JP6855769B2 - 船外機の制御装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、エンジンと電動モータとをプロペラの駆動源として備えたハイブリッド型の船舶推進機において、トローリングモードが指示されているとき、プロペラを電動モータによって駆動しかつ電動モータの出力の大きさを操作レバーからの指示に応じて調整する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1ではハイブリッド型の船舶推進機を前提としており、エンジン、発電体、電磁クラッチ及び電動モータを設置しなければならず、重量やコストが増大してしまう。
図1に、実施例に係る船外機の制御装置100及びその周辺の構成を示す。
内燃機関であるエンジン1は、船外機のエンジンホルダに搭載され、クランクシャフト1aが鉛直方向に向くように縦置きに設置される。クランクシャフト1aの回転力は、鉛直方向に延在するドライブシャフト8から前後方向に延在するプロペラシャフト9に伝達され、プロペラ10が回転する。ドライブシャフト8とプロペラシャフト9との間には、シフト機構11が配設される。シフト機構11は、ここでは具体的な図示は省略するが、ドッグクラッチが前進ギア又は後進ギアに噛み合うことで、プロペラ10が正転又は逆転し、船体は前進(フォワード)又は後進(リバース)の推進力を得る。
スロットルポジションセンサ6は、エンジン1のスロットル開度を検出する。
回転数センサ7は、エンジン回転数を検出する。
バッテリ13は、モータジェネレータ2の電源となる。
モータジェネレータ制御部103は、トローリングモード時に、スイッチユニット3の操作により目標エンジン回転数が所定の回転数、具体的にはエンジン1が安定的に運転できるエンジン回転数を下回るように設定されたとき、モータジェネレータ2を駆動して目標エンジン回転数になるように制御する。このとき、エンジン制御部104は、エンジン1の点火及び燃料噴射を停止する。
このようにした制御装置100は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により構成される。なお、制御装置100の機能は、1台のコンピュータ装置により実現されてもよいし、複数台のコンピュータ装置が協働して実現されるようにしてもよい。
トローリングモードにおいて、制御装置100は、基本的には、通常モードにおけるスロットル全閉時と同様、エンジン1のISC(Idol Speed Control)による回転数制御を行う。以下、ISCにより略一定に保たれる回転数をISC回転数と称する。そして、ISC回転数N1を初期トロール回転数として、アップスイッチ3Uを1回押下するたびに、目標エンジン回転数を一段階高くし、ダウンスイッチ3Dを1回押下するたびに、目標エンジン回転数を一段低くすることができる。ISC回転数N1としては、エンジン1が安定的に運転できるエンジン回転数が設定される。
この状態で、ダウンスイッチ3Dの押下により目標エンジン回転数が更に低く設定され、デコンプ回転数以下に設定されたとき、デコンプ機構12が作動する(タイミングt3)。これにより、エンジン1のシリンダの圧力が抜け、ポンピングロスを軽減させて、モータジェネレータ2をより低トルク駆動することができ、バッテリ13の消耗を低減させることができる。
この場合に、通常モードに移行するのと同時に、モータジェネレータ2の駆動を停止し、かつ、エンジン1の点火及び燃料噴射を再開すると、エンジン回転数がISC回転数N1まで急上昇するおそれがある。そこで、通常モードに移行するに際して、モータジェネレータ2の駆動を継続して、ISC回転数N1まで徐々に上昇させ(タイミングt6)、ISC回転数N1近くまで上昇したときにエンジン1の点火及び燃料噴射を再開する(タイミングt5)。エンジン回転数をISC回転数N1にまで上昇させるときに、警告音や警告表示等の警告を行うことにより、ユーザにエンジン回転数が上昇することを認識させることができる。
図3は、通常モードからトローリングモードへの移行処理を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、通常モード時に実行される。
ステップS301で、判定部102は、入力部101で入力するスイッチユニット3の信号に基づいて、アップスイッチ3U及びダウンスイッチ3Dいずれかの長押しが検出されたか否かを判定する。アップスイッチ3U及びダウンスイッチ3Dいずれかの長押しが検出された場合、ステップS302に処理を進め、長押しが検出されなかった場合、本処理を抜ける。
なお、ここでは省略したが、通常モードからトローリングモードへの移行の条件として、例えばバッテリ13の電圧が一定の電圧以上あるという条件を加えてもよい。
ステップS401で、判定部102は、入力部101で入力するスイッチユニット3の信号に基づいて、アップスイッチ3U又はダウンスイッチ3Dの押下が検出されたか否かを判定する。アップスイッチ3U又はダウンスイッチ3Dの押下が検出された場合、ステップS402に処理を進め、押下が検出されなかった場合、本処理を抜ける。なお、本処理を抜けるとは、現時点で実行している、目標エンジン回転数になるように実行する制御を継続することを意味する。
一方、ステップS404で、エンジン制御部104は、エンジン1を駆動源として、目標エンジン回転数での低速運転を行う。このとき、モータジェネレータ制御部103は、モータジェネレータ2の駆動を停止する。
ステップS501で、判定部102は、トローリングモードの終了条件となるまで待つ。終了条件は、既述したように、ニュートラルスイッチ5がON、アップスイッチ3U及びダウンスイッチ3Dいずれかの長押し、スロットルを開く、バッテリの電圧が所定の電圧以下になる、といった条件である。終了条件となると、ステップS502に処理を進める。
ステップS502で、制御装置100は、トローリングモードから通常モードに移行させ、その後、ステップS503に処理を進める。
ステップS505で、判定部102は、入力部101で入力するエンジン回転数の信号に基づいて、エンジン回転数が回転数N2に到達するまで待つ。回転数N2は、ISC回転数N1よりも低い回転数として設定されている。エンジン回転数が回転数N2に到達すると、ステップS506に処理を進める。
ステップS507で、判定部102は、入力部101で入力するエンジン回転数の信号に基づいて、エンジン回転数がISC回転数N1に到達するまで待つ。エンジン回転数がISC回転数N1に到達すると、ステップS508に処理を進める。
ステップS508で、モータジェネレータ制御部103は、モータジェネレータ2の駆動を停止する。
また、モータジェネレータ2を駆動して目標エンジン回転数になるように制御するときに、エンジン1における点火及び燃料噴射を停止するようにしたので、エンジン回転数の変動やエンジンストールの発生を防ぐとともに、燃焼消費量の削減を図ることができる。
実施例では、遠心ウエイト方式のデコンプ機構12を説明したが、例えば電動アクチュエータを用いたデコンプ機構を採用してもよい。電動アクチュエータを用いたデコンプ機構とすることにより、任意のタイミングでエンジン1のシリンダの圧力を解放することができる。したがって、例えばトローリングモードにおいてモータジェネレータ2を駆動源として低速運転を行うときには、同時にデコンプ機構を作動させるような制御が可能になる。
また、本発明は、本発明の船外機の制御機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
2:モータジェネレータ
3:スイッチユニット
5:ニュートラルスイッチ
6:スロットルポジションセンサ
7:回転数センサ
12:デコンプ機構
13:バッテリ
100:エンジン制御装置
101:入力部
102:判定部
103:モータジェネレータ制御部
104:エンジン制御部
105:出力部
Claims (5)
- エンジンが搭載された船外機を制御する船外機の制御装置であって、
前記船外機はティラーハンドルを備え、
前記ティラーハンドルに設置したスイッチにより通常運転を行う通常モードと低速運転を行うトローリングモードの切替えを行い、
前記トローリングモードは目標エンジン回転数を可変とするトローリングモードとし、
前記エンジンに電動アクチュエータを用いたデコンプ機構を配置し、
前記トローリングモード時に目標エンジン回転数が所定の回転数を下回るように設定されたとき、前記エンジンのクランクシャフトに連結するモータジェネレータを駆動して前記目標エンジン回転数になるように制御するモータジェネレータ制御手段を備え、
前記モータジェネレータ制御手段により前記モータジェネレータを駆動して前記目標エンジン回転数になるように制御するときに、前記デコンプ機構が作動することを特徴とする船外機の制御装置。 - 前記モータジェネレータ制御手段により前記モータジェネレータを駆動して前記目標エンジン回転数になるように制御するときに、前記エンジンにおける点火及び燃料噴射を停止するエンジン制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の船外機の制御装置。
- 前記エンジン制御手段は、前記トローリングモード時に目標エンジン回転数が前記所定の回転数以上に設定されたとき、前記エンジンの点火及び燃料噴射を駆動して前記目標エンジン回転数になるように制御することを特徴とする請求項2に記載の船外機の制御装置。
- 前記モータジェネレータ制御手段は、前記モータジェネレータを駆動して前記目標エンジン回転数になるように制御している状態から、前記トローリングモードを終了するに際して、前記モータジェネレータの駆動を継続して、前記所定の回転数まで上昇させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船外機の制御装置。
- 前記モータジェネレータの電源となるバッテリの電圧が所定の電圧以下となったとき、前記トローリングモードを終了することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船外機の制御装置。
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