JP6842067B2 - 紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法 - Google Patents

紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二酸化炭素を用いた紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法に関する。詳しくは、従来の紫外線硬化型塗料の塗工において、大量に使用される有機溶剤を全て二酸化炭素に替え、特定の条件のもとで塗工することにより、揮発性有機化合物(以下、VOCともいう)の排出がないため低環境負荷型でかつ安全に、従来方法と同等に平面性に優れ外観品位が良好な硬化膜が得られる紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法に関する。
被塗工物への塗工は、その被塗工物の形状により種々の方式が用いられている。たとえば、プラスチックフィルムのような平面的(2次元的)な被塗工物に対しては、スロットダイ、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングなどが一般的に用いられる。一方、プラスチック部品などの立体的(3次元的)な被塗工物への塗工や、上記の平面的な被塗工物に非接触で塗工をしたい場合においては、スプレーコーティングが主として用いられている。
これらの塗工技術においては、良好な塗工外観、塗工品位を得るために、塗料を有機溶剤で希釈し、粘度を低下させて用いることが一般的である。また、得られる塗膜の厚みを薄くする目的で、塗料を有機溶剤で希釈し、塗料の固形分濃度を低下させることが一般的に行われる。このため、塗装・コーティング産業は、工程からのVOCの排出が非常に多いことが大きな課題である。VOCは、地球温暖化に繋がる有害化学物質であるとともに、安全上の問題(引火、爆発、健康被害等)の要因でもあり、排出削減のための取り組みが進められている。
VOC削減のための方策としては、水性塗料への転換、有機溶剤を削減した塗料すなわちハイソリッド塗料など、あるいは、廃棄された有機溶剤の回収、分解処理などの技術開発などが挙げられる。
一方で、特開平1−258770号公報(特許文献1)においては、従来の有機溶剤を用いた塗工に代わり得る新しい塗工方法として、有機溶剤の代わりに、二酸化炭素を利用する技術が提案されている。この技術では、連続的に高圧供給されている塗料に、同じく連続的に高圧供給されている二酸化炭素を混合して溶解させ、噴霧可能なレベルまで粘度を低下させることで塗工が可能である事が示されている。それ以降、それに関連して、特開2010−234348号公報(特許文献2)、特開2010−234349号公報(特許文献3)、特開2012−86150号公報(特許文献4)、特開2012−86151号公報(特許文献5)、特開2014−223599号公報(特許文献6)などの複数の提案がされている。
特開平1−258770号公報 特開2010−234348号公報 特開2010−234349号公報 特開2012−86150号公報 特開2012−86151号公報 特開2014−223599号公報
しかしながら、それらいずれの特許文献においても、仕上げ品位向上のため、主剤には有機溶剤を含む塗料(ポリマーと、ポリマーを溶解して流動性を持たせる真溶剤の混合物)が用いられており、系内には一定量の有機溶剤が含まれていた。つまり、希釈溶剤の全てが二酸化炭素で置き換えられた場合においても、系内には塗料に由来する有機溶剤が含まれるため、完全な無有機溶剤状態とはなっていなかった。
このような場合、塗工部の周辺では、VOCによる安全上の問題(引火、爆発、健康被害等)を軽減するための措置を講じる必要があり、設備の大型化や、施工費用の増加といった問題が、依然として残ることとなる。このため、当分野では塗料中の成分を含めた、プロセスの完全な無有機溶剤化が強く求められてきた。
そこで、本発明は、有機溶剤を含まない紫外線硬化型モノマーを塗料として用いて、特定の高圧力による工程制御を伴うプロセスフローで均一な混合流体の塗工を行う場合に、平面性に優れ、外観品位が良好な塗膜を得ることを目的とする。
すなわち、本発明には、以下の構成が含まれる。
[1]紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、前記混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[2]混合流体において、二酸化炭素は、紫外線硬化型塗料への飽和溶解濃度の1.0倍以上4.0倍以下の添加濃度で混合されている上記[1]に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[3]混合流体のノズル噴霧前の温度が30℃以上80℃以下に加熱された状態である上記[1]または[2]に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法
[4]前記1次混合器は、流路径が1mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器である上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[5]前記2次混合器は、目開き100μm以下のフィルター、流路径が0.3mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器、またはスタティックミキサである上記[1]から[4]のいずれか1つに記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[6]紫外線硬化型アクリル系モノマーは、3官能以上のアクリル系多官能モノマー、または、アクリル系多官能モノマーおよび2官能以下のアクリル系非多官能モノマーを含み、かつ、紫外線硬化型塗料はさらに光重合開始剤を含む上記[1]から[5]のいずれか1つに記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[7]紫外線硬化型塗料は有機溶剤を含まない上記[1]から[6]いずれか1つに記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
[8]紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、前記混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える紫外線硬化膜の製造方法。
[9]紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、前記混合流体を、被塗工物である樹脂フィルム上に、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、有機溶剤を含まない紫外線硬化型モノマーを塗料として用いて、特定の高圧力による工程制御を伴うプロセスフローで均一な混合流体の塗工を行う場合でも、平面性に優れ、外観品位が良好な塗膜を得ることができる。
本発明にかかる紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法に用いられる塗工装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[実施形態1:紫外線硬化型塗料の塗工方法]
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法は、紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、臨界圧力以上の二酸化炭素を1次混合器に供給する工程と、1次混合器に供給された紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合して流体均一性を再度向上させる工程と、混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える。本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法によれば、VOCを削減するとともに安全な紫外線硬化型塗料の塗工方法であって、平面性に優れ、外観品位が良好な硬化膜が得られ、装置レイアウトの自由度が高い塗工方法が提供できる。
(被塗工物)
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法が適用される被塗工物は、特に限定はなく、たとえば、プラスチック製品、布、紙、金属鋼板などが挙げられ、立体(3次元)構造の物品にも塗工できる。樹脂フィルムのような平面(2次元)構造の被塗工物の非接触塗工にも適している。
本発明において、被塗工物の樹脂フィルムは、いかなる樹脂フィルムであっても適用可能であるが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン6,10;ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート;ポリメタクリル酸エステル類;ポリメチルアクリレート;ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリスチレン;環状ポリオレフィンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース;エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール;ポリベンズオキサゾール;ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ノボラック樹脂;ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等のフィルム状物を適用可能である。
(紫外線硬化型塗料)
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法において用いられる紫外線硬化型塗料は、有機溶剤で希釈されていない固形分100%の紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む。かかる紫外線硬化型アクリル系モノマーは、3官能以上のアクリル系多官能モノマー、またはアクリル系多官能モノマーと2官能以下のアクリル系非多官能モノマーを含むことが好ましい。アクリル系多官能モノマーとアクリル系非多官能モノマーとの質量比は、特に制限はないが、好適な塗膜および硬化膜を形成する観点から、たとえば、100:0〜50:50を例示できる。塗料として上記の紫外線硬化型アクリル系モノマーを用いることにより、有機溶剤を排出せずに塗工物を得ることが可能となる。ここで、アクリル系多官能モノマーは塗膜を主に構成する役割を持ち、アクリル系非多官能モノマーは、塗料粘度を下げ、取り扱いやすさや、塗膜および硬化膜の平面性向上に寄与する役割を持ち、両者を任意の割合で混合することにより、塗膜および硬化膜の性能を調整することが可能である。
アクリル系多官能アクリル系モノマーとしては、特に制限はなく、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセロール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記のアクリル系多官能モノマーが50質量%以上存在していれば、アクリル系1官能モノマーやアクリル系2官能モノマーなどのアクリル系非多官能モノマーが混合されていても構わない。
アクリル系非多官能モノマーのアクリル系2官能モノマーとしては、特に制限はなく、たとえば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系非多官能モノマーのアクリル系1官能モノマーとしては、特に制限はなく、たとえば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
また、本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法において用いられる紫外線硬化型塗料は、上記の紫外線硬化型アクリル系モノマーとともに、光重合開始剤を含むことが好ましい。紫外線硬化型塗料は、光重合開始剤を含むことにより、紫外線などの活性エネルギー線照射により樹脂成分が良好に重合することとなり、好適な硬化膜を形成することができる。また、光重合開始剤の添加量は、特に制限はなく、たとえば、アクリル系多官能モノマーおよびアクリル系非多官能モノマーの合計100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が例示できる。光重合開始剤は、紫外線を吸収して、ラジカル、カチオン、および/またはアニオンを生成する化合物であれば特に制限はなく、たとえば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤などが挙げられる。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系光重合開始剤としては、たとえば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、たとえば、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルなどが挙げられる。
上記の光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
さらに、本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法において用いられる紫外線硬化型塗料は、上記の紫外線硬化型アクリル系モノマーとともに、または上記の紫外線硬化型アクリル系モノマーおよび光重合開始剤とともに、二酸化炭素との混合、塗膜の形成、および紫外線硬化膜の形成に支障のない限り、その他の充填剤を含んでいてもよい。ここで、その他の充填剤としては、無機顔料、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、核剤、拡散剤、ワックス剤などが挙げられる。
紫外線硬化型塗料は、VOCを削減し安全に塗工する観点から、有機溶剤を含まない。ここで、紫外線硬化型塗料が有機溶剤を含まないとは、その成分である紫外線硬化型アクリル系モノマーおよびその他の充填剤を希釈するための有機溶剤を含まないことをいい、紫外線硬化型アクリル系モノマーおよびその他の充填剤に不可避的に含まれる有機溶剤は含まれていてもよい。すなわち、紫外線硬化型塗料が有機溶剤を含まないとは、実質的に有機溶剤を含まないことをいう。有機溶剤としては、紫外線硬化型塗料を希釈できるものであれば特に制限はなく、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
(塗工装置)
図1を参照して、本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法において用いられる塗工装置1は、塗料供給部10、二酸化炭素供給部20、1次混合部30、および噴霧部40を備える。塗工装置1は、塗料供給部10の塗料供給ライン10Lと二酸化炭素供給部20の二酸化炭素供給ライン20Lとが、別々のラインであることが好ましい。塗料供給部10は、塗料供給ライン10L上に、紫外線硬化型塗料を圧空送液するための加圧ガスである窒素ガスを貯蔵する窒素ガスボンベ11、紫外線硬化型塗料を貯蔵する塗料タンク12、紫外線硬化型塗料を所定の圧力まで加圧する塗料高圧ポンプ13、フィルター14、塗料高圧ポンプの吐出圧を調整し余剰分塗料を塗料タンクに返送する塗料1次圧力調整弁15、および圧力計16をこの順に含む。二酸化炭素供給部20は、二酸化炭素供給ライン20L上に、二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素ボンベ21、圧力計22、二酸化炭素を所定温度まで冷却する冷却器23、二酸化炭素を所定の圧力まで加圧する二酸化炭素高圧ポンプ24、二酸化炭素高圧ポンプの吐出圧を調整し余剰分二酸化炭素を二酸化炭素ボンベに返送する二酸化炭素1次圧力調整弁25、圧力計26、流量計27、圧力計28、および二酸化炭素高圧ポンプの吐出圧が1次混合器の圧力より所定圧力(たとえば1MPa)以上高く保持する二酸化炭素供給ライン背圧弁29をこの順に含む。1次混合部30は、1次混合ライン30L上に、紫外線硬化型塗料と二酸化炭素とを混合する1次混合器31、混合流体の粘度を算出するための差圧伝送器32、および温度計33をこの順に含み、さらに、1次混合器、差圧伝送器および温度計の温度を調節する温度調節機34を含む。噴霧部40は、噴霧ライン40L上に、2次混合器41、圧力計42、温度計43、および噴霧ガン44をこの順に含む。
(塗工方法)
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法は、紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程(以下、紫外線硬化型塗料の供給工程ともいう)と、臨界圧力以上の二酸化炭素を1次混合器に供給する工程(以下、二酸化炭素の供給工程ともいう)と、1次混合器に供給された紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合して混合流体を形成する1次混合工程(以下、混合流体の形成工程という)と、噴霧直前に混合流体を2次混合器で均一性を向上させる工程(以下、混合流体の2次混合工程または均一性向上工程という)と、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程(以下、塗膜の形成工程ともいう)と、塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程(以下、紫外線硬化膜の形成工程ともいう)と、を備える。
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法において、紫外線硬化型塗料の供給工程および二酸化炭素の供給工程は、塗工効率を高くする観点から、並列で行なわれることが好ましく、また、同時に行なわれることが好ましい。さらに、紫外線硬化型塗料の供給工程および二酸化炭素の供給工程、混合流体の形成工程、ならびに塗膜の形成工程は、塗工効率を高くする観点から、連続的に行なうことが好ましい。
(紫外線硬化型塗料の供給工程)
紫外線硬化型塗料の供給工程は、紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器31に供給することにより行なわれる。1次混合器31に供給する紫外線硬化型塗料の圧力は8MPa以上である。ここれにより、1次混合器31への紫外線硬化型塗料の供給が確実かつ容易に行なわれる。1次混合器31に供給する紫外線硬化型塗料の圧力は、塗料1次圧力調整弁15で調節できる。塗料1次圧力調整弁15の圧力が過剰となる流量に相当する余剰分塗料を塗料高圧ポンプ13のポンプサンクションに戻すことが好ましい。塗料高圧ポンプ13は、特に制限はないものの、紫外線硬化型アクリル系モノマーのメカニカルストレスによるラジカル発生が嫌われるため、ギヤポンプの使用は避けられるが、モノマーの粘度が十分に高い場合は、モノーポンプ、口径の大きいダイヤフラムポンプがよく使用される。
また、1次混合器31に供給する紫外線硬化型塗料の温度は、30℃以上80℃以下が好ましい。紫外線硬化型塗料の温度が30℃以上であると、流体の粘度が上がりすぎることがないため取り扱いが容易となり、紫外線硬化型塗料の温度が80℃以下であると、塗料であるモノマーの熱分解のおそれがない。かかる観点から、塗工装置1の塗料供給部10は、供給された紫外線硬化型アクリル系モノマーを上記の所定温度まで加熱する塗料加熱器をさらに含むことが好ましい。塗料加熱器の型式は、特に限定されないが、装置の運転開始時や、流量を変えたときなどに、温度をなるべく早く一定に制御することや、塗工面の切り替えなどで噴霧を一時的に停止し、再度噴霧を開始するときなどに、紫外線硬化型塗料の温度が大きく変化しないことが求められる。そのため、一般的に使用される電気加熱式加熱器よりは、加熱媒体(通常は、水)の満たされたタンクに、紫外線硬化型塗料の通過する高圧配管をコイル状に浸漬したタンク/コイル式の熱交換器が好適に用いられる。
(二酸化炭素の供給工程)
二酸化炭素の供給工程は、臨界圧力以上の二酸化炭素を1次混合器31に供給することにより行なわれる。1次混合器31に供給する二酸化炭素の圧力は臨界圧力である7.4MPa以上である。二酸化炭素は、超臨界状態となることにより、液体の溶解性と気体の拡散性を兼備するため、塗料と均一に混合することができ、均一な混合物が得られる。1次混合器31に供給する二酸化炭素の圧力は、二酸化炭素1次圧力調整弁25で調節できる。二酸化炭素1次圧力調整弁25の圧力が過剰となる流量に相当する余剰分二酸化炭素を二酸化炭素高圧ポンプ24のポンプサンクションに戻すことが好ましい。二酸化炭素高圧ポンプ24は、特に制限はなく、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ、およびプランジャーポンプなどが使用される。ただし、二酸化炭素の加圧に際しては、液体二酸化炭素での加圧が有利であり、この場合、ポンプの前段での冷却が必要とされる。
また、1次混合器31に供給する二酸化炭素の温度は、臨界温度である31.1℃以上が好ましい。ここで、臨界状態とは、気体と液体が共存できる限界の圧力・温度(臨界点)を超えた状態をいい、通常の気体、液体とは異なる性質を示す。二酸化炭素の臨界点は、臨界圧力が7.4MPaかつ臨界温度が31.1℃である。かかる観点から、塗工装置1の二酸化炭素供給部20は、二酸化炭素高圧ポンプ24のポンプサンクションに戻される余剰分二酸化炭素を上記の所定温度まで冷却する冷却器23をさらに含むこと、加圧された二酸化炭素を上記所定温度まで加熱する二酸化炭素加熱器をさらに含むことが好ましい。二酸化炭素加熱器の型式は、特に限定されないが、装置の運転開始時や、流量を変えたときなどに、温度をなるべく早く一定に制御することや、塗工面の切り替えなどで噴霧を一時的に停止し、再度噴霧を開始するときなどに、二酸化炭素の温度が大きく変化しないことが求められる。そのため、一般的に使用される電気加熱式加熱器よりは、加熱媒体(通常は、水)の満たされたタンクに、二酸化炭素の通過する高圧配管をコイル状に浸漬したタンク/コイル式の熱交換器が好適に用いられる。
(混合流体の形成工程)
混合流体の形成工程は、1次混合器に供給された紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合することにより行なわれる。紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合するのに用いられる1次混合器31は、特に制限はないが、効率的に均一に混合する観点から、流路径が1mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器が好ましい。
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法では、紫外線硬化型塗料と二酸化炭素とを効率的に混合し、紫外線硬化型塗料中に二酸化炭素を溶解していくことが必要である。従来、この目的のためには、1次混合器としてインラインミキサである流体多段分割原理を応用したスタティックミキサ(静的混合器)が用いられてきたが、必ずしも充分な混合、溶解が実現できていない。本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法においては、マイクロ混合器が用いられ、好ましくは、高圧の流体を混合できる高圧マイクロ混合器が用いられる。ここで、マイクロ混合器とは、マイクロ混合の原理を利用した流路径が1mm以下の混合器をいう。
高圧マイクロ混合器の型式は、特に限定されないが、紫外線硬化型塗料の粘性が高いことや、閉塞性があることなどを勘案すると、拡散距離を極めて短くして2流体を混合するインターディジタルチャネル構造を有する混合器(たとえばドイツのIMM社が提供する層流型マイクロミキサ)よりは、流体の乱流混合効果を利用した乱流型マイクロ混合器の方が望ましい。
これらの乱流型マイクロ混合器としては、たとえば、流路径が1mm以下のT字型混合器、旋回流を利用したスワール型マイクロ混合器(主流内径1mm以下、副流内径0.8mm以下)、流体を微小な空間の中心で衝突させる内径が1mm以下の中心衝突型マイクロ混合器、および内管の内径(流路径)が1mm以下の二重管式マイクロ混合器などが挙げられる。マイクロ混合器の好適な具体例としては、Swagelok社の流路径0.3mmのT字型混合器SS−1F0−3GC、特開2008−12453号公報に記載の旋回流を利用したスワール型マイクロ混合器(主流内径0.8mm、副流内径0.5mm)、特開2010−234348号公報に記載の構造を有する中心衝突型マイクロ混合器(内径1mm)が挙げられる。
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法においては、供給された時の紫外線硬化型塗料の粘度に対して、混合後の差圧伝送器での混合流体粘度が低下している。供給された時の紫外線硬化型塗料の粘度は、投入前に別途、塗料供給時の設定温度での粘度を、レオメータを用いて測定したデータである。一方、混合後の混合流体粘度は、上記のように差圧伝送器において差圧から算出される粘度を用いる。1次混合ライン30L内における混合流体の温度は、ノズル噴霧前の混合流体の温度を30℃以上80℃以下とする観点から、30℃以上80℃以下が好ましい。かかる観点から、混合流体を上記の所定の温度に調節する温度調節機34を含むことが好ましい。温度調節機34の型式は、特に限定されないが、装置の運転開始時や、流量を変えたときなどに、温度をなるべく早く一定に制御することや、塗工面の切り替えなどで噴霧を一時的に停止し、再度噴霧を開始するときなどに、混合流体の温度が大きく変化しないことが求められる。そのため、一般的に使用される電気加熱式加熱器よりは、加熱媒体(通常は、水)の満たされたタンクに、混合流体の通過する高圧配管をコイル状に浸漬したタンク/コイル式の熱交換器を含むものが好適に用いられる。
また、混合流体において、二酸化炭素は、紫外線硬化型塗料への飽和溶解濃度の1.0倍以上4.0倍以下の添加濃度で混合されていることが好ましい。より好ましくは、1.2倍以上3.5倍以下であり、さらに好ましくは1.5倍以上3.0倍以下である。1.0倍以上であると、噴霧ガンから噴出される時に液滴が微粒化し、且つ、噴霧(スプレー)角度が大きくなり、広範囲に均一に噴霧されるからである。4.0倍以下であると、混合流体を含む系内の圧力が高くなり過ぎず、装置の負荷が抑制され好ましい。ここで、紫外線硬化型塗料への二酸化炭素の飽和溶解濃度は、1次混合器後のライン中に設けた可視化窓から目視できる混合流体の状態から判断できる。二酸化炭素濃度を変化させて、二酸化炭素の泡が目視された状態をもって飽和に達したと判断し、その時の濃度を飽和溶解濃度とすることができる。若しくは、紫外線硬化型塗料と二酸化炭素との混合流体を流通させるキャピラリーを設け、その前後の差圧を計測することで混合流体の粘度を算出する機構を設ける。その差圧の安定性が高ければ、高圧二酸化炭素が塗料中に溶解した1相状態と判断し、その差圧が不安定であれば2相状態となったと推測することができる。さらには、噴霧ガンから噴出される流体を目視観察し、吹出し直後に液膜が観察される条件では、高圧二酸化炭素が塗料中に溶解した1相状態と判断し、噴出直後から液膜が消失してスプレーが広角に広がる現象がみられる条件では、2相状態となったと推察することができる。
(混合流体の2次混合工程、均一性向上工程)
混合流体の2次混合工程である均一性向上工程は、噴霧ノズルの直前に設けられることが望ましい態様である。ここで、噴霧ノズルの直前とは、噴霧ノズルの手前の流路1m以内であることが好ましく、更に好ましくは50cm以内、特に好ましくは30cm以内、最も好ましくは20cm以内である。塗料と高圧二酸化炭素よりなる混合流体は、流体間の密度差が大きい為、塗料の混合から噴霧までの配管長が長い場合、2流体が分離してしまう。分離した混合流体がスプレーノズルから噴出した場合、スプレー状態が不安定となり、これにより形成される塗膜は平面性の悪い不均一なものとなる。混合流体の均一性向上工程は、分離した2流体を再混合し、スプレーを安定化し、得られる塗膜の平面性を向上させるものである。
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法の2次混合器を用いた2次混合手段としては、特定粗さのフィルター、マイクロ混合器またはスタティックミキサを用いることができる。好ましくは目開き100μm以下、より好ましくは50μm以下のフィルターが好適に用いられる。また、流路径が0.3mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器を用いることが可能である。
2次混合手段として用いられるフィルターの型式には特に限定はないが、金属微粉末を焼結して作られた焼結フィルターが好適に用いられる。焼結フィルターは、複雑な流路を持ち、混合流体が通過する際に、良好な混合効果が得られる為である。2次混合手段として用いられるフィルターの好適な具体例としては、Swagelok社製焼結フィルター(公称目開き2μm)が挙げられる。
(塗膜の形成工程)
塗膜の形成工程は、2次混合工程を経た混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより行なわれる。混合流体の噴霧圧力(噴霧時の圧力をいう、以下同じ)は、噴霧ガンのノズルオリフィスの流量特性に依存する。混合流体の噴霧圧力は二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)以上である。混合流体の噴霧圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上であると、噴霧の液滴が微粒化し、塗膜の均一な膜厚が実現されやすい。ノズル噴霧前の混合流体の温度は30℃以上80℃以下が好ましい。ノズル噴霧前の混合流体の温度が30℃以上であると、噴霧後の混合流体の温度が下がりすぎることがなく、混合流体の粘度が上がりすぎることがなく、均質な膜厚が得られやすい。一方、ノズル噴霧前の混合流体の温度が80℃以下であると、塗料である紫外線硬化型アクリル系モノマーの熱分解のおそれがない。かかる観点から、塗工装置1の噴霧部40は、噴霧される混合流体を上記の所定温度まで加熱する噴霧加熱器をさらに含むことが好ましい。噴霧加熱器の型式は、特に限定されないが、装置の運転開始時や、流量を変えたときなどに、温度をなるべく早く一定に制御することや、塗工面の切り替えなどで噴霧を一時的に停止し、再度噴霧を開始するときなどに、混合流体の温度が大きく変化しないことが求められる。そのため、一般的に使用される電気加熱式加熱器よりは、加熱媒体(通常は、水)の満たされたタンクに、混合流体の通過する高圧配管をコイル状に浸漬したタンク/コイル式の熱交換器が好適に用いられる。
塗膜の形成工程で用いられる噴霧ガンは、エアレスタイプの高圧噴霧ガンであれば良いが、噴霧流量、噴霧圧力、および噴霧パターンの最終的な制御は、この噴霧ガンに装着されている高圧ノズルオリフィスの開口径(相当径)とその形状に依存するため、極めて重要である。噴霧流量は、単位時間当たりの塗工量をどのくらいに設定するかで、大きく異なるが、塗料噴霧流量として、一般的に、50g/min以上500g/min以下の範囲が選択される。
上記の塗膜の形成工程により、平面性に優れ、外観品位が良好な塗膜が得られる。
(塗膜の熱処理工程)
本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法は、塗膜の平面性および外観品位をさらに高める観点から、塗膜の形成工程後の塗膜を熱処理する工程(塗膜の熱処理工程)をさらに含むことが好ましい。噴霧された微小な液滴は、噴霧ガンのノズルから噴出後の急速な圧力低下と体積膨張により、急速に温度が低下、粘度が上昇する。これに伴い、被塗工物に着滴した紫外線硬化型塗料は、着滴時の形状からの変化しづらく、平滑な連続膜の形成をより効率的なものとするために、塗工後、紫外線照射前の塗膜に熱処理を加え、塗料の粘度を下げ、流動性を高めることが有効である。熱処理装置としては、特に限定はなく、通常の熱風乾燥機などが好適に使用できる。熱処理条件としては、特に制限はなく、たとえば、30℃以上80℃以下で5秒以上5分以下の保持を例示できる。
(紫外線硬化膜の形成工程)
紫外線硬化膜の形成工程は、塗膜に紫外線を照射することにより行われる。紫外線照射装置は、特に限定はなく、高圧水銀灯、フュージョンHランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが使用でき、光量、光源の配置などが適宜調整される。
上記のように、本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法によって、紫外線硬化型塗料の噴霧により形成された塗膜に紫外線を照射することにより硬化膜(すなわち紫外線硬化膜)が得られる。かかる観点から、本実施形態の紫外線硬化型塗料の塗工方法は、紫外線硬化膜の製造方法でもある。
[実施形態2:紫外線硬化膜の製造方法]
本実施形態の紫外線硬化膜の製造方法は、紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、臨界圧力以上の二酸化炭素を1次混合器に供給する工程と、1次混合器に供給された紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、混合流体を噴霧する直前に2次混合器により2次混合し流体の均一性を再度向上させる工程と、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える。本実施形態の紫外線硬化膜の製造方法によれば、VOCを削減するとともに安全に、平面性に優れ、外観品位が良好な紫外線硬化膜が得られる製造方法が提供できる。
本実施形態の紫外線硬化膜の製造方法において、実施形態1の紫外線硬化型塗料の塗工方法と同様に、混合流体において、二酸化炭素は、紫外線硬化型塗料への飽和溶解濃度の1.0倍以上4.0倍以下の添加濃度で混合されていることが好ましい。また、混合流体のノズル噴霧前の温度が30℃以上80℃以下に加熱された状態であることが好ましい。また、1次混合器は、流路径が1mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器であることが好ましい。また、流体を再混合し流体均一性を向上させる2次混合器は目開き100μm以下のフィルターまたは流路径が0.3mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器であることが好ましい。また、外線硬化型アクリル系モノマーは、3官能以上のアクリル系多官能モノマー、または、アクリル系多官能モノマーおよび2官能以下のアクリル系非多官能モノマーを含み、かつ、紫外線硬化型塗料はさらに光重合開始剤を含むことが好ましい。また、紫外線硬化型塗料は、有機溶剤を含まない。ここで、紫外線硬化型塗料が有機溶剤を含まないとは、その成分である紫外線硬化型アクリル系モノマーおよびその他の充填剤を希釈するための有機溶剤を含まないことをいい、紫外線硬化型アクリル系モノマーおよびその他の充填剤に不可避的に含まれる有機溶剤は含まれていてもよい。
本実施形態の紫外線硬化膜の製造方法において、紫外線硬化型塗料(具体的には、紫外線硬化型アクリル系モノマーおよび光重合開始剤など)、塗工装置、塗工方法(具体的には、紫外線硬化型塗料の供給工程、二酸化炭素の供給工程、混合流体の形成工程、混合流体の均一性向上工程、塗膜の形成工程、塗膜の熱処理工程、および紫外線硬化膜の形成工程など)などについては、実施形態1の紫外線硬化型塗料の塗工方法と同様であるため、それらの説明を繰り返さない。
[実施形態3:積層フィルムの製造方法]
上記のような種々の被塗工物上に前記の紫外線硬化膜の製造方法を適用することが可能である。特に好ましくは、被塗工物を上記のような種々の樹脂フィルムとすることにより、積層フィルムの製造方法の提供が可能となる。本実施形態の積層フィルムの製造方法において、紫外線硬化膜の製造方法は、実施形態2の紫外線硬化膜の製造方法と同様である。
以下、実施例および比較例によって、紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法についてさらに具体的に説明するが、以下の例に限定されるものではない。
(評価方法)
以下、本紫外線硬化型塗料の塗工、本紫外線硬化膜の製造および積層フィルムの製造において用いた評価方法を説明する。
(1)塗工幅
被塗工物であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗工した試料について、反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製、FE−3000)を用いて、塗工厚みを幅方向において10mmピッチで試料全幅について計測を実施した。塗工厚みが0μmである以外の部分を塗工部とし、塗工部の幅を塗工幅とした。試料フィルム幅300mm全てにおいて塗工されている場合、塗工幅を300mmとした。
(2)平均厚み
上記塗工幅算出時に使用した反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製、FE−3000)を用いて算出した塗工厚みの平均値を平均厚みとした。
(3)三次元中心面平均表面粗さSRa
三次元中心面平均表面粗さSRaは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H−M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、三次元中心面平均表面粗さSRaを求めた。測定数を5とし、それらの平均値を求めた。また、小数点第5桁以下の端数は、四捨五入によりまるめた。
(使用装置)
図1に示したような塗工装置1を用いた。塗工装置1は、紫外線硬化型塗料を1次混合器31に供給する塗料供給ライン10Lと、二酸化炭素を1次混合器31に供給する二酸化炭素供給ライン20L、供給された紫外線硬化型塗料および二酸化炭素を混合する1次混合ライン30L、混合された混合流体を噴霧する噴霧ライン40Lを含む。塗料供給ライン10Lには、窒素ガスボンベ11、塗料タンク12、塗料高圧ポンプ13、フィルター14、塗料1次圧力調整弁15、および圧力計16が、この順に配置されていた。二酸化炭素供給ライン20Lには、二酸化炭素ボンベ21、圧力計22、冷却器23、二酸化炭素高圧ポンプ24、二酸化炭素1次圧力調整弁25、圧力計26、流量計27、圧力計28、および二酸化炭素供給ライン背圧弁29が、この順に配置されていた。1次混合ライン30Lには、1次混合器31、差圧伝送器32、および温度計33が、この順に配置され、これらの温度を調節する温度調節機34が配設されていた。噴霧ライン40Lには、2次混合器41、圧力計42、温度計43、および噴霧ガン44が、この順に配置されていた。
塗料高圧ポンプ13としては、ミルフロー制御容量ポンプを用いた。二酸化炭素高圧ポンプ24としては、2連式プランジャーポンプを用いた。1次混合器31としては、マイクロ混合器である混合後の流路径が0.3mmの1/16インチT字継ぎ手を用いた。温度調節機34は、熱媒として温水を循環するコイル型熱交換器を用い、60±1℃に制御した。
2次混合器としては、実験水準により、(A)公称目開き2μmの焼結フィルター、(B)目開き100μmの金属メッシュフィルター、(C)目開き230μmの金属メッシュフィルターおよび(D)流路径が0.3mmのマイクロ流路を有するマイクロ混合器から選定して配置した。使用した2次混合器を表1に整理して記載する。
Figure 0006842067
ここで、紫外線硬化型塗料の供給時温度、二酸化炭素の供給時の温度、およびそれらの
1次混合時温度は、単一のウォーターバス温度で調節されており、その温度を温度計33で測定した。紫外線硬化型塗料の供給圧力は、圧力計16で測定した。混合流体の粘度は差圧伝送器32の値より算出した。二酸化炭素の供給時の圧力は圧力計28で測定した。二酸化炭素の飽和については、混合流体を流通させるキャピラリーを設け、紫外線硬化型塗料に対する二酸化炭素の添加濃度を変化させ、その前後差圧を差圧伝送器32において計測された差圧が安定し、噴霧ガン44から噴出するスプレーの噴霧角度が使用したノズルの公称スプレー角度(本実験においては50°)よりも大きくなる添加濃度を飽和二酸化炭素濃度とした。噴霧圧力は圧力計42で測定した。噴霧直前温度は温度計43で測定した。塗工速度とは、噴霧ガンの移動速度を意味し、噴霧ロボットを通じて噴霧ガンのノズルを操作した。
噴霧による成膜後に、成膜した塗膜を、熱風乾燥機で、60℃で3分間熱処理した。
塗膜を、アイグラフィックス株式会社製EYE mini GRANDAGE (ECS−151U)を用いた紫外線照射により、硬化させて、硬化膜を得た。紫外線は、光量200mJ/cmの条件で2回繰り返して照射した(積算光量400mJ/cm)。
(紫外線硬化型塗料の構成原料)
使用した紫外線硬化型アクリル系モノマーを以下に示した。アクリル系多官能モノマーは、大阪有機化学株式会社製ビスコート802(登録商標)(トリペンタエリスリトールアクリレート/モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート/ポリペンタエリスリトールアクリレート混合物)を使用した(多官能アクリレートが全体の100質量%)。アクリル系非多官能モノマーとしては、アクリル系2官能モノマーである大阪有機化学株式会社製ビスコート230(登録商標)(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)を使用した。また、光重合開始剤としては、BASF社製イルガキュア(登録商標)184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を使用した。また、比較例3、4における希釈溶剤としては、メチルエチルケトンを使用した。
紫外線硬化型塗料として、下記の表2の「塗料1」の欄に示す組成質量比で上記の紫外線硬化型アクリル系モノマー、光重合開始剤を混合した液を調整した。
Figure 0006842067
(実施例1)
塗料高圧ポンプの吐出量が60g/minとなるように、あらかじめ求めておいた流量/ポンプストロークの関係より、ストロークを調整した。二酸化炭素高圧ポンプの吐出量が流量計の値で30g/minとなるように、目盛を調整した。2次混合器であるフィルターには公称目開き2μmの焼結フィルターを使用し、噴霧ガンの先端には、オリフィス相当径0.13mmの楕円形高圧ノズル(噴霧角50°)を装着した。噴霧ガン直前の圧力は二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)以上の12MPaであった。二酸化炭素の1次圧力調整弁は14MPaに設定した。各部圧力、温度、粘度測定結果などを表3に示した。
上記の噴霧ガンを2次元塗装ロボットに装着し、膜厚250μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4300)を幅300mmにスリットしたものに塗工を行った。塗料噴霧後のフィルムは60℃のオーブン内で3分間保持した後、上記の紫外線照射機を用いて上記の紫外線照射条件で塗膜を硬化させて硬化膜を得た。その後、紫外線硬化膜の評価を行った。評価結果を表3に示した。
その結果、得られた紫外線硬化膜の平均厚さは1.0μm、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0050μmであり、平面性に優れる結果であった。
(実施例2)
実施例1において、2次元塗装ロボットの塗装速度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜は、下記の表3に示したように、平均厚さは8.2μmと実施例1に比べて厚く、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0009μmで、平面性はより良好な結果であった。
(実施例3)
実施例2において、塗膜の硬化処理前に60℃で3分の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜は下記の表3に示したように、平均厚さは7.1μmであり、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0290μmとなり、実施例1、2に比較するとやや劣るが、良好な平面性を示した。
(実施例4)
実施例1において、2次混合器を目開き100μmの金属フィルターに変更した以外は、実施例1と同様にして塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜は下記の表3に示したように、平均厚さは2.1μm、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0076μmとなり、実施例1に比較するとやや劣るが、良好な平面性を示した。
(実施例5)
実施例1において、2次混合器を目開き230μmの金属フィルターに変更した以外は、実施例1と同様にして塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜は下記の表3に示したように、平均厚さは3.0μm、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0350μmとなり、実施例1に比較してやや劣る平面性を示した。
(実施例6)
実施例1において、2次混合器として流路径0.3mmのマイクロ混合器を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜は下記の表3に示したように、平均厚さは1.1μm、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0049μmとなり、実施例1と同等の良好な平面性を示した。
(比較例1)
実施例1において、塗料に二酸化炭素を混合しなかったことおよび噴霧ガンの直前の圧力が二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)未満の6MPaであったこと以外は実施例1と同様に塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜を評価した結果、下記表3に示したように紫外線硬化膜の平面性が劣る結果となった。
(比較例2)
実施例1において、二酸化炭素の混合比率を表3に示す比率に変更したことおよび噴霧ガンの直前の圧力は二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)未満の6MPaであったこと以外は、実施例1と同様に塗工を行い、塗工フィルムを得た。できあがった紫外線硬化膜を評価した結果、下記表3に示したように紫外線硬化膜の平面性が劣る結果となった。
(比較例3)
実施例1において、紫外線硬化型塗料として表2の「塗料2」の欄に示した組成質量比のメチルエチルケトンを希釈有機溶剤として含む塗料を用いたこと以外は実施例1と同様に塗工を行い、塗工フィルムを得た。噴霧ガン直前の圧力は12MPaであった。できあがった紫外線硬化膜を評価した結果、下記の表3に示したように紫外線硬化膜の平面性が劣る結果となった。
(比較例4)
実施例1において、紫外線硬化型塗料として表2の「塗料3」の欄に示した組成質量比のメチルエチルケトンを希釈有機溶剤として含む塗料を用いたこと以外は実施例1と同様に塗工を行い、塗工フィルムを得た。噴霧ガン直前の圧力は12MPaであった。できあがった紫外線硬化膜を評価した結果、下記の表3に示したように紫外線硬化膜の平面性が劣る結果となった。
(比較例5)
実施例1において、2次混合器を工程から省いた以外は実施例1と同様に塗工を行い塗工フィルムを得た。噴霧ガン直前の圧力は12MPaであった。できあがった紫外線硬化膜を評価した結果、下記の表3に示したように平均厚さは4.3μm、三次元中心面平均表面粗さSRaは0.0790μmとなり、得られた紫外線硬化膜は実施例1と比較して平面性が劣る結果となった。
Figure 0006842067
表3を参照して、実施例1〜6においては、紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく二酸化炭素の臨界圧力以上で二酸化炭素と混合して混合流体の粘度を低下させ、かつ、二酸化炭素の臨界圧力以上で噴霧し紫外線を照射することにより、三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.0009μm〜0.0350μmと小さかったことから、平面性に優れ外観品位が良好な紫外線硬化膜が得られた。すなわち、実施例1〜6においては、VOCを削減するとともに安全に、平面性に優れ、外観品位が良好な紫外線硬化膜が得られた。
これに対して、比較例1においては、紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなくまた二酸化炭素も用いず、流体の粘度が高くなったため、得られた紫外線硬化膜は三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.1580μmと大きく、平面性が劣り外観品位も不良であった。また、比較例2においては、紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく二酸化炭素の臨界圧力以上で二酸化炭素と混合したが、二酸化炭素の添加濃度が飽和濃度未満のため混合流体の粘度が高くなり、また、噴霧圧力が二酸化炭素の臨界圧力未満であったため、得られた紫外線硬化膜は三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.0695μmと大きかったことから、平面性が劣り外観品位も不良であった。また、比較例3においては、希釈のために有機溶剤を用いたことから、VOCにより環境負荷の増大および安全性の低下の問題があり、有機溶剤および臨界圧力以上の二酸化炭素を用いたにもかかわらず、混合流体の粘度が高くなったため、得られた紫外線硬化膜は三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.1990μmと大きかったことから、平面性が劣り外観品位も不良であった。また、比較例4においては、希釈のために有機溶剤を用いたことから、VOCにより環境負荷の増大および安全性の低下の問題があり、有機溶剤および臨界圧力以上の二酸化炭素を用いて、紫外線硬化型塗料および混合流体の粘度を実施例1−6の場合と同じ程度まで低減したにもかかわらず、得られた紫外線硬化膜は三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.0803μmと大きかったことから、平面性が劣り外観品位も不良であった。これは、添加された有機溶剤が噴霧時に揮発し、被塗工物に付着後の紫外線硬化型塗料が、有機溶剤希釈前の状態となり、粘度が高くなったためと考えられた。比較例5においては、2次混合器を用いなかったため、スプレーノズルからの流体の吐出が不均一となり、得られた紫外線硬化膜は三次元中心平面平均表面粗さSRaが0.0790μmと大きかったことから、平面性が劣り外観品位も不良であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上、詳述したように、本発明は、紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法であり、本発明により、塗工時にVOCの発生が伴わない低環境負荷型の新しい塗工方法および製造方法を提供することができる。また、塗工液となる紫外線硬化型塗料に危険物である有機溶剤を含まないことから、安全性に優れた紫外線硬化型塗料の塗工方法、紫外線硬化膜の製造方法および積層フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明は、平面性の高い塗工が困難な有機溶剤無希釈の紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料に対して、二酸化炭素の混合と所定の高圧条件により、噴霧(スプレー)塗布を可能にし、噴霧ノズル直前に位置する2次混合器による2次混合により、混合流体の均一性を向上させることにより、平面性の高い塗膜および紫外線硬化膜を提供する技術である。本発明により、プラスチックフィルムなどの2次元の対象物をはじめ、三次元の立体構造をもつ対象物にもアクリル樹脂を有機溶剤無希釈で直接塗布することを可能とするものとして、極めて有用である。
1 塗工装置
10 塗料供給部
10L 塗料供給ライン
11 窒素ガスボンベ
12 塗料タンク
13 塗料高圧ポンプ
14 フィルター
15 塗料1次圧力調整弁
16,22,26,28,42 圧力計
20 二酸化炭素供給部
20L 二酸化炭素供給ライン
21 二酸化炭素ボンベ
23 冷却器
24 二酸化炭素高圧ポンプ
25 二酸化炭素1次圧力調整弁
27 流量計
29 二酸化炭素供給ライン背圧弁
30 1次混合部
30L 1次混合ライン
31 1次混合器
32 差圧伝送器
33,43 温度計
34 温度調節機
40 噴霧部
40L 噴霧ライン
41 2次混合器
44 噴霧ガン

Claims (9)

  1. 紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、
    臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、
    前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、
    前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、
    前記混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  2. 混合流体において、二酸化炭素は、紫外線硬化型塗料への飽和溶解濃度の1.0倍以上4.0倍以下の添加濃度で混合されている請求項1に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  3. 混合流体のノズル噴霧前の温度が30℃以上80℃以下に加熱された状態である請求項1または2に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  4. 前記1次混合器が、流路径1mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器である請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  5. 前記2次混合器は、目開き100μm以下のフィルター、流路径が0.3mm以下のマイクロ流路を有するマイクロ混合器、またはスタティックミキサである請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  6. 紫外線硬化型アクリル系モノマーは、3官能以上のアクリル系多官能モノマー、または、アクリル系多官能モノマーおよび2官能以下のアクリル系非多官能モノマーを含み、かつ、紫外線硬化型塗料はさらに光重合開始剤を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  7. 紫外線硬化型塗料は有機溶剤を含まない請求項1から6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型塗料の塗工方法。
  8. 紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、
    臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、
    前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、
    前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、
    前記混合流体を、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える紫外線硬化膜の製造方法。
  9. 紫外線硬化型アクリル系モノマーを含む紫外線硬化型塗料を有機溶剤で希釈することなく8MPa以上の条件で1次混合器に供給する工程と、
    臨界圧力以上の二酸化炭素を前記1次混合器に供給する工程と、
    前記1次混合器に供給された前記紫外線硬化型塗料および前記二酸化炭素を混合して混合流体を形成する工程と、
    前記混合流体を、噴霧する直前に2次混合器により2次混合する工程と、
    前記混合流体を、被塗工物である樹脂フィルム上に、二酸化炭素の臨界圧力以上の条件で噴霧することにより塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に紫外線を照射することにより紫外線硬化膜を形成する工程と、を備える積層フィルムの製造方法。
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