JP6850189B2 - 異常検知装置 - Google Patents
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Description
することで、引き摺り程度が弱い場合でも、ブレーキの異常を検知することができる。したがって、車両の運行状況に関わらず、ブレーキの異常を早期に精度良く検知し、ドライバーに警告することができる。
[1.全体構成]
まず、本実施形態に係る異常検知装置1を搭載する車両の全体構成について、図1を参照して説明する。異常検知装置1は、トラック、バス等の自動車や、自動車に牽引されるトレーラ等の被牽引車両に搭載することができる。異常検知装置1は、車両が有する各車軸の両端に設けられたドラムブレーキの異常を検知する。ここでは、ドラムブレーキの異常として、ドラムブレーキの引き摺りが生じている異常状態であるか否かを少なくとも判定する。以下、異常検知装置1をトレーラ10に搭載した例について説明する。
ドラムブレーキ5は、図2に示すように、ブレーキドラム51、ブレーキシュー52、ブレーキライニング53、Sカム54、及びリターンスプリング55を備える。
ブレーキシュー52は、円弧状に形成された部位を有する一対の部材である。一対のブレーキシュー52は、円弧状の部位が、ドラムの内周壁と一定の隙間を空けて対向する位置に配置されている。
両者の間にブレーキシュー52が露出する露出部位521が形成されるように、数mm〜十数mm程度話して配置される。
次に、図1に戻り、異常検知装置1の構成について説明する。異常検知装置1は、複数の温度検出部2、判定部3、警告装置4、及び車載機器群6を備えている。
表示デバイス34は、液晶パネルを含み、各ドラムブレーキ5の異常を検知した結果を、その異常が発生した部位、つまりどのドラムブレーキ5が異常であるかと共に、表示するように構成されている。なお、本実施形態では、表示デバイス34及び警告装置4が報知部に相当する。
[2−1.異常検知処理]
まず、ブレーキの異常の検知に用いるパラメータについて、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、停車状態から加速期間→速度一定期間→減速期間→停車期間と走行パターンを変化させた場合における、ブレーキ温度の変化パターンA〜Iを示したものである。
変化パターンC及びDは、前回の走行時に故障しており、加速期間の前からドラムブレーキ5に蓄熱されている例である。変化パターンC及びDでは、加速期間開始の位置P3及び位置P4において、すでに温度閾値を超えている。よって、変化パターンC及びDでは、ブレーキ温度の現在温度値と温度閾値との比較により、加速期間の開始時点においてブレーキの異常が検知される。
引き摺りが弱い例である。変化パターンH及びIに示すように、引き摺りが弱い場合、ブレーキ温度の上昇が緩やかになるため、変化パターンB〜Dと同様に、変化パターンを個別に見ても、ブレーキの異常の検知が遅くなったり、検知されなかったりすることがある。ここで、変化パターンHでは、位置P6において、他の正常な変化パターンE,F,Gと比較すると、温度勾配及び軌跡長が、変化パターンE,F,Gの温度勾配及び軌跡長から乖離している。また、変化パターンIでは、位置P5において、他の正常な変化パターンE,F,Gと比較すると、温度勾配が、変化パターンE,F,Gの温度勾配から乖離している。よって、引き摺りが弱い変化パターンH及びIでは、複数のドラムブレーキ5のブレーキ温度の温度勾配及び軌跡長を互いに比較するとよい。そして、他のブレーキ温度との温度勾配の乖離量と勾配乖離閾値とを比較する、又は、他のブレーキ温度との軌跡長の乖離量と長さ乖離閾値とを比較することにより、早期にブレーキの異常が検知される。
状態は、算出期間における制動期間の割合、及び、算出期間におけるドラムブレーキ5のオンからオフへの切り替え回数である。また、各種閾値は、勾配閾値、温度閾値、勾配乖離閾値、軌跡長閾値、及び長さ乖離閾値である。各種閾値の算出については、詳細を後述する。
次に、各種の閾値の設定について説明する。過酷なブレーキ操作が行われた場合、ブレーキの引き摺りが生じていなくても、ON割合が大きいほど、温度勾配は大きくなり軌跡長は長くなる傾向がある。また、ドラムブレーキ5をオンからオフに切り替えると、ブレーキ温度が一旦上がった後で、一定となる変化が起こるため、引き摺りが生じている場合よりも逆に軌跡長が長くなることが起こり得る。つまり、過酷なブレーキ操作が行われて、ドラムブレーキ5をオンからオフへ切り替える回数(以下、切り替え回数)が多くなるほど、軌跡長は長くなる傾向がある。
まず、ステップS100では、軌跡長閾値を基準となる値であるBASEに設定する。続いて、ステップS110では、算出期間における制動期間の割合(以下、ON割合)が0%以上10%未満か否か判定する。ON割合が0%以上10%未満の場合は、ステップS210へ進む。一方、ON割合が10%以上の場合は、ステップS120へ進む。
まず、ステップS400では、長さ乖離閾値を基準となる値であるBASEに設定する。続いて、ステップS410では、切り替え回数が1回未満か否か判定する。切り替え回数が1回未満の場合は、そのまま本処理を終了する。すなわち、BASEに設定された長さ乖離閾値を用いる。一方、切り替え回数が1回以上の場合は、ステップS420へ進む。
む。ステップS480では、切り替え回数が7回以上9回未満か否か判定する。切り替え回数が7回以上9回未満の場合は、ステップS490へ進み、長さ乖離閾値をBASE×1.8倍の値に設定する。一方、切り替え回数が9回以上の場合は、ステップS500へ進む。ステップS500では、長さ乖離閾値をBASE×2.0倍の値に設定する。以上で本処理を終了する。
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ブレーキ温度の軌跡長を用いることにより、走行時の風や雨等の水滴によりブレーキ温度が低下した場合でも、ブレーキの異常を早期に精度良く検知することができる。
(3)複数のブレーキ温度の軌跡長のそれぞれと軌跡長閾値とを比較することにより、すべてのドラムブレーキ5が引き摺り状態の場合でも、ブレーキの異常を検知することができる。
(8)現在温度を用いてブレーキの異常を検知することにより、すべてのドラムブレーキ5が引き摺り状態で、且つ引き摺り程度が弱い場合でも、ブレーキの異常を検知することができる。
た低精度の車速や、加速度から推定した車速を用いて判定することができる。また、車速センサと比べて、GPS受信機やGセンサは、異常検知システムの基板内に配置が可能なため、車速センサを用いる代わりに、GPS受信機やGセンサを用いることで、取付工数を削減することができる。
(12)接触式の温度センサは、非接触式の温度センサと比べて、ブレーキダスト、泥、オイルなどの影響を受けないため、温度検出の経年変化が少なく、回路も簡素である。また、接触式の温度センサは、非接触式の温度センサと比べて、安価で取付けも容易である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(d)上記実施形態では、温度検出部2がブレーキシュー52の露出部位521に取り付けられているが、これに限定されるものではない。例えば、温度検出部2は、ブレーキライニング53に埋め込まれていてもよい。また、温度検出部2は、ブレーキドラム51側に設けられていてもよい。但し、この場合、ブレーキ温度を無線にて送受信する必要があり、例えば、既存のTPMS装置を用いてもよい。TPMSは、タイヤ空気圧監視システム、即ち、Tire Pressure Monitoring Systemの略語である。
Claims (7)
- 車両(10)の車軸に設けられた複数のドラムブレーキ(5)の温度であるブレーキ温をそれぞれ検出する温度検出部(2)と、
予め設定された算出期間において、前記温度検出部により検出された各ブレーキ温度の変動を表す軌跡の長さである軌跡長を算出するように構成された軌跡長算出部(3)と、
前記軌跡長算出部により算出された複数の前記軌跡長を互いに比較し、他の前記軌跡長よりも予め設定されている長さ乖離閾値を超えて長い前記軌跡長が存在する場合に、当該軌跡長に対応する前記ドラムブレーキを異常と判定するように構成された異常判定部(3)と、
前記異常判定部により前記ドラムブレーキの異常と判定された場合に、異常の発生を報知するように構成された報知部(34,4)と、
を備える、異常検知装置。 - 前記算出期間における前記車両の制動状態に応じて、前記長さ乖離閾値を変化させるように構成された長さ乖離閾値設定部(3)を備える、請求項1に記載の異常検知装置。
- 前記異常判定部は、前記軌跡長算出部により算出された前記軌跡長が、予め設定されている軌跡長閾値よりも長い場合に、当該軌跡長に対応する前記ドラムブレーキを異常と判定するように構成されている、請求項1又は2に記載の異常検知装置。
- 前記算出期間における前記車両の制動状態に応じて、前記軌跡長閾値を変化させるように構成された軌跡長閾値設定部(3)を備える、請求項3に記載の異常検知装置。
- 前記車両の制動状態は、前記算出期間における前記ドラムブレーキのオンからオフへの切り替え回数、ブレーキ摩擦による制動期間、及び前記算出期間における前記制動時間の割合のいずれかである、請求項2又は4に記載の異常検知装置。
- 前記車両の速度に応じて、前記算出期間を変化させるように構成された期間設定部(3)を備える、請求項1に記載の異常検知装置。
- 前記閾値設定部は、前記GPS受信信号又は加速度センサにより検出された加速度から前記車両の速度を推定し、推定した前記車両の速度を用いて前記車両の制動状態を判定するように構成されている、請求項2又は3に記載の異常検知装置。
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