JP6848470B2 - 水力発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、水力発電システムに関するものである。
従来より、流路を流れる流体(水)を利用して発電を行う水力発電システムがある。
例えば特許文献1に開示の水力発電システムには、流路に配置される水車と、水車によって駆動させる発電機とが設けられる。水車を水が流れると該水車が回転し、水車に連結する発電機が駆動される。これにより、発電機で電力が発電される。発電された電力は、所定の電力系統へ供給される。
特開2014−214710号公報
水力発電システムが適用される流路では、流路を流れる水の流量に所定の制約が課せられることがある。一方、発電機の発電電力についても、電力系統の要求等に応えることが必要である。具体的には、発電機の発電電力を最大とする要求や、発電機の発電電力をある程度抑制する要求がある場合、これらの要求に応えることが必要となる。
本発明は、この問題に着目してなされたものであり、流路を流れる流体の流量と、発電機の発電電力との双方を目標値に近づけることができる水力発電システムを提供することである。
第1の態様は、流体が流れる流路(5)に配置される水車(11)と、前記水車(11)によって駆動される発電機(12)と、前記流路(5)に前記水車(11)と直列に配置される圧力調節弁(21)と、前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記発電機(12)の発電電力が目標電力に近づくように前記圧力調節弁(21)の開度を制御する発電電力制御とを協調して行う制御部(40)とを備え、前記制御部(40)は、前記流量制御と前記発電電力制御とを異なるタイミングで交互に繰り返し実行させ、前記発電電力制御では、前回の発電電力制御での前記圧力調節弁(21)の開度の制御に伴う発電電力の変化量ΔPが0以上である場合に、前記圧力調節弁(21)の開度を前記前回の発電電力制御と同じ方向に変化させ、前記前回の発電電力制御による前記圧力調節弁(21)の開度の制御に伴う発電電力の変化量ΔPが0より小さい場合に、前記圧力調節弁(21)の開度を前記前回の発電電力制御と逆方向に変化させることを特徴とする水力発電システムである。
この構成では、制御部(40)により、流量制御と発電電力制御とが協調して行われる。具体的に、流量制御では、水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように発電機(12)が制御される。この流量制御により、流路(5)の流量を目標値に近づけることができる。流量制御が行われる際、発電電力制御により、圧力調節弁(21)の開度が調節されると、流路(5)の有効落差が変化し、ひいては発電機(12)の発電電力を調節できる。これにより、発電機(12)の発電電力を目標発電電力に近づけることができる。このように、圧力調節弁(21)の開度が調節されると、水車(11)の流量も変化する。しかし、上記の流量制御を行うことで、水車(11)の流量は目標流量へと収束していく
この構成では、流量制御と発電電力制御とが異なるタイミングで実行される。仮に両者の制御が同じタイミングで実行されると、水車(11)の運転点がハンチングしてしまい、水車(11)の流量が目標流量に収束するまでの時間、あるいは発電機(12)の発電電力が目標発電電力に収束するまでの時間が長くなってしまう。これに対し、流量制御と発電電力制御とを異なるタイミングで実行することで、このようなハンチングを回避できる。
の態様は、第1の態様において、前記制御部(40)は、前記発電電力制御において、前記発電機(12)の発電電力が最大発電電力に近づくよう前記圧力調節弁(21)の開度を調節する。
この構成では、流量制御と発電電力制御とが協調して行われることで、水車(11)の流量が目標流量に収束するとともに、発電機(12)の発電電力が最大発電電力へと収束していく。
の態様は、第1又は第2の態様において、前記制御部(40)は、前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあることを示す第1条件が成立すると前記圧力調節弁(21)の開度を小さくする第1弁制御とを協調して行う。
この構成では、流量制御と第1弁制御とが協調して行われる。これにより、流量制御が実行される際、水車(11)の運転点がキャビテーション領域に至ったとしても、この運転点を通常運転領域へと速やかに戻すことができる。
即ち、流量制御が実行される際、水車(11)の有効落差(水車(11)の前後の圧力差)が大きくなったり、水車(11)の目標流量が比較的小さくなったりすると、水車(11)の運転点がキャビテーション領域に到達してしまい、水車(11)内部でキャビテーションが発生してしまう可能性がある。
これに対し、本態様では、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあることを示す第1条件が成立すると、圧力調節弁(21)の開度を小さくする第1弁制御が行われる。圧力調節弁(21)の開度が小さくなると、水車(11)の有効落差が小さくなる。これにより、水車(11)の運転点をキャビテーション領域から通常の運転領域へ戻すことができる。このように、圧力調節弁(21)の開度が小さくなると、水車(11)の流体の流量が小さくなる。しかし、上記の流量制御を行うことで、水車(11)の流量は目標流量へと収束していく。
の態様は、第1乃至第のいずれか1つの態様において、前記制御部(40)は、前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ったことを示す第2条件が成立すると前記圧力調節弁(21)の開度を大きくする第2弁制御とを協調して行う。
この構成では、制御部(40)により、流量制御と第2弁制御とが協調して行われる。これにより、流量制御が実行される際、水車(11)の運転点が動作限界領域に至ったとしても、この運転点を通常運転領域へと速やかに戻すことができる。
即ち、流量制御が実行される際、水車(11)の有効落差(水車(11)の前後の圧力差)が急激に低下すると、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に到達してしまうことがある。ここで、「動作限界曲線」とは、水車(11)の回転数が極めて小さくなる、あるいはゼロとなることに起因して、発電機(12)の制御(トルク値や回転数の制御)により、水車(11)の流量を調節することができなくなる運転点の境界である。
このように水車(11)の運転点が動作限界曲線上に到達すると、発電機(12)を制御して水車(11)の流量を調節できなくなり、流路(5)の流量の目標値の要求を満たすことができなくなる。
これに対し、本態様では、水車(11)の運転点が動作限界曲線上にあることを示す第2条件が成立すると、圧力調節弁(21)の開度を大きくする第2弁制御が行われる。圧力調節弁(21)の開度が大きくなると、水車(11)の有効落差が大きくなり、ひいては水車(11)の回転数が大きくなる。これにより、水車(11)の運転点を動作限界曲線から通常の運転領域へ戻すことができる。また、圧力調節弁(21)の開度が大きくなると、水車(11)の流量が大きくなる。しかし、上記の流量制御を行うことで、水車(11)の流量は目標流量へと収束していく。
第1の態様によれば、水車(11)の流量を目標流量に近づける流量制御と、発電機(12)の発電電力を目標発電電力に近づけるように圧力調節弁(21)の開度を調節する発電電力制御とを協調して行っている。このため、流路(5)の流量、及び発電機(12)の発電電力の双方を所望とする目標値に近づけることができる。
の態様によれば、水車(11)の運転点のハンチングを回避でき、流量制御及び発電電力制御の収束性を向上できる。
の態様によれば、流路(5)の流体の流量を目標値に近づけるとともに、発電機(12)で最大の発電電力を得ることができる。
の態様によれば、水車(11)内部でのキャビテーションの発生を確実に防止しつつ、流路(5)の流量を目標値に収束させることができる。
の態様によれば、流路(5)の流量を目標値に水車(11)の運転点が動作限界曲線上に留まることを速やかに回避しつつ、流路(5)の流量を目標値に収束させることができる。
図1は、実施形態の水力発電システムの管路系を含む全体の概略構成図である。 図2は、水力発電システムの電力系統図である。 図3は、水力発電システムの特性マップを表したグラフである。 図4は、水力発電システムの運転動作の基本フロー図である。 図5は、水車の運転点がキャビテーション領域に推移してしまう第1の例を説明するための特性マップである。 図6は、水車の運転点がキャビテーション領域に推移してしまう第2の例を説明するための特性マップである。 図7は、第1弁制御と流量制御とを協調して行う動作を説明するための特性マップである。 図8は、水車の運転点が動作限界曲線上に推移してしまう例を説明するための特性マップである。 図9は、第2弁制御と流量制御とを協調して行う動作を説明するための特性マップである。 図10は、流量/発電電力協調制御の基本フロー図である。 図11は、初回の流量/発電電力協調制御の一部のフロー図である。 図12は、MPPT制御における水車の運転点と推移を説明するための特性マップである。 図13は、MPPT制御における発電電力と電動弁開度の推移を説明するためのグラフである。 図14は、変形例に係る水力発電システムの第1及び第2制御限界曲線を説明するための特性マップである。 図15は、変形例に係る水力発電システムの運転動作の基本フロー図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る水力発電システム(10)は、例えば上水道(1)に適用される。上水道(1)には、貯留槽(2)と、該貯留槽(2)の下流側に設けられた受水槽(3)と、貯留槽(2)及び受水槽(3)を繋ぐ管路(5)(流路)とが設けられる。管路(5)は、落差を有して水が流れる水路である。管路(5)は、水力発電システム(10)の水車(11)の上流側の流入側配管(6)と、該水車(11)の下流側の流出側配管(7)とを有している。流入側配管(6)は、貯留槽(2)と水車(11)とに繋がり、流出側配管(7)は、水車(11)と受水槽(3)に繋がっている。
図1に示すように、本実施形態の水力発電システム(10)は、水車(11)、発電機(12)、電動弁(21)、流量計(22)、第1圧力センサ(23)、及び第2圧力センサ(24)を備えている。図2に示すように、水力発電システム(10)は、発電機コントローラ(40)、及び系統連系インバータ(30)を備えている。
〈水車〉
水車(11)は、管路(5)の途中に配置されている。水車(11)は、ケーシングと、該ケーシングに収容される羽根車とを備える(図示省略)。羽根車には、渦巻きポンプに備えるインペラが流用されている。羽根車の中心部には回転軸(13)が固定されている。水車(11)では、ケーシングの流体流入口からの水流によりインペラが回転し、これに伴い回転軸(13)が回転駆動される。
〈発電機〉
発電機(12)は、水車(11)の回転軸(13)に連結される。水車(11)の回転軸(13)が回転すると、発電機(12)が駆動され発電を行う。本実施形態の発電機(12)は、永久磁石埋込型のロータと、コイルを有したステータとを備えている(図示省略)。図2に示すように、発電機(12)の発電電力はAC/DCコンバータ(41)及び系統連系インバータ(30)を介して電力系統(8)(商用電源)へ供給される。
〈管路の他の機器〉
流入側配管(6)には、上流から下流に向かって順に、電動弁(21)、流量計(22)、及び第1圧力センサ(23)が接続される。電動弁(21)は、モータにより弁体を駆動することで、管路(5)の圧力を調節する。つまり、電動弁(21)は、圧力調節弁を構成している。流量計(22)は、水車(11)を流れる水の流量(Q)を検出する。第1圧力センサ(23)は、水車(11)の流入部に配置され、水車(11)に流入する水の圧力(p1)を検出する。流出側配管(7)には、第2圧力センサ(24)が接続される。第2圧力センサ(24)は、水車(11)の流出部に配置され、水車(11)から流出する水の圧力(p2)を検出する。
<系統連系インバータ>
系統連系インバータ(30)は、インバータ部を構成する複数のスイッチング素子を備える。系統連系インバータ(30)には、発電機コントローラ(40)からの直流電力が入力される。複数のスイッチング素子をスイッチングすることで、直流電力が交流電力に変換される。系統連系インバータ(30)が生成した交流電力は、電力系統(8)に供給(逆潮流)される。
〈発電機コントローラ〉
図2に示すように、発電機コントローラ(40)は、AC/DCコンバータ(41)と、発電機制御部(50)と、電動弁制御部(60)とを備えている。
〈AC/DCコンバータ〉
AC/DCコンバータ(41)は、複数のスイッチング素子を備え、発電機(12)によって発電された電力(交流電力)をスイッチングして直流電力に変換する。AC/DCコンバータ(41)の出力は、平滑コンデンサ(図示を省略)によって平滑化され、系統連系インバータ(30)に出力される。
〈発電機制御部〉
発電機制御部(50)は、水車(11)を流れる水の流量(Q)を目標流量に近づける流量制御を行う。ここで、この目標流量は、例えば管路(5)からの水が供給される供給対象の要求によって定められる。発電機コントローラ(40)には、この目標流量に相当する流量指令値(Q*)が入力される。
発電機制御部(50)は、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムが格納されたメモリディバイスとを用いて構成されている。発電機制御部(50)は、流量制御器(51)、トルク制御器(52)、及びPWM制御器(53)を備えている。
流量制御器(51)には、流量計(22)で検出した水の流量(Q)と、目標流量である流量指令値(Q*)とが入力される。ここで、流量指令値(Q*)は、上述した目標流量に対応している。流量制御器(51)は、流量(Q)を流量指令値(Q*)に収束させるためのトルク指令値(T*)を算出する。
トルク制御器(52)には、発電機(12)の制御目標となるトルク指令値(T*)が入力される。トルク制御器(52)は、トルク指令値(T*)に従い電圧指令値を算出する。
PWM制御器(53)は、トルク制御器(52)から出力された電圧指令値に基づいて、AC/DCコンバータ(41)のスイッチング素子をPWM制御する。これにより、流量(Q)が流量指令値(Q*)に収束する。
〈電動弁制御部〉
電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を制御する。具体的には、電動弁制御部(60)は、発電機(12)の発電電力(P)を目標発電電力に近づけるための発電電力制御と、水車(11)の運転点をキャビテーション領域から適切運転領域へ戻すための第1弁制御と、水車(11)の運転点を動作限界曲線上から適切運転領域へ戻すための第2弁制御とを行う。本実施形態の発電電力制御では、発電機(12)の最大発電電力が目標発電電力となる。より詳細に、本実施形態の発電電力制御では、いわゆるMPPT制御(山登り法)により、発電機(12)の発電電力が最大発電電力を目指すように電動弁(21)の開度が制御される。これらの制御動作の詳細は後述する。
電動弁制御部(60)は、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムが格納されたメモリディバイスとを用いて構成されている。電動弁制御部(60)は、MPPT制御部(61)、落差演算器(62)、落差判定部(63)、及び電動弁制御器(64)を備えている。
MPPT制御部(61)には、発電機(12)の発電電力(P)が入力される。MPPT制御部(61)は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行うための制御部である。MPPT制御部(61)は、発電電力(P)に基づいて電動弁(21)の開度の制御可否を判断し、この判断結果に対応する指令値を出力する。
ここで、発電機(12)の発電電力(P)は、例えば発電機(12)の電流値及び電圧値や、系統連系インバータ(30)の出力電力から求められる。また、発電電力(P)は、例えば電力系統(8)側の電力計で検出した瞬時電力値から取得することもできる。更に、発電電力(P)は、例えば水車(11)の運転点と発電電力との関係を示す関係式や、これらの関係が記憶されたデータ(例えば詳細は後述する特性マップ(M))を用いて求めることができる。
落差演算器(62)には、第1圧力センサ(23)で検出した水車(11)の流入側の水の圧力(第1圧力値(p1))と、第2圧力センサ(24)で検出した水車(11)の流出側の水の圧力(第2圧力値(p2))とが入力される。落差演算器(62)は、これらの圧力値の差(p1-p2)から水車(11)の有効落差(H)(図1を参照)を求める。
落差判定部(63)は、落差演算器(62)から出力された有効落差(H)と、流量(Q)とに基づいて、電動弁(21)の制御可否を判断し、この判断結果に対応する指令値を出力する。
電動弁制御器(64)は、MPPT制御部(61)から出力された指令値、及び落差判定部(63)から出力された指令値に基づいて、電動弁(21)の開度を調節する。
〈水力発電システムの運転パラメータ〉
水力発電システム(10)の運転パラメータ、及びこれらの関係について図3を参照しながら詳細に説明する。図3に示すグラフ(特性マップ(M)ともいう)は、縦軸が水車(11)の有効落差(H)、横軸が水車(11)を流れる流量(Q)を示している。ここで、水車(11)での有効落差(H)は、貯留槽(2)の液面から受水槽(3)の液面までの間の総落差(Ho)から、貯留槽(2)の水が管路(5)を経て受水槽(3)に至るまでの管路抵抗に相当する落差を減じたものである。
有効落差(H)と流量(Q)との関係は、図3に示す流動抵抗特性線(システムロスカーブ(S)ともいう)で表すことができる。システムロスカーブ(S)は、流量(Q)=0のときの有効落差(H)が総落差(Ho)であり、流量(Q)の増大に応じて有効落差(H)が二次曲線的に減少する特性を持つ。システムロスカーブ(S)の曲率は、図1の管路(5)に固有の値を持つ。水力発電システム(10)を含む管路(5)における流量(Q)とその際の有効落差(H)とは、システムロスカーブ(S)上の点に対応する。即ち、水車(11)の流量(Q)と有効落差(H)に対応する点(水車(11)の運転点)は、常にシステムロスカーブ(S)上にある。
図3の特性マップ(M)においては、水車(11)における流量(Q)と有効落差(H)とに相関する特性として、発電機(12)のトルク値(T)、発電機(12)の回転数(回転速度)(N)、発電機(12)の発電電力(P)を表している。
特性マップ(M)では、発電機(12)のトルク値(T)が0の曲線(無拘束曲線(T=0)という)と、発電機(12)の回転数(N)が0又は所定の最低回転数となる曲線(動作限界曲線という)との間に、水車(11)が水流により回転可能な領域(水車領域ないし運転可能領域という)が形成される。図3において、無拘束曲線よりも左側の領域は、水車ブレーキ領域(力行領域)である。
水車領域において、複数の等トルク曲線は無拘束曲線に沿い、特性マップ(M)上、流量(Q)の増大に応じてトルク値(T)も増大する。また、複数の等回転速度曲線は動作限界曲線に沿い、有効落差(H)が大きくなるほど回転数(N)も上昇する。システムロスカーブ(S)上においては、流量(Q)の減少に応じてトルク値(T)が減少する。また、システムロスカーブ(S)上においては、流量(Q)の増大に応じて回転数(N)が減少する。破線で示した等発電電力曲線は下に凸な曲線であって、有効落差(H)及び流量(Q)の増大に応じて発電電力(P)も増大する。
以上のような特性マップ(M)の各パラメータの関係は、テーブル(数表)や、プログラム内の数式(関数)という形でメモリディバイスに格納可能である。従って、発電機コントローラ(40)は、特性マップ(M)で表される各パラメータの関係を利用することで、各種の演算や制御が可能である。
−運転動作−
水力発電システム(10)の運転動作について説明する。
〈基本フロー〉
まず水力発電システム(10)の基本的な運転動作について図4を参照しながら説明する。図4において、水力発電システム(10)の運転が開始されると、水車(11)の流量(Q)を目標流量に近づける流量制御が行われる(ステップSt1)。即ち、流量制御では、発電機制御部(50)により、現在の流量(Q)と流量指令値(Q*)とからトルク指令値(T*)が算出される。PWM制御器(53)は、トルク制御器(52)が算出した電圧指令値に基づいてAC/DCコンバータ(41)のスイッチング素子を制御することで、水車(11)ないし管路(5)の流量(Q)が流量指令値(Q*)に近づく。
次いで、ステップSt2では、落差演算器(62)により、水車(11)の有効落差(H)が検出される。ステップSt3では、有効落差(H)と第1閾値(Hoptmax1)とが比較される。ここで、第1閾値(Hoptmax1)は、水車(11)の運転点がキャビテーション領域に至っているか否かを判断するための判定値である。ステップSt3において、有効落差(H)が第1閾値(Hoptmax1)よりも大きい場合、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあると判断され、ステップSt5へ移行し、電動弁(21)の開度を所定開度小さくする(第1弁制御)。ステップSt3において、有効落差(H)が第1閾値(Hoptmax1)よりも小さい場合、ステップSt4へ移行する。
ステップSt4では、有効落差(H)と第2閾値(Hoptmin1)とが比較される。ここで、第2閾値(Hoptmin1)は、水車(11)が動作限界曲線上に至ったか否かを判断するための判定値である。ステップSt4において、有効落差(H)が第2閾値(Hoptmin1)よりも小さい場合、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ったと判断され、ステップSt6へ移行し、電動弁(21)の開度を所定開度大きくする(第2弁制御)。ステップSt4において、有効落差(H)が第2閾値(Hoptmin1)よりも大きい場合、ステップSt7へ移行し、発電電力/流量協調制御が実行される。
なお、ステップSt5及びSt6において電動弁(21)の開度が調節される際には、流量制御が行われず、発電機(12)のトルク値が制御されることもない。つまり、ステップSt1の流量制御は、電動弁(21)の開度の調節が終了してから実行される。
〈第1弁制御〉
第1弁制御は、水車(11)内部でのキャビテーションの発生を防止するための制御である。このキャビテーションに係る課題、及びそれを解消するための制御について図5〜9を参照しながら詳細に説明する。
例えば図5に示すように、水車(11)の運転領域は、キャビテーションが生じうる領域(キャビテーション領域という)と、キャビテーションが発生せず通常の運転が行われる領域(適切運転領域という)とがある。ここで、キャビテーションとは、水車の内部で流体が加速されることに起因し、流体の圧力が飽和蒸気圧近くまで低下し、多数の蒸気泡が発生する現象(空洞現象)である。キャビテーションの発生に伴い多数の蒸気泡が発生し、その後これらの蒸気泡が消滅する際には、局所的に数万気圧という極めて高い圧力が発生する。この結果、水車(11)の性能の低下、水車(11)の表面の壊食、振動や騒音の発生等の不具合を招いてしまう。
図5において、キャビテーション領域と適切運転領域の境界をキャビテーション境界という。このキャビテーション境界は、臨界キャビテーション係数を用いた関係式により導出することができる。
図5は、上述した流量制御により、水車(11)の運転点がキャビテーション領域に至ってしまった一例である。つまり、上述した流量制御では、水車(11)の流量(Q)が所定の流量指令値(Q*)を目指すように発電機(12)の制御が行われる。例えばこの流量指令値が図5のQa*である場合、水車(11)の運転点はa点に収束することになる。一方、管路(5)の目標流量が更に小さくなり、流量指令値が図5のQa*からQb*まで小さくなったとする。この場合、システムロスカーブ(S)上を動く水車(11)の運転点は図5のa点からb点に移動する。これにより、水車(11)の運転点が適切運転領域からキャビテーション領域に至ってしまう。
また、図6は、水車(11)の運転点がキャビテーション領域に至ってしまった他の一例である。上述した流量制御において、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)に収束しているとする。この際、システムロスカーブが図6のSである場合、水車(11)の運転点は図6のa点となる。この状態から、例えば貯留槽(2)の水位が上昇する、あるいは受水槽(3)の水位が低下すると、管路(5)の総落差(Ho)が図6のHoからHo’へと増大する。この結果、システムロスカーブも図6のSからS’へと上方へシフトし、水車(11)の運転点が図6のa点からc点に移動する。これにより、水車(11)の運転点が適切運転領域からキャビテーション領域に至ってしまう。
そこで、本実施形態では、このようなキャビテーションの発生を防止するために、第1弁制御が行われる。具体的には、例えば図7に示すように、システムロスカーブがS1、流量指令値がQ*である状態において、水車(11)の運転点(d点)がキャビテーション領域に至ってしまったとする。この場合、図4のステップSt2で検出される有効落差(H)は、図7のH(d)となる。次いで、ステップSt3では、有効落差H(d)と第1閾値(Hoptmax1)との大小比較が行われる。ここで、第1閾値(Hoptmax1)は、図7に示すように、キャビテーション境界を示す曲線と流量指令値(Q*)との交点に対応する有効落差であり、特性マップ(M)や、キャビテーション境界、流量、及び有効落差の関係を表す式やテーブルから求めることができる。即ち、第1閾値(Hoptmax1)は、流量指令値(Q*)に応じて変化する変数である。
図7の例では、水車(11)の運転点がd点にあるときに、有効落差(H)が第1閾値(Hoptmax1)より大きいため、ステップSt5へ移行する。これにより、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を所定開度小さくする(第1弁制御)。電動弁(21)の開度が所定開度小さくなると、管路(5)の抵抗に相当する落差が大きくなり、ひいては水車(11)の有効落差(H)が小さくなる。また、これに伴い管路(5)ないし水車(11)の流量も小さくなる。この結果、水車(11)の運転点は、例えばd点からe点へと推移する。
ステップSt5の後には、ステップSt1へ移行し、再び流量制御が実行される。上述のように、電動弁(21)の開度が小さくなり、水車(11)の運転点がe点に至ることで、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)よりも小さくなってしまう。しかし、第1弁制御の後、流量制御が行われることで、水車(11)の運転点がシステムロスカーブS2上を移動し、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)へ再び収束する。これにより、水車(11)の運転点が図7のe点からf点に移動する。
再びステップSt3へ移行すると、f点の水車(11)の有効落差(H)は、未だ第1閾値(Hoptmax1)よりも大きい。従って、ステップSt5へ移行し、電動弁(21)の開度を所定開度小さくする。この結果、水車(11)の有効落差(H)及び流量(Q)が更に小さくなり、水車(11)の運転点がg点に至る。
再びステップSt1へ移行し流量制御が行われると、水車(11)の運転点がシステムロスカーブS3上を移動し、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)へ再び収束する。これにより、水車(11)の運転点が図7のg点からh点に移動する。
再びステップSt3へ移行すると、g点の水車(11)の有効落差(H)は、第1閾値(Hoptmax1)よりも小さい。このため、ステップSt5には移行せず、第1弁制御は行われない。
以上のように、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあると、第1弁制御と流量制御とが協調して実行される。これにより、水車(11)の運転点を適切運転領域に戻すことができるとともに、水車(11)の流量(Q)を流量指令値(Q*)に収束させることができる。また、図4や図7に示すように、第1弁制御と流量制御とは、互いに異なるタイミングで交互に実行される。仮に第1弁制御と流量制御とを同じタイミングで実行すると、水車(11)の運転点がハンチングしてしまい、該運転点を速やかに適切運転領域かつ流量指令値(Q*)へ収束させることができない。これに対し、本実施形態では、第1弁制御と流量制御の実行の開始のタイミングを互いにずらしているため、水車(11)の運転点の制御性が向上し、該運転点を速やかに適切運転領域かつ流量指令値(Q*)に収束させることができる。
〈第2弁制御〉
第2弁制御は、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に留まってしまうことを回避するための制御である。この動作限界曲線に係る課題、及びそれを解消するための制御について図8及び図9を参照しながら説明する。
動作限界曲線は、発電機(12)の回転数が0又は所定の最低回転数に至ることに起因して、発電機(12)により、水車(11)の流量(Q)を流量指令値(Q*)に制御できなくなる運転点の境界である。このため、水車(11)の運転点が動作限界曲線に至ってしまうと、その後は、流量制御を継続して実行できなくなってしまう。
例えば図8は、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ってしまった一例である。上述した流量制御において、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)に収束しているとする。この際、システムロスカーブが図8のSである場合、水車(11)の運転点は図8のa点となる。この状態から、例えば貯留槽(2)の水位が低下する、あるいは受水槽(3)の水位が上昇すると、管路(5)の総落差(Ho)が減少し、この総落差が図8のHoからHo’へ低下する。この結果、システムロスカーブも図8のSからS’へと下方へシフトし、水車(11)の運転点がa点からc点へ移動しようとする。ところが、水車(11)の有効落差(H)の低下に伴い水車(11)の運転点が動作限界曲線上(b点)に至ると、もはや水車(11)の流量(Q)を流量指令値(Q*)に制御できなくなる。この結果、この例では、水車(11)の運転点が動作限界曲線上を左下へ移動する。この結果、水車(11)の運転点は、b点からc点ではなく、b点からd点へ移動する。
この状態では、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)よりも小さくなってしまうため、目標流量を満たすことができない。また、この状態では、水車(11)の運転点が未だ動作限界曲線上にあるため、流量制御によって水車(11)の流量を調節することができない。そこで、本実施形態では、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に留まってしまうことを回避するために、第2弁制御が行われる。
具体的には、例えば図9に示すように、水車(11)の運転点が動作限界曲線上のd点に至ってしまったとする。この場合、図4のステップSt2で検出される有効落差(H)は、図9のH(d)となる。ステップSt3では、有効落差H(d)が第1閾値より低いため、ステップSt4へ移行する。ステップSt4では、有効落差H(d)と第2閾値(Hoptmin1)との大小比較が行われる。ここで、第2閾値(閾値)(Hoptmin1)は、図9に示すように、動作限界曲線と流量指令値(Q*)との交点に対応する有効落差であり、特性マップ(M)や、動作限界曲線、流量、及び有効落差の関係を表す式やテーブルから求めることができる。即ち、第2閾値(Hoptmin1)は、流量指令値(Q*)に応じて変化する変数である。
図9の例では、水車(11)の運転点がd点であるときには、有効落差(H)が第2閾値(Hoptmin1)より小さいため、ステップSt6へ移行する。これにより、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を所定開度大きくする(第2弁制御)。電動弁(21)の開度が所定開度大きくなると、管路(5)の抵抗に相当する落差が小さくなり、ひいては水車(11)の有効落差(H)が大きくなる。また、これに伴い管路(5)ないし水車(11)の流量も大きくなる。この結果、水車(11)の運転点が動作限界曲線よりも上側の適切運転領域へ戻る(例えば図9の運転点e)。その後、ステップSt1へ戻り流量制御が行われると、水車(11)の運転点はシステムロスカーブS2上を移動し、流量(Q)が流量指令値(Q*)に調節される。これにより、水車(11)の運転点が図9のf点へ移動する。f点の水車(11)の有効落差(H)は第2閾値(Hoptmin1)よりも大きいため、その後に第2弁制御は実行されない。
以上のように、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ると、第2弁制御と流量制御とが協調して実行される。これにより、水車(11)の運転点を適切運転領域に戻すことができるとともに、水車(11)の流量(Q)を流量指令値(Q*)に収束させることができる。また、図4及び図9に示すように、第2弁制御と流量制御とは、互いに異なるタイミングで交互に実行される。仮に第2弁制御と流量制御とを同じタイミングで実行すると、水車(11)の運転点がハンチングしてしまい、該運転点を速やかに適切運転領域かつ流量指令値(Q*)へ収束させることができない。これに対し、本実施形態では、第2弁制御と流量制御の実行の開始のタイミングを互いにずらしているため、水車(11)の運転点の制御性が向上し、該運転点を速やかに適切運転領域かつ流量指令値(Q*)に収束させることができる。
〈発電電力/流量協調制御〉
図4において、有効落差(H)が第1閾値(Hoptmax1)と第2閾値(Hoptmin1)との間にあり、水車(11)の運転点が適切運転領域にあると判断されると、ステップSt7に移行し、発電電力/流量協調制御が行われる。この発電電力/流量協調制御について、図10〜図13を参照しながら説明する。
図10に示すように、発電電力/流量協調制御は、上述した流量制御と、MPPT制御(発電電力制御)とを協調して行う制御である。図10のステップSt11において、発電電力/流量協調制御の初回の動作であるか否かの判定が行われる。初回動作である場合、B(図11のステップSt21)へ移行する。ステップSt21では、発電電力(P)及び流量(Q)が検出される。発電電力(P)及び流量(Q)の検出方法は、上述の通りである。次いで、ステップSt22において、電動弁(21)の開度が100%(全開)である場合、電動弁(21)の開度を所定開度小さくし、そうでない場合、電動弁(21)の開度を大きくする。その後、再び図4のステップSt1へ戻る。
Bの動作を経た後には、ステップSt11からステップSt12へ移行し、発電電力(P)及び流量(Q)が検出される。
次いでステップSt13〜St16において、今回検出した発電電力と、その前の回に検出した発電電力との差ΔP、及び今回の電動弁(21)の開度と、その前の回の電動弁(21)の開度との差Δαの大小関係について、それぞれ判定が行われる。なお、初回のMPPT制御では、図11のステップSt21で検出された発電電力(P)及び流量(Q)が前回の値となり、図10のステップSt12で検出された発電電力(P)及び流量(Q)が今回の値となる。そして、これらの結果に基づいて、発電電力(P)が増大するように電動弁(21)の開度が調節される。
具体的には、ステップSt13において、1)ΔPが0以上且つΔαが0より大きい場合、又は2)ΔPが0より小さく且つΔαが0より小さい場合、電動弁(21)の開度を大きくすることで発電電力(P)を増大できると判断できる。従って、この場合には、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を所定開度α大きくする(ステップSt15)。
また、ステップSt14において、3)ΔPが0以上且つΔαが0より小さい場合、あるいは4)ΔPが0より小さく且つΔαが0より大きい場合、電動弁(21)の開度を小さくすることで発電電力(P)を増大できると判断できる。従って、この場合には、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を所定開度α小さくする(ステップSt16)。
このようにして電動弁(21)の開度が調節されると、図4のステップSt1へ再び戻り、流量制御が行われる。MPPT制御により、電動弁(21)の開度が調節されると、水車(11)の流量が変化する。しかし、この流量制御により、水車(11)の流量(Q)を速やかに流量指令値(Q*)に収束させることができる。その後、発電電力(P)及び流量(Q)が再び検出され(ステップSt12)、その後、再びMPPT制御が行われ電動弁(21)の開度が調節される。なお、ステップSt15及びステップSt16における電動弁(21)の開度の制御では、流量制御が行われず、発電機(12)のトルク値が制御されることもない。つまり、ステップSt1の流量制御は、電動弁(21)の開度の調節が終了してから実行される。
MPPT制御では、このようなステップが繰り返されることで、発電電力(P)が最大発電電力へ収束していくとともに、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)へ収束していく。この動作について図12及び図13を参照しながら更に詳細に説明する。
例えば水車(11)の運転点がa点にあったとする。この場合、水車(11)の流量(Q)は流量指令値(Q*)に収束しているが、発電電力(P)は最大発電電力にまで至っていない。このような状態から、MPPT制御が行われると、電動弁(21)の開度がα大きくなる。その後、流量制御が行われ、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)に収束し、水車(11)の運転点がb点に至ると、発電電力(P)が図13のPaからPbへと増大変化する。
図12に示す運転点がa点からb点に至るまでの動作では、Δα>0、ΔP≧0が成立する。このため、次のMPPT制御では、電動弁(21)の開度が更にα大きくなる。その後、流量制御が行われると、水車(11)の運転点がc点に至り、発電電力(P)が図13のPbからPcへと増大変化する。図12に示す運転点がb点からc点に至るまでの動作では、Δα>0、ΔP≧0が成立する。このため、次のMPPT制御では、電動弁(21)の開度が更にα大きくなる。その後、流量制御が行われると、水車(11)の運転点がd点に至り、発電電力(P)が図13のPcからPdへと減少変化する。
図12に示す運転点がc点からd点に至るまでの動作では、α>0、ΔP<0が成立する。このため、次のMPPT制御では、電動弁(21)の開度がα小さくなる。その後、流量制御が行われると、水車(11)の運転点がe点に至り、発電電力(P)が図13の最大発電電力に相当する点ないし領域へと収束していく。
以上のように、本実施形態の水力発電システム(10)では、流量制御とMPPT制御とが協調して行われる。これにより、発電電力(P)を最大発電電力に収束させるとともに、水車(11)の流量(Q)を流量指令値(Q*)に収束させることができる。また、図10に示すように、流量制御とMPPT制御とは、互いに異なるタイミングで交互に実行される。仮に流量制御とMPPT制御とを同じタイミングで実行すると、水車(11)の運転点がハンチングしてしまい、該水車(11)の運転点を速やかに最大発電電力となる運転点、ないし流量指令値(Q*)を満たす運転点へ収束させることができない。これに対し、本実施形態では、流量制御とMPPT制御の実行の開始のタイミングを互いにずらしているため、水車(11)の運転点の制御性が向上し、該運転点を速やかに最大発電電力及び流量指令値(Q*)を満たす運転点へ収束させることができる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、水車(11)を流れる水の流量(Q)を目標流量に近づける流量制御と、発電機(12)の発電電力(P)を目標電力に近づけるように電動弁(21)の開度を調節する発電電力制御とを協調する発電電力/流量協調制御を行っている。このため、水車(11)の流量(Q)と、発電機(12)の発電電力(P)とを所望とする目標値に近づけることができる。
発電電力制御では、発電電力(P)を最大発電電力に近づけるMPPT制御を行っている。このため、発電機(12)の発電効率を向上できる。
流量制御と、MPPT制御とを実行するタイミングは互いにずれている。このため、水車(11)の運転点のハンチングを回避でき、流量制御及びMPPT制御の収束性を向上できる。
水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあるときには、電動弁(21)の開度を小さくする第1弁制御と、流量制御とが協調して行われる。これにより、水車(11)の流量(Q)を目標流量に収束させつつ、水車(11)近傍でのキャビテーションの発生を確実に防止できる。
水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至るときには、電動弁(21)の開度を大きくする第2弁制御と、流量制御とが協調して行われる。これにより、水車(11)の流量(Q)を目標流量に収束させつつ、水車(11)の運転点が動作限界曲線に留まってしまうことを速やかに回避できる。
〈実施形態の変形例〉
実施形態の変形例は、上述した実施形態と電動弁制御部(60)の構成が異なるものである。具体的に、変形例と上記実施形態とでは、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあるときの動作、及び水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ったときの動作が異なる。以下には、上記実施形態と異なる点について、図14及び図15を参照しながら説明する。
図14に示すように、変形例では、適切運転領域のうちキャビテーション境界の近傍において、第1制御限界曲線が定められている。第1制御限界曲線は、キャビテーション境界に沿うように該キャビテーション境界に隣接する曲線である。また、変形例では、適切運転領域のうち動作限界曲線の近傍において、第2制御限界曲線が定められている。第2制御限界曲線は、動作限界曲線に沿うように該動作限界曲線に隣接する曲線である。
図15に示すように、変形例において、水力発電システム(10)の運転が開始されると、実施形態と同様、流量制御が行われ、水車(11)の流量(Q)が流量指令値(Q*)に収束する(ステップSt31)。次いで、有効落差(H)が検出され(ステップSt32)、有効落差(H)と第1閾値(Hoptmax1)とが比較される。
有効落差(H)が第1閾値(Hoptmax1)よりも大きい場合、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあると判断され、電動弁(21)の開度を小さくする第1弁制御が行われる(ステップSt34)。次いで、再び有効落差(H)が検出され(ステップSt37)、有効落差(H)と第3閾値(Hoptmax2)とが比較される(ステップSt38)。ここで、第3閾値(Hoptmax2)は、図14に示す第1制御限界曲線と流量指令値(Q*)との交点に対応する有効落差であり、特性マップ(M)や、第1制御限界曲線、流量、及び有効落差の関係を表す式やテーブルから求めることができる。即ち、第3閾値(Hoptmax2)は、流量指令値(Q*)に応じて変化する変数である。
有効落差(H)が第3閾値(Hoptmax2)より大きい場合、水車(11)の運転点はキャビテーション境界と第1制御限界曲線との間の領域(第1領域という)にあると判断できる。この場合、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を更に小さくする(ステップSt39)。このようなステップSt37〜St39の動作は、有効落差(H)が第3閾値(Hoptmax2)より小さくなる(即ち、水車(11)の運転点が第1領域よりも内側へ移動する)まで継続して行われる。一方、水車(11)の運転点が第1領域にある間は、水車(11)の流量制御は行われない。以上のようにして、水車(11)の運転点が第1制御限界曲線と第2制御限界曲線との間まで移動すると、実施形態と同様、発電電力/流量協調制御が行われる。
また、ステップSt35において、有効落差(H)が第2閾値(Hoptmin1)よりも小さい場合、水車(11)の運転点が動作限界曲線上にあると判断され、電動弁(21)の開度を大きくする第2弁制御が行われる(ステップSt36)。次いで、再び有効落差(H)が検出され(ステップSt37)、有効落差(H)と第4閾値(Hoptmin2)とが比較される(ステップSt40)。ここで、第4閾値(Hoptmin2)は、図14に示す第2制御限界曲線と流量指令値(Q*)との交点に対応する有効落差であり、特性マップ(M)や、第2制御限界曲線、流量、及び有効落差の関係を表す式やテーブルから求めることができる。即ち、第4閾値(Hoptmin2)は、流量指令値(Q*)に応じて変化する変数である。
有効落差(H)が第4閾値(Hoptmin2)より小さい場合、水車(11)の運転点は動作限界曲線と第2制御限界曲線との間の領域(第2領域という)にあると判断できる。この場合、電動弁制御部(60)は、電動弁(21)の開度を更に大きくする(ステップSt41)。このようなステップSt37、St40、St41の動作は、有効落差(H)が第4閾値(Hoptmin2)より大きくなる(即ち、水車(11)の運転点が第2領域よりも内側に移動する)まで継続して行われる。一方、水車(11)の運転点が第2領域にある間は、水車(11)の流量制御は行われない。以上のようにして、水車(11)の運転点が第1制御限界曲線と第2制御限界曲線との間まで推移すると、実施形態と同様、発電電力/流量協調制御が行われる。
以上のように、変形例では、水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあると、水車(11)の運転点を第1制御限界曲線よりも内側まで移動させるため、キャビテーションの発生を確実に防止できる。この際、水車(11)の運転点が第1領域にあるときには、電動弁(21)の制御のみを行い、流量制御は行わない。このため、流量制御に起因して水車(11)の運転点がハンチングしてしまうことを回避でき、キャビテーションの発生リスクを速やかに解消できる。
また、変形例では、水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ると、水車(11)の運転点を第2制御限界曲線よりも内側まで移動させるため、水車(11)の運転点が動作限界曲線に留まってしまうことを確実に防止できる。この際、水車(11)の運転点が第2領域にあるときには、電動弁(21)の制御のみを行い、流量制御は行わない。このため、流量制御に起因して水車(11)の運転点がハンチングしてしまうことを回避でき、水車(11)の運転点を速やかに動作限界曲線から離すことができる。
〈その他の実施形態〉
上記実施形態において、水車(11)の運転点をキャビテーション領域から戻すための制御、及び水車(11)の運転点を動作限界曲線上から戻すための制御のいずれか一方、又は両方を省略した構成としてもよい。
上記実施形態の発電電力/流量協調制御では、水車(11)の流量(Q)を目標流量に近づける流量制御と、発電機(12)の発電電力を最大発電電力に近づける発電電力制御とを協調して行っている。しかし、発電電力制御では、発電機(12)の目標発電電力を必ずしも最大発電電力としなくてもよい。例えば電力系統(8)において、発電電力の抑制要求があった場合には、発電機(12)の発電電力を所定値以下に抑える必要が生じうる。この場合には、例えば発電機(12)の目標発電電力を、この抑制要求を満たす値に設定する。
上記実施形態の流量制御では、発電機(12)のトルク値を制御することで、水車(11)の流量(Q)を調節しているが、例えば発電機(12)の回転数を制御することで、水車(11)の流量(Q)を調節することも可能である。
管路(5)に設ける流量計(22)を省略し、図3の特性マップ(M)を用いて水車(11)の流量(Q)を推定するようにしてもよい。具体的には、例えば発電機(12)のトルク値や回転数などを用いて水車(11)の運転点を推定することで、この運転点に対応する水車(11)の流量(Q)を求めることができる。
このような特性マップ(M)を用いた流量計レスの構成において、仮に水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ると、特性マップ(M)を用いたとしても水車(11)の運転点を正確に特定できず、水車(11)の流量(Q)を正確に求めることができない。これに対し、上記実施形態では、水車(11)の運転点を速やかに適切運転領域に戻すことができるため、特性マップ(M)等を用いて水車(11)の流量(Q)を確実に推定できる。
水力発電システム(10)は、管路(5)に限らず、開水路や、閉水路(例えば管路)と開水路が混在する流路にも設置できる。一例としては、農業用水路に水力発電システム(10)を設置することが考えられる。また、水力発電システム(10)の設置場所は上水道(1)にも限定されない。
水車(11)に供給する流体は水には限定されない。例えば、ビルなどの空気調和装置に用いられるブラインを流体として利用することも考えられる。
本発明は、水力発電システムとして有用である。
5 管路(流路)
10 水力発電システム
11 水車
12 発電機
21 電動弁(圧力調節弁)
40 発電機コントローラ(制御部)

Claims (4)

  1. 流体が流れる流路(5)に配置される水車(11)と、
    前記水車(11)によって駆動される発電機(12)と、
    前記流路(5)に前記水車(11)と直列に配置される圧力調節弁(21)と、
    前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記発電機(12)の発電電力が目標電力に近づくように前記圧力調節弁(21)の開度を制御する発電電力制御とを協調して行う制御部(40)とを備え、
    前記制御部(40)は、前記流量制御と前記発電電力制御とを異なるタイミングで交互に繰り返し実行させ、
    前記発電電力制御では、前回の発電電力制御での前記圧力調節弁(21)の開度の制御に伴う発電電力の変化量ΔPが0以上である場合に、前記圧力調節弁(21)の開度を前記前回の発電電力制御と同じ方向に変化させ、前記前回の発電電力制御による前記圧力調節弁(21)の開度の制御に伴う発電電力の変化量ΔPが0より小さい場合に、前記圧力調節弁(21)の開度を前記前回の発電電力制御と逆方向に変化させることを特徴とする水力発電システム。
  2. 請求項1において、
    前記制御部(40)は、前記発電電力制御において、前記発電機(12)の発電電力が最大発電電力に近づくよう前記圧力調節弁(21)の開度を調節することを特徴とする水力発電システム。
  3. 請求項1又は2において、
    前記制御部(40)は、前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記水車(11)の運転点がキャビテーション領域にあることを示す第1条件が成立すると前記圧力調節弁(21)の開度を小さくする第1弁制御とを協調して行うことを特徴とする水力発電システム。
  4. 請求項1乃至のいずれか1つにおいて、
    前記制御部(40)は、前記水車(11)を流れる流体の流量が目標流量に近づくように前記発電機(12)を制御する流量制御と、前記水車(11)の運転点が動作限界曲線上に至ったことを示す第2条件が成立すると前記圧力調節弁(21)の開度を大きくする第2弁制御とを協調して行うことを特徴とする水力発電システム。
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