以下図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態による電気光学装置に含まれる素子基板10(第1基板)と対向基板20(第2基板)の構成例を示す図である。より詳細に説明すると、図1(A)は素子基板10の平面図であり、図1(B)は対向基板20の平面図である。図1(A)および図1(B)に示すように、素子基板10と対向基板20は同じ大きさかつ矩形状の平面形状を有する。図1(A)に示すように、素子基板10には、画素電極110が中央に設けられており、画素電極110を取り囲むように第1イオントラップ電極120が設けられている。同様に、対向基板20には、共通電極210が中央に設けられており、共通電極210を取り囲むように第2イオントラップ電極220が設けられている。
本実施形態では、素子基板10と対向基板20の間に液晶30を挟持することで液晶セルが構成される。このとき、図2に示すように、画素電極110と共通電極210が互いに向き合い、第1イオントラップ電極120と第2イオントラップ電極220が互いに向き合う。この液晶セルは、有効画素を配した表示領域と、その外側の非表示領域とに区分けされる。図2に示すように、表示領域とは、画素電極110および共通電極210に対応する領域であり、非表示領域とは、第1イオントラップ電極120および第2イオントラップ電極220に対応する領域である。
図3は、本実施形態の電気光学装置の構成例を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態の電気光学装置は、素子基板10、対向基板20および液晶30の他に、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42を有する。第1駆動制御部41は、画素電極110および共通電極210の駆動制御を行う。より詳細に説明すると、第1駆動制御部41は、第1の電位(本実施形態では、12.5V)と当該第1の電位よりも低い第2の電位(本実施形態では、2.5V)とを予め定められた第1の時間ずつ交互に画素電極110に印加するとともに、共通電極210を上記第1の電位と上記第2の電位の中間電位である第3の電位(すなわち、7.5V)に維持する処理を行う。これにより、表示領域には最大±5Vの交流電圧が印可される。以下では、画素電極110に第1の電位を与えている状態(すなわち、画素電極110の電位>共通電極210の電位である状態)を「表示領域の正極印加状態」と呼び、画素電極110に第2の電位を与えている状態(すなわち、画素電極110の電位<共通電極210の電位である状態)を「表示領域の負極印加状態」と呼ぶ。
本実施形態の電気光学装置では、非表示領域に対応する第1イオントラップ電極120および第2イオントラップ電極220に表示領域とは異なる交流電圧を印可することで、イオン性不純物を非表示領域に集積させることができ、第2駆動制御部42はそのためのものである。第2駆動制御部42は、第1イオントラップ電極120および第2イオントラップ電極220の駆動制御を行う。図3に示すように、第2駆動制御部42は、第1イオントラップ電極120に第1駆動信号を供給する第1供給部42aと第2イオントラップ電極220に第2駆動信号を供給する第2供給部42bとを含む。
第2駆動制御部42を第1駆動制御部41とは別個に設けたことで、本実施形態では、画素電極110とは別個独立に第1イオントラップ電極120に任意の電位を印可することができる。第2イオントラップ電極220についても同様に、共通電極210とは別個独立に任意の電位を印可することができる。つまり、本実施形態では、表示領域に対応する画素電極110および共通電極210、非表示領域に対応する第1イオントラップ電極120および第2イオントラップ電極220の4種類の電極に、それぞれ任意の電位を印可することができる。
より詳細に説明すると、第1供給部42aおよび第2供給部42bは、表示領域において素子基板10側に位置するイオンに対する引き寄せ量と対向基板20側に位置するイオン(液晶30中のイオン性不純物)に対する引き寄せ量とが理論上同じになるように、第1駆動信号および第2駆動信号を供給する。具体的には、第2駆動制御部42は、前述の第1の電位と同第2の電位のうちの一方の電位と第3の電位とで定まる電位範囲内の電位である第4の電位と当該第3の電位とを、予め定められた第2の時間ずつ交互に第1イオントラップ電極120に与える。また、第2駆動制御部42は、第4の電位を第1イオントラップ電極120に与えている間は第3の電位を第2イオントラップ電極220に与え、第3の電位を第1イオントラップ電極120に与えている間は第4の電位を第2イオントラップ電極220に与える。以下では、第1イオントラップ電極120の電位>第2イオントラップ電極220の電位である状態を「非表示領域の正極印加状態」と呼び、第1イオントラップ電極120の電位<第2イオントラップ電極220の電位である状態を「非表示領域の負極印加状態」と呼ぶ。
第4の電位は、収集対象のイオン性不純物の極性に応じて定められる。具体的には、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合には、第4の電位は、第2の電位と第3の電位とで定まる電位範囲内で定められる。逆に、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合には、第4の電位は、第1の電位と第3の電位とで定まる電位範囲内で定められる。本実施形態では、集積対象のイオン性不純物は陽イオンであり、上記第4の電位は上記第2の電位と同じ値(すなわち、2.5V)に設定されている。また、本実施形態では、第1の時間の時間長と第2の時間の時間長は同じ、すなわち、第1駆動制御部41による表示領域の電極の駆動周波数と第2駆動制御部42による非表示領域の電極の駆動周波数は同じである。また、画素電極110への第1の電位の印加開始タイミングと、第3の電位と第4の電位のうちの高い方(本実施形態では、第3の電位)の第1イオントラップ電極120への印加開始タイミングとが揃っている。つまり、第1駆動制御部41による表示領域の駆動周期と第2駆動制御部42による非表示領域の駆動周期は、位相が揃っている。
図4は、本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびこの駆動方法により実現されるイオン性不純物集積の様子を説明するための模式図である。図4(A)は、表示領域の正極印加状態(図4では、「+field」という文言で表示領域が正極印加状態であることを表記:図5〜図19についても同様)を示す模式図である。これに対して、図4(B)は、表示領域の負極印加状態(図4では、「−field」という文言で表示領域が負極印加状態であることを表記:図5〜図19についても同様)を示す模式図である。
第1駆動制御部41による駆動周期と第2駆動制御部42による駆動周期の位相が揃っており、両者の駆動周波数も同じであるため、表示領域が正極印可状態である場合(図4(A)参照)には、第1イオントラップ電極120には第4の電位(2.5V)と第3の電位(7.5V)のうちの高い方、すなわち後者が印加され、第2イオントラップ電極220には前者(2.5V)が印加される。つまり、非表示領域も正極印加状態となる。この状況下では、素子基板10側では画素電極110から第1イオントラップ電極120に向かう方向に両電極の電位差12.5V−7.5V=5.0V分の電位勾配が発生し、イオン性不純物は電位が低くなる方向(矢印410Bで示すように表示領域から非表示領域へ向かう方向)へ移動する。同様に、対向基板20側では共通電極210から第2イオントラップ電極220に向かう方向に両電極の電位差7.5V−2.5V=5.0V分の電位勾配が発生し、イオン性不純物は矢印410Aの示す方向、すなわち表示領域から非表示領域へ移動する。
表示領域が負極印可状態である場合(図4(B)参照)には、第1イオントラップ電極120には第4の電位(2.5V)が印加され、第2イオントラップ電極220には第3の電位(7.5V)が印加される。つまり、非表示領域も負極印加状態となる。この状況下では、素子基板10側と対向基板20側の何れにおいても、表示領域と非表示領域との間で電位勾配は発生せず(図4(B)参照)、イオン性不純物の移動は発生しない(図4(B)では点線で表現:他の図においても同様)。なお、表示領域の負極印加時には、画素によっては画素電極110の電圧値が2.5Vにならない場合もあるが、その場合でも電圧値は2.5Vと7.5Vの間の電圧値となるので、イオン性不純物の移動は画素電極110側から第1イオントラップ電極120側への移動しか発生しない。
表示領域の正極印可時に素子基板10側で発生する電位勾配と対向基板20側で発生する電位勾配は同じであるため、表示領域への正極印可→負極印加→正極印可・・・を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。このように本実施形態によれば、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量を略同じ(測定誤差を加味すれば同じ値)にすることが可能になり、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することが可能になる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合について説明したが、本実施形態における収集対象のイオン性不純物は陰イオンであり、この点が第1実施形態と異なる。本実施形態の電気光学装置の構成は第1実施形態の電気光学装置の構成(図3参照)と同じであるため、詳細な説明は省略する(後述する第3〜第6実施形態についても同様)。前述したように、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合は、第4の電位を、第1の電位と第3の電位に応じて定まる電位範囲内で定めれば良く、本実施形態では第4の電位は第1の電位と同じ値(すなわち、12.5V)に設定されている。以下、図5を参照しつつ、本実施形態の電気光学装置の駆動方法および本実施形態におけるイオン性不純物収集の様子を説明する。なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、第1駆動制御部41による電極の駆動周波数と第2駆動制御部42による電極の駆動周波数は同じであり、また、第1駆動制御部41による駆動周期と第2駆動制御部42による駆動周期の位相も揃っている。
図5は、本実施形態におけるイオン性不純物集積の様子を説明するための模式図である。第1駆動制御部41による電極の駆動周期と第2駆動制御部42による電極の駆動周期の位相が揃っており、両者の駆動周波数も同じであるため、表示領域が正極状態である場合(図5(A)参照)には、非表示領域も正極印加状態とされる。つまり、第1イオントラップ電極120には第4の電位(12.5V)と第3の電位(7.5V)のうちの高い方、すなわち前者が印加され、第2イオントラップ電極220には後者(2.5V)が印加される。この状態では、素子基板10側と対向基板20側の何れにおいても、表示領域と非表示領域との間の電位勾配は発生せず、イオン性不純物の移動は発生しない。
表示領域が負極印可状態に切り替えられると、これに同期して非表示領域の負極印加状態に切り替えられる(図5(B)参照)。つまり、第1イオントラップ電極120には第3の電位(7.5V)が印加され、第2イオントラップ電極220には第4の電位(12.5V)が印加される。この状況下では、素子基板10側では画素電極110から第1イオントラップ電極120に向かう方向に両電極の電位差2.5V−7.5V=−5.0V分の電位勾配が発生し、イオン性不純物は電位が高くなる方向へ(矢印510Bで示すように表示領域から非表示領域へ向かう方向)へ移動する。同様に、対向基板20側では共通電極210から第2イオントラップ電極220に向かう方向に両電極の電位差7.5V−12.5V=−5.0V分の電位勾配が発生し、イオン性不純物は矢印510Aの示す方向、すなわち表示領域から非表示領域へ移動する。
本実施形態においても、表示領域の正極印可時に素子基板10側に発生する電位勾配と対向基板20側に発生する電位勾配は同じである。このため、表示領域への正極印可→負極印加→正極印可・・・を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。このように、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合も、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量を略同じにすることが可能になり、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することが可能になる。
<第3実施形態>
上記第1および第2実施形態では、第1駆動制御部41による電極の駆動周波数と第2駆動制御部42による電極の駆動周波数とが同じであった。しかし、第1駆動制御部41による電極の駆動周波数と第2駆動制御部42による電極の駆動周波数とが異なっていても良い(換言すれば、前述した第1の時間の時間長と第2の時間の時間長が異なっていても良い)。本実施形態では、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42は共に正極印加状態から電極の駆動を開始するものの、第2駆動制御部42による電極の駆動周波数が第1駆動制御部41による電極の駆動周波数の1/2である点、すなわち、前者の駆動周期が後者の駆動周期の2倍である点が第1および第2実施形態と異なる。以下、図6および図7を参照しつつ、本実施形態におけるイオン性不純物収集の様子を説明する。
図6は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図6に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。本実施形態では、第2駆動制御部42による駆動周波数が第1駆動制御部41による駆動周波数の1/2倍であるため、図6(A)および図6(B)に示すように、表示領域への電位印加状態が正極印加→負極印加と遷移しても、非表示領域は正極印加状態に維持される。その後、表示領域が再度正極印加状態へ遷移するタイミングで非表示領域は負極印加状態へ遷移し(図6(C)参照)、表示領域が負極印加状態へ遷移しても非表示領域は負極印加状態に維持される(図6(D)参照)。その後さらに表示領域が正極印加状態へ遷移すると、非表示領域も正極印加状態へ遷移し、図6(A)の状態に戻る。
本実施形態において素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである。図6(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図6(B)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、図6(C)に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生し、図6(D)に示す状態では、電位勾配は発生しない。第1駆動制御部41による駆動周期と第2駆動制御部42による駆動周期の最小公倍数を1サイクルとすると、その1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配(換言すれば、電位勾配の時間平均)は、10Vの電位差分の電位勾配となる。なお、図6では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印610B、620Bおよび630の向きおよび長さで表されている。
これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図6(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図6(B)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生し、図6(C)および図6(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。このため、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も10Vの電位差分の電位勾配となる。なお、図6では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印610Aおよび620Aの向きおよび長さで表されている。
このように、1サイクルにおいて素子基板10側で発生する正味の電位勾配と対向基板20側で発生する正味の電位勾配は同じであるため、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。
図7は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図7に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。この場合も図6に示す場合と同様に、表示領域への電位印加状態が正極印加→負極印加と遷移しても、非表示領域は正極印加状態に維持され、表示領域が再度正極印加状態へ遷移するタイミングで非表示領域は負極印加状態へ遷移し、表示領域が再度正極印加状態へ遷移するまでその状態が維持される。
図7(A)〜(D)に示すように、素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである。図7(A)に示す状態では電位勾配は発生せず、図7(B)に示す状態では−10Vの電位勾配が、図7(C)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図7(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生する。つまり、1サイクルにおいて、素子基板10側に発生する正味の電位勾配は、−10Vの電位差分の電位勾配である。図7においても上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印710、720Bおよび730Bの向きおよび長さで表されている。
これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図7(A)および図7(B)の各々に示す状態では電位勾配は発生せず、図7(C)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、図7(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生する。このため、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−10Vの電位差分の電位勾配となる。図7においても上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印720Aおよび730Aの向きおよび長さで表されている。
このように、1サイクルにおいて素子基板10側で発生する正味の電位勾配と対向基板20側で発生する正味の電位勾配は同じであるため、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。
以上説明したように本実施形態においても、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになり、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することができる。加えて、本実施形態によれば以下の効果も奏される。すなわち、表示領域の駆動周波数は表示品位向上のためには高い周波数であることが好ましいが、非表示領域を高速駆動する必要はない。本実施形態によれば、非表示領域を駆動するための回路負荷および消費電力を第1および第2実施形態よりも低く抑えつつ、イオン性不純物を収集することができるといった効果が奏される。
<第4実施形態>
上記第3実施形態では、第2駆動制御部42による電極の駆動周波数が第1駆動制御部41による電極の駆動周波数の1/2であったが、本実施形態は、第2駆動制御部42による電極の駆動周波数が第1駆動制御部41による電極の駆動周波数の2倍である点が第3実施形態と異なる。以下、図8および図9を参照しつつ、本実施形態におけるイオン性不純物収集の様子を説明する。
図8は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図8に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。本実施形態では、第2駆動制御部42による駆動周波数が第1駆動制御部41による駆動周波数の2倍であるため、図8(A)〜図8(D)に示すように、非表示領域への電位印加状態が正極印加→負極印加と遷移しても、表示領域は正極印加状態に維持され、非表示領域が再度正極印加状態へ遷移するタイミングで表示領域は負極印加状態へ遷移し、非表示領域が再度正極印加状態へ遷移するまでその状態が維持される。
本実施形態において素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである。図8(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図8(B)に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が、図8(C)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生し、図8(D)に示す状態では電位勾配は発生しない。つまり、1サイクルにおいて、素子基板10側に発生する正味の電位勾配は、10Vの電位差分の電位勾配である。図8では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印810B、820および830Bの向きおよび長さで表されている。
これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図8(A)および図8(C)の各々に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生し、図8(B)および図8(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。このため、1サイクルにおいて、対向基板20側に発生する正味の電位勾配も10Vの電位差分の電位勾配である。図8では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印810Aおよび830Aの向きおよび長さで表されている。
図9は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図9に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。この場合も図8に示す場合と同様に、非表示領域への電位印加状態が正極印加→負極印加と遷移しても、表示領域は正極印加状態に維持され、非表示領域が再度正極印加状態へ遷移するタイミングで表示領域は負極印加状態へ遷移し、非表示領域が再度正極印加状態へ遷移するまでその状態が維持される。
図9(A)〜(D)に示すように、素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである。図7(A)に示す状態では電位勾配は発生せず、図9(B)に示す状態では5Vの電位勾配が、図9(C)に示す状態では−10Vの電位差の電位勾配が、図9(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、それぞれ発生する。つまり、1サイクルにおいて、素子基板10側に発生する正味の電位勾配は、−10Vの電位差分の電位勾配である。図9では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印910B、920、および930Bの向きおよび長さで表されている。
これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図9(A)および図9(C)の各々に示す状態では電位勾配は発生せず、図9(B)および図9(D)の各々に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生する。このため、1サイクルにおいて、対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−10Vの電位差分の電位勾配となる。図9では上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印910Aおよび930Aの向きおよび長さで表されている。
このように本実施形態においても、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配と対向基板20側に発生する正味の電位勾配は同じであるため、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。したがって、本実施形態によっても、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することが可能になる。
<第5実施形態>
上記第1および第2実施形態では、第1駆動制御部41による電極の駆動周期の時間長と第2駆動制御部42による電極の駆動周期の時間長とが等しく、両者の位相が揃っていたが、両者の位相にずれがあっても良い。例えば、第1駆動制御部41による駆動周期と第1駆動制御部41による駆動周期が、1/M(Mは2以上の任意の自然数)周期だけ異なっていても(換言すれば、360°/Mだけ位相がずれていても)良い。以下、M=2の場合について図10および図11を参照しつつ、本実施形態におけるイオン性不純物収集の様子を説明する。
図10は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図10に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。本実施形態では、第2駆動制御部42による駆動周期の位相と第1駆動制御部41による駆動周期の位相が180°ずれているため、図10(A)および図10(B)に示すように、表示領域が正極印加状態であれば非表示領域は負極印加状態となり、表示領域が負極印加状態であれば非表示領域は正極印加状態となる。
本実施形態において素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである。図10(A)に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が発生し、図10(B)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は、5Vの電位差分の電位勾配となる。これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図10(A)に示す状態では電位勾配は発生せず、図10(B)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も5Vの電位差分の電位勾配となる。なお、図10では、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1010、1020Aおよび1020Bの向きおよび長さで表されている。
図11は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図11に示す例では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。図11に示す場合も、表示領域が正極印加状態であれば非表示領域は負極印加状態となり、表示領域が負極印加状態であれば非表示領域は正極印加状態となっている。
図11(A)および図11(B)に示すように、素子基板10側に発生する電位勾配は次の通りである、図11(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生し、図10(B)に示す状態では−10Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて、素子基板10側に発生する正味の電位勾配は−5Vの電位差分の電位勾配となる。これに対して、対向基板20側に発生する電位勾配は次の通りである。図11(A)に示す状態では−5Vの電位勾配が発生し、図11(B)に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−5Vの電位差分の電位勾配となる。なお、図11においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1110A、1110Bおよび1120の向きおよび長さで表されている。
このように図10および図11の何れの場合においても、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配と対向基板20側に発生する正味の電位勾配は同じであるため、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。
図12は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであり、かつM=4の場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図12に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。図12(A)〜図12(D)に示すように、素子基板10側には、図12(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生し、図12(B)に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が発生し、図12(C)に示す状態では電位勾配は発生せず、図12(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は10Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図12(A)および図12(D)の各々に示す状態では5Vの電位勾配が発生し、図12(B)および図12(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も10Vの電位差分の電位勾配となる。
したがって、図12に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。図12においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1410A、1410B、1420、1430Aおよび1430Bの向きおよび長さで表されている。
図13は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであり、かつM=4の場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図13に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。図13(A)〜図13(D)に示すように、素子基板10側には、図13(A)に示す状態では電位勾配は発生せず、図13(B)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図13(C)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、図13(D)に示す状態では−10Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生する。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は−10Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図13(A)および図13(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生せず、図13(B)および図13(C)の各々に示す状態ではそれぞれー5Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−10Vの電位差分の電位勾配となる。
したがって、図13に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図13においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1510A、1510B、1520A、1520B、および1530の向きおよび長さで表されている。
図14は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであり、かつM=6の場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図14に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。図14(A)〜図14(F)に示すように、素子基板10側には、図12(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図14(B)および図14(C)の各々に示す状態ではそれぞれ10Vの電位差の電位勾配が、図14(E)および図14(F)の各々に示す状態ではそれぞれ−5Vの電位勾配が発生し、図14(D)に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて、素子基板10側に発生する正味の電位勾配は15Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図14(A)、図14(E)および図14(F)の各々に示す状態ではそれぞれ5Vの電位勾配が発生し、図14(B)〜図14(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も15Vの電位差分の電位勾配となる。
したがって、図14に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図14においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1610A、1610B、1620、1630、1640A、1640B、1650Aおよび11650Bの向きおよび長さで表されている。
図15は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであり、かつM=6の場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図15に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。図15(A)〜図15(F)に示すように、素子基板10側には、図15(A)に示す状態では電位勾配は発生せず、図15(B)および図15(C)の各々に示す状態ではそれぞれ5Vの電位差の電位勾配が、図15(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、図15(E)および図15(F)の各々に示す状態ではそれぞれ−10Vの電位差の電位勾配が発生する。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は−15Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図15(A)、図15(E)および図15(F)の各々に示す状態では電位勾配は発生せず、図15(B)〜図15(D)の各々に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生する。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−15Vの電位差分の電位勾配となる。
したがって、図15に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図15においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1710A、1710B、1720A、1720B、1730A、1730B、1740、および1750の向きおよび長さで表されている。
以上説明したように本実施形態においても、1サイクルにおいて素子基板10側で発生する正味の電位勾配と対向基板20側で発生する正味の電位勾配は同じであり、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。したがって、本実施形態によっても、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することが可能になる。また、本実施形態は、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42を同期させなくてもイオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避できることを示している。したがって、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42とを同期させるための同期信号は不要であり、このような同期信号の発生が不要になる分、回路負荷を低減することができる。
<第6実施形態>
上記第5実施形態では、第1駆動制御部41による電極の駆動周期の時間長と第2駆動制御部42による電極の駆動周期の時間長とが同じであるものの、両者の位相にずれがある場合について説明した。しかし、第1駆動制御部41による電極の駆動周期と第2駆動制御部42による電極の駆動周期の位相にずれがあり、かつ両駆動周期の時間長が異なっていても(すなわち、両者の駆動周波数が異なっていても)良い。以下、第2駆動制御部42による駆動周波数が第1駆動制御部41による駆動周波数の1/2であり、かつ位相が180°ずれている場合について図16および図17を参照しつつ説明する。
図16は、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図16に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陽イオンであるため、第1実施形態と同様に第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。第2駆動制御部42による駆動周期の位相と第1駆動制御部41による駆動周期の位相が180°ずれているため、図16(A)に示す状態では表示領域は正極印加状態に、非表示領域は負極印加状態になっている。第2駆動制御部42による駆動周波数が第1駆動制御部41による駆動周波数の1/2であるため、図16(A)に示す状態から表示領域が負極印加状態へ遷移しても非表示領域は負極印加状態のままである(図16(B)参照)。その後、表示領域が再度正極印加状態へ遷移すると非表示領域は正極印加状態へ遷移し(図16(C)参照)、表示領域が負極印加状態へ遷移しても非表示領域は正極印加状態を維持する(図16(D))。さらにその後、表示領域が正極印加状態へ遷移すると、非表示領域は負極印加状態へ遷移して図16(A)の状態に戻る。
図16(A)〜図16(D)に示すように、素子基板10側には、図16(A)に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が、図16(C)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図16(D)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生し、図16(B)に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は10Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図16(A)および図16(B)の各々に示す状態では電位勾配は発生せず、図16(C)および図16(D)の各々に示す状態では5Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生する。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も10Vの電位差分の電位勾配となる。したがって、図16に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図16においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1210、1220A、1220B、1230A、および1230Bの向きおよび長さで表されている。
図17は、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の本実施形態の電気光学装置の駆動方法およびイオン性不純物収集の様子を示す模式図である。図17に示す例においても、収集対象のイオン性不純物が陰イオンであるため、第2実施形態と同様に第4の電位は第1の電位と同じ値(12.5V)に設定されている。表示領域および非表示領域の各々における極性の遷移態様は図16の場合と同様である。
図17(A)〜図17(D)に示すように、素子基板10側には、図17(A)に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が、図16(B)に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が、図17(D)に示す状態では−10Vの電位差の電位勾配がそれぞれ発生し、図17(C)に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は−10Vの電位差分の電位勾配となる。一方、対向基板20側には、図17(A)および図16(B)の各々に示す状態では−5Vの電位差の電位勾配が発生し、図17(C)および図17(D)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。したがって、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も−10Vの電位差分の電位勾配となる。したがって、図17に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図17においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1310A、1310B、1320A、1320Bおよび1330の向きおよび長さで表されている。
次いで、第2駆動制御部42による駆動周波数が第1駆動制御部41による駆動周波数の1/2であり、かつ位相が45°ずれている場合における陽イオンのイオン性不純物の収集の様子を図18および図19を参照しつつ説明する。この場合、表示領域および非表示領域の極性は、図18(A)〜図18(H)→図19(A)〜図19(H)→図18(A)〜図18(H)・・・と遷移する。なお、図18および図19に示す場合においても、収集対象のイオン性不純物は陽イオンであるため、第4の電位は第2の電位と同じ値(2.5V)に設定されている。
図8および図19に示す場合における素子基板10側での電位勾配の発生状況は次の通りである。すなわち、図18(A)、図19(B)、図19(C)および図19(D)の各々に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生する。また、図18(B)、図18(C)、図18(D)、および図19(A)の各々に示す状態では10Vの電位差の電位勾配が発生する。そして、図19(E)〜図19(H)の各々に示す状態では−5Vの電位勾配が発生し、図18(E)〜図18(H)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。その結果、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配は40Vの電位差分の電位勾配となる。
一方、図8および図19に示す場合における対向基板20側での電位勾配の発生状況は次の通りである。すなわち、図18(A)および図19(B)〜図19(G)の各々に示す状態では5Vの電位差の電位勾配が発生し、図18(B)〜図18(H)および図19(A)の各々に示す状態では電位勾配は発生しない。その結果、1サイクルにおいて対向基板20側に発生する正味の電位勾配も40Vの電位差分の電位勾配となる。したがって、図18および図19に示す場合も、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。なお、図18および図19においても、上記各電位勾配によるイオン性不純物の移動方向および引き寄せ量が矢印1810A、1810B、1820、1830、1840、1910、1920A、1920B、1930A、1930B、1940A、1940B、1950A、1950B、1960A、1960B、1970A、1970B、1980A、および1980Bで表されている。
以上説明したように本実施形態においても、1サイクルにおいて素子基板10側に発生する正味の電位勾配と対向基板20側に発生する正味の電位勾配は同じであり、1サイクルの処理を繰り返す過程で、素子基板10側と対向基板20側とでイオン性不純物の引き寄せ量の時間平均は、理論上同じになる。したがって、本実施形態によっても、イオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避することが可能になる。また、本実施形態も、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42を同期させなくてもイオン性不純物に起因する表示品質の低下を確実に回避できることを示しているので、第1駆動制御部41と第2駆動制御部42とを同期させるための同期信号は不要であり、回路負荷を低減し、設計の自由度を向上させることができる。
<第7実施形態>
上記第1〜第6実施形態では、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合には第4の電位を第2の電位と同じ値に設定したが、この場合の第4の電位の値は、図20に示すように、第2の電位と第3の電位とで定まる電位範囲(具体的には、第2の電位以上かつ第3の電位未満の電位範囲)内の電位であれば他の値であっても良い。同様に上記第1〜第6実施形態では、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合には第4の電位を第1の電位と同じ値に設定したが、この場合の第4の電位の値は、図20に示すように、第1の電位と第3の電位とで定まる電位範囲(具体的には、第2の電位以上かつ第3の電位未満の電位範囲)内の電位であれば他の値であっても良い。なお、図20にて他方の電位とは、非表示領域の駆動の際に第1トラップ電極120と第2トラップ電極220のうち第4の電位を与えられなかった方の電極に与えられる電位、すなわち第3の電位のことである。
図20に示すように、イオン性不純物の収集効果の観点から見れば、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合には第4の電位を第2の電位と同じ値に設定し、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合には第4の電位を第1の電位と同じ値に設定すると最大の効果を得られる。しかし、非表示領域における液晶応答に起因する漏れ光を抑えることも必要になる場合には、第1イオントラップ電極120と第2イオントラップ電極220の電位の振れ幅がより小さくなるように、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の第4の電位の値を第2の電位よりも大きな値とし、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の第4の電位の値を第1の電位よりも小さな値とすることが考えられる。
例えば、第1イオントラップ電極120と第2イオントラップ電極220の電位の振れ幅が±2.0Vであれば非表示領域において液晶応答が発生しないのであれば、図20に示すように、収集対象のイオン性不純物が陽イオンである場合の第4の電位の値を5.5Vに設定し、収集対象のイオン性不純物が陰イオンである場合の第4の電位の値を9.5Vに設定すれば良い。なお、第4の電位と第3の電位の電位差を小さくすると、イオン性不純物の引き寄せ量が減少するので、この場合は非表示領域の駆動周期を表示領域の駆動周期よりも早くすることでその減少分を補っても良い。また、上記第1〜第6実施形態では、第4の電位は固定されていたが、フレームごとに第4の電位を異なる値に設定しても良い。
<変形例>
以上本発明の第1〜第7実施形態について説明したが、これら実施形態に以下の変形を加えても勿論良い。
上記各実施形態では、素子基板10と対向基板20とにより挟持される電気光学物質が液晶であったが、他の電気光学物質であっても良い。
<応用例>
次に、上述した第1〜第7実施形態の電気光学装置及び変形例に係る電気光学装置(以下、「電気光学装置1000」と総称する)の応用例について説明する。図21は、電気光学装置1000を適用したモバイル型のパソコンの構成例を示す図である。パソコン2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1000と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。
図22は、電気光学装置1000を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1000を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1000に表示される画面がスクロールされる。
図23は、電気光学装置1000を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成例を示す図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1000を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1000に表示される。
なお、電気光学装置1000が適用される電子機器としては、図21〜図23に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワープロ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置が適用可能である。