JP6846016B2 - 圧粉磁心 - Google Patents

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Description

本発明は、Fe系の軟磁性材料粉を用いて構成された圧粉磁心に関する。
従来から、家電機器、産業機器、車両など多種多様な用途において、インダクタ、トランス、チョーク等のコイル部品が用いられている。コイル部品は、磁性コアと、磁性コアの周囲に巻回されたコイルで構成される。かかる磁性コアには、磁気特性、形状自由度、価格に優れるフェライトが広く用いられている。
近年、電子機器等の電源装置の小型化が進んだ結果、小型・低背で、かつ大電流に対しても使用可能なコイル部品の要求が強くなり、その磁性コアとしては、フェライトと比較して飽和磁束密度が高いFe系の軟磁性材料粉を使用した圧粉磁心の採用が進んでいる。Fe系の軟磁性材料粉としては、例えば、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Si−Cr系などの合金の粒子が用いられている。合金の粒子の表面には専ら絶縁被膜が形成されている。
Fe系の軟磁性材料粉を圧密化して得られる圧粉磁心は、専ら軟磁性材料粉をバインダとともにパンチとダイとでなる金型内に充填し、高圧力で加圧成形し、真空雰囲気等の非酸化雰囲気中にてバインダが分解しない温度でアニール処理して形成される。
高圧力での成形で合金粒子表面の絶縁被膜が破壊される場合がある。また成形途中、金型に充填された軟磁性材料粉はダイ表面と大きな面圧で密接していて、成形体を金型から取り出す際に、成形体表面側の合金の粒子が大きく塑性変形し、ダイ表面との密接面(以下、摺接面と呼ぶ)には幾条もの筋状痕が離型方向に形成される場合がある。成形体表面で筋状痕が形成された部位では、粒子が離型方向に延びたりして絶縁被膜が破壊する場合があった。合金の粒子が軟らかく、その展性が高いものであるほど、合金の粒子同士の絶縁被膜等の介在物がない状態での直接接触が生じ易い。高圧力で成形する程にその頻度が高まって、ついには成形体の摺接面に薄い金属の層(以下、導電部と呼ぶ)が形成され、アニール処理されて得られる圧粉磁心は、その内部および表面において合金の粒子の絶縁被膜が破壊されて絶縁が不十分なものとなり易い。また成形体に機械加工を施す場合にも同様に、表面側の合金の粒子に絶縁被膜の破壊とともに塑性変形が生じ、合金の粒子同士の直接接触が生じる場合もあった。
圧粉磁心においては絶縁不十分で電気抵抗が小さいと、例えば特許文献1にて説明されているようにコイル部品においては渦電流損失の増大によって磁心損失が大きくなり易いといった問題がある。そこで、特許文献1や特許文献2では成形体表面の導電部を除く表面処理を行なうことが開示されている。
特開2013−131676号公報 特開2006−229203号公報
成形体表面の導電部の除去は、圧粉磁心の表面における電気抵抗向上に一定の効果を有するが、圧粉磁心の内部を含め、全体としての電気抵抗の向上について効果は期待できない。特許文献1ではレーザー処理等の機械的除去手段で行い、特許文献2では濃塩酸に浸漬して導電部を除去する化学的除去手段で、それぞれ導電部の除去を行なっている。しかし、従来の製造工程で余分に導電部除去のための設備装置が必要であるし、廃液処理等も考慮する必要があるので製造コストの増加を招く。また、この様な導電部の除去は導電部以外の部分にダメージを与えることが懸念される。さらに、導電部の除去された部分では、合金相がそのまま表面に現われていて錆やすい状態であるため、別途、防錆処理等を行う必要がある。
そこで本発明は、電気抵抗が大きくて高い絶縁性を確保しながら、防錆にも優れる圧粉磁心を提供することを目的とする。
本発明は、Fe−M(MはAl又はCrである。)系の合金の粒子を含む圧粉磁心であって、前記合金の粒子は、前記M元素が濃化した酸化物相を介して結合され、前記圧粉磁心の表面の一部に、前記Feを主体とし、かつ多層組織である層状酸化物を有する圧粉磁心である。
本発明において、前記層状酸化物が、前記圧粉磁心の表面から順に第2の酸化物層と第1の酸化物層とを有し、前記第2の酸化物層は、前記第1の酸化物層よりも前記M元素を多く含むことが好ましい。更に、前記第1の酸化物層はFeを主体とし、前記第2の酸化物層はFeを主体とすることが好ましく、前記第1の酸化物層の電気抵抗は前記第2の酸化物層の電気抵抗より大きいことが好ましい。
本発明においては、前記Fe−M系の合金はFe−Al系の合金であり、前記酸化物相にAlが濃化することが好ましい。更に、前記Fe−M系の合金はFe−Al−Cr系の合金であり、CrよりもAlを多く含み、前記酸化物相にAlが濃化することが好ましい。
本発明によれば、電気抵抗が大きくて高い絶縁性を確保しながら、防錆にも優れる圧粉磁心を提供することが出来る。
本発明の一実施形態に係る圧粉磁心の断面のSEM写真である。 図1に示した圧粉磁心の断面の表面部分を拡大したSEM写真である。 本発明の一実施形態に係る圧粉磁心の製造方法を説明するための工程フロー図である。 本発明の一実施形態に係る圧粉磁心の製造方法の第2の工程を説明するための図である。 第2の工程により得られた成形体の斜視図である。 第2の工程により得られた成形体の摺接面のSEM写真である。 第2の工程により得られた成形体の摺接面を拡大して観察したSEM写真である。 成形体の摺接面の導電部が形成されていない表面部分を拡大して観察したSEM写真である。 成形体の摺接面の導電部が形成された表面部分を拡大して観察したSEM写真である。 実施例の圧粉磁心の断面のSEM写真である。 図8AのSEM写真の観察視野に対応したFeの分布を示すマッピング図である。 図8AのSEM写真の観察視野に対応したAlの分布を示すマッピング図である。 図8AのSEM写真の観察視野に対応したCrの分布を示すマッピング図である。 図8AのSEM写真の観察視野に対応したOの分布を示すマッピング図である。 圧粉磁心の断面のSSRM写真である。
以下、本発明に係る圧粉磁心の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の圧粉磁心は、軟磁性材料粉であるFe−M(MはAl又はCr)系の合金の粒子が、前記M元素を含む酸化物相を介して結合され、前記圧粉磁心の表面の一部に、前記Feを主体とし、かつ多層組織である層状酸化物を有する。
図1は本発明の一実施態様に係る圧粉磁心の断面SEM写真である。詳細は後述するが、ここに示した圧粉磁心はFe−M系の合金でM元素としてAlとCrの両方を含む粒子を用いたものである。その表面側に複数の合金の粒子3の間に跨るようにしてこれらを覆う層状の組織が形成されているのが観察される。図2は図1に示した圧粉磁心断面の表面近傍を拡大した断面SEM写真である。複数の合金の粒子を覆うように層状の組織が形成され、それは明度の異なる2層で構成されている。詳細は後述するがそれらは何れもFeを主体とする層状酸化物150である。また合金の粒子3の粒間には前記酸化物層よりも薄い粒界相があってAlが濃化している。
Fe系の軟磁性材料粉の具体的な組成は、所望の磁気特性を有する圧粉磁心を構成できるものであれば、これを特に限定するものではないが、好ましい形態は、最も含有量が多いベース元素をFeとし、それに次いでAl又はCrの含有量が多い合金粉末である。ここで、Al又はCrとは、AlかCrのどちらかを意味する。ただし、Alの含有量が多い場合でもCrを含んでいてもよく、Crの含有量が多い場合でもAlを含んでいてもよい。このようなFe系の合金としては、例えばFe−Si−Cr系、Fe−Si−Al系、Fe−Al−Cr系、Fe−Al−Cr−Si系の合金が挙げられる。これら合金粉末は、ベース元素であるFeの他にAlやCrを含むため、純Feと比べて合金粉末自体が耐食性に優れる。
合金を構成するFeの酸化物や、Al,Cr等の非鉄金属の酸化物は、金属単体、あるいはその合金である場合と比べて電気抵抗が大きい。本発明者等は、圧粉磁心の製造工程において合金の粒子の絶縁被膜が破壊しても、合金の粒子間にAlやCrのM元素を含む酸化物相を粒界相として介在させ結合させると共に、圧粉磁心の表面に、前記合金から遊離したFeを主体とする酸化物を形成し、前記Feを主体とする酸化物を複数の合金の粒子を覆うように多層に重なった形態とすることで、電気抵抗を大きくして絶縁性を向上させることが出来ることを知見した。つまり、軟磁性材料粉の合金の粒子が繋がった導電部があっても、そこを取り除くことなく積極的に酸化させてFeやM元素の酸化物とすることで、それを絶縁層として機能させるという考えである。酸化の手法としては、酸素を含む雰囲気での熱処理を採用する。特に製造コストを低減するには、特別な設備装置を必要としない大気中で行なうのが好ましい。
Alは合金の粒子自体の耐食性等を高め、圧粉磁心の強度向上に有効な元素である。また、Alが増加するほどに磁気異方性定数が低下し、透磁率が増加する。また合金の保磁力は磁気異方性定数に比例するので、ヒステリシス損失を低減し磁心損失を改善することが出来る。一方で飽和磁束密度が低下する。Fe−Al系の合金であれば、これらの観点から、例えばAlは4.0質量%以上14.0質量%以下であるのが好ましい。より好ましくは5.0質量%以上13.0質量%以下である。
Crは合金の粒子自体の耐食性等を高める効果がある。多くなりすぎると飽和磁束密度が低下するため、Fe−Cr系の合金であれば、かかる観点から、例えばCrは1.0質量%以上が好ましい。より好ましくは、2.5質量%以上である。一方、Crは、9.0質量%以下が好ましい。より好ましくは、7.0質量%以下、さらに好ましくは4.5質量%以下である。
Fe−Al−Cr系の合金あれば、Alが前述の範囲であって、CrはAlとの合計で16.5質量%以下であり、Alの含有量はCrの含有量よりも多いことが好ましい。
更にSiを加えることで磁気特性向上の効果がある。一方、Siが多くなり過ぎると圧粉磁心の強度が低下するため、Siは5.0質量%以下が好ましい。強度の観点からはSiは不可避的不純物レベルであることが好ましく、例えば、Siは0.5質量%未満に規制することが好ましい。
なお、軟磁性材料粉が持つ成形性や磁気特性等の利点を発揮する限りにおいて、他の元素を含むこともできる。但し、非磁性元素は飽和磁束密度等を低下させる要因となるため、不可避的不純物を除き、1.0質量%以下であることがより好ましい。軟磁性材料粉は、不可避的不純物を除きFe、Al又はCrで構成し、更にはSiを加えて構成するのが好ましい。
図3に本発明の実施形態に係る圧粉磁心の製造工程のフロー図を示す。軟磁性材料粉とバインダを混合する第1の工程と、前記第1の工程を経て得られた混合物を加圧成形する第2の工程と、前記第2の工程を経た成形体を熱処理する第3の工程とを有する。以下、工程に沿って本実施形態の圧粉磁心を説明する。
〔第1の工程〕
まず、第1の工程に供する軟磁性材料粉について説明する。Fe系の軟磁性材料粉は、圧粉磁心を構成できる磁気特性を有し、かつ含有元素を含む酸化物層を形成し得るものであれば、これを特に限定するものではなく、前記各種の磁性合金を用いることができる。
軟磁性材料粉の合金粒子の平均粒径(ここでは、累積粒度分布におけるメジアン径d50を用いる)は、これを限定するものではないが、例えば、1μm以上、100μm以下の平均粒径を有するものを用いることができる。平均粒径を小さくすることで、圧粉磁心の強度、磁心損失、高周波特性が改善されるので、メジアン径d50はより好ましくは30μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。一方、平均粒径が小さい場合は透磁率が低くなるため、メジアン径d50はより好ましくは5μm以上である。
また、合金の粒子の形態もこれを特に限定するものではない。例えば、流動性等の観点からはアトマイズ粉に代表される粒状粉を用いることが好ましい。ガスアトマイズ、水アトマイズ等のアトマイズ法は、展性や延性が高く、粉砕しにくい合金の粉末作製に好適である。また、アトマイズ法は略球状の軟磁性材料粉を得る上でも好適である。
なお水アトマイズ法で得られた合金粒子表面には、FeやM元素、あるいはSiの酸化被膜が5〜20nm程度の厚みで膜状に形成される場合がある。ここで島状とは、AlやCrを含む酸化物が軟磁性材料粉を構成する合金の粒子の表面に点在する状態を言う。本実施形態では後述する熱処理によって、軟磁性材料粉の合金に由来する酸化物を介して合金粒子同士を結合させ、圧粉磁心の表面にも酸化物を形成するので成形前の軟磁性材料粉に絶縁被膜を積極的に形成することは必ずしも要しないが、自然酸化被膜は絶縁被膜として機能するとともに合金粒子に防錆効果が得られ、軟磁性材料粉を大気中で保管することが出来るし、成形体を熱処理するまでの間において無用な酸化を防止できるので好ましい。
なお合金粒子を大気中で熱処理して高温酸化させても良い。また他の方法としてゾルゲル法等によって軟磁性材料粉の合金粒子に絶縁被膜を形成してもかまわない。
次に、第1の工程において用いるバインダについて説明する。バインダは、加圧成形する際、粉体の合金粒子同士を結着させ、成形後のハンドリングに耐える強度を成形体に付与する。バインダの種類は、これを限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂等の熱可塑性の各種有機バインダを用いることができる。有機バインダは成形後の熱処理により熱分解するが、有機バインダ由来のカーボンが残ると、高温酸化で形成される合金の粒子間の酸化物相において、M元素の酸化物の形成を抑え、M元素の酸化物よりもFeの酸化物等の割合が増して圧粉磁心の電気抵抗が低下する場合がある。そのため、有機バインダの分解温度を含む温度範囲で昇温速度を遅くするなどして、残留カーボンが出来る限り生じないような条件で脱バインダを行なうのが好ましい。
更に無機バインダとしてシリコーン樹脂を有機バインダとともに用いても良い。シリコーン樹脂を併用する場合の酸化物相はSiを含むものとなる。
バインダの添加量は、軟磁性材料粉間に十分に行きわたり、十分な成形体強度を確保できる量にすればよい。一方、これが多すぎると密度や強度が低下するようになる。例えば、軟磁性材料粉100重量部に対して、0.25〜3.0重量部にすることが好ましい。
第1の工程における軟磁性材料粉とバインダとの混合方法はこれを特に限定するものではないが、アトライタ等の混合・分散装置を用いるのが好ましい。
混合して得られた混合物は、成形性等の観点から、造粒プロセスに供することが好ましい。かかる造粒プロセスにも種々の方法が適用可能であるが、造粒方法として噴霧乾燥工程を有することが、特に好ましい。かかる噴霧乾燥工程では、軟磁性材料粉およびバインダと、さらに水等の溶媒を含むスラリー状の混合物を、スプレードライヤを用いて噴霧乾燥する。噴霧乾燥によれば、粒径分布がシャープで、平均粒径が小さい造粒粉が得られる。噴霧乾燥によれば、略球形の造粒粉を得ることができるので、成形の際の給粉性(粉の流動性)も高くなる。造粒粉の平均粒径(メジアン径d50)は軟磁性材料粉の合金粒子の平均粒径にもよるが、40〜150μmが好ましく、60〜100μmがより好ましい。
造粒方法として転動造粒等の方法を適用しても良い。転動造粒で得られる造粒粉は広い粒度分布をもった凝集粉となっているが、かかる造粒粉を、例えば振動篩等を用いて篩に通すことによって、加圧成形に適した所望の造粒粉を得ることができる。
加圧成形時の粉末と金型との摩擦を低減させるために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を造粒粉に添加することが好ましい。潤滑剤の添加量は、軟磁性材料粉100重量部に対して0.1〜2.0重量部とすることが好ましい。一方、潤滑剤は、金型に塗布する、または吹き付けることも可能である。潤滑剤を用いる場合には、潤滑剤由来のZn等が前記酸化物相に含まれる。
〔第2の工程〕
次に、第1の工程を経て得られた造粒粉を加圧成形する第2の工程について説明する。第1の工程で得られた造粒粉は、好適には上述のように造粒されていて、第2の工程に供される。造粒粉は、成形金型を用いて円柱形状、直方体形状、トロイダル形状、E形状、U形状、ピン形状、或いはドラム形状等の所定形状に加圧成形される。第2の工程における成形は、室温成形でもよいし、有機バインダが消失しない程度に加熱して行う温間成形でもよい。
図4は、加圧成形を説明するための図であり、図5は加圧成形により得られる成形体の外観を示す斜視図である。成形金型は成形体の形状等によって様々な態様を採り得るが、図示した例では、矩形平板状の成形体を加圧成形するための成形金型の構成を示している。図4に示すように成形金型200は上パンチ201と、下パンチ202と、及びダイ205とを備えている。ダイ205の中央部には上パンチ201と下パンチ202とを挿入可能な開口が設けられている、ダイ205の開口に下パンチ202を組み合わせて現われるキャビティに造粒粉300が充填される。前記キャビティを塞ぐように上パンチ201をダイ205の開口に挿入する。一対の上下パンチ201、202が互いに近づくように図中Z方向に造粒粉を加圧して所定の形状に成形する。Z方向に上下パンチ201、202が互いに遠ざかるように加圧力を抜き、更にダイ205の上側に成形体100が現われるように、下パンチ202をZ方向に移動させ成形体100を離型して成形金型から取り出す。
図5に示すように、得られた矩形平板状の成形体100の表面には、上下パンチ201、202で押されて形成された加圧面102と、ダイ205と当接した面であって、成形体100を離型する際にダイ205の表面を摺動する摺接面101が現われる。
図6は成形体の摺接面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察したSEM写真である。成形体100の摺接面101には、図5のZ方向(図6では写真の上下方向)に、成形体100の加圧面102の2面間に亘って直線状の筋状痕50が複数形成される。成形圧力が増すとともに筋状痕50の数も増加し、複数の筋状痕50が連なって繋がり導電部として面状に現われる。図7Aは成形体の摺接面を拡大して観察したSEM写真であり、図7Bは明確な筋状痕が確認されない表面部分(図7A中の実線で囲まれた領域)を拡大して観察したSEM写真であり、図7Cは明確な筋状痕が形成された表面部分(図7A中の破線で囲まれた領域)を拡大して観察したSEM写真である。図中、軟磁性材料粉の合金の粒子が明色に観察され、合金の粒子間にバインダや空孔の部分が相対的に暗色に観察される。成形体100の筋状痕50が形成された表面部分を拡大して観察すると、図7Cに示すように、Z方向に複数の合金の粒子が直接接触する領域(導電部)が観察される。また、図7Bに示すように、摺接面101には明確には筋状痕50として観察されないが相対的に小さな領域では、合金の粒子同士が直接接触する部分も存在するのが確認された。なお成形体100の加圧面102には上下パンチ201、202の面状態が転写されるが、摺接面101のような筋状痕50は観察されない。
〔第3の工程〕
次に、前記第2の工程を経た成形体を熱処理する第3の工程について説明する。第3の工程において前記成形体を酸化雰囲気中で熱処理することによって、成形時に合金の粒子に加えられた応力歪を緩和するアニールを行なうとともに、酸化による酸化物形成(高温酸化)も行なって、圧粉磁心の内部と表面に酸化物を形成する。圧粉磁心の内部では合金の粒子がM元素を含む酸化物相を介して結合される。合金の粒子間に介在する酸化物相や表面の酸化物は前記熱処理によって合金の粒子の表面酸化によって形成されるが、合金組成や熱処理条件によって構成が異なるものとなる。
合金の粒子間に介在する酸化物相は、例えばFe−Al系の合金であればAlが濃化したものとなり、酸化物はAlの他にFeとAlが固溶したコランダム型の酸化物((Fe,Al))、FeO、Fe、Fe等が存在しても良い。また、Fe−Cr系の合金であれば、合金の粒子間に介在する酸化物相はCrが濃化したものとなり、酸化物はCrの他にFeとCrが固溶したコランダム型の酸化物((Fe,Cr))、FeO、Fe、Fe等が存在しても良い。またFe−Al−Cr系の合金であってCrよりもAlを多く含むのであれば、合金の粒子間に介在する酸化物相はAlが濃化したものとなり、酸化物はAlの他にFeとAlとCrが固溶したコランダム型の酸化物((Fe,Al,Cr))、Cr、FeO、Fe、Fe等が存在しても良い。更に合金にSiを含む場合においても酸化物相にSiの酸化物を含む場合がある。ここでM元素が濃化するとは、合金組成における比率よりもFe、M元素の和に対するM元素の比率が高いことを意味する。
酸素を含む雰囲気にて成形体を所定の温度で高温酸化させると、圧粉磁心の表面では、Oに対して親和力の大きいM元素及びFeの酸化物が形成され、圧粉磁心の内部側では、酸化物相にはOとの親和力が大きいM元素が濃化する。高温酸化による合金由来の酸化物の生成過程については複雑で、メカニズムについて未解明で理由は明らかではないが、各元素の酸素(O)との親和力やイオン半径、酸化過程における酸素分圧等が影響すると推察される。軟磁性材料粉を構成するAlやCrであるM元素は、FeよりもOとの親和力が大きく、AlはCrよりもOとの親和力が大きいM元素としてAlとCrを含む場合には、CrよりもAlを多く含む組成であれば酸化物相にはAlが濃化する。このような酸化物が軟磁性材料粉の合金の粒子表面を覆い、更に合金の粒子間を充填して粒子間を強固に繋ぐとともに粒子間の絶縁層として機能する。
前述の図1に示した圧粉磁心の断面SEM写真から、圧粉磁心の表面は、2層で構成された多層の組織であるFeの層状酸化物150で覆われた領域と覆われていない領域が観察される。この様な構成の相違について検討したところ、Feの層状酸化物で覆われた領域と圧粉磁心の摺接面の筋状痕が形成された領域とが良く一致し、筋状痕の領域において多層組織である層状酸化物が選択的に形成されることが判明した。また、SEM/EDX(EDX:Scanning Electron Microscope/energy dispersive X−ray spectroscopy)での組成マッピングによれば、圧粉磁心の表面に位置し、Feの層状酸化物で覆われていない領域250(図1参照)の合金の粒子表面は前記酸化物相のようなM元素が濃化した酸化物で覆われていた。
詳細は後述するが、多層組織であるFeの層状酸化物150はSEM/EDXのマッピングによれば、Feを主体とする酸化物であって、第1の酸化物層150aと、前記第1酸化物150aよりも前記M元素(Al、Cr)を多く含む第2の酸化物層150bとを有し、前記圧粉磁心の表面から第2の酸化物層150b、第1の酸化物層150aの順で密着して重なるように形成されている。圧粉磁心の表面に、Feを主体とし、かつ多層の組織である層状酸化物150が形成されるが、この理由は、合金の粒子3が、その表面の酸化被膜の塑性変形によって破壊されていることに加えて、圧粉磁心の内部に比べて高温酸化におけるOの供給が十分に行なわれることによるものと推察される。
更にそれぞれの層に対して点分析を行い、組成分の定量を行った結果、第1の酸化物層150aはFeを主体とし微量のAl、Crを含む酸化物であってコランダム構造の(Fe,Al,Cr)又はFeであり、第2の酸化物層150bは相対的にAl、Crを多く含む酸化物であって、逆スピネル構造の(Fe,Al,Cr)となっていた。図2の圧粉磁心の断面SEM写真の観察によれば、第2の酸化物層150bは圧粉磁心の表面に位置する合金の粒子3間に跨るようにして凹凸を埋めており、その上層に厚さが3μm程度の第1の酸化物層150aが形成されている。Feを主体とする層状酸化物150は強固に圧粉磁心に密着していて、第2の酸化物層150bはその密着性の向上に寄与している。
熱処理は、大気中、酸素と不活性ガスの混合気体中など、酸素が存在する雰囲気中で行うことができる。これらのうち大気中の熱処理が簡便であり好ましい。また、熱処理雰囲気の圧力もこれを特に限定するものではないが、圧力制御を必要としない大気圧下が好ましい。第3の工程の熱処理は、上記酸化物層が形成される温度で行えばよいが、軟磁性材料粉が著しく焼結しない温度で行うことが好ましい。軟磁性材料粉の焼結が進むと、合金の粒子間が繋がるネッキングが生じて電気抵抗が低下する。磁心損失が大きくなるのを防ぐと共に、合金の粒子間の酸化物相やFeを主体とする層状酸化物150を形成するのに具体的には、700〜900℃の範囲が好ましく、700〜800℃の範囲がより好ましい。保持時間は、圧粉磁心の大きさ、処理量、特性ばらつきの許容範囲などによって適宜設定され、例えば0.5〜3時間が好ましい。また前記ピーク温度と時間で等温酸化を経た後に室温まで冷却するが、前述の構成のFeを主体とする層状酸化物150とするには、更にピーク温度から200℃までの間の降温速度を300℃/hr以上とするのが好ましい。降温速度が遅いとFeを主体とする層状酸化物150が二層構造とならず、電気抵抗の向上の効果が得られなかったり、Feを主体とする層状酸化物150の圧粉磁心への密着性が弱まったりする場合がある。
熱処理を経た圧粉磁心における軟磁性材料粉が占める割合である占積率を80〜95%の範囲内にすることがより好ましい。かかる範囲が好ましい理由は、占積率を高めることで磁気特性が向上する一方、過度に占積率を高めようとすると、成形体内部にクラックが生じやすくなるためである。さらに好ましい占積率の範囲は、84〜92%である。上記のようにして得られる圧粉磁心は、圧粉磁心自体優れた効果を発揮する。すなわち、高い絶縁性と優れた耐食性が実現される。
以下のようにして、まず圧粉磁心の製造に用いる軟磁性材料粉として、質量百分率で91.0%Fe−5.0%Al−4.0%Crの合金組成を有するFe−Al−Cr系合金である軟磁性材料粉を準備した。その軟磁性材料粉は球状の水アトマイズ粉であって、合金表面には10nm程度の厚さでAlからなる自然酸化被膜が形成されている。軟磁性材料粉をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)で測定した平均粒径(メジアン径d50)は18.5μmであった。
前記軟磁性材料粉100重量部に対して、バインダとしてPVA(株式会社クラレ製ポバールPVA−205;固形分10%)を2.5重量部の割合で混合した(第1の工程)。得られた混合物を120℃で1時間乾燥した後、篩に通して造粒粉を得て、造粒粉100重量部に対して、ステアリン酸亜鉛を0.4重量部添加し、混合して、加圧成形に供する混合物を得た。得られた混合物を、プレス機を使用して0.8GPaの成形圧で室温にて加圧成形し、円板状の成形体を得た(第2の工程)。得られた成形体の寸法はφ6.5×5mmである。成形体で評価した占積率と密度は84.9%、6.22×10kg/mであった。成形体の対向する平坦面が成形金型のパンチと当接する加圧面となり、平坦面を繋ぐ周面がダイと当接する摺接面となる。金属顕微鏡による目視の確認では、加圧面は離型時に生じる筋状痕は確認されなかったが、摺接面では成形体の厚み方向に多数の筋状痕が生じていて互いに繋がり、合金粒子が直接接触する領域(導電部)が面状に観察された。成形体を10試料作成したが、いずれも導電部の領域は摺接面の全面積に対しておよそ70%であった。
成形体を大気中、800℃の熱処理温度で1.0時間熱処理を施し、室温まで375℃/hrで降温して円板状の圧粉磁心を得た(第3の工程)。熱処理後の圧粉磁心で評価した占積率と密度は88.9%、6.40×10kg/mであった。
電気抵抗の評価として、円板状の圧粉磁心の比抵抗を測定した。まず圧粉磁心の両端の二平面(加圧面)に導電性接着剤を塗り、乾燥・固化して測定物を作製した。被測定物を電極の間にセッ卜し、電気抵抗測定装置(株式会社エーディーシー製8340A)を用いて、50Vの直流電圧を印加して、抵抗値R(Ω)を測定した。被測定物の平面の面積A(m)と厚みt(m)と抵抗値R(Ω)とから、次式により比抵抗ρ(Ωm)を算出した。
比抵抗ρ(Ωm)=R×(A/t)
熱処理を行なっていない成形体ではいずれも比抵抗が導通状態となったが、実施例の圧粉磁心では比抵抗が1×10Ωm〜1×10Ωmとなり、絶縁性が向上した。
実施例の圧粉磁心の厚み方向の断面を観察するとともに、各構成元素の分布を、SEMを用いて調べた。図8A〜図8Eに図2に示した圧粉磁心断面のSEM写真と対応視野での元素分布を表すマッピング図を示す。図8Aは発明に係る圧粉磁心の断面のSEM写真であり、図8BはFeの分布を示すマッピング図であり、図8CはAlの分布を示すマッピング図であり、図8DはCrの分布を示すマッピング図であり、図8EはOの分布を示すマッピング図である。SEM写真において、明度が高い部分が軟磁性材料粉の合金粒子であり、低い部分は粒界部あるいは空隙部である。また、マッピング図においては明るい色調ほど対象元素が多いことを示す。図8Cより軟磁性材料粉の合金の粒子表面でAlの濃度が高くなっていて、またOが多く、酸化物が形成されていること、および各合金粒同士がこの酸化物を粒界として結合している様子がわかる。Alは軟磁性材料粉の合金粒子間(粒界)での濃度が顕著に高くなっている。また、図8B、図8Dより粒界では合金粒子の内部に比べてFeの濃度が低く、Crは大きな濃度分布を示していない。これらのことから、粒界に該軟磁性材料粉の含有元素を含む酸化物相が形成され、該酸化物相は合金よりもFe、AlおよびCrの和に対するAlの比率が高い酸化物であることが確認された。熱処理前は、このような各構成元素の濃度分布は観察されず、上記酸化物相が、熱処理によって形成されたこともわかった。また、Alの比率が高い各粒界の酸化物は互いに連結し、前記酸化物相は磁性体表面の合金粒子にも形成されていた。
また、摺接面の筋状痕に対応する部位である圧粉磁心の表面側では、Feの濃度が高く、またOが多くて、Feを主体とする層状酸化物が形成されていること、Feの層状酸化物を主体とする酸化物層は層状となっていて、明度の異なる2層となっていることがわかる。また、表1に示すように2層の酸化物層のうち、下層の第2酸化物層ではAlやCrを多く含むとともに、Alが濃化して観察される。そして第2酸化物層と合金の粒子との間にはAlが濃化した酸化物相がある。
Feを主体とする多層組織の酸化物層(第1酸化物層、第2層酸化物層)と軟磁性材料粉の合金粒子について、Oと、軟磁性材料粉の構成元素であるFe、Al、CrとについてSEM/EDXの点分析により組成を定量した。図8A中のスペクトル4は第1酸化物層での測定点であり、スペクトル5は第2酸化物層での測定点であり、スペクトル7は合金の粒子の測定点である。結果を表1に示す。外層の第1酸化物層は実質的にFeを主体とする層状酸化物で構成されている。また内層の第2酸化物層にはAl、Crを多く含むことが分かる。
Figure 0006846016
熱処理前の成形体では、このような各構成元素の濃度分布は観察されず、第1酸化物層と第2酸化物層がともに熱処理によって形成されたこともわかった。
走査型広がり抵抗顕微鏡法(SSRM;Scanning Spreading Resistance Microscopy)により、圧粉磁心の断面の広がり抵抗を測定した。広がり抵抗は、バイアスが印加された試料の表面を導電性探針で走査し、抵抗値の分布を二次元的に計測することで探針直下の広がり抵抗を可視化することで測定されるものである。このような局所的な抵抗を広がり抵抗と呼び、抵抗値の高低が色の明暗で表示される。この広がり抵抗は、第1の酸化物層と第2の酸化物層のそれぞれについて測定され得るものであって、電気抵抗の相対的な大小関係を明らかにすることが出来る。Bruker AXS社 Digital Instruments製 の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)NanoScope IVa AFM Dimension 3100 ステージAFM システム+ SSRM オプションを用いて測定した。図9にSSRM写真を示す。色調の差から第1酸化物層よりも第2酸化物層の広がり抵抗が小さく、第1酸化物層は合金の粒子よりも高抵抗であることが確認できた。Feを主体とする層状酸化物の密着性に寄与する第2の酸化物層150bが相対的に低抵抗であっても、高抵抗の第1酸化物層でカバーされる構成であるので、圧粉磁心の表面にめっきにより直接電極を形成する場合に、めっきの伸びを抑制するのに有利である。
また、別途塩水噴霧試験によって耐食性を評価した。塩水噴霧試験はJIS 22371(2000)に基づいて、5%NaCl水溶液を使用し、35℃、24時間の条件で、前記の圧粉磁心を晒して行った。目視確認の結果、試験後の圧粉磁心の表面に赤錆の発生は確認されず、高温酸化による酸化物の形成によって良好な耐食性を示した。
1 圧粉磁心
3 合金の粒子
50 筋状痕
60 端子電極
100 成形体
101 摺接面
102 加圧面
150 Feを主体とする層状酸化物
150a 第1の酸化物層
150b 第2の酸化物層
200 成形金型
201 上パンチ
202 下パンチ
205 ダイ

Claims (5)

  1. Fe−M(MはAl又はCrである。)系の合金の粒子を含む圧粉磁心であって、
    前記合金の粒子は、前記M元素が濃化した酸化物相を介して結合され、
    前記圧粉磁心の表面の一部に、前記Feを主体とし、かつ多層組織である層状酸化物を有する圧粉磁心。
  2. 請求項1に記載の圧粉磁心であって、
    前記層状酸化物が、前記圧粉磁心の表面から順に第2の酸化物層と第1の酸化物層とを有し、
    前記第2の酸化物層は、前記第1の酸化物層よりも前記M元素を多く含む圧粉磁心。
  3. 請求項2に記載の圧粉磁心であって、
    前記第1の酸化物層の電気抵抗は前記第2の酸化物層の電気抵抗より大きい圧粉磁心。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧粉磁心であって、
    前記Fe−M系の合金はFe−Al系の合金であり、
    前記酸化物相にAlが濃化した圧粉磁心。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧粉磁心であって、
    前記Fe−M系の合金はFe−Al−Cr系の合金であり、CrよりもAlを多く含み、
    前記酸化物相にAlが濃化した圧粉磁心。


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