JP6857301B2 - 電力需要量予測装置及び電力需要量予測方法 - Google Patents

電力需要量予測装置及び電力需要量予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置及び電力需要量予測方法に関する。
従来、新電力等の電力事業者は、例えば、日本卸電力取引所(電力取引市場)における一日前市場(スポット市場)や、当日市場(時間前市場)から電力を調達し、その調達した電力を需要家(電力需要施設を利用する居住者等)に供給している。そのような電力の調達においては、調達量と実際の電力需要量とが一致しない場合、ペナルティ料金(インバランス料金)や無駄(電力会社への無償提供)が生じるため、電力事業者は、電力需要量を精度良く予測することが求められる。例えば、電力事業者は、電力を市場から調達する際に、過去(前日や前々日)の需要家の消費電力(使用電力量)に基づき電力需要量を予測することが知られている。
一方、需要家の消費電力には、外気温や湿度などの気象条件に応じて変動する消費電力が含まれるため、過去の消費電力をそのまま電力需要量の予測に反映するだけでは、調達量と実際の電力需要量とを精度良く一致させることは難しい。また、電力需要量の予測を外気温の予測値に基づき適宜修正することも考えられるが、熟練したオペレータによる手作業が必要となり、その作業負荷も大きい。
これに対し、消費電力予測モデルと予測対象時点の外気温とに基づいて、需要家の予測対象時点の消費電力を予測する電力需要予測システムが知られている(特許文献1参照)。この電力需要予測システムでは、外気温電力関係(外気温と、消費電力のうち外気温に応じて変動する外気温変動電力との関係)を抽出し、その抽出された外気温電力関係に基づいて、外気温に応じた需要家の消費電力を予測するための消費電力予測モデルを作成する。
特許第6193400号公報
上記特許文献1に記載された従来技術では、需要家の使用電力を、所定期間において一定のベース電力と、外気温に応じて変動する外気温変動電力と、需要家(居住者等)の行動に応じて変動する行動電力とからなる細目に分離する。そして、消費電力予測モデルの作成にあたり、外気温と消費電力との相関が高い時間帯の過去の消費電力値データに基づいて、外気温電力関係を抽出し、その外気温電力関係に基づいて、需要家の電力の使用状態である行動状態を推定し、その推定された行動状態に基づいて、外気温に応じた需要家の行動状態を予測するための行動状態予測モデルを作成し、需要家の消費電力のうち外気温変動電力と基準となるベース電力とを除いた残りの電力である行動電力を算出し、行動電力と行動状態とに基づいて、各行動状態における需要家の行動電力を予測する。
したがって、上記従来技術では、消費電力予測モデルを作成するためのデータ処理が複雑であるという問題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、過去の需要家の使用電力量に関するデータを用いて簡易な処理により需要家の電力需要量を予測可能とする電力需要量予測装置及び電力需要量予測方法を提供することを主目的とする。
本発明の電力需要量予測装置は、数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置であって、前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得する使用電力量取得部と、前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得する気象情報取得部と、前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定するモデルパラメータ決定部と、予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出する電力需要量算出部と、を備え、前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含む構成とする。
本発明の電力需要量予測方法は、数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置による電力需要量予測方法であって、前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得し、前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得し、前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定し、予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出し、前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含む構成とする。
本発明によれば、過去の需要家の使用電力量に関するデータを用いて簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となる。
第1実施形態に係る電力需要量予測装置の機能ブロック図 第1実施形態に係る電力需要量予測装置のハードウェア構成図 第1実施形態に係る電力需要量予測装置による電力需要量予測処理の流れを示すフロー図 図3中のモデルパラメータの決定処理(ステップST101)の詳細を示すフロー図
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置であって、前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得する使用電力量取得部と、前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得する気象情報取得部と、前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定するモデルパラメータ決定部と、予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出する電力需要量算出部と、を備え、前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含む構成とする。
これによれば、過去の需要家の使用電力量のデータにおける外気温と相関の高いデータの抽出や、需要家の行動状態の予測などの複雑な処理を必要とすることなく、過去の需要家の使用電力量に関するデータを用いて簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となる。
また、第2の発明では、前記複数のモデルパラメータは、前記第1から第3の項にそれぞれ含まれる第1から第3のモデルパラメータを含み、前記第2のモデルパラメータは、前記第2の項が正となるように、非負の値に拘束される構成とする。
これによれば、数理モデルにおいて気象に依存する使用電力量の解釈が容易となる。
また、第3の発明では、前記複数のモデルパラメータは、前記第1から第3の項にそれぞれ含まれる第1から第3のモデルパラメータを含み、前記モデルパラメータ決定部は、前記第1から第3のモデルパラメータを含む所定の対数尤度関数を最大化するように、前記第1から第3のモデルパラメータのうちのいずれか2つを固定し、残りの1つのモデルパラメータを決定することにより、前記第1から第3のモデルパラメータを順次決定する構成とする。
これによれば、過去の需要家の使用電力量に関するデータを用いてより簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となる。
また、第4の発明では、前記モデルパラメータ決定部は、前記過去の気象情報を構成するデータをクラスタリングし、前記クラスタリングによって生成された複数のクラスターに基づき、前記過去の気象に依存する使用電力量に基づく関数を決定する構成とする。
これによれば、簡易な処理により需要家の電力需要量を精度良く予測することが可能となる。
また、第5の発明では、前記過去の気象情報は、外気温、湿度、天気、及び降水量のうちの少なくとも1つのデータを含む構成とする。
これによれば、容易に取得可能な気象情報に基づき、簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となる。
また、第6の発明では、前記過去の気象情報は、所定の時間帯における前記データの代表値である構成とする。
これによれば、より容易に取得可能な気象情報に基づき、簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となり、また、時刻に依存する気象情報を用いることによる電力需要量の予測処理の複雑化を回避できる。
また、第7の発明では、オペレータによって入力される前記需要家が位置する地域で開催された過去のイベントの情報を取得するイベント情報取得部を更に備え、前記第2の項は、前記イベントの影響に基づく関数を含み、前記電力需要量算出部は、予測対象日に開催されるイベントの予定情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出する構成とする。
これによれば、過去のイベントの情報を考慮することにより、需要家の電力需要量をより精度良く予測することが可能となる。
また、第8の発明では、数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置による電力需要量予測方法であって、前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得し、前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得し、前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定し、予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出し、前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含む構成とする。
これによれば、過去の需要家の使用電力量のデータにおける外気温と相関の高いデータの抽出や、需要家の行動状態の予測などの複雑な処理を必要とすることなく、過去の需要家の使用電力量に関するデータを用いて簡易な処理により需要家の電力需要量を予測することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力需要量予測装置1の機能ブロック図である。
電力需要量予測装置1は、後述する予測モデル(数理モデル)に基づき、予測対象日時(ここでは、予測対象日を構成する複数の時間帯)における複数の需要家2の電力需要量を予測する装置である。電力需要量予測装置1は、インターネットやLANなどの通信用のネットワーク3を介してアグリゲータ4と通信可能に接続されている。電力需要量予測装置1による予測結果はアグリゲータ4に提供される。これにより、アグリゲータ4は、電力需要量の予測結果に基づき、予測対象日時に複数の需要家2が使用する可能性のある電力を電力取引市場5から調達する。
複数の需要家2は、例えば、家屋やオフィスビル等の電力需要施設を利用する者(居住者、施設管理者など)である。各需要家2は、それぞれ所定の時間間隔で電力使用量(ここでは、1日を構成する各30分間の電力使用量)を計測するスマートメータ(SM)6を備える。スマートメータ6は、アグリゲータ4と通信可能に接続されており、計測した電力使用量のデータをアグリゲータ4に送信する。
アグリゲータ4は、例えば、小規模の新電力等の電力事業者であり、必要な情報処理を行う管理装置10を備える。アグリゲータ4において、オペレータは、管理装置10を使用することにより、各スマートメータ6で計測された電力使用量のデータを集計する処理や、電力取引市場5から電力を調達する処理を行うことができる。なお、管理装置10は、後述する電力需要量予測装置1と同様に、所定のプログラムによって動作するコンピュータによって構成することができる。ただし、管理装置10によって実行される処理は、複数のコンピュータによって分担されてもよい。
電力取引市場5は、例えば、日本卸電力取引所であり、アグリゲータ4や発電事業者の電力の売買を可能とする。
図1に示すように、電力需要量予測装置1は、使用電力量取得部11、記憶部12、気象情報取得部13、イベント情報取得部16、モデルパラメータ決定部17、電力需要量算出部21、及び予測結果送信部23を有する。
使用電力量取得部11は、需要家2による過去の使用電力量(すなわち、消費電力の実績)の情報をアグリゲータ4から順次取得する。その取得された使用電力量の情報は記憶部12に記憶される。
気象情報取得部13は、需要家2が位置する(すなわち、需要家2の電力需要施設が設置された)地域における過去の気象情報を、外部の気象情報データベース(DB)14から順次取得する。その取得された過去の気象情報は、上述の使用電力量の情報に適宜対応づけられ、記憶部12に記憶される。図示は省略するが、気象情報データベース14は、ネットワーク3を介して電力需要量予測装置1と通信することができる。
そのような過去の気象情報には、気温(外気温)、湿度、天気、及び降水量などに関するデータが含まれる。ここでは、過去の気象情報は、所定の時間帯におけるデータの代表値(例えば、1日における平均値、中央値、最高値、及び最低値など)とするとよい。ただし、電力需要量予測装置1では、所定の日時における過去の気象情報を使用することも可能である。
イベント情報取得部16は、需要家2の電力需要施設が設置された地域において過去に実施されたイベントの情報、及び予測対象日に実施されるイベントの予定情報を取得する。それらの取得された情報は記憶部12に記憶される。そのようなイベントの情報には、対象の地域で実施された行事や、催し物などの名称や、実施された日時などの情報が含まれる。また、イベント情報取得部16は、電力需要量予測装置1の入力装置35(図2参照)からオペレータが入力した過去のイベントの情報、及び予測対象日に実施されるイベントの予定情報を取得することができる。
モデルパラメータ決定部17は、記憶部12から過去の使用電力量の情報、過去の気象情報、及び過去のイベント情報を取得する。また、モデルパラメータ決定部17は、それらの過去の情報に基づき、後に詳述する予測モデルのモデルパラメータを決定する。なお、モデルパラメータの決定において、過去のイベント情報は必須ではなく、モデルパラメータ決定部17は、イベント情報の取得を省略してもよい。
電力需要量算出部21は、予測対象日における気象の予測情報を、予測モデルに適用することにより、需要家の電力需要量を算出する。また、電力需要量算出部21は、必要に応じて予測対象日に実施されるイベントの予定情報を需要家の電力需要量の算出に用いることができる。この予測モデルは、モデルパラメータ決定部17によってモデルパラメータが決定されたものである。
また、電力需要量算出部21は、気象の予測情報を外部の気象予報機関22から取得する。この気象予報機関22は、例えば、気象庁や民間の民間気象情報会社である。電力需要量算出部21は、それらが運用するサーバ装置から気象の予測情報を取得することができる。なお、電力需要量予測装置1が算出する電力需要量は、複数の需要家2の電力需要量の総量であるが、各需要家2の電力需要量を個別に予測することも可能である。
予測結果送信部23は、電力需要量算出部21によって算出された需要家の電力需要量(予測値)を含む予測結果を、ネットワーク3を介してアグリゲータ4の管理装置10に送信する。
なお、図1では、電力需要量予測装置1およびアグリゲータの管理装置10を個別に設ける例を示したが、電力需要量予測装置1を管理装置10と一体に設ける(すなわち、管理装置10に電力需要量予測装置1としての機能を付加する)こともできる。あるいは、アグリゲータの管理装置10が、電力需要量予測装置1の一部の機能を備え、電力需要量予測装置1と協働して需要家2の電力需要量を予測する構成としてもよい。
図2は、第1実施形態に係る電力需要量予測装置1のハードウェア構成図である。
電力需要量予測装置1は、公知のハードウェアを有するコンピュータから構成される。電力需要量予測装置1の本体部には、所定の制御プログラムに基づき各種情報処理や周辺機器の制御等を統括的に実行するCPU(Central Processing Unit)等からなるプロセッサ31、プロセッサ31のワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)32、プロセッサ31が実行する制御プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)33、及びネットワーク3を介した通信処理を実行するネットワークインターフェース34が設けられ、それら各構成要素はバス40を介して相互に接続されている。
また、電力需要量予測装置1は、周辺機器として、電力需要量予測装置1のオペレータが各種命令やデータを入力するためのキーボードやタッチパネル等から構成される入力装置35、電力需要量予測装置1が実行する電力需要量予測処理に関する各種情報を表示するモニタ36、及び電力需要量予測処理で使用する各種データやそれらデータの演算結果等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)等から構成されるストレージ37を備える。ストレージ37は、上述の記憶部12を構成する。
上述の図1に示した電力需要量予測装置1における各部の機能(その少なくとも一部)は、プロセッサ31が所定の制御プログラムを実行することによって実現可能である。なお、電力需要量予測装置1の機能の少なくとも一部を他の公知のハードウェアによる処理によって代替してもよい。
次に、電力需要量予測装置1による電力需要量予測処理について説明する。図3は、第1実施形態に係る電力需要量予測装置1による電力需要量予測処理の流れを示すフロー図である。
電力需要量予測処理では、モデルパラメータ決定部17が、予測モデルのモデルパラメータ(ここでは、後に詳述する第1から第3のモデルパラメータα、γ、σ)を決定する(ST101)。
続いて、電力需要量算出部21は、予測対象日(電力取引市場5から電力を調達する日)の気象の予測情報を気象予報機関22から取得する(ST102)。このとき、電力需要量算出部21は、必要に応じて予測対象日に実施されるイベントの予定情報を取得することができる。
その後、電力需要量算出部21は、気象の予測情報(例えば、気温等に関する予測値)を予測モデルに適用(入力)することにより、需要家2の電力需要量(予測値)を算出する(ST103)。ここで、算出された電力需要量は、電力需要量予測装置1の予測結果として、アグリゲータ4に提供される。この場合、電力需要量算出部21は、数値化したイベントの予定情報を、気象の予測情報の一部として予測モデルに適用することができる。
図4は、図3中のモデルパラメータの決定処理(ステップST101)の詳細を示すフロー図である。
モデルパラメータの決定処理では、まず、予測対象が、アグリゲータ4による一日前市場における電力の調達に用いられる前日予測のための電力需要量か否かを判定する(ST201)。
ステップST201で予測対象が前日予測である場合(Yes)、使用電力量取得部11は、当該前日までの過去の使用電力量の情報を取得する(ST202)。一方、ステップST201で予測対象が前日予測でない(すなわち、予測対象が、アグリゲータ4による当日市場における電力の調達に用いられる当日予測のための電力需要量である)場合(No)、使用電力量取得部11は、当該前日までの過去の使用電力量の情報を取得する(ST203)。
次に、モデルパラメータ決定部17は、記憶部12から過去の使用電力量の情報を取得する(ST204)。このとき、モデルパラメータ決定部17は、必要に応じて過去のイベント情報を取得する。
続いて、モデルパラメータ決定部17は、第1から第3のモデルパラメータα、γ、σについて、予め決定された初期値をそれぞれ取得する(ST205)。
その後、モデルパラメータ決定部17は、座標降下法に基づき第1から第3のモデルパラメータα、γ、σをそれぞれ決定する。
まず、モデルパラメータ決定部17は、第1及び第3のモデルパラメータα、σを固定し、所定の対数尤度関数(後述する式(11)参照)を最大化する第2のモデルパラメータγを求める(ST206)。なお、対数尤度関数を最大化すること(即ち、最尤法)は、最小二乗法を含む。
同様に、モデルパラメータ決定部17は、第2及び第3のモデルパラメータγ、σを固定し、所定の対数尤度関数を最大化する第1のモデルパラメータαを求める(ST207)。
同様に、モデルパラメータ決定部17は、第1及び第2モデルパラメータα、γを固定し、所定の対数尤度関数を最大化する第3のモデルパラメータσを求める(ST208)。
次に、モデルパラメータ決定部17は、第1から第3のモデルパラメータα、γ、σが収束したか否かを判定する(ST209)。ステップST209において第1から第3のモデルパラメータα、γ、σが収束していない場合(No)、再びステップST206に戻り、同様の処理が実行される。
最終的に全てのモデルパラメータα、γ、σが収束すると(ST209:Yes)、モデルパラメータの決定処理は終了する。
次に、電力需要量予測装置1において、複数の需要家2の電力需要量の予測に用いられる予測モデルの詳細について説明する。
<予測モデル>
予測モデルは、予測対象日から過去の一定期間(ここでは、予測対象日からT+1日前まで)の需要家2による過去の使用電力量の実績値と、予測対象日の気象(気温等)の影響とを考慮して構築される。予測モデルは、以下のように定められる。
Figure 0006857301
ただし、
ij:i日目の時間帯jの電力需要量(予測値)
μij:需要家2による過去の使用電力量(過去の気象に依存する分を排除したもの)に基づく項(第1の項)
ij:予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく項(第2の項)
εij:誤差項(第3の項)
電力需要量予測装置1は、この予測モデルを用いることにより、電力取引市場5の一日前市場における電力の調達に用いられる前日予測や、当日市場における電力の調達に用いられる当日予測を行うことができる。
<εijについて>
ここでは、εij〜N(0,σ )とし、誤差は独立であると仮定する。つまり、εijは、平均0、誤差の分散σ (第3のモデルパラメータ)の正規分布に従う。
<bijについて>
本実施形態では、需要家の電力需要量の算出(予測)に用いる気象情報に含まれる気温等のデータとして、所定の時間帯(ここでは、1日)におけるデータの代表値を用いる。そのような代表値としては、例えば最高気温、最低気温、平均気温、及び湿度の平均値などを用いることができる。また、このように、データの代表値を用いることにより、予測モデルにおけるパラメータの数が過度に増大することを抑制することができ、電力需要量の予測処理の複雑化を回避できる。また、ここでは、数値化したイベントの情報を気象情報の一部として扱うことができる。
一方、需要家2が位置する地域の気象が電力需要量に与える影響は、時間帯jによって変化することが想定される。そこで、bijは、既知の基底関数g(s)(m=1、・・・、M)の線形結合により、以下の式のように推定されるものとする。ここで、Mは、後述するクラスター数とすることができ、また、電力需要量の予測誤差が小さくなるように適宜設定することができる。
Figure 0006857301
ただし、
:気象情報に含まれる気温等のデータ
また、φ(j)は、既知の基底関数h(j)(q=1、・・・、Q)に基づき、以下のように基底展開できるものとする。ここで、γqm(第2のモデルパラメータ)は、過去の気象(気温等)に依存する使用電力量に関する(すなわち、過去の気象に依存する使用電力量に基づく関数に含まれる)モデルパラメータである。
Figure 0006857301
ここで、式(3)を式(2)に代入すると、以下のようになる。
Figure 0006857301
また、g(s)については、例えば、以下のRBF(Radial Basis Function)を用いることができる(h(j)についても同様。)。
Figure 0006857301
ここで、g(s)に関し、例えばs、・・・・sの気温のデータがある場合には、これらのデータをk−means法によりクラスタリングすることができる。このとき、クラスター数Mは、例えば、クロスバリデーションなどの評価方法を用いて決定することができる。なお、sが一次元の場合には、k−means法を用いる必要はなく、データを所定の間隔(例えば、等間隔)で分類すればよい。
また、RBFに含まれる上記パラメータの値は、k−means法によって得られたクラスター(C、・・・・、C)を用いて以下のように推定することができる。ここで、#Cmは、m番目のクラスターの要素の数である。
Figure 0006857301
このように、g(s)については、クラスタリングによって生成された複数のクラスターに基づき決定することができる。
一方、h(j)については、データを所定の間隔でとることができる。例えば、Q=10のとき、1日の24時間(30分×48個)について、30分×4の時間帯が2回連続し、30分×5の時間帯が8回連続するように分けることができる。そして、それらの時間帯に対して、平均および分散を計算(推定)し、それらを式(5)と同様の式に代入することによりh(j)を求めることができる。
<μijについて>
μijは、過去の電力需要量y(i−t−Lα)j(Lα≧0)から気温による影響b(i−t−Lα)jを排除したy(i−t−Lα)j−b(i−t−Lα)jに基づく重み付きの和としての前日予測に関する項と、この前日予測に関する項と同様に、過去の電力需要量yi(j−u−Lβ)(Lβ≧0)から気温による影響bi(j−u−Lβ)を排除したyi(j−u−Lβ)−bi(j−t−Lβ)に基づく重み付きの和としての当日予測に関する項とにより、以下のように仮定することができる。なお、前日予測を行う場合には、yi(j−u−Lβ)−bi(j−t−Lβ) に基づく当日予測に関する項は省略される。
Figure 0006857301
ここで、αjt及びβju(第1のモデルパラメータ)は、需要家2による過去の使用電力量(過去の気象に依存する分を排除したもの)に関する(すなわち、過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数に含まれる)モデルパラメータである。また、Lα及びLβは、アグリゲータ4が電力取引市場5から電力を調達する際に、予め決められている入札時刻の影響を調整するための補正パラメータである。
ここで、式(8)に式(4)を代入すると、μijは、以下のように求められる。
Figure 0006857301
これにより、予測モデルを示す式(1)は、以下のように表される。
Figure 0006857301
この式(10)では、モデルパラメータα(ここでは、αjt、βjuに相当)とγとの積が含まれる点において、通常の回帰モデルとは異なる。そこで、モデルパラメータの推定では、各モデルパラメータを交互に推定する座標降下法を用いるとよい(図4中のステップST206−208を参照)。各モデルパラメータは、過去の気象(気温等)に依存する使用電力量を良好に再現できるように決定される。
次に、上述の第1から第3のモデルパラメータ(αjt(必要に応じてβjuを含む)、γqm、及びσ )を決定する方法について説明する。
<モデルパラメータの推定>
モデルパラメータは、所定の対数尤度関数を用いて求めることができる。本実施形態では、次の正則化対数尤度関数を最大化するようにして求める。
Figure 0006857301
ここで、l(θ)は対数尤度関数であり、Pλ(α、γ)は罰則項である。それらは、以下のように与えられる。
Figure 0006857301
よって、対数尤度関数lλ(θ)は、以下のように与えられる。
Figure 0006857301
ここで、μij及びbijは、上述の式(4)及び式(8)でそれぞれ与えられ、モデルパラメータα、γに依存する。
モデルパラメータαについては、各jについてσ で基準化(分散を1にするように)してから求めるとよい。即ち、Σを対角成分をσjとする対角行列、Iを単位行列とし、
Figure 0006857301
とすると、モデルパラメータαは、以下のように推定することができる。
Figure 0006857301
同様に、モデルパラメータγについては、
Figure 0006857301
とすると、以下のように推定することができる。
Figure 0006857301
また、σ については、以下のように推定することができる。
Figure 0006857301
このような予測モデルについては、モデルパラメータα及びγにそれぞれに着目し、行列表示することにより、通常の回帰モデルと同様の定式化が可能となり、アルゴリズムの構築が容易となる。
まず、モデルパラメータαに着目すると、電力需要量(予測値)yijの算出の際に、モデルパラメータγが与えられているとき、bijが与えられることになる。
ベクトル及び行列を用いて、以下のように定めると、
Figure 0006857301
は以下のように表される。
Figure 0006857301
なお、
Figure 0006857301
とおくと、
Figure 0006857301
より、
Figure 0006857301
となる。このbは予め行列演算で計算できる。
さらに、
Figure 0006857301
とおくと、
zは以下のように表される。
Figure 0006857301
次に、モデルパラメータγに着目する。
ベクトル及び行列を用いて、以下のように定めると、
Figure 0006857301
上述の式(10)は、以下のように表される。
Figure 0006857301
さらに、式(10)は、以下のように表すことができる。
Figure 0006857301
ここで、
Figure 0006857301
とすると、
は以下のように表される。
Figure 0006857301
また、
Figure 0006857301
とすることにより、
γは以下のように表すことができる。
Figure 0006857301
これは通常の回帰モデルであるが、各時間帯j に依存して誤差分散の値が変化することに注意が必要である。
<漸近分散>
線形回帰モデルにおいては、リッジ推定量の漸近分散は陽に求まる(例えば、Hoerl, A. E. and Kennard, R. W. (1970) Ridge regression: Biased estimation for nonorthogonal problems. Technometrics, 12, 55-67.を参照)。
しかしながら、本実施形態の予測モデルは、モデルパラメータの積が含まれるため、分散を陽に求めることができない。Cessie and Houwelingenは、パラメータθ=(αの漸近分散が、次のように与えられることを示している(Cessie, S. L. and Houwelingen, J. C. V. (1992) Ridge Estimators in Logistic-Regression. Journal of the Royal Statistical Society Series C (Applied Statistics), 41, 191-201.を参照)。
Figure 0006857301
しかし、この漸近分散は極限のとり方が曖昧であるため、適切であるとは言えない。また、この漸近分散は、推定量のバイアスを考慮していないため、Cessie and Houwelingen は、信頼区間の構築ができないことを指摘している(Cessie, S. L. and Houwelingen, J. C. V.(1992) Ridge Estimators in Logistic-Regression. Journal of the Royal Statistical Society Series C (Applied Statistics), 41, 191-201.を参照)。
そこで、Takagi and Inagakiに基づいた漸近分散を求める(Takagi, Y. and Inagaki, N. (1993) Estimating Function with Asymptotic Bias and Its Estimator. Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 45, 499-510.を参照)。リッジ推定では、Takagi and Inagaki (1993) のTheorem 4.3 (あるいはTheorem 4.2,Knight and Fu, 2000 など) により、θの漸近分布は、次のようになる。
Figure 0006857301
ただし、I(θ) はフィッシャー情報行列とする。この性質を使えば、以下が成り立つ。
Figure 0006857301
ここで、
Figure 0006857301
とおくと、
上述の式(62)は、以下のように表すことができる。
ここで、
Figure 0006857301
次に、フィッシャー情報行列の導出(対数尤度関数の微分)について説明する。
<フィッシャー情報行列の導出>
本質的に、漸近分散を求めることは正則化対数尤度関数の二階微分を求めることである。そこで、二階微分を実際に計算する。対数尤度関数は、以下の式で与えられる。
Figure 0006857301
ここで、||r−Lγ||の二階微分を計算することを考える。まず、一階微分は、以下のように表される。
Figure 0006857301
また、同じ変数での二階微分は、以下のように表される。
Figure 0006857301
続いて、式(67)をαに関して微分する。
まず、
Figure 0006857301
であるので、
Figure 0006857301
となる。ただし,Eijは、(i,j)成分のみ0となる行列である。よって、例えば、以下の式を用いて計算可能である。
Figure 0006857301
ここで、
Figure 0006857301
とおくと、
Figure 0006857301
となり、
さらに、
Figure 0006857301
となるため、以下の式が得られる。
Figure 0006857301
さらに、
Figure 0006857301
とおくことにより、以下の式が得られる。
Figure 0006857301
また、以下の式が得られる。
Figure 0006857301
なお、二階微分は、推定量を入れると、以下の式で与えられる。
Figure 0006857301
さらに、上述の式(66)及び式(67)との組み合わせにより、以下を計算することができる。
Figure 0006857301
<電力需要量の予測>
上述のように、モデルパラメータα、γの推定値が得られると、気象の予測情報sn+1(気温等の予測値データ)を適用することにより、電力需要量yn+1は、上述の式(44)に基づく以下の式から求められる。
Figure 0006857301
<予測区間>
次に、予測区間について説明する。
本実施形態における予測モデルに関し、予測区間についてはデルタ法により求めることができる。ここで、パラメータθの漸近分散が与えられているとする(式(60)で導出される一致推定量を入れることで計算可能である。)。
ここで、
Figure 0006857301
とし、このg(θ)をテイラー展開すると、以下のように表される。
Figure 0006857301
ここで、
Figure 0006857301
より、以下のようになる。
Figure 0006857301
また、
Figure 0006857301
より、
Figure 0006857301
となり、以下のようになる。
Figure 0006857301
よって、g(θ)の100(1−α)%の信頼区間は、以下のようになる。ここで、zαは、標準正規分布の上側100αパーセント点である。
Figure 0006857301
ただし、
Figure 0006857301
なお、実際には、以下の予測区間を用いることができる。
Figure 0006857301
そこで、θにその一致推定量を代入することにより、信頼区間を求めることができる。
なお、g(θ)の微分については、容易に計算可能である。例えば、αでの微分は、以下の式で与えられる。
Figure 0006857301
<γのベイズ推定>
次に、第2のモデルパラメータγのベイズ推定について説明する。
γの値は、気象情報による影響に基づくが、比較的長期間(例えば、1年分)の気象(ここでは、気温)に関するデータが得られないと、精度良く推定することが難しい。しかしながら、そのような長期間のデータが得られない場合には、代替手段としてベイズ推定を行うことができる。
ここでは、気象に関し、あるデータセットを用いてγが得られたとする。ただし、別の電力需要量と推定したい電力需要量の大きさが違うと、うまく推定できないと考えられるため、あらかじめ電力需要量スケーリングされたγを準備する必要がある。この場合、例えば、それぞれの電力需要量の平均値の比kを用いてkγと置き換えることが考えられる。
ここで、計画行列L及び回帰係数ベクトルγとした式(59)の線形回帰モデルに基づき、γを以下の関数の最小化によりベイズ推定することを考える。ここでnは学習に供される過去のデータの日数を意味する。
Figure 0006857301
これを微分すると、以下のようになり、
Figure 0006857301
さらに、以下の式が得られる。
Figure 0006857301
ここで、事前情報の強さρ→∞とすると、
Figure 0006857301
となる。この場合、事前情報の強さρは、例えば、クロスバリデーションなどの評価方法を用いて選択することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電力需要量予測装置1について説明する。以下では、第2実施形態に係る電力需要量予測装置1において、複数の需要家2の電力需要量の予測に用いられる予測モデルの詳細について説明する。なお、第2実施形態に係る電力需要量予測装置1およびその処理に関し、以下で特に言及しない事項については、上述の第1実施形態の場合と同様とする。
第1実施形態では、上述の式(59)を用いてベクトルγを推定した。このとき、次式のように、最小二乗推定における損失関数を最小にする。
Figure 0006857301
しかしながら、経験上、最小二乗推定の要素γは負になることがある。そのような場合、上述の式(4)において、基底関数h(j)およびg(s)は一般に正の値をとるため、bijの値は負になる。bijの値は、電力消費への天候の影響を示すものであるため、bijが非負の値をとるようにすると感覚的に理解されやすくなる。天候の影響の解釈は、電力供給者の観点から有用である(例えば、J. Moral-Carcedo and J. Vicens-Otero. Modelling the non-linear response of Spanish electricity demand to temperature variations. Energy Economics, 27(3):477-494, May 2005.を参照)。
第2実施形態では、上述の式(1)において予測対象日の気象に依存する電力使用量に基づく第2項(bij)が非負となるように、γを非負の値に拘束する。bijの非負の値は、少なくともγのすべての要素が非負であるときに実現される。非負の回帰係数の推定には、次式のように非負の最小二乗(NNLS)推定が有用である。ここでは、γのすべての要素が非負である。
Figure 0006857301
式(113)に関する最適化問題は、非負性制約(例えば、V. Franc, V. Hlavac, and M. Navara. Sequential coordinate-wise algorithm for the nonnegative least squares problem. Computer Analysis of Images and Patterns, Proceedings, 3691:407-414, 2005.を参照)を有する二次計画法の特殊な場合である。その結果、NNLS推定は凸最適化問題となる。式(113)で解を得るためのいくつかの効率的アルゴリズムが文献(例えば、C. L. Lawson and R. J. Hanson. Solving Least Squares Problems. Society for Industrial and Applied Mathematics, 1995. doi: 10.1137/1.9781611971217. URL https://epubs. siam.org/doi/abs/10.1137/1.9781611971217.を参照)で提案されている。ここでは、次式のようにNNLSの損失関数にリッジペナルティ(A. E. Hoerl and R. W. Kennard. Ridge Regression: Biased Estimation for Nonorthogonal Problems. Technometrics, 12(1):55-67, Feb. 1970.を参照)を追加する。
Figure 0006857301
ここで、λ>0は正則化パラメータである。発明者らの経験では、リッジペナルティは安定した推定量をもたらし、また予測精度が改善される。
パラメータγを非負(0以上とする)の制約のもとで推定した際に、信頼区間を求めることは一般に難しい。そこで、2段階推定を考える。まず、式(114)によって非ゼロ要素を抽出する。次に、その非ゼロ要素に基づいて最小二乗法を適用する。このとき,非ゼロ要素を抽出したという条件のもとでの予測区間が必要となる。なお、予測区間の導出については、Lee, J. D., & Taylor, J. E. (2014). Exact Post Model Selection Inference for Marginal Screening. arXiv preprint arXiv:1402.5596. Lee et al. (2014)を参照されたい。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。なお、上記実施形態に示した本発明に係る電力需要量予測装置及び電力需要量予測方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
1: 電力需要量予測装置
2: 需要家
3: ネットワーク
4: アグリゲータ
5: 電力取引市場
6: スマートメータ
10:管理装置
11:使用電力量取得部
12:記憶部
13:気象情報取得部
14:気象情報データベース
16:イベント情報取得部
17:モデルパラメータ決定部
21:電力需要量算出部
22:気象予報機関
23:予測結果送信部
31:プロセッサ

Claims (7)

  1. 数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置であって、
    前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得する使用電力量取得部と、
    前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得する気象情報取得部と、
    前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定するモデルパラメータ決定部と、
    予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出する電力需要量算出部と、を備え、
    前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含み、
    前記複数のモデルパラメータは、前記第1から第3の項にそれぞれ含まれる第1から第3のモデルパラメータを含み、
    前記モデルパラメータ決定部は、前記第1から第3のモデルパラメータを含む所定の対数尤度関数を最大化するように、前記第1から第3のモデルパラメータのうちのいずれか2つを固定し、残りの1つのモデルパラメータを決定することにより、前記第1から第3のモデルパラメータを順次決定する、ことを特徴とする電力需要量予測装置。
  2. 記第2のモデルパラメータは、前記第2の項が正となるように、非負の値に拘束されることを特徴とする請求項1に記載の電力需要量予測装置。
  3. 前記モデルパラメータ決定部は、前記過去の気象情報を構成するデータをクラスタリングし、
    前記クラスタリングによって生成された複数のクラスターに基づき、前記過去の気象に依存する使用電力量に基づく関数を決定することを特徴とする請求項1または請求項に記載の電力需要量予測装置。
  4. 前記過去の気象情報は、気温、湿度、天気、及び降水量のうちの少なくとも1つのデータを含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の電力需要量予測装置。
  5. 前記過去の気象情報は、所定の時間帯における前記データの代表値であることを特徴とする請求項に記載の電力需要量予測装置。
  6. オペレータによって入力される前記需要家が位置する地域で開催された過去のイベントの情報を取得するイベント情報取得部を更に備え、
    前記第2の項に含まれる前記関数は、前記過去のイベントに依存する使用電力量に基づき、
    前記電力需要量算出部は、予測対象日に開催されるイベントの予定情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の電力需要量予測装置。
  7. 数理モデルに基づき需要家の電力需要量を予測する電力需要量予測装置による電力需要量予測方法であって、
    前記需要家による過去の使用電力量の情報を取得し、
    前記需要家が位置する地域の過去の気象情報を取得し、
    前記使用電力量の情報及び前記過去の気象情報に基づき、前記数理モデルに含まれる複数のモデルパラメータをそれぞれ決定し、
    予測対象日における気象の予測情報を、前記複数のモデルパラメータが決定された前記数理モデルに適用することにより、前記需要家の電力需要量を算出し、
    前記数理モデルにおいて、予測される前記需要家の電力需要量は、前記過去の使用電力量から過去の気象に依存する使用電力量が排除されたものに基づく関数を含む第1の項、前記予測対象日の気象に依存する使用電力量に基づく関数を含む第2の項、及び誤差項としての第3の項を含み、
    前記複数のモデルパラメータは、前記第1から第3の項にそれぞれ含まれる第1から第3のモデルパラメータを含み、
    前記モデルパラメータの決定では、前記第1から第3のモデルパラメータを含む所定の対数尤度関数を最大化するように、前記第1から第3のモデルパラメータのうちのいずれか2つを固定し、残りの1つのモデルパラメータを決定することにより、前記第1から第3のモデルパラメータを順次決定する、ことを特徴とする電力需要量予測方法
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