JP6850469B2 - 多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子 - Google Patents

多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子に関する。
酸化チタン微粒子は、代表的な光触媒活性物質として知られているが、それだけではなく、顔料、紫外線遮蔽剤、吸着剤、イオン交換剤、充填剤、補強材、セラミックス用原料、ペロブスカイト型複合酸化物などの複合酸化物の前駆体、および磁気テープの下塗り剤等様々に用いられている。
酸化チタン微粒子を光触媒として利用する場合は、光触媒機能を高活性化するために、比表面積が大きい多孔質化、結晶性の高度化及びアナタース相率の向上などが必要となる。通常、結晶性を高めるためには高温で焼成すると比表面積は減少する。このように、高比表面積と高結晶性の効果を両立させることは困難であり、必要に応じて適切に制御する必要がある。
そして、非特許文献1には、従来の酸化チタンの工業的製造方法として、精製した四塩化チタンの水溶液を高温(800〜1,000℃)の酸素雰囲気化に噴霧して四塩化チタンを酸化し、酸化チタン粒子を得る「気相法」と、水酸基を有する酸化チタン前駆体を製造してこの酸化チタン前駆体を500℃以上の高温で熱処理する「液相法」とが記載されている。
一般的に高比表面積の酸化チタンを生成する方法として、非特許文献2には、界面活性剤またはポリマーなどの有機化合物を鋳型として用いる液相法が記載されている。しかし、これらの方法では、製造工程が非常に煩雑で、特に用いた鋳型を取り除くために大量の有機溶剤を使用することや高温での燃焼を必要とするなど、製造工程が非常に煩雑であった。また、結晶性を向上させるために高温の熱処理を行なうことで、酸化チタン微粒子の比表面積が減少してしまう問題点があった。
また、簡易な製造装置で、上記技術よりも低温で酸化チタンを製造することができる方法として、特許文献1記載に記載された「多孔質酸化チタン粒子およびその作製方法」が知られている。具体的には、特殊な装置を用いることなく、常圧下で反応させ、比表面積が大きい多孔質酸化チタン粒子を経済的に製造する方法である。
特開2007−230824号公報
清野 学 著 技報堂出版発行「酸化チタン−物性と応用技術」p18−27(1991.6.25) 吉武 英昭、杉原 多恵、辰巳 敬 著 触媒学会発行「触媒」Vol.44 No.6p480−482(2002)
特許文献1に記載された方法によれば、反応温度が100℃以下の低温であるため、熱による比表面積の減少が生じにくいが、フッ化チタン酸と水との反応の過程で生じるフッ化水素のフッ素イオンの捕捉剤として高価なホウ酸が用いられている。
この方法を用いて製造された酸化チタンの比表面積は約120(90℃、48時間反応)〜140(60℃、48時間反応)m/gであるが、酸化チタンの光触媒活性が比表面積に比例して向上することは明らかであるので、さらなる高比表面積の酸化チタンの開発が望まれている。また、ホウ素およびホウ素化合物について環境基準(平成11年2月項目追加、1mg/L)と排水基準(平成13年7月施行、海域以外10mg/Lおよび海域230mg/L)がそれぞれ定められ、ホウ酸は廃液として慎重に処理する必要があり、その処理に手間がかかると共に、製造コストの点において大きな負担となるなど使いにくさがあった。また、48時間という長時間の反応が必要であり、製造時間が長すぎる。さらに、結晶性を高めるために500℃以上の高温で焼成(結晶成長)している。その場合の比表面積の記載はないが、比表面積は減少していると推察される。
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであり、酸化チタン微粒子の生成過程で発生する気泡を鋳型として高比表面積を有すると共に、常温から200℃の低温で高結晶性の酸化チタン微粒子を簡便かつ安価に製造することができる多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法は、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合する混合工程と、水熱合成により、常温から200℃の条件下で、多孔質な酸化チタンを生成させる生成工程とを備える。
ここで、混合工程において、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合することで、フッ化チタン酸塩の加水分解によって生成されるフッ化水素と金属炭酸塩の反応が可能となる。
フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合させた水溶液の生成は、以下の(1)〜(3)のいずれかで行なうことが考えられる。
(1)所定濃度のフッ化チタン酸塩の水溶液と所定濃度の金属炭酸塩の水溶液を所定の割合で混合する。
(2)フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を、所定の割合で溶媒である水に溶解させる。
(3)フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩のいずれか一つを溶解させた水溶液中に、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩のモル比が所定の割合となるように他の一つを混合し、溶解させる。
また、生成工程において、水熱合成により、常温から200℃の条件下で、多孔質な酸化チタンを生成させることで、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により高比表面積の酸化チタン微粒子を製造することができる。
また、生成工程において水熱合成を行なうことで、高比表面積と高結晶性を有する多孔質酸化チタン微粒子を製造することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法は、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合する混合工程と、水熱生成により、常温から100℃の条件下で、多孔質な酸化チタンを生成させる生成工程とを備える。
ここで、生成工程において水熱生成を行なうことで、高比表面積を有する多孔質酸化チタン微粒子を製造することができる。
また、多孔質酸化チタン微粒子を100℃から200℃の条件下で、水熱処理する結晶成長工程を備える場合には、水熱生成で製造された多孔質酸化チタン微粒子よりも高結晶性の多孔質酸化チタン微粒子を得ることができる。なお、開放系で水熱処理を行なう目的は、水熱生成により得られた酸化チタン微粒子の結晶性を上げるためである。
フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により生じたフッ素化合物を水洗浄する洗浄工程を備える場合には、有害なフッ素化合物を除去することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法は、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合する混合工程と、開放系においては常温から100℃の条件下で、又は閉鎖系においては常温から200℃の条件下で、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により発生する二酸化炭素の微細な気泡の外形を鋳型として多孔質な突起状ナノ粒子が表面に多数突出すると共に、メソサイズ乃至マクロサイズの二酸化炭素の気泡の表面に該突起状ナノ粒子が集合して形成された中空体又は該中空体の集合体である多孔質酸化チタン微粒子を生成させる生成工程を備える。
ここで、混合工程において、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合することで、フッ化チタン酸塩の加水分解によって生成されるフッ化水素と金属炭酸塩の反応が可能となる。なお、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を所定の割合で溶解させた水溶液の生成は、上記と同様である。
また、生成工程において、開放系においては常温から100℃の条件下で、又は閉鎖系においては常温から200℃の条件下で、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により発生する二酸化炭素の微細な気泡の外形を鋳型として多孔質な突起状ナノ粒子が表面に多数突出すると共に、メソサイズ乃至マクロサイズの二酸化炭素の気泡の表面に突起状ナノ粒子が集合して形成された中空体又は中空体の集合体である多孔質酸化チタン微粒子を生成させることで、比表面積の高い酸化チタン微粒子の結晶を生成することができる。
また、生成工程において、反応時間を1〜24時間とすることで、適度な比表面積と結晶度を有する酸化チタン微粒子を得ることができる。
反応時間が1時間未満の場合には、反応時間が短すぎて充分に反応が進まず、非晶質の酸化チタン微粒子が得られ、このような酸化チタン微粒子は光触媒活性を有さないため適切ではない。一方、反応時間が24時間を超える場合には、反応時間が24時間未満の場合と比較して、比表面積や結晶子サイズに大きな変化が見られない。
また、生成工程において発生する二酸化炭素の気泡には、マイクロサイズ、メソサイズ、マクロサイズの少なくとも一つの二酸化炭素の気泡が含まれることで、これらの二酸化炭素の気泡を鋳型として、マイクロサイズの細孔、メソサイズの細孔、マクロサイズの細孔の三種類の孔径のうち少なくとも一つの細孔を有する酸化チタン微粒子を生成させることができる。なお、細孔とは、酸化チタンの内部に形成される微細な孔をいう。
また、金属炭酸塩が、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の群から選択された少なくとも一つであり、フッ化チタン酸塩が、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)、フッ化チタン酸ナトリウム(NaTiF)、フッ化チタン酸カリウム(KTiF)の群から選択された少なくとも一つであることで、いずれの金属炭酸塩及びフッ化チタン酸塩を用いても二酸化炭素を発生させることができる。
また、金属炭酸塩が炭酸水素ナトリウムであり、フッ化チタン酸塩がフッ化チタン酸アンモニウムである混合工程において、フッ化チタン酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウムを、モル比1:2〜1:18の割合で混合することで、効率よく反応を進ませることができ、酸化チタン微粒子の結晶を量論的に生成させることができる。なお、モル比が1:2より低い(特に炭酸水素ナトリウムが2に満たない)場合は収率が低下し、本願発明に係る酸化チタン微粒子を収率よく得ることができない。一方、モル比が1:18より高い(すなわち炭酸水素ナトリウムが18を超える)場合は開放系の場合にはチタン酸ナトリウムが生成されてしまう。
金属炭酸塩が炭酸ナトリウムであり、フッ化チタン酸塩がフッ化チタン酸アンモニウムである混合工程において、フッ化チタン酸アンモニウムと炭酸ナトリウムをモル比1:1〜1:9の割合で混合することで、効率よく反応が進み、酸化チタン微粒子の結晶を量論的に生成させることができる。なお、モル比が1:1よりも低い(特に炭酸ナトリウムが1に満たない)場合は収率が低下し、本願発明に係る酸化チタン微粒子を収率良く得ることができない。一方、モル比が1:9よりも高い(すなわち炭酸ナトリウムが9を超える)場合は開放系の場合にはチタン酸ナトリウムが生成されてしまう。
また、上記課題を解決するために、本発明の多孔質酸化チタン微粒子は、結晶体であり、多数の細孔を有する突起状ナノ粒子が集合して形成された中空体又は該中空体の集合体である。
ここで、多数の細孔を有する突起状ナノ粒子が集合して形成されたことで、多孔質の中空体又は中空体の集合体が得られ、高比表面積を維持しながら酸化チタン微粒子の細孔容積を向上させることができる。なお、比表面積とは、窒素吸着法によるBET比表面積をいい、細孔容積とは単位質量当たりの体積(cm/g)である。
また、結晶体であることで、結晶性を有する多孔質酸化チタン微粒子とすることができる。
また、マイクロ孔、メソ孔、マクロ孔の少なくとも一つを有することで、細孔を有する酸化チタン微粒子とすることができる。
また、比表面積が約100〜600m/gであることで、単位質量当たり高い比表面積を有する酸化チタン微粒子とすることができる。
また、突起状ナノ粒子の長さが平均20〜30nmであり、幅が平均5〜15nmであることで、より高い比表面積の酸化チタン微粒子とすることができる。
また、突起状ナノ粒子に形成された細孔の孔径が6〜10nmであることで、より高い比表面積の酸化チタン微粒子とすることができる。
また、価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップが、3.2〜3.4eVであることで、主に紫外線領域で光触媒活性を発現することができる。
本発明に係る多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子は、酸化チタン微粒子の生成過程で発生する直径が0.5nmから数百nmの気泡を鋳型として高比表面積を有すると共に、常温から200℃の低温で結晶成長させることによる高結晶性の酸化チタン微粒子を簡便かつ安価に製造することができる。
本発明の酸化チタン微粒子を製造する工程の一例を説明する概略図である。 実施例1で得られた生成物の低倍率透過型電子顕微鏡画像である。 実施例1で得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。 実施例1で得られた生成物と標準的な酸化チタン微粒子のライブラリデータを比較した図である。 実施例1、実施例5の生成物、及び実施例7で130℃と180℃で水熱処理した生成物の細孔分布を表した図である。 実施例1で得られた酸化チタン微粒子の生成過程を拡大して表した説明図である。 実施例3において180℃で水熱合成して得られた生成物の透過型電子顕微鏡画像である。 実施例4で得られた生成物の反応時間と比表面積および結晶子サイズの関係を表した図である。 フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF6)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を混合して5分後の核生成の時点で採取した試料の透過型電子顕微鏡画像(結晶性が確認できず、非晶質を示す)である。 実施例5で得られた生成物の低倍率透過型電子顕微鏡画像である。 実施例5で得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。 実施例5で得られた生成物のX線回折パターンである。 実施例7で得られた180℃で水熱処理した生成物の低倍率透過型電子顕微鏡画像である。 実施例7で得られた180℃で水熱処理した生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。 性能比較試験1において、実施例5で得られた生成物、実施例7で得られた、130℃と180℃で水熱処理した生成物及びP−25のUV照射によるメチレンブルーの光分解を表した図である。 性能比較試験1において、実施例5で得られた生成物、実施例7で得られた、130℃と180℃で水熱処理した生成物及びP−25のUV照射によるメチレンブルーの光分解の擬一次反応速度プロットを表した図である。 (a)のグラフは、紫外線及び可視光吸収の結果を表した図であり、(b)のグラフは酸化チタン微粒子のバンドギャップの計算結果を表した図である。 実施例5で得られた生成物、実施例7で130℃と180℃で水熱処理した生成物及びP−25の蛍光灯の光照射によるメチレンブルーの光分解を表した図である。 実施例5で得られた生成物、実施例7で130℃と180℃で水熱処理した生成物及びP−25の蛍光灯の光照射によるメチレンブルーの光分解の擬一次反応速度プロットを表した図である。 実施例1、実施例5の生成物、及び実施例7で130℃と180℃で水熱処理して製造された酸化チタン微粒子の窒素吸着等温線を表した図である。 第1、第3の実施の形態の生成物、及び実施例7で130℃と180℃で水熱処理して製造された酸化チタン微粒子の粒子径分布を表した図である。 実施例8で得られた生成物の走査型電子顕微鏡画像である。 実施例8で得られた生成物のX線回折パターンである。 フッ化チタン酸カリウム(KTiF)から得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。 フッ化チタン酸カリウム(KTiF)から得られた生成物のX線回折パターンである。
[本発明に係る酸化チタン微粒子の製造方法]
本発明に用いる用語を以下のように定義する。
「閉鎖系」とは一連の反応が密閉した容器内で行われる系をいい、「開放系」とは一連の反応が密閉されていない容器内で行われる系をいう。なお、開放系では反応中に生成される二酸化炭素が大気中へ放出されるが、閉鎖系では二酸化炭素の大気中への放出が抑制されるという点において違いがある。特に、閉鎖系では反応温度が100℃以上の温度においても水の蒸発なしに予め設定した温度条件下で合成をすることができるという利点がある。
また、「水熱合成」とは高温高圧の熱水の存在下で行なわれる化合物の合成あるいは結晶を成長させることをいい、主にオートクレーブと呼ばれる密閉容器中で行なわれる。ここで、オートクレーブとは、内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置や容器を用いて行なう処理のことをいう。オートクレーブ内の温度と圧力は、100℃以下で1.00atm、130℃で2.67atm、150℃で4.70atm、180℃で9.91atm、200℃で15.4atmである。
「水熱生成」とは開放系でかつ反応温度が100℃以下で結晶を生成することをいい、「水熱処理」とは一旦水熱生成が終わったスラリー状の酸化チタン微粒子をオートクレーブで加温処理することをいう。
本発明に係る酸化チタン微粒子の製造方法について、図1を用いて、以下に述べる。
(S1 第1工程)
第1工程において、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合する。
(S2 第2工程)
第2工程において、所定の温度条件下、及び所定の反応時間条件下において水溶液中で反応させ、これにより生じた二酸化炭素の気泡を鋳型として酸化チタン微粒子の結晶を生成させる。
(S3 第3工程)
第3工程において、第2工程で得られた水溶液を純水(イオン交換水、蒸留水など)で洗浄し、酸化チタン微粒子を得る。
第1工程(S1)においてフッ化チタン酸塩と金属炭酸塩を混合して生じた二酸化炭素の気泡を鋳型として、酸化チタン微粒子の結晶を生成させるという簡易な製造方法であるので、本発明に係る酸化チタン微粒子を簡便な装置で製造することができる。
また、従来のように有機溶媒を使用せず、製造過程での有機溶媒の蒸発を抑制する手段や、産業廃棄物である有機溶媒の適切な処理などは不要であるので、本発明に係る酸化チタン微粒子を簡便に製造することができる。
また、フッ素イオンの捕捉剤として従来使用していた高価なホウ酸を使用しないことから、本発明に係る酸化チタン微粒子の製造コストを抑えることができる。
第2工程においては、開放系と閉鎖型で方法が異なる。前者は反応温度が100℃以下の水熱生成であり、後者は反応温度が常温から200℃までの水熱合成である。前者の場合の結晶成長は、第3工程の後で水熱処理を行なうが、後者の場合の結晶成長は水熱合成の工程中に同時に進行する。
第2工程において生じた二酸化炭素の微細な気泡を鋳型として、酸化チタンの結晶が形成される。この時、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により発生する直径が数nmのマイクロサイズの二酸化炭素の気泡を鋳型として、突起状ナノ粒子が生成されると共に、突起状ナノ粒子の鋳型となった多数の二酸化炭素が集まって形成された直径が数十nmから数百nmのメソサイズ乃至マクロサイズの二酸化炭素の気泡の表面に突起状ナノ粒子が集合して形成された中空体又は中空体の集合体が形成される。
この時の反応は、以下の反応式で表わされる。
Figure 0006850469
Figure 0006850469
Figure 0006850469
また、第2工程(S2)では、常温から200℃の環境下で合成を行なうことから、従来技術である気相法での800〜1,000℃、液相法での500℃以上のような高温下で合成を行なう場合と相違して比表面積の減少が起こりにくく、高い比表面積を有する酸化チタン微粒子を製造することができる。
また、第2工程(S2)においては、反応時間を変えることで、例えば、結晶度や比表面積などを制御することができる。
第3工程(S3)においては、純水による洗浄を行なうことから廃液の処理を簡便に行なうことができる。
また、本発明の酸化チタン微粒子は細孔容積が大きいことから、水溶液中では、細孔容積が小さいものと比べてより大きな浮力が生じるので、沈殿しにくく分散性が高いことも確認された。このように、本発明の酸化チタン微粒子は界面活性剤などの添加物を混入させることなく高い分散性を維持することができる。分散性が高いことから、親水性を有していると考えられるので、頻繁に撹拌する必要がなく、取り扱いが簡便である。
発明の実施をするための形態1においては、上記第1〜3工程(S1〜S3)による酸化チタン微粒子の製造を閉鎖系で行ない、発明の実施をするための形態2においては、上記第1〜3工程(S1〜S3)による酸化チタン微粒子の製造を開放系で行なう。
以下、それぞれを詳細に説明する。
(発明の実施をするための形態1:閉鎖系)
発明の実施をするための形態1においては、以下の工程(S11〜13)により閉鎖系で酸化チタン微粒子を製造する。
(S11 第1工程)
フッ化チタン酸塩の一例であるフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)を溶解した水溶液と、金属炭酸塩の一例である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を溶解した水溶液を常温で混合する。
(S12 第2工程)
所定の温度条件下、及び所定の反応時間条件下の耐圧容器(以下、オートクレーブ)に、上記水溶液が入った容器を入れ、閉鎖系で水熱合成を行なう。
(S13 第3工程)
第2工程で得られた沈殿物を純水(イオン交換水、蒸留水など)で洗浄し、酸化チタン微粒子を得る。
発明の実施をするための形態1では、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と、所定の濃度の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を混合する際、これら二つの水溶液を混合することができる容量を有する容器を用いて、この容器をオートクレーブ内に入れて水熱合成を行なう、という簡易な方法であるので、大掛かりな設備を必要としない。
また、閉鎖系で酸化チタン微粒子を製造することから、製造過程で生成された二酸化炭素の多くは、反応容器外に放出されることなく、水溶液中に極めて微細な気泡として存在している。このため、酸化チタン微粒子の結晶が生成される過程において、二酸化炭素の微細な気泡を鋳型とした酸化チタン微粒子の結晶生成が進みやすくなり、細孔容積が向上した高比表面積の酸化チタン微粒子を製造することができる。
例えば、90℃の閉鎖系で8時間の反応によって製造された酸化チタン微粒子の細孔容積は、BET法により約0.84m/gであった。一方、同じ反応条件下の開放系で製造された酸化チタン微粒子の細孔容積は、約0.70m/gであった。即ち、一般的に閉鎖系で製造された酸化チタン微粒子の細孔容積は、開放系で製造された酸化チタン微粒子の細孔容積より約20%大きい。これは、閉鎖系では水溶液中の二酸化炭素が放出されることなく水溶液中に残存するが、開放系では酸化チタン微粒子の製造過程において、二酸化炭素が放出されることの違いによると考えられる。
なお、閉鎖系の約0.84m/gの数値については、(表1)の0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウムにおいて計測された比表面積294m/gに連動するBET測定結果である。また、開放系の約0.70m/gの数値については、(表3)の0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウムにおいて計測された比表面積297m/gに連動するBET測定結果である。
また、有機溶媒などを用いることなく酸化チタン微粒子を製造する方法であるので、廃液の処理が簡単であり、また、高価なホウ酸を用いることなく酸化チタン微粒子を製造することができるので、製造コストを抑えることができる。
(実施例1)
本発明の実施例1を図2乃至図4に基づいて説明する。
実施例1では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用いて、以下の工程(S21〜S23)により閉鎖系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S21 第1工程)
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を常温で1:1の体積比になるように混合する。この水溶液中ですぐに懸濁が始まったことから、酸化チタン微粒子の核生成が確認された。
(S22 第2工程)
反応温度90℃で反応時間8時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器をオートクレーブ内に入れ、閉鎖系で水熱合成を行なった。
(S23 第3工程)
第2工程で得られた沈殿物をイオン交換水で洗浄し、酸化チタン微粒子を得た。
<実施例1で得られた生成物の特定及び性能評価>
実施例1で得られた生成物の低倍率透過型電子顕微鏡画像を図2に示す。図2から、得られた生成物は数十〜数百nmの直径を有する中空体であることが確認された。また、実施例1で得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像を図3に示す。図3から、得られた生成物の構造は細長い形状の突起状ナノ粒子が中空体の表面に密集した構造であることが分かる。
また、図4に、実施例1のX線回析パターン(a)と、LPD法でホウ酸を用いて得られたアナタース型酸化チタン微粒子(特許文献1において500℃、3時間焼成したもの)のX線回析パターン(b)を示す。ほぼ同様の波形が確認されたことにより、実施例1の生成物はアナタース型酸化チタン微粒子であることが明らかとなった。
なお、LPD法とは液相析出法(Liquid Phase Deposition)のことであり、従来の代表的な酸化チタン微粒子成膜方法である。
実施例1の酸化チタン微粒子について、透過型電子顕微鏡(JEM−3010,JEOL)と走査型電子顕微(S−5200,Hitachi)を用いて形態分析を行なった。そして、粉末X線回折測定(XRD,Smart lab,Rigaku)により生成物の結晶構造を決定した。XRD測定では、試料の回折角(θ)を測定し既知の物質のデータ(ライブラリ)と照合することで、試料の結晶構造を決定した。また、酸化チタン微粒子の結晶面(101)に当たる回折角(2θ=23°)のピークの半値幅(β1/2)から、以下に示すScherrerの式により酸化チタン微粒子の結晶子サイズ(D)を決定した。ここで、λはCuKα線における波長(=1.5418A)、KはScherrer定数(=0.9)である。
Figure 0006850469
実施例1の酸化チタン微粒子について、Scherrerの式から結晶子サイズを算出したところ、約5.2nmであり、比表面積を求めたところ、294m/gという値であった。結晶子サイズはそれほど大きくないものの、高い比表面積を有する酸化チタン微粒子が得られた。
なお、本発明から得られた酸化チタン微粒子の比表面積及び細孔分布は、自動比表面積・細孔分布測定装置(BELSORP−mini II、日本ベル)を利用して得られた窒素吸着等温線の測定結果をBET法と非局所密度汎関数理論を用いて計算した。
また、本実施の形態(閉鎖系)で製造された酸化チタン微粒子(「90℃(閉鎖系)」という。)の細孔分布を図5に示す。
実施例1の酸化チタン微粒子の中空体は、0.5nm以上3.5nm未満のマイクロ孔、3.5nm以上30nm未満のメソ孔及び30nm以上のマクロ孔の分布を有することが確認された。なお、マイクロ孔はマイクロサイズの二酸化炭素を鋳型として形成され、メソ孔はメソサイズの二酸化炭素を鋳型として形成され、マクロ孔はマクロサイズの二酸化炭素を鋳型として形成される。
実施例1で得られた酸化チタン微粒子の生成過程を図6に示す。
実施例1の酸化チタン微粒子の製造過程において、酸化チタン微粒子の結晶生成と二酸化炭素の発生が同時に行われ、直径が数nmのマイクロサイズの二酸化炭素の気泡を鋳型として酸化チタン微粒子の突起状ナノ粒子が生成されると同時に、突起状ナノ粒子の鋳型となった二酸化炭素が集まって形成された直径が数十nmから数百nmのメソサイズ乃至マクロサイズの二酸化炭素の気泡の表面に突起状ナノ粒子が集合して中空体又は中空体の集合体の多孔質酸化チタン微粒子が作られる。本生成過程はほかの実施例も同様である。
特に、二酸化炭素の気泡を鋳型としてその周囲に酸化チタン微粒子の結晶が生成された中空体が形成されたことで、図2に示すように、中空状の酸化チタン微粒子が形成された。
また、図3から、実施例1において生成された突起状ナノ粒子は、幅平均約5〜15nm、長さ平均20〜30nmの大きさであることが明らかとなった。さらにこの突起状ナノ粒子はマクロサイズに成長した二酸化炭素を鋳型として集合するため、実施例1の酸化チタン微粒子は著しく細孔容積が向上すると共に、非常に高い比表面積を有する。
なお、二酸化炭素の生成については、(化1)で示したように、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を混合し、酸塩基反応が起こったことにより発生したものである。
フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と純水、またはフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と炭酸水(CO濃度約4000ppm)を混合させたところ反応が進まなかった。これは、純水だけでは(化1)で示す酸化チタンの生成反応が起こらないためであり、また炭酸は弱酸性であることからフッ化チタン酸アンモニウムとの反応が進まないためである。このことから、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を混合してできた二酸化炭素の生成が酸化チタン微粒子の生成に深く関係することが分かる。
(実施例2)
本発明の実施例2を表1及び表2に基づいて説明する。
実施例2では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.6mol/L、0.9mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を用いて、以下の工程(S31〜S33)により閉鎖系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S31 第1工程)
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液を、濃度0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.6mol/L、0.9mol/Lに調整した各濃度の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液とそれぞれ常温において1:1の体積比になるように混合した。この水溶液中ですぐに懸濁が始まったことから、酸化チタン微粒子の核生成が確認された。
(S32 第2工程)
実施例1のS22と同様に行なった。
(S33 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
<実施例2で得られた生成物の特定及び性能評価>
この生成物の比表面積、結晶相及び結晶子サイズを実施例1と同様の方法で評価した結果を表1にまとめた。
すべての濃度において、実施例2の生成物はアナタース型の酸化チタン微粒子であり、約5.2〜6.5nmの結晶子サイズを有することが分かった。
また、炭酸水素ナトリウムの濃度変化による結晶子サイズの変化の幅は小さいが、比表面積は濃度が濃くなるにつれて著しく増加する傾向が確認できた。特に、0.9mol/Lの濃度で製造した場合の比表面積は、374m/gであった。これは、市販品の光触媒(酸化チタン微粒子)の商品の比表面積が約50m/gであることと比較すると、著しく高い値であると言える。
Figure 0006850469
実施例2では、炭酸水素ナトリウムの濃度が上がると、それに伴い比表面積も増えることが明らかとなった。閉鎖系で製造したことにより、酸化チタン微粒子の製造過程において生成された二酸化炭素が抜け出ることなく水溶液中に残存し、さらに炭酸水素ナトリウムの濃度が高くなるにつれて二酸化炭素の生成量が増加することで、二酸化炭素の気泡を鋳型として突起状ナノ粒子が集まる際二酸化炭素の形状が維持されやすく、高い比表面積を有する酸化チタン微粒子を形成することができたと考えられる。
(実施例3)
本発明の実施例3を図7及び表2に基づいて説明する。
実施例3では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.3mol/LのNaHCOの水溶液を用いて、以下の工程(S41〜S43)により閉鎖系において酸化チタン微粒子の温度変化に伴う性能評価試験を行なった。
<製造工程>
実施例3では反応温度を130℃、150℃及び180℃に設定し、水熱合成により酸化チタン微粒子を得た。
(S41 第1工程)
実施例1のS21と同様に行なった。
(S42 第2工程)
反応温度を130℃、150℃及び180℃に設定し、それぞれの反応時間8時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器をオートクレーブ内に入れ、閉鎖系で水熱合成を行なった。
(S43 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
<実施例3で得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
実施例3で得られた酸化チタン微粒子の性能評価を表2に示す。
Figure 0006850469
表2から、実施例3の生成物はアナタース型の酸化チタン微粒子であり、水熱合成の温度が高くなるにつれて比表面積が減少し、結晶子サイズが増大することが確認された。水熱合成の場合は、酸化チタン微粒子の生成とともに、結晶成長も進行していることが分かる。なお、180℃で水熱合成した酸化チタン微粒子の高倍率透過型電子顕微鏡画像を図7に示す。図7からわかるように、180℃で水熱合成した酸化チタン微粒子は20nm以下の分散された酸化チタン微粒子のナノ結晶であることが確認された。
(発明の実施をするための形態2:開放系)
発明の実施をするための形態2においては、以下の工程(S51〜53)により開放系で酸化チタン微粒子を製造する。
(S51 第1工程)
閉鎖系の第1工程(S11)と同様に行なう。
(S52 第2工程)
所定の温度条件、所定の湿度及び所定の反応時間条件のもと、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なう。
(S53 第3工程)
閉鎖系の第3工程(S13)と同様に行なう。
発明の実施をするための形態2では、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と、所定の濃度の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を混合し、水熱生成を行なう。
開放系の場合、第3工程の後に、結晶性を高めるために100℃から200℃で水熱処理を行なうことができる。
開放系で酸化チタン微粒子を製造することから、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の反応により生じた二酸化炭素の気泡は水溶液中に存在するが、反応容器外に徐々に放出される。このため、酸化チタン微粒子が生成される過程において、二酸化炭素の微細な気泡を鋳型とした酸化チタン微粒子の生成が閉鎖系と同様に起こるが、細孔容積が閉鎖系で製造された酸化チタン微粒子ほどには向上しないと考えられる。
しかし、市販の酸化チタン微粒子商品(比表面積:50m/g)よりも充分に高い比表面積を有する酸化チタン微粒子が製造される。
(実施例4)
本発明の実施例4を図8及び図9に基づいて説明する。
実施例4では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用いて、以下の工程(S61〜S63)により開放系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S61 第1工程)
実施例1のS21と同様に行なった。
(S62 第2工程)
反応温度90℃で所定の反応時間において、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なった。
(S63 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
開放系において反応時間と比表面積及び結晶子サイズの関係を図8に示す。図8から、1〜24時間内において、反応が徐々に進んでいることが分かる。なお、閉鎖系においては、二酸化炭素の生成が抑制されるので開放系よりもやや反応速度が遅いが、ほぼ同様の結果を得ることができる。図9は、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を混合して5分後の核生成の時点で採取した試料の透過型電子顕微鏡画像であり、結晶性が確認できず、非晶質の酸化チタン微粒子が得られ、このような酸化チタン微粒子は光触媒活性を有さない。
(実施例5)
本発明の実施例5を図10乃至図12に基づいて説明する。
実施例5では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用いて、以下の工程(S71〜S73)により開放系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S71 第1工程)
実施例1のS21と同様に行なった。
(S72 第2工程)
反応温度90℃で8時間の反応時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なった。
(S73 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
<実施例5で得られた生成物の特定及び性能評価>
実施例5の生成物の透過型電子顕微鏡画像を図10と図11に示す。
図10は実施例5で得られた生成物の低倍率透過型電子顕微鏡画像である。図10から、実施例5で得られた生成物は、表面上に突起状ナノ粒子を有する直径約数十〜数百nmの粒子であることが分かる。
また、図11は実施例5で得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。図11から、突起状ナノ粒子は幅約5〜15nm、長さが約30〜40nmの細長の形状を有することが分かった。また、突起状ナノ粒子には孔径約10nm以下の細孔が多数形成されていることが確認できる。
このように、実施例5で得られた生成物は、表面上に多数の突起状ナノ粒子を有する微粒子であり、さらにこの突起状ナノ粒子には細孔が多数形成されていることから、比表面積の高い粒子となっていることが明らかとなった。
なお、実施例5で得られた生成物の比表面積を求めたところ、297m/gという値が得られた。これは、市販の光触媒(酸化チタン微粒子)商品の比表面積が約50m/gと比較すると、著しく高い値であると言える。
また、この生成物の結晶子サイズは約5.7nmであった。
そして、実施例5で得られた生成物のX線回折パターンを図12に示す。この図から、実施例5の生成物は、アナタース型の酸化チタン微粒子であることが明らかとなった。
また、(S73 第3工程)の後に行なった減圧乾燥により得られた粉末状の酸化チタン微粒子の質量から求めた収率(フッ化チタン酸アンモニウムの加水分解によって得られる酸化チタン微粒子の理論値に対する百分率)は、ほぼ100%であった。
また、実施例5で得られた生成物の細孔分布を図5に示す。図5によると、実施例5の酸化チタン微粒子「90℃(開放系)」の場合、実施例1(閉鎖系)の酸化チタン微粒子「90℃(閉鎖系)」と比較して30nm以上のマクロ孔が減少していることが分かった。これは、実施例5の酸化チタン粒子が開放系で製造される過程において、二酸化炭素が放出されることでマクロ孔を有する粒子に成長しきれなかったものと考えられる。
なお、一般的に酸化チタン微粒子の比表面積の大きさは、マイクロサイズ若しくはメソサイズの二酸化炭素の気泡の量により決定されると考えられる。マイクロサイズ若しくはメソサイズにおいては、実施例1とほぼ同様の細孔分布であることから、マクロ孔が減少していることは、比表面積に大きく影響を与えないものと考えられる。
(実施例6)
本発明の実施例6を表3に基づいて説明する。
実施例6は、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と、0.3mol/L、0.9mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用い、以下の工程(S81〜S83)により開放系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S81 第1工程)
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)と、濃度0.3mol/L、0.9mol/Lに調整した各炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液をそれぞれ常温で1:1の体積比で混合した。この水溶液中ですぐに懸濁が始まったことから、酸化チタン微粒子の核生成が確認された。
(S82 第2工程)
反応温度90℃で8時間の反応時間の条件のもと、上記各水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なった。
(S83 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
<実施例6で得られた生成物の特定及び性能評価>
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)に対して、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の濃度0.3mol/L、0.9mol/Lを用いて得られた生成物の比表面積(m/g)、結晶相、結晶子サイズ(nm)を実施例5と同様の方法で評価した結果を表3に示す。炭酸水素ナトリウムの濃度0.9mol/Lを用いて得られた生成物の結晶相はチタン酸ナトリウムであり、比表面積は153mm/gと大きく減少した。
これにより、開放系で炭酸水素ナトリウムの濃度が高くなると酸化チタン微粒子が生成されないことが明らかとなり、その理由としては、二酸化炭素の放出に伴って反応速度が速くなることから酸化チタン微粒子よりチタン酸ナトリウムが有利に生成されることが考えられる。
Figure 0006850469
実施例1〜6で製造された酸化チタン微粒子の性能評価の結果から、濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の場合は、閉鎖系と開放系を比表面積の点で比較すると大きな違いは確認できなかった。よって、濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウムの場合においては、約300m/gの比表面積を有するアナタース型酸化チタン微粒子を得るに際しては、閉鎖系と開放系のいずれも適した製造方法であることが明らかとなった。
なお、濃度0.9mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の場合、閉鎖系では374m/gの比表面積を有し、光触媒活性の高いアナタース型酸化チタン微粒子が製造された。
これに対し、開放系では0.9mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の場合153m/gの比表面積であり、結晶相の点においても、光触媒活性の低いチタン酸ナトリウムが製造された。
よって、300m/g以上の比表面積を有する高結晶質の酸化チタン微粒子を得るためには、閉鎖系で炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の濃度を高める必要がある。
(実施例7)
実施例7を図13、図14及び表4に基づいて説明する。
実施例7は、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用いて、以下の工程(S91〜S94)により開放系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
実施例7では、実施例5(開放系)で製造された酸化チタン微粒子について、水熱処理を行い、酸化チタン微粒子を製造した。
<製造の手順>
(S91 第1工程)
実施例1のS21と同様に行なった。
(S92 第2工程)
反応温度90℃で8時間の反応時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱合成を行なった。
(S93 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
(S94 第4工程)
第3工程で得られたスラリー状の酸化チタン微粒子をオートクレーブ内に入れ、130℃、150℃、180℃の各温度条件下で水熱処理を6時間行なった。
<実施例6で得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
表4は、水熱処理を各温度(130℃、150℃、180℃)条件下で行なった場合の、比表面積、結晶相、結晶子サイズについて、実施例4と同様の方法で評価した結果を表わしたものである。表4から、すべての水熱処理温度において、実施例7の生成物はアナタース型の酸化チタン微粒子であり、124〜145m/gの比表面積、約9.4〜12.0nmの結晶子サイズを有することが分かった。また、水熱処理温度が高くなるにつれて比表面積の減少と結晶子サイズの増大が確認された。水熱処理により結晶成長が促進することが分かった。
図13は、実施例7において180℃で水熱処理した酸化チタン微粒子の低倍率透過型電子顕微鏡画像である。図14は、実施例7において180℃で水熱処理した酸化チタン微粒子の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。
図13から、得られた酸化チタン微粒子粒子は直径が300〜500nmの中空体および中空体の集合体であることが確認された。また、図14から、その酸化チタン微粒子の中空体の表面上に形成された突起状ナノ粒子は約40〜60nmの大きさを有し、その内部にはさらに孔径が数nmの細孔を有することが確認できた。
Figure 0006850469
実施例7において、開放系で製造された酸化チタン微粒子をオートクレーブ内に入れて水熱処理を行なった場合は、温度上昇に伴って比表面積が減少したが、結晶相は光触媒活性が非常に高いアナタース型の単結晶が形成されることが分かった。この単結晶の内部にはさらに、図14に示すように、孔径が数nmの細孔が確認される。この細孔により124〜145m/gという高い比表面積が維持される。
以上のことから、実施例6は、比表面積が約150m/g以下のアナタース型酸化チタン微粒子の製造に適した方法であり、特に水熱処理の温度を変えることで約120〜150m/gの比表面積が形成されると同時に9.0〜12.0nmの大きい結晶子サイズが形成されるように制御できることが明らかとなった。
また、図13に示すように、実施例7における酸化チタン微粒子は約180℃で水熱処理をした後であっても中空状の形態を維持していることから、熱安定性に優れていることが明らかとなった。
また、実施例5で得られた生成物の細孔分布を図5に示す。図5から、実施例5で得られた酸化チタン微粒子「90℃(開放系)」を130℃で水熱処理をしたところ、マイクロ孔及びメソ孔の分布が大幅に減少し、180℃の水熱処理では結晶化に伴って細孔分布のピーク値が2.6nm前後に収束した。メソ孔の分布は減少し、マクロ孔の分布は殆ど変動しなかった。
(性能比較試験1)
本発明の酸化チタン微粒子の性能比較試験1を図15及び図16に基づいて説明する。
ここで、実施例5で製造された酸化チタン微粒子を「90℃(開放系)」といい、90℃(開放系)を実施例7において130℃で水熱処理を行なった酸化チタン微粒子を「90℃(開放系)→130℃」といい、90℃(開放系)を実施例7で180℃で水熱処理を行なった酸化チタン微粒子を「90℃(開放系)→180℃」という。
性能比較試験1は、これらを用いて、紫外線照射によるメチレンブルーの分解について性能評価試験を行なった。なお、光触媒的活性が高いことが知られている市販の酸化チタン微粒子である「P−25」(Sigma−Aldrich社)を比較物質として用いて、以下の手順1〜手順3(T1〜T3)により紫外線領域でのメチレンブルーの光分解を行なった。
<性能評価試験の手順>
(T1 手順1)
濃度40μMのメチレンブルー水溶液に酸化チタン微粒子を触媒として1mg/mLの濃度で添加した。
(T2 手順2)
30分間メチレンブルーを吸着させた後、メチレンブルー水溶液に紫外線(UV(波長365nm))を照射した。
(T3 手順3)
分解実験中に採取したメチレンブルー水溶液の吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(V−570、日本分光株式会社)を用いて測定した。
測定結果として、酸化チタン微粒子の光触媒反応によるメチレンブルーのUV照射による光分解の結果を図15に示し、ラングミュア−ヒンシェルウッド(Langmuir‐Hinshelwood,L-H)型反応機構の一次速度反応式(数2)を用いて求めた擬一次反応速度プロットを図16に示す。ここでkは擬1次速度定数、tは反応時間、Cは反応物の初期濃度、Cは任意の反応時間tでの反応物の濃度である。
Figure 0006850469
ここで、C及びCは吸収スペクトルの吸光度に比例するので、吸光度に代えることができる。
<得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
図15から、「90℃開放系」は、P25より格段に高いメチレンブルー吸着性を示すが、「90℃(開放系)→130℃」と「90℃(開放系)→180℃」はやや高い吸着性を示すことが確認された。
また、「90℃(開放系)→180℃」は、紫外線照射開始から約15分で約8割を分解し、「90℃(開放系)」及び「90℃(開放系)→130℃」では約6割を分解した。P25は15分で約4割の分解能力であり、いずれもP25よりも短時間での高い分解能力を示した。
また、図16から、「90℃(開放系)→180℃」が、P−25の約3倍という、最も早い反応速度を示した。「90℃(開放系)→130℃」はP−25の約1.3倍という、早い反応速度を示した。「90℃(開放系)」もP−25にやや劣るもののほぼ同等の反応速度を示した。
このことから、紫外線領域でのメチレンブルーの吸着性、光分解能力及び反応速度の点において、実施例5の酸化チタン微粒子は吸着性、光分解能力においてP−25よりも優れた性能を有し、実施例7で得られた酸化チタン微粒子は、吸着性、光分解能力及び反応速度の全てにおいてP−25よりも優れた性能を有していることが明らかとなった。
(性能比較試験2)
本発明の酸化チタン微粒子の性能比較試験2を図17に基づいて説明する。
性能比較試験2では、実施例5で製造された酸化チタン微粒子「90℃(開放系)」、及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子「90℃(開放系)→130℃」および「90℃(開放系)→180℃」を用いて、紫外線及び可視光吸収とバンドギャップについての性能評価試験を行なった。なお、高い光触媒活性を示す市販の酸化チタン微粒子である「P−25」(Degussa)を比較物質として用いて、紫外線及び可視光吸収スペクトルの性能評価試験を行なった。
<性能評価試験の手順>
実施例5で製造された酸化チタン微粒子及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子の紫外線及び可視光吸収スペクトルを測定した。
<得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
紫外線及び可視光吸収の結果を図17の(a)に、それぞれの酸化チタン微粒子のバンドギャップの計算結果を図17の(b)に示した。
P−25の場合は、アナタース(80%)とルチル(20%)の複合結晶酸化チタン微粒子であるため、明らかに400nm以下の波長を吸収するが、本発明によるアナタース型酸化チタン微粒子は、380nm以下の紫外光をのみを吸収することが明らかとなった。また、これらの酸化チタン微粒子のバンドギャップは3.2〜3.4eVであり、水熱処理温度が高いほど、バンドギャップが減少することが明らかとなった。
図17から、実施例5で製造された酸化チタン微粒子及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子のバンドギャップが大きいことから、これらの酸化チタン微粒子は殆ど可視光を吸収せず、紫外線のみを吸収していることが明らかとなった。
(性能比較試験3)
本発明の酸化チタン微粒子の性能比較試験3を図18及び図19に基づいて説明する。
性能比較試験3では、実施例5で製造された酸化チタン微粒子「90℃(開放系)」、及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子「90℃(開放系)→130℃」および「90℃(開放系)→180℃」を用いて、可視光によるメチレンブルーの分解を行なった。その結果を図18及び図19に示す。なお、光触媒的活性が高いと知られている市販の酸化チタン微粒子である「P−25」を比較物質として用いて、以下の手順1〜手順3(T1〜T3)により酸化チタン微粒子の光触媒活性の性能評価試験を行なった。
<性能評価試験の手順>
実施例4で製造された酸化チタン微粒子及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子の光触媒活性を評価した。
(T1 手順1)
濃度40μMのメチレンブルー水溶液に酸化チタン微粒子を触媒として1mg/mLの濃度で添加した。
(T2 手順2)
30分間吸着を行なった後、蛍光灯(5000ルックス)の光を照射した。
(T3 手順3)
分解実験中に採取したメチレンブルー水溶液の吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(V−570、日本分光株式会社)を用いて測定した。
<得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
図18から1800分経過後にP−25は約7割の光分解活性を示しているが、本発明の酸化チタン微粒子(「90℃開放系」、「90℃開放系→130℃」及び「90℃開放系→180℃」)はいずれもP−25より高い光触媒活性を示している。
また、図19から、「90℃開放系」は、P−25と比較して約1.2倍の速度でメチレンブルーを分解し、「90℃開放系→130℃」及び「90℃開放系→180℃」はP−25と比較して、約2.3倍の速度でメチレンブルーを分解することが明らかとなった。
しかし、性能比較試験2において本発明によるアナタース型酸化チタン微粒子は、380nm以下の紫外光のみを吸収することが明らかとなっている。このことから、性能比較試験3においては可視光領域に含まれるごく微量の紫外線に反応してメチレンブルーの光分解が行われたものと考えられる。そして、この微量の紫外線であっても、吸着性及び光分解能力の点において、P−25よりもの高い性能を有していることが明らかとなった。
そして、蛍光灯やLED電球は微量の紫外線を発することが知られていることから、本発明に係る酸化チタン微粒子は、蛍光灯やLED電球から発せられる微量の紫外線に反応し、高い光触媒活性を発現すること明らかとなった。
酸化チタン微粒子は光触媒や湿式太陽電池などさまざまな機能をもつ材料であるが、屈折率が2.5以上と大きいことも大きな特徴の一つである。このような特徴をもつ材料で光の波長程度の大きさの球状粒子が作製できれば、大きな散乱効果が期待される。本発明で得られた酸化チタン微粒子が高い光触媒活性を示す一つの理由と考えられる。
なお、窒素や硫黄原子、鉄イオンや銅イオンをドープすることで、可視光領域の波長に反応して光触媒活性を発現する酸化チタン微粒子を製造することもできる。
(性能比較試験4)
本発明の酸化チタン微粒子の性能比較試験4を図20に基づいて説明する。
性能比較試験4では、実施例1、実施例5及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子の窒素吸着等温線を比較した。
<性能評価試験の手順>
図20に、実施例1「90℃(閉鎖系)」、実施例5「90℃(開放系)」及び実施例7「90℃(開放系)→130℃」および「90℃(開放系)→180℃」で得られた酸化チタン微粒子の窒素吸着等温線の測定結果を示す。
<得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
図20から、実施例1及び実施例5で得られた酸化チタン微粒子は、ほぼ同等の吸着性を有することが明らかとなった。
(性能比較試験5)
本発明の酸化チタン微粒子の性能比較試験5を図21に基づいて説明する。
性能比較試験5では、実施例1「90℃(閉鎖系)」、実施例5「90℃(開放系)」及び実施例7「90℃(開放系)→130℃」および「90℃(開放系)→180℃」で得られた酸化チタン微粒子の粒子径分布を比較した。
<性能評価試験の手順>
実施例1、実施例5及び実施例7で得られた酸化チタン微粒子の粒子径分布測定は ゼータ電位・粒径測定装置(ELSZ−1000、大塚電子株式会社)を利用して行なった。得られた結果を図21に示す。
<得られた酸化チタン微粒子の性能評価>
図21から、得られた酸化チタン微粒子は粒径が数百nmから数μmの分布をしていることがわかる。これは、20−25nmの粒子分布をもつ酸化チタンP−25と比較して大きい値である。
このような粒子分布が得られた理由としては、表面に突起状ナノ粒子を有する数百nmの中空のナノ粒子の凝集によるものであり、90℃の開放系で得られた酸化チタン微粒子に比べ、90℃の閉鎖系の酸化チタン微粒子がより粒子サイズが大きく、さらに90℃の開放系で得られた酸化チタン微粒子を130℃、180℃で水熱処理をすることで集合体のサイズが増大することが分かる。
また、図13の透過型顕微鏡の写真からも分かるように、本発明で得られた酸化チタン微粒子のもう一つの特徴は、数百nmの中空であるナノ粒子がつながった数μmのクラウド(雲)のような構造が形成できる点である。しかもこれらのナノ粒子は中心部が明るいことから中空であることが明らかであり、溶液中で比較的大きな浮力を生じ、数μmのサイズでありながら高い分散性を示す。
(発明の実施をするための形態3)
発明の実施をするための形態3を図22及び図23に基づいて説明する。
(実施例8)
発明の実施をするための形態3においては、以下の工程(S91〜93)により開放系で炭酸ナトリウムを用いて酸化チタン微粒子を製造する。
発明の実施をするための形態3は、0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と0.015mol/Lの炭酸ナトリウム(NaCO)の水溶液を用いた酸化チタン微粒子の製造を、以下の第1〜3工程(S101〜103)により開放系で行なった。
<製造手順>
(S101 第1工程)
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)水溶液と濃度0.15mol/LのNaCO水溶液を常温で1:1の体積比で混合した。この水溶液中ですぐに懸濁が始まったことから、酸化チタン微粒子の核生成が確認された。
(S102 第2工程)
反応温度90℃で12時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なった。
(S103 第3工程)
実施例1と同様に行なった。
<発明の実施をするための形態3で得られた生成物の特定及び性能評価>
実施例8の生成物の走査型電子顕微鏡画像を図22に、X線回折パターンを図23に示す。0.15mol/Lの炭酸ナトリウム(NaCO)を添加して得られた生成物は、図22から、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を用いて得られた生成物とほぼ同じ形状を示すこと及び結晶子サイズは、5.8nm、比表面積は254m/gであることが確認された。また、図23からアナタース型を有する酸化チタン微粒子であることが明らかとなった。
このことから、金属炭酸塩として炭酸ナトリウム(NaCO)を用いて酸化チタン微粒子を製造してもほぼ同様の酸化チタン微粒子が得られることが分かった。
(発明の実施をするための形態4)
発明の実施をするための形態4を図24(a)(b)及び図25に基づいて説明する。
(実施例9)
実施例9では、濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸カリウム(KTiF)と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を用いて、実施例4と同様の工程により開放系において酸化チタン微粒子の製造を行なった。
<製造工程>
(S111 第1工程)
濃度0.05mol/Lのフッ化チタン酸カリウム(KTiF)水溶液と濃度0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の水溶液を常温で1:1の体積比になるように混合した。この水溶液中ですぐに懸濁が始まったことから、酸化チタン微粒子の核生成が確認された。
(S112 第2工程)
反応温度90℃で15時間の反応時間の条件のもと、上記水溶液が入った容器を加温させ、開放系で水熱生成を行なった。
(S113 第3工程)
実施例1のS23と同様に行なった。
<実施例8で得られた生成物の特定及び性能評価>
実施例9の生成物の透過型電子顕微鏡画像を図24(a)(b)及び図25に示す。
図24(a)は実施例9で得られた生成物の高倍率透過型電子顕微鏡画像である。図24(a)から、実施例9で得られた生成物は、突起状ナノ粒子であることが分かる。
また、図24(b)は図24(a)の四角部位の拡大結晶像であり、アナタース型酸化チタンの結晶面が確認できる。
また、図25は、得られた生成物のX線回折パターンである。この図25により、実施例9の生成物はアナタース型酸化チタン微粒子であり、Scherrerの式(数1)より見積もった結晶子サイズは7.1nmであった。比表面積は197m/gであることが確認された。
このことから、フッ化チタン酸塩としてをフッ化チタン酸カリウム(KTiF)用いて酸化チタン微粒子を製造してもほぼ同様の酸化チタン微粒子が得られることが分かった。
このように、本発明を適用した多孔質酸化チタン微粒子の製造方法及び多孔質酸化チタン微粒子は、酸化チタン微粒子の生成過程で発生する直径が0.5nmから数百nmのマイクロからマクロサイズの気泡を鋳型として高比表面積を有すると共に、常温から200℃の低温で高結晶性の酸化チタン微粒子を簡便かつ安価に製造することができる。

Claims (13)

  1. フッ化チタン酸塩と、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:2〜1:18の割合で混合し、若しくはフッ化チタン酸塩と、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:1〜1:9の割合で混合する混合工程と、
    水熱合成により、常温から200℃の条件下で、多孔質な酸化チタンを生成させる生成工程とを備える
    多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  2. フッ化チタン酸塩と、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:2〜1:6の割合で混合し、若しくはフッ化チタン酸塩と、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:1〜1:3の割合で混合する混合工程と、
    水熱生成により、常温から100℃の条件下で、多孔質な酸化チタンを生成させる生成工程とを備える
    多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  3. 前記多孔質酸化チタン微粒子を100℃から200℃の条件下で、水熱処理する結晶成長工程を備える
    請求項2記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  4. 前記フッ化チタン酸塩と前記金属炭酸塩の反応により生じたフッ素化合物を水洗浄する洗浄工程を備える
    請求項1、請求項2及び請求項3に記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  5. 閉鎖系においては、フッ化チタン酸塩と、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:2〜1:18の割合で混合し、若しくはフッ化チタン酸塩と、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:1〜1:9の割合で混合し、
    開放系においては、フッ化チタン酸塩と、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:2〜1:6の割合で混合し、若しくはフッ化チタン酸塩と、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の群から選択された少なくとも一つである金属炭酸塩をモル比1:1〜1:3の割合で混合する混合工程と、
    開放系においては常温から100℃の条件下で、又は閉鎖系においては常温から200℃の条件下で、フッ化チタン酸塩と金属炭酸塩の反応により発生する二酸化炭素の微細な気泡の外形を鋳型として多孔質な突起状ナノ粒子が表面に多数突出すると共に、メソサイズ乃至マクロサイズの二酸化炭素の気泡の表面に該突起状ナノ粒子が集合して形成された中空体又は該中空体の集合体である多孔質酸化チタン微粒子を生成させる生成工程とを備える
    多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  6. 前記生成工程において、反応時間を1〜24時間とする
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の多孔質酸化チタン微粒
    子の製造方法。
  7. 前記フッ化チタン酸塩が、フッ化チタン酸アンモニウム([NH TiF )、フッ化チタン酸ナトリウム(Na TiF )、フッ化チタン酸カリウム(K TiF )の群から選択された少なくとも一つである
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  8. 前記生成工程において発生する前記二酸化炭素の気泡には、マイクロサイズ、メソサイズ、マクロサイズの少なくとも一つの二酸化炭素の気泡が含まれる
    請求項5に記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  9. 前記生成工程において、反応時間を1〜24時間とする
    請求項8に記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  10. 前記フッ化チタン酸塩が、フッ化チタン酸アンモニウム([NH TiF )、フッ化チタン酸ナトリウム(Na TiF )、フッ化チタン酸カリウム(K TiF )の群から選択された少なくとも一つである
    請求項8又は請求項9に記載の多孔質酸化チタン微粒子の製造方法。
  11. 結晶体であり、多数の細孔を有する突起状ナノ粒子が集合して形成され、前記細孔の孔径が0.5nm以上30nm未満で、比表面積が100〜600m /gの中空体又は該中空体の集合体であると共に、前記突起状ナノ粒子の長さが平均20〜30nmで、幅が平均5〜15nmである
    多孔質酸化チタン微粒子。
  12. 前記突起状ナノ粒子に形成された細孔の孔径が6〜10nmである
    請求項11に記載の多孔質酸化チタン微粒子。
  13. 価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップが、3.2〜3.4eVである
    請求項11又は12に記載の多孔質酸化チタン微粒子。
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