JP6846735B2 - 車両用制御装置 - Google Patents
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Description
アクセルペダルの踏込量と反力値とは、概ね比例関係を有するように設定されているため、運転者はアクセルペダルから付与される反力値によってアクセルペダルの踏込量を認識することが一般的である。それ故、アクセルペダルの反力値を変化させることにより、運転者の好みや走行環境に応じて運転者によるアクセルペダルの踏込操作を誘導するような反力制御装置が提案されている。
アクセルペダルの踏込操作の場合、運転者が車線変更を意図してから運転者の運転意図が車線変更であると推定されるまでの経過時間が長い程、アクセルペダルの反力指令値を速やかに低下させている。
特許文献2の車両のアクセルペダル制御装置は、アクセルペダルの踏込量とアクセルペダルの踏込速度と運転者に付与される反力値によって規定された三次元マップを有する反力設定手段と、アクセルペダルの踏込速度を検出する踏込速度検出手段とを備え、反力設定手段は、踏込速度が速いとき、踏込速度が遅いときに比べてアクセルペダルの反力値が小さくなるように反力特性を設定している。
これにより、運転者の負担と違和感を軽減しつつ、走行環境や運転意思に適合した反力特性を設定することができる。
図16に示すように、足関節によるアクセルペダルの操作には、主に、前脛骨筋t、ヒラメ筋s及び腓腹筋g等が関与している。
前脛骨筋tは、足関節の背屈運動を行う単(一)関節筋であり、ヒラメ筋sは、足関節の底屈運動を行う単関節筋である。腓腹筋gは、足関節の底屈運動と膝関節の屈曲運動を行う二関節筋である。これらの骨格筋のうち、単関節筋は、機械的な力比に依存し、重力に抗して体を持ち上げる抗重力性を有し、また、二関節筋は、機械的なエネルギー消費を抑制し、外力の方向制御、所謂体を特定の方向に推進移動させる推進性を有している。
骨格筋は、力学特性として粘弾性特性を有しているため、直列弾性要素と収縮要素からなる二要素モデルによって表すことができ、直列弾性要素の弾性係数は筋張力の増加に伴って増加する関係になること、収縮要素の負荷と速度とは双曲線の関係になること、筋全体のスティフネスは筋活動と線形関係になること等が知られている。
しかし、特許文献2の技術では、運転者の運転意思に適合したアクセルペダルの反力値を得ることはできるものの、運転者の運動に係る骨格筋の側面から観た操作性向上については、更なる改善の余地が存在している。
例えば、大柄な運転者は、小柄或いは女性の運転者に比べてシートを後方にスライドさせてシートポジションを調節する。運転姿勢の観点から、シートポジションが後方移動される程運転者の膝角度が大きくなる傾向がある。
また、スポーツ車両の場合、SUV車両に比べてフロアパネルからのシート高さが低くなるようにシートポジションが設定される。運転姿勢の観点から、シート高さが低くなる程運転者の膝角度が大きくなる傾向がある。
特許文献2のアクセルペダル制御装置は、運転者の運転姿勢と主働筋との関連性を考慮するものではない。それ故、小柄な運転者がスポーツ車両を運転する場合には、二関節筋に比べて動作速度と踏力の点で劣る単関節筋を主働筋としてアクセルペダルを操作することになるため、急加速時、アクセルペダルの操作に十分な踏力を確保することができず、素早いアクセルペダル動作を実行できない虞がある。
反力設定手段が、踏込開始及び踏込終了領域を除く主往特性の傾斜角度又は主往特性の反力値を前記筋活動推定手段によって推定されたアクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率に基づき補正するため、アクセルペダルの反力を介してアクセルペダル操作に関与する二関節筋の寄与率を増加することができ、運転者のアクセルペダルの操作性を向上することができる。
この構成によれば、寄与率に応じて二関節筋の活動を誘発することができ、アクセルペダル操作に関与する二関節筋の寄与率を増加することができる。
この構成によれば、制御処理上、簡単な構成で、二関節筋の寄与率を調整することができる。
この構成によれば、シート位置をパラメータとして運転者の姿勢状況を判定することができ、アクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率を推定することができる。
以下の説明は、本発明を車両の制御装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
車両用制御装置1は、運転者の筋活動に応じてアクセルペダル3の反力値を制御することにより、運転者に踏込速度に拘らず操作リニアリティを付与可能に構成されている。
図1に示すように、制御装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2を備えている。ECU2は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、ROMに記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することにより各種演算処理を行っている。
踏込量センサ4は、アクセルペダル3又は回転軸31に設けられ、その回動量からアクセルペダル3の踏込ストローク、所謂踏込量Sを検出する。踏込量センサ4で検出されたアクセルペダル3の踏込量Sは、ECU2に出力される。尚、運転者の踏込みによる踏力が作用しない場合、アクセルペダル3は、アクセルペダル3に連結されたリターンスプリング32によって踏込量Sが零である初期位置に戻るように付勢されている。
踏込速度センサ5は、アクセルペダル3の回転軸31に設けられ、その回転速度からアクセルペダル3の踏込速度Vを検出する。踏込速度センサ5で検出されたアクセルペダル3の踏込速度Vは、ECU2に出力される。
速度センサ6、ヨーレートセンサ7、加速度センサ8は、各々の検出結果をECU2に出力している。
この車両走行部10は、エンジン制御部、ステアリングアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及びシフトアクチュエータ(何れも図示略)等によって構成されている。
車両走行部10は、ECU2からの出力信号に基づいて車両の走行制御を実行している。
第1摩擦部材41は回動軸31の一端部に固着され、第2摩擦部材42が第1摩擦部材41に臨む状態で配設されている。第2摩擦部材42は、回動軸31の軸心延長上に配設された保持軸44に対して、回転不能且つ軸心方向に相対移動可能に保持されている。
アクチュエータ43は、第1,第2摩擦部材41,42を圧接状態と離隔状態との間において相対位置関係を変更し、圧接時における圧接力を調整可能に構成されている。
図1に示すように、ナビゲーションシステム12には、車両の現在位置を検出するためのGPS受信部13が電気的に接続されている。GPS受信部13は、複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両の現在位置を検出する。
また、ナビゲーションシステム12は、道路地図データを記憶した地図データベースと、交通規則データを記憶した交通規則データベースとを備えている。
ナビゲーションシステム12は、GPS受信部13による車両の現在位置データ、地図データベースの道路地図データ及び交通規則データベースの交通規則データを利用して運転者に目的地までの経路案内を行う。
これにより、ナビゲーションシステム12は、車両の現在位置データ、道路地図データ、及び交通規則データをECU2に出力する。
図1に示すように、ECU2は、走行制御部21と、記憶部22と、筋活動推定部23(筋活動推定手段)と、反力設定部24(反力設定手段)等を備えている。
走行制御部21は、アクセルペダル3の踏込量Sと速度センサ6によって検出された車速に基づいてエンジンの出力を制御すると共に車両走行状態とエンジンの運転状態とに基づいて変速機の変速比を選択可能に構成されている。
変速機で減速されたエンジンの出力はドライブシャフト(図示略)を介して駆動輪に伝達される。
図3に示すように、三次元マップMは、アクセルペダル3の踏込量S(Sa〜Sd)に相当するS軸(縦軸)と、アクセルペダル3の踏込速度Vに相当するV軸(横軸)と、アクセルペダル3を介して運転者に付与される反力F(Fa〜Ff)に相当するF軸(高さ軸)との3軸によって立体状に形成されている。
この三次元マップMの基本特性は、標準的な運転者を対象として形成され、この運転者による所定のアクセルペダル3の操作、所謂踏込及び踏戻動作(足関節の底屈及び背屈運動)において、二関節筋(例えば、腓腹筋等)と単関節筋(例えば、前脛骨筋やヒラメ筋等)とが所定のバランス範囲(例えば、二関節筋の寄与率が40%以上且つ60%未満)内で動作されることを前提条件として設定されている。尚、バランス範囲は、予め実験等により求めている。
尚、特段の説明がない場合、便宜上、踏込量S(Sa〜Sd)、反力F(Fa〜Ff)、特性FA(FAa),FB(FBa〜FBf),FC(FCa〜FCf),FD(FDa)を夫々代表する符号として踏込量S、反力F、特性FA,FB,FC,FDを用いて以下の説明を行う。
復特性FCは、踏込量Sの減少に応じて線形状に減少するように設定され、終期復特性FDは、主復特性FCよりも大きい減少傾向で線形状に減少するように設定されている。
P=klog(F)+K …(1)
尚、Kは積分定数である。
この主往特性FBは、初期踏込量Saと最大踏込量Sbの中間点である中間踏込量Sc(反力Fc)に接近する程、主往特性FBの接線角度の変化率が小さくなるように設定されている。
図5(b)に示すように、高踏込速度領域のP−F特性は、図5(a)に示す低踏込速度領域のP−F特性に比べてP−F特性上の接線角度の変化率が小さくなるように形成された上方凸状の対数関数形状に設定されている。それ故、図4(b)に示すように、高踏込速度におけるF−S特性において、初期踏込量Sa且つ反力Fdの位置から最大踏込量Sb且つ反力Feの位置に相当する主往特性FBaは、図4(a)に示す主往特性FBよりも接線角度の変化率が小さい下方凸状の指数関数形状に設定されている。
これは、刺激認識能力が低い高踏込速度領域よりも刺激認識能力が高い低踏込速度領域において、運転者に線形連続性を強く知覚させることにより、運転者に踏込速度Vに拘らず操作リニアリティを感覚的及び経験的に体感させるためである。
また、主往特性FBaは、主往特性FBと同様に、初期踏込量Saと最大踏込量Sbの中間点である中間踏込量Sc(反力Ff)に接近する程、主往特性FBaの接線角度の変化率が小さくなるように設定されている。
尚、前述した接線角度の変化率に代えて、特定領域における曲率半径の逆数を用いて非線形度合を調整しても良い。
筋活動推定部23は、運転者の姿勢状況に基づいてアクセルペダル3の操作に対する二関節筋の寄与率を推定するように構成されている。
二関節筋は、単関節筋に比べてエネルギー効率が高く、また、動作速度も速い特性を有している。そこで、アクセルペダル3を操作する際、運転者の運転姿勢が、二関節筋の寄与率が小さくなる姿勢状況の場合、アクセルペダル3の反力Fを高めることにより、足関節周りの骨格筋のうち二関節筋の活動比率を高め、運転者によるアクセルペダル3の踏込及び踏戻動作において二関節筋の筋活動に対する寄与率を高くしている。
この筋活動推定部23は、運転者の姿勢状況をシート位置センサ9によって検出されたシートポジションをパラメータとして判定している。
図6(b)に示すように、運転者によって調節されたシート高さTがT2(T2<T1)の場合、運転者の膝の角度θ2が膝角度θ1よりも大きいため、膝角度θ2における二関節筋の寄与率は、膝角度θ1における二関節筋の寄与率よりも増加する。
図6(c)に示すように、運転者によって調節されたシート高さTがT3(T3<T2)の場合、運転者の膝の角度θ3が膝角度θ2よりも大きいため、膝角度θ3における二関節筋の寄与率は、膝角度θ2における二関節筋の寄与率よりも増加する。
これにより、シート高さTが低い程、二関節筋の寄与率の増加を推定している。
図7(b)に示すように、運転者によって調節されたスライド量LがL2(体格が標準)(L2<L1)の場合、膝角度θ5が膝角度θ4よりも大きくなるため、膝角度θ5における二関節筋の寄与率は、膝角度θ4における二関節筋の寄与率よりも増加する。
図7(c)に示すように、運転者によって調節されたスライド量LがL3(体格が大柄)(L3<L2)の場合、膝角度θ6が膝角度θ5よりも大きくなるため、膝角度θ6における二関節筋の寄与率は、膝角度θ5における二関節筋の寄与率よりも増加する。
これにより、スライド量Lが短い程、二関節筋の寄与率の増加を推定している。
尚、閾値A,Bは、人間の関節粘弾性特性に基づいて予め実験等により求めている。
急加速(例えば、踏込速度Vが大きい1sec未満の加速操作)のとき、動作速度が速く且つ操作力が大きい二関節筋が主働筋に適しており、中加速(例えば、踏込速度Vが急加速よりも小さく且つ1〜3secの加速操作)のとき、単関節筋と二関節筋のバランスがとれた状態(バランス範囲)が適しており、緩加速(例えば、踏込速度Vが中加速よりも小さく且つ3sec以上の加速操作)のとき、踏込及び踏戻動作の操作精度が高い単関節筋が主働筋に適している。そこで、アクセルペダル3を操作する際、急加速操作が検出された場合、二関節筋を活動主体とすべき主働筋、中加速操作が検出された場合、単関節筋と二関節筋が協働すべき状況、緩加速操作が検出された場合、単関節筋を活動主体とすべき主働筋として推定している。
この筋活動推定部23は、運転状況を踏込速度センサ5によって検出された踏込速度V及びアクセルペダル3の操作時間によって判定している。
反力設定部24は、主往特性FBにおける反力Fを筋活動推定部23によって推定された二関節筋の筋活動に対する寄与率に基づき補正するように構成されている。
この反力設定部24は、推定された二関節筋の寄与率に応じて主往特性FBの反力Fを補正するための姿勢補正係数K1を夫々設定している。
本実施例では、二関節筋の寄与率が大のとき、二関節筋が十分活動しているため、基本特性を維持するように姿勢補正係数K1を零に設定し、二関節筋の寄与率が中のとき、二関節筋の寄与率を高めるため、反力Fを増加するように姿勢補正係数K1をK1a(0<K1a)に設定し、二関節筋の寄与率が小のとき、二関節筋の寄与率を更に高めるため、姿勢補正係数K1をK1aよりも大きい値のK1bに設定している。
この反力設定部24は、推定された活動主体とすべき主働筋に応じて主往特性FBの反力Fを補正するための主往特性補正係数K2を夫々設定している。
本実施例では、踏込速度Vが0以下のとき、基本特性を維持するように主往特性補正係数K2を零に設定し、踏込速度Vが緩加速のとき、主往特性FBの反力Fを減少するように主往特性補正係数K2をK2a(K2a<0)に設定し、前操作の主働筋が二関節筋で且つ踏込速度Vが中加速のとき、反力Fを減少するように主往特性補正係数K2をK2b(K2a<K2b<0)に設定し、前操作の主働筋が単関節筋で且つ踏込速度Vが中加速のとき、反力Fを増加するように主往特性補正係数K2をK2c(0<Kc)に設定し、踏込速度Vが急加速のとき、反力Fを更に増加するように主往特性補正係数K2をK2cよりも大きい値のK2dに設定している。
この反力設定部24は、初期特性補正を行う場合、次式(2)に基づき、主往特性FB及び主復特性FCについてF−S特性全体をオフセット的に反力増加方向に補正している。
Fx=(1+α×K1+β×K2)×F …(2)
Fxは補正後の反力値、α,βは係数である。
Fx=F+(γ×K1+δ×K2)×S …(3)
γ,δは係数である。
この反力設定部24は、反力制御機構11に補正されたF−S特性に基づく反力Fに関する指令信号を出力する。
尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示す。
図8のフローチャートに示すように、まず、S1にて、イグニッション(Ig)がオン操作されたか否か判定する。
S1の判定の結果、イグニッションがオン操作された場合、各種センサ4〜9及びナビゲーションシステム12から入力された情報を読み込み(S2)、S3に移行する。
S3では、車両が発進時か否か判定する。
S3の判定の結果、車両が発進時の場合、姿勢補正係数K1を演算し(S4)、S5に移行する。
S5の判定の結果、運転者が急加速操作を行った場合、初期往特性FA及び終期復特性FDについて初期特性を演算し(S6)、S7に移行する。
S7では、主往特性補正係数K2を演算し、S8に移行する。
S8では、初期特性補正の有無を判定する。
S8の判定の結果、初期特性補正された場合、式(2)に基づき補正後の反力Fxを演算し(S9)、S10に移行する。
S10では、補正後の反力Fxを反映させたF−S特性に基づいて反力制御機構11を作動させて、リターンする。
S5の判定の結果、運転者が急加速操作を行わっていない場合、S7に移行する。
S3の判定の結果、車両が発進時ではない場合、S12に移行し、主往特性FBに相当する領域を走行しているか否か判定する。
S12の判定の結果、主往特性FBに相当する領域を走行している場合、S7に移行する。S12の判定の結果、主往特性FBに相当する領域を走行していない場合、リターンする。
図9のフローチャートに示すように、姿勢補正係数演算処理では、まず、シート高さTとスライド量Lを加算した加算値T+Lが閾値A以上か否か判定する(S21)。
S21の判定の結果、加算値T+Lが閾値A以上の場合、S22に移行し、加算値T+Lが閾値B以下か否か判定する。
S22の判定の結果、加算値T+Lが閾値Bよりも大きい場合、二関節筋の筋活動に対する寄与率が更に低い姿勢状況であるため、姿勢補正係数K1にK1bを代入して(S24)、終了する。
S21の判定の結果、加算値T+Lが閾値A未満の場合、二関節筋の筋活動に対する寄与率が高い姿勢状況であるため、姿勢補正係数K1に零を代入して(S24)、終了する。
図10のフローチャートに示すように、主往特性補正係数演算処理では、まず、アクセルペダル3の踏込速度Vが零よりも大きい(踏込操作有り)か否か判定する(S31)。
S31の判定の結果、アクセルペダル3の踏込速度Vが零よりも大きい場合、S32に移行し、緩加速か否か判定する。
S32の判定の結果、緩加速の場合、動作の操作精度を高めるため、主往特性補正係数K2にK2aを代入して(S33)、終了する。
S34の判定の結果、中加速の場合、S35に移行し、前操作の主働筋が二関節筋であるか否か判定する。
S35の判定の結果、前操作の主働筋が二関節筋である場合、二関節筋主動の状態からバランス範囲内の状態に補正するため、主往特性補正係数K2にK2bを代入して(S36)、終了する。
S34の判定の結果、中加速ではない場合、急加速であるため、動作速度を速く且つ操作力を大きくするために主往特性補正係数K2にK2dを代入して(S37)、終了する。
S31の判定の結果、アクセルペダル3の踏込速度Vが零以下の場合、主往特性補正係数K2に零を代入して(S39)、終了する。
尚、図11〜図15では、理解の容易化を図るため、下方凸状である主往特性FBを便宜的に主復特性FCに平行な線形状に表示し、F−S特性をモデル化して示している。
図11に示すように、発進且つ急加速操作時、活動すべき主働筋が二関節筋であると推定されるため、初期往特性FA及び終期復特性FDは、各々が上方に移行された初期往特性FAb及び終期復特性FDbに初期特性補正され、主往特性FB及び主復特性FCも同様に上方に移行された主往特性FBb及び主復特性FCbに補正されている。これにより、補正前のF−S特性全体を上方にオフセット的に移行させることにより、主往特性FBの反力Fを二関節筋の寄与率が60%以上の反力Fxからなる主往特性FBbに補正している。また、推定された二関節筋の筋活動に対する寄与率が低い姿勢状況の場合、オフセット量が更に増加される。
補正前の主往特性FBと補正後の主往特性FBc(主往特性FBd)の傾斜角度の差が所定の閾値以上の場合、運転者が特性変更に伴う違和感を感じるため、補正前の主往特性FBの終端(踏込量Sdの直前領域)と補正後の主往特性FBcの始端(踏込量Sdの直後領域)を滑らかに接続する補正を行っている。
図15に示すように、主働筋が単関節筋である操作中に中加速操作(平坦路から高速道路の加速車線に移行等)した時、二関節筋と単関節筋の協働状態が適していると推定されるため、主往特性FBfは踏込量Sdから主往特性FBよりも傾斜角度が大きくなるように補正されている。主復特性FCfも主往特性FBfと同様に補正されている。また、推定された二関節筋の筋活動に対する寄与率が低い姿勢状況の場合、踏込量Sdの地点からの傾斜角度の増加傾向が拡大される。尚、中加速操作の場合、姿勢補正を含めて補正完了後の反力Fxがバランス範囲内に収まるように上限値及び下限値が調整されている。
本制御装置1によれば、この車両用制御装置1では、運転者の姿勢状況に基づいてアクセルペダル3の操作に対する二関節筋の寄与率を推定する筋活動推定部23を備えているため、運転者の膝角度θを介してアクセルペダル3操作に関与する二関節筋の寄与率を推定することができる。反力設定部24が、主往特性FBの傾斜角度又は主往特性の反力Fを筋活動推定部23によって推定されたアクセルペダル3の操作に対する二関節筋の寄与率に基づき補正するため、アクセルペダル3の反力Fを介してアクセルペダル3操作に関与する二関節筋の寄与率を増加することができ、運転者のアクセルペダル3の操作性を向上することができる。
1〕前記実施形態においては、アクチュエータと摩擦部材とにより構成した反力制御機構を用いた例を説明したが、反力モータを備えたアクセルバイワイヤ機構を用いても良い。
また、初期往特性と終期復特性のみ増加補正すると共に、踏込量中盤まで二関節筋優位になるよう補正し、中盤以降単関節筋優位になるよう補正することも可能である。
3 アクセルペダル
4 踏込量センサ
9 シート位置センサ
23 筋活動推定部
24 反力設定部
S 踏込量
V 踏込速度
F 反力
M 三次元マップ
FB 主往特性
Claims (4)
- 往特性及び復特性を有し且つアクセルペダルの踏込量と反力値との相関関係を設定した制御マップと、この制御マップに基づきアクセルペダルの反力値を設定する反力設定手段とを備えた車両用制御装置において、
運転者の姿勢状況に基づいてアクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率を推定する筋活動推定手段を備え、
前記反力設定手段が、踏込開始及び踏込終了領域を除く主往特性の傾斜角度又は主往特性の反力値を前記筋活動推定手段によって推定されたアクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率に基づき補正することを特徴とする車両用制御装置。 - 前記反力設定手段は、アクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率が小さい程前記主往特性を反力増加方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
- 前記反力設定手段は、前記主往特性を含む前記制御マップにおける反力と踏込量との相関特性全体をオフセット的に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御装置。
- 運転者のシート位置を検出するシート位置検出手段を備え、
前記筋活動推定手段は、前記シート位置検出手段によって検出されたシート位置によってアクセルペダルの操作に対する二関節筋の寄与率を推定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用制御装置。
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