JP6857262B2 - 自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート - Google Patents
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Description
細孔径が0.7nmより大きく2.0nm以下である細孔の細孔容積V0.7-2.0が、0.20〜0.70cm3/gであり、
細孔径が2.0nm以下である細孔の細孔容積に占める、細孔径が0.7nm以下である細孔の細孔容積の存在比率R0.7/2.0が、5%以上、25%未満であり、且つ
シート密度が0.020〜0.200g/cm3である、
自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
〔2〕 全細孔容積が0.60〜1.20cm3/gである、上記〔1〕に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
〔3〕 該活性炭素繊維シートは、セルロース系繊維の炭化処理物である、上記〔1〕または〔2〕に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
〔4〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シートを備えた自動車キャニスタ。
また、本発明によれば、低濃度での吸脱着性能に優れた自動車キャニスタを提供することができる。
本発明の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シートは、賦活化された炭素繊維で形成されているシート状の成形物であり、自動車に搭載されるキャニスタに収納する吸着材として好適に用いられる。(なお、以下、本発明の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シートを、本発明の活性炭素繊維シートと略称する場合がある。)本発明の活性炭素繊維シートは、下記の所定の項目のうち、少なくとも1つ又は任意の2つ以上の組合せからなる条件を満たすものである。
本発明の活性炭素繊維シートの比表面積の下限は、好ましくは1400m2/g以上であり、より好ましくは1500m2/g以上であり、更に好ましくは1600、1700又は1800m2/g以上である。
本発明の活性炭素繊維シートの比表面積は、一般に広い方が吸着性能の観点からは好ましいが、活性炭素繊維シートの場合、比表面積の上限は、概ね2300、2200又は2100m2/g以下でありうる。
比表面積を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスについて、吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートの全細孔容積の下限は、好ましくは0.50cm3/g以上であり、より好ましくは0.60cm3/g以上であり、更に好ましくは0.70、0.75又は0.80cm3/g以上である。
本発明の活性炭素繊維シートの全細孔容積の上限は、好ましくは1.20cm3/g以下であり、より好ましくは1.10cm3/g以下であり、更に好ましくは1.05又は1.00cm3/g以下である。
全細孔容積を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明に関し、「細孔径」との用語は、特に明示しない限り、細孔の半径ではなく、細孔の直径又は幅のことを意味する。
本発明の活性炭素繊維シートの平均細孔直径の下限は、好ましくは1.69nm以上であり、より好ましくは1.70nm以上であり、更に好ましくは1.72、1.75、1.78又は1.80nm以上である。
本発明の活性炭素繊維シートの平均細孔直径の上限は任意でありうるが、好ましくは4.00nm以下であり、より好ましくは3.50nm以下であり、更に好ましくは3.00、2.80、2.60、2.40、2.20又は2.00nm以下である。
平均細孔直径を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明において「ウルトラマイクロ孔」との用語は、細孔径が0.7nm以下の細孔を意味する。
本発明の活性炭素繊維シートのウルトラマイクロ孔容積の下限は、好ましくは0.10cm3/g以上であり、より好ましくは0.12cm3/g以上であり、更に好ましくは0.13又は0.14cm3/g以上である。
本発明の活性炭素繊維シートのウルトラマイクロ孔容積の上限は、好ましくは0.30cm3/g以下であり、より好ましくは0.26cm3/g以下であり、更に好ましくは0.24、0.22又は0.20cm3/g以下である。
ウルトラマイクロ孔容積を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明において「マイクロ孔」との用語は、細孔径が2.0nm以下の細孔を意味する。
本発明の活性炭素繊維シートのマイクロ孔容積の下限は、好ましくは0.45cm3/g以上であり、より好ましくは0.50cm3/g以上であり、更に好ましくは0.55、0.60、0.63又は0.65cm3/g以上である。
本発明の活性炭素繊維シートのマイクロ孔容積の上限は、好ましくは1.00cm3/g以下であり、より好ましくは0.90cm3/g以下であり、更に好ましくは0.85又は0.80cm3/g以下である。
マイクロ孔容積を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
細孔径が0.7nmより大きく2.0nm以下の細孔の細孔容積V0.7-2.0は、ウルトラマイクロ孔容積の値aとマイクロ孔容積の値bとを用い、下記式1によって求めることができる。
V0.7-2.0=b−a ・・・式1
本発明の本発明の活性炭素繊維シートにおいて、細孔径が0.7nmより大きく2.0nm以下の細孔の細孔容積V0.7-2.0の上限は、好ましくは1.20cm3/g以下であり、より好ましくは1.00cm3/g以下であり、更に好ましくは、0.90、0.80、0.75又は、0.70、0.68又は0.65cm3/g以下である。
当該細孔容積V0.7-2.0を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
細孔径が2.0nm以下であるマイクロ孔の細孔容積に占める、細孔径が0.7nm以下であるウルトラマイクロ孔の細孔容積の存在比率R0.7/2.0は、ウルトラマイクロ孔容積の値aとマイクロ孔容積の値bとを用い、下記式2によって求めることができる。
R0.7/2.0=a/b×100(%) ・・・式2
本発明の活性炭素繊維シートにおいて、マイクロ孔容積に占めるウルトラマイクロ孔容積の存在比率R0.7/2.0の上限は、一実施形態として、25%未満であり、好ましくは24%以下であり、より好ましくは23%以下であり、更に好ましくは22%以下である。
当該ウルトラマイクロ孔容積の存在比率R0.7/2.0を上記のような範囲とすることによって、蒸散燃料ガスに対する吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートの坪量の下限は、好ましくは30g/m2以上であり、より好ましくは35g/m2以上であり、更に好ましくは37又は40g/m2以上である。
本発明の活性炭素繊維シートの坪量の上限は、好ましくは400g/m2以下であり、より好ましくは380g/m2以下であり、更に好ましくは360、350、340又は330g/m2以下である。
坪量を上記のような範囲とすることによって、キャニスタ内に収納できる吸着材の容量の範囲内において、キャニスタ用に要求される吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートのシート厚みの下限は、好ましくは0.3mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm又は1.5mm以上である。
本発明の活性炭素繊維シートのシート厚みの上限は、好ましくは8.0mm以下であり、より好ましくは7.0mm以下、さらに好ましくは6.0、5.0、5.5、4.0、3.5又は3.0mm以下である。
シート厚みを上記のような範囲とすることによって、キャニスタ内に収納できる吸着材の容量の範囲内において、キャニスタ用に要求される吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートの密度の下限は、好ましくは0.020g/cm3以上であり、より好ましくは0.022g/cm3以上であり、更に好ましくは0.024、0.026、0.028又は0.030g/cm3以上である。
本発明の活性炭素繊維シートのシート密度の上限は、好ましくは0.200g/cm3以下であり、より好ましくは0.190g/cm3以下であり、更に好ましくは0.180、0.0170、0.0160又は0.150g/cm3以下である。
シート密度を上記のような範囲とすることによって、キャニスタ内に収納できる吸着材の容量の範囲内において、キャニスタ用に要求される体積当たりの吸脱着性能についてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートの引張強度(MD)の下限は、好ましくは0.005kN/m以上であり、より好ましくは0.007kN/m以上であり、より好ましくは0.009kN/mである。
本発明の活性炭素繊維シートの引張強度(MD)の上限は、特に制限はなく任意でありうるが、好ましくは2.50kN/m以下であり、より好ましくは2.00kN/m以下であり、さらに好ましくは1.50、1.25、1.00、0.75、又は0.50kN/m以下である。
引張強度(MD)を上記のような範囲とすることによって、フレキシブル性を有するシートとすることができる。そのため、加工性に優れ、破損しにくく、キャニスタへの収納作業などにおける取扱いが容易な吸収材とすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートの引張強度(CD)の下限は、好ましくは0.005kN/m以上であり、より好ましくは0.007kN/m以上であり、より好ましくは0.009kN/m以上である。
本発明の活性炭素繊維シートの引張強度(CD)の上限は、特に制限はなく任意でありうるが、好ましくは2.50kN/m以下であり、より好ましくは2.00kN/m以下であり、さらに好ましくは1.50、1.25、1.00、0.75、又は0.50kN/m以下でありうる。
引張強度(CD)を上記のような範囲とすることによって、フレキシブル性を有するシートとすることができる。そのため、加工性に優れ、破損しにくく、キャニスタへの収納作業などにおける取扱いが容易な吸収材とすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートは、所定の水分含有量を有するものが好適である。例えば、23℃、相対湿度50%の条件下における水分含有量の下限は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、更に好ましくは3%以上である。
また23℃、相対湿度50%の条件下における水分含有量の上限は、好ましくは25%以下、より好ましくは22%以下、更に好ましくは15又は10%以下である。
上記の条件下における水分含有量を上記のような範囲とすることによって、自動車キャニスタ用の吸着材としてより優れたシートとすることができる。
本発明の活性炭素繊維シートは、吸着材として、所定のメチレンブルー吸着性能を有することが好ましい。メチレンブルー吸収性能は、活性炭素繊維シート重量当たりのメチレンブルー吸着量として示すことができる。本発明の活性炭素繊維シートが有するメチレンブルー吸着性能は、好ましくは60ml/g以上であり、より好ましくは70ml/g以上であり、更に好ましくは80、90又は100ml/g以上である。
本発明の活性炭素繊維シートは、吸着材として、所定のn−ブタン吸脱着性能を有することが好ましい。n−ブタン吸脱着性能は、蒸散ガスの吸脱着性能の指標となるため、n−ブタンの吸脱着性能が優れるものは、自動車キャニスタ用途に好適である。n−ブタン吸脱着性能は、n−ブタンを十分に吸収破過させた後、所定の脱着条件下に置いたときに吸着材から脱離させた後、吸着を繰り返す際の吸着量を、活性炭素繊維シート重量当たりのn−ブタンの有効吸着量として示すことができる。
また、本発明で用いうる活性炭素繊維の好ましい形態としては、下記実施例において示した測定方法に従って求められるn−ブタンの有効吸脱着率が、好ましくは20.0%以上であり、より好ましくは25.0%以上であり、さらに好ましくは30.0、35.0、又は40.0%以上でありうる。
このようなn−ブタン吸着性能を有する活性炭素繊維としては、例えば、活性炭素繊維シートの形態を好適に採用しうる。
本発明の活性炭素繊維シートは、上記の物性又は性能に係る項目のうち、少なくとも1つ又は任意の2つ以上の組合せからなる条件を満たすものであるが、好ましい組合せの例を以下に示す。なお、本発明の活性炭素繊維シートは下記の組合せの例に限定されるものではない。
以下の(1)〜(4)の要件を満たす自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
(1)比表面積が1400〜2300m2/gである。
(2)細孔径が0.7nmより大きく2.0nm以下である細孔の細孔容積V0.7-2.0が、0.20〜0.70cm3/gである。
(3)細孔径が2.0nm以下である細孔の細孔容積に占める、細孔径が0.7nm以下である細孔の細孔容積の存在比率R0.7/2.0が、5%以上、25%未満である。
(4) シート密度が0.020〜0.200g/cm3である。
また、自動車キャニスタには大きさの制限があるため、活性炭素繊維シートを用いて吸着可能な量を担保する観点から、更に上記(4)のシート密度要件を満たすことが好ましい。活性炭素繊維シートは、原料の繊維シートを炭化して形成されることもあり、一般に、やや嵩高く、密度が低い傾向がある。上記(4)の要件を満たすために、活性炭素繊維シートは、製造過程において加圧処理等が行われ、圧密化しても構わない。
このように、実施形態1のシートは、自動車キャニスタに求められる吸着性能および吸着容量の観点から好適な形態となっている。
実施形態1の(1)〜(4)の要件に加え更に、下記(5)の要件を満たす自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
(5)全細孔容積が0.60〜1.20cm3/gである。
本発明の活性炭素繊維シートは、自動車キャニスタに収納される吸着材として好適である。すなわち、本発明は、他の一実施形態として、自動車キャニスタも提供することができる。
筐体内において吸着材を収納する吸着材室と、
吸着材室とエンジンとの間でガスを吸入または送出可能に連通するための第1の送出入口と、
吸着材室と燃料タンクとの間でガスを吸入または送出可能に連通するための第2の送出入口と、
吸着材室または外気から所定の圧力が負荷されたときに開口し、吸着材室と外気との間でガスを吸入または排出可能に連通するための第3の送出入口と、
を備えるキャニスタ。
また、本発明の活性炭素繊維シートを外気口寄りの吸着材室に用いる場合、本発明の活性炭素繊維シートはパージによる有効吸脱着量が高いため、自動車を長時間停車した場合の蒸散燃料ガスのリーク量を低減することができるという点でも自動車キャニスタに用いる吸着材として好適である。
吸着材室を2つ又はそれ以上有する自動車用キャニスタであって、
最も蒸散燃料ガス送出入口寄りに設けられた第1の吸着材室よりも外気口寄りに設けられた第2又はそれ以降の吸着材室に、本発明の活性炭素繊維シートが収納されている自動車用キャニスタ。
また、好ましい活性炭素炭素繊維シートの一形態としては、例えば、上記のように2つ又はそれ以上の吸着材室を有する自動車キャニスタにおいて、第2又はそれ以降の吸着材室用の活性炭素繊維シートとすることも好適である。
上記の形態において、吸着材室は2つでもよいし、それ以上の数であってもよい。また、吸着材室が3つ以上ある場合には、本発明の活性炭素繊維シートは、第2の吸着材室以後の少なくとも1つの吸着材室に収納されていればよい。
上記本発明の活性炭素繊維シートは、上記に示したような所定の項目のうちから選ばれる要件を満たすように製造する。本発明の活性炭素繊維シートは、例えば、以下のようにして作製することができる。
リン酸系触媒若しくは有機スルホン酸系触媒のいずれか一方または双方を保持させた原料シートを炭化及び賦活化すること、並びに
当該活性炭素繊維シートの密度が0.030〜0.200g/cm3となるように調整すること、
を含む製法を挙げられる(以下、製法実施形態1という)。
<繊維の種類>
原料シートを構成する繊維としては、例えば、セルロース系繊維、ピッチ系繊維、PAN系繊維、フェノール樹脂系繊維などが挙げられ、好ましくはセルロース系繊維が挙げられる。
セルロース系繊維とは、セルロース及び/又はその誘導体を主成分として構成される繊維である。セルロース、セルロース誘導体は、化学合成品、植物由来、再生セルロース、バクテリアが産生したセルロースなど、その由来はいずれであってもよい。セルロース系繊維として好ましくは、例えば、樹木などから得られる植物系セルロース物質で形成された繊維、および、植物系セルロース物質(綿、パルプなど)に化学処理を施して溶解させて得られる長い繊維状の再生セルロース系物質から構成された繊維などを用いうる。また、この繊維には、リグニンやヘミセルロースなどの成分が含まれていても構わない。
繊維シートは、多数の繊維を薄く広いシート状に加工したもののことをいい、織物、編み物、および不織布などが含まれる。
製法実施形態1では、上記のようにして用意された原料シートに、触媒を保持させる。原料シートに触媒を保持させて炭化処理を行い、さらに水蒸気や二酸化炭素、空気ガス等を用いて賦活化し、多孔質の活性炭素繊維シートを得ることができる。触媒としては、例えば、リン酸系触媒、有機スルホン酸系触媒などを用いうる。
リン酸系触媒としては、例えば、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸、ホスフィン酸等のリンのオキシ酸、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジメチルホスホノプロパンアミド、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスホニトリルクロライド、およびリン酸、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩またはトリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイドと尿素、チオ尿素、メラミン、グアニン、シアナミツド、ヒドラジン、ジシアンジアミドまたはこれらのメチロール誘導体との縮合物などが挙げられ、好ましくはリン酸水素二アンモニウムが挙げられる。リン酸系触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。リン酸系触媒を水溶液として用いる場合、その濃度は、好ましくは0.05〜2.0mol/Lであり、より好ましくは0.1〜1.0mol/Lである。
有機スルホン酸としては、1又は複数のスルホ基を有する有機化合物を用いることができ、例えば脂肪族系、芳香族系など種々の炭素骨格にスルホ基が結合した化合物が利用可能である。有機スルホン酸系触媒としては、取扱いの観点から、低分子量のものが好ましい。
上記、リン酸系触媒および有機スルホン酸系触媒は、混合して、混合触媒として用いてもよい。混合比は適宜調整してよい。
原料シートに対し触媒を保持させる。ここで「保持」とは、触媒が原料シートに接触した状態を保つことを意味し、付着、吸着、含浸などの諸形態でありうる。触媒を、保持させる方法には特に制限はないが、例えば、触媒を含む水溶液に浸漬する方法、触媒を含む水溶液を原料シートに対して振りかける方法、気化した触媒蒸気に接触させる方法、触媒を含む水溶液に原料シートの繊維を混ぜて抄紙する方法などが挙げられる。
触媒を保持させた原料シートを用意した後、それを炭化処理を行う。活性炭素繊維シートを得るための炭化処理は、一般的な活性炭の炭化方法に沿って行うことができるが、好ましい実施形態として、以下のようにして行うことができる。
加熱温度の上限は、好ましくは1400℃以下であり、より好ましくは1300℃以下であり、さらに好ましくは1200℃以下又は1000℃以下である。
このような加熱温度設定とすることにより、繊維形態が維持された炭素繊維シートを得ることができる。加熱温度が上記の下限以下であると、炭素繊維の炭素含有量が80%以下で炭化が不十分となりやすい。
加熱処理時間の上限は任意でありうるが、好ましくは180分以下であり、より好ましくは160分であり、さらに好ましくは140分以下である。
原料シートに十分に触媒を含浸させ、上記の好適な加熱温度に設定し、加熱処理時間を調整することにより、細孔形成の進行程度を調整することができ、比表面積、各種細孔の容積、平均細孔直径などの多孔体としての物性を調整することができる。
加熱処理時間が上記の下限より少ないと、炭化が不十分となりやすい。
本発明における賦活化処理としては、例えば上記加熱処理後に連続して、水蒸気を供給し適切な賦活温度で所定時間保持することで行うことができ、活性炭素繊維シートを得ることができる。
他方、賦活温度の上限は、好ましくは1400℃以下であり、より好ましくは1300℃以下であり、さらに好ましくは1200又は1000℃以下である。
なお、加熱処理後に連続して賦活処理を行う場合、加熱処理温度と同等程度に調整することが望ましい。
賦活時間の上限は任意でありうるが、好ましくは180分以下であり、より好ましくは160分以下であり、さらに好ましくは140分以下、100分以下、50分以下、30分以下である。
活性炭素繊維シートを約30mg採取し、200℃で20時間真空乾燥して秤量し、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置BELSORP−maxII(マイクロトラック・ベル社)を使用して測定した。液体窒素の沸点(77K)における窒素ガスの吸着量を相対圧が10-8オーダー〜0.990の範囲で測定し、試料の吸着等温線を作成した。この吸着等温線を、解析相対圧範囲を吸着等温線I型(ISO9277)の条件で自動的に決定したBET法により解析し、重量当たりのBET比表面積(単位:m2/g)を求め、これを比表面積(単位:m2/g)とした。
上記比表面積の項で得られた等温吸着線の、相対圧0.990での結果より1点法での全細孔容積(単位:cm3/g)を算出した。
次式3により算出した。
平均細孔直径(単位:nm)=4×全細孔容積×103÷比表面積 ・・・式3
上記比表面積の項で得られた等温吸着線を、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置BELSORP−maxII(マイクロトラック・ベル社)付属の解析ソフトBELMasterを用いて、解析設定を「スムージング(細孔分布の解析全点で前後1点を使用した移動平均処理)」、「分布関数:No−assumption」、「細孔径の定義:Solid and Fluid Def. Pore Size」、「Kernel:Slit−C−Adsorption」としたGCMC法によって解析し、得られた吸着時の細孔分布曲線の結果から、0.7nmの積算細孔容積を読み取り、ウルトラマイクロ孔容積(単位:cm3/g)とした。
上記比表面積の項で得られた等温吸着線を、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置BELSORP−maxII(マイクロトラック・ベル社)付属の解析ソフトBELMasterを用いて、解析設定を「スムージング(細孔分布の解析全点で前後1点を使用した移動平均処理)」、「分布関数:No−assumption」、「細孔径の定義:Solid and Fluid Def. Pore Size」、「Kernel:Slit−C−Adsorption」としたGCMC法によって解析し、得られた吸着時の細孔分布曲線の結果から、2.0nmの積算細孔容積を読み取り、マイクロ孔容積(単位:cm3/g)とした。
活性炭素繊維シートを、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で12時間以上静置し、重量と縦横の寸法からシート坪量(単位:g/m2)を求めた。
活性炭素繊維シートを、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で12時間以上静置し、デジタル小型側厚器FS−60DS(大栄科学精器製作所社)を用いて、0.3KPaの荷重をかけた際のシート厚さ(単位:mm)を測定した。
次式4により算出した。
シート密度(単位:g/cm3)=シート坪量÷シート厚み÷103 ・・・式4
活性炭素繊維シートを、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で12時間以上静置し、Machine Direction(MD)方向及びこれと直行するCross Direction(CD)方向から、それぞれ試験片(幅15mm、長さ50〜60mm)を各方向が長さとなるように切り取り、テンシロン万能試験機RTG−1210(エー・アンド・デイ社)を用いて、つかみ間隔40mm、引っ張り速度100mm/分で引っ張り、次式5により引張強度を算出した。
引張強度(単位:kN/m)=試験中に加わった最大荷重(単位:N)÷15mm
活性炭素繊維シートを、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で12時間以上静置後、試料を0.5〜1.0g採取し、乾燥機で115±5℃3時間以上乾燥させた際の重量変化から、水分(単位:%)を求めた。
日本水道協会規格水道用粉末活性炭(JWWA K113)のメチレンブルー脱色力(単位:ml/g)に従って測定した結果を、メチレンブルー吸着性能(単位:ml/g)とした。
米国試験材料協会規格Standard Test Method for Determination of Butane Working Capacity of Activated Carbon(ASTM D5228−16)を参考に、n−ブタンガスの濃度、流量、脱着させる空気の流量を独自に設定し、試験した。
1回目吸着量=1回目n−ブタン吸着量÷吸着体試料乾燥重量×100
なお、各数値の単位は次のとおりである。
1回目吸着量(単位:wt%)
1回目n−ブタン吸着量(単位:g)
吸着体試料乾燥重量(単位:g)
有効吸脱着量(単位:wt%)
2回目n−ブタン吸着量(単位:g)
2回目n−ブタン脱着量(単位:g)
吸着体試料乾燥重量(単位:g)
有効吸脱着率=有効吸脱着量÷1回目吸着量×100
なお、各数値の単位は次のとおりである。
有効吸脱着率(単位:%)
有効吸脱着量(単位:wt%)
1回目吸着量(単位:wt%)
レーヨン繊維(17.0dtex)からなる坪量300g/m2のニードルパンチ不織布に6〜10%リン酸水素二アンモニウム水溶液を含浸し、絞液後、乾燥して、8〜10重量%付着させた。得られた前処理不織布を窒素雰囲気中、900℃まで50分で昇温し、この温度で4分保持した。引き続きその温度で露点71℃の水蒸気を含有する窒素気流中で18分間賦活処理を行った。
レーヨン繊維(7.8dtex)からなる坪量300g/m2のニードルパンチ不織布を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で、実施例2の活性炭素繊維シートを作製した。
レーヨン繊維(3.3dtex)からなる坪量300g/m2のニードルパンチ不織布を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で、実施例3の活性炭素繊維シートを作製した。
実施例2における900℃までの昇温時間を25分に、900℃保持時間を2分に、賦活処理時間を6分に、露点を60℃に変更した以外は、実施例3と同じ方法で、比較例1の活性炭素繊維シートを作製した。
市販のキャニスタに充填された粒状活性炭を取り出し、比較例2の吸着材として用いた。市販のキャニスタとして、品番:14950−01FOA(日産自動車)のキャニスタを用いた。
Claims (5)
- 比表面積が1400〜2300m2/gであり、
細孔径が0.7nmより大きく2.0nm以下である細孔の細孔容積V0.7-2.0が、0.20〜0.70cm3/gであり、
細孔径が2.0nm以下である細孔の細孔容積に占める、細孔径が0.7nm以下である細孔の細孔容積の存在比率R0.7/2.0が、13%以上、25%未満であり、且つ
シート密度が0.020〜0.200g/cm3である、
自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。 - 前記存在比率R 0.7/2.0 が、15%以上、25%未満である、請求項1に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
- 全細孔容積が0.60〜1.20cm3/gである、請求項1または2に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
- 該活性炭素繊維シートは、セルロース系繊維の炭化処理物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シート。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車キャニスタ用活性炭素繊維シートを備えた自動車キャニスタ。
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