JP6857480B2 - 既設柱の補強構造 - Google Patents
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Description
当該既設柱の補強構造では、鋼板のコの字状の一端部と柱面との間、及び、鋼板のコの字の他端部と柱面との間に、それぞれ、間隔保持部を設け、そして、鋼棒を、鋼板のコの字の一端部と間隔保持部と柱と間隔保持部と鋼板のコの字の他端部とに貫通させて、当該鋼棒の両端部をそれぞれ緊締具で固定することによって、鋼板のコの字の両端部を既設柱に固定し、かつ、鋼板と既設柱の柱面との間にモルタル等の充填材を充填して鋼板と既設柱とを一体化するようにしている。
つまり、従来の既設柱の補強構造では、既設柱の三面のほぼ全面を覆うように既設柱の延長方向に長い長尺な断面コ字状の鋼板を用いているため、鋼板の剛性が大きくなりすぎて、既設柱の曲げ変形に鋼板が追従できずに、鋼板と既設柱とが分離し、既設柱内の主筋で囲まれたコアコンクリートを拘束する効果が小さくなって、既設柱の変形性能が低くなったと考えられる。
本発明は、既設柱の柱面の四面から補強する鋼板巻き立て工法の適用が困難である場合の既設柱の補強構造において、せん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱の補強構造を提供するものである。
また、補強材は、既設柱の周方向に沿った長さが既設柱の延長方向に沿った長さよりも長い帯状の補強板であるので、既設柱のコアコンクリートを、帯状補強板で拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、既設柱の変形性能が向上する。
実施形態1による既設柱の補強構造は、図1に示すように、断面が四角形状(例えば、正方形、長方形、平行四辺形、台形等)の既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて複数の補強部2を備える。
即ち、帯状補強板3は、既設柱1の外形に対応するように、直線状の帯状の鋼板の延長方向の両端側を折り曲げてコの字状に形成された補強板であり、帯幅方向が既設柱1の延長方向と一致するように配置される。
つまり、帯状補強板3は、既設柱1の周方向に沿った長さが既設柱1の延長方向に沿った長さよりも長い帯状の補強板であって、既設柱1の露出する三面1a,1b,1cのうちの互いに対向する一対の面1b,1cと対向する両方の端部(両端部)31,31と、既設柱1の互いに平行に対向する一対の面1b,1cと隣り合う面1aと対向する中央部32とを備えた構成、即ち、既設柱1の外周面のうちの互いに隣り合う三面1b,1a,1cと対向する端部31,31及び中央部32を備えるようにコの字状の形成された帯状板である。
また、帯状補強板3,3…の配置間隔W、即ち、既設柱1の延長方向に沿って配置された延長方向に隣り合う帯状補強板3,3における既設柱1の延長方向に沿った方向の中心位置間の間隔W(図1参照)は、例えば、帯筋12の直径よりも大きく、かつ、既設柱1の断面最小径寸法をDとした場合の1/2D以下に設定される。
また、帯状補強板3,3…の配置間隔Wは、既設柱1内において既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて配筋された帯筋12,12…(図3参照)の配置間隔の整数倍に設定される。
また、帯状補強板3,3…の配置間隔Wは、例えば、既設柱1の延長方向の両端部側においては狭く、既設柱1の延長方向の中央部側においては広くなるように設定される(図1参照)。
補強部材42は、例えば既設柱1の延長方向に短尺な等辺山形鋼(アングル)により形成される。
スペーサ43は、補強部材42として用いる等辺山形鋼の板厚と同じ板厚の例えば鋼板により構成される。
支圧部材44は、鉄筋41を貫通させる貫通孔47を備えるとともに、貫通孔47の一方の開口側に第1ナット45を収容するナット収容孔48を備えた例えば鋼板により構成される。
角部側間隔維持手段51は、既設柱1の角部を既設柱1の延長方向に沿って覆うことが可能なように既設柱1の延長方向に長い断面L字状に形成された例えば等辺山形鋼(アングル)等の長尺材53と、既設柱1の角部を既設柱1の延長方向に沿って覆うように取付けられた長尺材53の外面より突出するように設けられた間隔形成手段54とを備えて構成される。
当該間隔形成手段54は、帯状補強板3の角部の下端面33が載置される底面及び充填材充填空間の底面を形成する底面形成体55と、充填材充填空間の左右側の側壁を形成する左右の側壁形成体56,56とを備えて構成される。
底面形成体55は、例えば鋼板により形成され、溶接などの固定手段により長尺材53の外面に固定されることで、水平な底面を形成するものである。
また、側壁形成体56は、例えば、スポンジ、発泡スチロール、ゴム等の柔軟部材が長尺材53の外面に接着剤等で固定されることで、充填材充填空間の側壁を形成するものである。
間隔形成手段54は、長尺材53の延長方向に沿って帯状補強板3,3…の配置間隔Wに対応した間隔を隔てて長尺材53の外面に形成される。
帯状補強板3のコの字の両方の端部31,31と対応する既設柱1の互いに対向する一方の面1bと他方の面1cとに貫通するように形成された鉄筋貫通孔1hに貫通材としての鉄筋41を貫通させ、一方の面1bよりも外側に突出する鉄筋41の一端部41aの横に当該一端部41aを挟むように補強部材42とスペーサ43とを既設柱1に取付けるとともに、他方の面1cよりも外側に突出する鉄筋41の他端部41bの横に当該他端部41bを挟むように補強部材42とスペーサ43とを既設柱1に取付ける(図3参照)。
尚、まず、既設柱1に鉄筋貫通孔1hを形成するとともに、鉄筋貫通孔1hの一方の面1bに開口する開口部の横に補強部材42となる等辺山形鋼の互いに直交する板部のうちの一方の板部42a(補強部材42の一部)を埋め込むために必要な穴(有底穴)1j(図2参照)を形成する。同様に、鉄筋貫通孔1hの他方の面1cに開口する鉄筋貫通孔1hの開口部の横に補強部材42となる等辺山形鋼の互いに直交する板部のうちの一方の板部42aを埋め込むために必要な穴(有底穴)1jを形成する。
そして、鉄筋貫通孔1hに鉄筋41を貫通させた状態で、鉄筋貫通孔1hの両端開口側及び穴1jに充填材52としてのモルタルを充填し、穴42hに充填されたモルタルが乾燥する前に当該充填されたモルタル部分に等辺山形鋼の一方の板部42aを挿入して挿入孔42h(図2,図3参照)を形成し、モルタルが乾燥する前に等辺山形鋼の一方の板部42aをモルタル部分から引き抜いて、挿入孔42hの開口縁側に盛り上がった余分なモルタルを除去した後、等辺山形鋼の一方の板部42aを再び当該挿入孔42hに挿入してモルタルの乾燥を待つ。以上により、等辺山形鋼(補強部材42)の一部としての板部42aが既設柱1の内側に埋め込まれる。尚、等辺山形鋼の一部としての板部42aは、既設柱1内に配筋された帯筋12(図3参照)の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込む。尚、補強部材42の後述する第2の部分としての板部42bの内面(L字の内側の面)は、既設柱1の対応する面に例えばエポキシ系の接着剤で接着される。
さらに、各スペーサ43を既設柱1の対応する面に例えばエポキシ系の接着剤で接着した状態で、等辺山形鋼(補強部材42)とスペーサ43との間から突出する鉄筋41の一端部41a及び他端部41bにそれぞれ支圧部材44の貫通孔47及びナット収容孔48を通した後に、鉄筋41の一端部41a及び他端部41bにそれぞれ第1ナット45を螺着して当該第1ナット45をナット収容孔48の底に締結することにより、支圧部材44を既設柱1の面1b及び面1cにそれぞれ固定する。このように、支圧部材44の表面から座繰りされて形成されたナット収容孔48内で第1ナット45を締結することにより、支圧部材44を介してスペーサ43及び補強部材42を既設柱1の面1b,1cに押し付けているので、スペーサ43の脱落を防止できて、作業をスムーズに行えるようになる。
尚、支圧部材44とスペーサ43とが接する面同士、及び、支圧部材44と補強部材42とが接する面同士が、例えばエポキシ系の接着剤で接着される。
また、支圧部材44と帯状補強板3の端部31とが接する面同士が、例えばエポキシ系の接着剤で接着される。
そして、複数の帯状補強板3を、既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて既設柱1に固定する。
以上により、断面四角形状の既設柱1の外周面のうちの三面1a,1b,1cに亘って延長して既設柱1に取付けられるコの字状の帯状補強板3が、既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて複数設けられた既設柱1の補強構造となる。
さらに、既設柱1の角部に、帯状補強板3と底面形成体55と側壁形成体56,56とで囲まれた充填材充填空間が形成され、当該充填材充填空間にモルタル等の充填材52を充填することにより、既設柱1の角部と帯状補強板3の角部とが一体化した状態の既設柱1の補強構造となる。尚、既設柱1の角部と長尺材53の内面との間に隙間が生じる場合には、当該隙間にもモルタル等の充填材52を充填する。
また、既設柱1のコアコンクリートが、帯状補強板3、充填材52、鉄筋41、一部(板部42a)が既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込まれた補強部材42を備えた補強部2で囲まれた構成の既設柱1の補強構造となる。
また、鉄筋41を既設柱1に貫通させるために既設柱1に形成された鉄筋貫通孔1hの両端開口側において、補強部材42の一部である板部42aを既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込むことにより、既設柱1のコアコンクリートを、当該補強部材42,42、鉄筋41、充填材52(角部補強手段5)、帯状補強板3を備えた補強部2で囲んで拘束するようにした。即ち、支障物100が存在する一つの面1dの両側縁である角部1f;1fを覆うように当該角部1f;1fの外側に帯状補強板3を設けることができない場合であっても、一つの面1dの角部1f;1f側において補強部材42の一部である板部42aを既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込むことにより、一つの面1dの角部1f;1f側から既設柱1のコアコンクリートを拘束できるようになるため、既設柱1のコアコンクリートを残存させる効果が向上して、既設柱1の水平変位の最大耐力点以降の既設柱1の耐力の低下が緩やかになり、既設柱1の変形性能(靭性)がより向上する。
換言すれば、実施形態1による既設柱1の補強方法は、断面四角形の既設柱1において支障物100が存在する第1の面1dと当該第1の面1dと隣り合う第2の面1b,1cとの境界部分である角部1f,1f側から当該既設柱1のコアコンクリートを拘束する既設柱1の補強方法であって、角部1f,1f側の第2の面1b,1c側から既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込まれた補強部材42を、既設柱1のコアコンクリートを既設柱1の角部1f,1f側から拘束する部材として利用した既設柱1の補強方法であり、当該補強方法を採用した既設柱1の補強構造である実施形態1による既設柱1の補強構造では、支障物100が存在する第1の面1dと当該第1の面1dと隣り合う第2の面1b,1cとの境界部分である角部1f,1fを備えた断面四角形の既設柱1において、角部1f,1f側の第2の面1b,1c側から既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで一部が埋め込まれて既設柱1のコアコンクリートを既設柱1の角部1f,1f側から拘束する補強部材42,42を備えている。
尚、当該補強部材42は、第2の面1b,1c側から既設柱1内に埋め込まれる第1の部分として板部42aと、板部42aより延長する第2の部分としての板部42bとを備えた、断面L字状の等辺山形鋼等により形成される。そして、補強部材42の一部である第1の部分として板部42aが既設柱1内に配筋された帯筋12の位置よりも既設柱1の中心に近い位置まで埋め込まれて、かつ、補強部材42の第2の部分としての板部42bが第2の面1b又は第2の面1cに接触した状態に維持されるように支持手段によって支持されている。
実施形態1の場合、支持手段は、上述した貫通材としての鉄筋41と、スペーサ43と、第1ナット45により鉄筋41に固定された支圧部材44と、角部側間隔維持手段51と、既設柱1において支障物100が存在しない面1a,1b,1cに対向するように設けられて第2ナット46により当該鉄筋41に固定された帯状補強板3とにより形成され、補強部材42の第1の部分としての板部42aが、鉄筋41に沿って鉄筋41の近傍に埋め込まれた構成となっているため、補強部材42により、角部1f側から既設柱1のコアコンクリートを拘束できて、既設柱1の変形性能(靭性)がより向上する。
即ち、実施形態1の場合、支持手段は、補強部材42の板部42a(第1の部分)の延長方向に沿って延長して補強部材42を支持するように既設柱1に取付けられて両端部41a,41bが既設柱1の第2の面1b,1cよりも突出するように設けられた棒材としての鉄筋(貫通鉄筋)41と、既設柱1の第2の面1b,1cよりも突出する鉄筋41の両端部41a,41bに取付けられて補強部材42の板部42b(第2の部分)を既設柱1の第2の面1b,1cに押圧する押圧手段とを備え、当該押圧手段が、スペーサ43と、第1ナット45により鉄筋41の端部に固定された支圧部材44と、第2ナット46により鉄筋41の端部に固定された帯状補強板3とで構成される。
また、実施形態1の場合、補強部材42が支持手段によって強固に支持されるとともに、既設柱1の露出する三面1a,1b,1cにおける互いに隣り合う面と面との境界である角部が角部側間隔維持手段51によって強固に支持されるので、既設柱1の4つの角部側から既設柱1のコアコンクリートを拘束できて、既設柱1の変形性能(靭性)がより向上する。
実施形態1では、一部が既設柱1に埋め込まれる補強部材42を設けるようにしたが、図4に示すように、補強部材42を設けない構造としてもよい。即ち、貫通材としての鉄筋41と、鉄筋41を貫通させる貫通孔47を備えるとともに貫通孔47の一方の開口側に第1ナット45を収容するナット収容孔48を備えた支圧部材60と、第1ナット45と、第2ナット46とを用いて構成された固定手段4Aを備えた構成とした。
実施形態2の場合、実施形態1と比べて、コアコンクリートを残存させる効果は劣るが、実施形態1と同様に、既設柱1に力が加わった場合に、既設柱1の曲がりにコの字状の帯状補強板3,3…が追従しやすくなって、既設柱1の変形性能(靭性)が向上するという効果は得られる。
また、実施形態2の場合、補強部材42を設けないが、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3、充填材52、鉄筋41を備えた補強部2で囲んで拘束するようにしているので、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、従来の補強構造と比べてせん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
また、実施形態1と同様に、既設柱1を貫通して両端が既設柱1の外周面の互いに対向する面より突出するように設けられた貫通材としての鉄筋41の両端部側に、既設柱1の周方向に延長する帯状補強板3の延長方向の両端部31,31側が固定されたので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3及び鉄筋41で囲んで拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、既設柱1の変形性能が向上する。また、コの字状に形成された帯状補強板3と角部側間隔維持手段51とを用い、既設柱1の角部と帯状補強板3の角部との間にモルタル等の充填材52を充填したので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3で拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、せん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
即ち、従来例では、既設柱の三面のほぼ全面を覆うように既設柱の延長方向に長い長尺な断面コ字状の鋼板を用いているため、上述したように、鋼板の剛性が大きくなりすぎて、既設柱の曲げ変形に鋼板が追従できずに、鋼板と既設柱とが分離するため、既設柱のコアコンクリートを拘束する効果が小さくなり、既設柱の変形性能が低くなったと考えられる。
図6に示すように、既設柱1の三面1a,1b,1cとコの字状の帯状補強板3の内面との間に形成された空間全体にモルタル等の充填材52を充填した構造としてもよい。この場合、鉄筋貫通孔1h及び帯状補強板3のコの字の両方の端部31,31に形成された鉄筋貫通孔49,49に鉄筋41の両端部41a,41bを貫通させた後に、鉄筋41の両端部41a,41bにそれぞれナット61,61を螺着して帯状補強板3の端部31,31の外面に固定手段としてのナット61,61をそれぞれ締結する。
実施形態3においても、既設柱1の外周面のうちの三面1a,1b,1cに亘って延長して既設柱1に取付けられたコの字状の帯状補強板3が、既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて複数設けられた補強構造となるので、既設柱1の曲がりに各帯状補強板3,3…が追従しやすいようになって、既設柱1のコアコンクリートを拘束する効果が高くなり、せん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
また、実施形態3においても、既設柱1を貫通して両端が既設柱1の外周面の互いに対向する面より突出するように設けられた貫通材としての鉄筋41の両端部側に、既設柱1の周方向に延長する帯状補強板3の延長方向の両端部31,31側が固定されたので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3及び鉄筋41で囲んで拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、既設柱1の変形性能が向上する。また、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3、充填材52、鉄筋41を備えた補強部2で囲んで拘束するようにし、かつ、既設柱1と帯状補強板3との間にモルタル等の充填材52を充填したので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3で拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、せん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
図7に示すように、既設柱1の三面1a,1b,1cとコの字状の帯状補強板3の内面とを接着剤62で固定した構造としてもよい。
この場合、帯状補強板3として鋼板を用いても良いが、鋼板の内面を既設柱1の三面に追従させて密着させることが困難である場合には、帯状補強板3の内面を既設柱1の三面1a,1b,1cに追従させて密着させ易くするため、帯状補強板3として、柔軟性を有したシート、例えば、炭素繊維シートを用いることが好ましい。また、この場合、帯状補強板3と既設柱1との密着性を向上させるため、既設柱1及び帯状補強板3の両端部31,31を貫通させて突出させた鉄筋41の両端部41a,41bに支圧板63を介して固定手段としてのナット61を締結することが好ましい。
実施形態4においても、既設柱1の外周面のうちの三面1a,1b,1cに亘って延長して既設柱1に取付けられたコの字状の帯状補強板3が、既設柱1の延長方向に沿って間隔を隔てて複数設けられた補強構造となるので、既設柱1の曲がりに各帯状補強板3,3…が追従しやすいようになって、既設柱1のコアコンクリートを拘束する効果が高くなり、従来の補強構造と比べてせん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
また、実施形態4においても、既設柱1を貫通して両端が既設柱1の外周面の互いに対向する面より突出するように設けられた貫通材としての鉄筋41の両端部側に、既設柱1の周方向に延長する帯状補強板3の延長方向の両端部31,31側が固定されたので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3及び鉄筋41で囲んで拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、既設柱1の変形性能が向上する。また、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3、鉄筋41を備えた補強部2で囲んで拘束するようにし、かつ、既設柱1と帯状補強板3とを接着剤62で接着したので、既設柱1のコアコンクリートを、帯状補強板3で拘束できて、コアコンクリートを残存させる効果が向上し、せん断補強効果と同時に変形性能を向上させた既設柱1の補強構造となる。
また、各実施形態では、貫通材として鉄筋41を用いた例を示したが、貫通材としては、鉄筋41以外のもの、例えば、PC鋼棒等を用いても構わない。
また、各実施形態では、補強材として帯状補強板3を用いた例を示したが、補強材として、例えば、コの字状に形成された棒材を用いても良い。
1b,1c 既設柱の互いに対向する面、3 帯状補強板(帯状補強材)、12 帯筋、
31,31 帯状補強板の両端部、41 鉄筋(貫通材)、42 補強部材、
42a 補強部材の一部。
Claims (2)
- 断面四角形状の既設柱の外周面のうちの三面に亘って延長して既設柱に取付けられる補強材を、既設柱の延長方向に沿って間隔を隔てて複数設けた既設柱の補強構造であって、
既設柱を貫通して両端が既設柱の外周面の互いに対向する面より突出するように設けられた貫通材の両端部側に、既設柱の周方向に延長する補強材の延長方向の両端部側が固定され、かつ、
貫通材を既設柱に貫通させるために既設柱に形成された貫通孔の両端開口側において、一部が既設柱内に配筋された帯筋の位置よりも既設柱の中心に近い位置まで埋め込まれて既設柱のコアコンクリートを拘束する補強部材が設けられたことを特徴とする既設柱の補強構造。 - 補強材は、既設柱の周方向に沿った長さが既設柱の延長方向に沿った長さよりも長い帯状の補強板であることを特徴とする請求項1に記載の既設柱の補強構造。
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JP2016198694A JP6857480B2 (ja) | 2016-10-07 | 2016-10-07 | 既設柱の補強構造 |
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