で、実施例1、2は、比較例1から比較例3と比べてバルク抵抗が非常に低かった。
実施例1および実施例2は、成膜後のターゲットにクラックやノジュールは見られなかった。比較例1から比較例3は、成膜後のターゲットにクラックやノジュールが観察された。
この結果から、実施例1および実施例2の構成のように、式(1)から式(4)(および式(5))の条件を満たすITZOは、満たさない場合と比べて、焼結体およびスパッタリングターゲットの強度が高いことが分かった。また、バルク抵抗も非常に低いことが分かった。
<半導体薄膜の評価試験>
次に、実施例1、実施例2、および比較例3のスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件で半導体薄膜を製造し、特性を評価した。具体的な手順は以下の通りである。
なお、半導体薄膜の製造は、スパッタリングターゲットの成膜耐久評価を行う前に実施した。
(1)成膜工程
実施例1および実施例2の酸化物焼結体を研削研磨して、4インチφ×5mmtのスパッタリングターゲットを製造した。作製したスパッタリングターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングによって、図9(A)に示すように、ガラス基板81(日本電気硝子株式会社製ABC−G)上に、膜厚50nmの酸化物半導体薄膜83のみを成膜したサンプルを製造した。
成膜条件は以下の通りである。
雰囲気ガス:ArおよびO2
成膜前の背圧:5×10-4Pa
成膜時のスパッタ圧:0.5Pa
成膜時の酸素分圧:1%
(2)熱処理工程
次に、得られたサンプルを大気中にて350℃で、昇温速度10℃/分で30分間加熱処理した。
次に、製造した半導体薄膜について下記評価を行った。
<ホール効果測定>
まず、ガラス基板81および酸化物半導体薄膜83からなるサンプルから、平面形状が1cm角の正方形となるように試料を切り出した。次に、切り出した試料の4隅に金(Au)を、2mm×2mm以下の大きさ位になるように、メタルマスクを用いてイオンコーターで成膜した。次にAu金属上にインジウムはんだを乗せて、接触を良くしてホール効果測定用サンプルとした。
ホール効果測定用サンプルをホール効果・比抵抗測定装置(ResiTest8300型、東陽テクニカ社製)にセットし、室温においてホール効果を評価し、キャリヤ密度および移動度を求めた。
また、得られたサンプルの酸化物半導体層について、誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AES、島津製作所社製)で分析した結果、得られた酸化物半導体薄膜の原子比が、酸化物半導体薄膜の製造に用いた焼結体の原子比と同じであることを確認した。
また、誘導プラズマ発光分析装置で測定した金属元素の原子比が既知の標準酸化物薄膜の上面に、ソース・ドレイン電極をTFT素子と同様の材料を、チャネル長で形成したものを標準材料とし、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS(IMS 7f−Auto、AMETEK社製)により、酸化物半導体層の分析により各元素の質量スペクトル強度を得、既知の元素濃度と質量スペクトル強度の検量線を作製した。次に、実TFT素子の酸化物半導体膜部分を、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS分析によるスペクトル強度から、前述の検量線を用いて、原子比を算出した。算出された原子比は、別途薄膜蛍光X線分析装置XRF(AZX400、リガク社製)または、誘導プラズマ発光分析装置で測定された酸化物半導体膜の原子比の2原子%以内であり、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS分析で、薄膜XRF、または、誘導プラズマ発光分析と同等の精度で分析できることを確認した。
上記ホール効果測定用サンプルの酸化物半導体薄膜83上にさらに、CVD装置により基板温度250℃で、図9(B)に示すようにSiO2膜85を成膜したのち、上記と同じホール測定を実施した。また、SiO2膜を成膜したサンプルをさらに、基板温度350℃で、30分間、大気雰囲気にて加熱処理し、得られたサンプルの半導体薄膜について上記と同じホール測定を行った。この際、SiO2膜に測定用針を金の層まで突き刺し、コンタクトを取った。
<半導体薄膜の結晶特性>
ガラス基板および酸化物半導体層からなるサンプルについて、スパッタ後(膜堆積直後)の加熱していない膜、および表2の成膜後の加熱処理をした後の膜の結晶性をX線回折(XRD)測定によって評価した。
非晶質であるか否かは、XRDで、2θで30〜40°にピークが現れるか否かで判断した。
その結果、加熱前は非晶質であり、加熱後も非晶質であった。
<薄膜トランジスタの製造>
さらに、半導体薄膜を用いた、図3に示す薄膜トランジスタを以下の手順で製造した。
(1)成膜工程
熱酸化膜(ゲート絶縁膜30)付きのゲート電極としてのシリコンウェハ20上に、メタルマスクを介して50nmの酸化物半導体薄膜40を形成した。その他の条件は、ガラス基板上に半導体薄膜を形成した場合と同様とした。
(2)ソース・ドレイン電極の形成
次に、ソース・ドレインのコンタクトホール形状のメタルマスクを用いて、チタン金属をスパッタリングし、ソース電極50およびドレイン電極60としてチタン電極を成膜した。得られた積層体を大気中にて350℃で30分間加熱処理し、保護絶縁膜形成前の薄膜トランジスタを製造した。
(3)保護絶縁膜の形成
(2)で得られた保護絶縁膜形成前の薄膜トランジスタの半導体薄膜の上に、基板温度300℃で化学蒸着法(CVD)により、SiO2膜(保護絶縁膜;層間絶縁膜70B)を形成した。SiO2膜形成後、大気中にて350℃で1時間加熱処理し、保護絶縁膜を備える薄膜トランジスタを製造した。その後、ソース・ドレイン部に、装置のプローブピンにてコンタクトホールを形成してコンタクトを取り、薄膜トランジスタを製造した。
<薄膜トランジスタの評価>
製造した薄膜トランジスタについて、絶縁保護膜(SiO2膜)形成前の薄膜トランジスタ、および絶縁保護膜(SiO2膜)を形成し加熱処理した後の薄膜トランジスタの特性について、SiO2膜に測定用針を、ソース・ドレイン電極の金属チタンの層まで突き刺し、評価を行った。
<飽和移動度>
飽和移動度は、ドレイン電圧に20V印加した場合の伝達特性から求めた。具体的に、伝達特性Id−Vgのグラフを作成し、各Vgのトランスコンダクタンス(Gm)を算出し、飽和領域の式により飽和移動度を導いた。なお、Gmは∂(Id)/∂(Vg)によって表され、Vgは−15Vから25Vまで印加し、その範囲での最大移動度を飽和移動度と定義した。本発明において特に断らない限り、飽和移動度はこの方法で評価した。上記Idはソース・ドレイン電極間の電流、Vgはソース・ドレイン電極間に電圧Vdを印加したときのゲート電圧である。
<閾値電圧(Vth)>
閾値電圧(Vth)は、伝達特性のグラフよりId=10-9AでのVgと定義した。
<on−off比、Off電流>
on−off比は、Vg=−10VのIdの値をOff電流値とし、Vg=20VのIdの値をOn電流値として比[On/Off]を決めた。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0006858107
表2に示すように、実施例Aおよび実施例Bでは、半導体薄膜、薄膜トランジスタのいずれも、半導体としての特性が得られていた。特に、薄膜トランジスタ(TFT)では、SiO2成膜後に熱処理を行うと、SiO2成膜前(加熱処理後)よりも飽和移動度が向上していた。
比較例Aは薄膜、薄膜トランジスタ(TFT)のいずれも、薄膜が導電体になってしまい、半導体としての特性が得られなかった。
以上の結果から、本実施形態に係る組成範囲の酸化物焼結体を用いて成膜した酸化物半導体薄膜は、従来は導体化するインジウム、スズ、亜鉛の組成範囲であっても、軽希土類元素を添加することにより、半導体化することが分かった。さらに、オフ電流が小さく、SiO2成膜後に熱処理を行っても飽和移動度が向上するため、CVDプロセスで形成する際の加熱等で半導体特性が劣化しないことが分かった。
20…シリコンウェハ(ゲート電極)、30…ゲート絶縁膜、40…酸化物半導体薄膜、50…ソース電極、60…ドレイン電極、70…層間絶縁膜、70A…層間絶縁膜、70B…層間絶縁膜、81…ガラス基板、83…酸化物半導体薄膜、85…SiO2膜、100…薄膜トランジスタ、100A…薄膜トランジスタ。

Claims (10)

  1. In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素(LREE:light rare earth element:Xと記載する)の原子比が下記の式(1)から(4)を満たし、In23で表されるビックスバイト構造を主成分としてなることを特徴とする酸化物焼結体。
    0.55≦In/(In+Sn+Zn)≦0.90 ・・・(1)
    0.05≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(2)
    0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.20 ・・・(3)
    0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(4)
    ただし、前記軽希土類元素は、La、Nd、Sm、およびEuから選ばれる1種以上の元素である。
  2. Sn元素の全金属に対する含有量と軽希土類元素の全金属元素に対する含有量の比が、下記式(5)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体。
    1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(5)
  3. In23で表されるビックスバイト構造を主成分とし、さらにパイロクロア構造を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物焼結体。
  4. 前記パイロクロア構造がX2Sn27で表されるパイロクロア構造であることを特徴とする、請求項3に記載の酸化物焼結体。
  5. In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素を含み、残部が酸素と不可避不純物からなることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  6. バルク抵抗値が1.4mΩcm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の焼結体を備えることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  8. In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素(LREE:light rare earth element:Xと略す)の原子比が下記式(6)から(10)を満たす範囲であることを特徴とする非晶質酸化物半導体薄膜。
    0.55≦In/(In+Sn+Zn)≦0.90 ・・・(6)
    0.05≦Sn/(In+Sn+Zn)≦0.25 ・・・(7)
    0.05≦Zn/(In+Sn+Zn)≦0.20 ・・・(8)
    0.05≦X/(In+Sn+Zn+X)≦0.25 ・・・(9)
    1.2≦(Sn/全金属元素)/(X/全金属元素)≦3.5 ・・・(10)
    ただし、前記軽希土類元素は、La、Nd、Sm、およびEuから選ばれる1種以上の元素である。
  9. In元素、Zn元素、Sn元素および軽希土類元素を含み、残部が酸素と不可避不純物からなることを特徴とする、請求項8に記載の非晶質酸化物半導体薄膜。
  10. 請求項9記載の非晶質酸化物半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ。
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