以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
以下では、変位検出装置100が、油圧弁装置50のスプール(弁体)51の変位量(ストローク量)を検出するストロークセンサとして用いられる場合について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る変位検出装置100と油圧弁装置50の断面図である。図1に示すように、油圧弁装置50は、円筒状のスリーブ52と、スリーブ52内に配置され軸方向に往復動するスプール51と、を備える。油圧弁装置50では、スリーブ52に設けられた給排孔52aを通じてスプール51の一端面51aが臨む油室53に対して作動油が給排されることでスプール51が軸方向に変位する。スプール51が変位することでスリーブ52に形成されるポート(不図示)の開閉が制御される。変位検出装置100は、スプール51の一端面51aに対向するようにスリーブ52の端部に取り付けられる。
変位検出装置100は、変位検出対象部材であるスプール51に追従して変位する変位部材としてのロッド部材22と、ロッド部材22の一端側に配置されロッド部材22とともに変位する磁石24と、ロッド部材22を変位方向に往復動自在に支持する支持部材としてのケース12と、ケース12内に配置されロッド部材22をスプール51に向けて付勢する圧縮コイルばね27と、磁石24の変位方向と直交する方向において磁石24に対向するようにケース12に配置される磁気検出部32と、を備える。
ケース12は、圧縮コイルばね27が収容される有底筒状のケース本体120と、ケース本体120の開口部12gを塞ぐ蓋部材14と、を有する。ケース本体120および蓋部材14は、それぞれ真鍮等の非磁性材により形成される。ケース本体120は、円筒状の円筒部12aと、円筒部12aの一端側に設けられる底部12bと、円筒部12aの他端側に設けられる開口部12gと、円筒部12aの内部に形成される収容部12cと、を有する。収容部12cには、磁石24とともに磁石24が配置されるロッド部材22の一部が収容される。
円筒部12aには、円筒部12aの外周面に開口し収容部12cに向かって窪む固定穴12eが形成される。固定穴12eは非貫通の段付き穴であり、この固定穴12e内に磁気検出部32が固定される。
ケース本体120の底部12bには、ロッド部材22の軸部22aが挿通する支持孔12dが貫通して形成される。支持孔12dには、ロッド部材22の軸部22aを摺動自在に支持する軸受であるブッシュ18が軸方向に離間して2カ所に設けられる。ブッシュ18が2カ所に設けられることで、ケース本体120に片持ち支持されるロッド部材22の軸心が支持孔12dの軸心である支持軸心Oに対して傾くことを抑制できる。ブッシュ18は、1カ所に設けられてもよく、この場合、ケース本体120の軸方向長さを短縮できる。
ケース本体120の底部12bには、収容部12cと外部とを連通する連通孔12fが支持孔12dの周囲に複数形成される。連通孔12fの一端は、油圧弁装置50の油室53に開口しており、収容部12c内には連通孔12fを通じて油室53内の作動油が流入する。つまり、収容部12cは、作動油で満たされている。
ロッド部材22は、ブッシュ18を介してケース本体120により摺動自在に支持される円柱状の軸部22aと、軸部22aの先端に形成される半球状の接触端部22bと、軸部22aの基端に形成され軸部22aの径方向外側に向かって延びる略円板状のフランジ22cと、を有する。
フランジ22cには、軸部22aとは反対側に延在する円柱状の保持軸22dが軸部22aと同軸上に設けられる。保持軸22dの先端部には、後述するナット26の雌ねじが螺合する雄ねじが形成される。設計上では、ロッド部材22の中心軸と支持孔12dの支持軸心Oとが同軸上に配置されるように、ロッド部材22はケース本体120により支持される。つまり、ロッド部材22の中心軸は、支持軸心Oに一致する。
ロッド部材22は、ケース12と同様に非磁性材により形成される。ロッド部材22の接触端部22bにはスプール51が当接するため、真鍮よりも硬度の高いオーステナイト系ステンレス鋼等によりロッド部材22が形成される。
磁石24は、NdやSm等の希土類元素を含む円筒状に形成された永久磁石であり、N極24aとS極24bとが保持軸22dの軸方向に並ぶように、保持軸22dの外周に配置される。磁石24は、保持軸22dが挿通する挿通孔24cを有し、挿通孔24cから突き出た保持軸22dの先端部にワッシャ25を介してナット26が装着される。これにより、磁石24は、フランジ22cとナット26およびワッシャ25により挟持された状態で保持軸22dに固定される。ナット26およびワッシャ25は、磁性材により形成される。ナット26およびワッシャ25は、フランジ22cとの間で磁石24を挟持する部品であって、スプール51に追従して変位方向に変位する変位部材の構成部品である。
磁石24は、ロッド部材22に固定されるので、ロッド部材22とともにスプール51に追従し、支持軸心Oに沿って変位する。磁石24の変位に伴う磁界の変化は、磁気検出部32によって検出される。
磁気検出部32は、磁石24の変位に伴う磁界の変化に応じた出力値を出力するホール素子や磁気抵抗素子等の磁気センサ(不図示)と、磁気センサの出力値を処理する増幅回路等の処理回路(不図示)と、を有する。磁気検出部32は、磁気センサの出力値に基づいて演算されたロッド部材22の変位量、すなわち、ロッド部材22に当接するスプール51の変位量(ストローク量)に相当する検出値を出力する。
変位検出装置100内では、ロッド部材22が支持軸心Oに沿って変位すると、磁石24も変位し、磁気検出部32を通過する磁束の方向や大きさが変化する。磁気検出部32の出力値は、磁気検出部32を通過する磁束の方向や大きさの変化に応じて変化する。したがって、変位検出装置100は、磁気検出部32の出力値に基づいてロッド部材22の変位量、すなわち、スプール51の変位量を検出することができる。
磁気検出部32は、基板34に実装されており、基板34が円筒部12aに形成された固定穴12eの段部に固定されることにより、ケース本体120に組み付けられる。
磁気検出部32が固定穴12e内に配置された状態で、円筒部12aの外周には、固定穴12eを塞ぐようにして円筒状の磁気シールド16が組み付けられる。磁気シールド16は、磁気を遮蔽可能な鉄系合金等の保磁力の小さい軟磁性材により形成され、変位検出装置100の外部の磁気が磁気検出部32に影響を及ぼすことを抑制する。
磁気シールド16には切欠部(不図示)が形成され、この切欠部を通じてスプール51の作動を制御するコントローラ(不図示)と磁気検出部32とを接続するリード線(不図示)が配索される。
磁石24および磁石24が組み付けられるロッド部材22の一部が収容部12c内に収容された状態で、ケース本体120の開口部12gは、蓋部材14によって塞がれる。
ケース本体120の開口部12gは、収容部12cと外部とを連通する円形状の開口であり、収容部12cに連続して設けられる。ケース本体120の開口部12gには、ケース本体120の端面からケース本体120の内側に向かって径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ面12hが設けられる。
蓋部材14は、全体として先細り形状の略円錐台形状を呈する。蓋部材14は、基端側に設けられる円錐台形状の基端側テーパ部14aと、先端側に設けられる円錐台形状の先端側テーパ部14cと、基端側テーパ部14aと先端側テーパ部14cとの間に設けられる円柱形状の円柱部14bと、を有する。
基端側テーパ部14aは、蓋部材14の基端側から先端側に向かって径が小さくなるテーパ状に形成される。基端側テーパ部14aの外周面は、ケース本体120の開口部12gのテーパ面12hに面接触する接触面142である。テーパ面12hおよび接触面142は、蓋部材14における円錐台形状の先端側テーパ部14cの中心軸が、ロッド部材22を支持する支持孔12dの支持軸心Oに一致するように形成される。
円柱部14bは、基端側テーパ部14aから蓋部材14の先端側に突出する。先端側テーパ部14cは、円柱部14bから蓋部材14の先端側に突出する。先端側テーパ部14cは、蓋部材14の基端側から先端側に向かって径が小さくなるテーパ状に形成される。先端側テーパ部14cの外周面は、圧縮コイルばね27の端部が当接する傾斜面145である。
蓋部材14は、固定部材42がケース本体120に組み付けられることにより、固定部材42に押し付けられた状態でケース本体120に固定される。固定部材42は、蓋部材14をケース本体120の内側に向かって押圧する押圧部42aと、ケース本体120に固着される固着部42bと、を有する。押圧部42aは円板状に形成され、固着部42bは、円板状の押圧部42aの外周から立ち上がる円筒状に形成される。固着部42bの内周面には、ケース本体120の円筒部12aの外周面に形成される雄ねじに螺合する雌ねじが形成される。
固着部42bがケース本体120に固着されると、押圧部42aが蓋部材14の基端側の端面である基端面141を覆って支持する。固定部材42は、磁気シールド16と同様に、磁気を遮蔽可能な鉄系合金等の保磁力の小さい軟磁性材により形成され、押圧部42aがケース本体120の一端面の全体を覆っている。つまり、固定部材42は、蓋部材14を支持する機能を有するとともに、変位検出装置100の外部の磁気が磁気検出部32に影響を及ぼすことを抑制する磁気シールドとしての機能も有する。
円柱部14bの外周面143には、環状の溝147が設けられる。溝147には、蓋部材14とケース本体120との間の隙間をシールする環状のOリング48が装着される。Oリング48により収容部12cの内部と外部との連通が遮断され、蓋部材14とケース本体120との間から外部に作動油が漏れることが防止される。
先端側テーパ部14cは、支持軸心Oに対し軸対称な断面形状を有し、圧縮コイルばね27の内側に挿入される。先端側テーパ部14cは、圧縮コイルばね27の内側に向かって先細りとなるテーパ状に形成され、その外周面は、断面が直線状とされた傾斜面145である。傾斜面145は、変位方向に直交する仮想平面に対して傾斜しており、この傾斜面145に圧縮コイルばね27の端部の内周(コイルばねの中心径よりも径方向内側)が当接する。つまり、傾斜面145は、ケース12を構成する蓋部材14において圧縮コイルばね27の一端(図中右端)を支持するために設けられたばね受け面である。
先端側テーパ部14cの先端の径(先端側テーパ部14cにおいて最小となる径)、および先端側テーパ部14cの基端の径(先端側テーパ部14cにおいて最大となる径)は、圧縮コイルばね27の内径の公差を吸収できるように設定される。換言すれば、先端側テーパ部14cの最小径が、圧縮コイルばね27の内径の最小値よりも小さくなるように設定され、先端側テーパ部14cの最大径が、圧縮コイルばね27の内径の最大値よりも大きくなるように設定される。
このように傾斜面145を形成することにより、圧縮コイルばね27の内径が設計値(基準値)からずれている場合であっても、そのずれを傾斜面145によって吸収できるので、圧縮コイルばね27の中心軸を支持軸心Oに一致させることができる。たとえば、圧縮コイルばね27の内径が設計値よりも小さい場合、先端側テーパ部14cの小径側の部位で圧縮コイルばね27が位置決めされる。一方、圧縮コイルばね27の内径が設計値よりも大きい場合、先端側テーパ部14cの大径側の部位で圧縮コイルばね27が位置決めされる。
傾斜面145の外縁(平面視で環状となる傾斜面145の外周円)から円柱部14bの外縁との間には、支持軸心Oに直交する平坦な平面部144が形成される。圧縮コイルばね27は平面部144には接触していない。図に示すように、蓋部材14に支持される圧縮コイルばね27の端部は、傾斜面145のみに接触していてもよいが、傾斜面145および平面部144の双方に接触していてもよい。
ロッド部材22のフランジ22cは、円板状の基部127と、基部127から圧縮コイルばね27の内側に向かって先細りとなるテーパ部128と、を有する。テーパ部128の先端面126は円形状の平坦な面であり、先端面126に磁石24の端面が当接する。テーパ部128の外周面は、断面が放物線状とされた傾斜面125である。傾斜面125は、変位方向に直交する仮想平面に対して傾斜しており、この傾斜面125に圧縮コイルばね27の端部の内周側(コイルばねの中心径よりも径方向内側)が当接する。つまり、傾斜面125は、ロッド部材22において圧縮コイルばね27の他端(図中左端)を支持するために設けられたばね受け面である。
テーパ部128の先端の径(テーパ部128において最小となる径)、およびテーパ部128の基端の径(テーパ部128において最大となる径)は、圧縮コイルばね27の内径の公差を吸収できるように設定される。換言すれば、テーパ部128の最小径が、圧縮コイルばね27の内径の最小値よりも小さくなるように設定され、テーパ部128の最大径が、圧縮コイルばね27の内径の最大値よりも大きくなるように設定される。
このように傾斜面125を形成することにより、上述の傾斜面145と同様、圧縮コイルばね27の内径が設計値(基準値)からずれている場合であっても、そのずれを傾斜面125によって吸収できるので、圧縮コイルばね27の中心軸を支持軸心Oに一致させることができる。
支持軸心Oに直交する平面に対する傾斜面125,145の傾斜角度は、傾斜面125,145から圧縮コイルばね27に作用する力と、圧縮コイルばね27の許容荷重を考慮して設定される。つまり、傾斜面125,145の傾斜角度は、以下の式(1)で表される条件を満足するように設定される。
(圧縮コイルばねの径方向の許容荷重)>(圧縮コイルばねの軸力)×(傾斜面の傾斜角度による径方向への分力の割合)・・・(1)
傾斜面125の外縁(平面視で環状となる傾斜面125の外周円)から円板状の基部127の外縁との間には、支持軸心Oに直交する平坦な平面部124が形成される。圧縮コイルばね27は平面部124には接触していない。図に示すように、ロッド部材22のフランジ22cに支持される圧縮コイルばね27の端部は、傾斜面125のみに接触していてもよいが、傾斜面125および平面部124の双方に接触していてもよい。
圧縮コイルばね27は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材で形成された弾性部材であり、ロッド部材22のフランジ22cと蓋部材14との間に圧縮された状態で組み付けられる。このため、圧縮コイルばね27の付勢力は、スプール51に対してロッド部材22を押し付ける方向に常に作用する。変位検出装置100が油圧弁装置50に組み付けられていないときには、ロッド部材22は、圧縮コイルばね27の付勢力により押圧され、ロッド部材22のフランジ22cがケース本体120の底部12bに当接した状態となる。
ロッド部材22のフランジ22cと蓋部材14とによって圧縮コイルばね27の両端部が支持されるので、フランジ22cから蓋部材14側に突出する保持軸22dに保持される磁石24が圧縮コイルばね27の内側に配置される。
図2Aは、無研削クローズドエンドとされた圧縮コイルばね27の端部の形状を示す部分拡大図である。図2Bは、研削クローズドエンドとされた圧縮コイルばね27Gの端部の形状を示す部分拡大図である。図2Aおよび図2Bでは、圧縮コイルばねの端部の形状を模式的に示しており、圧縮コイルばねの素線の直径(線径)を実際よりも大きく示し、中心径を実際よりも小さく示している。
図2Bに示すように、圧縮コイルばね27Gは、平坦なばね受け面に配置されることを考慮して、座面(平坦なばね受け面に接触する面)27bが平坦となるように、その端部の形状が研削されたクローズドエンドとされることが一般的である。クローズドエンドとは、圧縮コイルばねの端部形状の一種で、端末がコイル軸方向に隣のコイルと接している形状のことである。
しかしながら、本実施形態では、圧縮コイルばねの両端部を支持するばね受け面のそれぞれが傾斜面125,145とされている。このため、端部が研削されたクローズドエンドの圧縮コイルばね27Gを採用した場合、研削された平坦な座面27bの角部(エッジ)27eが傾斜面125,145に接することになる。
座面27bの角部27eが傾斜面125,145に接している場合、圧縮コイルばね27Gが不安定な状態となるおそれがある。この場合、圧縮コイルばね27Gの収縮過程で、圧縮コイルばね27Gが支持軸心Oに直交する方向に撓むおそれ、ならびに、座面27bの角部(エッジ)27eが接する傾斜面125,145および圧縮コイルばね27Gの端部が削れるおそれがある。
そこで、本実施形態では、図2Aに示すように、座面を平坦とする研削加工が施されていない無研削のクローズドエンドとされた圧縮コイルばね27を採用している。圧縮コイルばね27の端部の断面形状が円形であり、素線の外周曲面が傾斜面125,145に接することになるので、圧縮コイルばね27を安定した状態で配置することができる。その結果、圧縮コイルばね27が支持軸心Oに直交する方向に撓んでしまうこと、ならびに傾斜面125,145および圧縮コイルばね27の端部が削れてしまうことを防止できる。
圧縮コイルばね27は、180度以上の範囲Rで傾斜面125,145に接していることが好ましい。本実施形態では、先端からコイルの中心軸周りに180度以上の範囲Rに亘って、円弧部27aが設けられる。円弧部27aを構成する素線の中心軸は、コイルの中心軸に対して直交する。これにより、圧縮コイルばね27の座り(配置の安定性)をよくすることができる。
円弧部27aは、圧縮コイルばね27における座巻部の一部または全部に相当する。このため、傾斜面125,145に接する圧縮コイルばね27の端部における座巻数は、0.5以上とすることが好ましい。これにより、傾斜面125,145に接する座巻部が180度以上確保されるので、座巻数が0.5未満の場合に比べて、安定して圧縮コイルばね27が傾斜面125,145により保持される。座巻部とは、圧縮コイルばね27の端部で見かけ上、ばねとして作用しない部分のことである。
図3は、比較例に係る変位検出装置900の圧縮コイルばね27を支持するフランジ922cと蓋部材914について示す図である。図3に示すように、比較例に係るロッド部材922のフランジ922cは、円板状の基部927と、基部927から磁石24側に突出するように設けられる円板状の突出部928と、を有する。突出部928には磁石24の端面が当接される。圧縮コイルばね27の端部は、基部927の外周縁部に当接され、圧縮コイルばね27の端部に突出部928が挿入される。ロッド部材922のフランジ922cにおいて、圧縮コイルばね27を支持するばね受け面924は、支持軸心Oに直交する平坦な面である。
蓋部材914は、ボルトなどの締結部材(不図示)により、ケース本体920に固定される円板状のフランジ914dと、フランジ914dからケース本体920の内側に向かって突出する円板状の基部914bと、基部914bから磁石24側に向かって突出する円板状の突出部914cと、を有する。フランジ914dは、開口部912gの開口面積よりも大きい面積を有し、開口部912gを覆うように配置される。基部914bは、ケース本体120の内側にOリング48を介して挿入される。圧縮コイルばね27の端部は、基部914bの外周縁部に当接され、圧縮コイルばね27の内側に突出部914cが挿入される。蓋部材914において、圧縮コイルばね27を支持するばね受け面945は、支持軸心Oに直交する平坦な面である。
ここで、製造誤差により圧縮コイルばね27の内径が突出部928,914cの外径よりも小さいと、圧縮コイルばね27に突出部928,914cを挿入することができない。この場合、圧縮コイルばね27を基部927,914bのばね受け面924,945に当接させることができない。一方、製造誤差により圧縮コイルばね27の内径が突出部928,914cの外径よりも大きいと、図示するように、圧縮コイルばね27の内周と突出部928,914cの外周との間に隙間が生じる。これにより、圧縮コイルばね27の中心軸が、ロッド部材922に対する支持軸心Oに対して傾いたり、ずれたりするおそれがある。
圧縮コイルばね27の中心軸が支持軸心Oに対して傾いた状態では、ロッド部材922の変位に応じて発生する変位方向の付勢力(軸力)が、圧縮コイルばね27の中心軸が傾いていない状態での付勢力に対して誤差が生じる。つまり、ロッド部材922に作用する軸力が、設計上の特性とは異なるものとなる。したがって、圧縮コイルばね27の中心軸が傾いた状態で検出された変位量は、実際の変位量に対して誤差を有することとなり、結果として変位検出装置900の検出精度が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、図1に示すように、圧縮コイルばね27の中心軸が支持軸心Oに一致するように、フランジ22cおよび蓋部材14の双方に圧縮コイルばね27の端部を支持する傾斜面125,145が設けられる。傾斜面125,145は、支持軸心Oに直交する平面(図3に示すばね受け面924,945)に対して傾斜している。これにより、製造誤差があったとしても、圧縮コイルばね27の傾きを抑制できるので、圧縮コイルばね27による変位方向の付勢力(軸力)の誤差を低減でき、結果として変位検出装置100の検出精度を向上できる。
圧縮コイルばね27は、収縮に伴って僅かに拡径するので、圧縮コイルばね27とケース本体120の内周との接触を回避するために、圧縮コイルばね27の外周とケース本体120の内周との間には隙間が設けられる。しかしながら、図3に示すように、比較例に係る変位検出装置900では、製造誤差や組み付け誤差等により、圧縮コイルばね27の中心軸が支持軸心Oに対してずれるおそれがある。圧縮コイルばね27が偏心した状態では、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の外周とケース本体920の内周とが接触することによって、ケース本体920が摩耗するおそれがある。
ケース本体920が摩耗すると、削りカスが軸部22aの摺動部分に侵入するコンタミネーションが生じ、ブッシュ18や軸部22aが削りカスにより傷つけられるおそれがある。比較例において摩耗を防止するために、ケース本体920と圧縮コイルばね27との隙間を大きくした場合、ケース本体920の径方向寸法が大きくなるおそれがある。
また、圧縮コイルばね27が偏心した状態では、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の内周と磁石24の外周とが接触することにより、磁石24が摩耗するおそれがある。磁石24が摩耗すると、磁気特性が変化し、変位検出装置100による検出精度が低下するおそれがある。比較例において摩耗を防止するために、磁石24を小さくして、磁石24と圧縮コイルばね27との隙間を大きくした場合、磁気検出部32から磁石24までの距離が大きくなるので、変位検出装置900の検出精度が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、図1に示すように、圧縮コイルばね27を支持する傾斜面125,145によって、圧縮コイルばね27の中心軸が支持軸心Oに一致するように位置決めされる。このため、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の外周とケース本体120の内周とが接触することを防止できる。その結果、ケース本体120が摩耗することを防止して、ケース本体120の摩耗に起因したコンタミネーションの発生を防止できる。
また、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の内周と磁石24の外周とが接触することを防止できる。その結果、磁石24が摩耗することを防止して、磁石24の摩耗に起因する検出精度の低下を防止できる。
このように、本実施形態によれば、変位検出装置100の大型化を回避しつつ、ケース本体120や磁石24の摩耗を防止し、かつ、ロッド部材22に作用する圧縮コイルばね27の軸力の誤差を低減することにより検出精度を向上することができる。
本実施形態における変位検出装置100の製造方法について説明する。図4は、変位検出装置100の製造手順を示すフローチャートである。図4に示すように、変位検出装置100の製造方法は、準備工程S110と、磁気検出部取付工程S120と、磁気シールド取付工程S130と、磁石取付工程S140と、ロッド部材挿入工程S150と、ばね挿入工程S160と、蓋部材取付工程S170と、蓋部材固定工程S180と、を備える。
準備工程S110では、ロッド部材22、圧縮コイルばね27、磁石24、磁気検出部32が実装された基板34、磁気シールド16、ならびに、ケース12を構成するケース本体120および蓋部材14を準備する。ブッシュ18は、予めケース本体120の支持孔12dに装着される。
磁気検出部取付工程S120において、作業者は、固定穴12eの段部に、磁気検出部32が実装された基板34を固定する。
磁気シールド取付工程S130において、作業者は、磁気シールド16をケース本体120に組み付ける。
磁石取付工程S140は、ロッド部材22に磁石24を取り付ける工程である。磁石取付工程S140において、作業者は、ロッド部材22の保持軸22dを磁石24の挿通孔24cに挿通させ、ワッシャ25を介してナット26を保持軸22dの先端部の雄ねじに螺着する。所定の締め付け力でナット26を締め付けることにより、ナット26とフランジ22cとにより磁石24が挟持される。
ロッド部材挿入工程S150において、作業者は、ケース本体120の開口部12gからケース本体120の内部にロッド部材22を挿入し、ロッド部材22の軸部22aの先端をケース本体120の底部12bに設けられた支持孔12dに挿通する。
ばね挿入工程S160において、作業者は、ケース本体120の開口部12gからケース本体120の内部に圧縮コイルばね27を挿入し、ロッド部材22のフランジ22cの傾斜面125に圧縮コイルばね27の端部を位置決めする。
蓋部材取付工程S170において、作業者は、蓋部材14をケース本体120の開口部12gに挿入し、蓋部材14の傾斜面145に圧縮コイルばね27の端部を位置決めするとともに、蓋部材14をケース本体120に取り付ける。蓋部材14の溝147には、予めOリング48が装着されている。
上述したように、本実施形態では、ケース本体120の開口部12gに、ケース本体120の端面からケース本体120の内側に向かって内径が小さくなるテーパ面12hが形成されている。このため、蓋部材14を開口部12gに挿入する際、Oリング48が開口縁部と蓋部材14との間に噛みこまれることを防止できる。
蓋部材固定工程S180において、作業者は、固定部材42をケース本体120にねじ込み、ケース本体120に固着することにより、蓋部材14をケース本体120に固定する。ここで、固定部材42と蓋部材14とが一体である場合、蓋部材固定工程S180において、圧縮コイルばね27の一端が蓋部材14とともに回転し、圧縮コイルばね27がケース本体120の内部で捻られ、圧縮コイルばね27が損傷するおそれがある。これに対して、本実施形態では、蓋部材14とは別に雌ねじが形成された固定部材42を備えている。このため、蓋部材固定工程S180において、圧縮コイルばね27が捻られることが防止され、圧縮コイルばね27の損傷を防止できる。
図3に示す比較例では、ケース本体920の開口部912gにテーパ面が形成されていない。円板状の基部914bと、開口部912gの内周面との間には僅かな隙間が形成されているので、フランジ914dがボルト等によりケース本体920に取り付けられた状態では、基部914bの中心軸が支持軸心Oから僅かにずれるおそれがある。基部914bが偏心すると、基部914bの中心軸と圧縮コイルばね27の中心軸が一致したとしても、圧縮コイルばね27の中心軸が支持軸心Oからずれることになる。
これに対して、図1に示す本実施形態では、上述したように、開口部12gにテーパ面12hが形成されている。作業者は、蓋部材14をケース本体120に取り付け、蓋部材14を固定部材42により押し込む。これにより、開口部12gのテーパ面12hに蓋部材14の接触面142が接触するので、ケース本体120に対する蓋部材14の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
以上により、変位検出装置100が完成する。なお、上記製造手順は一例であって、各工程の順番は上記した例に限らない。たとえば、磁気検出部取付工程S120および磁気シールド取付工程S130は、任意のタイミングで行うことができる。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
(1)ロッド部材22を支持する支持部材であるケース12には、圧縮コイルばね27の一端を支持する第1ばね受け面として、ロッド部材22の変位方向(すなわち支持軸心Oに平行な方向)に直交する平面に対して傾斜する傾斜面145が設けられる。磁石24が配置され、スプール51とともに変位する変位部材であるロッド部材22には、圧縮コイルばね27の他端を支持する第2ばね受け面として、変位方向に直交する平面に対して傾斜する傾斜面125が設けられる。
圧縮コイルばね27を傾斜面125,145によって支持することにより、圧縮コイルばね27の中心軸がロッド部材22を支持する支持孔12dの支持軸心Oに一致するように、圧縮コイルばね27を位置決めすることができる。これにより、圧縮コイルばね27の傾きを抑制し、圧縮コイルばね27による変位方向の付勢力(軸力)の誤差を低減できるので、結果として変位検出装置100の検出精度を向上させることができる。
(2)また、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の外周とケース12の内周とが接触することを防止できる。その結果、ケース12が摩耗することを防止でき、ケース12の摩耗に起因したコンタミネーションの発生を防止できる。
(3)傾斜面125および傾斜面145のそれぞれは、圧縮コイルばね27の内側に向かって先細りとなるテーパ部128および先端側テーパ部14cの外周面であり、圧縮コイルばね27の内周に接する。圧縮コイルばね27の内側にテーパ部128および先端側テーパ部14cが配置されるので、圧縮コイルばね27の外側にテーパ部を配置させる場合(図6参照)に比べて、ケース12の径方向寸法を小さくできる。つまり、変位検出装置100を小型化できる。
(4)磁石24は、圧縮コイルばね27の内側に配置されるので、磁石24が圧縮コイルばねの外側に配置される場合(図7参照)に比べて、ケース12の軸方向寸法を小さくできる。つまり、変位検出装置100を小型化できる。
(5)ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の内周と磁石24の外周とが接触することを防止できる。その結果、磁石24が摩耗することを防止でき、磁石24の摩耗に起因した検出精度の低下を防止できる。
(6)圧縮コイルばね27の端部の形状がオープンエンドである場合、圧縮コイルばね27が支持軸心Oに対して傾いてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、傾斜面125,145に接する圧縮コイルばね27の端部の形状が、クローズドエンドであるので、圧縮コイルばね27が支持軸心Oに対して傾いてしまうことを防止して、圧縮コイルばね27の配置の安定性を向上できる。
(7)さらに、本実施形態では、傾斜面125,145に接する圧縮コイルばね27の端部の形状は、無研削のクローズドエンドである。これにより、研削されたクローズドエンドとする場合に比べて、圧縮コイルばね27の配置の安定性を向上できる。
(8)傾斜面125,145に接する圧縮コイルばね27の端部は、180度以上の範囲Rで傾斜面125,145に接している。これにより、圧縮コイルばね27の配置の安定性を向上できる。
(9)ケース12は、圧縮コイル27ばねが収容される有底筒状のケース本体120と、ケース本体120の開口部12gを塞ぐ蓋部材14と、を有する。ケース本体120の開口部12gは、ケース本体120の内側に向かって径が小さくなるテーパ面12hを有する。蓋部材14の先端側には、第1ばね受け面である傾斜面145が設けられ、蓋部材14の基端側には、開口部12gのテーパ面12hに面接触する接触面142が設けられる。これにより、蓋部材14をケース本体120の開口部12gに精度良く位置決めすることができるので、蓋部材14に支持される圧縮コイルばね27の位置決め精度を向上できる。
(10)変位検出装置100は、蓋部材14とケース本体120との間をシールする環状のOリング48を備えている。これにより、ケース12内部の作動油を密封することができる。蓋部材14には、先端側の傾斜面145と基端側の接触面142との間に、Oリング48が装着される溝147が設けられる。ケース本体120の開口部12gには、テーパ面12hが設けられているので、蓋部材14を開口部12gに装着する際にOリング48がケース本体120と蓋部材14との間に噛みこまれることを防止できる。つまり、本実施形態によれば、Oリング48の噛みこみを防止するテーパ面12hを利用して、ケース本体120に対する蓋部材14の位置決め精度を向上できる。
(11)変位検出装置100は、蓋部材14をケース本体120に固定する固定部材42を備える。固定部材42は、蓋部材14をケース本体120の内側に向かって押圧する押圧部42aと、ケース本体120に固着される固着部42bと、を有する。このような構成によれば、ケース本体120の開口部12gに対して、蓋部材14を一方向に挿入するだけでよい。蓋部材14を回転させる必要がないため、蓋部材14を開口部12gに挿入する過程で、蓋部材14の回転により圧縮コイルばね27が捻られ、損傷するなどの不具合を防止できる。
(12)固定部材42は、磁気を遮蔽可能な磁気シールドであり、押圧部42aは、蓋部材14の基端側の端面である基端面141を覆っている。これにより、変位検出装置100の外部の磁気が磁気検出部32に影響を及ぼすことを抑制できる。蓋部材14を固定する固定部材42が磁気シールドとしての機能を有しているので、固定部材42とは別に蓋部材14の基端側を覆う磁気シールド専用の部材を設ける必要がない。このため、変位検出装置100の構成部品を低減できる。
(13)変位検出装置100では、ロッド部材22のフランジ22cが収容される収容部12cが作動油で満たされている。収容部12c内の作動油は、ロッド部材22が支持軸心O方向に変位する際、フランジ22cと円筒部12aとの間の隙間を流れるため、ロッド部材22は、ロッド部材22が移動する方向とは反対方向に作用する抵抗力を作動油から受けることになる。本実施形態では、圧縮コイルばね27が傾斜面125,145によって位置決めされているため、圧縮コイルばね27に対して作動油から力が作用したとしても、径方向に位置ずれが生じることを防止できる。
(14)作業者は、有底筒状のケース本体120の開口部12gからロッド部材22および圧縮コイルばね27を順次挿入し、蓋部材14によって開口部12gを塞ぐ。本実施形態では、ケース本体120の片側(開口部12g側)から各種部品をケース本体120に組み付ける必要があるが、傾斜面125,145によって圧縮コイルばね27の位置決めがなされるので、圧縮コイルばね27の位置合わせ作業を容易に、かつ精度よく行うことができる。
<第2実施形態>
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る変位検出装置200について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る変位検出装置200の断面図である。第2実施形態では、第1実施形態における固定部材42およびOリング48(図1参照)が設けられていない。また、第2実施形態では、ケース212を構成する蓋部材214の形状が第1実施形態と異なる。
図5に示すように、蓋部材214は、基端側に設けられる円板状のフランジ214dと、フランジ214dからケース本体120の内側に向かって突出する基端側テーパ部214aと、基端側テーパ部214aからケース本体120の内側に向かって突出する先端側テーパ部214cと、を有する。
基端側テーパ部214aおよび先端側テーパ部214cは、それぞれ蓋部材214の先端側に向かって径が小さくなるテーパ状に形成される。基端側テーパ部214aの外周面は、ケース本体120の開口部12gのテーパ面12hに面接触する接触面142である。先端側テーパ部214cの外周面は、圧縮コイルばね27の端部が当接される傾斜面145である。
フランジ214dは、ボルト242により、ケース本体120に固定される。本実施形態では、ボルト242が蓋部材214をケース本体120に固定する固定部材に相当する。ボルト242の頭部は、蓋部材214をケース本体120の内側に向かって押圧する押圧部に相当し、ボルトの軸部は、ケース本体120に固着される固着部に相当する。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した(1)〜(9),(11),(14)と同様の作用効果を奏する。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、蓋部材14,214における先端側テーパ部14c,214cの外周面が、圧縮コイルばね27の内周に接する傾斜面145とされる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図6に示す変位検出装置300のように、ケース312を構成する蓋部材314の先端側の外周縁部に、基端側に窪む凹部340を設け、この凹部340に圧縮コイルばね27の端部の外周(コイルばねの中心径よりも径方向外側)に接する傾斜面345を設けてもよい。このような変形例によれば、第1実施形態で説明した(1),(2),(4)〜(14)と同様の作用効果を奏する。
(変形例2)
上述した実施形態では、磁石24が圧縮コイルばね27の内側に配置される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図7に示すように、磁石24と圧縮コイルばね427を軸方向に並べて配置してもよい。本変形例に係る変位検出装置400では、圧縮コイルばね427の一端が、ケース412を構成する蓋部材414に設けられる傾斜面445によって支持され、圧縮コイルばね427の他端が、変位部材の構成部品であるナット426に設けられる傾斜面425によって支持される。傾斜面445は、第1実施形態で説明した傾斜面145と同様、圧縮コイルばね427の端部の内周に接する。傾斜面425は、第1実施形態で説明した傾斜面125と同様、圧縮コイルばね427の端部の内周に接する。このような変形例によれば、第1実施形態で説明した(1)〜(3),(6)〜(14)と同様の作用効果を奏する。
(変形例3)
上述した実施形態では、圧縮コイルばね27の両端部を支持するばね受け面の双方が、傾斜面である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。圧縮コイルばね27の両端部を支持するばね受け面の一方を傾斜面とし、他方を変位方向に直交する平面としてもよい。このような場合であっても、圧縮コイルばね27の両端部を支持するばね受け面の双方を変位方向に直交する平面とする場合に比べて、支持軸心Oに対する圧縮コイルばね27の中心軸のずれ、および、圧縮コイルばね27の傾きを抑制できる。
(変形例4)
上述した実施形態では、ナット26を保持軸22dに螺着し、ナット26とロッド部材22のフランジ22cとの間で磁石24を挟持する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ナット26に代えて、保持軸22dの先端部にかしめ加工を施して形成されるかしめ部により磁石24を保持軸22dに固定してもよい。この場合、かしめ部と磁石24との間に配置される当て板を磁性材で形成することが好ましい。
(変形例5)
第1実施形態において、固定部材42により蓋部材14をケース本体120に固定する例について説明し、第2実施形態において、ボルト242により蓋部材214をケース本体120に固定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ケース12,212の内部と外部との圧力差が小さいなど、蓋部材14,214に大きな力が作用しない場合には、圧入や接着により蓋部材14,214をケース本体120の開口部12gに装着してもよい。この場合、蓋部材14,214を固定する固定部材42、ボルト242を省略することができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、および効果をまとめて説明する。
変位検出装置100,200,300,400は、スプール51に追従して変位するロッド部材22と、ロッド部材22をスプール51に向けて付勢する圧縮コイルばね27,427と、ロッド部材22に配置され、ロッド部材22とともに変位する磁石24と、ロッド部材22を変位方向に往復動自在に支持するケース12,212,312,412と、磁石24の変位に伴う磁界の変化を検出する磁気検出部32と、を備え、ケース12,212,312,412には、圧縮コイルばね27,427の一端を支持する第1ばね受け面が設けられ、ロッド部材22には、圧縮コイルばね27,427の他端を支持する第2ばね受け面が設けられ、第1ばね受け面および第2ばね受け面の少なくとも一方は、変位方向に直交する平面に対して傾斜する傾斜面145,345,445,125,425である。
この構成では、圧縮コイルばね27,427を傾斜面145,345,445,125,425によって支持することにより、ロッド部材22の変位方向に対して、圧縮コイルばね27,427の傾きを抑制することができるので、圧縮コイルばね27,427による変位方向の付勢力(軸力)の誤差を低減できる。その結果、変位検出装置100,200,300,400の検出精度を向上させることができる。
変位検出装置100,200,300,400は、第1ばね受け面および第2ばね受け面の双方が、傾斜面145,345,445,125,425である。
この構成では、第1ばね受け面および第2ばね受け面の双方に傾斜面145,345,445,125,425が設けられるので、圧縮コイルばね27,427の両端を適正に位置決めすることができる。これにより、第1ばね受け面および第2ばね受け面の一方に傾斜面145,345,445,125,425を設ける場合に比べて圧縮コイルばね27,427の位置決め精度を向上できるので、圧縮コイルばね27,427の傾きをより効果的に抑制できる。
変位検出装置100,200,400は、傾斜面145,445,125,425は、圧縮コイルばね27,427の内側に向かって先細りとなるテーパ部(14c,214c,128)の外周面であり、圧縮コイルばね27,427の内周に接する。
この構成では、圧縮コイルばね27,427の内側にテーパ部(14c,214c,128)が配置されるので、圧縮コイルばね27,427の外側にテーパ部を配置させる場合に比べて、変位検出装置100,200,400を小型化できる。
変位検出装置100,200,300は、磁石24は、圧縮コイルばね27の内側に配置される。
この構成では、磁石24が圧縮コイルばね27の内側に配置されるので、磁石24が圧縮コイルばね27の外側に配置される場合に比べて、変位検出装置100,200,300を小型化できる。圧縮コイルばね27が傾斜面145,345,125によって適正に位置決めされるので、ロッド部材22が往復動する際、圧縮コイルばね27の内周と磁石24の外周とが接触することを防止できる。その結果、磁石24が摩耗することを防止できる。
変位検出装置100,200,300,400は、傾斜面145,345,445,125,425に接する圧縮コイルばね27,427の端部の形状は、無研削のクローズドエンドである。
この構成では、傾斜面145,345,445,125,425に接する圧縮コイルばね27,427の端部の形状が無研削のクローズドエンドであるので、圧縮コイルばね27,427の端部の形状がオープンエンドである場合、および、研削されたクローズドエンドである場合に比べて、圧縮コイルばね27,427の配置の安定性を向上できる。
変位検出装置100,200,300,400は、圧縮コイルばね27,427の端部は、180度以上の範囲Rで傾斜面145,345,445,125,425に接している。
この構成では、圧縮コイルばね27,427の端部が180度以上の範囲Rで傾斜面145,345,445,125,425に接しているので、傾斜面145,345,445,125,425に接する範囲が180度未満である場合に比べて、圧縮コイルばね27,427の配置の安定性を向上できる。
変位検出装置100,200,300,400は、ケース12,212,312,412は、圧縮コイルばね27,427が収容される有底筒状のケース本体120と、ケース本体120の開口部12gを塞ぐ蓋部材14,214,314,414と、を有し、開口部12gは、ケース本体120の内側に向かって径が小さくなるテーパ面12hを有し、蓋部材14,214,314,414の先端側には、第1ばね受け面が設けられ、蓋部材14,214,314,414の基端側には、開口部12gのテーパ面12hに面接触する接触面142が設けられる。
この構成では、蓋部材14,214,314,414に設けられるテーパ状の接触面142を、ケース本体120の開口部12gに設けられるテーパ状のテーパ面12hに面接触させることにより、ケース本体120に対する蓋部材14,214,314,414の位置決め精度を向上できる。これにより、蓋部材14,214,314,414の第1ばね受け面によって支持される圧縮コイルばね27,427の位置決め精度を向上できる。
変位検出装置100,300,400は、蓋部材14,314,414とケース本体120との間をシールする環状のOリング48をさらに備え、第1ばね受け面は、傾斜面145であり、蓋部材14,314,414には、傾斜面145と接触面142との間に、Oリング48が装着される溝147が設けられる。
この構成では、Oリング48により、ケース内部の流体を密封することができる変位検出装置100,300,400において、ケース本体120の開口部12gにテーパ面12hが設けられているので、蓋部材14,314,414を開口部12gに装着する際にOリング48がケース本体120と蓋部材14,314,414との間に噛みこまれることを防止できる。つまり、Oリング48の噛みこみを防止するテーパ面12hを利用して、ケース本体120に対する蓋部材14,314,414の位置決め精度を向上できる。
変位検出装置100,200,300,400は、蓋部材14,214,314,414をケース本体120に固定する固定部材42、ボルト242をさらに備え、固定部材42、ボルト242は、蓋部材14,214,314,414をケース本体120の内側に向かって押圧する押圧部42aと、ケース本体120に固着される固着部42bと、を有する。
この構成では、蓋部材14,214,314,414をケース本体120に固定する際、ケース本体120の開口部12gに対して、蓋部材14,214,314,414を一方向に挿入するだけでよい。蓋部材14,214,314,414を回転させる必要がないため、蓋部材14,214,314,414を開口部12gに挿入する過程で、蓋部材14,214,314,414の回転により圧縮コイルばね27,427が捻られ、損傷するなどの不具合を防止できる。
変位検出装置100,300,400は、固定部材42は、磁気を遮蔽可能な磁気シールドであり、押圧部42aは、蓋部材14,314,414の基端面141を覆う。
この構成では、変位検出装置100,300,400の外部の磁気が磁気検出部32に影響を及ぼすことを抑制できる。また、固定部材42が磁気シールドとしての機能を有しているので、固定部材42とは別に蓋部材14,314,414の基端側を覆う磁気シールド専用の部材を設ける必要がない。このため、変位検出装置100,300,400の構成部品を低減できる。
変位検出装置100,200,300,400の製造方法は、スプール51に追従して変位するロッド部材22と、ロッド部材22をスプール51に向けて付勢する圧縮コイルばね27,427と、ロッド部材22に配置され、ロッド部材22とともに変位する磁石24と、圧縮コイルばね27,427が収容され、ロッド部材22を変位方向に往復動自在に支持するケース12,212,312,412と、磁石24の変位に伴う磁界の変化を検出する磁気検出部32と、を備え、ケース12,212,312,412には、圧縮コイルばね27,427の一端を支持する第1ばね受け面が設けられ、ロッド部材22には、圧縮コイルばね27,427の他端を支持する第2ばね受け面が設けられ、第1ばね受け面および第2ばね受け面の少なくとも一方は、変位方向に直交する平面に対して傾斜する傾斜面145,345,445,125,425であり、ケース12,212,312,412は、圧縮コイルばね27,427が収容される有底筒状のケース本体120と、ケース本体120の開口部12gを塞ぐ蓋部材14,214,314,414と、を有する変位検出装置100,200,300,400の製造方法であって、ロッド部材22に磁石24を取り付ける磁石取付工程S140と、開口部12gからケース本体120の内部にロッド部材22を挿入し、ロッド部材22の一端をケース本体120の底部12bに設けられた支持孔12dに挿通するロッド部材挿入工程S150と、開口部12gからケース本体120の内部に圧縮コイルばね27,427を挿入し、ロッド部材22の第2ばね受け面に圧縮コイルばね27,427の他端を位置決めするばね挿入工程S160と、蓋部材14,214,314,414を開口部12gに挿入し、蓋部材14,214,314,414の第1ばね受け面に圧縮コイルばね27,427の一端を位置決めするとともに、蓋部材14,214,314,414をケース本体120に取り付ける蓋部材取付工程S170と、固定部材42をケース本体120に固着することにより蓋部材14,214,314,414をケース本体120に固定する蓋部材固定工程S180と、を備える。
この構成では、ケース本体120の開口部12gに対して、蓋部材14,214,314,414を一方向に挿入するだけでよい。蓋部材14,214,314,414を回転させる必要がないため、蓋部材14,214,314,414を開口部12gに挿入する過程で、蓋部材14,214,314,414の回転により圧縮コイルばね27,427が捻られ、損傷するなどの不具合を防止できる。組み立てられた変位検出装置100,200,300,400では、圧縮コイルばね27,427を支持する傾斜面145,345,445,125,425によって、圧縮コイルばね27,427の中心軸がロッド部材22を支持する支持孔12dの支持軸心Oに一致するように位置決めされる。これにより、圧縮コイルばね27,427による変位方向(支持軸心Oと平行な方向)の付勢力(軸力)の誤差を低減できる。その結果、変位検出装置100,200,300,400の検出精度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。