JP6856233B2 - ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法 - Google Patents

ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウシ白血病ウイルスの感染性を評価するための方法等に関する。
ウシ白血病ウイルス(BLV)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)と最も近縁のレトロウイルスで、Bリンパ腫である地方病性牛白血病(EBL)を誘発する。近年、BLV感染牛の数が増加し、比例して発症牛の数も急増傾向にある。
現在、BLVの感染性を評価する方法としてシンシチウム法(SIA)が用いられている。SIAはCC81ネコ腎由来細胞株と、分画した牛の末梢血単核球(PBMC)とを共培養し、形成されるシンシチウムを計数することで行われる。
非特許文献1には、牛血液から分離したリンパ球を牛由来初代細胞またはCRFK細胞と共培養してシンシチウムを形成させ、抗BLV p25抗体を用いて免疫染色した後、ペルオキシダーゼの発色を用いて顕微鏡下で観察および計数する感染性試験法が記載されている。
非特許文献2には、BLV由来のLTR全長とEGFP遺伝子とをコードするプラスミドをCRFK細胞に導入して作製したstable細胞をレポーター細胞として使用し、BLV粒子のcell free感染をさせ、FACS(fluorescence activated cell sorting)によってEGFP陽性細胞の数を測定する感染性試験法が記載されている。
L. Jerabek et al., Ann. Rech. Vet., 9, (4), 729-734 (1978) Nancy A. Jewell et al., Journal of Virological Methods, 123, 17-24 (2005)
しかしながら、従来の方法では、シンシチウムの鑑別に熟練を要し、培養および計数に時間と手間がかかるという問題がある。また、非特許文献2に記載の方法では、EGFP陽性細胞の数は、BLV粒子が発現するTaxタンパク質の量は反映するものの、BLV粒子の感染性を必ずしも反映していないという問題があり、感染性有無の検出感度限界に近い場合にはバックグラウンドの非特異的蛍光の影響が特に大きくなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易にBLVの感染性を評価可能な方法等を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
<1> ウシ白血病ウイルスに感染可能な細胞と、
遺伝子構築物と、を含み、
上記遺伝子構築物は、1)デルタレトロウイルスのLTRに由来し、U5領域の活性が低下しているか有さないがU3領域のプロモータ活性を有する発現制御配列と、2)当該発現制御配列の制御下に発現可能に連結されているレポーター遺伝子と、を含んでなり、
上記遺伝子構築物が、発現可能に上記細胞内に導入されている、細胞。
<2> 上記発現制御配列は、U5領域の活性を有さない、<1>に記載の細胞。
<3> 上記発現制御配列は、上記U3領域に含まれる糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)の活性が低下しているか活性を有さない、<1>または<2>に記載の細胞。
<4> 上記発現制御配列は、配列番号1に示す塩基配列と90%以上の配列同一性を有するU3領域を含む、<1>から<3>の何れかに記載の細胞。
<5> 上記デルタレトロウイルスは、ウシ白血病ウイルスである、<1>から<4>の何れかに記載の細胞。
<6> 上記レポーター遺伝子は、発光を触媒する酵素をコードするか、発光タンパク質をコードする、<1>から<5>の何れかに記載の細胞。
<7> ウシ白血病ウイルスの感染性の評価用キットであって、
<1>から<6>の何れかに記載の細胞を含む、キット。
<8> ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法であって、
<1>から<6>の何れかに記載の細胞と、評価対象となる試料とを接触させる接触工程を含む、方法。
<9> 上記接触工程の開始後に、上記レポーター遺伝子の発現に基づいて、上記試料におけるウシ白血病ウイルスの感染性を評価する、<8>に記載の方法。
<10> 上記接触工程の開始後に、シンシチウムの形成と、上記レポーター遺伝子の発現とに基づいて、上記試料におけるウシ白血病ウイルスの感染性を評価する、<8>に記載の方法。
<11> 上記試料が、血液由来である、<8>から<10>の何れかに記載の方法。
本発明は、容易にBLVの感染性を評価することが出来るという効果を奏する。
pBLU3-EGFPレポータープラスミドの構築を示す図である。 CC81−BLU3G細胞によるPBMCのBLV感染性の検出の結果を示す図である。 CC81−BLU3L細胞を用いたBLV定量的解析の結果を示す図である。 pBLU3GREM-LucとpME/BLV-Taxの一過性発現を示す図である。
〔1.細胞〕
本発明の細胞は、ウシ白血病ウイルス(BLV)に感染可能な細胞内に、後述する遺伝子構築物が発現可能に導入されてなるものである。本発明の細胞は、一例として、後述の〔3.ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法〕において、BLVの感染を評価するために用いられるため、以下、レポーター細胞と称する場合もある。
(細胞の特性)
本発明において、細胞はBLVに感染可能である。「BLVに感染可能である」とは、BLVに対する感染感受性を有することをいう。動物の個体がBLVに感染するか否かとは関りなく、BLVに感染可能な細胞は、哺乳動物に広く見出すことができる。具体的には例えば、ウシ(Bos taurus)、コブウシ(Bos indicus)、スイギュウ(Bubalus bubalis)、ヒツジ、ヤギ等のウシ科の哺乳動物;ブタ;マウス;ラット;ウサギ;ネコ;コウモリ;サル;ヒト等の哺乳動物に由来する細胞の中から、BLVに感染可能な細胞を見出すことができる。BLVに感染可能な細胞として、より具体的には、例えば、ネコ由来の細胞(CRFK、CC81)、ヒツジ由来の細胞(FLK)、マウス由来の細胞(NIH3T3)、コウモリ由来の細胞(Tb1Lu)、ヒト由来の細胞(HeLa, 293T)、イヌ由来の細胞(D17)、ウシ由来の細胞(MDBK)等が挙げられる。
また、本発明において、レポーター細胞を含め、BLVに感染可能な細胞は、BLVに感染すると、融合細胞であるシンシチウムを形成するものであることが好ましい。
(遺伝子構築物)
上記遺伝子構築物は、以下に記載の「発現制御配列」と、当該発現制御配列の制御下に発現可能に連結されている「レポーター遺伝子」と、を含んでなる。
発現制御配列は、デルタレトロウイルスのLTR(long terminal repeat)に由来し、U5領域の活性が低下しているかまたは有さないが、U3領域のプロモータ活性を有する。
デルタレトロウイルスとしては、ウシ白血病ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス等が挙げられる。BLVへの特異性をより高める観点から、デルタレトロウイルスは、ウシ白血病ウイルスであることが好ましい。
LTRは、レトロウイルスが共通に有する繰り返し配列であり、5’側にある5’LTRと3’側にある3’LTRとの間に、gag、pol、env等の宿主への感染および増殖に必要なタンパク質をコードしている遺伝子領域が挟まれている。5’LTRおよび3’LTRはそれぞれ、機能的に5’側からU3領域とR領域とU5領域とに区分される。本発明において、「LTR」には、5’LTRと3’LTRのいずれも包含されるが、5’LTRであることが好ましい。
なお、「発現制御配列が、デルタレトロウイルスのLTRに由来する」とは、1)発現制御配列がデルタレトロウイルスのLTRの断片や当該断片に変異を導入したものであることの他、2)発現制御配列が、デルタレトロウイルスのLTRの配列に基づいて人工的に設計され、製造されていること、も包含している。
遺伝子構築物において、U5領域の活性は、野生型のU5領域と比較して低下しているかまたは有さない。これによって、野生型のU5領域にあるIRF(interferon regulatory factor binding site)等による非特異反応を低下させることができ、BLVの感染性を評価する際の感度が高くなる。U5領域の活性は、U5領域の配列によってもたらされる。野生型のU5領域の塩基配列の一例として、BLV由来である配列番号2に示す塩基配列が挙げられる。一実施形態において、U5領域の塩基配列にU5領域の活性を低下させる変異を有しており、特にU5領域にあるIRFの活性を低下させる変異を有している。好ましい一実施形態において、発現制御配列はU5領域の配列全体を含まないか、少なくともU5領域のIRFの配列を含まない。
遺伝子構築物は、U3領域のプロモータ活性を有する。U3領域のプロモータ活性は、LTRのU3領域の配列によってもたらされる。デルタレトロウイルスのU3領域は、感染早期にBLVから発現するTaxタンパク質に応答し、下流の遺伝子の発現を正に制御するプロモータとしての機能を有し、Tax responsive element(以下、TxREと称する)と称される配列を含んでいる。例えば、BLVのU3領域には、TxRE1、TxRE2、NFkBsite1、NFkBsite2、TxRE3、TATAボックス等の配列が含まれる。野生型のU3領域の塩基配列の一例として、BLV由来である配列番号1に示す塩基配列が挙げられる。U3プロモータ活性をもたらす配列としては、例えば、配列番号1に示す塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%または97%以上、さらに好ましくは98%または99%以上、さらに好ましくは100%の配列同一性を有する塩基配列が挙げられる。
一実施形態において、発現制御配列は、U3領域の一つまたは複数のTxREに、その活性(Taxタンパク質への応答性)を低下させる変異を有さないことが好ましい場合があり、さらには一切の変異を有さないことが好ましい場合がある。BLVのU3領域のように3つTxREを持つ場合には、TxRE1、TxRE2、TxRE3のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てにその活性を低下させる変異を有していないことが好ましい場合があり、さらには一切の変異を有さないことが好ましい場合がある。また、一実施形態において、少なくともTxRE2には変異(例えば、その活性を低下させる変異)を有していないことが好ましい場合がある。
一実施形態において、U3領域において、TxRE以外の機能性配列に変異を導入して、プロモータ活性の特異性(Taxタンパク質依存性)をさらに向上させてもよい。例えば、U3領域に糖質コルチコイド応答エレメント(glucocorticoid response element;GRE)が含まれる場合、GREの活性は低下しているかまたは有さないことが好ましい場合がある。したがって、一実施形態において、U3領域に含まれるGREの塩基配列に変異を有していることが好ましい場合がある。野生型のGRE配列の一例として、配列番号3に示す塩基配列が挙げられる。配列番号3に示す塩基配列は、配列番号1に示す塩基配列の138〜155番目である。一実施形態において、配列番号3に示す塩基配列の4番目、5番目、6番目、10番目、11番目、14番目および15番目に相当する塩基配列のうちの少なくとも1つに変異を有していることが好ましく、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または7つ全てに変異を有していることがより好ましい場合がある。
一例において、配列番号3に示す塩基配列の4番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はTである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の5番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はAである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の6番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はTである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の10番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はAである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の11番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はCである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の14番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はTである。一例において、配列番号3に示す塩基配列の15番目に相当する塩基配列の変異後の塩基はAである。7つ全てに変異を有している場合のGRE配列の一例として、配列番号4に示す塩基配列が挙げられる。
U3領域のGREの活性は低下しているかまたは有さないことにより、非特異的反応を抑え得る、かつ/またはTaxタンパク質に対する反応性が向上し得る。そのため、U3領域のGREの活性は低下しているかまたは有さない場合、ウシ白血病ウイルスに対する感度が高くなり得る。
一実施形態において、発現制御配列におけるU3領域の塩基配列として、GRE配列に変異(例えば上述の変異)を有しており、かつU3領域のGRE配列以外の配列が配列番号1に示す塩基配列のGRE配列以外の配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%の配列同一性を有する塩基配列が挙げられる。
発現制御配列は、LTRのR領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。R領域の塩基配列の一例として、配列番号5に示す塩基配列が挙げられる。R領域の塩基配列としては、例えば、配列番号5に示す塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の配列同一性を有する塩基配列が挙げられる。
一実施形態において、発現制御配列は、LTRのR領域のうちのU3領域に隣り合う連続している領域を含み得る。一例において、当該領域は、R領域の5’末端の塩基から150bp以内、好ましくは120bp以内、より好ましくは100bp以内、さらに好ましくは70bp以内、よりさらに好ましくは50bp以内である。
遺伝子構築物において、R領域の活性は、野生型と比較して低下しているかまたは有さないことが好ましい。一実施形態において、R領域の塩基配列に変異を有している。好ましい一実施形態において、発現制御配列はR領域の配列を含まない。
好ましい一実施形態において、発現制御配列は、以下の(1)〜(3)のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを満たす:
(1)U5領域の配列を含まない、(2)U3領域のGREの活性が低下しているかまたは有さない、(3)R領域の活性が低下しているかまたは有さない。
一実施形態において、発現制御配列として、配列番号6に示す塩基配列および配列番号7に示す塩基配列が挙げられる。別の一実施形態において、発現制御配列として、配列番号6に示す塩基配列または配列番号7に示す塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の配列同一性を有する塩基配列が挙げられる。
レポーター遺伝子は、上記発現制御配列の制御下に発現可能に連結されている。このような構成により、発現制御配列がTaxタンパク質に応答して、レポーター遺伝子の発現を正に制御し、Taxタンパク質の存在下でレポーター遺伝子の発現が誘導される。
レポーター遺伝子としては、その発現によってレポーター細胞を可視化する遺伝子であることが好ましい。好ましいレポーター遺伝子として、具体的には、例えば、発光を触媒する酵素をコードする遺伝子、自発光型の発光タンパク質をコードする遺伝子、呈色化合物分解酵素をコードする遺伝子等が挙げられる。発光を触媒する酵素をコードする遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。発光タンパク質をコードする遺伝子等としては、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子、シアン蛍光タンパク質(CFP)遺伝子、イエロー蛍光タンパク質(YFP)遺伝子等が挙げられる。呈色化合物分解酵素をコードする遺伝子としては、βガラクトシダーゼ遺伝子等が挙げられる。これら遺伝子の具体的な配列は、当該技術分野において広く知られており、当業者は容易に選択することができる。
プロモータ配列によりレポーター遺伝子の発現が誘導される限り、プロモータ配列とレポーター遺伝子との間に他の配列を含んでいてもよい。
また、遺伝子構築物は他の配列を含んでいてもよい。そのような配列としては、抗生物質耐性遺伝子、ターミネーター、制限酵素部位等が挙げられる。抗生物質耐性遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等が挙げられる。
遺伝子構築物は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよいが、二本鎖であることが好ましい。また、遺伝子構築物は、環状であってもよいし、直鎖状であってもよい。また、遺伝子構築物を構成する核酸は、DNAであってもよいし、RNAであってもよいし、DNAとRNAとのハイブリッドであってもよい。遺伝子構築物としては、プラスミドベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。細胞内において、遺伝子構築物は、内在性のDNAと独立して存在していてもよいし、内在性のDNAに組み込まれていてもよい。なお、遺伝子構築物は、例えば、公知の遺伝子工学的手法を用いて作製すればよい。
遺伝子構築物を細胞に導入する方法は、特に限定されず、例えば、リポフェクション法、マイクロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、ウイルスベクター法等の公知の方法で導入すればよい。
一実施形態において、細胞は、遺伝子構築物が安定的に導入されている。また、別の実施形態において、細胞は、遺伝子構築物が安定的に導入されて、株化している。
一実施形態において、細胞は、後述の評価方法において好適に利用することができる。また、一実施形態において、細胞は、ウシ白血病ウイルスの感染性の評価用である。
〔2.ウシ白血病ウイルスの感染性の評価用キット〕
本発明のウシ白血病ウイルスの感染性の評価用キットは、上記レポーター細胞を構成要素として含んでいる。
なお、本明細書において、「ウシ白血病ウイルスの感染性の評価」は、細胞に感染できるウシ白血病ウイルスが存在するか否かという定性的な評価であってもよいし、細胞に感染できるウシ白血病ウイルスがどのくらい存在するかという定量的な評価であってもよい。
キットにおいて、レポーター細胞は、容器(チューブまたはプレート等)に格納されていてもよく、液体とともに当該容器に格納されていてもよい。一実施形態において、レポーター細胞は、凍結保存液とともに凍結された形態であることが好ましく、使用時に解凍することが好ましい。一実施形態において、レポーター細胞は、1回分に小分けされていてもよい。
キットは、さらに必要に応じて、レポーター細胞を培養するための各種試薬(培養培地、バッファー等)、レポーター細胞および細胞試料(後述する)を培養するための器具(プレート、ピペット等)、測定の時の対照用の細胞、測定の時の対照用の生物学的試料(後述する比較用試料に相当)、測定結果を評価するときに用いられる対照用のデータ、測定装置、キットの使用説明書、などのうちの少なくとも1つを備えていてもよい。また、発光を触媒する酵素をコードする遺伝子が導入されている細胞の場合、発光の基質、補因子、バッファ等のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。キットの使用説明書には、後述の〔3.ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法〕の欄で説明する本発明に係る感染性の評価方法の内容が記録されている。
〔3.ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法〕
本発明に係るウシ白血病ウイルス(BLV)の感染性の評価方法は、上記レポーター細胞と、評価対象となる試料とを接触させる工程(以下「接触工程」とも称する)を含む方法である。
<接触工程>
(評価対象となる試料)
評価対象となる試料は、BLVの感染性の評価対象となる試料であって、感染性のウイルス粒子またはウイルス遺伝子を含有する細胞の何れかまたは両方を含み得る試料である。ウイルス粒子は、通常、細胞外に存在する。評価対象となる試料の由来は、被験動物由来の試料であってもよいし、培養された試料(例えば、培養細胞や培養組織、培養上清等)であってもよいが、一例において、被験動物由来の試料であることが好ましい。また、被験動物由来の試料は、細胞を含む試料であってもよいし、細胞を含まない試料であってもよい。一実施形態において、被験動物由来の試料は、BLVの主要な感染対象細胞である白血球を含む試料であることが好ましい。なお、試料は、ウイルス粒子またはウイルス遺伝子を含有する細胞の何れかまたは両方を含むことが疑われる試料であることが好ましいが、(結果として)ウイルス粒子およびウイルス遺伝子を含有する細胞の何れも含まない場合もあり得る。
被験動物としては、ヒトおよび非ヒト動物が挙げられ、特に、BLVに感染しうる動物であることが好ましい。非ヒト動物は、特に限定されないが、例えば、ウシ(Bos taurus)、コブウシ(Bos indicus)、スイギュウ(Bubalus bubalis)、ヒツジ、ヤギ等のウシ科の哺乳動物;ブタ;マウス;ラット;ウサギ;ネコ;およびサル等の哺乳動物が挙げられる。被験動物は、好ましくはウシ科の哺乳動物であり、より好ましくは、ウシ、コブウシおよびスイギュウであり、さらに好ましくはウシおよびスイギュウであり、特に好ましくはウシである。ウシとしては、乳用種、肉用種、乳肉兼用種、役用種、および役肉兼用種等が挙げられる。具体的には、例えば、黒毛和種、日本短角種等の和牛、ホルスタイン、ジャージー、および各国の在来種等の品種が挙げられるが、これらに限定されない。被験動物は、生きている動物であってもよいし、死亡した動物であってもよい。
特に限定されないが、試料は、例えば、被験動物の組織に由来する試料;または、血液、尿、唾液、乳汁、および鼻汁等の、被験動物の体液に由来する試料;が挙げられる。試料は、好ましくは体液に由来するものであり、より好ましくは血液または乳液に由来するものであり、さらに好ましくは血液に由来するものである。なお、被験動物由来の試料は、被験動物から取得した試料そのものでもよいが、被験動物から取得した試料を精製して、細胞を濃縮したもの或いは細胞以外の成分を濃縮したものでもよい。
血液に由来する試料としては、例えば、全血液、あるいは、全血液から白血球を精製した(あるいは、赤血球や血小板等の他の細胞を除去した)試料等が挙げられる。そのような試料としては、例えば、精製したPBMC(末梢血単核球);WBC(白血球);または、全血液から赤血球を破砕または除去した試料;等があげられる。
(接触工程の条件や詳細の例示)
上記レポーター細胞と、評価対象となる試料とを接触させる工程では、例えば、BLVの細胞間感染が成立しうる条件にて、レポーター細胞と試料とを接触させる。
評価対象となる試料が細胞試料である場合の接触工程の具体的な一例では、レポーター細胞と細胞試料との双方を維持可能な細胞培養用の液体培地中において、レポーター細胞と細胞試料とを接触させる。細胞培養用の液体培地は、レポーター細胞および細胞試料の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、当該細胞試料に適した基礎培地を液体培地のベースとすればよい。液体培地に、レポーター細胞と細胞試料とを加える順序などは特に限定されない。なお、細胞試料が、細胞を含む液体(例えば、体液)である場合は、細胞試料とレポーター細胞とを直接接触させてもよい。
評価対象となる試料が細胞試料である場合の接触工程の一例では、レポーター細胞と細胞試料とを、所定の温度条件下で、所定の時間、接触させる。すなわち、レポーター細胞と細胞試料とをインキュベーションする。接触工程の温度条件は、細胞培養が可能な条件であればよいが、例えば、35℃以上で40℃以下の範囲内であることが好ましく、37℃以上で38℃以下の範囲内であることがより好ましい。接触工程の時間は、BLVの細胞間感染が成立しうる時間であればよいが、例えば、16時間以上であることが好ましく、48時間以上であることがより好ましい。接触工程の時間の上限は特に限定されず、BLVの感染性の評価の際に、タイムラプスイメージング等の経時的な観察を行う場合は、求められている観察時間に応じて適宜設定すればよい。なお、接触工程のその他の条件は、例えば、レポーター細胞および細胞試料をインキュベーションする条件に準じて決定をすればよい。
評価対象となる試料が細胞を含まない試料である場合の接触工程の一例では、レポーター細胞を維持可能な細胞培養用の液体培地中において、レポーター細胞と当該試料とを接触させる。細胞培養用の液体培地は、レポーター細胞の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、レポーター細胞に適した基礎培地を液体培地のベースとすればよい。液体培地に、レポーター細胞と試料とを加える順序などは特に限定されない。
評価対象となる試料が細胞を含まない試料である場合の接触工程の一例では、レポーター細胞と試料とを、所定の温度条件下で、所定の時間、接触させる。すなわち、レポーター細胞と試料とをインキュベーションする。接触工程の温度条件は、細胞培養が可能な条件であればよいが、例えば、35℃以上で40℃以下の範囲内であることが好ましく、37℃以上で38℃以下の範囲内であることがより好ましい。接触工程の時間は、BLVのcell-free感染が成立しうる時間であればよいが、例えば、16時間以上であることが好ましく、48時間以上であることがより好ましい。接触工程の時間の上限は特に限定されず、BLVの感染性の評価の際に、タイムラプスイメージング等の経時的な観察を行う場合は、求められている観察時間に応じて適宜設定すればよい。なお、接触工程のその他の条件は、例えば、レポーター細胞および試料をインキュベーションする条件に準じて決定をすればよい。
<BLVの感染性の評価の工程(評価工程)>
上記評価工程は、上記接触工程の開始後に行われる工程であり、レポーター細胞における、レポーター遺伝子の発現を指標にして、上記試料におけるBLVの感染性を評価する。好ましくは、評価工程では、1)レポーター遺伝子の発現と、2)シンシチウムの形成とを指標にして、上記試料におけるBLVの感染性を評価する。
評価工程は、接触工程の終了後に行ってもよく、接触工程と並行して行ってもよい。より具体的には例えば、接触工程の終了後にレポーター細胞を固定化してから、評価工程を行う手順が挙げられる。また、例えば、接触工程を所定の時間行った後に、上記レポーター細胞と試料との接触を維持したままで評価工程を行う手順(例えば、タイムラプスイメージング等の経時的な観察を行う場合)が挙げられる。
(レポーター遺伝子の発現の検出と評価)
レポーター遺伝子の発現は、当該レポーター遺伝子の種類に応じた、公知の方法で検出すればよい。例えば、レポーター遺伝子が発光関連遺伝子である場合は、レポーター遺伝子の発現により生じる発光を検出する。発光を検出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えば、顕微鏡(例えば、蛍光顕微鏡等の光学顕微鏡)観察、発光の画像解析(例えば、プレートリーダーを用いた解析を含む)、受光素子(例えば、CCD等)を用いた発光量の解析、これら方法の組合せ等の方法を挙げることができる。
なお、発光関連遺伝子とは、1)各種のルシフェラーゼ遺伝子のように、発光を触媒する酵素(発光基質要求型の発光タンパク質)をコードして、基質の存在下において発光を生じさせる遺伝子、および、2)各種の蛍光タンパク質のような、自発光型の発光タンパク質をコードする遺伝子、の双方を指す。それぞれの発光タンパク質を用いて発光させる方法は、公知の方法を採用すればよく、例えば、蛍光タンパク質の場合は、所定の波長の光で当該タンパク質を励起すればよく、発光基質要求型の発光タンパク質の場合は、基質の共存下で基質−酵素反応を生じさせればよい。例えば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の場合は、ホタルルシフェリン(基質)と、ATPと、所定の金属イオン(マグネシウムイオン等)とを共存させた条件で、当該遺伝子を発現させればよい。
レポーター細胞におけるレポーター遺伝子の発現の程度は、主に、上記接触工程から評価工程を行う系中でのTaxタンパク質の量に依存する。系中のTaxタンパク質は、上記試料に含まれ得るBLVが発現することによって供給される。すなわち、一実施形態では、レポーター遺伝子の発現が検出される場合は、試料がBLVを含んでいると判断し、レポーター遺伝子の発現が検出されない場合は、試料がBLVを含んでいないか、BLVをごく微量にしか含んでいないか、BLVの活動性が低いと判断する。或いは、他の実施形態では、レポーター遺伝子の発現量が所定の量(閾値)以上であるときに、試料がBLVを含んでいると判断し、レポーター遺伝子の発現が閾値未満の場合は、試料がBLVを含んでいないか、BLVをごく微量にしか含んでいないか、BLVの活動性が低いと判断する。
(シンシチウムの形成の検出と評価)
シンシチウムの形成の検出は、例えば、レポーター遺伝子の発現が見られるレポーター細胞に関して、融合細胞の形成が生じているか否かを検出すればよい。レポーター遺伝子が発光関連遺伝子である場合は、レポーター遺伝子の発現により発光しているレポーター細胞に関して、例えば、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡)観察、発光の画像解析、または、これら方法の組合せ等の方法によって、シンシチウムの形成を検出する。シンシチウムが形成されると、形成前と比較して発光のスポットが明らかに大きくなるため、シンシチウムの形成を容易に検出可能である。当該検出は、一定範囲(例えば、顕微鏡の一視野内)におけるシンシチウムの形成の検出であってもよい。
BLVによる細胞間感染またはcell-free感染が成立した場合に、シンシチウムが形成される。レポーター細胞におけるシンシチウムの形成の程度は、主に、上記試料に含まれ得るBLVの感染性に依存する。すなわち、一実施形態では、シンシチウムの形成が検出される場合は、試料が感染性の高いBLVを含んでいると判断し、シンシチウムの形成が検出されない場合は、試料が感染性の高いBLVを含んでいないと判断する。或いは、他の実施形態では、シンシチウムの形成が所定の個数または密度(閾値)以上であるときに、試料が感染性の高いBLVを含んでいると判断し、シンシチウムの形成が閾値未満の場合は、試料が感染性の高いBLVを含んでいないと判断する。
試料におけるBLVの感染性の評価の一例として、レポーター細胞において、シンシチウムの形成と、レポーター遺伝子の発現とが見られる場合、特に、レポーター遺伝子の発現が見られるレポーター細胞がシンシチウムを形成している場合に、試料におけるBLVの感染性が高いと評価する。一方で、レポーター細胞において、レポーター遺伝子の発現が見られるが、シンシチウムの形成が見られない場合に、試料におけるBLVの感染性が低いか感染性がないと評価する。レポーター細胞において、レポーター遺伝子の発現自体が見られない場合に、試料におけるBLVの感染性が低いか感染性がないと評価する。
(検出結果同士を比較しての評価)
レポーター遺伝子の発現とシンシチウムの形成とを指標にして、上記試料におけるBLVの感染性を評価する他の形態として、評価対象となる試料における検出結果と、比較用試料(コントロール)における検出結果とを比較して評価をしてもよい。この形態において、上記試料および比較用試料における、レポーター遺伝子の発現およびシンシチウムの形成の検出方法は、上記したものと同様の方法を採用すればよい。
比較用試料は、評価の目的等に応じて、適宜選択することができる。BLVを含んでいる「ある試料」と比較して、評価対象となる試料でのBLVの感染性を評価する場合は、当該「ある試料」での、レポーター遺伝子の発現およびシンシチウムの形成の検出結果を閾値(基準値)として、評価対象となる試料での検出結果を評価すればよい。
評価の目的等にもよるが、評価対象となる試料と、比較用試料とは同種の試料であることが好ましい。比較の観点にも依存するが、「同種の試料」とは、例えば、1)試料が由来する被験動物の動物種が同じであること、2)試料が由来する組織が同じであること、3)被験動物から採取された試料が何らかの処理を受けている場合は同一の処理を受けていること、の少なくとも一つ、好ましくは全ての条件を満たすことを指す。
評価の目的等にもよるが、評価対象となる試料と比較用試料とは、同一の条件下で、レポーター遺伝子の発現およびシンシチウムの形成の検出を行うことが好ましい。あるいは、異なる条件下でこれらの検出を行う場合、検出結果をノーマライズして比較可能とすることが好ましい。
試料におけるBLVの感染性の評価の一例として、比較用試料よりも評価対象となる試料において、レポーター遺伝子の発現が見られるレポーター細胞がシンシチウムを形成している個数が多い(少なく)または密度が高い(低い)場合に、試料におけるBLVの感染性が、比較試料における感染性より高い(低い)と評価する。
<その他の工程>
本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から試料を採取する工程を含み得る。また、本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から採取された試料を前処理して細胞試料を調製する工程を含み得る。また、本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から採取された試料を前処理して細胞を含まない試料を調製する工程を含み得る。生物学的な試料の前処理としては、例えば、公知の方法に従って、採取された全血液から白血球を精製する(あるいは、赤血球や血小板等の他の細胞を除去する)こと、採取された全血液から細胞以外の成分を精製すること等が挙げられる。また、本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から採取された試料に含まれる細胞を培養する工程を含み得る。また、本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から採取された試料に含まれる細胞を培養して得られた培養液から培養細胞を回収する工程を含み得る。また、本発明に係る感染性の評価方法の一実施形態は、被験動物から採取された試料に含まれる細胞を培養して得られた培養液から上清を回収する工程を含み得る。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔pBLU3-EGFPレポータープラスミドの構築〕
感染性牛白血病ウイルス(BLV)クローンpBLV-IFをテンプレートとして用い、BLV long terminal repeat(LTR)のU3領域216bpおよびR領域上流側49bpをPCRによりクローニングした。PCRは、ForwardプライマーとしてAAAATTAATTGTATGAAAGATCATGCCGACCTAGG(配列番号8)を用い、ReverseプライマーとしてAAGAGAGCTCAGGACCGAGAG(配列番号9)を用い、酵素としてKOD plusを用い、以下の条件で実施した。
Figure 0006856233
得られたPCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動後、270bp付近のバンドを切り出し、FastGene Gel/PCR Extraction kit(日本ジェネティクス)を用いて精製した。Nano dropを用いてDNA濃度を測定し、PCR産物2μgを制限酵素処理に供した。PCR産物2μgを10U/50μL Sac I(TOYOBO)により37℃で2時間処理を行い、前述のkitを用いて精製した。さらに10U/50μL NdeI(TaKaRa)により37℃で2時間処理を行い、同様に再精製し、insert断片とした。
pEGFP-N1(Clontech)2μgを10U/50μL Sac I(TOYOBO)により37℃で2時間処理を行い、前述のkitを用いて精製した。さらに10U/50μL PshBI(TaKaRa)により37℃で2時間処理を行い、電気泳動後に切り出して、同様に再精製し、vector断片とした。
Nano dropを用いてDNA濃度を測定し、vector断片50ngとinsert断片10ngをligation high ver2.0(TaKaRa)と混合し、16℃で30分間反応させた。
5μLのligation反応液を100μLのXL-10Gold competent cells(Agilent)に添加し、氷上で60分間静置し、42℃で60秒間ヒートショックした後、氷上に戻した。500μLのSOB培地を加え37℃で60分間前培養した後、カナマイシン含有LBプレートに植菌して培養し、colony directional PCRを用いて標的遺伝子導入大腸菌クローンを選択した。PCRは、酵素としてGoTaq green Master Mix(Promega)を用い、ForwardプライマーとしてGTAAACCAGACAGAGACGTCAGCTGCC(配列番号10)を用い、ReverseプライマーとしてGGCCGTTTACGTCGCCGTCC(配列番号11)を用い、以下の条件で実施した。
Figure 0006856233
PCRにより353bpのバンドが得られた1クローンについて、2mLのカナマイシン含有液体LB培地に植菌し、37℃で24時間培養し、FastGene plasmid miniprep kit(日本ジェネティクス)を用いてプラスミド精製を行った。
BigDye terminator v1.1(Thermo fisher)およびcolony directional PCRで用いた前述の2種のプライマーを用いて導入部分のシークエンスを確認した。その結果、Vector断片の想定された位置にinsert断片が変異なく導入されたことが確認されたが、insert断片のNdeI制限酵素配列が切断されず、vector断片のPshBI切断部位に平滑末端結合した配列であることが確認された。しかしながらプラスミドの構造上問題がないと考えられることから、このプラスミドをpBLU3-EGFPレポータープラスミドとした(図1)。
〔pBLU3-EGFPプラスミドとTaxまたはBLV発現プラスミドとの共トランスフェクション〕
293T細胞を1×10cells/mLの濃度で10%FBS/DMEMに懸濁し、0.5mLずつ24ウェルプレート(nunc)に播種し、37℃で16時間静置した。26μL Opti-MEM(Gibco)を1.5mLチューブに入れ、0.2μgのpBLU3-EGFPレポータープラスミドと、0.5μgのTax強制発現プラスミドpME18/BTax-FLAG(発明者らの自作)または感染性BLV発現プラスミドpBLV-IF(発明者らの自作)と、2μL FuGENE HD regentとを添加し、よく混合した後、室温で10分間静置し、transfection mixtureとした。それぞれのプラスミドの陰性コントロールとして、親株であるpME18neoプラスミドおよびpKSIIプラスミドを用いて同様にtransfection mixtureを調製した。
293T細胞を播種し16時間静置したウェルの上清を新しい10%FBS/DMEM 0.5mLに交換し、25μLのtransfection mixtureを添加した。37℃で48時間培養した後、上清を除いた。25ng/mL ヘキスト33342含有3.6%ホルムアルデヒド/PBSを添加し、室温で60分間静置して、細胞を固定した。蛍光を共焦点蛍光顕微鏡FV-1000(Olympus)を用いて観察、撮影した。
その結果、pBLU3-EGFPがBLV TaxまたはBLV共発現下において特異的に蛍光を示すことが確認された。また、BLV共発現下ではシンシチウム様の大きな蛍光体として観察できることを確認した。
〔pBLU3−EGFPレポーター細胞の構築〕
ネコ腎由来細胞株CC81を10%FBS(hyclone)/DMEM(Gibco)に懸濁し、1×10cells/mLに調製した。3mLを6ウェルプレート(nunc)に播種し、37℃で16時間静置した。
125μLのOpti-MEMを1.5mLチューブに入れ、2.5μLのlipofectamine 3000 regentを加えた。125μLのOpti-MEMを入れたチューブをもう一本用意し、2.5μgのpBLU3-EGFPレポータープラスミドと5μLのP3000 regentを加えた。これらのチューブをよく混合、室温で5分間静置し、transfection mixtureとした。
CC81細胞を播種し16時間静置したウェルの上清を新しい10%FBS/DMEM 3mLに交換し、250μLのtransfection mixtureを添加した。37℃で48時間培養後、上清を除き、500μg/mL G418(Roche)含有10%FBS/DMEMに培地交換した。37℃で引き続き培養を行い、抗生物質(500μg/mL G418(Roche))により死細胞が出なくなるまで培地交換をしながら培養した。抗生物質で選択された安定導入細胞を96ウェルプレート(nunc)に0.8cell/wellの濃度で播種し、37℃で単一細胞クローンによるコロニーができるまで培養した。増殖した7クローンについてTax強制発現に対する反応性を検討した。その結果、バックグラウンドが低く、Taxにより蛍光を強く発する1クローンをpBLU3−EGFP安定導入CC81細胞株、CC81−BLU3G細胞として樹立した。
また、CC81−BLU3G細胞に感染性BLV発現プラスミドpBLV-IFをトランスフェクションして、2日間培養し、細胞を固定し、蛍光を共焦点蛍光顕微鏡FV-1000(Olympus)を用いて観察、撮影した。その結果、CC81−BLU3G細胞は、BLVに感染可能な細胞であり、融合細胞であるシンシチウムを形成することが確認された。
なお、細胞をCC81細胞からCHO細胞に変更して同様の実験を行ったところ、細胞内でのEGFPの発現は確認されるものの、融合細胞であるシンシチウムの形成は確認されなかった。これは、CHO細胞が、BLVに感染できない細胞であることに起因する。
〔CC81−BLU3G細胞とFLK−BLV細胞との共培養〕
CC81−BLU3G細胞を1×10cells/mLの濃度で10%FBS/DMEMに懸濁し、60mm grid dish2枚に2mLずつ播種し、37℃で16時間培養した。上清を除き、5μg/mL polybrane(SIGMA)含有10%FBS/DMEMまたは恒常的BLV発現細胞株FLK−BLVを3×10cells/mLに懸濁した5μg/mL polybrane含有10%FBS/DMEMを2mL加えた。37℃で3日間培養後、上清を除き、25ng/mL ヘキスト33342含有3.6%ホルムアルデヒド/PBSを加え、室温で60分間静置した。細胞を固定し、蛍光を共焦点蛍光顕微鏡FV-1000(Olympus)を用いて観察、撮影した。
その結果、樹立したCC81−BLU3G細胞は、BLV発現細胞との共培養条件下において、特異的にシンシチウム様の大きな蛍光を示すことが確認された。
なお、細胞をCC81細胞からCHO細胞に変更して同様の実験を行ったところ、上記と同様に、融合細胞であるシンシチウムの形成は確認されなかった。
〔牛末梢血リンパ球(PBMC)の分離〕
BLV感染牛および非感染牛から10mL採血を行い、1mLをDNA抽出用に用い、CoCoMo−qPCR法により10細胞中のプロウイルス量を測定した。
PBMCの分離は、血液8mLを2,500rpm、室温で20分間遠心後、白い中間層を2mL PBSに移した。PBSを添加して10mLにし、4mL Ficoll paque(GE)が入った15mLチューブに積層し、1,800rpm、室温で30分間遠心した。白い中間層を2mL PBSに移し、PBSで15mLにした後、1,500rpm、室温で10分間遠心した。PBSでさらに1回洗浄した後、1mL 10%FBS/DMEM(Gibco)に懸濁し、細胞数を計数板により計測した。
〔CC81−BLU3G細胞によるPBMCのBLV感染性の検出〕
CC81−BLU3G細胞を5x Penicillin-Streptomycin-Glutamine(Gibco)、1x MEM Non-Essential Amino Acids Solution(Gibco)、5ug/mL polybrane(SIGMA)含有10%FBS/DMEMに2×10cells/mLの濃度で懸濁し、12ウェルプレートに播種した。そこにPBMCまたはFLK−BLV細胞を2×10cells/wellずつ添加し、37℃で3日間培養した。上清を交換し、蛍光を共焦点蛍光顕微鏡FV-1000(Olympus)を用いて観察、撮影した。さらに37℃で培養を続け、24時間おきに同条件で観察、撮影を行った。
その結果、樹立されたCC81−BLU3G細胞がBLV感染牛由来PBMCとの共培養下で、特異的にシンシチウム様の大きな蛍光を示し、非感染牛由来PBMCとの共培養ではシンシチウム様の大きな蛍光は見られなかった(図2)。またPBMCが血中プロウイルス量の高いBLV感染個体から得られたものほど早期に、強い蛍光を発する傾向が見られた(図2のB)。なお、図2において、bovine 1〜4は感染牛、bovine 5は非感染牛である。
〔pBLU3-Lucレポータープラスミドの構築〕
テンプレートとしてpGL3(Promega)を用い、ルシフェラーゼ遺伝子1653bpをPCRによりクローニングした。PCRは、ForwardプライマーとしてAAAGGATCCGCCACCATGGAAGACGCCAAAAAC(配列番号12)を用い、ReverseプライマーとしてAAAGCGGCCGCTACACGGCGATCTTTCCGCC(配列番号13)を用い、酵素としてKOD plusを用い、以下の条件で実施した。
Figure 0006856233
得られたPCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動後、1700bp付近のバンドを切り出し、FastGene Gel/PCR Extraction kit(日本ジェネティクス)を用いて精製した。Nano dropを用いてDNA濃度を測定し、PCR産物2μgを制限酵素処理に供した。PCR産物2μgを10U/50μL BamHI(TOYOBO)および10U/50μLNotI(TOYOBO)により37℃で2時間処理を行い、前述のkitを用いて精製し、insert断片とした。
pBLU3-EGFP(前述)2μgを10U/50μL BamHI(TOYOBO)および10U/50μLNotI(TOYOBO)により37℃で2時間処理を行い、電気泳動後に3600bp付近のバンドを切り出して、同様に再精製し、vector断片とした。
Nano dropを用いてDNA濃度を測定し、vector断片25ngとinsert断片37ngをligation high ver2.0(TaKaRa)と混合し、16℃で30分間反応させた。
5μLのligation反応液を100μLのXL-10Gold competent cells(Agilent)に添加し、氷上で60分間静置し、42℃で60秒間ヒートショックした後、氷上に戻した。500μLのSOB培地を加え37℃で60分間前培養した後、カナマイシン含有LBプレートに植菌して培養し、colony directional PCRを用いて標的遺伝子導入大腸菌クローンを選択した。PCRは、酵素としてGoTaq green Master Mix(Promega)を用い、ForwardプライマーとしてGTAAACCAGACAGAGACGTCAGCTGCC(配列番号10)、ReverseプライマーとしてGCCCATATCCTTGCCTGATAC(配列番号14)を用い、以下の条件で実施した。
Figure 0006856233
PCRにより1294bpのバンドが得られた8クローンのうち3クローンについて、2mLのカナマイシン含有液体LB培地に植菌し、37℃で24時間培養し、FastGene plasmid miniprep kit(日本ジェネティクス)を用いてプラスミド精製を行った。
BigDye terminator v1.1(Thermo fisher)および以下の2種のプライマーを用いて導入部分のシークエンスを確認した。Primer 1:CGCATGCCAGAGATCCTATTT(配列番号15)、Primer 2:GCCCATATCCTTGCCTGATAC(配列番号14)。その結果、すべてのクローンでVector断片の想定された位置にinsert断片が変異なく導入されたことが確認された。このうち1つのクローンを選択し、pBLU3-Lucレポータープラスミドとした。pBLU3-Lucレポータープラスミドでは、図1のpBLU3-EGFPプラスミドと比べて、EGFPの代わりにLucが挿入された構成となっている。
〔pBLU3−Lucレポーター細胞の構築〕
pBLU3−EGFPレポーター細胞と同様の方法で、pBLU3−Lucレポーター細胞の構築し、pBLU3−Luc安定導入CC81細胞株、CC81−BLU3L細胞として樹立した。
〔CC81−BLU3L細胞を用いたBLV定量的解析〕
CC81−BLU3L細胞を2×10cells/mLの濃度で10%FBS/DMEMに懸濁し、50μLずつ96ウェルプレートに10ウェル播種した。そこにBLV産生株FLK−BLV細胞を10%FBS/DMEMに6×10、2×10、2×10、2×10cells/mLの濃度で懸濁したものを50μLずつ2ウェルに加えた。37℃で24時間、5%炭酸存在下で共培養した後、上清を除き、ウェルをPBSで洗浄した。そこにPBSで5倍希釈したピッカジーン培養細胞溶解剤Luc(東洋ビーネット)100μLを加え、室温で15分間静置した。溶解液を1.5mLチューブに回収し3,000rpm、室温で3分間遠心し、上清10μLを96well white plateに移した。50μLのピッカジーン発光キット(東洋ビーネット)を添加し、EnSightマルチモードプレートリーダー(PerkinElmer)により発光を測定時間0.1秒で測定した。その結果、FLK−BLV細胞の添加量依存的な発光量増加が見られ、細胞数100〜30000の間でR=0.9997で比例を示した(図3)。
〔pBLU3-LucへのGRE変異の導入〕
pBLU3-Lucレポータープラスミドをテンプレートとし、以下のプライマーおよびPrimeSTAR MaxDNA Polymerase(TaKaRa)を用いて、LTRのU3領域に存在するglucocorticoid response element(GRE)配列に変異を導入した。
Forward primer:CGAAAAATCCTATCCCACAGTAGCTGACCTCACC(配列番号16)
Reverse primer:GGTGAGGTCAGCTACTGTGGGATAGGATTTTTCG(配列番号17)
Figure 0006856233
得られたPCR産物を0.8%アガロースゲルで電気泳動後、バンドを切り出し、FastGene Gel/PCR Extraction kit(日本ジェネティクス)を用いて精製した。Nano dropを用いてDNA濃度を測定し、PCR産物5μLを100μLのXL-10Gold competent cells (Agilent)に添加し、氷上で60分間静置し、42℃で60秒間ヒートショックした後、氷上に戻した。500μLのSOB培地を加え37℃で60分間前培養した後、カナマイシン含有LBプレートに植菌して培養し、KOD plus(TOYOBO)を用いたPCRにより大腸菌クローンを確認した。
Forward primer:GTAAACCAGACAGAGACGTCAGCTGCC(配列番号10)
Reverse primer:GCCCATATCCTTGCCTGATAC(配列番号14)
Figure 0006856233
PCRにより353bpのバンドが得られた1クローンについて、2mLのカナマイシン含有液体LB培地に植菌し、37℃で24時間培養し、FastGene plasmid miniprep kit(日本ジェネティクス)を用いてプラスミド精製を行った。
BigDye terminator v1.1(Thermo fisher)およびPCRで用いたForward primerを用いて変異導入部分のシークエンスを確認した。その結果、LTR U3領域のGRE部位に想定された変異が導入されたことが確認された。このプラスミドをpBLU3GREM-Lucレポータープラスミドとした。
〔pBLU3GREM-EGFPの作成〕
pEGFP-N1およびpBLU3GREM-Lucを10U/50μL BamHI(TOYOBO)および10U/50μLNotI(TaKaRa)により37℃で2時間処理を行い、0.8%アガロースゲルで電気泳動後、それぞれ741bp、3649bpのバンドを切り出し、FastGene Gel/PCR Extraction kit(日本ジェネティクス)を用いて精製した。それぞれ3.5μLと0.5μLをligation high ver2.0(TaKaRa)と混合し、16℃で30分間反応させた。5μLのLigation反応液を100μLのXL-10Gold competent cells(Agilent)に添加し、氷上で60分間静置し、42℃で60秒間ヒートショックした後、氷上に戻した。500μLのSOB培地を加え37℃で60分間前培養した後、カナマイシン含有LBプレートに植菌して培養し、PCRを用いて標的遺伝子導入大腸菌クローンを選択した。PCRは、酵素としてGoTaq green Master Mix(Promega)を用い、ForwardプライマーとしてGTAAACCAGACAGAGACGTCAGCTGCC(配列番号10)を用い、ReverseプライマーとしてGGCCGTTTACGTCGCCGTCC(配列番号11)を用い、以下の条件で実施した。
Figure 0006856233
PCRにより353bpのバンドが得られた7クローンのうち2クローンについて、2mLのカナマイシン含有液体LB培地に植菌し、37℃で24時間培養し、FastGene plasmid miniprep kit(日本ジェネティクス)を用いてプラスミド精製を行った。
BigDye terminator v1.1(Thermo fisher)およびcolony directional PCRで用いた前述の2種のプライマーを用いて導入部分のシークエンスを確認した。その結果、2クローンともLTRのU3領域のGRE配列に変異が導入され、ルシフェラーゼ遺伝子がEGFP遺伝子に置換されていることが確認された。このうち1つのプラスミドを選択し、pBLU3GREM-EGFPレポータープラスミドとした。
〔pBLU3GREM-Lucを用いたTaxの検出〕
CC81細胞を1×10cells/mLの濃度で10%FBS/DMEMに懸濁し、100μLずつ96well white plate(nunc)に24ウェル播種し、37℃で16時間、5%炭酸存在下で培養した。200μL Opti-MEMに0.4ug pNL1.1PGK(Promega)および8μL P3000 regent(invitrogen)を添加し、20μLずつ8本の1.5mLチューブに分注した。そのうち4本に0.2μg pME/BLV-Taxおよび0.2μg pBLU3GREM-LucまたはpBLU3-Lucを加えた。残りの4本には0.2μg pME18neoおよび0.2μg pBLU3GREM-LucまたはpBLU3-Lucを加えた。
そこに200μL Opti-MEM(Gibco)に6μLlipofectamine 3000 regentを加えたものを20μLずつ加えよく混和し、10分間静置したものをtransfection mixtureとした。CC81細胞培養の上清を除き、新しい10%FBS/DMEM 100μLに交換した後、transfection mixtureを10μLずつ3ウェルに添加し、37℃で24時間、5%炭酸存在下で培養した。
Nano-Glo Dual Luciferase Reporter Assay System(Promega)を用い、EnSightマルチモードプレートリーダー(PerkinElmer)により発光を測定時間0.1秒で測定した。その結果、変異導入前のpBLU3-Lucと比較してpBLU3GREM-LucではTax非存在下での非特異的な発光が0.42倍に減少し、Tax存在下での発光は1.15倍となりSignal/Background比で2.73倍の感度向上を示した(図4)。
〔pBLU3GREM-EGFPを用いたTaxの検出〕
CC81細胞を1×10cells/mLの濃度で10%FBS/DMEMに懸濁し、1mLずつ12ウェルプレート(nunc)に6ウェル播種し、37℃で16時間、5%炭酸存在下で培養した。500μLOpti-MEMに20μL P3000 regent(invitrogen)を添加し、50μLずつ6本の1.5mLチューブに分注した。そのうち3本に0.5μg pME/BLV-Taxおよび0.5μg pBLU3GREM-EGFPまたはpBLU3-EGFPを加えた。残りの3本には0.5μg pME18neoおよび0.5μg pBLU3GREM-EGFPまたはpBLU3-EGFPを加えた。
そこに500μL Opti -MEM(Gibco)に15μL lipofectamine 3000 regentを加えたものを50μLずつ加えよく混和し、10分間静置したものをtransfection mixtureとした。CC81細胞培養の上清を除き、新しい10%FBS/DMEM 1mLに交換した後、transfection mixtureを100μLずつ添加し、37℃で48時間、5%炭酸存在下で培養した。
蛍光顕微鏡ZX-700(キーエンス)PlanFluor_DL x10レンズを用い、9視野における蛍光細胞数をマクロセルカウントにより計数した。
Figure 0006856233
その結果、pBLU3GREM-EGFP導入細胞では、pBLU3-EGFP導入細胞と比較してpME18neo共発現時の非特異的蛍光発現が低下、pME/BLV-Tax共発現時における特異的蛍光発現が増加することが示された。
本発明は、BLVの感染性の評価に利用することができる。

Claims (10)

  1. ウシ白血病ウイルスに感染可能な細胞と、
    遺伝子構築物と、を含み、
    上記遺伝子構築物は、1)デルタレトロウイルスのLTRに由来し、U5領域の活性が低下しているか有さないがU3領域のプロモータ活性を有する発現制御配列と、2)当該発現制御配列の制御下に発現可能に連結されているレポーター遺伝子と、を含んでなり、
    上記遺伝子構築物が、発現可能に上記細胞内に導入されており、
    上記発現制御配列は、上記U3領域に含まれる糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)の活性が低下しているか活性を有さず、
    上記GREの塩基配列は、配列番号3に示す塩基配列の4番目、5番目、6番目、10番目、11番目、14番目および15番目に相当する塩基のうちの少なくとも1つに変異を有している、細胞。
  2. 上記発現制御配列は、U5領域の活性を有さない、請求項1に記載の細胞。
  3. 上記発現制御配列は、配列番号1に示す塩基配列と90%以上の配列同一性を有するU3領域を含む、請求項1または2に記載の細胞。
  4. 上記デルタレトロウイルスは、ウシ白血病ウイルスである、請求項1からの何れか一項に記載の細胞。
  5. 上記レポーター遺伝子は、発光を触媒する酵素をコードするか、発光タンパク質をコードする、請求項1からの何れか一項に記載の細胞。
  6. ウシ白血病ウイルスの感染性の評価用キットであって、
    請求項1からの何れか一項に記載の細胞を含む、キット。
  7. ウシ白血病ウイルスの感染性の評価方法であって、
    請求項1からの何れか一項に記載の細胞と、評価対象となる試料とを接触させる接触工程を含む、方法。
  8. 上記接触工程の開始後に、上記レポーター遺伝子の発現に基づいて、上記試料におけるウシ白血病ウイルスの感染性を評価する、請求項に記載の方法。
  9. 上記接触工程の開始後に、上記レポーター遺伝子の発現と、シンシチウムの形成とに基づいて、上記試料におけるウシ白血病ウイルスの感染性を評価する、請求項に記載の方法。
  10. 上記試料が、血液由来である、請求項からの何れか一項に記載の方法。
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