JP6851437B2 - 磁極および磁極を配置した固定子および固定子を備えた回転電機 - Google Patents
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Description
これにより、巻線と鉄心の絶縁距離が、前記薄肉部と絶縁体の重なった部分で構成されるため、絶縁体をコア両端部から突出させることなく、巻枠のスロット内(巻線側)に出っ張る部分を無くしてスロット断面積を大きくできることから、従来より直径の太い導体を用い、軸方向長さを最小にして集中巻の巻線を施すことができ、巻線の抵抗値を低減した銅損の少ない回転電機を得ることができるとしている。
また、他の従来の回転電機においては(例えば特許文献2)、特許文献1とほぼ同様の構成を分割鉄心に適用したものが提案されている。尚、この従来例では巻線の状態を変えずに鉄心の幅を広げることで、磁路抵抗を下げることができ、固定子の特性改善に寄与できるとしている。
このような問題点は、分割鉄心を前提とした前記特許文献2においても問題提起自体がなされておらず、絶縁性能が低下する問題点は解消されていない。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、分割鉄心においても絶縁性能を損なうことなく巻線抵抗もしくは磁路抵抗を低減でき、信頼性と特性を同時に向上した固定子を得ることを目的としている。
また、本願に開示される磁極は、鉄心に取り付けられた樹脂性の巻枠とシート状の絶縁体とコイルとで形成される磁極において、前記鉄心は、ヨーク部とティース部と前記ティース部から円弧状に延伸する先端部とで構成されるとともに、前記ヨーク部、ティース部、先端部の軸方向両端には段差部が設けられており、前記巻枠は、前記ヨーク部に搭載される第1のフランジと、前記第1のフランジに対向して前記先端部を跨いで軸方向に延伸する開脚部が設けられた第2のフランジと、前記第1のフランジと前記第2のフランジ間をつなぎ、前記ティース部を跨いで設けられた胴部とによって構成されるとともに、前記鉄心の軸方向両端に前記段差部を介して設置されており、前記絶縁体は、ティース部側面と前記胴部に設けられた薄肉部に装着される第1の面と、前記開脚部と前記先端部に装着される前記第1の面とつながる第2の面と、ヨーク部内面と前記第1のフランジに設けられた薄肉部に装着される前記第1の面につながる第3の面と、前記第3の面につながる第4の面とで構成されており、前記第1の面の軸方向長さは前記鉄心の軸方向長さ以下であり、前記第3の面の軸方向両端には所定の長さで所定の幅を有する延長面が設けられているとともに、前記第1の面、第2の面および前記第3の面で囲まれる領域および前記胴部上に、前記コイルが巻きつけられ、前記コイルの表面を前記第4の面が覆うように構成されており、前記第2の面の軸方向端部は、前記第2のフランジに設けられた薄肉部と前記開脚部との間に形成されたスリットに挿入されており、前記絶縁体の前記第3の面に設けられた前記延長面の軸方向であって、前記第4の面につながる部位には、さらに再延長面が設けられているものである。
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1は回転電機の固定子100を示す断面図である。図1において固定子100は複数の磁極50を円周上に連結、配列し、円環状に組み立てられている。尚、図1に示すA−A矢視は後述の図6にて説明する。磁極50は鉄心40とこの鉄心40に巻枠10と絶縁体20を取り付け後、導体を複数回巻き付けたコイル30とによって構成されている。巻枠10は鉄心40とコイル30との間の電気的絶縁と、コイル30を所定の位置に巻き付ける機能およびコイル30の端子部を支持するとともに、前記絶縁体20を所定位置に保持する機能とを備えている。
図2で詳述するように鉄心40は隣り合う鉄心40と接合するヨーク部42と、このヨーク部42につながるティース部41と、図示省略した回転電機の電機子に対向する円弧状の先端部43で構成されている。尚、鉄心40は打ち抜かれた薄板の積層構造である。
尚、鉄心40の軸方向両端に上記の如く各段差部を設けたことにより、コイル30の巻線スペースが拡大され、コイル導体の線径拡大等が可能となる。
図3(b)において、胴部幅W1は図2(b)に示したティース部幅WT1と同じであり、跨ぎ幅W2は段差部のあるティース部幅WT2に挿着可能な寸法である。また、跨ぎ深さL1は同じく図2(b)に示した段差長さLT1に相当するものであり、段差部長さL2は後述する絶縁体20が装着される面の長さである。
このような段差部11bを有する薄肉部11aが形成されている。また図3(c)に示すように第1のフランジ12の幅方向両端部分の断面C−Cでは、第1のフランジ12の下端には表面段差部12bと裏面段差部12cを有し、薄肉部厚さtを有する薄肉部12aが形成されている。この表面段差部12bは第1のフランジ12の下端より表面の段差部深さb1で、段差部長さL2に延長段差部長さL3を加えたすなわちL2+L3の長さを有しているこの図3(a)に示す表面段差部12bが、第1のフランジ12の周方向設置位置、および延長面収納幅W3の寸法は図4にて後述する絶縁体20の延長面20dが設けられる位置と同一であり、かつ、延長面20dの延長面の幅WF3と、前記延長面収納幅W3は同一寸法である。また、裏面段差部12cは裏面の段差深さd1で、段差部長さL2を有している。尚、表面の段差部深さb1は後述の絶縁体20の厚さと同等もしくはそれ以上とする。第1のフランジ12の幅方向両端以外部分での断面B−Bには、段差部長さL2を有する表面段差部12dと、前述した断面C−Cから連なる裏面段差部12cが設けられ薄肉部12aを形成している。上記表面段差部12bおよび表面段差部12dには絶縁体20が装着されるとともに、薄肉部12aの裏面段差部12cが鉄心40のヨークの段差部42aに接する。尚、第1のフランジ12にはコイル30を導入する溝12eが設けてある。
次に実施の形態2による絶縁体20の斜視図を図7に示す。この絶縁体20は、図4で述べた実施の形態1の絶縁体20が方形状の延長面20dであるのを、所定の曲率Rを有する半円状の延長面20dとしたこと、および第2の面20bに折り曲げ部20fを設けた点が異なり、他は図4に記載と同一である。前記所定の曲率Rは前述した法令に規定される絶縁距離と同様かそれ以上の寸法とし、図4に示したLF3と同じ値でよい。この実施の形態2による絶縁体20を巻枠10に装着した状態を図8に示す。ここで図8に示す断面図は、巻枠10の各薄肉部11a、12a、13bに絶縁体20の第1の面20a、第2の面20b、第3の面20cが装着された個所の断面を示す。
図8に示すように、絶縁体20の第2の面20bが鉄心40の先端部43に沿って折り曲げ部20fが装着されている。
このように折り曲げ部20fを有することで、磁極50を複数個円環状に配置した固定子100とした際、隣接する磁極50の第2の面20b同士の干渉が避けられるとともに、先端部43とコイル間の絶縁距離D1を長く確保可能となる。尚、この図8に示すように絶縁体20の第4の面20eが、コイル30の外部表面を覆うように設けられている。このとき、D2は第4の面20eの先端とコイル30との最短距離を示し、ここでD2は前記法令で規定されている絶縁距離の1/2以上の長さを有するよう第4の面20eを伸延させている。すなわち隣接するコイル30間の絶縁距離はD2の2倍と見做せるので、この構成で絶縁性能を満足できる。このように実施の形態2の磁極50は、実施の形態1による効果に加え、隣接コイル間との絶縁耐力を向上できるという効果がある。尚、コイル巻線のスペースに余裕がある場合は、折り曲げ部20fをヨーク部42側に折り曲げて、第4の面20eと重なる構成としてもよい。
次に実施の形態3による絶縁体20を図9に基づいて説明する。この実施の形態3では、鉄心40が図9(b)に示すように、ヨーク部42にヨーク部の段差長さLY1を有したヨークの段差部42aが設けられたものであり、これは鉄心40の体積減少を最小限に抑制することを狙っている。図9(c)に上記鉄心40に装着される巻枠10aを示す。この巻枠10aの実施の形態1による図3の巻枠10との差異は、第1のフランジ12に設けた表面段差部12bの表面形状にある。図9(c)による第1のフランジ12には、図9(b)に示す鉄心40のヨークの段差部42aに適合するような切欠き幅W6と切欠き長さL6よりなる切欠き12kが設けられているとともに、表面段差部12bは、後述する図9(a)の絶縁体20を収納するための段差であって、延長面収納幅W3で段差部長さL7、再延長面収納幅W4で再延長面収納長さL5の各部位によって形成されている。
図9(a)に示す絶縁体20は、第3の面20cの延長面20dと、第4の面20eとの境界部分に設けられた折り曲げ線20hより延長面の幅WF3、延長面の長さLF3とでなる延長面20dと、この延長面20dから片側でさらに再延長面の長さLF5を有する再延長面20gを設けているとともに、第4の面20eの長さをLF4としている。また第2の面20bには、第2の面の延長面20jが延長面の長さLF6を有して設けられている。これ以外の記載は実施の形態1の図4と同一である。ここで再延長面20gの再延長面の長さLF5は巻枠10aの再延長面収納長さL5と同一寸法であり、また再延長面の幅WF4は巻枠10aの再延長面収納幅W4と同一寸法である。
なお、本実施の形態においては、ヨーク端面における巻枠の切れ目、すなわちヨーク露出部がほぼW6の幅で存在することになり、この部分から巻線を絶縁保護するために、絶縁体20の第3の面20cの延長面の幅WF3が、W6の幅に加えてW6の端からティース側に向かって、法令などによって定まる絶縁距離を確保する必要がある。すなわち、WF3からW6を引いた長さを法令等によって定められた絶縁距離と同等以上に設定する。このとき、W3はWF3とほぼ同等の長さを持つよう設定する。
上記再延長面の長さLF5は、コイル30の大きさによって設定されるもので、コイルの巻き上がり寸法が大きい場合に隣接するコイル30間の絶縁耐力がより強化される。また、第2の面の延長面20jが設けられていることにより、鉄心40の先端部43に近いコイルの軸方向絶縁沿面距離を確保することができる。従って前述した実施の形態1による効果に加え、さらに絶縁耐力を向上させる。
13a 開脚部、13b 薄肉部、20 絶縁体、20a 第1の面、
20b 第2の面、20c 第3の面、20d 延長面、20e 第4の面、
LF3 延長面の長さ、30 コイル、40 鉄心、41 ティース部、
41b ティース部側面、42 ヨーク部、43 先端部、LC 鉄心長、50 磁極、100 固定子。
Claims (9)
- 鉄心に取り付けられた樹脂性の巻枠とシート状の絶縁体とコイルとで形成される磁極において、前記鉄心は、ヨーク部とティース部と前記ティース部から円弧状に延伸する先端部とで構成されるとともに、前記ヨーク部、ティース部、先端部の軸方向両端には段差部が設けられており、前記巻枠は、前記ヨーク部に搭載される第1のフランジと、前記第1のフランジに対向して前記先端部を跨いで軸方向に延伸する開脚部が設けられた第2のフランジと、前記第1のフランジと前記第2のフランジ間をつなぎ、前記ティース部を跨いで設けられた胴部とによって構成されるとともに、前記鉄心の軸方向両端に前記段差部を介して設置されており、前記絶縁体は、ティース部側面と前記胴部に設けられた薄肉部に装着される第1の面と、前記開脚部と前記先端部に装着される前記第1の面とつながる第2の面と、ヨーク部内面と前記第1のフランジに設けられた薄肉部に装着される前記第1の面につながる第3の面と、前記第3の面につながる第4の面とで構成されており、前記第1の面の軸方向長さは前記鉄心の軸方向長さ以下であり、前記第3の面の軸方向両端には所定の長さで所定の幅を有する延長面が設けられているとともに、前記第1の面、第2の面および前記第3の面で囲まれる領域および前記胴部上に、前記コイルが巻きつけられ、前記コイルの表面を前記第4の面が覆うように構成されており、前記第2の面の軸方向端部は、前記先端部を跨ぐように軸方向に延伸し、かつ前記先端部に形成された段差部に接する前記第2のフランジの薄肉部と前記開脚部との間に形成されたスリットに挿入されている磁極。
- 前記第2の面の軸方向長さは、前記第1の面の軸方向長さよりも大きい請求項1に記載の磁極。
- 前記延長面につながる前記第4の面は、前記第3の面の延長面が設けられた部分と同じ軸方向長さを有している請求項1または請求項2に記載の磁極。
- 前記絶縁体の前記第3の面に設けられた前記延長面の、前記所定の長さと前記所定の幅は、法令や規格に定められた絶縁距離と同等以上とし、前記延長面の前記所定の幅は、前記絶縁体がヨークの端面に対応する部位から、前記ティース部側に延伸するよう設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁極。
- 前記絶縁体の軸方向の位置決めは、前記第1の面、第2の面、第3の面のいずれかの面の軸方向端部が、前記巻枠に設けられた段差部またはスリットに規制されてなされる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁極。
- 前記絶縁体の前記第2の面の先端が、前記鉄心の先端部に沿って折り曲げられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の磁極。
- 鉄心に取り付けられた樹脂性の巻枠とシート状の絶縁体とコイルとで形成される磁極において、前記鉄心は、ヨーク部とティース部と前記ティース部から円弧状に延伸する先端部とで構成されるとともに、前記ヨーク部、ティース部、先端部の軸方向両端には段差部が設けられており、前記巻枠は、前記ヨーク部に搭載される第1のフランジと、前記第1のフランジに対向して前記先端部を跨いで軸方向に延伸する開脚部が設けられた第2のフランジと、前記第1のフランジと前記第2のフランジ間をつなぎ、前記ティース部を跨いで設けられた胴部とによって構成されるとともに、前記鉄心の軸方向両端に前記段差部を介して設置されており、前記絶縁体は、ティース部側面と前記胴部に設けられた薄肉部に装着される第1の面と、前記開脚部と前記先端部に装着される前記第1の面とつながる第2の面と、ヨーク部内面と前記第1のフランジに設けられた薄肉部に装着される前記第1の面につながる第3の面と、前記第3の面につながる第4の面とで構成されており、前記第1の面の軸方向長さは前記鉄心の軸方向長さ以下であり、前記第3の面の軸方向両端には所定の長さで所定の幅を有する延長面が設けられているとともに、前記第1の面、第2の面および前記第3の面で囲まれる領域および前記胴部上に、前記コイルが巻きつけられ、前記コイルの表面を前記第4の面が覆うように構成されており、前記第2の面の軸方向端部は、前記第2のフランジに設けられた薄肉部と前記開脚部との間に形成されたスリットに挿入されており、前記絶縁体の前記第3の面に設けられた前記延長面の軸方向であって、前記第4の面につながる部位には、さらに再延長面が設けられている磁極。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の磁極を、複数個円環状に配置した固定子。
- 請求項8に記載の固定子を備えた回転電機。
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