JP6845403B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂及びその製造方法、並びに、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)及びその製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂及びその製造方法、並びに、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂及びその製造方法、並びに、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)及びその製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下「PPS樹脂」と略すことがある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂(以下「PAS樹脂」と略すことがある。)は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気電子部品、自動車部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
従来、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、例えば、p−ジクロロベンゼンと、硫化ナトリウム又は水硫化ナトリウムと、水酸化ナトリウムとを原料として、有機極性溶媒中で重合反応させる溶液重合により製造されている(例えば、特許文献1参照)。現在市販されているポリフェニレンスルフィド樹脂は、一般にこの方法により生産されている。
しかしながら、当該方法は、モノマーにジクロロベンゼンを用いることから、合成後の樹脂中に残存するハロゲン濃度が高くなる傾向にあった。また、高温高圧・強アルカリという過酷な環境下で重合反応を行う必要があるため、接液部に高価・難加工性のチタン、クロム又はジルコニウムを用いた重合容器を使用する必要があった。
そこで、重合モノマーにジクロロベンゼンを用いることなく、かつ、温和な重合条件で、ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法が知られている。例えば、特許文献2には、ポリアリーレンスルフィド樹脂を合成する前駆体として溶媒可溶性のポリ(アリーレンスルホニウム塩)が開示されている。ポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、メチルフェニルスルホキシドのようなスルフィニル基を1つ有するスルホキシド(以下、「1官能性スルホキシド」ということがある。)を酸存在下で単独重合させる方法により製造される(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。
米国特許第3,354,129号明細書 特開平10−182825号公報
JOURNAL OF MACROMOLECULAR SCIENCE Part A−Pure and Applied Chemistry、Volume 40、Issue 4、p.415−423
1官能性スルホキシドの単独重合によりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法の場合、樹脂が有する構成単位は、原料である1官能性スルホキシドの構造により決定される。したがって、使用の目的等に応じて、ポリアリーレンスルフィド樹脂が有する構成単位を変更する場合には、原料である1官能性スルホキシドの設計から取り組むことが多い。しかし、使用できる1官能性スルホキシドの選択肢は少なく、ポリアリーレンスルフィド樹脂の構成単位を変更できる範囲は実質的に非常に限られる。
更に、これらの製造方法により製造されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、末端に反応性の高い官能基がないため、ポリアリーレンスルフィド樹脂以外の他樹脂との反応性に乏しく、樹脂としての機能性が不十分であった。
スルフィニル基を2つ有するスルホキシド(以下、「2官能性スルホキシド」ということがある。)である1,4−ビス(メチルスルフィニル)ベンゼンを五酸化二リン及びトリフルオロメタンスルホン酸の存在下、種々の芳香族化合物と反応させる方法が、非特許文献1に開示されている。この方法によれば、芳香族化合物を変更することで、スルフィド基を有する多様なポリアリーレンスルフィド樹脂を製造することが可能である。しかし、この方法では、十分に高い分子量の樹脂を得ることが困難である。
更に、これらの製造方法により製造されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、末端に反応性の高い官能基がないため、他樹脂との反応性に乏しく樹脂の機能性に欠けていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、構成単位の設計の自由度が高く、しかも十分に高い分子量を有し、かつ、反応性の高い官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、末端に特定官能基を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得る工程と、当該ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を脱アルキル化又は脱アリール化し、ポリアリーレンスルフィド樹脂を得る工程と、を含む製造方法により、末端に特定官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂が得られることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明の一側面は、(1)下記一般式(1−1)又は下記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有するポリアリーレンスルフィド樹脂に関する。

式中、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表す。
ただし、一般式(1−1)において、Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基で、R2bが直接結合であるとき、Zは、直接結合、−CO−、−SO−又は−C(CF−であり、Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基、R2bが−Ar4b−で、Ar4bが1,4−フェニレン基であるとき、Zは、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−である。
本発明の更に別の側面は、(2)下記一般式(1−1)又は下記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法であって、
下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を脱アルキル化又は脱アリール化する工程を有する、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。



一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)又は(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
本発明の別の側面は、(3)下記一般式(1−2)又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)に関する。

一般式(1−2)又は(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
本発明の更に別の側面は、(4)下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法であって、
(a)カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基、を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させること、
又は、
(b)カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表されるスルホキシドを重合(反応)させること、を含む、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法に関する。




式中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2aは、水素原子、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
本発明の更に別の側面は、(5)下記一般式(5−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、下記一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)で表される末端基、を有する、ポリアリーレンスルフィド樹脂に関する。

一般式(5−1)中、Ar、Ar及びAr9bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、
一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5bは、アリール基を表す。
本発明の更に別の側面は、(6)下記一般式(5−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、下記一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される末端基、を有する、ポリアリーレンスルフィド樹脂に関する。

一般式(5−1)中、Ar、Ar及びAr9bはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、
一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)中、Rは直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6bはアリール基を表す。
本発明の更に別の側面は、(7)下記一般式(5−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、下記一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)で表される末端基と、を有する、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)に関する。

一般式(5−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、Ar、Ar及びAr9bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、Xは、アニオンを表し、
一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5bは、アリール基を表す。
本発明の更に別の側面は、(8)下記一般式(5−2)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、下記一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される末端基と、を有する、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)に関する。


一般式(5−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、Ar、Ar及びAr9bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、Xは、アニオンを表し、
一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)、又は(4−4b)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6bはアリール基を表す。
本発明の更に別の側面は、(9)前記ポリアリーレンスルフィド樹脂を含む、成形品に関する。
本発明によれば、構成単位の設計の自由度が高く、しかも十分に高い分子量を有し、かつ、反応性の高い官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂、その製造方法を提供することができる。
実施例2で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1681cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例3で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1708cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例4で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1706cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例5で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1695cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例6で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1687cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例7で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3551cm−1及び3500〜3300cm−1位置)はヒドロキシ基のO−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例8で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3379cm−1の位置)はアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例8で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1692cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例9で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1695cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例10で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3365cm−1の位置)はアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークである。 参考例1で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャート(1670〜1720cm−1の範囲)である。 参考例1で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャート(3250〜3650cm−1の範囲)である。 実施例11で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1706cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例12で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1708cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例13で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1707cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例14で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1707cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例15で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1708cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例16で用いた、塩基処理工程前のポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1708cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例16で得られた、塩基処理工程後のポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。この赤外吸収スペクトルのチャートには、カルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピーク(1708cm−1の位置)が認められない。 実施例20で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3552cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例20で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1687cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例21で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3555cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例21で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1690cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例22で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3555cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例23で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3524cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例24で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3555cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例24で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3433cm−1及び3377cm−1位置)はアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例25で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3433cm−1及び3377cm−1位置)はアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例25で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1689cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例26で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3555cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例26で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1692cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例27で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3554cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例27で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1692cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例28で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3552cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例28で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1692cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例29で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1687cm−1の位置)にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークが認められない。 実施例32で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3552cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例32で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1686cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例34で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1708cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例35で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3567cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例35で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1681cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。 実施例36で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3567cm−1の位置)はヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークである。 参考例2で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャート(3250〜3650cm−1の範囲)である。 参考例2で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャート(1670〜1720cm−1の範囲)である。 実施例37で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(3454cm−1の位置)はヒドロキシ基のO−H伸縮振動の吸収ピークである。 実施例37で得られたポリ(p−フェニレンチオ−p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を赤外吸収スペクトルで測定したチャートである。矢印(1684cm−1の位置)はカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂は、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基(以下「特定官能基」ということがある。)を含む末端基を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得る工程と、当該ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を脱アルキル化又は脱アリール化し、ポリアリーレンスルフィド樹脂を得る工程と、を含む製造方法により得られる。
本明細書において、「ヒドロキシ基」又は「カルボキシ基」の語は、ヒドロキシ基又はカルボキシ基のみならず、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が脱プロトン化して陰イオンとなったもの、ヒドロキシ基又はカルボキシ基のプロトンがイオン交換されたものをも包含するものとする。ヒドロキシ基又はカルボキシ基は、水溶液等の極性溶媒中で容易に脱プロトン化して陰イオンを形成するだけでなく、プロトンがリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、又はカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等を含む強塩基でイオン交換されたものが容易に形成するためである。
ポリ(アリーレンスルホニウム塩)及び製造方法
一実施形態に係るポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(1−2)で表される構成単位を含む主鎖、又は一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した特定官能基を含む末端基、を有する。ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の主鎖は、実質的に、下記一般式(1−2)で表される構成単位又は一般式(2−2)で表される構成単位のみから構成されていてもよい。特定官能基を含む末端基は、式(1−2)又は(2−2)で表される構成単位に直接結合していることが多い。

一般式(1−2)又は(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
一般式(2−2)で表される構成単位は、下記一般式(5−2)で表される構成単位であってもよい。
式中、R及びXは、式(1−2)と同様に定義され、Ar、Ar及びAr9bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。すなわち、式(5−2)においてAr、Ar及びAr9bがそれぞれ1,4−フェニレン基であるとき、式(2−2)において、Arが4,4’−ビフェニレン基で、R2bが−S−Ar4b−で、Ar4bが1,4−フェニレン基である場合に相当する。
一実施形態に係るポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、例えば、
(a)特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させる工程(以下、工程(a)という)、
又は、
(b)特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを(単独)重合させる工程(以下、工程(b)という)、を有する製造方法により得られる。
工程(a)に使用されるスルホキシドは、下記一般式(1−3)で表される化合物であり、2つのスルフィニル基を有する。
一般式(1−3)中、R、Ar、Ar及びZは、それぞれ、上記の一般式(1−2)又は(2−2)のR、Ar、Ar及びZと同様に定義される。
一般式(1−3)で表されるスルホキシドは、例えば、下記一般式(1−5)で表される化合物を酸化剤等と反応させることにより酸化させることで得ることができる。
一般式(1−5)中、R、Ar、Ar及びZは、上記の一般式(1−2)又は(2−2)のR、Ar、Ar及びZと同様に定義される。
酸化剤は、特に制限されず種々の酸化剤を使用することができる。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム、酸素、オゾン、有機ペルオキシド、過酸化水素、硝酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、オキソン(登録商標)、四酸化オスミニウム等を使用することができる。
一般式(1−5)で表される化合物(スルフィド化合物)は、必要に応じて、下記一般式(1−6)で表される化合物とジメチルジスルフィド等とを用いて、Yで示されるハロゲン原子とメチルチオ基等とで置換反応させることで、合成することができる。
一般式(1−6)中、Yは、ハロゲン原子を表し、Ar、Ar及びZは、一般式(1−2)又は(2−2)と同様に定義される。Yは、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等であり、塩素原子であることが好ましい。
一般式(1−3)、(1−5)又は(1−6)で表される化合物において、Ar及びArは、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン等のアリーレン基であってもよい。Ar及びArは、同一であっても異なってもよいが、好ましくは同一である。
Ar及びArの結合の態様は特に制限されるものではないが、アリーレン基中、遠い位置でY及びZと結合するものであることが好ましい。例えば、Ar及びArがフェニレン基である場合、Ar及びArは、パラ位で結合する単位(1,4−フェニレン基)及びメタ位で結合する単位(1,3−フェニレン基)であることが好ましく、パラ位で結合する単位がより好ましい。得られる樹脂の耐熱性及び結晶性の面で、Ar及びArは、パラ位で結合する単位で構成されることが好ましい。
Ar又はArで表されるアリーレン基が置換基を有する場合、置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基又はスルホ基であることが好ましい。
一般式(1−3)で表される化合物としては、例えば、4,4’−ビス(メチルスルフィニル)ビフェニル、ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]エーテル、ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルフィド、ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルホン、ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]ケトン、2,2−ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらの化合物は単独で、又は組み合わせて使用することができる。
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、並びに、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられる。更に当該アリール基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基を、芳香環に結合した置換基として1〜4個の範囲で有していてもよい。
工程(a)において使用される芳香族化合物は、例えば、下記一般式(1−4)で表される。
一般式(1−4)中、R2aは、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R2aが、炭素原子数1〜10のアルキル基の場合、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。Ar3a又はAr4aで表されるアリール基が置換基を有する場合、当該置換基は、アルキル基(メチル基等)、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基又はスルホ基であることが好ましい。Ar3a及びAr4aとしては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられる。当該アリール基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。Ar3a及びAr4aは、同一であっても異なってもよいが、好ましくは、同一である。
一般式(1−4)で表される化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ビフェニル、ジフェニルスルフィド、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、ヘキサフルオロ−2,2−ジフェニルプロパン等が挙げられる。これらの化合物のうち、結晶性の観点から、ビフェニル、ジフェニルスルフィド又はジフェニルエーテルが好ましい。より高分子量体としてポリアリーレンスルフィド樹脂を得る観点から、ジフェニルスルフィドが好ましい。ジフェニルスルフィドは融点が低く、それ自体溶媒として機能することが可能であり、反応温度の制御等の観点からも好ましい。ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を低下させる観点から、ジフェニルエーテルが好ましい。ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性を向上させる観点から、ベンゾフェノンが好ましい。非晶性のポリアリーレンスルフィド樹脂を得る観点から、ジフェニルスルホン又はヘキサフルオロ−2,2−ジフェニルプロパンが好ましい。ポリアリーレンスルフィド樹脂を非晶性とすることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂の成形加工性及び透明性を向上させることが可能である。
工程(b)に使用される芳香族スルホキシドは、下記一般式(2−3)で表される化合物であり、スルフィニル基と芳香族環を有する。
一般式(2−3)中、R及びArは、上記の一般式(1−2)又は(2−2)のR及びArと同様に定義され、R2aは、上記の一般式(1−4)のR2aと同様に定義される。
工程(b)において、式(2−3)の芳香族スルホキシドとして、下記一般式(5−3)で表される芳香族スルホキシドを用いることで、式(5−2)で表される構成単位を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得ることができる。

一般式(5−3)中、Rは、式(2-3)と同様に定義される。Ar及びArは、式(5−2)と同様に定義される。Ar9aは、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドは、例えば、下記一般式(2−4)で表される化合物を酸化剤等と反応させることにより酸化させることで得ることができる。
一般式(2−4)中、R及びArは、上記の一般式(1−2)又は(2−2)のR及びArと同様に定義され、R2aは、上記の一般式(1−4)のR2aと同様に定義される。
酸化剤は、特に制限されず種々の酸化剤を使用することができる。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム、酸素、オゾン、有機ペルオキシド、過酸化水素、硝酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸、オキソン(登録商標)、四酸化オスミニウム等を使用することができる。
一般式(2−4)で表される化合物(スルフィド化合物)は、必要に応じて、下記一般式(2−5)で表される化合物とジメチルジスルフィド等とを用いて、Yで示されるハロゲン原子とメチルチオ基等とで置換反応させることで、合成することができる。
一般式(2−5)中、Yは、上記の一般式(1−6)のYと同様に定義され、Arは、一般式(1−2)又は(2−2)のArと同様に定義され、R2aは、上記の一般式(1−4)のR2aと同様に定義される。
一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドとしては、例えば、メチルフェニルスルホキシド、メチル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド等を用いることができる。これらの化合物のうち、メチル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシドが好ましい。芳香族スルホキシドは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一実施形態に係るポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、特定官能基を有する芳香族化合物(以下、「末端変性剤」ということがある。)の存在下で、スルホキシドを反応させて得られる。
このような特定官能基を有する芳香族化合物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で特に限定されることはなく、芳香族環に直接結合した特定官能基を有していてもよいし、芳香族環を置換している2価の有機基に結合した特定官能基を有していてもよい。
より具体的には、特定官能基を有する好ましい芳香族化合物としては、下記一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)又は(3−6a)で表される芳香族化合物が挙げられる。

式中、Rは直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5aは、アリール基を表す。
としての炭素原子数1〜10のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,10−デシレン等を挙げることができる。Ar5aとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられる。
(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)又は(3−6a)で表される芳香族化合物の具体例としては、安息香酸、フェニルプロピオン酸、フェニルヘキサン酸、フェニルイソ酪酸、フェニルマロン酸、フェノール、N−フェニルグリシン、N−ベンジルイミノ二酢酸、及びアニリンが挙げられる。
特定官能基を有する好ましい芳香族化合物としては、下記一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)又は(4−4a)で表される芳香族化合物も挙げられる。

式中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6aは、アリール基を表す。
としての炭素原子数1〜10のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,10−デシレン等を挙げることができる。Ar6aとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニル等の構造を有するアリール基が挙げられる。
一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)又は(4−4a)で表される芳香族化合物は、例えば、下記化学式で表される化合物であってもよい。式中、Rは、式(4−1a)等と同様に定義される。
前記工程(a)の反応において、前記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと前記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させることもできる。特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、前記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと前記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させることが、工程の更なる簡略化に優れる点から好ましい。
同様に、前記工程(b)の反応において、前記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させることもできる。特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、前記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを反応させることが、工程の更なる簡略化に優れる点から好ましい。
工程(a)又は工程(b)の反応は、酸存在下で行われることが好ましい。酸は、有機酸、無機酸のいずれであってもよい。酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、青酸、テトラフルオロほう酸等の非酸素酸;硫酸、リン酸、過塩素酸、臭素酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、モリブデン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等の無機オキソ酸;硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、プロトン残留ヘテロポリ酸塩、モノメチル硫酸、トリフルオロメタン硫酸等の硫酸の部分塩若しくは部分エステル;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸等の1価若しくは多価のカルボン酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン置換カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等の1価若しくは多価のスルホン酸;ベンゼンジスルホン酸ナトリウム等の多価のスルホン酸の部分金属塩;五塩化アンチモン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛、塩化銅、塩化鉄等のルイス酸等を挙げることができる。これらの酸のうち、反応性の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸の使用が好ましい。これらの酸は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(a)又は工程(b)の反応は脱水反応のため、脱水剤を併用してもよい。脱水剤としては、例えば、酸化リン、五酸化二リン等のリン酸無水物;ベンゼンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、パラトルエンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物;無水酢酸、無水フルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸等のカルボン酸無水物;無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、シリカゲル、塩化カルシウム等を挙げることができる。これらの脱水剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(a)又は工程(b)の反応には、適宜溶媒を使用することができる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;スルホラン、DMSO等の含硫黄系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(a)又は工程(b)の反応は、反応が適切に進行するように、条件を適宜調整することができる。反応温度は、−30〜150℃の範囲であることが好ましく、0〜100℃の範囲であることがより好ましい。
上記工程(a)により得られるポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(1−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、特定官能基を含む末端基、を有する。
一般式(1−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
Ar3b及びAr4bは、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン等のアリーレン基であってもよい。Ar3b及びAr4bは、同一であっても異なってもよいが、好ましくは同一である。アニオンを表すXとしては、例えば、スルホネート、カルボキシレート、ハロゲンイオン等のアニオンが挙げられる。一般式(1−2)において、Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基で、R2bが直接結合であるとき、Zは、直接結合、−CO−、−SO−又は−C(CF−であることが好ましい。Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基、R2bが−Ar4b−で、Ar4bが1,4−フェニレン基であるとき、Zは、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−であることが好ましい。
一般式(1−2)で表される構成単位において、Ar3b及びAr4bの結合の態様は特に制限されるものではなく、一般式(1−3)のAr及びArの結合の態様と同様の考えを適用し得る。
Ar3b又はAr4bで表されるアリーレン基が置換基を有する場合、置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基又はスルホ基であることが好ましい。ただし、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bが置換基を有するアリーレン基である一般式(1−2)の構成単位の割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化度及び耐熱性の低下をより抑制する観点から、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)全体の10質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
上記ポリ(アリーレンスルホニウム塩)が有する構成単位は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の使用の目的等に合わせて、例えば、一般式(1−3)で表されるスルホキシドと一般式(1−4)で表される芳香族化合物との組み合わせを変更することにより、適宜選択することができる。
一方、上記工程(b)により得られるポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、特定官能基を含む末端基、を有する。
一般式(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは、アニオンを表す。
一般式(2−2)中、R、R2b、Ar及びXは、一般式(1−2)のR、R2b、Ar及びXと同様に定義される。
更に、原料に前記一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)又は(3−6a)で表される芳香族化合物を用いて製造されたポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)で表される末端基を有することができる。
式中、Rは直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5bは、アリール基を表す。
原料に前記一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)又は(4−4a)で表される芳香族化合物を用いて製造されたポリ(アリーレンスルホニウム塩)は、下記一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される末端基を有することができる。

式中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6bは、アリール基を表す。
Ar5b及びAr6bのアリール基は、アリール基に置換基が結合したアリーレン基も含みうる。
一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される末端基としては、例えば、以下の化学式で表される基が挙げられる。式中、Rは、式(4−1a)等と同様に定義される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂及び製造方法
一実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記一般式(1−1)で表される構成単位又は前記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基(特定官能基)を含む末端基と、を有する。

一般式(1−1)又は(2−1)中、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表す。
式(2−1)で表される構成単位は、下記一般式(5−1)で表される構成単位であってもよい。

式中、Ar、Ar及びAr9bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。すなわち、式(5−1)においてAr、Ar及びAr9bがそれぞれ1,4−フェニレン基であるとき、式(2−1)において、Arが4,4’−ビフェニレン基で、R2bが−S−Ar4b−で、Ar4bが1,4−フェニレン基に相当する。
一実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、特定官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を、脱アルキル化又は脱アリール化する工程を有する製造方法により得られる。

一般式(1−2)又は(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。
一般式(5−1)で表される構成単位を含む主鎖を有するポリアリーレンスルフィド樹脂は、例えば、上記一般式(5−2)で表される構成単位を含む主鎖を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を、脱アルキル化又は脱アリール化する工程を有することにより得られる。
前記ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の脱アルキル化又は脱アリール化は、例えば、以下の反応式で表されるように進行すると考えられる。
かかる工程では、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤を使用することができる。脱アルキル化剤又は脱アリール化剤は、求核剤又は還元剤を含む。求核剤としては、含窒素芳香族化合物、アミン化合物、アミド化合物等を用いることができる。還元剤としては、金属カリウム、金属ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ヒドラジン等を用いることができる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
含窒素芳香族化合物としては、ピリジン、キノリン、アニリン等が挙げられる。これらの化合物のうち、汎用化合物であるピリジンが好ましい。
アミン化合物としては、トリアルキルアミン、アンモニア等が挙げられる。
アミド化合物としては芳香族アミド化合物、脂肪族アミド化合物を用いることができる。脂肪族アミド化合物は、例えば、下記一般式(4)で表される化合物で表される。
一般式(4)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R11とR13は結合して環状構造を形成していてもよい。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物は、例えば、下記反応式(1)又は(2)で表されるようにして、スルホニウム塩の硫黄原子と結合するアルキル基又はアリール基を脱アルキル化又は脱アリール化する、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として機能すると考えられる。
(反応式1)
(反応式2)
更に、当該脂肪族アミド化合物は、芳香族アミド化合物に比べ水への混和性が高く、反応混合物の水洗によって容易に除去可能である。このため、脂肪族アミド化合物を用いた場合、芳香族アミド化合物を用いた場合に比べ、ポリアリーレンスルフィド樹脂中の脂肪族アミド化合物の残存量をより低減することができる。
このように脂肪族アミド化合物を脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として用いることは、樹脂加工する際等のガス発生を抑制し、ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品の品質向上及び作業環境の改善、更には金型のメンテナンス性をより向上させることができるため好ましい。また、脂肪族アミド化合物は有機化合物の溶解性にも優れることから、当該脂肪族アミド化合物の使用は、反応混合物からポリアリーレンスルフィドのオリゴマー成分を容易に除去することも可能にする。その結果、ガス発生の一因にもなり得る当該オリゴマー成分を、当該脂肪族アミド化合物により除去することで、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の品質を相乗的に向上させることができる。
このような脂肪族アミド化合物としては、例えば、ホルムアミド等の1級アミド化合物、β−ラクタム等の2級アミド化合物、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素等の3級アミド化合物等を用いることができる。脂肪族アミド化合物は、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の溶解性及び水への溶解性の観点から、R12及びR13が脂肪族基である脂肪族3級アミド化合物を含むことが好ましく、3級アミド化合物の中でもN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
脂肪族アミド化合物は、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として機能するほか、溶解性に優れることから反応溶媒として用いることもできる。よって、脂肪族アミド化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の総量に対し、下限が1.00当量以上の範囲であることが好ましく、1.02当量以上の範囲であることがより好ましく、1.05当量以上の範囲であることが更に好ましい。脂肪族アミド化合物の使用量が、1.00当量以上であれば、ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の脱アルキル化又は脱アリール化をより十分に行うことができる。一方、上限は100当量以下であることが好ましく、10当量以下であることがより好ましい。反応溶媒として脂肪族アミド化合物のみを用いてもよいし、これとトルエン等の他の溶媒を併用してもよい。
本実施形態に係るポリ(アリーレンスルホニウム塩)と脂肪族アミド化合物とを反応させる際の条件は、脱アルキル化又は脱アリール化が適切に進行するように、適宜調整することができる。反応温度は、50〜250℃の範囲であることが好ましく、80〜230℃の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係るポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を水、水溶性溶媒又はこれらの混合溶媒で洗浄する工程を更に含んでもよい。このような洗浄工程を含むことにより、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂に含まれる脱アルキル化剤又は脱アリール化剤等の残存量をより確実に低減することができる。この傾向は、脱アルキル化剤又は脱アリール化剤として、脂肪族アミド化合物を使用した際に一層顕著となる。
洗浄工程を経ることにより、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量をより確実に低減することが可能である。樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂と脱アルキル化剤又は脱アリール化剤等の他の成分とを含む樹脂の質量を基準として、1000ppm以下の範囲であることが好ましく、700ppm以下の範囲であることがより好ましく、100ppm以下の範囲であることが更に好ましい。樹脂中の脱アルキル化剤又は脱アリール化剤の残存量を1000ppm以下とすることにより、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の品質に対する実質的な影響をより低減できる。
かかる洗浄工程において使用する溶媒は、特に制限されるものではないが、未反応物を溶解させるものであることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、塩酸、酢酸水溶液、シュウ酸水溶液、硝酸水溶液等の酸性水溶液;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶媒等;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の含ハロゲン溶剤等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの溶媒のうち、反応試薬の除去及び樹脂のオリゴマー成分の除去の観点から、水又はN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記洗浄工程を経て得られた反応生成物は、必要ならば塩基性化合物を含んだ水溶液を用いて塩基処理して、ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子構造中に存在するヒドロキシ基又はカルボキシ基を金属塩に置換させてもよい。
前記塩基処理の温度条件は5〜100℃の範囲が挙げられるが、ポリアリーレンスルフィド樹脂中の末端金属塩量を増大させ、かつ、分子量低下を防止する点から特に15〜80℃の範囲の温度であることが好ましい。前記塩基処理工程の際のpHは、塩基処理工程後において3.0〜10.0の範囲に制御されることが好ましく、ポリアリーレンスルフィド樹脂中の末端金属塩含有量が高まる点から6.0〜8.0の範囲に制御されることがより好ましい。pHの測定方法は、例えば、スラリーに対して酸を添加する場合には該スラリーをろ過したろ液のpHを測定する方法が挙げられ、ろ過後の固形分であるポリアリーレンスルフィド樹脂に対して塩基処理する場合には、所定の塩基濃度の水溶液を用いて洗浄を繰り返して得られたろ液を全て混合した洗浄ろ液のpHを測定する方法を挙げることができる。
前記塩基処理に用いる塩基性化合物としては、水溶液中で強塩基性を示す化合物であることが好ましく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム;炭酸カルシウム;リン酸ナトリウム等を用いてもよい。
上記工程(a)により得られるポリ(アリーレンスルホニウム塩)を使用して、一実施形態に係る製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記一般式(1−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、特定官能基を含む末端基と、を有する。
一般式(1−1)中、R2b、Ar、Ar、Ar3b及びZは、すでに定義したとおりである。一般式(1−1)において、Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基、かつR2bが直接結合であるとき、Zは、直接結合、−CO−、−SO−又は−C(CF−であることが好ましい。Ar、Ar及びAr3bが1,4−フェニレン基、R2bが−Ar4b−、かつAr4bが1,4−フェニレン基であるとき、Zは、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−であることが好ましい。
一般式(1−1)で表される構成単位において、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bの結合の態様は特に制限されるものではなく、一般式(1−2)、(1−3)及び(1−4)のAr及びArの結合の態様と同様の考えを適用し得る。
Ar、Ar、Ar3b及びAr4bで表されるアリーレン基が置換基を有する場合、置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基又はスルホ基であることが好ましい。ただし、Ar、Ar、Ar及びAr4bが置換基を有するアリーレン基である一般式(1−1)の構成単位の割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化度及び耐熱性の低下をより抑制する観点から、ポリアリーレンスルフィド樹脂全体の10質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
上記ポリアリーレンスルフィド樹脂が有する構成単位は、樹脂の使用の目的等に合わせて、例えば、一般式(1−3)で表されるスルホキシドと一般式(1−4)で表される芳香族化合物との組み合わせを変更することにより、適宜選択することができる。
前記一般式(1−1)で表されるポリアリーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量は、8,000以上の範囲であることが好ましく、9,000以上の範囲であることがより好ましく、10,000以上の範囲であることが更に好ましく、11,000以上の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、より優れた耐熱性及び機械特性を発揮する。重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値のことを示す。ゲル浸透クロマトグラフィーの測定条件は、本明細書の実施例と同一の測定条件とする。ただし、重量平均分子量の測定値に実質的な影響を及ぼさない範囲で、測定条件を適宜変更することは可能である。
前記一般式(1−1)で表されるポリアリーレンスルフィド樹脂のガラス転移温度は、70〜200℃の範囲であることが好ましく、80〜170℃の範囲であることがより好ましい。樹脂のガラス転移温度は、DSC装置により測定される値のことを示す。
前記一般式(1−1)で表されるポリアリーレンスルフィド樹脂の融点は、100〜400℃の範囲であることが好ましく、150〜370℃の範囲であることがより好ましい。樹脂の融点は、DSC装置により測定される値のことを示す。
一方、上記工程(b)により得られるポリ(アリーレンスルホニウム塩)を使用して、一実施形態に係る製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、主鎖の末端に結合した、特定官能基を含む末端基と、を有する。
一般式(2−1)中、R2b及びArは、すでに定義したとおりである。
前記一般式(2−1)で表されるポリアリーレンスルフィド樹脂のガラス転移温度は、70〜200℃の範囲であることが好ましく、80〜170℃の範囲であることがより好ましい。樹脂のガラス転移温度は、DSC装置により測定される値のことを示す。
前記一般式(2−1)で表されるポリアリーレンスルフィド樹脂の融点は、100〜400℃の範囲であることが好ましく、150〜370℃の範囲であることがより好ましい。樹脂の融点は、DSC装置により測定される値のことを示す。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の特定官能基を含む末端基は、下記一般式(3−1b)、(3−2b)、(3−3b)、(3−4b)、(3−5b)又は(3−6b)で表される基であることが好ましい。これらの末端基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂は、樹脂組成物の製造時におけるシランカップリング剤、又はエポキシ樹脂等の他樹脂との相溶性が良い。樹脂組成物から得られる部材に、異材に対する優れた密着性を付与することもできる。

式中、Rは直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5bは、アリール基を表す。
ポリアリーレンスルフィド基の特定官能基を含む末端基は、下記一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される基であってもよい。これら末端基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂も、樹脂組成物の製造時におけるシランカップリング剤、又はエポキシ樹脂等の他樹脂との相溶性が良い。樹脂組成物から得られる部材に、異材に対する優れた密着性を付与することができる。

式中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6bは、アリール基を表す。
Ar5b及びAr6bのアリール基は、アリール基に置換基が結合したアリーレン基も含みうる。
一般式(4−1b)、(4−2b)、(4−3b)又は(4−4b)で表される末端基としては、例えば、以下の化学式で表される基が挙げられる。式中、Rは、式(4−1a)等と同様に定義される。
用途・応用技術
上記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、他の成分と組み合わせて、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物として利用することができる。他の成分としては、例えば、無機質充填剤を使用することができ、熱可塑性樹脂、エラストマー及び架橋性樹脂から選ばれる、ポリアリーレンスルフィド樹脂以外の樹脂等も使用することができる。
無機質充填剤としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン等の粉末状充填剤;タルク、マイカ等の板状充填剤;ガラスビーズ、シリカビーズ、ガラスバルーン等の粒状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト繊維等の繊維状充填剤;並びにガラスフレークが挙げられる。これらの無機質充填剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。無機質充填剤が配合されることにより、高剛性、高耐熱安定性の組成物が得られる。ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤を含有することが特に好ましい。
無機質充填剤の含有量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部の範囲、より好ましくは5〜200質量部の範囲、更に好ましくは15〜150質量部の範囲である。無機質充填剤の含有量がこれらの範囲にあることにより、成形品の機械的強度保持の点でより優れた効果を得ることができる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、エラストマー及び架橋性樹脂から選ばれる、ポリアリーレンスルフィド樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。これら樹脂は、無機質充填剤とともに樹脂組成物中に配合することもできる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に配合される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、シリコーン樹脂及び液晶ポリマー(液晶ポリエステル等)が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部の範囲、より好ましくは3〜100質量部の範囲、更に好ましくは5〜45質量部の範囲である。ポリアリーレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有量がこれらの範囲にあることにより、耐熱性、耐薬品性及び機械的物性の更なる向上という効果が得られる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に配合されるエラストマーとしては、熱可塑性エラストマーが用いられることが多い。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマー及びシリコーン系エラストマーが挙げられる。本明細書において、熱可塑性エラストマーは、前記熱可塑性樹脂ではなくエラストマーに分類される。
エラストマー(特に熱可塑性エラストマー)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂がカルボキシ基等の官能基を有する場合、これと反応し得る官能基を有することが好ましい。これにより、接着性及び耐衝撃性等の点で特に優れた樹脂組成物を得ることができる。かかる官能基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、オキサゾリン基、及び、式:R(CO)O(CO)−又はR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)で表される基が挙げられる。かかる官能基を有する熱可塑性エラストマーは、例えば、α−オレフィンと前記官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素原子数2〜8のα−オレフィン類が挙げられる。前記官能基を有するビニル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα、β−不飽和カルボン酸並びにそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα、β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、カルボキシ基、及び、式:R(CO)O(CO)−又はR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、靭性及び耐衝撃性の更なる向上の点から好ましい。
エラストマーの含有量は、その種類、用途により異なるため一概に規定することはできないが、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して好ましくは1〜300質量部の範囲、より好ましくは3〜100質量部の範囲、更に好ましくは5〜45質量部の範囲である。エラストマーの含有量がこれらの範囲にあることにより、成形品の耐熱性、靭性の確保の点でより一層優れた効果が得られる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に配合される架橋性樹脂は、2以上の架橋性官能基を有する。架橋性官能基としては、エポキシ基、フェノール性水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、酸無水物基、イソシアネート基等が挙げられる。架橋性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。芳香族系エポキシ樹脂は、ハロゲン基又は水酸基等を有していてもよい。好適な芳香族系エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、及びビフェニルノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの芳香族系エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら芳香族系エポキシ樹脂の中でも特に、他の樹脂成分との相溶性に優れる点から、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
架橋性樹脂の含有量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは3〜100質量部、更に好ましくは5〜30質量部の範囲である。架橋性樹脂の含有量がこれら範囲にあることにより、成形品の剛性及び耐熱性の向上という効果が特に顕著に得られる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、官能基を有するシラン化合物を含有することができる。係るシラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
シラン化合物の含有量は、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲、好ましくは0.1〜5質量部の範囲である。シラン化合物の含有量がこれらの範囲にあることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂と他の成分との相溶性が更に向上するという効果が得られる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。添加剤の含有用は、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲である。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(溶融重合の反応生成物)と、その他の成分とを溶融混練する方法により、ペレット状のコンパウンド等の形態で得ることができる。溶融混錬の温度は、例えば、250〜350℃の範囲である。溶融混錬の時間は、例えば、5〜30秒である。溶融混錬は、2軸押出機等を用いて行うことができる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、単独で又は他の材料と組み合わせて、射出成形、押出成形、圧縮成形及びブロー成形のような各種溶融加工法により、耐熱性、成形加工性、寸法安定性等に優れた成形品に加工することができる。本実施形態に係る製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂又はこれを含む樹脂組成物は、加熱されたときのガス発生量が少ないことから、高品質の成形品の容易な製造が可能となる。
本実施形態の製造方法により得られるポリアリーレンスルフィド樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の本来有する耐熱性、寸法安定性等の諸性能も具備している。そのため、ポリアリーレンスルフィド樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物は、例えば、コネクタ、プリント基板及び封止成形品等の電気・電子部品、ランプリフレクター及び各種電装品部品等の自動車部品、各種建築物、航空機及び自動車等の内装用材料、或いはOA機器部品、カメラ部品及び時計部品等の精密部品等の射出成形若しくは圧縮成形、若しくはコンポジット、シート、パイプ等の押出成形、又は引抜成形等の各種成形加工用の材料として、或いは繊維若しくはフィルム用の材料として幅広く有用である。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.評価法
1−1.同定方法(各種NMR)
BRUKER製DPX−400の装置にて、化合物を各種重溶媒に溶解させて、各種NMRを測定した。
1−2.同定方法(GC−MS)
島津製作所製GCMS−QP2010を用いて、化合物の分子量を測定した。
1−3.融点
パーキンエルマー製DSC装置 Pyris Diamondを用いて、50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で40〜350℃まで測定を行い、融点を求めた。実施例34、35、36、及び参考例2で得られた樹脂に関しては、50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で40〜400℃まで測定を行い、融点を求めた。
1−4.重量平均分子量
センシュー科学製高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)SSC−7000を用いて、重量平均分子量を測定した。平均分子量は標準ポリスチレン換算で算出した。
溶媒:1−クロロナフタレン
投入口:250℃
温度:210℃
検出器:UV検出器(360nm)
サンプル濃度:1g/L
流速:0.7mL/min
1−5.赤外吸収スペクトル測定
日本分光株式会社製「FT/IR−6100」を用いて、赤外吸収スペクトル測定を測定した。合成した樹脂を330℃のホットプレートで加熱して溶融させ、急冷することで作製した非晶フィルムを測定サンプルとして用いた。実施例34、35、36、及び参考例2で得られた樹脂に関しては、400℃のホットプレートで加熱して溶融させ、急冷することで作製した非晶フィルムを測定サンプルとして用いた。
1−6.粘度測定(V6)
フローテスター(島津製作所製CFT−500C)を用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比(オリフィス長/オリフィス径)が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度(以下、溶融粘度(V6))を測定した。
1−7.溶融安定性
加工時の熱安定性について評価するため、フローテスター(島津製作所製CFT−500C)を用いて、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比(オリフィス長/オリフィス径)が10/1であるオリフィスを使用して、温度300℃で30分間保持した後の溶融粘度(以下、溶融粘度(V30))及びゲル化の有無を調べた。
1−8.反応性評価
ポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂を、フローテスター(島津製作所製CFT−500C)を用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比(オリフィス長/オリフィス径)が10/1であるオリフィスを使用して15分間保持した後の溶融粘度(以下、「溶融粘度(V15)」という)を測定した(以下、「添加前の溶融粘度(V15)」又は「エポキシ樹脂を添加していないPPS樹脂の溶融粘度(V15)」という)。
次に、ポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂100質量部に対し、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC製N−695P)を3質量部配合し、均一に混合した。その後、フローテスター(島津製作所製CFT−500C)を用いて、上記と同じ条件で、溶融粘度(V15)を測定した(以下、「添加後の溶融粘度(V15)」又は「エポキシ樹脂を添加したPPS樹脂の溶融粘度(V15)」という)。
(添加後の溶融粘度(V15))/(添加前の溶融粘度(V15))の比から粘度上昇度を倍率として算出した。粘度上昇度が大きいほどエポキシ樹脂との反応性が高く、優れていることを示す。
2.モノマーの合成
以下に示す実施例では、下記の試薬を使用した。
メチルフェニルスルホキシド:和光純薬工業株式会社
チオアニソール:和光純薬工業株式会社、純度99%
メタンスルホン酸:和光純薬工業株式会社、和光特級
60%過塩素酸:和光純薬工業株式会社、試薬特級
ピリジン:和光純薬工業株式会社、試薬特級
炭酸水素カリウム:和光純薬工業株式会社、試薬特級
臭素:和光純薬工業株式会社、試薬特級
ビス[4−(メチルチオ)フェニル]スルフィド:シグマアルドリッチ製 製
品番号S203815−25MG
硝酸(1.38):和光純薬工業(株)製、試薬特級、含量60〜61%、密度
1.38g/mL
酸化リン(V)(5酸化2リン):和光純薬工業株式会社、和光特級
N−メチル−2−ピロリドン(NMP):関東化学株式会社、特級
安息香酸:東京化成工業株式会社
フェニルプロピオン酸:東京化成工業株式会社、純度>98%
フェニルヘキサン酸:東京化成工業株式会社、純度>98%
フェニルイソ酪酸:東京化成工業株式会社、純度>98%
フェニルマロン酸:東京化成工業株式会社、純度>98%
フェノール:東京化成工業株式会社、純度>98%
N−フェニルグリシン:東京化成工業株式会社、純度>98%
N−ベンジルイミノ二酢酸:東京化成工業株式会社、純度>98%
アニリン:東京化成工業株式会社、純度>98%
ジフェニルスルフィド:和光純薬工業(株)製、和光特級
ジフェニルエーテル:和光純薬工業(株)製、和光特級
水酸化ナトリウム:関東化学工業株式会社、特級
(合成例1)
過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウムの合成
3つ口フラスコに、メチルフェニルスルホキシド100質量部に対し、チオアニソール120質量部を入れ、窒素雰囲気下にし、氷浴で5℃以下に冷却した。メタンスルホン酸2000質量部を10℃以下に保ちながら、反応溶液に加え、その後氷浴を外し、室温に温度を上げ、20時間攪拌した。その後、反応溶液を2000質量部の60%過塩素酸水溶液に投入し、1時間攪拌した。水を1000質量部、ジクロロメタンを1000質量部加えて、抽出/分液して、有機層を回収した。更に水層にジクロロメタン500質量部を加えて、有機層を回収する操作を2回行った。回収した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、ろ過によってろ別した溶液からロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。その後、残った固体にエーテルを加えて再結晶し、ろ過によってろ別した固体を20時間減圧乾燥することで、過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウムを収率75%にて得た。H−NMRによって、生成物ができていることを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.49,3.63,7.40,7.65,7.78,7.85[ppm]
(合成例2)
メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルフィドの合成
3つ口フラスコに、過塩素酸メチルフェニル[4−(メチルチオ)フェニル]スルホニウム100質量部を入れ、窒素雰囲気下にし、ピリジンを500質量部添加して30分攪拌した。その後、反応溶液を100℃に昇温し、30分間攪拌した。反応溶液を3000質量部の10%HCl溶液に投入して、10分間攪拌した。その後、ジクロロメタンで抽出/分液して有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、ろ過によってろ別した溶液からロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサン/クロロホルム=3/1を用いて、カラムクロマトグラフィーによって目的生成物を分離した。分離した目的生成物を含む溶液からロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、20時間減圧乾燥することで、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルフィドを収率83%にて得た。H−NMRによって、生成物ができていることを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.48,7.18〜7.23,7.28〜7.31[ppm]
(合成例3)
メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシドの合成
3つ口フラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルフィド100質量部に対し、炭酸水素カリウム86質量部、水800質量部、ジクロロメタン1000質量部を入れて30分間攪拌した。ジクロロメタン1000質量部に臭素69質量部溶解させた溶液を5分間かけて反応容器内に滴下し、30分攪拌した。反応溶液にKCl飽和溶液1リットル及びジロロメタン1リットルを投入し、抽出/分液によって有機層を回収した。残った水層にジクロロメタン1000質量部を加えて、有機層を回収する操作を2回行った。回収した有機層を水洗/分液し、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、ろ過によってろ別した溶液からロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残った固体にエーテルを加えて再結晶し、ろ過によってろ別した固体を20時間減圧乾燥することで、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシドを収率57%にて得た。H−NMR、13C−NMRによって、生成物が出来ていることを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.71,7.34,7.39,7.46,7.52[ppm]
13C−NMR(溶媒CDCl):46.0,124.5,128.5,129.7,133.0,133.5,141.5,144.3[ppm]
(合成例4)
ビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルフィドの合成
3つ口フラスコに、ビス[4−(メチルチオ)フェニル]スルフィド100質量部に対し、ジクロロメタン2,500質量部を加えて溶解させ、氷浴にて冷却した。反応溶液に硝酸(1.38)20質量部を少しずつ滴下し、室温下で72時間攪拌した。反応溶液を炭酸カリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンにて抽出/分液操作を行い、有機層を回収した。無水硫酸マグネシウムにて有機層を脱水した。脱水した有機層をろ過後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、減圧乾燥することで粗生成物を得た。酢酸エチルを展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーによって目的生成物を分離した。分離した目的生成物を含む溶液からロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、減圧乾燥することでビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルフィドを収率30%にて得た。H−NMR測定により目的物が得られたことを確認した。
H−NMR(溶媒CDCl):2.75,7.49,7.61[ppm]
3.末端変性型ポリスルホニウム塩及びPAS樹脂の合成
(実施例1)
セパラブルフラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド100質量部に対し、安息香酸3質量部を入れ、10℃以下に冷却しながらメタンスルホン酸800質量部及び五酸化二リン70質量部を加え20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率98%にて得た。H−NMR、13C−NMRによって、生成物が出来ていることを確認した。
H−NMR(溶媒DMSO−d):3.77,7.59,8.03[ppm]
13C−NMR(溶媒DMSO−d):27.1,127.1,131.7,132.9,140.8[ppm]
(実施例2)
ナスフラスコにポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]100質量部に対し、N−メチル−2−ピロリドン800質量部を加えて、溶解させた。これを70℃にて8時間攪拌し、析出した固体をろ過にて回収した。得られた固体をオートクレイブに仕込み、800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて、230℃にて1時間攪拌した。ろ過にて固体を回収し、70℃の水1000質量部にて2回洗浄した。回収した固体を、120℃にて4時間乾燥することで目的のポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率58%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図1に示すように、1681cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例3)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルプロピオン酸3質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図2に示すように、1708cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例4)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルヘキサン酸4質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率50%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図3に示すように、1706cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例5)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルイソ酪酸3質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率51%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図4に示すように、1695cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例6)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルマロン酸4質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率99%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率47%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図5に示すように、1687cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例7)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェノール2質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率47%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図6に示すように、3551cm−1及び3500〜3300cm−1位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例8)
実施例1において、安息香酸の代わりにN−フェニルグリシン3質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率48%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図7に示すように、3379cm−1の位置にアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図8に示すように、1692cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例9)
実施例1において、安息香酸の代わりにN−ベンジルイミノ二酢酸4質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率98%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率51%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図9に示すように、1695cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例10)
実施例1において、安息香酸の代わりにアニリン2質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率48%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図10に示すように、3365cm−1の位置にアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(参考例1)末端変性なしのPAS樹脂の合成
セパラブルフラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド100質量部に対し、メタンスルホン酸800質量部及び五酸化二リン70質量部を10℃以下に冷却しながら加え、20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率99%にて得た。
ナスフラスコに、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]100質量部に対し、N−メチル−2−ピロリドン800質量部を加え、溶解させた。これを70℃にて8時間攪拌し、析出した固体をろ過にて回収した。得られた固体をオートクレイブに仕込み、800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて、230℃にて1時間攪拌した。ろ過にて固体を回収し、70℃の水1000質量部にて2回洗浄した。洗浄した固体を120℃にて4時間乾燥することで目的のポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図11に示す1670〜1720cm−1の範囲、及び、図12に示す3250〜3650cm−1の範囲に明確な吸収ピークの存在は認められなかった。そのため、目的化合物にはヒドロキシ基、アミノ基及びカルボキシ基が無いことを確認できた。
実施例2〜6で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表1に示す。また実施例7〜10、及び参考例1で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表2に示す。
(実施例11)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルプロピオン酸0.03質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率99%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率83%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図13に示すように、1706cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例12)
実施例1において、安息香酸の代わりにフェニルプロピオン酸300質量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行ってポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率95%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率45%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図14に示すように、1708cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例13)
実施例1において、安息香酸を添加せず20時間重合し、その後フェニルプロピオン酸3質量部加えた後、更に10時間重合したこと以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率68%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図15に示すように、1707cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
実施例11〜13で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表3に示す。
(実施例14)
セパラブルフラスコにビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルフィド100質量部を入れ、窒素雰囲気下にし、ジフェニルスルフィド60質量部、五酸化二リン100質量部、フェニルプロピオン酸2.5質量部を加えた。反応溶液を氷浴にて冷却後、メタンスルホン酸750質量部をゆっくり滴下して加えた。その後、反応溶液を室温まで昇温し、20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率99%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率48%にて得た。
得られた樹脂について重量平均分子量を測定したところ、22,000であった。また熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)は92℃、融点は275℃であり、溶融粘度は10Pa・sであった。また、赤外吸収スペクトルを測定したところ、図16に示すように、1707cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例15)
セパラブルフラスコにビス[4−(メチルスルフィニル)フェニル]スルフィド100質量部に対し、窒素雰囲気下でジフェニルエーテル50質量部、五酸化二リン100質量部、フェニルプロピオン酸2.5質量部を加えた。反応溶液を氷浴にて冷却後、メタンスルホン酸750質量部をゆっくり滴下して加えた。反応溶液を室温まで昇温し、20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルオキシフェニル)スルホニウム−4’−メチル(4−フェニルチオフェニル)]スルホニウムを収率100%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ[(フェニレンエーテル)−(フェニレンスルフィド)]を収率46%にて得た。
得られた樹脂について重量平均分子量を測定したところ、8,000であった。また熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)は95℃、融点は229℃であった。また、赤外吸収スペクトルを測定したところ、図17に示すように、1708cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例16)
実施例3と同様の操作を120℃乾燥の前まで行い、得られたスラリー100質量部に対し1000質量部の温水と、水酸化ナトリウムを加え、pH8.0に調整し、末端のカルボキシ基をカルボン酸ナトリウム型にイオン交換した。その後、反応溶液を1時間攪拌し、析出した固体をろ過した後に1000質量部の温水で洗浄した。この固体を再び1000質量部の温水で1時間攪拌し、ろ過した後に1000質量部の温水で洗浄した。この操作を2回繰り返した。その後、洗浄した固体を120℃にて4時間乾燥して、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、塩基処理工程前は図18のように、1708cm−1の位置のカルボキシ基の吸収ピークが認められたが、塩基処理工程後は図19のようにピーク強度の低減が認められ、末端のカルボキシ基がカルボン酸ナトリウム塩に変換されたことを確認した。また溶融粘度は27Pa・sであった。
(実施例17)
実施例3及び参考例1で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)について、溶融安定性を調べた。その結果を表4に示した。
(実施例18)
実施例3にて得られたPPS樹脂を反応性評価したところ、エポキシ樹脂を添加したPPS樹脂の溶融粘度(V15)は100Pa・sであり、エポキシ樹脂を添加していないPPS樹脂の溶融粘度(V15)に比べて4倍の粘度上昇度が認められた。また実施例16にて得られたPPS樹脂を同様に反応性評価したところ、エポキシ樹脂を添加したPPS樹脂の溶融粘度(V15)は108Pa・sであり、エポキシ樹脂を添加していないPPS樹脂の溶融粘度(V15)に比べて4倍の粘度上昇度が認められた。
(実施例19)
セパラブルフラスコに、メチル4−(フェニルチオ)フェニルスルホキシド100質量部に対し、サリチル酸3質量部を加え、10℃以下に冷却しながらメタンスルホン酸800質量部及び五酸化二リン70質量部を加え、20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率98%にて得た。H−NMR、13C−NMRによって、生成物が出来ていることを確認した。
H−NMR(溶媒DMSO−d):3.77,7.59,8.03[ppm]
13C−NMR(溶媒DMSO−d):27.1,127.1,131.7,132.9,140.8[ppm]
(実施例20)
ナスフラスコに、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]100質量部に対し、N−メチル−2−ピロリドン800質量部を加えて、溶解させた。これを70℃にて8時間攪拌し、析出した固体をろ過にて回収した。得られた固体をオートクレイブに仕込み、800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて、230℃にて1時間攪拌した。反応溶液をろ過し、固体を回収し、70℃の水1000質量部にて2回洗浄した。回収した固体を、120℃にて4時間乾燥することで目的のポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率58%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図20に示すように、3552cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図21に示すように、1687cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例21)
実施例19において、サリチル酸の代わりに2−ヒドロキシフェニル酢酸3質量部を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図22に示すように、3555cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図23に示すように、1690cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例22)
実施例19において、サリチル酸の代わりにハイドロキノン2質量部を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図24に示すように、3555cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例23)
実施例19において、サリチル酸の代わりにカテコール2質量部を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行ってポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図25に示すように、3524cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例24)
実施例19において、サリチル酸の代わりにアミノフェノール2質量部を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図26に示すように、3555cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図27に示すように、3433cm−1及び3377cm−1の位置にアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例25)
実施例19において、サリチル酸の代わりに4−アミノ安息香酸3質量部を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率72%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図28に示すように、3433cm−1及び3377cm−1の位置にアミノ基のN−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図29に示すように、1689cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
実施例20〜25、及び参考例1で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表5に示す。
(実施例26)
実施例19において、0.15質量部のサリチル酸を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率65%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図30に示すように、3555cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図31に示すように、1691cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例27)
実施例19において、30質量部のサリチル酸を用いたこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率97%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率48%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図32に示すように、3554cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図33に示すように、1692cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例28)
実施例19において、サリチル酸を添加せず20時間重合し、その後サリチル酸3質量部加えた後、更に10時間重合したこと以外は実施例19と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率100%にて得た。その後、実施例20と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率58%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図34に示すように、3552cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図35に示すように、1692cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
実施例26〜28で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表6に示す。
(実施例29)
実施例20と同様の操作を120℃で乾燥する前まで行い、得られたスラリー100質量部に対し、1000質量部の温水と、水酸化ナトリウムを加え、pH8.0に調整することで、末端のカルボキシ基をカルボン酸ナトリウム型にイオン交換した。反応溶液を1時間攪拌し、これをろ過して固体を回収した後、1000質量部の温水で洗浄した。回収した固体を再び1000質量部の温水に加え、1時間攪拌し、これをろ過した後に1000質量部の温水で洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。その後120℃にて4時間乾燥してポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、塩基処理工程前は、図21に示すように、1687cm−1の位置のカルボキシ基の吸収ピークが認められた。一方、塩基処理工程後は、図36に示すように、カルボキシ基の吸収ピークのピーク強度の低減が認められ、カルボキシ基がカルボン酸ナトリウム塩に変換されたことを確認した。溶融粘度は9Pa・sであった。
(実施例30)
実施例20及び参考例1で得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)について、溶融安定性を調べた。その結果を表7に示す。
(実施例31)
実施例20にて得られたPPS樹脂を反応性評価したところ、エポキシ樹脂を添加したPPS樹脂の溶融粘度(V15)は69Pa・sであり、エポキシ樹脂を添加していないPPS樹脂の溶融粘度(V15)に比べて9倍の粘度上昇度が認められた。実施例26にて得られたPPS樹脂を同様に反応性評価したところ、エポキシ樹脂を添加したPPS樹脂の溶融粘度(V15)は72Pa・sであり、エポキシ樹脂を添加していないPPS樹脂の溶融粘度(V15)に比べて9倍の粘度上昇度が認められた。
(実施例32)
実施例14において、サリチル酸2.5質量部を用いたこと以外は、実施例14と同様の操作を行って、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム]を収率98%にて得た。その後、実施例2と同様の操作を行ってポリ(p−フェニレンスルフィド)を収率46%にて得た。
得られた樹脂について重量平均分子量を測定したところ、25,000であった。また熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)は93℃、融点は271℃であり、溶融粘度は21Pa・sであった。また、赤外吸収スペクトルを測定したところ、図37に示すように、3552cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図38に示すように、1686cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例33)

セパラブルフラスコに、4−メチルスルフィニル−4’−(フェニルチオ)ビフェニル100質量部に対し、フェニルプロピオン酸3質量部を入れ、10℃以下に冷却しながらメタンスルホン酸500質量部及び五酸化二リン50質量部を加え20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}を収率98%にて得た。
H−NMR(溶媒DMSO−d):3.84、7.63、7.86、8.04、8.14[ppm]
(実施例34)
ナスフラスコに、ポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}100質量部を、N−メチル−2−ピロリドン800質量部に溶解させた。これを70℃にて8時間攪拌し、析出した固体をろ過にて回収した。得られた固体をオートクレイブに仕込み、800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて、230℃にて1時間攪拌した。ろ過にて固体を回収し、70℃の水1000質量部にて2回洗浄した。その後、洗浄した固体を120℃にて4時間乾燥することで、ポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を収率67%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図39に示すように、1708cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例35)
実施例33において、フェニルプロピオン酸の代わりにサリチル酸3質量部を用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行って、ポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}を収率95%にて得た。その後、実施例34と同様の操作を行い、ポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を収率45%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図40に示すように、3567cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図41に示すように、1681cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。
(実施例36)
実施例33において、フェニルプロピオン酸の代わりにフェノール2質量部を用いたこと以外は実施例33と同様の操作を行って、ポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}を収率96%にて得た。その後、実施例34と同様の操作を行い、ポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を収率42%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図42に示すように、3567cm−1の位置にヒドロキシ基の遊離O−H伸縮振動の吸収ピークが認められた。
(参考例2)
セパラブルフラスコに、4−メチルスルフィニル−4’−(フェニルチオ)ビフェニル100質量部に対し、五酸化二リン50質量部を加え、更にメタンスルホン酸500質量部を0℃で滴下した。反応溶液を25℃で20時間攪拌し、これをアセトンに注いで反応を停止した。析出した固体をろ過にて取り出し、アセトンにて洗浄した。洗浄した固体を減圧乾燥することでポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}を収率93%にて得た。生成物はH−NMRにより生成を確認した。
H−NMR(溶媒DMSO−d):3.84、7.63、7.87、8.04、8.15[ppm]
ナスフラスコに、ポリ{メタンスルホン酸メチル4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニウム}100質量部に対し、ピリジン5,000質量部を加えた。反応溶液を25℃で30分攪拌した後、110℃で20時間攪拌した。反応溶液を水に投入して反応を停止し、析出した固体をろ過にて取り出した。固体をクロロホルム、NMP、水にて洗浄した。洗浄した固体を減圧乾燥することで、ポリ(p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を収率43%にて得た。
赤外吸収スペクトルを測定したところ、図43に示す3250〜3650cm−1の範囲、及び、図44に示す1670〜1720cm−1の範囲に明確な吸収ピークの存在は認められなかった。そのため、目的化合物にはヒドロキシ基、アミノ基及びカルボキシ基が無いことを確認できた。
実施例34、35、36及び参考例2で調製した樹脂の各特性を測定した結果を、表8に示す。
(実施例37)
セパラブルフラスコにビス[4−(メチルスルフィニル)]ビフェニル100質量部に対し、窒素雰囲気下でジフェニルスルフィド66質量部、五酸化二リン130質量部、サリチル酸2質量部を加えた。反応溶液を氷浴にて冷却後、メタンスルホン酸1300質量部をゆっくり滴下して加えた。反応溶液を室温まで昇温し、20時間攪拌した。反応溶液をアセトン10,000質量部に投入し、析出した固体をろ過にて回収し、これをアセトン600質量部にて2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、ポリ[メタンスルホン酸メチル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム−4’−チオメチル(ビフェニル)]スルホニウムを収率98%にて得た。その後、実施例34と同様の操作を行い、ポリ(p−フェニレンチオ−p−フェニレンチオ−p,p’−ビフェニリレンスルフィド)を収率70%にて得た。
得られた樹脂について重量平均分子量を測定したところ、18,000であった。また熱分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)は122℃、融点は330℃であった。また、赤外吸収スペクトルを測定したところ、図45に示すように、3454cm−1の位置にヒドロキシ基のO−H伸縮振動の吸収ピークが認められ、図46に示すように、1684cm−1の位置にカルボキシ基のC=O伸縮振動の吸収ピークの存在が認められた。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1−1)又は下記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有する、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法であって、
    下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の特定官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を脱アルキル化又は脱アリール化する工程を有し、
    当該製造方法が、
    (a)下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させること、
    又は、
    (b)下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させること、
    を含む方法によって前記ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得る工程を更に有し、







    〔一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)、(2−2)、(1−3)、(1−4)及び(2−3)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表し、R2aは、水素原子、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
    前記特定官能基を有する芳香族化合物が、下記一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)又は(3−6a)で表される芳香族化合物である、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。

    〔一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)及び(3−6a)中、Rは直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5aは、アリール基を表す。〕
  2. 下記一般式(1−1)又は下記一般式(2−1)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む末端基と、を有する、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法であって、
    下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の特定官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)を脱アルキル化又は脱アリール化する工程を有し、
    当該製造方法が、
    (a)下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させること、
    又は、
    (b)下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させること、
    を含む方法によって前記ポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得る工程を更に有し、







    〔一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)、(2−2)、(1−3)、(1−4)及び(2−3)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、R2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表し、R2aは、水素原子、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
    前記特定官能基を有する芳香族化合物が、下記一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)又は(4−4a)で表される芳香族化合物である、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。

    〔一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)及び(4−4a)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6aは、2価の芳香族環を表す。〕
  3. 下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の特定官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法であって、
    (a)下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させること、
    又は、
    (b)下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させること、
    を含み、





    〔式中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、
    2aは、水素原子、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表し、
    2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。〕
    前記特定官能基を有する芳香族化合物が、下記一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)又は(3−6a)で表される芳香族化合物である、
    ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法。

    〔一般式(3−1a)、(3−2a)、(3−3a)、(3−4a)、(3−5a)及び(3−6a)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar5aは、アリール基を表す。〕
  4. 下記一般式(1−2)で表される構成単位又は下記一般式(2−2)で表される構成単位を含む主鎖と、前記主鎖の末端に結合した、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の特定官能基を含む末端基と、を有するポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法であって、
    (a)下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(1−3)で表されるスルホキシドと下記一般式(1−4)で表される芳香族化合物とを反応させること、
    又は、
    (b)下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させてポリ(アリーレンスルホニウム塩)を得た後、前記特定官能基を有する芳香族化合物を反応系に加えて反応させること、若しくは前記特定官能基を有する芳香族化合物の存在下で、下記一般式(2−3)で表される芳香族スルホキシドを重合させること、
    を含み、





    一般(1−2)、(2−2)、(1−3)、(1−4)及び(2−3)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を表し、
    2aは、水素原子、−Ar4a、−S−Ar4a、−O−Ar4a、−CO−Ar4a、−SO−Ar4a又は−C(CF−Ar4aを表し、Ar3a及びAr4aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表し、
    2bは、直接結合、−Ar4b−、−S−Ar4b−、−O−Ar4b−、−CO−Ar4b−、−SO−Ar4b−又は−C(CF−Ar4b−を表し、Ar、Ar、Ar3b及びAr4bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは、直接結合、−S−、−O−、−CO−、−SO−又は−C(CF−を表し、Xは、アニオンを表す。〕
    前記特定官能基を有する芳香族化合物が、下記一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)又は(4−4a)で表される芳香族化合物である、
    ポリ(アリーレンスルホニウム塩)の製造方法。

    〔一般式(4−1a)、(4−2a)、(4−3a)及び(4−4a)中、Rは、直接結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、Ar6aは、2価の芳香族環を表す。〕
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