JP6845069B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents

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この発明は、主としてCoからなる金属相中に酸化物粒子が分散した組織構造を有し、磁気記録媒体を構成する磁気記録層その他の磁性膜の形成に用いるスパッタリングターゲットに関するものであり、特には、磁性膜の磁気特性の向上に寄与することのできる技術を提案するものである。
たとえばハードディスク装置では、記録面に対して垂直方向に磁気を記録する垂直磁気記録方式が実用化され、それまでの水平磁気記録方式に比べて高密度の記録が可能であることから広く採用されている。
垂直磁気記録方式の磁気記録媒体は、概して、アルミニウムやガラス等の基板上に軟磁性層、非磁性中間層、磁気記録層および保護層を順次に積層して構成されるものであり、このうち磁気記録層に、Coを主成分とするCo‐Cr‐Pt系合金等にSiO2等の酸化物が添加されたグラニュラー構造の磁性膜が用いられる。これにより、当該磁気記録層中で、非磁性材料となる上記の酸化物が、垂直方向に配向するCo合金等の磁性粒子の粒界へ析出して、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低減され、それによるノイズ特性の向上および、高い記録密度を実現している。
このような磁気記録媒体の磁気記録層は通常、Coを主成分とする金属相に所定の酸化物粒子を分散させてなるスパッタリングターゲットを用いて、マグネトロンスパッタリング装置で、所定の層上にスパッタリングすることにより形成される。
なお、この種のスパッタリングに関する技術として従来は、特許文献1〜7に記載されたもの等がある。
特開2011−208169号公報 特開2011−174174号公報 特開2011−175725号公報 特開2012−117147号公報 特許第4885333号 国際公開第2012/086388号 国際公開第2015/064761号
ところで、上述したような垂直磁気記録方式の磁気記録層の形成に用いるスパッタリングターゲットでは一般に、垂直方向に配向する磁性粒子の相互を磁気的に分離させる酸化物として、SiO2やTiO2等の金属酸化物が用いられている。
しかしながら、このようなSiやTiの酸化物を添加しただけでは、磁性粒子間の分離が不十分であり、それにより、記録層起因のノイズの低減の観点から問題があることが解かった。
一方、分離を良くするために添加酸化物の量を増やそうとすれば、磁性粒子が小さくなったり、磁性粒子内に酸化物が分布したりすることになり、その結果として、高い保磁力を維持することができなくなる。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決するものであり、その目的は、磁性粒子間の良好な磁気的分離性および、高い保磁力を両立させた磁性膜を形成することのできるスパッタリングターゲットを提供することにある。
発明者は、スパッタリングターゲットを製造するに当り、Co等の金属粉末ならびに、Si及び/又はTiの酸化物粉末の他、さらにZnO粉末を添加し、たとえば、ホットプレス法を用いて、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下、700〜1500℃の温度範囲で粉末焼結を行うことにより、Zn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物が形成され、この複合酸化物が、良好な磁気的分離性および高い保磁力をもたらすことを見出した。
これは、Zn‐Ti‐OやZn‐Si‐Oの複合酸化物が、磁性粒子の周囲にほぼ均一に分布し、それによって磁性粒子のサイズと磁気異方性を下げることなく粒間の強磁性交換結合を小さくできると考えられるが、この発明は、このような理論に限定されるものでない。
かかる知見の下、この発明のスパッタリングターゲットは、原子比換算で1at.%以上のZnを含有し、その一部または全部がZn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物を形成しており、Ptが45at.%以下であり、残部にCo及び不可避的不純物を含有するものからなるものである。
この発明のスパッタリングターゲットでは、酸化物が、Zn2TiO4及び/又はZn2SiO4を含むことが好ましい。
また、この発明のスパッタリングターゲットは、Znを1at.%〜15at.%で含有することが好ましい。
この発明のスパッタリングターゲットはさらに、Co、Cr、Si、B、W、Nb、Mn、Mo及びTiからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物を形成しているものとすることができる。
また、この発明のスパッタリングターゲットはさらに、Au、Ag、B、Cu、Cr、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ti、Ta、W、V及びZnからなる群から選択される少なくとも一種を、それぞれ60at.%以下で含有するものとすることができる。
この発明によれば、Zn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物を含有することにより、磁性粒子間の良好な磁気的分離性および、高い保磁力を両立させることができる。その結果として、磁性膜の磁気特性を向上させることができる。
試験例1の実施例1及び比較例1のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜の、膜厚に対する磁化Ms、保磁力Hc、磁化曲線の傾きα、磁気異方性Kuの変化それぞれを示すグラフである。 試験例1の実施例2及び比較例2のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜の、膜厚に対する磁化Ms、保磁力Hc、磁化曲線の傾きα、磁気異方性Kuの変化それぞれを示すグラフである。 試験例1の実施例3及び比較例3のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜の、膜厚に対する磁化Ms、保磁力Hc、磁化曲線の傾きα、磁気異方性Kuの変化をそれぞれ示すグラフである。 試験例1の実施例2、4、5及び比較例2のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜の、膜厚に対する磁化Ms、保磁力Hc、磁化曲線の傾きα、磁気異方性Kuの変化をそれぞれ示すグラフである。 試験例1の比較例1のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜のEDXマッピング結果を示すグラフ及び、TEM像である。 試験例1の実施例1のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜のEDXマッピング結果を示すグラフ及び、TEM像である。 試験例1の実施例2のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜のEDXマッピング結果を示すグラフ及び、TEM像である。 試験例1の実施例3のスパッタリングターゲットで形成した磁性膜のEDXマッピング結果を示すグラフ及び、TEM像である。 試験例2のZn量に対する磁化Msの変化を示すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のスパッタリングターゲットは、たとえば垂直磁気記録方式の記録磁性層等の磁性膜で磁性粒子を構成し得る金属相が、Ptが45at.%以下であって、残部にCoを含む金属又は合金からなる焼結体のスパッタリングターゲットであり、1at.%以上のZnを含んでおり、その一部または全部が酸化物相に酸化物として含有され、その一部または全部がZn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物となっている酸化物粒子が分散した組織構造を有する。このような複合酸化物が存在することにより、磁性膜で、当該複合酸化物が、垂直方向に配向する磁性粒子の周囲に均一に分布して、磁性粒子間を磁気的に有効に分離させるべく機能する。
(組成)
金属相は主としてCoからなり、必要に応じてPtを含む。より具体的には、金属相は、Coのみからなる金属、あるいは、Ptを含有し、残部がCoからなる合金である。Ptを含有する場合、Ptの含有量は、0.1at.%以上かつ45at.%以下とすることができる。さらに、不可避的に混入し得る不純物(いわゆる不可避的不純物)を含むことがある。
また、金属相はさらに、Au、Ag、B、Cu、Cr、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ti、Ta、W、V及びZnからなる群から選択される少なくとも一種をそれぞれ、たとえば60at.%以下、典型的には0.5at.%〜60at.%で含有することができる。このような元素を含むことにより、磁性膜の磁気特性を更なる向上を期待することができる。なお、これらの元素は、主として金属相中に含まれるが、後述する製造時の焼結で酸化されることによって、一部が酸化物として含まれることもある。
上述した金属相は磁性相を構成するが、垂直磁気記録方式の磁気記録層等の磁性膜を形成するためのスパッタリングターゲットでは、非磁性相としての酸化物相が含まれる。
ここで、この発明では、かかる酸化物相に含まれる酸化物としてZnを含む酸化物を含有し、このZnを含む酸化物の少なくとも一部がZn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物を形成している。このような酸化物は、磁性膜で、磁性粒子を取り囲むように酸化物相の粒界を形成する。それにより、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低減されて、ノイズ特性の向上をもたらす。特にここでは、Zn‐Ti‐OやZn‐Si‐Oの複合酸化物が存在することにより、磁性粒子間の良好な磁気的分離性を実現することができる。
Znは1at.%以上含まれており、その一部または全部が酸化物に含まれるものとする。これはすなわち、Znが1at.%未満である場合、磁性粒子を分離するのに十分な量のZn−Ti−O及び/又はZn−Si−Oが形成できないからである。一方、Znの含有量が多すぎると、Znは磁性粒内に局在するおそれがある。そのため、Znの含有量は、20at.%以下とすることが好ましい。特に、Znの含有量は、1at.%以上かつ15at.%以下とすることがより一層好ましい。なおZnは、1at.%〜15at.%で含まれることが好適である。
Zn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物は具体的には、Zn‐Ti‐OがZn2TiO4であり、またZn‐Si‐OがZn2SiO4である。Zn2TiO4およびZn2SiO4のうちの少なくとも一方が存在している場合、磁気特性に優れた磁性膜を形成することができる。これは、TiO2やSiO2に比べ融点が下がることにより、スパッタリング時に酸化物が基板上で再配列しやすいためと考えられる。
Zn2TiO4ないしZn2SiO4が存在しているか否かは、X線回折法(XRD)による回折強度のピークを観察することにより確認することができる。
またさらに、Co、Cr、Si、B、W、Nb、Mn、Mo及びTiからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物を含むことができる。一般に垂直磁気記録方式の磁気記録層には、上述したZnの酸化物および複合酸化物の他、Coの酸化物、Crの酸化物、Siの酸化物、Bの酸化物、Wの酸化物、Nbの酸化物、Mnの酸化物,Moの酸化物およびTiの酸化物のうちの少なくとも一種が含まれており、このようなSi等の酸化物もまた、磁性粒子を取り囲むように酸化物相の粒界を形成し、磁性粒子間の分離をさらに良好なものとする。Cr、Si、B、W、Nb、Mn、Mo及びTiの酸化物はそれぞれの原子比がスパッタリングターゲット全体に対して0〜40at.%の間で含まれると、金属Coの結晶配向及び磁性を安定に維持することができる。特に0.5at.%〜20at.%とすることで安定してDCスパッタすることができる。
(磁性膜)
上述したようなスパッタリングターゲットを用いて、マグネトロンスパッタリング装置等で基板上に成膜することにより、所定の磁性膜を形成することができる。
このような磁性膜は、ZnとTi及び/又はZnとSiを含有し、Ptが45at.%以下であり、残部にCo及び不可避的不純物が含まれる。このうち、一部または全部のZn、Ti、Siは酸化物として存在する。つまり、磁性膜には、ZnとTiとO及びZnとSiとOのうちの少なくとも一種の酸化物が含まれる。磁性膜中のZnの含有量は1at.%以上、好ましくは1at.%以上かつ15at.%以下である。
なお、磁性膜中に、上記のZn、Ti、Siが複合酸化物として含まれているか否かについては、わずか10nm程度の膜の中で、幅1nm程度の磁性粒子間の隙間(粒界)に分布しているため一般的なX線を用いた構造解析ではどのように複合しているか確認することが困難である。
そしてまた、磁性膜はさらに、Co、Cr、Si、B、W、Nb、Mn、Mo及びTiからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物を含むことができる。
なお、磁性膜はさらに、Au、Ag、Cr、Cu、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ru、Sn、Ta、W、V及びZnからなる群から選択される少なくとも一種をそれぞれ60at.%以下、典型的には0.5at.%〜60at.%で含有することがある。
(スパッタリングターゲットの製造方法)
先述したスパッタリングターゲットは、粉末焼結法を用いて製造することができ、その具体例としては以下のとおりである。
はじめに、金属粉末として、少なくともCo粉末、さらに、必要に応じてPt粉末及び/又はCr粉末、場合によってはAu粉末、Ag粉末、B粉末、Cu粉末等の金属粉を用意する。金属粉末は、単元素のみならず合金の粉末であってもよく、その粒径が1μm〜10μmの範囲内のものであることが、均一な混合を可能にして偏析と粗大結晶化を防止できる点で好ましい。金属粉末の粒径が10μmより大きい場合は、酸化物粒子が均一に分散しないことがあり、また、1μmより小さい場合は、金属粉末の酸化の影響でスパッタリングターゲットが所望の組成から外れたものになるおそれがある。
また、酸化物粉末として、ZnO粉末とSiO2粉末及び/又はTiO2粉末、さらに必要に応じてCo34、B23等を用意する。酸化物粉末は粒径が1μm〜30μmの範囲のものとすることが好ましい。それにより、上記の金属粉末と混合して加圧焼結した際に、金属相中に酸化物粒子をより均一に分散させることができる。酸化物粉末の粒径が30μmより大きい場合は、加圧焼結後に粗大な酸化物粒子が生じることがあり、この一方で、1μmより小さい場合は、酸化物粉末同士の凝集が生じることがある。
次いで、上記の金属粉末及び酸化物粉末からなる原料粉末を、所望の組成になるように秤量し、ボールミル等の公知の手法を用いて混合するとともに粉砕する。このとき、混合・粉砕に用いる容器の内部を不活性ガスで充満させて、原料粉末の酸化をできる限り抑制することが望ましい。これにより、所定の金属粉末と酸化物粉末とが均一に混合した混合粉末を得ることができる。
その後、このようにして得られた混合粉末を、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で加圧して焼結させ、円盤状等の所定の形状に成型する。ここでは、ホットプレス焼結法、熱間静水圧焼結法、プラズマ放電焼結法等の様々な加圧焼結方法を使用することができる。なかでも、熱間静水圧焼結法は焼結体の密度向上の観点から有効である。
焼結時の保持温度は、700〜1500℃の温度範囲とし、特に800℃〜1400℃とすることが好ましい。そして、この範囲の温度に保持する時間は、1時間以上とすることが好適である。
また焼結時の加圧力は、好ましくは10MPa〜40MPa、より好ましくは25MPa〜35MPaとする。
それにより、金属相中に酸化物粒子をより均一に分散させることができる。
上記の加圧焼結により得られた焼結体に対し、旋盤等を用いてで所望の形状にする切削その他の機械加工を施すことにより、スパッタリングターゲットを製造することができる。
(磁性膜の製造方法)
上述したようにして製造したスパッタリングターゲットは、先述の磁性膜の製造に用いることができる。具体的には、かかるスパッタリングターゲットを用いて、一般にはマグネトロンスパッタリング装置にてスパッタリングを行うことにより、所定の基板上ないし他の膜上に成膜して、そこに磁性膜を形成することができる。
次に、この発明のスパッタリングターゲットを試作し、その性能を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
Co粉末、Pt粉末、TiO2粉末、SiO2粉末およびZnO粉末を、組成比が分子数比率で64:22:5:3:6となるように秤量し、該粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、24時間回転させて混合した。そして、ボールミルから取り出した混合粉末を直径190mmのカーボン製の型に充填し、ホットプレスで焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。このようにして得られた焼結体を、直径180.0mm、厚さ5.0mmの円盤状になるよう旋盤で切削加工し、実施例1のスパッタリングターゲットを作製した。
実施例2のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末、TiO2粉末およびZnO粉末を用いて、組成比を63:21:7:9としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
実施例3のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末、SiO2粉末およびZnO粉末を用いて、組成比を64:22:5:9としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
実施例4のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末、TiO2粉末、ZnO粉末およびCo34粉末を用いて、組成比を65:22:5:6:2としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
実施例5のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末、TiO2粉末、ZnO粉末およびB23粉末を用いて、組成比を65:22:5:6:2としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
比較例1のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末、TiO2粉末およびSiO2粉末を用いて、組成比を66:22:7:5としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
比較例2のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末およびTiO2粉末を用いて、組成比を64:22:14としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
比較例3のスパッタリングターゲットは、原料粉末としてCo粉末、Pt粉末およびSiO2粉末を用いて、組成比を67:23:10としたことを除いて、実施例1のスパッタリングターゲットと同様に作製した。
上記の実施例1〜5の各スパッタリングターゲットについて、Rigaku社製のSmartlab.を用いて、ターゲット表面のX線回折強度を測定した。このときの測定条件は、θ−2θ測定で、2θ=10−90°とした。それにより、実施例1のスパッタリングターゲットでは、ZnがZn2TiO4及びZn2SiO4として存在し、実施例2、4及び5のスパッタリングターゲットでは、ZnがZn2TiO4として存在し、実施例3のスパッタリングターゲットでは、ZnがZn2SiO4として存在していることが解かった。
なお、比較例1〜3のスパッタリングターゲットでは、ZnOを添加しなかったことにより、Znの酸化物が形成されていないことは明らかである。
また、実施例1〜5及び比較例1〜3のそれぞれのスパッタリングターゲットを、マグネトロンスパッタリング装置(キヤノンアネルバ製C‐3010スパッタリングシステム)にセットし、ガラス基板上にTa(2.8nm)、Ni−W(5nm)及びRu(16nm)をこの順序で成膜したものに、Ar5.0Pa雰囲気下にて300Wでスパッタリングを行い、膜厚が7nm、11nm、14nm及び18nmの各磁性膜を形成した。そして、それらの各膜厚の磁性膜について、保磁力Hc、磁気異方性Ku、磁化Ms、磁化曲線の傾きαを測定したところ、図1〜5にグラフで示す結果を得た。
なおここで、保磁力Hc、磁化Ms、磁化曲線の傾きαは玉川製作所製の試料振動型磁力計(VSM)により測定し、玉川製作所製磁気トルク計(TRQ)により磁気異方性Kuを測定した。
図1より、TiO2−SiO2にZnOを添加することにより、保磁力Hcが上昇し、磁化曲線の傾きαが低下することが解かる。また、図2、3より、TiO2、SiO2のそれぞれにZnOを添加することにより、磁化Msと磁気異方性Kuが上昇し、磁化曲線の傾きαが低下することが解かる。したがって、実施例1〜3によれば、ZnOの添加により磁性粒子の分離がよくなっていることが明らかである。さらに、TiO2、SiO2にZnを添加すると磁性粒子の磁気特性がよくなっていることが明らかである。
なお図4より、Co34やB23を含む実施例4、5であっても、それらを含まない実施例2と同程度に、ZnO添加による効果が得られていることが解かる。
また、上述したように、比較例1及び実施例1〜3のそれぞれのスパッタリングターゲットを用いて成膜した各磁性膜について、Arイオンミリングによりサンプルをガラス基板側から削り、磁性膜だけを残すように加工した後、当該磁性膜に対し、日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDX)にてラインスキャンを行った。その結果を図5〜8に示す。なお図5〜8はそれぞれ、縦軸を相対強度とし、横軸を距離(nm)としたグラフであり、図5は比較例1、図6は実施例1、図7は実施例2、図8は実施例3の各結果にそれぞれ対応する。
図5〜8に示すところから、ZnOを添加した実施例1〜3では、比較例1に比して、元素分布のグラフの立ち上がりが急であることから、酸化物相と磁性粒子相の境目が明確であり、それ故に、実施例1〜3は、酸化物による磁性粒子の相互の分離性に優れることが解かる。
(試験例2)
Co粉末、Pt粉末、TiO2粉末およびZnO粉末を用いて作製したスパッタリングターゲットと、Co粉末、Pt粉末、SiO2粉末およびZnO粉末を用いて作製したスパッタリングターゲットのそれぞれで、ZnOの量を変化させた複数の試作品を製造した。製造条件は、上記の試験例1で述べたものと実質的に同様である。
これらの試作品のそれぞれを用いて、試験例1と同様の方法により磁性膜を成膜し、各磁性膜の磁化Msを測定した。その結果を図9に示す。
図9に示すところから、磁化Msは、比較的少ないZn量で急増し、Zn量が15at.%を超えると若干低下することが解かる。したがって、磁化Msを上昇させるとの観点からは、Zn量が1〜15at.%であると好ましいといえる。
なお、先述した実施例1〜5及び比較例1〜3のスパッタリングターゲットならびに、図9に示す各スパッタリングターゲットの組成を、参考として表1に示す。
なお実施例6〜10のスパッタリングターゲットも作製したので、表1には、参考までに、それらの実施例6〜10の各スパッタリングターゲットの組成についても示している。
以上より、この発明によれば、磁性粒子間の良好な磁気的分離性と、高い保磁力を両立させ、磁気特性を向上させた磁性膜を形成できることが解かった。

Claims (5)

  1. 原子比換算で1at.%以上のZnを含有し、その一部または全部がZn‐Ti‐O及び/又はZn‐Si‐Oの複合酸化物を形成しており、Ptが45at.%以下であり、残部にCo及び不可避的不純物を含むスパッタリングターゲット。
  2. 酸化物が、Zn2TiO4及び/又はZn2SiO4を含む請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. Znを1at.%〜15at.%で含有する請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. さらに、Co、Cr、Si、B、W、Nb、Mn、Mo及びTiからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物を形成している請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. さらに、Au、Ag、B、Cu、Cr、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ti、Ta、W、V及びZnからなる群から選択される少なくとも一種を、それぞれ60at.%以下で含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
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