以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート製函機について説明する。
<段ボールシート製函機>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート製函機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態による段ボールシート製函機1の全体的構成を示す正面図である。段ボールシート製函機1は、段ボールシートSHの搬送経路PL(段ボールシートSHの搬送方向は図1において右から左に向かう方向である)において上流側から順に、上下方向に積層された段ボールシートSHを1枚ずつ送り出す給紙装置2と、段ボールシートSHに対して印刷を施す印刷装置4と、段ボールシートSHに対して罫線を施すクリーザ装置5と、段ボールシートSHに対して溝切り加工(スロット溝加工)を行うスロッタ装置6と、段ボールシートSHに対して打ち抜き加工を行うダイカッタ装置7と、を有する。
給紙装置2は、テーブル20、フロントゲート21及びバックガイド22を有し、多数の段ボールシートSHがフロントゲート21とバックガイド22との間においてテーブル20上に積載される。また、給紙装置2は、多数の給紙ローラと、昇降可能なグレイトと、一対のフィードロール23A、23Bとを有する。グレイトが多数の給紙ローラより下降したときに、多数の給紙ローラが、多数の段ボールシートSHのうち最も下側にある段ボールシートSHに接触することで、段ボールシートSHを1枚ずつ両フィードロール23A、23Bに送出する。フィードロール23A、23Bは、主駆動モータ8によって駆動される。
印刷装置4は、版胴と呼ばれる印刷シリンダ40と、搬送経路PLを挟んで印刷シリンダ40と対向する位置に配設されたプレスロール43と、段ボールシートSHに印刷するための印版部材と、印版部材にインキを供給するためのインキ塗布装置と、を有する。印刷シリンダ40及びプレスロール43は、主駆動モータ8によって駆動される。
クリーザ装置5は、搬送経路PLを挟んで上部罫線ロール50と下部罫線ロール51とを有する。上部及び下部罫線ロール50、51は、搬送されてくる段ボールシートSHの所望の位置に罫線を施す。また、上部及び下部罫線ロール50、51は、主駆動モータ8によって駆動される。
スロッタ装置6は、2つのスロッタユニット61、62を有する。スロッタユニット61、62は、それぞれ、搬送経路PLを挟んで、2つのスロッタ刃が取り付けられた上部スロッタと、スロッタ刃と嵌合可能な溝が形成される下部スロッタとを有する。これら上部及び下部スロッタは、搬送されてくる段ボールシートSHの所望の位置に溝切り加工を行う。また、上部及び下部スロッタは、主駆動モータ8によって駆動される。
ダイカッタ装置7は、搬送経路PLを挟んでダイシリンダ70とアンビルシリンダ71とを有する。段ボールシートSHを打ち抜くための一対の打ち抜きダイ73、74が合板ベニヤなどの板状体に取り付けられ、この板状体が、両ダイが点対称となる位置関係でダイシリンダ70の外周面に巻装される。打ち抜きダイ73、74の各々は、連続して搬送される段ボールシートSHの所望の位置に打ち抜き加工を行う。ダイシリンダ70及びアンビルシリンダ71は、主駆動モータ8によって駆動される。
<スロッタ装置>
次に、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態によるスロッタ装置6の具体的な構成について説明する。図2は、本発明の実施形態によるスロッタ装置6の第1及び第2スロッタユニット61、62の詳細な構成を拡大して示す正面図であり、図3は、本発明の実施形態によるスロッタ装置6の第2スロッタユニット62の一部を断面にして示す側面図である。
(スロッタ装置の構成〉
図2において、スロッタ装置6は、搬送経路PLに沿って、上流側に配置された第1スロッタユニット61と、下流側に配置された第2スロッタユニット62とを有する。第1スロッタユニット61は、搬送経路PLを挟んで配設された上部第1スロッタ610と下部第1スロッタ611とからなる溝切りのためのスロッタ組を、搬送経路PLと直交する方向に例えば3組備えるとともに、継ぎしろを形成するための公知のスロッタ組を、直交方向に例えば1組備える。両スロッタ610、611は、公知の動力伝達機構を介して主駆動モータ8に連結され、その主駆動モータ8の回転により図2に示す矢印の方向に回転する。また、第2スロッタユニット62は、搬送経路PLを挟んで配設された上部第2スロッタ620と下部第2スロッタ621とからなる溝切りのためのスロッタ組を、搬送経路PLと直交する方向(図3における前後方向)に例えば3組備えるとともに、継ぎしろを形成するための公知のスロッタ組を、直交方向に例えば1組備える。両スロッタ620、621は、公知の動力伝達機構を介して主駆動モータ8に連結され、その主駆動モータ8の回転により図2に示す矢印の方向に回転する。
上部第1スロッタ610は、当該第1上部スロッタ610の外周上に固定され、回転方向と反対方向側の端部に角刃612a1を備える第1固定スロッタ刃612と、当該第1上部スロッタ610の外周上において周方向に移動可能に設けられ、回転方向側の端部に角刃613a1を備える第1移動スロッタ刃613と、を有する。下部第1スロッタ611は、スロッタ装置6のフレームに回転可能に支持され、第1スロッタ刃614が外周部全域に形成されて構成される。上部第1スロッタ610は、第1スロッタ軸615を介してスロッタ装置6のフレームに回転可能に支持される。また、上部第2スロッタ620は、当該第2上部スロッタ620の外周上に固定され、回転方向と反対方向側の端部に角刃622a1を備える第2固定スロッタ刃622と、当該第2上部スロッタ620の外周上において周方向に移動可能に設けられ、回転方向側の端部に角刃623a1を備える第2移動スロッタ刃623と、を有する。下部第2スロッタ621は、スロッタ装置6のフレームに回転可能に支持され、第2スロッタ刃624が外周部全域に形成されて構成される。上部第2スロッタ620は、第2スロッタ軸625を介してスロッタ装置6のフレームに回転可能に支持される。
また、第1スロッタユニット61と第2スロッタユニット62との間には、位置センサ671、672が設けられている。位置センサ671、672は、上下方向において互い違いになるように配置され、スロッタ装置6のフレームに固定されている。位置センサ671は、第1固定スロッタ刃612及び第1移動スロッタ刃613を検知可能に構成され、位置センサ672は、第2固定スロッタ刃622及び第2移動スロッタ刃623を検知可能に構成されている。具体的には、位置センサ671は、第1固定スロッタ刃612又は第1移動スロッタ刃613が当該位置センサ671の近傍に位置するときにオンとなり、位置センサ672は、第2固定スロッタ刃622又は第2移動スロッタ刃623が当該位置センサ672の近傍に位置するときにオンとなる。例えば、位置センサ671、672には、金属を検知可能な近接センサが適用される。
なお、以下では、固定スロッタ刃を単に「固定刃」と表記することがあり、また、移動スロッタ刃を単に「移動刃」と表記することがある。更に、第1固定刃612と第2固定刃622とを区別しないで用いる場合に単に「固定刃」と表記することがあり、また、第1移動刃613と第2移動刃623とを区別しないで用いる場合に単に「移動刃」と表記することがある。加えて、固定刃と移動刃とを区別しないで用いる場合に単に「スロッタ刃」と表記することがある。
(スロッタユニットの構成)
第1及び第2スロッタユニット61、62は、同じ構成であるので、第2スロッタユニット62を例に挙げて、図3を参照して説明する。図3は、図2中のA−A線に沿って見た第2スロッタユニット62の上部第2スロッタ620の断面図を含んでいる。図3において、第2スロッタ軸625は、スプライン軸から構成され、軸受けを介してスロッタ装置6のフレーム626に回転可能に支持される。第2スロッタ軸625は、差動位置決め機構650Bを介して主駆動モータ8に連結される。一般に、差動位置決め機構650Bは、ハーモニックドライブ(登録商標)などの差動装置及び差動調整モータからなる。ハーモニックドライブ(登録商標)は、ウェーブ・ジェネレータと、フレクスプラインと、サーキュラ・スプラインとから構成される。本実施形態では、第2スロッタ軸625がフレクスプラインに連結され、主駆動モータ8から動力が伝達される伝達部材がサーキュラ・スプラインに連結される。サーボモータからなる公知の差動調整モータがウェーブ・ジェネレータに連結される。差動調整モータが回転駆動されることにより、主駆動モータ8から動力伝達される伝達部材に対する各スロッタ軸の回転位相が、調整される。
上記では、第2スロッタユニット62に適用される差動位置決め機構650Bを示したが、これと同様の構成を有する差動位置決め機構が第1スロッタユニット61にも適用される。以下では、説明の便宜上、第1スロッタユニット61に適用される差動位置決め機構に「650A」の符号を付す。この差動位置決め機構650Aは、第1スロッタ軸615及び主駆動モータ8に連結される。なお、差動位置決め機構650A、650Bは、それぞれ、第1及び第2位相調整機構に相当する。
上部第2スロッタ620は、第2固定刃622及び第2移動刃623とともに、スロッタホルダ627と、外周部に歯車が形成された回転ギア628と、回転リング629とを有する。スロッタホルダ627は、段ボールシートSHの前端部及び後端部に行われる溝切りの位置が変更されるようにスロッタ軸625によりその軸方向に摺動可能に支持される。回転ギア628及び回転リング629は、スロッタホルダ627により回転可能に支持され、互いに一体的に回転するように連結される。第2移動刃623は回転リング629に固定され、第2固定刃622はスロッタホルダ627に直接に固定される。
下部第2スロッタ621は、上部第2スロッタ620がスロッタホルダ627を介してスロッタ軸625上を摺動するのに伴い、図3に示す前後方向に摺動するようにスプライン軸により支持される。下部第2スロッタ621は、前後方向における中央部分に嵌合溝630を有する。嵌合溝630は、下部第2スロッタ621の円周方向全域にわたって設けられ、第2固定刃622及び第2移動刃623の先端部が嵌入するように形成される。
(移動刃移動調整機構)
本実施形態では、第2固定刃622に対する第2移動刃623の回転位相を調整するために、図3に示す移動刃移動調整機構660Bが第2スロッタユニット62に設けられる。移動刃移動調整機構660Bは、スロッタ軸625と平行に延びる調整軸641と、伝達ギア642と、位相調整モータ643と、差動装置644とを有する。調整軸641は、スプライン軸からなり、軸受けを介してスロッタ装置6のフレーム626に回転可能に支持され、公知のハーモニックドライブ(登録商標)などの差動装置644を介して位相調整モータ643に連結される。具体的には、位相調整モータ643から動力が伝達される伝達軸がハーモニックドライブ(登録商標)のウェーブ・ジェネレータに連結され、調整軸641がハーモニックドライブ(登録商標)のフレクスプラインに連結される。主駆動モータ8から動力が伝達される伝達部材がハーモニックドライブ(登録商標)のサーキュラ・スプラインに連結される。伝達ギア642は、上部第2スロッタ620がスロッタホルダ627を介してスロッタ軸625上を摺動するのに伴い、調整軸641に沿って摺動するように調整軸641により支持される。伝達ギア642は、回転ギア628と噛み合い、調整軸641の回転を回転ギア628に伝達する。主駆動モータ8が停止している間に、位相調整モータ643が回転駆動されると、その回転は、差動装置644であるハーモニックドライブ(登録商標)により減速されて伝達ギア642、回転ギア628及び回転リング629を介して第2移動刃623に伝達され、第2移動刃623はスロッタホルダ627の外周面に沿って移動する。これにより、第2固定刃622に対する第2移動刃623の回転位相が調整される。一方、位相調整モータ643が制動をかけられ停止している間に、主駆動モータ8が回転駆動されてスロッタ軸625が回転すると、主駆動モータ8の回転は差動装置644を介して調整軸641に伝達される。この調整軸641が回転することにより、第2移動刃623は、第2固定刃622と一定の位置関係を保持しながらスロッタホルダ627とともに回転することができる。
上記では、第2スロッタユニット62に適用される移動刃移動調整機構660Bを示したが、これと同様の構成を有する移動刃移動調整機構が第1スロッタユニット61にも適用される。以下では、説明の便宜上、第1スロッタユニット61に適用される移動刃移動調整機構に「660A」の符号を付す。なお、移動刃移動調整機構660A、660Bは、それぞれ、第1及び第2移動調整機構に相当する。
<制御装置>
次に、図4を参照して、本発明の実施形態による制御装置100について説明する。図4は、本発明の実施形態による制御装置100の電気的構成を示すブロック図である。なお、図4では、制御装置100によるスロッタ装置6に対する制御構成を主として示しているが、この制御装置100は、スロッタ装置6以外にも段ボールシート製函機1の種々の構成要素(給紙装置2や印刷装置4やクリーザ装置5やダイカッタ装置7)に対する制御も行う。
基本的には、制御装置100は、主駆動モータ8を制御することで、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれの上部第1及び第2スロッタ610、620並びに下部第1及び第2スロッタ611、621を回転させる。また、制御装置100は、差動位置決め機構650A、650B内の差動調整モータを制御することで、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれの第1及び第2スロッタ軸615、625の回転位相を調整する。こうすることで、上部第1及び第2スロッタ610、620のそれぞれに固定された第1及び第2固定刃612、622の回転位相を調整する。つまり、制御装置100は、差動位置決め機構650A、650B内の差動調整モータを制御することで、第1及び第2固定刃612、622のそれぞれの位置決め制御を行う。
また、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660B内の位相調整モータ643を制御することで、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれの調整軸641の回転位相を調整する。こうすることで、第1スロッタユニット61について、第1固定刃612に対する第1移動刃613の回転位相を調整し、また、第2スロッタユニット62について、第2固定刃622に対する第2移動刃623の回転位相を調整する。つまり、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660B内の位相調整モータ643を制御することで、第1及び第2移動刃613、623のそれぞれの位置決め制御を行う。
更に、制御装置100は、図4に示すように、作業者(オペレータ)によって操作される操作パネル110から信号が入力される共に、スロッタ装置6内の位置センサ671、672(図2参照)から信号(検知信号)が入力される。制御装置100は、このように入力される信号に基づき、上述したような位置決め制御を行う。また、制御装置100は、表示装置120に所定の情報を表示させる制御も行う。表示装置120に表示される情報の例については、後述する。
<シングルスロッタモード>
次に、本発明の実施形態において、2アップ生産のためにスロッタ装置6により実施されるシングルスロッタモード(以下では「SSLモード」と表記することがある。)について具体的に説明する。
まず、シングルスロッタモードの説明の前に、図5を参照して、スロッタ装置6による溝切り加工の基本的事項について説明する。図5は、溝切り加工後の段ボールシートSHの平面図である。なお、ここで説明する溝切り加工は、シングルスロッタモードだけでなく、ダブルスロッタモードにおいても適用される。
図5において、符号LS1で示す部分(3箇所)は、スロッタ装置6により溝切り加工を行う、段ボールシートSHの上フラップ部分FL1における箇所である。また、符号LS2で示す部分(3箇所)は、スロッタ装置6により溝切り加工を行う、段ボールシートSHの下フラップ部分FL2における箇所である。以下では、図5に示すように、上フラップ部分FL1の長さを「a」と表記し、下フラップ部分FL2の長さを「c」と表記し、上フラップ部分FL1と下フラップ部分FL2との間の部分の長さ、つまり箱深さを「b」と表記する。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態によるシングルスロッタモードについて具体的に説明する。図6は、シングルスロッタモードにおけるスロッタ装置6の第1及び第2スロッタユニット61、62の詳細な状態図を示している。具体的には、図6では、第1及び第2スロッタユニット61、62の主要な構成要素(特に固定刃及び移動刃)を拡大して示す正面図である。
図6に示す例では、第1スロッタユニット61に関して、第1固定刃612は、角刃612a1が端部に設けられた角付刃612aと、この角付刃612aに連結された2つの継刃612bとを有し、また、第1移動刃613は、角刃613a1が端部に設けられた角付刃613aと、この角付刃613aに連結された2つの継刃613bとを有する。第1固定刃612では、上部第1スロッタ610の回転方向と反対方向側に角付刃612aが設けられているので、回転方向と反対方向側の端部に角刃612a1が位置することとなり、また、第1移動刃613では、上部第1スロッタ610の回転方向側に角付刃613aが設けられているので、回転方向側の端部に角刃613a1が位置することとなる。同様に、第2スロッタユニット62において、第2固定刃622は、角刃622a1が端部に設けられた角付刃622aと、この角付刃622aに連結された2つの継刃622bとを有し、また、第2移動刃623は、角刃623a1が端部に設けられた角付刃623aと、この角付刃623aに連結された2つの継刃623bとを有する。第2固定刃622では、上部第2スロッタ620の回転方向と反対方向側に角付刃622aが設けられているので、回転方向と反対方向側の端部に角刃622a1が位置することとなり、また、第2移動刃623では、上部第2スロッタ620の回転方向側に角付刃623aが設けられ、回転方向側の端部に角刃623a1が位置することとなる。
シングルスロッタモードにおいては、第1スロッタユニット61では、第1固定刃612と第1移動刃613とが第1上部スロッタ610の外周上において所定距離だけ離間して配置され、且つ、第2スロッタユニット62では、第2固定刃622と第2移動刃623とが第2上部スロッタ620の外周上において所定距離だけ離間して配置される。このように各スロッタ刃を配置した状態において、第1及び第2上部スロッタ610、620が1回転する間に2枚の段ボールシートSH1、SH2を送り込み、これら2枚の段ボールシートSH1、SH2に対する溝切り加工を、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれによって行わせる。具体的には、シングルスロッタモードでは、第1スロッタユニット61の第1固定刃612によって、搬送方向FDの上流側の段ボールシートSH2における上フラップ部分LS12を溝切り加工し、第1スロッタユニット61の第1移動刃613によって、当該段ボールシートSH2における下フラップ部分LS22を溝切り加工する。また、第2スロッタユニット62の第2固定刃622によって、搬送方向FDの下流側の段ボールシートSH1における上フラップ部分LS11を溝切り加工し、第2スロッタユニット62の第2移動刃623によって、当該段ボールシートSH1における下フラップ部分LS21を溝切り加工する。
本実施形態では、このようなシングルスロッタモードでの溝切り加工を適切に実現すべく、制御装置100が、第1及び第2固定刃612、622及び第1及び第2移動刃613、623のそれぞれについてレジスタ現在値を設定して、各刃を位置決め制御する。ここで、固定刃に適用するレジスタ現在値は、加工すべき段ボールシートの下流側の縁端(前端)の位置を基準にして、固定刃の角刃が当該段ボールシートの前端に対して配置されるべき相対的位置を示すパラメータ(第1及び第2位置決め用パラメータ)である。他方で、移動刃に適用するレジスタ現在値は、固定刃の角刃の位置を基準にして、移動刃の角刃が固定刃の角刃に対して配置されるべき相対的位置(上部スロッタの外周に沿った円周長さに相当する)を示すパラメータ(第3及び第4位置決め用パラメータ)である。これらのレジスタ現在値の定義は、シングルスロッタモードだけでなく、ダブルスロッタモードにも同様に適用される。
次に、図6に加えて図7を参照して、本発明の実施形態においてシングルスロッタモードにて適用するレジスタ現在値について具体的に説明する。図7は、本発明の実施形態においてシングルスロッタモードにて各スロッタ刃に適用するレジスタ現在値を示す表である。
上述したように、シングルスロッタモードにおいては、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方とも、第1及び第2固定刃612、622によって段ボールシートSH1、SH2における上フラップ部分LS11、LS12を溝切り加工し、且つ、第1及び第2移動刃613、623によって段ボールシートSH1、SH2における下フラップ部分LS21、LS22を溝切り加工する(図6参照)。この場合、第1及び第2固定刃612、622の角刃612a1、622a1が、上フラップ部分LS11、LS12の上流端(換言すると上フラップ部分LS11、LS12について溝切り加工を行う部分の後端)に一致するようにし、また、第1及び第2移動刃613、623の角刃613a1、623a1が、下フラップ部分LS21、LS22の下流端(換言すると下フラップ部分LS21、LS22について溝切り加工を行う部分の前端)に一致するようにする。つまり、上部第1及び第2スロッタ610、620は回転し、段ボールシートSH1、SH2は搬送方向FDに沿って移動するが、回転する第1及び第2固定刃612、622における角刃612a1、622a1が搬送されてきた段ボールシートSH1、SH2に到達するときに、この角刃612a1、622a1が上フラップ部分LS11、LS12の後端に接触するようにし、また、回転する第1及び第2移動刃613、623における角刃613a1、623a1が搬送されてきた段ボールシートSH1、SH2に到達するときに、この角刃613a1、623a1が下フラップ部分LS12、LS12の前端に接触するようにする。
このような各スロッタ刃と段ボールシートとの相対的な位置関係を実現するために、図7に示すようなレジスタ現在値を適用する。具体的には、制御装置100は、シングルスロッタモードを行う場合、第1及び第2固定刃612、622のレジスタ現在値を、段ボールシートSH1、SH2における上フラップ部分LS11、LS12の寸法である「a」に設定する。また、制御装置100は、第1及び第2移動刃613、623のレジスタ現在値を、段ボールシートSH1、SH2における箱深さの寸法である「b」に設定する。
そして、制御装置100は、図7に示すように設定したレジスタ現在値に基づき、各スロッタ刃の位置決め制御を行う。具体的には、制御装置100は、段ボールシートSH1、SH2における上フラップ部分LS11、LS12の寸法aの数値をレジスタ現在値に設定して、差動位置決め機構650A、650Bの差動調整モータを制御することで、第1及び第2固定刃612、622のそれぞれの位置決め制御を行う。加えて、制御装置100は、段ボールシートSH1、SH2における箱深さの寸法bの数値をレジスタ現在値に設定して、移動刃移動調整機構660A、660Bの位相調整モータ643を制御することで、第1及び第2移動刃613、623のそれぞれの位置決め制御を行う。
次に、図8を参照して、本発明の実施形態によるシングルスロッタモードでの表示画面について説明する。図8は、シングルスロッタモードにおいて、制御装置100による制御の元で表示装置120に表示される画面例を示している。図8に示すように、この表示画面によれば、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれによって溝切り加工を行う段ボールシートと段ボールシートにおいて溝切り加工を行う箇所とが、作業者に容易に理解できるようになっている。また、当該表示画面には、第1及び第2スロッタユニット61、62の第1及び第2固定刃612、622のそれぞれのレジスタ現在値が表示される。図8では、段ボールシートにおける上フラップ部分の寸法aが「150mm」であり、この「150mm」が第1及び第2固定刃612、622のそれぞれのレジスタ現在値として表示される例を示している。作業者は、このように表示されたレジスタ現在値を確認して、表示された値と段ボールシートSH1、SH2の加工寸法(換言すると箱寸法)との関係を把握して、スロッタ装置6に関する種々の調整を行う。
<ダブルスロッタモード>
次に、本発明の実施形態において、通常生産のためにスロッタ装置6により実施されるダブルスロッタモード(以下では「WSLモード」と表記することがある。)について具体的に説明する。
図9は、ダブルスロッタモードにおけるスロッタ装置6の第1及び第2スロッタユニット61、62の詳細な状態図を示している。具体的には、図9では、第1及び第2スロッタユニット61、62の主要な構成要素(特に固定刃及び移動刃)を拡大して示す正面図である。なお、適用する各スロッタの構成は、図6に示したものと同様であるため、それらの説明を省略する。
ダブルスロッタモードにおいては、第1スロッタユニット61では、第1固定刃612と第1移動刃613とが第1上部スロッタ610の外周上において当接するよう配置され、また、第2スロッタユニット62では、第2固定刃622と第2移動刃623とが第2上部スロッタ620の外周上において当接するよう配置される。つまり、ダブルスロッタモードでは、第1固定刃612と第1移動刃613とを一体化した1つのスロッタ刃を使用するようにし、また、第2固定刃622と第2移動刃623とを一体化した1つのスロッタ刃を使用するようにする。具体的には、第1固定刃612において角刃612a1が設けられていない端部と第1移動刃613において角刃613a1が設けられていない端部とが当接され(換言すると第1固定刃612と第1移動刃613とを一体化したスロッタ刃の両端に角刃612a1、613a1が位置するように当接される)、また、第2固定刃622において角刃622a1が設けられていない端部と第2移動刃623において角刃623a1が設けられていない端部とが当接され(換言すると第2固定刃622と第1移動刃623とを一体化したスロッタ刃の両端に角刃622a1、623a1が位置するように当接される)。
このように各刃を配置した状態において、第1及び第2上部スロッタ610、620が1回転する間に1枚の段ボールシートSHを送り込み、段ボールシートSHに対する溝切り加工を第1及び第2スロッタユニット61、62の両方によって行わせる。具体的には、ダブルスロッタモードでは、第1スロッタユニット61の少なくとも第1移動刃613(第1移動刃613のみの場合もあるし、第1移動刃613及び第1固定刃612の両方の場合もある)によって、段ボールシートSHにおける下フラップ部分LS2を溝切り加工し、また、第2スロッタユニット62の少なくとも第2固定刃622(第2固定刃622のみの場合もあるし、第2固定刃622及び第2移動刃623の両方の場合もある)によって、段ボールシートSHにおける上フラップ部分LS1を溝切り加工する。本実施形態では、このようなダブルスロッタモードでの溝切り加工を適切に実現すべく、制御装置100が、第1及び第2固定刃612、622及び第1及び第2移動刃613、623のそれぞれについてレジスタ現在値を設定して、各刃を位置決め制御する。
次に、図9に加えて図10を参照して、本発明の実施形態においてダブルスロッタモードにて適用するレジスタ現在値について具体的に説明する。図10は、本発明の実施形態においてダブルスロッタモードにて各スロッタ刃に適用するレジスタ現在値を示す表である。
上述したように、ダブルスロッタモードにおいては、第1スロッタユニット61では、段ボールシートSHにおける下フラップ部分LS2を少なくとも第1移動刃613によって溝切り加工し、また、第2スロッタユニット62では、段ボールシートSHにおける上フラップ部分LS1を少なくとも第2固定刃622によって溝切り加工する(図9参照)。この場合、第1スロッタユニット61における第1移動刃613の角刃613a1が、下フラップ部分LS2の下流端(換言すると下フラップ部分LS2について溝切り加工を行う部分の前端)に一致するようにし、また、第2スロッタユニット62の第2固定刃622の角刃622a1が、上フラップ部分LS1の上流端(換言すると上フラップ部分LS1について溝切り加工を行う部分の後端)に一致するようにする。つまり、上部第1スロッタ610は回転し、段ボールシートSHは搬送方向FDに沿って移動するが、回転する第1移動刃613における角刃613a1が搬送されてきた段ボールシートSHに到達するときに、この角刃613a1が下フラップ部分LS2の前端に接触するようにする。加えて、上部第2スロッタ620は回転し、段ボールシートSHは搬送方向FDに沿って移動するが、回転する第2固定刃622における角刃622a1が搬送されてきた段ボールシートSHに到達するときに、この角刃622a1が上フラップ部分LS1の後端に接触するようにする。
このような各スロッタ刃と段ボールシートとの相対的な位置関係を実現するために、図10に示すようなレジスタ現在値を適用する。ここでは、上記した「a」、「b」、「c」に加えて、以下のような符号も用いる。
D:上部第1及び第2スロッタ610、620の直径(基本的には印刷シリンダ40の基準円周直径に一致する)
f:第1固定刃612の刃物長さ(具体的には第1固定刃612の円弧長さ)
g:第1移動刃613の刃物長さ(具体的には第1移動刃613の円弧長さ)
d:第2固定刃622の刃物長さ(具体的には第2固定刃622の円弧長さ)
e:第2移動刃623の刃物長さ(具体的には第2移動刃623の円弧長さ)
ダブルスロッタモードを行う場合、まず、制御装置100は、第2スロッタユニット62の第2固定刃622のレジスタ現在値を、シングルスロッタモードを行う場合と同様に、段ボールシートSHにおける上フラップ部分LS1の寸法である「a」に設定する(図10参照)。これは、ダブルスロッタモードでも、第2スロッタユニット62の第2固定刃622は、シングルスロッタモードと同様にして、段ボールシートSHの上フラップ部分LS1を溝切り加工するからである。
また、ダブルスロッタモードでは、上述したように、第1固定刃612と第1移動刃613とを当接させ、且つ、第2固定刃622と第2移動刃623とを当接させる。他方で、第1及び第2移動刃613、623のレジスタ現在値は、それぞれ、第1及び第2固定刃612、622の角刃612a1、622a1から第1及び第2移動刃613、623の角刃613a1、623a1までの円周長さ(詳しくは、第1及び第2上部スロッタ610、620において回転方向と反対方向に沿った円周長さ)となる。そのため、ダブルスロッタモードでのスロッタ刃の当接状態においては、第1移動刃613のレジスタ現在値は、第1固定刃612と第1移動刃613との周方向に沿った合計刃物長さ(f+g)を用いて規定され、また、第2移動刃623のレジスタ現在値は、第2固定刃622と第2移動刃623との周方向に沿った合計刃物長さ(d+e)を用いて規定されることとなる。具体的には、第1及び第2移動刃613、623のレジスタ現在値は、それぞれ、第1及び第2上部スロッタ610、620の円周の長さ(D×π)から、このような合計刃物長さ(f+g、d+e)を減算した値となる。したがって、制御装置100は、ダブルスロッタモードを行う場合、第1スロッタユニット61の第1移動刃613のレジスタ現在値を「D×π−(f+g)」に設定し、第2スロッタユニット62の第2移動刃623のレジスタ現在値を「D×π−(d+e)」に設定する(図10参照)。
なお、このように第1及び第2移動刃613、623のレジスタ現在値を設定する場合には合計刃物長さ(f+g、d+e)が必要となるが、この合計刃物長さを取得する手法については後述する。
一方で、第1固定刃612のレジスタ現在値は、以下のようにして設定される。ダブルスロッタモードでは、シングルスロッタモードと異なり、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方によって1枚の段ボールシートSHを溝切り加工する。そのため、ダブルスロッタモードでは、第2固定刃622のレジスタ現在値において基準とした段ボールシートSHの下流側の縁端(前端)が、同じく第1固定刃612のレジスタ現在値においても基準となる。また、ダブルスロッタモードが適用される通常生産では、連続する前後の段ボールシートSHを、上部スロッタの周長を2等分した距離だけ離間させて送り込む。そのため、第1固定刃612のレジスタ現在値を第2固定刃622の基準(つまり第2スロッタユニット62に到達した段ボールシートSHの前端)に対する値とするためには、第1上部スロッタ610(第2上部スロッタ620でも同じ)の周長を2等分した長さ「D×π/2」だけ減算する処理を、第1固定刃612のレジスタ現在値に適用することとなる。また、ダブルスロッタモードにおいては、第1スロッタユニット61では、段ボールシートSHにおける下フラップ部分LS2の前端を第1移動刃613の角刃613a1で切断するため、第1移動刃613において第1上部スロッタ610の回転方向と反対側に第1固定刃612が当接される(図9参照)。この場合、第1固定刃612と第1移動刃613とを当接させて一体化したスロッタ刃で見ると、第1固定刃612の角刃612a1は、第1移動刃613の角刃613a1と反対側の端部に位置する。そのため、第1固定刃612の角刃612a1は、第1移動刃613の角刃613a1から合計刃物長さ(f+g)だけ離間して位置する。
以上のことから、第1固定刃612のレジスタ現在値は、段ボールシートSHの上フラップ部分LS1の寸法(a)と、箱深さ(b)と、第1固定刃612及び第1移動刃613の合計刃物長さ(f+g)とを加算した値から、第1上部スロッタ610の周長を2等分した長さ(D×π/2)を減算した値となる。したがって、制御装置100は、ダブルスロッタモードを行う場合、第1スロッタユニット61の第1固定刃612のレジスタ現在値を、「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」に設定する(図10参照)。
そして、制御装置100は、以上のようにして設定したレジスタ現在値に基づき、各スロッタ刃の位置決め制御を行う。具体的には、制御装置100は、ダブルスロッタモードでは、まず、移動刃移動調整機構660A、660Bの位相調整モータ643を制御することで、第1及び第2移動刃613、623のそれぞれを移動させて第1及び第2固定刃612、622に当接させる。そして、制御装置100は、各種パラメータの値から第1及び第2固定刃612、623のレジスタ現在値を設定して(図10参照)、差動位置決め機構650A、650Bの差動調整モータを制御することで、当接状態にある第1固定刃612及び第1移動刃613並びに当接状態にある第2固定刃622及び第2移動刃623のそれぞれの位置決め制御を行う。
ところで、ダブルスロッタモードでは、第2スロッタユニット62の第2固定刃622のレジスタ現在値は、段ボールシートSHにおける上フラップ部分LS1の寸法である「a」となる一方で、第1スロッタユニット61の第1固定刃612のレジスタ現在値は、「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」となる。しかしながら、この「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」の式から分かるように、当該式には「{(D×π/2)−(f+g)}」という項が含まれるため、第1固定刃612のレジスタ現在値は、段ボールシートSHにおける加工寸法から乖離したものとなる。ここで、上フラップ部分及び下フラップ部分の寸法a、cが「150mm」であり、箱深さbが「200mm」であり、上部第1及び第2スロッタ610、620の直径Dが「406.4mm」であり、第1及び第2固定刃612、613並びに第1及び第2移動刃613、623の刃物長さf、d、g、eが全て「224mm」である場合を一例に挙げる。この場合、第2固定刃613のレジスタ現在値は「150mm」となるため、段ボールシートSHにおける加工寸法に一致するものとなるが、第1固定刃612のレジスタ現在値は上式より「159.6mm」となるため、段ボールシートSHにおける加工寸法から乖離したものとなることがわかる。
ダブルスロッタモードでも、シングルスロッタモードと同様に(図8参照)、第1及び第2固定刃622、622のレジスタ現在値を表示装置120に表示させる。しかしながら、上記したような加工寸法から乖離した第1固定刃612のレジスタ現在値をそのまま表示させると、作業者が、表示された値と段ボールシートSHの加工寸法との関係を理解するのが困難となる。
したがって、本実施形態では、制御装置100は、第1固定刃612の実際のレジスタ現在値である「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」を、段ボールシートSHの加工寸法に応じた値へと補正した値を表示装置120に表示させる。具体的には、制御装置100は、補正定数として「(D×π/2)−(f+g)」を用い、「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」から得られる値に対して当該補正定数を加算した値を表示装置120に表示させる。結果的に、制御装置100は、「a+b」の値を第1固定刃612のレジスタ現在値として表示装置120に表示させる。この「a+b」の値は、段ボールシートSHの上フラップ部分の寸法aと箱深さbとを加算した値であるので、当該値を第1固定刃612のレジスタ現在値として表示装置120に表示させると、作業者は、表示された値と段ボールシートSHの加工寸法との関係を容易に理解できるようになる。
次に、図11を参照して、本発明の実施形態によるダブルスロッタモードでの表示画面について説明する。図11は、ダブルスロッタモードにおいて、制御装置100による制御の元で表示装置120に表示される画面例を示している。図11に示すように、この表示画面によれば、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれによって1枚の段ボールシートSHに対して溝切り加工を行う箇所が、作業者に容易に理解できるようになっている。
また、図11に示す表示画面には、第1及び第2スロッタユニット61、62の第1及び第2固定刃612、622のそれぞれのレジスタ現在値が表示される。ここでは、上記した例と同様に、上フラップ部分及び下フラップ部分の寸法a、cが「150mm」であり、箱深さbが「200mm」であり、上部第1及び第2スロッタ610、620の直径Dが「406.4mm」であり、第1及び第2固定刃612、613並びに第1及び第2移動刃613、623の刃物長さf、d、g、eが全て「224mm」である場合を例として挙げる。この場合、第2固定刃622のレジスタ現在値として、上フラップ部分の寸法aの値に対応する「150mm」が表示され、第1固定刃612のレジスタ現在値として、上フラップ部分の寸法aと箱深さbとを加算した値に対応する「350mm」が表示される。つまり、実際の第1固定刃612のレジスタ現在値は、上式より「159.6mm」となるが、この値を段ボールシートSHの加工寸法に応じた値へと補正した値、つまり補正定数により補正した値である「350mm」が表示される。作業者は、このように表示されたレジスタ現在値を確認して、表示された値と段ボールシートSHの加工寸法との関係を把握して、スロッタ装置6に関する種々の調整を行う。
<モード切り替え制御>
次に、本発明の実施形態においてシングルスロッタモードとダブルスロッタモードとの間でモードを切り替えるときに行われる制御について説明する。
(シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替え制御)
まず、本発明の実施形態によるシングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替え制御について説明する。この切り替え制御の具体的内容を説明する前に、当該切り替え制御において必要となる固定刃と移動刃との合計刃物長さを求める方法について、図12を参照して説明する。
図12は、本発明の実施形態による合計刃物長さを求める方法の説明図である。図12は、本発明の実施形態による第1スロッタユニット61の第1上部スロッタ610のみを拡大して示す概略正面図である。図12では、第1及び第2スロッタユニット61、62のうちで第1スロッタユニット61を代表として用いて、合計刃物長さを求める方法を説明する。この方法は第2スロッタユニット62にも同様に適用される。
本実施形態では、制御装置100が、シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへ切り替えるときに、固定刃と移動刃との合計刃物長さを自動で求めるための制御を行う。これは、ダブルスロッタモードを行うために固定刃及び移動刃を位置決めするときに、合計刃物長さが必要となるからである。基本的には、合計刃物長さは、ダブルスロッタモードを行う前に制御装置100側で把握しているものではないので、ダブルスロッタモードを行うときに制御装置100が合計刃物長さを求めるようにする。
特に、本実施形態では、制御装置100は、固定刃に対して離間した位置にある移動刃を徐々に移動させることで移動刃を固定刃に当接させて、この当接状態において固定刃と移動刃との合計刃物長さを求める。具体的には、図12に示すように、制御装置100は、まず、第1固定刃612及び第1移動刃613のそれぞれを離間した第1及び第2基準位置に位置決めする。詳しくは、制御装置100は、第1固定刃612の位置を固定した状態において、第1移動刃613を移動させることで第1固定刃612に当接させるようにすることを前提とし、第1固定刃612については、移動してきた第1移動刃613が当接するのに適した位置である第1基準位置(レジスタ現在値αで示す位置)に位置決めする。また、制御装置100は、第1移動刃613については、第1固定刃612に当接させるための移動を開始する前に配置されるべき位置である第2基準位置(レジスタ現在値βで示す位置)に位置決めする。
これら第1及び第2基準位置は、第1上部スロッタ610のシリンダ円周の下方領域(典型的には第1上部スロッタ610の下半分に対応する領域)に規定される。こうすることで、合計刃物長さを求める過程において、第1固定刃612と第1移動刃613との間に紙片や紙粉などの異物が挟み込まれて、第1固定刃612と第1移動刃613との当接に不具合が生じたり、移動刃位相調整機構660Aに損傷を与えたりすることを防止するようにする。また、第1及び第2基準位置は、第1固定刃612及び/又は第1移動刃613の刃物長さが長い場合であっても、これらの刃が干渉しないような位置に規定される。
次いで、制御装置100は、第1固定刃612を第1基準位置に位置決めし且つ第1移動刃613を第2基準位置に位置決めした状態から、移動刃移動調整機構660Aにおけるサーボモータとしての位相調整モータ643を制御することで、第1移動刃613を第1固定刃612に向かってゆっくりと移動させる、つまり寸動動作させる。制御装置100は、こうして第1移動刃613を移動させている間に、位相調整モータ643の駆動電流を取得して、この駆動電流に対応するトルク(位相調整モータ643により第1移動刃613に付与されたトルクに相当する)に基づき、第1移動刃613が第1固定刃612に当接したか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、位相調整モータ643の駆動電流に対応するトルクが所定の閾値を超えたときに、第1移動刃613が第1固定刃612に当接したと判定する。このようなトルクを用いることで、第1移動刃613が第1固定刃612に当接したことを正確に判定することができる。そして、制御装置100は、第1移動刃613が第1固定刃612に当接したと判定したときに、第1移動刃613の移動動作を停止して、このときの第1移動刃613のレジスタ現在値γを記憶する。
ここで、第1固定刃612と第1移動刃613との合計刃物長さ「f+g」は、図12に示すように、第1上部スロッタ610の全周「πD」から、第1基準位置にある第1固定刃612と第2基準位置にある第1移動刃613との間の距離Lと、第1移動刃613が第2基準位置から第1固定刃612に当接するまでに移動した距離δとを減算した長さとなる。つまり、合計刃物長さは「f+g=πD−L−δ」の式で表される。この場合、レジスタ現在値α、β、γを用いると、L及びδはそれぞれ「L=β−α」及び「δ=γ−β」となるため、これらを上式に代入すると、合計刃物長さは「f+g=πD−α−γ」の式で表されることとなる。
したがって、制御装置100は、この「f+g=πD−α−γ」の式に、第1固定刃612のレジスタ現在値αの値と、上記のように記憶した第1移動刃613のレジスタ現在値γの値とを代入することで、第1固定刃612と第1移動刃613との合計刃物長さ「f+g」を求める。そして、制御装置100は、求めた合計刃物長さ「f+g」の値を記憶する。
上記では、合計刃物長さを「f+g」と表記しているが、本実施形態による方法で求められる合計刃物長さは、厳密には、第1固定刃612単体での刃物長さfと第1移動刃613単体での刃物長さgとを単純に加算した長さにならない場合があり、第1固定刃612と第1移動刃613とを当接して一体化した1つのスロッタ刃全体における実際の円弧長さとなる。このような本実施形態によれば、当接状態において第1固定刃612と第1移動刃613との間に僅かな隙間が存在する場合にも、そのような隙間を加味した正確な合計刃物長さを得ることができる。よって、ダブルスロッタモードにおいて位置決め制御などを正確に行うことが可能となる。
なお、制御装置100は、第2スロッタユニット62についても、上記した方法と同様の方法にて、第2固定刃622と第2移動刃623との合計刃物長さ「d+e」を求め、求めた合計刃物長さ「d+e」の値を記憶する。但し、第2スロッタユニット62において、第2固定刃622に適用する基準位置は「第3基準位置」となり、第2移動刃622に適用する基準位置は「第4基準位置」となる。基本的には、この第3及び第4基準位置は、上記した第1及び第2基準位置と同一である。よって、以下では、第1及び第3基準位置を区別せずに「第1基準位置」の文言に統一して説明を行い、また、第2及び第4基準位置を区別せずに「第2基準位置」の文言に統一して説明を行う。
次に、図13乃至図15を参照して、本発明の実施形態によるシングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替え制御について具体的に説明する。図13は、本発明の実施形態によるシングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替え制御を示すフローチャートである。図14は、この切り替え制御中に行われる、移動刃と固定刃とを当接させるためのスロッタ刃当接制御を示すフローチャートである。図15は、この切り替え制御中に行われる、次オーダのための位置決め制御を示すフローチャートである。なお、図13のフローの開始時には、スロッタ装置6の生産モードがシングルスロッタモードに設定されているものとする。
図13に示すように、まず、ステップS101において、制御装置100は、スロッタ装置6についての初期のモード設定を開始し、次いで、ステップS102において、制御装置100は、次オーダにおいて設定すべき生産モードを確認すると共に、加工すべき段ボールシートの寸法情報(加工寸法)を取得する。例えば、制御装置100は、作業者(オペレータ)によって操作パネル110を介して入力された生産モード及び寸法情報を取得する。
次いで、ステップS103において、制御装置100は、次オーダの生産モードがダブルスロッタモードであるか否かを判定する。その結果、次オーダの生産モードがダブルスロッタモードでない場合(ステップS103:No)、制御装置100は、ステップS112に進み、シングルスロッタモードのまま次オーダへの位置決めを開始する。つまり、制御装置100は、次オーダの段ボールシートの寸法情報に応じて、シングルスロッタモードでのレジスタ現在値(図7参照)を設定して、この設定したレジスタ現在値に基づき、差動位置決め機構650A、650Bによって固定刃の位置決め制御を行うと共に、移動刃移動調整機構660A、660Bによって移動刃の位置決め制御を行う。
他方で、次オーダの生産モードがダブルスロッタモードである場合(ステップS103:Yes)、制御装置100は、ステップS104に進み、シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替えを開始する。次いで、ステップS105において、制御装置100は、移動刃と固定刃とを当接させるためのスロッタ刃当接制御を行う。
このスロッタ刃当接制御について、図14を参照して説明する。スロッタ刃当接制御が開始されると、まず、ステップS201において、制御装置100は、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方について、第1基準位置への固定刃の位置決めを開始し、また、第2基準位置への移動刃の位置決めを開始する。この場合、制御装置100は、差動位置決め機構650A、650Bによって固定刃の位置決め制御を行うと共に、移動刃移動調整機構660A、660Bによって移動刃の位置決め制御を行う。
次いで、ステップS202において、制御装置100は、第2基準位置への移動刃の位置決めが完了すると、ステップS203において、第1基準位置への固定刃の位置決めが完了したか否かを判定する。その結果、第1基準位置への固定刃の位置決めが完了した場合(ステップS203:Yes)、制御装置100は、ステップS204に進み、移動刃移動調整機構660A、660Bによって、固定刃に向けた移動刃の寸動動作を開始する。他方で、第1基準位置への固定刃の位置決めが完了していない場合(ステップS203:No)、制御装置100は、ステップS203に戻り、判定を再度行う。
次いで、ステップS205において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660B内の位相調整モータ643の駆動電流に対応するトルクが、所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここでは、制御装置100は、位相調整モータ643により移動刃に付与されたトルクに基づき、移動刃が固定刃に当接したか否かを判定している。ステップS205の判定の結果、トルクが閾値を超えた場合(ステップS205:Yes)、つまり移動刃が固定刃に当接した場合、制御装置100は、ステップS206に進み、移動刃移動調整機構660A、660Bによる移動刃の寸動動作を終了する。そして、ステップS207において、制御装置100は、固定刃に当接した状態にある移動刃のレジスタ現在値を記憶する。他方で、トルクが閾値を超えていない場合(ステップS205:No)、つまり移動刃が固定刃に当接していない場合、制御装置100は、ステップS205に戻り、判定を再度行う。
なお、制御装置100は、このようなスロッタ刃当接制御を、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方について行う。
図13に戻って、ステップS106以降の処理について説明する。上記したステップS105でのスロッタ刃当接制御の後、ステップS106において、制御装置100は、当接状態にある固定刃及び移動刃のそれぞれのレジスタ現在値を取得する。ここで取得する固定刃のレジスタ現在値は、固定刃が第1基準位置にあるときの値であり、また、移動刃のレジスタ現在値は、図14のステップS207で記憶した値である。
次いで、ステップS107において、制御装置100は、ステップS106で取得した固定刃及び移動刃のレジスタ現在値に基づき、固定刃と移動刃との合計刃物長さを求める。具体的には、制御装置100は、上部スロッタの全周の長さから、固定刃のレジスタ現在値と移動刃のレジスタ現在値とを減算することで、固定刃と移動刃との合計刃物長さを求める。そして、制御装置100は、こうして求めた合計刃物長さを記憶する。制御装置100は、このような合計刃物長さの算出及び記憶を、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方について行う。
次いで、ステップS108において、制御装置100は、ステップS107で求めた合計刃物長さを用いて、固定刃のレジスタ現在値を補正するための補正定数、つまり固定刃の実際のレジスタ現在値から表示させるレジスタ現在値を求めるために適用する補正定数を求める。特に、制御装置100は、第1スロッタユニット61における第1固定刃612及び第1移動刃613の合計刃物長さ(f+g)を用いて、第1固定刃612のレジスタ現在値を補正するための補正定数を求める。具体的には、制御装置100は、上部スロッタの全周を2等分した長さ(D×π/2)から、第1固定刃612及び第1移動刃613の合計刃物長さ(f+g)を減算することで、つまり「(D×π/2)−(f+g)」の式を演算することで、補正定数を求める。そして、制御装置100は、こうして求めた補正定数を記憶する。
次いで、ステップS109において、制御装置100は、次オーダにて溝切り加工を行うために設定すべき、第1及び第2スロッタユニット61、62における第1及び第2固定刃612、622のレジスタ現在値を表示装置120に表示させる。具体的には、制御装置100は、第2固定刃622については、実際のレジスタ現在値をそのまま表示装置120に表示させる一方で、第1固定刃612については、実際のレジスタ現在値をステップS108で得られた補正定数により補正した値を、レジスタ現在値として表示装置120に表示させる。この場合、制御装置100は、第1固定刃612の実際のレジスタ現在値に対して補正定数を加算した値を、第1固定刃612のレジスタ現在値として表示させる。これにより、第1固定刃612については、上フラップ部分の寸法と箱深さとを加算した値がレジスタ現在値として表示装置120に表示され、また、第2固定刃622については、上フラップ部分の寸法の値がレジスタ現在値として表示装置120に表示される。
次いで、ステップS110において、制御装置100は、シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替えを完了し、ステップS111において、制御装置100は、次オーダのための位置決め制御を行う。
この位置決め制御について、図15を参照して説明する。位置決め制御が開始されると、まず、ステップS301において、制御装置100は、次オーダでの段ボールシートの箱寸法(換言すると加工寸法)を取得する。具体的には、制御装置100は、段ボールシートにおける上フラップ部分の寸法(a)と箱深さの寸法(b)と下フラップ部分の寸法(c)とを取得する。
次いで、ステップS302において、制御装置100は、ダブルスロッタモードにおいて第1スロッタユニット61に設定するレジスタ現在値、すなわち第1固定刃612のレジスタ現在値を求める。具体的には、制御装置100は、上フラップ部分の寸法(a)と箱深さの寸法(b)と上部スロッタの直径(D)と合計刃物長さ(f+g)のそれぞれの値を、「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」の式に代入することで(図10参照)、第1固定刃612のレジスタ現在値を求める。
次いで、ステップS303において、制御装置100は、ダブルスロッタモードにおいて第2スロッタユニット62に設定するレジスタ現在値、すなわち第2固定刃622のレジスタ現在値を求める。具体的には、制御装置100は、上フラップ部分の寸法(a)を第2固定刃622のレジスタ現在値とする(図10参照)。
次いで、ステップS304において、制御装置100は、ステップS302で求めたレジスタ現在値に基づき第1スロッタユニット61の位置決め制御を行うと共に、ステップS303で求めたレジスタ現在値に基づき第2スロッタユニット62の位置決め制御を行う。具体的には、制御装置100は、ステップS302で求めたレジスタ現在値に基づき、差動位置決め機構650Aの差動調整モータを制御することで、当接状態にある第1固定刃612及び第1移動刃613を一体的に位置決め制御し、また、ステップS303で求めたレジスタ現在値に基づき、差動位置決め機構650Bの差動調整モータを制御することで、当接状態にある第2固定刃622及び第2移動刃623を一体的に位置決め制御する。
(ダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへの切り替え制御)
次に、図16乃至図18を参照して、本発明の実施形態によるダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへの切り替え制御について具体的に説明する。図16は、本発明の実施形態によるダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへの切り替え制御を示すフローチャートである。図17及び図18は、この切り替え制御中に行われる刃物長さ取得制御を示すフローチャートである。具体的には、図17は、本発明の実施形態による第1の例に係る刃物長さ取得制御を示し、図18は、本発明の実施形態による第2の例に係る刃物長さ取得制御を示している。なお、図16のフローの開始時には、スロッタ装置6の生産モードがダブルスロッタモードに設定されているものとする。
図16に示すように、まず、ステップS401において、制御装置100は、スロッタ装置6についての初期のモード設定を開始し、次いで、ステップS402において、制御装置100は、次オーダにおいて設定すべき生産モードを確認すると共に、加工すべき段ボールシートの寸法情報(加工寸法)を取得する。例えば、制御装置100は、作業者(オペレータ)によって操作パネル110を介して入力された生産モード及び寸法情報を取得する。
次いで、ステップS403において、制御装置100は、次オーダの生産モードがシングルスロッタモードであるか否かを判定する。その結果、次オーダの生産モードがシングルスロッタモードでない場合(ステップS403:No)、制御装置100は、ステップS412に進み、ダブルスロッタモードのまま次オーダへの位置決めを開始する。具体的には、制御装置100は、次オーダの段ボールシートの寸法情報に応じて、ダブルスロッタモードでのレジスタ現在値(図10参照)を設定して、この設定したレジスタ現在値に基づき、差動位置決め機構650A、650Bによって固定刃の位置決め制御を行う。
他方で、次オーダの生産モードがシングルスロッタモードである場合(ステップS403:Yes)、制御装置100は、ステップS404に進み、ダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへの切り替えを開始する。
次いで、ステップS405において、制御装置100は、ダブルスロッタモードにおいて表示のために補正したレジスタ現在値を、シングルスロッタモードのために補正前のレジスタ現在値(個別現在値)に戻す。そして、ステップS406において、制御装置100は、刃物長さ取得制御を実行して、各スロッタ刃の刃物長さを取得する。この刃物長さ取得制御の詳細は後述する。
次いで、ステップS407において、制御装置100は、ステップS402で取得した次オーダの寸法情報と、ステップS406で取得した刃物長さとを比較して、ステップS408において、現在適用しているスロッタ刃により次オーダの段ボールシートを加工可能か否かを判定する。具体的には、制御装置100は、固定刃の刃物長さと段ボールシートの上フラップ部分の寸法とを比較すると共に、移動刃の刃物長さと段ボールシートの下フラップ部分の寸法とを比較する。制御装置100は、固定刃の刃物長さが段ボールシートの上フラップ部分の寸法よりも長く、且つ移動刃の刃物長さが段ボールシートの下フラップ部分の寸法よりも長い場合に、現在適用しているスロッタ刃により次オーダの段ボールシートを加工可能であると判定する(ステップS408:Yes)。この場合には、制御装置100は、ステップS409に進む。
ステップS409において、制御装置100は、次オーダにて溝切り加工を行うために設定すべき、第1及び第2スロッタユニット61、62における第1及び第2固定刃612、622のレジスタ現在値を表示装置120に表示させる。具体的には、制御装置100は、第1及び第2固定刃612、622の両方について、段ボールシートにおける上フラップ部分の寸法の値を、レジスタ現在値として表示装置120に表示させる。
次いで、ステップS410において、制御装置100は、ダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへの切り替えを完了し、ステップS411において、制御装置100は、次オーダのための位置決め制御を行う。具体的には、制御装置100は、段ボールシートにおける上フラップ部分の寸法をレジスタ現在値に設定して、差動位置決め機構650A、650Bの差動調整モータを制御することで、第1及び第2固定刃612、622のそれぞれの位置決め制御を行う。加えて、制御装置100は、段ボールシートにおける箱深さの寸法をレジスタ現在値に設定して、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、第1及び第2移動刃613、623のそれぞれの位置決め制御を行う。
他方で、制御装置100は、ステップS408において、固定刃の刃物長さが段ボールシートの上フラップ部分の寸法よりも短い場合、又は移動刃の刃物長さが段ボールシートの下フラップ部分の寸法よりも短い場合に、現在適用しているスロッタ刃により次オーダの段ボールシートを加工可能でないと判定する(ステップS408:No)。この場合には、制御装置100は、ステップS413に進む。
ステップS413において、制御装置100は、スロッタ刃に継刃を取り付ける必要がある旨を、表示装置120に警告表示させる。そして、ステップS414において、制御装置100は、上部スロッタを所定の継刃取り付け位置へヨーク方向に位置決めする。つまり、制御装置100は、上部スロッタを、継刃を取り付け易い位置へとスロッタ軸の軸方向に沿って移動させる。そして、作業者による継刃の取り付け作業が終了すると、制御装置100は、ステップS415において、作業者によって操作パネル110を介して入力された、スロッタ刃の刃物長さの入力値を取得するか、或いは、ステップS406と同様にして刃物長さ取得制御を実行してスロッタ刃の刃物長さを取得する。この後、制御装置100は、ステップS407に戻り、上記したステップS407以降の処理を再度行う。
次に、図17を参照して、本発明の実施形態による第1の例に係る刃物長さ取得制御について説明する。この第1の例に係る刃物長さ取得制御は、図16のステップS406において実行される。
まず、ステップS501において、制御装置100は、差動位置決め機構650A、650Bの差動調整モータを制御することで、スロッタ刃(固定刃及び移動刃の両方)を所定の刃物長さ取得開始位置を移動させる。この刃物長さ取得開始位置には、第1スロッタユニット61のスロッタ刃と第2スロッタユニット61のスロッタ刃とが干渉しないような位置が適用される。典型的には、第1スロッタユニット61の刃物長さ取得開始位置には、第2上部スロッタ620と反対側の第1上部スロッタ610の外周上の位置(換言すると第2上部スロッタ620から最も離間した第1上部スロッタ610の外周上の位置)が適用され、第2スロッタユニット62の刃物長さ取得開始位置には、第1上部スロッタ610と反対側の第2上部スロッタ620の外周上の位置(換言すると第1上部スロッタ610から最も離間した第2上部スロッタ620の外周上の位置)が適用される。
次いで、ステップS502において、制御装置100は、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置されたか否かを判定する。その結果、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置された場合(ステップS502:Yes)、制御装置100は、ステップS503に進む。他方で、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置されていない場合(ステップS502:No)、制御装置100は、ステップS502に戻り、再度判定を行う。
ステップS503において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、上部スロッタにおける負方向(反時計回りの方向)に、移動刃を所定の通常速度(移動刃移動調整機構660A、660Bが移動刃を移動させるときに通常用いられる速度であり、比較的速い速度である。以下同様とする。)で寸動動作させる。そして、ステップS504において、制御装置100は、位置センサ671、672がオンとなったか否かを判定する、つまり位置センサ671、672によって移動刃が検知されたか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオンとなった場合(ステップS504:Yes)、制御装置100は、ステップS505に進む。このようなステップS503、S504において、制御装置100は、移動刃を通常速度で寸動動作させることで、負方向側にある移動刃の端部の大まかな位置を、位置センサ671、672によって速やかに検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオンとなっていない場合(ステップS504:No)、制御装置100は、ステップS504に戻り、再度判定を行う。
ステップS505において、制御装置100は、負方向への移動刃の移動を停止し、移動刃を上部スロッタにおける正方向(時計回りの方向)に通常速度で寸動動作させる。そして、ステップS506において、制御装置100は、位置センサ671、672がオフとなったか否かを判定する、つまり位置センサ671、672によって移動刃が検知されなくなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオフとなった場合(ステップS506:Yes)、制御装置100は、ステップS507に進む。このようなステップS505、S506において、制御装置100は、位置センサ671、672によって検知されない位置まで移動刃を一旦戻している。他方で、位置センサ671、672がオフとなっていない場合(ステップS506:No)、制御装置100は、ステップS506に戻り、再度判定を行う。
ステップS507において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、移動刃を負方向に低速度(上記した通常速度よりも十分に遅い速度である。以下同様とする。)で寸動動作させる。そして、ステップS508において、制御装置100は、位置センサ671、672がオンとなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオンとなった場合(ステップS508:Yes)、制御装置100は、ステップS509に進む。このようなステップS507、S508において、制御装置100は、移動刃を低速度で寸動動作させることで、負方向側にある移動刃の端部の正確な位置を位置センサ671、672によって検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオンとなっていない場合(ステップS508:No)、制御装置100は、ステップS508に戻り、再度判定を行う。
ステップS509では、制御装置100は、ステップS508において位置センサ671、672がオンとなったときの移動刃のレジスタ現在値を記憶する。つまり、制御装置100は、負方向側にある移動刃の端部の位置に対応するレジスタ現在値を記憶する。
次いで、ステップS510において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、移動刃を負方向に通常速度で寸動動作させる。この場合、制御装置100は、移動刃を更に負方向に移動させて、位置センサ671、672を通過させるようにする(移動刃が位置センサ671、672を通過している間は、位置センサ671、672はオン状態のままである)。そして、ステップS511において、制御装置100は、位置センサ671、672がオフとなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオフとなった場合(ステップS511:Yes)、制御装置100は、ステップS512に進む。このようなステップS510、S511において、制御装置100は、移動刃を通常速度で寸動動作させることで、正方向側にある移動刃の端部の大まかな位置を、位置センサ671、672によって速やかに検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオフとなっていない場合(ステップS511:No)、制御装置100は、ステップS511に戻り、再度判定を行う。
ステップS512において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、移動刃を上部スロッタの正方向に低速度で寸動動作させる。そして、ステップS513において、制御装置100は、位置センサ671、672がオンとなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオンとなった場合(ステップS513:Yes)、制御装置100は、ステップS514に進む。このようなステップS512、S513において、制御装置100は、移動刃を低速度で寸動動作させることで、正方向側にある移動刃の端部の正確な位置を位置センサ671、672によって検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオンとなっていない場合(ステップS513:No)、制御装置100は、ステップS513に戻り、再度判定を行う。
ステップS514では、制御装置100は、ステップS513において位置センサ671、672がオンとなったときの移動刃のレジスタ現在値を記憶する。つまり、制御装置100は、正方向側にある移動刃の端部の位置に対応するレジスタ現在値を記憶する。
次いで、ステップS515において、制御装置100は、ステップS509で記憶したレジスタ現在値とステップS514で記憶したレジスタ現在値との差分を取ることで、移動刃の刃物長さを求める。これは、負方向側にある移動刃の端部の位置と、正方向側にある移動刃の端部の位置との相対的な差から、移動刃の刃物長さを求めることに相当する。
次いで、ステップS516において、制御装置100は、刃物長さ取得制御の前に行っていたダブルスロッタモードにて用いていた、固定刃と移動刃の合計刃物長さを取得し、この合計刃物長さからステップS515で求めた移動刃の刃物長さを減算することで、固定刃の刃物長さを求める。
なお、制御装置100は、図17に示す第1の例に係る刃物長さ取得制御を、第1及び第2スロッタユニット61、62の両方について行い、第1及び第2固定刃612、622並びに第1及び第2移動刃613、623のそれぞれの刃物長さを求めるものとする。
このような第1の例に係る刃物長さ取得制御によれば、通常速度での移動刃の移動と低速度での移動刃の移動とを組み合わせて、位置センサ671、672によって移動刃の位置を検知するので、正確な刃物長さを比較的速やかに求めることができる。
次に、図18を参照して、本発明の実施形態による第2の例に係る刃物長さ取得制御について説明する。第2の例に係る刃物長さ取得制御は、図16のステップS406において実行される。
この第2の例に係る刃物長さ取得制御は、基本的には、上述した第1の例に係る刃物長さ取得制御の代わりに行われるものである。特に、第2の例に係る刃物長さ取得制御は、制御装置100が、事前に入力された刃物長さパターンを記憶している場合に行うとよい。この刃物長さパターンは、種々の角付刃の刃物長さや、種々の継刃の刃物長さや、これら角付刃と継刃とを組み合わせた種々のスロッタ刃の刃物長さを含む。
なお、制御装置100は、第1の例に係る刃物長さ取得制御及び第2の例に係る刃物長さ取得制御の両方の制御プログラムを記憶しておき、いずれか一方の制御プログラムを読みだして、第1の例に係る刃物長さ取得制御と第2の例に係る刃物長さ取得制御とを選択的に行ってもよい。
第2の例に係る刃物長さ取得制御が開始されると、まず、ステップS601において、制御装置100は、差動位置決め機構650A、650Bの差動調整モータを制御することで、スロッタ刃(固定刃及び移動刃の両方)を所定の刃物長さ取得開始位置に移動させる。この刃物長さ取得開始位置には、図17の第1の例に係る刃物長さ取得制御で説明したものと同様の位置が適用される。
次いで、ステップS602において、制御装置100は、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置されたか否かを判定する。その結果、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置された場合(ステップS602:Yes)、制御装置100は、ステップS603に進む。他方で、スロッタ刃が刃物長さ取得開始位置に配置されていない場合(ステップS602:No)、制御装置100は、ステップS602に戻り、再度判定を行う。
次いで、ステップS603において、制御装置100は、移動刃移動調整機構660A、660Bを制御することで、移動刃を負方向に通常速度で所定距離(例えば50mm)だけ寸動動作させる。つまり、制御装置100は、移動刃を固定刃から所定距離だけ離間させる。
次いで、ステップS604において、制御装置100は、差動位置決め機構650Aを制御することで、第1スロッタユニット61のスロッタ刃(固定刃及び移動刃の両方)を負方向に通常速度にて寸動動作させると共に、差動位置決め機構650Bを制御することで、第2スロッタユニット62のスロッタ刃(固定刃及び移動刃の両方)を正方向に通常速度にて寸動動作させる。
次いで、ステップS605において、制御装置100は、位置センサ671、672がオンとなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオンとなった場合(ステップS605:Yes)、制御装置100は、ステップS606に進む。このようなS605において、制御装置100は、固定刃及び移動刃のいずれかのスロッタ刃における一方の端部の大まかな位置を、位置センサ671、672によって速やかに検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオンとなっていない場合(ステップS605:No)、制御装置100は、ステップS605に戻り、再度判定を行う。
ステップS606において、制御装置100は、ステップS605において位置センサ671、672がオンとなったときのスロッタ刃のレジスタ現在値を記憶する。つまり、制御装置100は、スロッタ刃における一方の端部の位置に対応するレジスタ現在値を記憶する。
次いで、ステップS607において、制御装置100は、位置センサ671、672がオフとなったか否かを判定する。その結果、位置センサ671、672がオフとなった場合(ステップS607:Yes)、制御装置100は、ステップS608に進む。このようなS607において、制御装置100は、固定刃及び移動刃のいずれかのスロッタ刃の他方の端部(スロッタ刃においてステップS605で検知した端部と異なる端部)の大まかな位置を、位置センサ671、672によって速やかに検知するようにしている。他方で、位置センサ671、672がオフとなっていない場合(ステップS607:No)、制御装置100は、ステップS607に戻り、再度判定を行う。
ステップS608において、制御装置100は、ステップS607において位置センサ671、672がオフとなったときのスロッタ刃のレジスタ現在値を記憶する。つまり、制御装置100は、スロッタ刃における他方の端部の位置に対応するレジスタ現在値を記憶する。
次いで、ステップS609において、制御装置100は、これまでの処理にて、第1及び第2スロッタユニット61、62のそれぞれについて4つのレジスタ現在値が記憶されたか否かを判定する。つまり、制御装置100は、第1及びスロッタユニット61、62のそれぞれについて、固定刃及び移動刃の各々の2つの端部の位置に対応するレジスタ現在値(4つのレジスタ現在値)が記憶されたか否かを判定する。その結果、4つのレジスタ現在値が記憶されている場合(ステップS609:Yes)、制御装置100は、ステップS610に進む。他方で、4つのレジスタ現在値が記憶されていない場合(ステップS609:No)、特に2つのレジスタ現在値しか記憶されていない場合、制御装置100は、ステップS604に戻り、ステップS604以降の処理を再度行う。つまり、制御装置100は、残りの2つのレジスタ現在値を取得して記憶するようにする。
ステップS610において、制御装置100は、ステップS606で記憶したレジスタ現在値とステップS608で記憶したレジスタ現在値との差分を取ることで、スロッタ刃の刃物長さを求める。具体的には、制御装置100は、固定刃の一方の端部に対応するレジスタ現在値と、固定刃の他方の端部に対応するレジスタ現在値との差分を取ることで、固定刃の刃物長さを求め、また、移動刃の一方の端部に対応するレジスタ現在値と、移動刃の他方の端部に対応するレジスタ現在値との差分を取ることで、移動刃の刃物長さを求める。この場合、上述したように、各スロッタ刃の端部の位置は大まかに検知されたものなので、ステップS610でのスロッタ刃の刃物長さの演算は概算に相当する(つまり正確な刃物長さが求まらない傾向にある)。
次いで、ステップS611において、制御装置100は、まず、事前に入力されて記憶している刃物長さパターンを取得する。この場合、制御装置100は、種々の角付刃の刃物長さや、種々の継刃の刃物長さや、これら角付刃と継刃とを組み合わせた種々のスロッタ刃の刃物長さを取得する。そして、制御装置100は、取得した刃物長さパターンと、ステップS610で概算された刃物長さとに基づき、各スロッタ刃の刃物長さを決定する。具体的には、制御装置100は、刃物長さパターンに含まれる刃物長さの中から、ステップS610で概算された刃物長さに近いものと選び、この選んだ刃物長さを適用すると決定する。
このような第2の例に係る刃物長さ取得制御によれば、スロッタ刃を通常速度で移動させて大まかに求めた刃物長さと、事前に記憶している刃物長さパターンとを用いるので、正確な刃物長さをより速やかに求めることができる。
なお、このような刃物長さパターンを利用した刃物長さの求め方は、固定刃と移動刃との合計刃物長さを求めるときに適用してもよい。すなわち、合計刃物長さを刃物長さパターンに含めておき、刃物長さパターンに含まれる合計刃物長さの中から、上記の「シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替え制御」のセクションで述べた方法により求めた合計刃物長さに近いものと選び、この選んだ合計刃物長さを適用してもよい。
<作用効果>
次に、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の主な作用効果について説明する。
本実施形態によれば、ダブルスロッタモードを行うときに、固定刃と移動刃との合計刃物長さを求めることができる。よって、このような合計刃物長さを用いることで、ダブルスロッタモードを行うときに各スロッタ刃を適切に位置決めすることができる。また、固定刃と移動刃との合計刃物長さを自動で求めることができるので、シングルスロッタモードからダブルスロッタモードへの切り替えを自動で行うことができるようになる。
また、本実施形態によれば、移動刃を固定刃に向けて移動させて、移動刃が固定刃に実際に当接した状態での合計刃物長さを求めることができる。よって、当接状態において固定刃と移動刃との間に僅かな隙間がある場合にも、そのような隙間を加味した正確な合計刃物長さを求めることができる。また、このように移動刃を移動させるときに付与したトルクに基づき、移動刃が固定刃に当接したことを正確に判定することができる。
また、本実施形態によれば、上部スロッタのシリンダ円周の下方領域において移動刃と固定刃とを当接させるので、スロッタ刃の間に紙片や紙粉などの異物が挟み込まれて、スロッタ刃の当接に不具合が生じたり、スロッタ刃を移動させる移動刃移動調整機構660A、660Bに損傷を与えたりすることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、位置センサ671、672を用いて、各スロッタ刃単体の正確な刃物長さを求めることができる。よって、ダブルスロッタモードからシングルスロッタモードへ切り替えたときに、このシングルスロッタモードを適切に実施することができる。この場合、事前に記憶している刃物長さのパターンを利用することで、正確な刃物長さを速やかに求めることができる。
また、本実施形態によれば、ダブルスロッタモードにおいて、第2スロッタユニット62の第2固定刃622については、実際のレジスタ現在値をそのまま表示させる一方で、第1スロッタユニット61の第1固定刃612については、実際のレジスタ現在値をそのまま表示させずに、当該レジスタ現在値を段ボールシートの加工寸法に応じた値へと補正し、この補正した値を表示させる。よって、ダブルスロッタモードにおいて、第1及び第2固定刃612、622の両方とも、段ボールシートの加工寸法に応じた値が表示されるので、作業者が、表示された値と段ボールシートの加工寸法との関係を理解して、スロッタ装置6に関する種々の調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、第1固定刃612と第1移動刃613との合計刃物長さに基づき、第1固定刃612について表示させるレジスタ現在値を適切に補正することができる。この場合、上記のように合計刃物長さを求めるので、合計刃物長さに基づくレジスタ現在値の補正を自動で行うことができるようになる。
また、本実施形態によれば、段ボールシートの上フラップ部分の長さと箱深さとを加算した値を、第1固定刃612のレジスタ現在値として表示させるので、表示された値と段ボールシートの加工寸法との関係を作業者に確実に理解させることができる。
<変形例>
次に、上記した実施形態の変形例について説明する。
上記した実施形態では、移動刃を固定刃に当接するまで移動させたときの各スロッタ刃のレジスタ現在値に基づき、固定刃と移動刃との合計刃物長さを求めていたが、他の例では、各スロッタ刃の刃物長さを求める場合と同様に(図17及び図18参照)、位置センサ671、672を用いて合計刃物長さを求めてもよい。例えば、当接させて一体化された状態にあるスロッタ刃を位置センサ671、672の近辺で移動させて、このスロッタ刃の両端の位置を検出することで、合計刃物長さを求めてもよい。これによっても、正確な合計刃物長さを求めることができる。
上記した実施形態では、制御装置100が固定刃と移動刃との合計刃物長さを求めていたが、他の例では、作業者が、合計刃物長さを把握しており、この合計刃物長さを操作パネル110等から入力した場合には、制御装置100は、合計刃物長さを求めずに、入力された合計刃物長さをそのまま用いてもよい。
上記した実施形態では、段ボールシートの上フラップ部分の長さと箱深さとを加算した値(a+b)を、第1固定刃612のレジスタ現在値として表示させていたが、他の例では、段ボールシートの箱深さの値(b)を、第1固定刃612のレジスタ現在値として表示させてもよい。この場合には、補正定数として「(D×π/2)−(f+g)−b」を用いて、「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」から得られる値に対して当該補正定数を加算した値を表示させればよい。
上記した実施形態では、ダブルスロッタモードにおいて、第2スロッタユニット62の第2固定刃622については、実際のレジスタ現在値をそのまま表示させる一方で、第1スロッタユニット61の第1固定刃612については、実際のレジスタ現在値をそのまま表示させずに、当該レジスタ現在値を段ボールシートの加工寸法に応じた値へと補正し、この補正した値を表示させていた。この実施形態は、表示させるレジスタ現在値と、段ボールシートの加工寸法との関係に着目してなされたものである。
他の例では、制御(位置決め制御)に用いるレジスタ現在値と、段ボールシートの加工寸法との関係に着目する。具体的には、この他の例では、ダブルスロッタモードを行うときに、第2スロッタユニット62の第2固定刃622については、段ボールシートの加工寸法に応じた値をレジスタ現在値としてそのまま用いて位置決め制御を行う一方で、第1スロッタユニット61の第1固定刃612については、段ボールシートの加工寸法に応じた値を補正した値をレジスタ現在値として用いて位置決め制御を行う。具体的には、第2固定刃622については、段ボールシートの上フラップ部分の長さの値(a)をレジスタ現在値として用いる一方で、第1固定刃612については、段ボールシートの上フラップ部分の長さと箱深さとを加算した値(a+b)を補正した値をレジスタ現在値として用いる。より詳しくは、上フラップ部分の長さと箱深さとを加算した値(a+b)から「(D×π/2)−(f+g)」の補正定数を減算した値、つまり「a+b−{(D×π/2)−(f+g)}」の式から得られる値を、第1固定刃612のレジスタ現在値として用いる。このような他の例によれば、ダブルスロッタモードにおいて、各スロッタ刃の位置決め制御を適切に行うことができる。