JP6852870B2 - 機能添加材、及び機能添加材の製造方法 - Google Patents

機能添加材、及び機能添加材の製造方法 Download PDF

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本発明は、機能添加材、及び機能添加材の製造方法に関する。
トマト等の果菜類の茎葉は、通常、実の収穫後に廃棄物として処理される。しかしながら、近年、環境負荷低減等を理由に植物由来の廃棄物を資源として有効活用することが求められているため、例えば、特許文献1に示されるように、トマトの茎葉の残渣を細かく砕いた物が、合成樹脂に添加するための難燃剤として利用されている。
特開2011−241261号公報
従来、廃棄物として処理されていた植物由来の材料の更なる活用方法が求められている。
本発明の目的は、植物性廃棄物を利用しつつ、効率的に添加対象材料に機能性物質を添加可能な機能添加材、及び前記機能添加材の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、ナス科植物の茎葉を粉砕した粉砕物に、機能性物質を担持させると、前記機能性物質を合成樹脂に対して効率的に混合できることを見出し、本発明の完成に至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に、機能性物質を担持させてなる機能添加材。
<2> 前記機能添加材は、前記機能性物質を、前記担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有する前記<1>に記載の機能添加材。
<3> 前記担体の大きさは、1000μm以下である前記<1>又は<2>に記載の機能添加材。
<4> 前記ナス科植物は、トマトからなり、前記機能性物質は、リン酸塩からなる難燃剤である前記<1>〜<3>の何れか1つに記載の機能添加材。
<5> ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に、機能性物質が溶媒に分散又は溶解されてなる機能性溶液を含浸させて、前記担体に前記機能性物質を担持させる担持工程を有する機能添加材の製造方法。
本願発明によれば、植物性廃棄物残渣を利用しつつ、効率的に添加対象材料に機能性物質を添加可能な機能添加材、及び前記機能添加材の製造方法を提供することができる。
本発明の機能添加材が合成樹脂に配合されてなる樹脂組成物を模式的に表した説明図 担体の製造方法の手順の一例を示すフロー図 機能性物質として難燃剤を有する機能添加材の製造方法の手順の一例を示すフロー図 樹脂組成物のペレットの製造方法の手順の一例を示すフロー図 ドリップ装置の構成を模式的に表した説明図 樹脂組成物からなる各試験片における応力とみずみの関係(s−s曲線)を示すグラフ 植物材料からなる試験片の断面写真を示す図 機能性物質としてリン酸アンモニウムを使用した試験片の検出部位I(表皮)におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質としてリン酸アンモニウムを使用した試験片の検出部位II(表皮と維管束の境界付近)におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質としてリン酸アンモニウムを使用した試験片の検出部位III(維管束)におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質としてリン酸アンモニウムを使用した試験片の検出部位IV(維管束と髄との境界付近)におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質としてリン酸アンモニウムを使用した試験片の検出部位V(髄)におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として硝酸銀を使用した試験片の表皮におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として硝酸銀を使用した試験片の維管束におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として硝酸銀を使用した試験片の髄におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として炭酸水素ナトリウムを使用した試験片の表皮におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として炭酸水素ナトリウムを使用した試験片の維管束におけるEDXの結果を示すグラフ 機能性物質として炭酸水素ナトリウムを使用した試験片の髄におけるEDXの結果を示すグラフ
〔機能添加材〕
本発明の機能添加材は、担体に機能性物質を担持させたものからなる。図1は、本発明の機能添加材5が合成樹脂2に配合されてなる樹脂組成物1を模式的に表した説明図である。図1には、機能添加材5が、合成樹脂2中に分散されている状態の樹脂組成物1が模式的に示されている。
機能添加材に利用される担体は、機能性物質を担持する部材であり、担体の表面や内部に機能性物質が固定される。
(担体)
担体は、ナス科植物に由来する茎及び/葉を粉砕した粉砕物からなる。
担体として利用されるナス科植物は、果実等の有用な部分が収穫された後に残された状態のものであり、主として、茎、葉、根等からなる。そのような状態のナス科植物から、植物材料として、茎、葉が利用される。なお、担体に利用されるナス科植物の部位としては、茎のみでも良いし、葉のみでも良いし、茎と葉の双方であっても良い。担体に利用されるナス科植物の部位としては、機能性物質を担持させ易い等の理由により、特に茎が好ましい。
ナス科植物に由来する茎等の植物材料(以下、単に「植物材料」と称する場合がある)としては、植物中に含まれる水溶性成分が除去されたものが好ましい。植物中には、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)、植物酵素、アミノ酸等の有機成分、カリウム等の無機成分等の各種水溶性成分が含まれている。このような水溶性成分は、担持型難燃剤が添加されている製品の変色等の原因となる場合があるため、植物材料から、除去することが好ましい。
植物材料から水溶性成分を除去する方法としては、例えば、水、アルコール等の水系溶媒に植物材料を浸漬又は植物材料を前記水系溶媒で洗浄して、植物材料から水溶性成分を抽出除去する方法、凍結乾燥(フリーズドライ)法等が挙げられる。なお、水溶性成分を除去した後の植物材料は、適宜、乾燥される。
後述するように、植物材料を水系溶媒中に浸漬した状態で解砕(粉砕)することで、解砕と同時に水溶性成分の抽出除去を行ってもよい。
また、ナス科植物としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、ナス科ナス属の植物が好ましく、ナス、トマトがより好ましく、トマトが特に好ましい。
担体は、ナス科植物由来の茎等の植物材料が、粉末状に粉砕されたものからなる。植物材料の粉砕方法としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、機械的な方法で、圧縮力、せん断力、摩擦力、衝撃力等を加えて、植物材料を粉砕する方法(機械的粉砕方法)、爆砕等が挙げられる。
なお、機械的粉砕方法では、例えば、高速回転ミル、各種ボールミル(転動ボールミル,振動ミル、遊星ミル)、媒体撹拌式ミル、気流式粉砕機等が利用される。
また、植物材料を、水等の水系溶媒中に浸漬した状態で、水中解砕装置(例えば、ホモジナイザー)を利用して、粉砕(解砕)してもよい。
植物材料の粉砕は、徐々に粒径が小さくなるように、複数の段階に分けて行ってもよい。例えば、茎等の植物材料を、数センチ程度の大きさに、粗粉砕し、その粗粉砕物を更に、数百ミクロン程度まで粉砕(微粉砕)してもよい。
植物材料の粉砕により得られた粉砕物は、篩等を利用して、適宜、分級されてもよい。
担体の形状、粒径等は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、担体の粒径(最大直径)は、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましい。
なお、植物材料及びその粉砕物に対して、電磁波、温度、圧力及び薬品を利用した殺菌処理を施してもよい。
ここで、担体の製造方法の一例を、図2を参照しつつ説明する。図2は、担体の製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
図2のS1に示されるように、植物材料の茎の粗粉砕が行われる。その後、図2のS2に示されるように、得られた粗粉砕物が水中解砕される。水中解砕後に得られた解砕物は、図2のS3に示されるように、ろ過装置を利用してろ過され、残渣が回収される。回収された残渣は、図2のS4に示されるように、乾燥される。なお、図2のS2〜S4の工程は、複数回繰り返して行ってもよい。乾燥されたろ過残渣は、図2のS5に示されるように、更に細かく粉砕(微粉砕)される。その後、得られた粉砕物を、図2のS6に示されるように、篩い分け(分級)して、目的の粒径範囲の粉砕物を回収することで、担体が得られる(図2のS7参照)。
(機能性物質)
機能性物質とは、機能添加材の添加対象物(例えば、合成樹脂)に、化学的機能を付与する物質であり、具体的には、例えば、難燃剤、導電性物質、着色剤等として知られる物質が挙げられる。
機能性物質は、担体に担持可能な物質であれば、特に制限はないが、担体に担持させ易い等の理由により、所定の溶媒に分散又は溶解されて機能性溶液を調製できるものが好ましい。後述するように、機能性溶液を、担体に含浸させ、その後、適宜、乾燥することで、担体に機能性物質を担持させることができる。
機能性溶液に利用される溶媒としては、水、アルコール等の水系溶媒、有機溶媒等が挙げられ、特に、水系溶媒が好ましい。前記溶媒が、水系溶媒の場合、機能性物質としては、水溶性機能性物質が好ましい。例えば、機能性物質が難燃剤からなる場合、水溶性機能性物質(難燃剤)としては、リン酸アンモニウム等のリン酸塩が好ましい。機能性物質は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種以上のものを用いてもよい。
機能性溶液中の機能性物質の濃度は、担体に担持させる機能性物質の量を考慮して、適宜、設定されるが、例えば、3〜72質量%が好ましく、15〜72質量%がより好ましい。なお、担体は、十分に乾燥した状態において、通常、3.5倍程度の吸水能力を備えている。そのため、担体に対する機能性物質の付着量は、担体に吸収された機能性溶液中の機能性物質がすべて担体に付着したものとして求められる。
担体に、機能性溶液を含浸させる方法としては、特に制限されないが、例えば、後述するドリップ装置を用いて含浸させてもよい。
機能添加材は、機能性物質を、担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有することが好ましく、50〜250質量部の割合で含有することがより好ましく、100〜200質量部の割合で含有することが更に好ましい。機能添加材における機能性物質の含有割合がこのような範囲であると、機能添加材の添加対象物(例えば、合成樹脂)に対して、効果的に機能性物質を添加しつつ、機能性物質の機能を付与することができる。
ここで、機能添加材の製造方法の一例を、図3を参照しつつ説明する。図3は、機能性物質として難燃剤を有する機能添加材の製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
図3のS11に示されるように、機能性物質としての難燃剤を溶媒に溶解等させて難燃剤溶液(機能性溶液の一例)が作製される。次いで、図3のS12に示されるように、別途、作製した担体(例えば、図2参照)を、難燃剤溶液に含浸させる。含浸後の担体は、図3のS13に示されるように、所定の水分率となるまで乾燥され、溶媒が除去される。乾燥後、担体に難燃剤が担持された機能添加材が得られる(図3のS14参照)。
なお、他の機能添加材の製造方法においては、粗粉砕の状態で、難燃剤溶液(機能性溶液)を用いた含浸処理、乾燥処理を行い、その後、粉砕処理を施して、機能添加材を得ても良い。
(添加対象物)
本発明の機能添加材が添加される対象物(添加対象物)は、機能添加材が備える化学的機能を付与できるものであれば、特に制限はないが、機能添加材と混合し易く、化学的機能を付与し易い等の観点より、合成樹脂が好ましく、特に熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、変性ポニフェニレンエーテル等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
機能添加材は、添加対象物100質量部に対して、5〜40質量部の割合で添加されることが好ましい。機能添加材の添加割合がこのような範囲であると、添加対象物に機能添加材が備える化学的機能(例えば、難燃性)を付与し易い。
(その他の成分)
機能添加材は、本発明の目的を損なわない限り、必要に応じて、相溶化剤、熱安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料、離型剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤等の各種添加剤と共に利用されてもよい。
(樹脂組成物の製造方法)
ここで、機能添加材が合成樹脂に添加されてなる樹脂組成物の製造方法の一例を、図4を参照しつつ説明する。図4は、樹脂組成物のペレットの製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
先ず、図4のS21に示されるように、混練押出機を用いて、合成樹脂(熱可塑性樹脂)を軟化させる。続いて、図4のS22に示されるように、加熱軟化した合成樹脂に、機能添加材が添加される。なお、相溶化剤等の他の成分を添加する場合、S22において、機能添加材と共に、添加される。その後、図4のS23に示されるように、合成樹脂、機能添加材等が加熱されながら混練され、樹脂組成物が得られる。そして、図4のS24に示されるように、樹脂組成物は混練押出機から押し出されてストランド化される。ストランド化された樹脂組成物は、冷却された後、ストランドカッターにより、所定長さに切断されて、ペレット状の樹脂組成物が得られる(図4のS25参照)。このようにして、機能性物質が備える化学的機能(例えば、難燃性)が付与された樹脂組成物が得られる。
なお、合成樹脂等を混練する装置としては、特に制限はなく、例えば、押出機(一軸、二軸等)、ラボプラストミル等の公知の混練装置が利用される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(担体の作製)
実の収穫を終えたトマト(ナス科植物の一例)の茎を、粗粉砕装置(リョービ株式会社製)を利用して、1cm程度の大きさに切断及び粉砕し、茎の粗粉砕物を得た。次いで、得られた粗粉砕物(500g)を、水(2リットル)中に入れ、ホモジナイザーを利用して2分間水中解砕した後、ろ過した。ろ過したもの(ろ過残渣)に対し再び同様に水中解砕処理を2回繰り返し、計3回の水中解砕を行った。
その後、最終的に得られた残渣に対して、乾燥処理を行った。なお、乾燥処理は、二段階で行った。先ず一段階目の乾燥処理は、温度を130℃、時間を8時間に設定して、殺菌も目的として行った。二段階目の乾燥処理は、温度を105℃、時間を12時間に設定して行った。
次いで、乾燥処理後のろ過残渣を、微粉砕装置(大阪ケミカル株式会社製)を利用して、500μm程度に粉砕し、微粉砕物を得た。その後、微粉砕物を篩い分け装置により、篩い分けして、500μm以下の微粉砕物からなるトマト由来の担体を得た。
(リン酸アンモニウム溶液の作製)
リン酸アンモニウムに水を加えて、リン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム濃度:30質量%)を作製した。
(機能添加材の作製)
図5に示されるドリップ装置10を利用して、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液(30質量%)を含浸させた。ここで、先ずドリップ装置10について説明する。
ドリップ装置10は、所謂コーヒードリッパーとして市販されているものであり、主として、ホルダ部11、ドリップ部12、フィルタ13、及びろ液回収容器14より構成されている。ホルダ部11は、フィルタ13が設置される部分であり、円錐を逆さにしたような上方に開口した漏斗のような形をなしている。なお、フィルタ13は、円錐を逆さにしたような上方に開口したろ紙からなる。ドリップ部12は、ホルダ部11の下部に配置し、ホルダ部11内の液体を下方へ滴下させるための貫通孔(不図示)を備えている。ろ液回収容器14は、ドリップ部12より滴下する液体を下方から受ける形で回収する容器である。なお、ホルダ部11は、ろ液回収容器14の上部に図示されない固定部材を利用して固定される。
続いて、ドリップ装置10を利用して、担体にリン酸アンモニウム水溶液を含浸させる方法を説明する。先ず、ホルダ部11内にフィルタ13を設置し、そのフィルタ13内に、担体3(30g)を入れた。次いで、リン酸アンモニウム水溶液(30質量%)15(150ml)を、フィルタ13内に注ぎ入れて、担体3をリン酸アンモニウム水溶液15に浸漬させた。その後、リン酸アンモニウム水溶液15の滴下が終わるまで約1分間放置した。なお、担体(30g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、31.5gである(担体(100g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、105gである)。
滴下が終了した後、フィルタ13内の担体3を回収し、水分率が約6質量%程度となるまで、担体3を乾燥させた。このようにして、担体にリン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、機能添加材を得た。
(難燃性樹脂組成物の作製)
溶融混練機としてラボブラストミルを使用して、ポリプロピレン(商品名「PMA20V」、サンアロマー社製)70質量部と、上記機能添加材30質量部の割合で混練した。具体的には、先ずポリプロピレンのみを180℃で約2分間加熱して、ポリプロピレンを軟化させた。その後、軟化した状態のポリプロピレンに、上記機能添加材を添加し、180℃で10分間、30rpmの条件で、ポリプロピレンと機能添加材(リン酸アンモニウム付き粉砕物)とを混練した。
なお、相溶化剤として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(「カヤブリッド006PP−N」)を1質量部、上記機能添加材と共にポリプロピレンに添加した。
その後、得られた混練物をプレス成形(加熱温度:180℃、プレス時間:約8分間)して、樹脂組成物からなシート状の成形品(厚み:1mm)を得た。
そして、更に上記成形品を所定の大きさに切り出して、試験片(長さ125mm、幅13mm、厚み1mm)を得た。
〔実施例2〕
ポリプロピレンと機能添加材との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、機能添加材10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、難燃性樹脂組成物からなるシート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例1〕
機能添加材を配合せず、ポリプロピレンのみを用いること以外は、基本的に、実施例1と同様にして、ポリプロピレンからなるシート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例2〕
機能添加材に代えて、リン酸アンモニウムを担持させていない担体(トマト残渣の粉砕物)を用いつつ、ポリプロピレンと担体との配合割合を、ポリプロピレン70質量部、担体30質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例3〕
ポリプロピレンと担体との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、担体10質量部に変更したこと以外は、基本的に、比較例2と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔燃焼試験による難燃性評価〕
実施例1,2及び比較例1〜3の各試験片について、UL94規格に基づいて、燃焼試験を行い、難燃性を評価した。結果は、表1にまとめた。
Figure 0006852870
表1に示されるように、実施例1については、UL94の垂直燃焼試験を行い、V0等級という高い難燃性を示すことが確かめられた。
これに対し、実施例2及び比較例1〜3については、V0等級の難燃性は得られなかった。そのため、表1に示されるように、UL94HBの水平燃焼試験を行った。その結果、実施例2及び比較例1〜3では、何れの場合も、1分当たりの燃焼速度が、76.2mm/min以下であり、HB等級の難燃性を備えることが確かめられた。
ただし、表1に示されるように、機能添加材を含む実施例2の試験片では、燃焼速度が56.8mm/minであり、各比較例の燃焼速度と比べて、燃焼速度が遅く、難燃性に優れることが確かめられた。また、難燃性試験中のドリップ数についても、実施例2の場合が最も少なく、ドリップ防止性にも優れることが確かめられた。なお、比較例1のドリップ数については、試験片から絶えずドリップが発生する状態であり、約300回という結果となった。
〔実施例3〕
リン酸アンモニウム水溶液のリン酸アンモニウム濃度を、20質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、機能添加材(20質量%)を得た。なお、担体(30g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、21.0gである(担体(100g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、70gである)。
機能添加材(30質量%)に代えて、機能添加材(20質量%)を用いつつ、ポリプロピレンと機能添加材(20質量%)との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、機能添加材(20質量%)10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔実施例4〕
リン酸アンモニウム水溶液のリン酸アンモニウム濃度を、40質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、機能添加材(40質量%)を得た。なお、担体(30g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、42.0gである(担体(100g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、140gである)。
機能添加材(30質量%)に代えて、機能添加材(40質量%)を用いつつ、ポリプロピレンと機能添加材(40質量%)との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、機能添加材(40質量%)10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔強度評価〕
実施例2〜4、及び比較例1,3の各試験片について、引張圧縮試験機を用いて、応力σとひずみεとの関係(s−s曲線)を求めた。結果(グラフ)は、図6に示した。そして、得られた結果(s−s曲線)より、各試験片について、曲げ弾性率(MPa)及び曲げ強さ(MPa)を求めた。求めた曲げ弾性率(MPa)及び曲げ強さ(MPa)は、表2にまとめた。
Figure 0006852870
図6及び表2に示されるように、実施例3,2,4の各試験片では、担体に含浸させるリン酸アンモニウムの濃度が高くなるにつれて、曲げ弾性率が向上することが確かめられた。また、実施例3,2,4の各試験片の曲げ強さについては、殆ど差が見られなかった。
〔トマト残渣に担持されるリン酸アンモニウムの検証〕
トマトの茎(フリーズドライ済み)を、1センチ程度の長さで切断したものを試験片Tとした。この試験片Tに、リン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム濃度:40質量%)に、5分間浸漬した。その後、水分率が約6%となるまで試験片Tを乾燥させた。乾燥後の試験片Tを、EDX(エネルギー分散型X線分光法、装置名「電界放出型操作電子顕微鏡(FE−SEM)」、日本電子株式会社製)を用いて、試験片の各部位に含まれる各成分を検出した。試験片の各検出部位は、図7の符号I〜Vで示される部分である。図7には、試験片(茎)の断面写真が示されている。図7の検出部位Iは表皮であり、検出部位IIは表皮と維管束の境界付近であり、検出部位IIIは維管束であり、検出部位IVは維管束と髄との境界付近であり、検出部位Vは髄である。
各検出部位における各成分の検出スペクトルの結果は、それぞれ図8〜図12に示した。図8〜図12に示されるように、検出部位III(維管束)を除くすべての部位において、リン(P)成分が検出された。このことから、各検出部位に、リン酸アンモニウムが存在していることが確認された。リン酸アンモニウムは、茎の表皮のみならず、表皮(外皮)と維管束との境界部分や、維管束と髄との境界部分でも確認され、リン酸アンモニウムが茎の内部にも浸透していることが確かめられた。なお、試験片T(100g)に対するリン酸アンモニウムの付着量は、140gである。
〔トマト残渣に担持される硝酸銀(AgNO)の検証〕
トマトの茎(フリーズドライ済み)を、1センチ程度の長さで切断したものを試験片Taとした。この試験片Taに、硝酸銀水溶液(硝酸銀濃度:3.4質量%)に、5分間浸漬した。その後、水分率が約6%となるまで試験片Taを乾燥させた。乾燥後の試験片Taを、EDXを用いて、試験片の表皮、維管束及び髄の各部位に含まれる各成分を検出した。各検出部位における各成分の検出スペクトルの結果は、それぞれ図13〜図15に示した。図13〜図15に示されるように、各検出部位(表皮、維管束、髄)において、それぞれ銀(Ag)成分が検出された。このことから、各検出部位に、硝酸銀(AgNO)が存在していることが確認された。なお、硝酸銀(AgNO)は、殺菌・消毒機能、pH調製機能等を備えている。また、試験片Ta(100g)に対する硝酸銀の付着量は、11.9gである。
〔トマト残渣に担持される炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の検証〕
トマトの茎(フリーズドライ済み)を、1センチ程度の長さで切断したものを試験片Tbとした。この試験片Tbに、炭酸水素ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム濃度:4.6質量%)に、5分間浸漬した。その後、水分率が約6%となるまで試験片Tbを乾燥させた。乾燥後の試験片Tbを、EDXを用いて、試験片の表皮、維管束及び髄の各部位に含まれる各成分を検出した。各検出部位における各成分の検出スペクトルの結果は、それぞれ図16〜図18に示した。図16〜図18に示されるように、各検出部位(表皮、維管束、髄)において、それぞれナトリウム(Na)成分が検出された。このことから、各検出部位に、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)が存在していることが確認された。なお、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)は、pH調製機能等を備えている。また、試験片Tb(100g)に対する炭酸水素ナトリウムの付着量は、16.1gである。
1…難燃性樹脂組成物、2…合成樹脂(母材)、3…担体、4…難燃剤(機能性物質)、5…機能添加材、10…ドリップ装置、11…ホルダ部、12…ドリップ部、13…フィルタ、14…ろ液回収容器、15…リン酸アンモニウム水溶液(難燃剤溶液)

Claims (4)

  1. トマトの茎の粉砕物からなる担体と、前記担体に担持される機能性物質とを有し、
    前記機能性物質は、前記粉砕物に含まれる表皮と維管束との境界部分、及び維管束と髄との境界部分に担持され
    前記機能性物質は、リン酸塩からなる難燃剤である機能添加材。
  2. 前記機能添加材は、前記機能性物質を、前記担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有する請求項1に記載の機能添加材。
  3. 前記担体の大きさは、1000μm以下である請求項1又は2に記載の機能添加材。
  4. トマトの茎を粉砕した粉砕物からなる担体に、機能性物質が溶媒に分散又は溶解されてなる機能性溶液を含浸させて、前記粉砕物に含まれる表皮と維管束との境界部分、及び維管束と髄との境界部分に前記機能性物質を担持させる担持工程を有し、前記機能性物質は、リン酸塩からなる難燃剤である機能添加材の製造方法。
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