JP6848786B2 - クラッチ装置、モータ装置、及び、ワイパモータ - Google Patents

クラッチ装置、モータ装置、及び、ワイパモータ Download PDF

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Description

本発明は、クラッチ装置、モータ装置、及びワイパモータに関する。
車両のウインドガラスに付着した雨滴等を払拭するためのワイパモータとして、運動変換機構を備えたものが知られている。このワイパモータでは、モータ本体と運動変換機構とを備え、運動変換機構によりモータ本体の回転軸の回転を往復回転運動に変換して出力軸に伝達し、出力軸に連結されたワイパブレードが取り付けられたワイパアームを駆動することにより、ワイパブレードによりウインドガラスを往復払拭する。
例えば、ウインドガラスに雪が積もった場合やウインドガラスが凍結した場合等には、ワイパブレードによるウインドガラスの払拭の際に、ワイパアームに大きな力がかかり、出力軸にかかる負荷が大きくなる場合がある。このような場合に備えて、この種のワイパモータにおいては、ワイパアームを介して出力軸に大きな負荷がかかることを想定して、運転変換機構を含む各部の機械強度を高めた設計を行う必要があった。
そこで、ワイパモータの設計に当たり機械強度を高めることを避けるために、クラッチ装置を介して出力軸を駆動する技術が提案されている。クラッチ装置を介して出力軸を駆動することにより、出力軸に過大な負荷がかかった場合には、出力軸と運転変換機構との間の駆動連結を外すことができる。これにより、出力軸に過大な負荷がかかることを防ぐことができるため、運転変換機構を含む機械強度を必要以上に高める必要がなくなる。
このクラッチ装置は、回転駆動力を伝達すると共に、過負荷時には互いの係合を解除可能な入力ディスク及びクラッチディスクが互いに対向して設けられている。入力ディスク及びクラッチディスクの一方には係合凹部が形成され、入力ディスク及びクラッチディスの他方には係合凸部が形成されており、係合凹部に係合凸部が噛み合うことにより、入力ディスク及びクラッチディスが係合して回転駆動力が出力軸に伝達される。一方、出力時に過剰な負荷がかかった場合には、係合凹部と係合凸部との係合が解除され、両者が空転することにより、入力ディスク及びクラッチディスの駆動連結が解除され、ワイパモータの各部に過剰な負荷がかかることを回避することができる。
係合凹部及び係合凸部が互いに面接触している場合には、回転駆動力を確実に伝達することができる。しかしながら、両者の係合を解除する際には、作動トルクが大きくなるという欠点があった。
そこで、本出願人は係合凹部及び係合凸部を互いに線接触させる技術を提案している。この技術は特許文献1に開示されている。この技術は、入力ディスク及びクラッチディスクのいずれか一方に出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部を設け、入力ディスク及クラッチディスクのいずれか他方に係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部を設けたものである。特許文献1記載の技術によれば、係合凸部及び係合凹部が互いに線接触しているため、面接触している場合に比較して、両者の係合を解除する際の作動トルクの上昇を抑えることができる。
特許第4369393号公報
特許文献1記載の技術では、係合を解除する際の初動動作時の作動トルクが解除設定トルクとして設定されていたため、初動動作時の抵抗が静止摩擦となっていた。そして、この初動動作時の抵抗としての静止摩擦の設定にはバラつきが生じることがあった。この静止摩擦がバラついた場合には、出荷時の検査の工数が増すうえに、設定範囲外の製品を除外する必要がある。
発明者等は、係合凹部及び係合凸部を互いに線接触させる事項や、クラッチ装置が係合を解除する際の初動動作時の抵抗や静止摩擦の設定に関する事項等の検討を重ねてきた。その結果、倣い面に解除設定トルク域を設定し、解除設定トルク域においては静止摩擦から動摩擦に移行させておくことにより解除設定トルクが安定することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、クラッチ装置の係合凹部及び係合凸部が係合を解除する際の解除設定トルクを安定させることが可能なクラッチ装置、モータ装置、及びワイパモータを提供することにある。
本発明の第1の態様のクラッチ装置は、
ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
を備えたクラッチ装置において、
前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置が、解除設定トルク域から離れていることを特徴とする。
本発明の第2の態様のクラッチ装置は、
ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
を備えたクラッチ装置において、
前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置が、解除設定トルク域よりも前記入力ディスク及び前記クラッチディスクがより近接した側にあることを特徴とする。
本発明の第3の態様のクラッチ装置は、
ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
を備えたクラッチ装置において、
前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置におけるクラッチ作動トルクが、解除設定トルク域におけるクラッチ作動トルクよりも小さいことを特徴とする。
本発明の第4の態様のクラッチ装置は、第1〜第3のいずれかの態様のクラッチ装置において、前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域における接触角度が、解除設定トルク域における接触角度よりも小さいことを特徴とする。
本発明の第5の態様のクラッチ装置は、第1〜第4のいずれかの態様のクラッチ装置において、解除設定トルク域がクラッチディスクのストロークの略中央に設けられていることを特徴とする。
本発明の第6の態様のクラッチ装置は、第1〜第5のいずれかの態様のクラッチ装置において、
前記係合凸部及び前記係合凹部の一方は、前記出力軸の軸線に対し所定角度傾斜する倣い面を有し、
前記係合凸部及び前記係合凹部の他方は、前記倣い面に線接触で係合可能な湾曲制御面を有していることを特徴とする。
本発明の第7の態様のクラッチ装置は、第1〜第6のいずれかの態様のクラッチ装置において、解除設定トルク域において、倣い面は略平面状であることを特徴とする。
本発明の第8の態様のクラッチ装置は、第1〜第7のいずれかの態様のクラッチ装置において、さらに、前記クラッチディスクを前記入力ディスク側に付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする。
本発明の第9の態様のクラッチ装置は、第1〜第8のいずれかの態様のクラッチ装置において、前記係合凸部及び前記係合凹部は、前記出力軸の軸線を通る径方向直線に略一致した形状に形成されていることを特徴とする。
本発明の第10の態様のクラッチ装置は、第1〜第9のいずれかの態様のクラッチ装置において、前記係合凸部及び前記係合凹部は、隣接する周方向間隔がそれぞれ異なるように設けられていることを特徴とする。
本発明の第11の態様のモータ装置は、第1〜第10のいずれかの態様のクラッチ装置と、モータ本体と、を備え、前記クラッチ装置の前記入力ディスクには、前記モータ本体の回転軸の回転が減速して伝達されることを特徴とする。
本発明の第12の態様のワイパモータは、第1〜第10のいずれかの態様のクラッチ装置と、
モータ本体と、
一端に前記モータ本体の回転軸の回転が減速して伝達されると共に、他端が前記クラッチ装置の前記入力ディスクに係合し、前記モータ本体の回転によって往復揺動されることで前記入力ディスクを往復回転駆動する揺動部材を有する運動変換機構と、
を備え、
前記出力軸に直接的に又は間接的に連結されたワイパを往復駆動する、
ことを特徴とする。
本発明の第1〜第3のいずれかの態様のクラッチ装置によれば、係合凸部と係合凹部との噛合い静止域の位置が、解除設定トルク域から離れていることにより、解除設定トルク域においては係合凸部と係合凹部との間の抵抗を静止摩擦から動摩擦に移行させておくことにより、互いに線接触している係合凹部及び係合凸部が係合を解除する際の解除設定トルクを安定させることができる。
本発明の第4の態様のクラッチ装置によれば、噛合い静止域におけるクラッチ動作時の初動抵抗を小さくし、解除設定トルク域においては抵抗を動摩擦とすることにより、解除設定トルクをより安定化することができる。
本発明の第5の態様のクラッチ装置によれば、噛合い静止域と解除設定トルク域との間の距離を適切に設定することができと共に、クラッチディスクのストローク全体を通してクラッチ作動トルクを滑らかに変化させることができるので、摩耗を低減することも可能である。
本発明の第6の態様のクラッチ装置によれば、解除設定トルク域を設定した倣い面に対して、線接触で係合可能な湾曲制御面を設けることにより、係合凹部及び係合凸部の係合を解除する際の作動トルクの上昇を抑えることができる。
本発明の第7の態様のクラッチ装置によれば、倣い面を略平面状にすることにより、解除設定トルクの設定を安定して、かつ、容易に設定することができる。
本発明の第8の態様のクラッチ装置によれば、クラッチディスクを入力ディスク側に付勢する弾性部材を設けることにより、係合凹部及び係合凸部を適切に係合させると共に、係合凹部及び係合凸部の係合を解除する際の作動トルクを適切に設定することができる。
本発明の第9の態様のクラッチ装置によれば、係合凸部及び係合凹部は、出力軸の軸線を通る径方向直線に略一致した形状に形成されているため、係合凸部と係合凹部との接触部分のうち径方向内側と径方向外側とで一様な面圧とし、摺動によるヘルツ接触面圧が軽減するように構成することができる。
本発明の第10の態様のクラッチ装置によれば、係合凸部及び前記係合凹部は、隣接する周方向間隔がそれぞれ異なるように設けられているため、クラッチディスクと入力ディスクとを、周方向に沿った相対関係位置が所定の一位置にあるときにのみ噛合係合させることができる。すなわち、所定の一位置以外の位置では、1個の係合凸部が係合凹部に対応しても、他の複数個の係合凸部は係合凹部に対応しないようにできる。したがって、係合凸部が係合凹部から抜け出した状態では、クラッチディスクは、複数の係合凸部を介して入力ディスクと接触するようになる。
本発明の第11の態様のモータ装置によれば、上記クラッチ装置と同様の効果を奏するモータ装置を提供することができる。
本発明の第12の態様のワイパモータによれば、上記クラッチ装置と同様の効果を奏するワイパモータを提供することができる。
本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す一部を透視した斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す平断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す図4の5−5線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す平断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示す図6の7−7線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成を示し、クラッチ解除状態における図7に対応した図面である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材であるクラッチ装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材であるクラッチ装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材である揺動機構及びクラッチ装置の部分的な構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材であるクラッチ装置のクラッチディスクに設けられた係合凹部の形状及び配置状態を示すクラッチディスクの裏面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材であるクラッチ装置の入力ディスクに設けられた係合凸部及びクラッチディスクに設けられた係合凹部の構成を示す部分断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材である揺動機構及びクラッチ装置を含む周辺部品の構成を示し、クラッチ連結状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータの構成部材である揺動機構及びクラッチ装置を含む周辺部品の構成を示し、クラッチ解除状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るワイパモータのクラッチ装置における作動トルク特性を示すグラフである。 比較例に係るクラッチ装置の係合凸部及び係合凹部の構成を示す断面図である。 比較例に係るクラッチ装置における作動トルク特性を示すグラフである。 本発明の別実施形態に係るワイパモータのクラッチ装置における作動トルク特性を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るクラッチ装置、モータ装置、及び、ワイパモータについて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのクラッチ装置、モータ装置、及び、ワイパモータを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
なお、図1及び図2には、本発明の実施の形態に係るワイパモータ90の全体構成が斜視図にて示されており、図3には、このワイパモータ90の構成が分解斜視図にて示されている。さらに、図4乃至図8には、ワイパモータ90の構成が断面図にて示されている。
ワイパモータ90は、車両のワイパ装置を駆動するためのワイパ駆動用モータとされており、モータ本体92、揺動機構94、及びクラッチ装置10を備えている。
図4及び図6に示す如く、モータ本体92は、ヨークハウジング98を備えている。ヨークハウジング98は、軸線方向一端部が絞り加工された有底でしかも回転軸110の直交方向断面が出力軸12の軸線方向を短手方向とする偏平形状の筒状に形成されており、開口側がハウジング96に一体的に取り付けられている。ヨークハウジング98の底壁100には、軸受102が配置されている。一方、ヨークハウジング98の他端部には、絶縁樹脂製のエンドハウジング104が固定されている。
また、エンドハウジング104の中央部分には軸受106が配置されている。この軸受106及びヨークハウジング98の軸受102によってアーマチャ108の回転軸110が支持されアーマチャ108がヨークハウジング98内に収容されている。アーマチャ108に対向するヨークハウジング98の内周壁にはマグネット112が固着されている。
エンドハウジング104には、ブラシケースを介してブラシ114が保持されている。ブラシ114は角柱状に形成されており、アーマチャ108のコンミテータ116に圧接されている。また、ブラシ114からは連結用ピッグテール118が引き出されており、ピッグテール118の先端部は、給電用の接続線に接続されている。
モータ本体92(アーマチャ108)の回転軸110は、カップリング120によって揺動機構94のウォームギヤ122に連結されている。
ウォームギヤ122は、その一端部が軸受124を介してハウジング96に回転自在に支持されると共に、他端部は軸受126を介してハウジング96に回転自在に支持されている。このウォームギヤ122は、ウォームホイール128に噛み合っている。
ウォームホイール128は、ウォームギヤ122の軸線に対し一側側に配置され、ウォームギヤ122に噛合した状態でハウジング96内に収容されており、ウォームギヤ122(回転軸110)の軸線と垂直な回転軸130回りに回転する。
また、ウォームホイール128には、揺動部材としてのセクタギヤ132が連結されている。セクタギヤ132は、ウォームホイール128の回転軸130と異なる位置(径方向に変位した位置)に設けられた支軸(クランクピン)134によって一端が回転自在に連結されると共に、他端には噛合部としての歯部136が形成されている。この歯部136は、後述するクラッチ装置10の入力ディスク28に係合(噛合)している。
またさらに、セクタギヤ132の厚さ方向一方側(ウォームホイール128と反対側)には、保持レバー138が配置されている。この保持レバー138は、その一端がセクタギヤ132の歯部136における揺動中心軸140(歯部136のピッチ円の中心に設けられた支軸)に連結されており、その他端がハウジング96に回転自在に支持された出力軸12に回転自在に連結されている。これにより、揺動中心軸140と出力軸12との軸間距離(軸間ピッチ)が維持され、セクタギヤ132と入力ディスク28との出力軸12径方向に沿った噛合い状態が維持される。こうして、ウォームホイール128が回転することによってセクタギヤ132が往復揺動され、このセクタギヤ132の往復揺動動作によって、後述する入力ディスク28が往復回転駆動される構成である。
なお、保持レバー138のセクタギヤ132とは反対側には、樹脂材料等からなる摺動部材147が取り付けられており、この摺動部材147は、ハウジング96の裏側を閉塞するカバー148に摺動可能に当接している。これにより、保持レバー138の厚さ方向(出力軸12の軸線方向)に沿った移動が制限されている。また、出力軸12はウォームギヤ122の軸線に対しウォームホイール128と反対側に配置されているため、ウォームホイール128に一端が連結されたセクタギヤ132はウォームギヤ122の軸線と交差状態(ねじれの位置の状態)で配置され他端の歯部136が入力ディスク28に噛合している。
一方、図9及び図10に示す如く、出力軸12は、先端側(図9及び図10では上側)
が断面円形に形成されて円柱部13とされ、基端側(図9及び図10では下側)が断面略矩形(周方向において互いに180度反対側に形成された一対の平面と、これらの平面に連続する一対の円周面とを備えた所謂「断面ダブルDカット形状」)に形成されて相対回転規制部14とされている。
出力軸12の円柱部13は、図5及び図7に示す如く、ハウジング96に固定された軸受部材50によって回転自在に支持されている。一方、相対回転規制部14の先端側(円柱部13側)には、前記円周面とされた部分に軸線方向に沿った複数の突条が形成されて回止部16が設けられており、基端部突端には抜止部18が設けられている。
相対回転規制部14の回止部16には、出力軸12の径方向に大径とされた大径部としての係合ベース20が出力軸12と同軸的に固着されている。係合ベース20は、中央部分に出力軸12の相対回転規制部14に対応する断面略矩形(断面ダブルDカット形状)の支持孔22が形成された円盤状に形成されており、支持孔22が回止部16に固着されることで常に出力軸12と一体回転する(出力軸12に対して軸線方向移動不能とされる)。また、係合ベース20の周縁には、径方向(出力軸12の径方向)に突出するストッパ部26が設けられている。このストッパ部26は、ハウジング96に形成された後述するストッパ突起142に対応している。
なお、前述の如く出力軸12と係合ベース20とを別体に形成して固着する構成に限らず、例えば、冷間鍛造等により出力軸12と係合ベース20とを一体に形成する構成(出力軸にツバ状の大径部を一体に形成する構成)としてもよい。
一方、相対回転規制部14の抜止部18には、前述した入力ディスク28が出力軸12と同軸的に取り付けられている。入力ディスク28は、中央部分に断面円形の軸孔30が形成された円筒状に形成されており、軸孔30に出力軸12の抜止部18が挿通すると共に抜止部18の突端に取り付けられた抜止めクリップ32によって抜け止めされることで、出力軸12に対して軸線方向一側(係合ベース20と反対側)へ抜止め状態でかつ回転自在に支持されている。この入力ディスク28は、本実施の形態では、粉末合金を成型金型に入れ、圧縮成形し、加熱焼結する所謂「粉末冶金法」により製造された焼結金属であり、該焼結金属内に潤滑油が含油されている。
入力ディスク28の軸線方向一端側(係合ベース20とは反対側)の外周には、ギヤ歯34が形成されている。このギヤ歯34は、前述した揺動機構94のセクタギヤ132の歯部136に噛合しており、セクタギヤ132から駆動力が入力されると、入力ディスク28が出力軸12周りに回転するようになっている。
また、図10に示す如く、入力ディスク28には、ギヤ歯34の軸線方向他端側(係合ベース20側、前述した保持レバー138とは反対側)において、ギヤ歯34の端部を連結する連結壁35が形成されている。この連結壁35は、図11に示す如く、保持レバー138と共にセクタギヤ132の歯部136を厚さ方向両側で挟み込んでいる(連結壁35が、歯部136厚さ方向一方側の端面に対向すると共に、保持レバー138が歯部136の厚さ方向他方側の端面に対向することで、セクタギヤ132の歯部136における厚さ方向の移動が制限されている)。
さらに、入力ディスク28は、連結壁35を介してギヤ歯34とは反対側の外周が、出力軸12と同心の円周面36とされており、この円周面36は、図5及び図7に示す如く、ハウジング96に固定された軸受部材52によって回転可能に保持(支持)されている。すなわち、入力ディスク28は、ギヤ歯34の軸線方向他端側に出力軸12と同軸的な円盤状のツバ部を備えており、このツバ部の外周面(円周面36)が、軸受部材52に支持されている。
またさらに、入力ディスク28の軸線方向他端側(係合ベース20の側、出力軸12の軸線方向他側)の端面には、その周縁部に係合ベース20側へ向けて突出する4つの係合凸部37が設けられている。これら4つの係合凸部37は、入力ディスク28に対して同心状に配置されると共に、入力ディスク28の周方向に沿って互いに等間隔にならないように(周方向に沿って隣接する間隔がそれぞれ異なるように)配置されている。これらの係合凸部37は、後述するクラッチディスク38の係合凹部42に対応している。
一方、出力軸12の相対回転規制部14には、前述した係合ベース20と入力ディスク28との間において、クラッチディスク38が出力軸12と同軸的に支持されている。クラッチディスク38は、相対回転規制部14に対応する断面略矩形(断面ダブルDカット形状)の軸孔40が中央部分に形成された円盤状に形成されており、軸孔40に出力軸12(相対回転規制部18)が挿通することで、入力ディスク28に対し出力軸12の軸線方向他側(後述するコイルスプリング44の側)に位置すると共に、出力軸12に対して軸線周りに回転不能でかつ軸線方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、クラッチディスク38は、常に出力軸12と一体的に回転すると共に、入力ディスク28に対して出力軸12の軸線方向に沿って相対移動可能となっている。このクラッチディスク38は、本実施の形態では、前述した所謂「粉末冶金法」により製造された焼結金属であり、該焼結金属内に潤滑油が含油されている。
クラッチディスク38の裏面側(入力ディスク28の側、出力軸12の軸線方向一側)には、その周縁部において4つの係合凹部42が凹設して(窪んで)設けられている。これらの係合凹部42は、入力ディスク28の前述した4つの係合凸部37に対応しており、クラッチディスク38に対して同心状に配置されると共に、クラッチディスク38の周方向に沿って互いに等間隔にならないように(周方向に沿って隣接する間隔がそれぞれ異なるように)配置されている。
これら4つの係合凹部42には、入力ディスク28の4つの係合凸部37がそれぞれ嵌入可能となっている(すなわち、クラッチディスク38は、入力ディスク28に噛合係合可能となっている)。これにより、通常の使用状態(回転状態)では、入力ディスク28が回転した場合にこの入力ディスク28の回転力がクラッチディスク38へ伝達されてクラッチディスク38が供に回転される構成である。
但し、前述した如く、各係合凸部37と各係合凹部42とは、それぞれ入力ディスク28及びクラッチディスク38の周方向に沿って等間隔にならないように(隣接する間隔がそれぞれ異なるように)設けられているため、クラッチディスク38(出力軸12及びワイパ)と入力ディスク28とは、周方向に沿った相対関係位置が所定の一位置にあるときにのみ噛合係合するようになっている。すなわち、上記所定の一位置以外の位置では、1個の係合凸部37が係合凹部42に対応しても、他の3個の係合凸部37は係合凹部42に対応しないようになっている。したがって、係合凸部37が係合凹部42から抜け出した状態では、クラッチディスク38は、少なくとも3個の係合凸部37を介して入力ディスク28と接触するようになっている(3点支持状態となる構成である)。
またここで、図12に示す如く、入力ディスク28の係合凸部37と、クラッチディスク38の係合凹部42とは、それぞれ周方向端縁(側壁部分)が、各部材軸線CL(出力軸12の軸線)を通る径方向直線K上に一致した形状(すなわち、扇状に径方向外側へ開いた形状)に形成されている。これにより、係合凸部37と係合凹部42との接触部分のうち径方向内側と径方向外側とで一様な面圧となる(摺動によるヘルツ接触面圧が軽減する)ように構成されている。
さらにここで、入力ディスク28の係合凸部37とクラッチディスク38の係合凹部42とはそれぞれ断面形状が所謂略台形に形成されているが、本実施の形態においては、入力ディスク28の係合凸部37は、その台形状左右両側にそれぞれ倣い面51を有しており、また、クラッチディスク38の係合凹部42は、その台形状左右両側にそれぞれ湾曲制御面53を有している。
図13を用いて、本発明の実施の形態に係るワイパモータ90の構成部材であるクラッチ装置10の入力ディスク28に設けられた係合凸部37及びクラッチディスク38に設けられた係合凹部42の構成を説明する。図13では、入力ディスク28が矢印Rの方向へ回転し、出力軸12の負荷が大きくなった場合に、クラッチディスク38が矢印UPの方向(離脱方向)へ移動する場合を示している。なお、図13は断面図ではあるが、説明を解り易くするため、敢えて「ハッチング」を省略して示してある。
係合凹部42の湾曲制御面53は、係合凸部37の倣い面51に入力ディスク28(出力軸12)の周方向に線接触して(図13に示す軸線方向断面視においては、静止時接点Sにて点接触して)係合するように湾曲して形成されている。ワイパモータ90が停止時には、倣い面51に対して湾曲制御面53の静止時接点Sが線接触している。通常の使用状態では、入力ディスク28が回転した場合には、係合凸部37及び係合凹部42が噛み合うことにより、入力ディスク28の回転力がクラッチディスク38へ伝達されてクラッチディスク38が供に回転される。この時には、倣い面51に対して、湾曲制御面53の噛合い静止域W1の範囲において線接触している。なお、噛合い静止域W1を倣い面51に対して設定するようにすることもできる。ここで、L1は係合凸部37の高さ、L2は係合凹部42の深さである。
出力軸12の負荷が大きくなり、クラッチディスク38がUP方向へ移動すると、倣い面51に対して湾曲制御面53が線接触する位置は、噛合い静止域W1の範囲からUP方向へ移動する。さらに、出力軸の負荷が大きくなると、倣い面51に対して湾曲制御面53が線接触する位置は、解除設定トルク域W2を通過して、さらにUP方向へ移動することにより、係合凸部37は係合凹部42から離脱して、両者の噛合いは解除される。噛合い静止域W1と解除設定トルク域W2とは倣い面51に沿って所定の距離だけ離れており、また、解除設定トルク域W2は噛合い静止域W1よりもUP方向に位置している。すなわち、噛合い静止域W1は解除設定トルク域W2よりも、入力ディスク28及びクラッチディスク38がより近接した側にある。
静止時接点Sにおける倣い面51及び湾曲制御面53の接線の出力軸12と垂直な面との角度θ1は、解除設定トルク域W2における角度θ2よりも小さい。すなわち、静止時接点Sを含む噛合い静止域W1における倣い面51及び湾曲制御面53の接線の出力軸12と垂直な面との角度は、解除設定トルク域W2における角度θ2よりも小さい。このため、クラッチ動作時の初動抵抗を小さくすることができる。クラッチ作動トルクは、噛合い静止域W1の方が、解除設定トルク域W2よりも小さい(図16を参照)。なお、本実施形態では噛合い静止域W1の範囲におけるクラッチ作動トルクは、車両のウインドガラスが半乾燥時における出力軸の最大トルクTMAXよりも小さく設定されている。なお、後述の別実施形態で説明するように、噛合い静止域W1の範囲におけるクラッチ作動トルクと、出力軸の最大トルクTMAXとの関係を適宜調整すること可能である。
解除設定トルク域W2は、クラッチディスク38のストロークの略中央に設けられている。また、解除設定トルク域W2において、倣い面は略平面状(図13においては、略直線状)である。
また、湾曲制御面53は、解除設定トルク域W2から離脱方向(図13のUP方向)に移動するにしたがい倣い面51との接触位置における面圧力の回転伝達方向(図13のR方向)への分力が小さくなるよう曲率が徐変された湾曲面とされている。さらに詳細には、湾曲制御面53は、倣い面51との接触位置における接線と出力軸12の軸線に垂直な平面との成す角度が解除設定トルク域W2から離脱方向に移動するにしたがい徐々に小さくなるよう形状設定されている。すなわち、曲率が徐変する湾曲面とされた湾曲制御面53は、後に詳述するコイルスプリング44の収縮ストロークが増大しても最大作動トルクが殆ど変化しないよう(すなわち、解除設定トルク域W2における最大作動トルクが略一定のフラットトルクとなるよう)、その曲率(前記徐変の度合い)が設定されている。
以上により、入力ディスク28が回転しこの入力ディスク28からクラッチディスク38への回転伝達力(またはクラッチディスク38が外力により入力ディスク28に対して回転しようとする力)によって、倣い面51と湾曲制御面53とは前記軸線方向に前記回転駆動力の分力を発生させ、クラッチディスク38に出力軸12軸線方向に沿った(コイルスプリング44を収縮する方向へ)移動力が生じる構成となっている。
またしかも、入力ディスク28とクラッチディスク38とは、前記倣い面51を有する側(すなわち、係合凸部37が形成された入力ディスク28)よりも、前記湾曲制御面53を有する側(すなわち、係合凹部42が形成されたクラッチディスク38)のほうが高い硬度とされている。このため、湾曲制御面53を有する側の摩耗は、倣い面51を有する側の摩耗よりも少なく(摩耗進行が遅い)、前記の如く摩耗しても、係合凹部42の湾曲制御面53は、その湾曲面の形状が維持され、係合凸部37の倣い面51とは前記線接触による係合状態が維持される構成となっている。
なお、本実施の形態においては、例えば、倣い面51を有する係合凸部37(入力ディスク28)は、HMV607(ビッカース硬さ:マイクロビッカース硬度計による実測)とされ、湾曲制御面53を有する係合凹部42(クラッチディスク38)は、HMV648(ビッカース硬さ:マイクロビッカース硬度計による実測)とされており、硬度差として硬度の高い側の5%〜10%程度の硬度差を設定している。
また、前述の如く入力ディスク28の係合凸部37に倣い面51を設けると共にクラッチディスク38の係合凹部42に湾曲制御面53を設けた構成とするに限らず、両者を逆転させた構成、すなわち、入力ディスク28の係合凸部37に湾曲制御面53を設けると共にクラッチディスク38の係合凹部42に倣い面51を設けた構成としてもよい。この場合であっても、前記倣い面51を有する側(すなわち、係合凹部42が形成されたクラッチディスク38)よりも、前記湾曲制御面53を有する側(すなわち、係合凸部37が形成された入力ディスク28)のほうが高い硬度に設定された構成とする。
また一方、クラッチディスク38と係合ベース20との間には、出力軸12回りに巻き回されて出力軸12の軸線方向に圧縮可能とされた弾性部材としてのコイルスプリング44が配置されている。このコイルスプリング44は、入力ディスク28の係合凸部37と、クラッチディスク38の係合凹部42との係合状態からのクラッチディスク38の出力軸12軸線方向他側(コイルスプリング44の側)へ向けた軸線方向移動に対して、所定の抗力(クラッチディスク38の軸線方向移動によって弾性変形された際の復元力)を付与するようになっている。
換言すれば、通常は、入力ディスク28の係合凸部37が、クラッチディスク38の係合凹部42に入り込むと共に、コイルスプリング44はこの嵌入状態を維持しており、入力ディスク28の係合凸部37が、クラッチディスク38の係合凹部42から抜け出そうとしてクラッチディスク38がコイルスプリング44を圧縮する方向へ向けて軸線方向移動しようとすると、これに抗する付勢力(復元力)を発揮するように構成されている。
コイルスプリング44の断面形状は、略円形または略矩形とすることができる。コイルスプリング44の断面形状を略矩形とした場合には、コイルスプリングの長手方向長さを短縮することができるため、出力軸12の軸線方向の寸法を薄型化することができる。例えば、出力軸12の軸線に沿う方向に短辺を、出力軸12の軸線に対して垂直な方向に長辺を有する矩形断面のコイルスプリングを用いることができる。
また、前述した如く、入力ディスク28の係合凸部37が、クラッチディスク38の係合凹部42にそれぞれ入り込むことで、入力ディスク28からクラッチディスク38へ回転力が伝達されるが、入力ディスク28の係合凸部37が、クラッチディスク38の係合凹部42から抜け出した状態でも(クラッチディスク38が係合ベース20の側へ向けて移動した状態でも)、前記コイルスプリング44が発揮する付勢力(復元力)によって、入力ディスク28の係合凸部37と、クラッチディスク38の裏面との間に所定の摩擦力が生じ、これにより、入力ディスク28とクラッチディスク38とが供回りするようにコイルスプリング44の付勢力等が設定されている。
なお、通常状態(クラッチディスク38が係合ベース20の側へ向けて移動しようとしない状態)において、既にコイルスプリング44が係合ベース20とクラッチディスク38との間で押圧力が付与されるように構成してもよく、あるいは、クラッチディスク38が係合状態から係合ベース20の側へ向けて移動したときだけに(係合凸部37が、係合凹部42から抜け出そうとした場合に)、コイルスプリング44がこれに抗する付勢力(復元力)を発揮するように構成してもよい。
一方、図4及び図6に示す如く、ハウジング96には、前述した係合ベース20のストッパ部26に対応して、ストッパ突起142が形成されている。
ストッパ突起142は円弧状に形成されており、ストッパ部26の回転軌跡内に位置している。ストッパ突起142の周方向一端部及び周方向他端部は、それぞれ回転制限部144、回転制限部146とされている。すなわち、ストッパ突起142の回転制限部144及び回転制限部146は、それぞれストッパ部26に当接可能となっており、ストッパ部26がストッパ突起142の回転制限部144あるいは回転制限部146に当接した状態では、それ以上の係合ベース20(出力軸12)の回転が阻止される構成である。したがって、入力ディスク28の回転駆動力によって、係合ベース20(出力軸12)がクラッチディスク38と共に回転し、ストッパ部26がストッパ突起142の回転制限部144あるいは回転制限部146に当接した後には、それ以後の係合ベース20(出力軸12)の回転が強制的に阻止されるため、入力ディスク28が相対回転(空回り)する構成となっている(図14及び図15参照)。
さらに、入力ディスク28によって往復回転駆動される出力軸12には、ワイパ(図示省略)が直接的に連結されており、またはリンクやロッド等を介して間接的に連結されており、当該ワイパが出力軸12の往復回転に伴って往復駆動する構成である。
ここで、本実施の形態に係るワイパモータ90のクラッチ装置10の作用、効果を説明するために、図17には比較例としての係合凸部37Aと係合凹部42Aの構成が図13に対応した断面図にて示されている。なお、図17においても、説明を解り易くするため、敢えて「ハッチング」を省略して示してある。
この係合凸部37Aと係合凹部42Aでは、噛合い静止点Aにおける、倣い面51A及び湾曲制御面53Aの接線が、出力軸12Aの軸線と垂直な面となす角が大きい。そして、噛合い静止点Aにおける初動動作時の作動トルクが解除設定トルクとして設定されているため、初動動作時の抵抗が静止摩擦となって大きく、また不安定であるため、解除設定トルクの設定値にバラつきが生じやすい。
さらに、図18には、比較例の係合凸部37Aと係合凹部42Aの作動トルク特性(過負荷作用開始時から完全離脱までの間における移動ストロークに対する作動トルク値の変化)のグラフが示されている。
この図18にて明らかなように、噛合い静止点Aにおける初動動作時の作動トルクが解除設定トルクとして設定されているため、初動動作時の抵抗が静止摩擦となって大きくなっている。図18には、比較例のクラッチ作動トルクの中心値(中心)と許容最大値(MAX)及び許容最小値(MIN)が示されている。比較例のワイパモータの初動動作時の抵抗は、前述のとおり、静止摩擦となって大きく、また不安定であるため、解除設定トルクの設定値にバラつきが生じやすい。このため、クラッチ作動トルクの許容最大値(MAX)と許容最小値(MIN)との間に入らないワイパモータが存在することになる。したがって、比較例においては、クラッチ作動トルクが許容範囲に収まるように、ランニング工程を設けて数回の試運転を行い、クラッチ作動トルクを安定化させる必要があった。このランニング工程により製造工程の工数が増えてしまうと共に、クラッチ作動トルクが許容範囲外の製品は除外されていた。
これに対して、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態のワイパモータ90では、モータ本体92(アーマチャ108)が回転すると、ウォームギヤ122を介してウォームホイール128へ回転力が伝達されてウォームホイール128が回転(本実施の形態では一方向へ連続回転)する。ウォームホイール128が回転すると、このウォームホイール128に連結されたセクタギヤ132が往復揺動され、このセクタギヤ132の往復揺動動作によって、入力ディスク28が往復回転駆動される(図4乃至図7参照)。
ここで、通常の使用状態では、例えば図5及び図14に示す如く、入力ディスク28の係合凸部37が、クラッチディスク38の係合凹部42と係合している。この状態では、倣い面51に対して、湾曲制御面53の噛合い静止域W1の範囲が線接触している。この係合凸部37と係合凹部42の係合状態からクラッチディスク38が出力軸12軸線方向に移動しようとするとコイルスプリング44によって所定の抗力が付与されるので、前記係合状態が維持される。また、クラッチディスク38は、出力軸12に対して軸線周りに回転不能とされている。このため、入力ディスク28が往復回転駆動されると、係合凸部37及び係合凹部42を介して入力ディスク28からクラッチディスク38へ回転駆動力が伝達されて、このクラッチディスク38と一体で出力軸12が回転される。
これにより、出力軸12に連結されたワイパが出力軸12の往復回転に伴って往復駆動する。
一方、例えば、ワイパを介して出力軸12周りに過大外力(荷重)が作用すると、出力軸12が逆転もしくは拘束されることになる。すると、出力軸12の負荷が大きくなり、出力軸12と一体回転するクラッチディスク38には、入力ディスク28と相対回転する方向に回転力が作用する。ここで、入力ディスク28の係合凸部37とクラッチディスク38の係合凹部42とはそれぞれ断面形状が所謂略台形に形成されており、しかも、入力ディスク28の係合凸部37は倣い面51を有し、またクラッチディスク38の係合凹部42は湾曲制御面53を有しているため、入力ディスク28とクラッチディスク38との間の相対回転力によって、クラッチディスク38に出力軸12軸線方向に沿った(係合ベース20へ向いた)分力が生じる。すなわち、入力ディスク28とクラッチディスク38との間の相対回転力の一部が、クラッチディスク38を出力軸12軸線方向に移動させて入力ディスク28の係合凸部37とクラッチディスク38の係合凹部42との係合を解除しようとする分力として作用する。
出力軸12の負荷が大きくなり、この相対回転力(分力)が大きくなると、クラッチディスク38がUP方向へ移動し、倣い面51に対して湾曲制御面53が線接触する位置は、噛合い静止域W1の範囲からUP方向へ移動する。さらに、出力軸の負荷が大きくなると、倣い面51に対して湾曲制御面53が線接触する位置は、解除設定トルク域W2を通過して、さらにUP方向へ移動することにより、図8及び図15に示す如く、係合凸部37は係合凹部42から離脱して、両者の噛合いは解除される。コイルスプリング44により付与される抗力に打ち勝って、クラッチディスク38が出力軸12軸線方向に強制的に移動されて前記係合状態が解除される(入力ディスク28の係合凸部37がクラッチディスク38の係合凹部42から抜け出して嵌合が解除される)。これにより、クラッチディスク38すなわち出力軸12は、入力ディスク28に対して空転する(相対回転する)。
噛合い静止域W1と解除設定トルク域W2とは倣い面51に沿って所定の距離だけ離れているから、出力軸の負荷が所定以上に大きくなった場合にのみ、係合凸部37及び係合凹部42の噛合いは解除される。ここで、解除設定トルク域W2は噛合い静止域W1よりもUP方向に位置している。すなわち、噛合い静止域W1は解除設定トルク域W2よりも、入力ディスク28及びクラッチディスク38がより近接した側にある。
静止時接点Sを含む噛合い静止域W1における倣い面51及び湾曲制御面53の接線の出力軸12と垂直な面との角度は、解除設定トルク域W2における角度θ2よりも小さい。このため、クラッチ動作時の初動抵抗を小さくすることができる。図16に示すように、クラッチ作動トルクは、噛合い静止域W1の方が、解除設定トルク域W2よりも小さい。
そして、解除設定トルク域W2においてクラッチ作動トルクは最大となり、かつ、そのピーク値は略一定とされている。解除設置トルク域W2におけるクラッチ作動トルクのピーク値が略一定で安定しているので、解除設定トルクを安定させることができる。
また、解除設定トルク域W2においては、倣い面51と湾曲制御面53との間の摩擦は、静止摩擦ではなく、動摩擦となっているので、摩擦の状態が安定している。このために、解錠設定トルク域W2において、解除トルクの設定値にバラつきが生じにくく、解除設定トルクが安定する。
また、図16にて明らかなように、解除設定トルク域W2は、クラッチディスク38のストロークの略中央に設けられている。このため、噛合い静止域W1と解除設定トルク域W2との間の倣い面に沿った距離を適切に設定することができと共に、クラッチディスク38のストローク全体を通してクラッチ作動トルクを滑らかに変化させることができるので、摩耗を低減することも可能である。また、解除設定トルク域W2において、倣い面は略平面状(図13においては、略直線状)である。これにより、解除設定トルク域W2における解除トルクを安定して、かつ、容易に設定することができる。
倣い面51及び湾曲制御面53の曲率等の調整により、噛合い静止域W1や解除設定トルク域W2の設定が可能であり、例えば、解除設定トルク域W2における最大作動トルクを略一定のフラットトルクとなるよう設定されている。
図16には、本実施形態のクラッチ作動トルクの中心値(中心)と許容最大値(MAX)及び許容最小値(MIN)が示されている。本実施形態では上述のとおり、解除設定トルク域W2においては、倣い面51と湾曲制御面53との間の摩擦は、静止摩擦から動摩擦へと移行しやすく構成されているので、摩擦の状態が安定している。このため、解除トルクの設定値にバラつきが生じにくく、解除設定トルクが安定する。したがって本実施例では、比較例のようにランニング工程を設ける必要が無く、製造工程の工数を低減することができると共に、クラッチ作動トルクが許容範囲外となり製品が除外されることを避けることができる。
また、比較例の図17において、噛合い静止点Aにおけるクラッチ作動トルクFについての倣い面に垂直な方向の分力である面圧Faは、噛合い静止点Aにおける初動動作に係るトルクが解除設定トルクに相当するため、大きな面圧となる。場合によっては、1回のクラッチ解除動作で倣い面51Aが大きく削り取られてしまい、次回のクラッチ解除のための解除設定トルクが大きく変化してしまうこともあった。そのため、所望の解除設定トルクを維持することが困難となる恐れがある。
これに対して、本実施形態では、上記面圧をも小さくすることができるため、1回のクラッチ解除動作で倣い面51が大きく削り取られてしまうことを回避することができる。
特に、比較例では、噛合い静止点Aにおいて静止しているため、図18に示されているように、初動動作するための解除設定トルクに相当する大きな面圧Faが倣い面51Aに作用し、しかも、その大きな面圧がクラッチディスクストロークに沿って連続して作用するため、1回の倣い面51Aを大きく削り取る恐れがあった。
これに対して、本実施形態では、図16からも分かるように、比較例(図18)と比較すると、大きな面圧が連続して倣い面51に作用することはない。さらに、解除設定トルク域W2は、クラッチディスクストロークの略中央であり、また、略平面状となっているため、面圧の作用に対して倣い面51が摩耗しにくい。このため、1回のクラッチ解除動作で倣い面51が大きく削り取られてしまい、次回のクラッチ解除のための解除設定トルクが大きく変化してしまうような恐れはない。そのため、所望の解除設定トルクを維持することができる。
したがって、本ワイパモータ90では、例えば、ワイパが回動範囲内での正規の停止位置において凍結して被払拭面に張り付いている状態、或いは正規の停止位置に位置するワイパの上に雪が積もって拘束された状態でモータ本体92が作動され、出力軸12に過大な負荷もしくは急激な負荷が作用した場合などは勿論のこと、ワイパの回動範囲内(正規の払拭範囲内)での作動途中においてワイパを介して出力軸12に過大な外力が作用した場合(例えば、ワイパの払拭作動時に下側の反転位置以外の位置にあるワイパの上に屋根に堆積した積雪がガラス面に沿って落下してきた場合など)においても、クラッチ装置10による空転によって、入力ディスク28以降の駆動力伝達部品(セクタギヤ132、ウォームホイール128、ウォームギヤ122、モータ本体92等の出力軸12からアーマチャ108側に向けての構成)に過大な外力が作用することを防止できる。これにより、入力ディスク28以降の前記各部品を保護することができ、前記各部品の損傷及びモータ本体92の焼損等を防止することができる。
また、入力ディスク28以降の各部品の強度設計を、入力ディスク28とクラッチディスク38との間の回転伝達力(クラッチ解除力)に基づいて設定すればよいため、上記過大な外力(荷重)の作用を想定した各部品の過剰な強度設定を行う必要がなくなり、安価な構成とすることができる。
またしかも、出力軸12に連結された被駆動部材(ワイパ等)も、クラッチ装置10による空転により衝撃が吸収されるので破損から保護することもできる。
また、本ワイパモータ90のクラッチ装置10では、入力ディスク28は、揺動機構94(ウォームギヤ122、ウォームホイール128、及びセクタギヤ132)によって減速往復回転駆動されるため、出力軸12を大きなトルクで駆動することができ、出力軸12に連結されたワイパを好適に往復駆動することができる。したがって、本ワイパモータ90は、ワイパを介して出力軸12周りに過大外力(荷重)が作用する(例えば、車両の屋根に堆積した積雪がガラス面に沿って略垂直落下してワイパアームに当たり大きな外力が当該ワイパモータ90に作用する場合等)蓋然性が高い車両、例えばキャブオーバータイプのコックピットを有するトラックや建設機械用のワイパ駆動用モータとしても好適である。
さらに、本ワイパモータ90では、セクタギヤ132の揺動中心軸140と出力軸12とは、セクタギヤ132の厚さ方向一方側に設けられた保持レバー138によって連結されているので、セクタギヤ132の揺動中心軸140と出力軸12との軸間距離(軸間ピッチ)が一定に維持される。しかも、セクタギヤ132の歯部136は、その厚さ方向の一方側の保持レバー138と、他方側(クラッチディスク38側)の入力ディスク28の連結壁35とで厚さ方向両側が挟まれているので、セクタギヤ132の厚さ方向両側に保持部材(保持レバー)がなくとも、セクタギヤ132の厚さ方向に沿ったギヤ歯136と歯部34との噛合い代が維持される(セクタギヤ132の厚さ方向への噛合い外れが防止される)。これにより、セクタギヤ132と入力ディスク28との良好な噛合い状態を維持することができる。
また、このワイパモータ90では、複数の突条が形成された出力軸12の回止部16に係合ベース20(大径部)が固着されて一体化されており、特に軸線周りの回転方向に対しては強固に固着されている。一方、入力ディスク28は出力軸12の抜止部18によって抜止め状態とされており、さらに、出力軸12の相対回転規制部14(すなわち、係合ベース20と入力ディスク28との間)に、クラッチディスク38が軸線方向に移動可能に支持されている。すなわち、何れの部品も出力軸12を基準に取り付けられた構成であり、係合ベース20と入力ディスク28との間の一定スペース(一定寸法)にクラッチディスク38及びコイルスプリング44が設けられた構成である。したがって、前述した如きクラッチディスク38の軸線方向移動に要する力(クラッチ解除力)の設定を容易に行うことができる。
またさらに、本ワイパモータ90では、弾性部材をコイルスプリング44としたため、バネ特性が安定的である。すなわち、例えば、弾性部材をゴム部材とした場合、クラッチ装置10に塗布されたグリス等が当該ゴム部材に付着して劣化する恐れがあるが、コイルスプリング44の場合には、グリス等の付着による劣化の恐れがなくバネ特性が安定的である。
また、コイルスプリングの断面形状は、略円形や略矩形とすることが可能であり、略矩形とした場合には、出力軸12の軸線方向の寸法を薄型化することができる。
しかも、このコイルスプリング44は、出力軸12回りに巻き回されると共に、出力軸12の径方向に大径とされた軸方向移動不能な係合ベース20と、クラッチディスク38との間に配置された構成である。このため、クラッチディスク38を入力ディスク28に対して安定的に押圧できると共に安定的な抗力を付与できる。すなわち、コイルスプリング44の弾性力は、クラッチディスク38によって入力ディスク28とクラッチディスク38との係合部分に一様に分布される。したがって、入力ディスク28とクラッチディスク38との係合状態が安定し、入力ディスク28とクラッチディスク38との間(係合凸部37と係合凹部42との間)の回転伝達力(クラッチ解除力)の値も安定する。これにより、前記クラッチ解除力の値をより好適に設定することができるので、ワイパモータ90の各構成部材をより確実に保護することができる。
また、本ワイパモータ90では、出力軸12に支持された入力ディスク28は、連結壁25を介してギヤ歯34とは反対側の外周が円周面36とされており、この円周面36がハウジング96に固定された軸受部材52に回転可能に保持(支持)されている。すなわち、このワイパモータ90では、セクタギヤ132から荷重が入力される入力ディスク28が、直接ハウジング96の軸受部材52に支持された構成である。したがって、入力ディスク28の支持剛性が向上し、これによっても、入力ディスク28とセクタギヤ132との噛合い状態が安定する。しかも、出力軸12は、その基端部が入力ディスク28を介してハウジング96(軸受部材52)に支持された構成である。このため、出力軸12の基端部をハウジング96に支持するための特別なスペースが不要(入力ディスク28の設置スペースと出力軸12基端部の支持スペースが共通)であると共に、出力軸12の基端部側を支持する軸受部材52と、出力軸12の先端側を支持する軸受部材50との出力軸12軸線方向に沿った距離寸法を長く確保できる。これにより、出力軸12のハウジング96に対する支持剛性も向上する。
さらに、本ワイパモータ90では、入力ディスク28およびクラッチディスク38の両方が、粉末合金を成型した焼結金属であるので、これらの部材を粉末冶金法により高精度に製造でき、しかも材料の歩留まりがよい。さらに、焼結金属とされた入力ディスク28及びクラッチディスク38は、該焼結金属内に潤滑油を含油しているので、互いに係合する部位(係合凸部37及び係合凹部42など)に自己潤滑性を持たせることができると共に、セクタギヤ132の歯部136と係合する入力ディスク28のギヤ歯34、及び回転を支持する軸受部材52にも自己潤滑性を持たせることができ、好適である。
またさらに、本ワイパモータ90では、入力ディスク28の各係合凸部37とクラッチディスク38の各係合凹部42は、それぞれ入力ディスク28及びクラッチディスク38の周方向に沿って等間隔にならないように(隣接する間隔がそれぞれ異なるように)設けられており、各係合凸部37が各係合凹部42から抜け出したクラッチ解除状態においても、クラッチディスク38は、少なくとも3個の係合凸部37を介して入力ディスク28に係合するので(3点支持状態となるので)、クラッチ解除状態におけるクラッチディスク38と入力ディスク28との係合状態が安定する。
しかも、入力ディスク28とクラッチディスク38(出力軸12及びワイパ)とは、周方向に沿った相対位置関係が所定の一位置にあるときにのみ係合可能とされている。このため、各係合凸部37が各係合凹部42から抜け出したクラッチ解除状態(入力ディスク28とクラッチディスク38が所定の一位置以外の相対位置関係にあるとき)において、例えば、乗員等が手動によりワイパを回動させれば、必ず所定の一位置にて入力ディスク28とクラッチディスク38とが係合する。したがって、クラッチディスク38(出力軸12及びワイパ)を、入力ディスク28に対して元のセット状態(初期設定状態)に容易かつ迅速に復帰させることができると共に、ワイパ装置を破損させることなく再度作動させることができる。
またここで、前述の如きクラッチ装置10においては、係合凸部37と係合凹部42とが係合状態で回転力を伝達しているとき及び噛合係合が離脱しようとして動作しているとき、係合凸部37と係合凹部42との(倣い面51と湾曲制御面53との)接触部分には回転方向の力が作用している。このとき、例えば、係合凸部37及び係合凹部42の各々の周方向両端縁が平行な形状に形成されている場合には、径方向外側に比べて径方向内側の方が高い面圧となり、偏摩耗が生じる要因となる。
これに対して、本実施の形態に係るクラッチ装置10では、図12に示すように、入力ディスク28の係合凸部37と、クラッチディスク38の係合凹部42とは、それぞれ周方向端縁(側壁部分)が、各部材軸線(出力軸12の軸線)を通る径方向直線上に一致した形状(すなわち、扇状に径方向外側へ開いた形状)に形成されているため、係合凸部37と係合凹部42との接触部分のうち径方向内側と径方向外側とで一様な面圧となる(摺動によるヘルツ接触面圧が軽減する)。したがって、当該部位の偏摩耗を防止することができ、耐摩耗性が向上する。
また、このワイパモータ90では、通常の使用状態(回転状態)においては、前述の如くクラッチ装置10の入力ディスク28から出力軸12への回転駆動力の伝達に際し、入力ディスク28の係合凸部37とクラッチディスク38の係合凹部42との係合状態維持のために、クラッチディスク38の前記係合状態からの軸線方向移動に対して付与されるコイルスプリング44による抗力が、摺動摩擦力として無駄に消費されることがない。したがって、回転伝達効率の低下を防止できる。また、部材の摺動を発生させることなく回転駆動力を伝達することができるため、部材の摺動に伴う異音の発生も防止される。
またしかも、前述の如く、係合凸部37と係合凹部42との係合状態維持のために当該係合状態からのクラッチディスク38の軸線方向移動に対して付与されるコイルスプリング44による抗力は、出力軸12に固定された係合ベース20と、出力軸12に対して軸線方向一側へ抜止め状態で支持された入力ディスク28とで受け止められる。すなわち、出力軸12に取り付けられた2つの構成部品(係合ベース20と入力ディスク28)によって、前記係合状態維持のための力が受け止められる。すなわち、本ワイパモータ90のクラッチ装置10は、「出力軸12のサブアッセンブリ」として完結する構成のものであり、ハウジング96などの他の部品等に依存して完結する構成のものでない。したがって、このクラッチ装置10を、「出力軸12サブアッセンブリ」とした1つの部品として取扱いができる。
さらにここで、このワイパモータ90のクラッチ装置10では、前述の如く、入力ディスク28の係合凸部37がクラッチディスク38の係合凹部42に入り込むことで、入力ディスク28からクラッチディスク38へ回転力が伝達される構成としたので、入力ディスク28とクラッチディスク38との間の駆動力の伝達をより確実に行うことができ、各部品の損傷や入力ディスク28に接続された駆動力伝達部品の損傷等を防止することができ、過大な外力(荷重)の作用を想定した各部品の強度設定を行う必要がなくなるが、更に加えて、クラッチ動作の設定負荷変動が長期に渡り安定する。
すなわち、ワイパを介して出力軸12に過大外力(荷重)が作用してクラッチディスク38すなわち出力軸12が入力ディスク28に対して空転する際において、入力ディスク28とクラッチディスク38(係合凸部37と係合凹部42)とは、前記倣い面51を有する側(すなわち、係合凸部37が形成された入力ディスク28)よりも、前記湾曲制御面53を有する側(すなわち、係合凹部42が形成されたクラッチディスク38)のほうが高い硬度となるように焼結金属材料にて構成されているので、係合凸部37と係合凹部42との(倣い面51と湾曲制御面53との)離脱が繰り返された場合には、湾曲制御面53を有する側の摩耗は、倣い面51を有する側の摩耗よりも少なく(摩耗進行が遅い)ため、本実施の形態においては、係合凸部37と係合凹部42のうち湾曲制御面53を有する係合凹部42は、設定当初の凹部形状からの変化が小さい。すなわち、係合凹部42の湾曲制御面53は、その湾曲面の形状が維持され、係合凸部37の倣い面51とは前記線接触による係合状態が維持される。
また、湾曲制御面53は、係合凹部42の台形状左右両側(回転周方向両側)に形成され、倣い面51は、係合凸部37の台形状左右両側(回転周方向両側)に形成されているので、出力軸12の正転および逆転方向の両方向において上記各作用効果を得ることができる。
以上説明した如く、本実施の形態に係るワイパモータ90(クラッチ装置10)では、倣い面に解除設定トルク域を設定し、解除設定トルク域においては静止摩擦から動摩擦に移行させておくことにより、互いに線接触している係合凹部及び係合凸部が係合を解除する際の解除設定トルクを安定することができるという効果を奏するものである。
なお、上記実施の形態においては、クラッチ装置10を構成する入力ディスク28とクラッチディスク38において、入力ディスク28に係合凸部37が設けられると共にクラッチディスク38に係合凹部42が設けられた構成としたが、これに限らず、入力ディスク28に係合凹部42を設けると共にクラッチディスク38に係合凸部37を設けた構成としてもよい。
次に、本発明の別実施形態に係るワイパモータ90について説明する。なお、上記実施形態と同様の部材については、同一の符号を用い、その説明を省略する。上記実施形態では、噛合い静止域W1の範囲におけるクラッチ作動トルクは、車両のウインドガラスが半乾燥時における出力軸の最大トルクTMAXよりも小さく設定されていたが、別実施形態においては、噛合い静止域W1の範囲におけるクラッチ作動トルクと、出力軸の最大トルクTMAXとの関係を適宜調整することが可能である。
図19は、本発明の別実施形態に係るワイパモータのクラッチ装置における作動トルク特性を示すグラフである。倣い面51及び湾曲制御面53の形状を調整することにより、噛合い静止域W1及び解除設定トルク域W2の位置及び範囲を適宜調整することが可能である。例えば図19では、噛合い静止域W1におけるクラッチ作動トルクが、車両のウインドガラスが半乾燥時における出力軸の最大トルクTMAXよりも大きく設定されている。この場合には、車両のウインドガラスが半乾燥時であっても、通常の使用状態では倣い面51に対して湾曲制御面53が静止時接点Sにおいて静止している。
この他、噛合い静止域W1におけるクラッチ作動トルク範囲の間に、車両のウインドガラスが半乾燥時における出力軸の最大トルクTMAXが入るように設定することもできる。このように、噛合い静止域W1及び解除設定トルク域W2の位置及び範囲を適宜調整することが可能である。
10・・クラッチ装置 12・・出力軸 20・・係合ベース(大径部)
28・・入力ディスク 37・・係合凸部 38・・クラッチディスク
42・・係合凹部 44・・コイルスプリング(弾性部材)
51・・倣い面 53・・湾曲制御面 90・・ワイパモータ
94・・揺動機構 96・・ハウジング

Claims (12)

  1. ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
    前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
    前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
    を備えたクラッチ装置において、
    前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置が、解除設定トルク域から離れていることを特徴とするクラッチ装置。
  2. ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
    前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
    前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
    を備えたクラッチ装置において、
    前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置が、解除設定トルク域よりも前記入力ディスク及び前記クラッチディスクがより近接した側にあることを特徴とするクラッチ装置。
  3. ハウジングに回転可能に支持された出力軸と、
    前記出力軸に対して回転自在に支持され、駆動力が入力されることによって前記出力軸の軸線周りに回転する入力ディスクと、
    前記出力軸に対して軸線周りに回転不能、かつ、軸線方向に移動可能に支持されると共に、前記入力ディスクに対して前記出力軸の軸線方向に対向して配置され、前記入力ディスクと係合可能なクラッチディスクと、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか一方に前記出力軸の軸線方向に突出形成された係合凸部と、
    前記入力ディスク及び前記クラッチディスクのいずれか他方に前記係合凸部に線接触で係合可能に凹設形成された係合凹部と、
    を備えたクラッチ装置において、
    前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域の位置におけるクラッチ作動トルクが、解除設定トルク域におけるクラッチ作動トルクよりも小さいことを特徴とするクラッチ装置。
  4. 前記係合凸部と前記係合凹部との噛合い静止域における接触角度が、解除設定トルク域における接触角度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクラッチ装置。
  5. 解除設定トルク域がクラッチディスクのストロークの略中央に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクラッチ装置。
  6. 前記係合凸部及び前記係合凹部の一方は、前記出力軸の軸線に対し所定角度傾斜する倣い面を有し、
    前記係合凸部及び前記係合凹部の他方は、前記倣い面に線接触で係合可能な湾曲制御面を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに1項に記載のクラッチ装置。
  7. 解除設定トルク域において、倣い面は略平面状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のクラッチ装置。
  8. さらに、前記クラッチディスクを前記入力ディスク側に付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに1項に記載のクラッチ装置。
  9. 前記係合凸部及び前記係合凹部は、前記出力軸の軸線を通る径方向直線に略一致した形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに1項に記載のクラッチ装置。
  10. 前記係合凸部及び前記係合凹部は、隣接する周方向間隔がそれぞれ異なるように設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに1項に記載のクラッチ装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のクラッチ装置と、モータ本体と、を備え、
    前記クラッチ装置の前記入力ディスクには、前記モータ本体の回転軸の回転が減速して伝達されることを特徴とするモータ装置。
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のクラッチ装置と、
    モータ本体と、
    一端に前記モータ本体の回転軸の回転が減速して伝達されると共に、他端が前記クラッチ装置の前記入力ディスクに係合し、前記モータ本体の回転によって往復揺動されることで前記入力ディスクを往復回転駆動する揺動部材を有する運動変換機構と、
    を備え、
    前記出力軸に直接的に又は間接的に連結されたワイパを往復駆動する、
    ことを特徴とするワイパモータ。
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