JP6842035B2 - 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6842035B2
JP6842035B2 JP2016245488A JP2016245488A JP6842035B2 JP 6842035 B2 JP6842035 B2 JP 6842035B2 JP 2016245488 A JP2016245488 A JP 2016245488A JP 2016245488 A JP2016245488 A JP 2016245488A JP 6842035 B2 JP6842035 B2 JP 6842035B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layered chalcogenide
metal
substrate
layered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016245488A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018100429A (ja
Inventor
賢二郎 林
賢二郎 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2016245488A priority Critical patent/JP6842035B2/ja
Publication of JP2018100429A publication Critical patent/JP2018100429A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6842035B2 publication Critical patent/JP6842035B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法に関する。
層状物質の一つであるグラファイトは、基本の構成単位となる単位層であるグラフェンが層法線方向に規則的に積層した構造をとっている。グラフェンは炭素のバルク(黒鉛)とは異なる物性を呈することがある。
近年では、層状物質として層状カルコゲナイドも注目を集めている。層状カルコゲナイドの単位層も、グラフェンと同様に、バルクとは異なる物性を呈することがある。例えば、二硫化モリブデン(MoS2)は、バルクではシリコンのように間接遷移型の性質を示すのに対し、単位層では直接遷移型の性質を示し、高い光応答性を示す。また、層状の二硫化モリブデンのバンドギャップはバルクのそれよりも大きい。複数種の金属元素を含む層状カルコゲナイドのバンドギャップは、金属元素間の割合に依存するため、割合を調整することでバンドギャップを変調することもできる。従って、発光素子、光センサ及び太陽電池等の用途への層状カルコゲナイドの応用が期待されている。
層状カルコゲナイドの膜を形成する方法としては、化学気相堆積(chemical vapor deposition:CVD)法及び基板上のMo等のカルコゲナイドを構成する金属の膜をカルコゲン雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。しかしながら、CVD法では、結晶を膜状に成長させることが困難なことがあり、層状カルコゲナイドの膜質がばらつきやすい。例えば、非特許文献3に記載されているように、SnS2の結晶は基板上にフレーク状に成長しやすく、膜質が均一なSnS2の連続膜を形成することは極めて困難である。カルコゲナイドを構成する金属の膜をカルコゲン雰囲気下で加熱する方法では、ドメインサイズがナノメートルオーダーと極めて小さくなる。このように、従来、連続性に優れドメインサイズが大きい層状カルコゲナイドを得ることは極めて困難である。
特公平7−58686号公報 特開2016−97599号公報
Nano Lett. 10, 1271 (2010) ACS Nano 7, 4610, (2013) Adv. Func. Mater. 26, 4405 (2016)
本発明の目的は、連続性に優れた層状カルコゲナイド膜を得ることができる層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
層状カルコゲナイド膜の形成方法の一態様では、基板上に金属膜を形成し、前記金属膜を第1の温度に加熱しながら、前記金属膜の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、前記金属膜上に前記第1の元素の層状カルコゲナイド膜を成長させ、前記金属膜を加熱して前記金属膜を蒸発させ、前記基板上に前記層状カルコゲナイド膜を残す。前記金属膜は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成せず、前記第1の元素は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成する元素である。層状カルコゲナイド膜とは、1又は2以上の層状カルコゲナイドの単位層からなる膜をいう。
層状カルコゲナイド膜の形成方法の一態様では、金属基材を第1の温度に加熱しながら、前記金属基材の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、前記第1の元素の層状カルコゲナイド膜を成長させ、前記層状カルコゲナイド膜上に支持膜を形成し、前記金属基材、前記層状カルコゲナイド膜及び前記支持膜の積層体及び陽極を、電解質を含む水溶液中に浸漬し、前記金属基材と前記陽極との間に電圧を印加して、前記金属基材と前記層状カルコゲナイド膜とを分離し、前記層状カルコゲナイド膜から前記支持膜を除去する。前記金属基材は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成せず、前記第1の元素は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成する元素である。
半導体装置の製造方法の一態様では、上記の方法により層状カルコゲナイド膜を形成し、前記層状カルコゲナイド膜を含む素子を形成する。
上記の層状カルコゲナイド膜の形成方法等によれば、適切な金属基材及び第1の元素を用いて層状カルコゲナイド膜を成長させるため、連続性に優れた層状カルコゲナイド膜を得ることができる。
第1の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 層状カルコゲナイド膜を移動させる方法の第1の例を工程順に示す断面図である。 層状カルコゲナイド膜を移動させる方法の第2の例を工程順に示す断面図である。 第2の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第3の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第4の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第5の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。 第2の実施形態に倣った方法で得られた試料を示す図である。 参考例の方法で得られた試料を示す図である。 第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第1の実施形態では、先ず、図1(a)に示すように、金属基材11を準備する。次いで、図1(b)に示すように、金属基材11を第1の温度に加熱しながら、金属基材11の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、第1の元素の層状カルコゲナイド膜12を成長させる。金属基材11は、第1の温度で、供給されるカルコゲンとの化合物を生成しない金属元素であり、第1の元素は、第1の温度で、供給されるカルコゲンとの化合物を生成する元素である。
ここで、層状カルコゲナイド膜12を成長させる方法について説明する。層状カルコゲナイド膜12は、例えば、化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により形成することができる。
層状カルコゲナイド膜12をCVD法により成長させる際の雰囲気は、例えば不活性ガス雰囲気、又は水素を含む不活性ガス雰囲気とする。合成炉内の圧力環境は特に限定されず、大気圧環境、減圧環境又は加圧環境のいずれであってもよい。真空中で層状カルコゲナイド膜12をCVD法により成長させてもよい。カルコゲンの前駆体及び第1の元素の前駆体は、単体又は化合物のいずれであってもよい。化合物としては、酸化物、塩化物、フッ化物、水素化物及び有機化合物が例示される。第1の元素の原料として合金を用いてもよく、複数の金属元素を含む原料を用いてもよい。カルコゲン及び第1の元素の原料として1種類の前駆体を用いてもよく、複数種類の前駆体を用いてもよい。前駆体は、固体、液体及び気体のいずれでもよく、固体は結晶及びアモルファスのいずれでもよい。前駆体として固体又は液体を用いる場合、加熱等により前駆体を気化させることが好ましい。この場合、形成しようとする層状カルコゲナイド膜12の層数及び面積等に応じて、温度、圧力、前駆体の量及び蒸気圧を調整することが好ましい。金属基材11の温度も層状カルコゲナイド膜12の層数及び面積等に応じて調整することが好ましい。合成炉内での配置等も適宜調整することが好ましい。
管状の合成炉を用いた大気圧CVD法によりSnS2の層状カルコゲナイド膜12を形成する場合の条件の例について説明する。この例では、前駆体としてSnO2及び硫黄(S)を用いる。Arガスで満たしたCVD炉内にキャリアガスとしてArガスを10sccm〜1000sccm程度の流量で導入し続けながら、金属基材11を300℃〜800℃の温度に加熱する。金属基材11の上流に配置した質量が1mg〜100gのSnO2を800℃〜900℃の温度に加熱し、更に上流に配置した質量が1mg〜100gの硫黄を100℃〜300℃の温度に加熱する。合成時間は1秒間〜10時間程度とする。この例では、SnO2及び硫黄の加熱温度はそれぞれの蒸発圧を考慮して独立に制御することが好ましい。独立に制御することで、SnS2の層状カルコゲナイド膜12中にS欠陥又はSn欠陥を意図的に導入し、キャリア濃度を制御しやすくなる。気相中でSnO2の前駆体及び硫黄の前駆体同士が反応し得るため、この反応を考慮して、金属基材11及び原料の配置を調整することが好ましい。合成時間は層状カルコゲナイド膜12の層数等に応じて調整することが好ましい。
層状カルコゲナイドとして、カルコゲン及び遷移金属からなる遷移金属ダイカルコゲナイド、カルコゲン及び13族元素からなる13族カルコゲナイド、カルコゲン及び14族元素からなる14族カルコゲナイド、並びにカルコゲン及びビスマスからなるビスマスカルコゲナイドが例示される。遷移金属カルコゲナイドとして、MoS2、MoSe2、MoTe2、WS2、WSe2、WTe2、NbS2、HfSe2及びPdS2が例示される。13族カルコゲナイドとして、GaS、GaSe、GaTe、InSe及びTlSeが例示される。14族カルコゲナイドとして、GeS、SnS及びPbS2が例示される。ビスマスカルコゲナイドとして、Bi2Se3及びBi2Te3が例示される。層状カルコゲナイドにこれらの2種以上が含まれていてもよい。カルコゲンとして、O、S、Se、Te及びPoが例示される。
第1の実施形態では、第1の温度にて第1の元素とカルコゲンとが金属基材11の表面で反応し、金属基材11はカルコゲンと反応しない。このため、カルコゲナイドの結晶が安定して膜状に成長し、連続性に優れ、膜質の均一性が高い層状カルコゲナイド膜12が得られる。
このようにして形成した層状カルコゲナイド膜12は、例えば支持膜を用いて他の基板上に移動させて用いることができる。ここで、層状カルコゲナイド膜12を移動させる方法について説明する。
図2は、層状カルコゲナイド膜12を移動させる方法の第1の例を工程順に示す断面図である。第1の例では、先ず、図2(a)に示すように、層状カルコゲナイド膜12上に支持膜101を形成する。支持膜101の形成では、例えばレジストを塗布し、硬化させる。次いで、図2(b)に示すように、金属基材11を除去する。金属基材11の材料としてAuが用いられている場合、金属基材11の除去では、例えばヨウ素及びヨウ化カリウムを含む水溶液を用いたウェットエッチングが行われる。その後、図2(c)に示すように、層状カルコゲナイド膜12を他の基板102に貼り付ける。そして、図2(d)に示すように、支持膜101を除去する。このようにして、層状カルコゲナイド膜12を移動させることができる。
図3は、層状カルコゲナイド膜12を移動させる方法の第2の例を工程順に示す断面図である。第2の例では、先ず、図3(a)に示すように、第1の例と同様に、層状カルコゲナイド膜12上に支持膜101を形成する。次いで、図3(b)に示すように、金属基材11、層状カルコゲナイド膜12及び支持膜101の積層体103及び陽極104を、電解質を含む水溶液105中に浸漬し、金属基材11と陽極104との間に電圧を印加する。この結果、金属基材11の表面から水素ガスの気泡が発生し、金属基材11及び層状カルコゲナイド膜12間の接着力が低下し、図3(c)に示すように、金属基材11及び層状カルコゲナイド膜12が互いから分離される。電解質としては、例えばNaOH及びKOHが挙げられる。例えば、電解質の濃度は0.01mol/L〜2.0mol/Lとし、印加電圧は0.1V〜10Vとし、電流は10mA〜500mA程度とする。陽極104の材料としては、例えばAu、Pt及びCが挙げられる。その後、第1の例と同様にして、層状カルコゲナイド膜12を他の基板102に貼り付け、図3(d)に示すように、支持膜101を除去する。このようにして、層状カルコゲナイド膜12を移動させることができる。第2の例では、金属基材11を溶解させないため、金属基材11を再利用することができる。
基板102としては、絶縁性基板、半導体基板及び有機フィルムが例示される。例えば、SiO2膜が表面に形成されたSi基板、石英基板、アルミナ基板、サファイア基板、MgO基板、マイカ基板、ジルコニア基板、ダイヤモンド基板、SiC基板、SiN基板、GaN基板、AlN基板、CaO基板及びY23基板が例示される。これら絶縁性基板、半導体基板又は有機フィルム上に他の膜が形成されたものを用いてもよい。
金属基材11の材料としては、Auが好適である。層状カルコゲナイド膜12が形成される温度ではカルコゲンとの化合物を生成しないからである。第1の温度が700℃以下であれば、Tiを金属基材11の材料として用いることができる。第1の温度が600℃以下であれば、Hf又はZrも金属基材11の材料として用いることができる。Ni及びGaの合金はカルコゲンに対して化学的安定性が高く、第1の温度が700℃以下であれば、Ni5Ga3も金属基材11の材料として用いることができる。
カルコゲンとの化合物を生成する遷移金属として、Mo、Nb、W、Ta、V、Cr、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Zn、Cd、Ni、Pd、及びPtが例示される。第1の温度が700℃超であれば、Tiもカルコゲンとの化合物を生成し得る。第1の温度が600℃超であれば、Zr及びHfもカルコゲンとの化合物を生成し得る。カルコゲンとの化合物を生成する13族元素として、Ga、In及びTlが例示される。カルコゲンとの化合物を生成する14族元素として、Ge、Sn及びPbが例示される。第1の温度にも依存するが、第1の元素として、例えば、Mo、Nb、W、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Zn、Cd、Ni、Pd、Pt、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb若しくはBi又はこれらの任意の組み合わせが用いられ得る。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第2の実施形態では、先ず、図4(a)に示すように、金属膜21を基板20上に形成する。次いで、図4(b)に示すように、金属膜21を第1の温度に加熱しながら、金属膜21の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、第1の元素の層状カルコゲナイド膜22を成長させる。その後、図4(c)に示すように、加熱により、金属膜21を蒸発させる。金属膜21は、第1の温度で、供給されるカルコゲンとの化合物を生成しない金属元素であり、第1の元素は、第1の温度で、供給されるカルコゲンとの化合物を生成する元素である。
層状カルコゲナイド膜22は、第1の実施形態における層状カルコゲナイド膜12と同様に、例えばCVD法により成長させることができる。
第2の実施形態では、第1の温度にて第1の元素とカルコゲンとが金属膜21の表面で反応し、金属膜21はカルコゲンと反応しない。このため、カルコゲナイドの結晶が安定して膜状に成長し、連続性に優れ、膜質の均一性が高い層状カルコゲナイド膜22が得られる。
このようにして形成した層状カルコゲナイド膜22は、そのまま基板20上で用いることができる。第1の実施形態と同様に、例えば支持膜を用いて他の基板上に移動させて用いてもよい。この場合、金属膜21を除去しなくてもよい。
基板20としては、絶縁性基板、半導体基板及び有機フィルムが例示される。例えば、SiO2膜が表面に形成されたSi基板、石英基板、アルミナ基板、サファイア基板、MgO基板、マイカ基板、ジルコニア基板、ダイヤモンド基板、SiC基板、SiN基板、GaN基板、AlN基板、CaO基板及びY23基板が例示される。これら絶縁性基板、半導体基板又は有機フィルム上に他の膜が形成されたものを用いてもよい。
金属膜21は、例えば、蒸着法、CVD法、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy:MBE)法、スパッタリング法又はめっき法等の種々の方法により形成することができる。金属膜21の厚さは、例えば0.1nm〜1000nmであるが、特に限定されない。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第3の実施形態では、先ず、図5(a)に示すように、第2の実施形態と同様にして、金属膜21を基板20上に形成する。次いで、図5(b)に示すように、金属膜21をパターニングする。金属膜21は、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術によりパターニングすることできる。金属膜21のパターンは特に限定されない。一辺の長さが1μm〜100μm程度の方形が1μm〜100μm程度の間隔で配列したパターンが例示される。
その後、図5(c)に示すように、金属膜21を第1の温度に加熱しながら、金属膜21の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、第1の元素の層状カルコゲナイド膜32を成長させる。基板20も加熱され、層状カルコゲナイド膜32は基板20上にも成長し得る。続いて、図5(d)に示すように、基板20上に成長した層状カルコゲナイド膜32を除去する。カルコゲナイドの結晶は金属膜21上では優れた連続性で膜状に成長するが、基板20上ではフレーク(薄片)状に成長する。このため、基板20と層状カルコゲナイド膜32との接触面積が小さく、基板20上の層状カルコゲナイド膜32は基板20から脱離しやすい。従って、例えば、水及びエタノール等の層状カルコゲナイド膜32を侵食しない任意の溶液中において超音波発生装置を用いて基板20に超音波を照射することで、基板20上の層状カルコゲナイド膜32を優先的に除去することができる。その後、必要に応じて、図5(e)に示すように、加熱により、金属膜21を蒸発させる。
層状カルコゲナイド膜32は、層状カルコゲナイド膜12と同様に、例えばCVD法により成長させることができる。
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、第1の温度にて第1の元素とカルコゲンとが金属膜21の表面で反応し、金属膜21はカルコゲンと反応しないため、連続性に優れ、膜質の均一性が高い層状カルコゲナイド膜32が得られる。また、第3の実施形態では、パターニングした金属膜21上に層状カルコゲナイド膜32を成長させるため、層状カルコゲナイド膜32の位置、サイズ及び形状を容易に制御することができる。
このようにして形成した層状カルコゲナイド膜32は、そのまま基板20上で用いることができる。第1の実施形態と同様に、例えば支持膜を用いて他の基板上に移動させて用いてもよい。この場合、金属膜21を除去しなくてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図6は、第4の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第4の実施形態では、先ず、図6(a)に示すように、金属基材11を準備し、金属基材11上に第1の元素を含む膜15を形成する。次いで、図6(b)に示すように、金属基材11を第1の温度に加熱しながら、金属基材11の表面で膜15中の第1の元素をカルコゲンと反応させて、第1の元素の層状カルコゲナイド膜42を成長させる。
膜15は、例えば、スパッタ堆積法、蒸着法又は湿式塗布法等の種々の方法により形成することができる。第1の元素は、単体又は化合物として膜15に含まれる。化合物としては、酸化物、塩化物、フッ化物、水素化物及び有機化合物が例示される。膜15が合金膜であってもよく、複数の金属元素を含む膜であってもよい。
層状カルコゲナイド膜42を成長させる際の雰囲気は、例えば不活性ガス雰囲気、又は水素を含む不活性ガス雰囲気とする。合成炉内の圧力環境は特に限定されず、大気圧環境、減圧環境又は加圧環境のいずれであってもよい。真空中で層状カルコゲナイド膜42をCVD法により成長させてもよい。カルコゲンの原料として1種類の前駆体を用いてもよく、複数種類の前駆体を用いてもよい。前駆体は、固体、液体及び気体のいずれでもよく、固体は結晶及びアモルファスのいずれでもよい。前駆体として固体又は液体を用いる場合、加熱等により前駆体を気化させることが好ましい。この場合、形成しようとする層状カルコゲナイド膜42の層数及び面積等に応じて、温度、圧力、前駆体の量及び蒸気圧を調整することが好ましい。金属基材11の温度も層状カルコゲナイド膜42の層数及び面積等に応じて調整することが好ましい。
管状の合成炉を用いて大気圧下でSnS2の層状カルコゲナイド膜42を形成する場合の条件の例について説明する。この例では、膜15としてSnO2膜を形成し、カルコゲンの前駆体として硫黄(S)を用いる。Arガスで満たした合成炉内にキャリアガスとしてArガスを10sccm〜1000sccm程度の流量で導入し続けながら、金属基材11を300℃〜700℃の温度に加熱する。金属基材11の上流に配置した質量が1mg〜100gの硫黄を100℃〜300℃の温度に加熱する。合成時間(反応時間)は1秒間〜10時間程度とする。この例では、SnO2及び硫黄の蒸発圧を考慮して硫黄の加熱温度を制御することが好ましい。
第4の実施形態では、第1の温度にて第1の元素とカルコゲンとが金属基材11の表面で反応し、金属基材11はカルコゲンと反応しない。このため、カルコゲナイドの結晶が安定して膜状に成長し、連続性に優れ、膜質の均一性が高い層状カルコゲナイド膜42が得られる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図7は、第5の実施形態に係る層状カルコゲナイド膜の形成方法を工程順に示す断面図である。
第5の実施形態では、先ず、図7(a)に示すように、金属膜21を基板20上に形成し、金属膜21上に第1の元素を含む膜25を形成する。次いで、図7(b)に示すように、金属膜21を第1の温度に加熱しながら、金属膜21の表面で膜25中の第1の元素をカルコゲンと反応させて、第1の元素の層状カルコゲナイド膜52を成長させる。
層状カルコゲナイド膜52は、層状カルコゲナイド膜42と同様に、例えば膜25のカルコゲン化により成長させることができる。
第5の実施形態では、第1の温度にて第1の元素とカルコゲンとが金属膜21の表面で反応し、金属膜21はカルコゲンと反応しない。このため、カルコゲナイドの結晶が安定して膜状に成長し、連続性に優れ、膜質の均一性が高い層状カルコゲナイド膜52が得られる。
第3の実施形態と同様に、層状カルコゲナイド膜52の形成前に金属膜21及び膜25をパターニングしておいてもよい。この場合、層状カルコゲナイド膜52の位置、サイズ及び形状を容易に制御することができる。
ここで、本願発明者が行った実験について説明する。この実験では、第2の実施形態に倣った方法及び参考例の方法で層状カルコゲナイド膜としてSnS2膜を形成した。そして、形成したSnS2膜を光学顕微鏡にて観察した。図8(a)は、第2の実施形態に倣った方法で得られた試料の光学顕微鏡写真を示す図であり、図9(b)は、参考例の方法で得られた試料の光学顕微鏡写真を示す図である。第2の実施形態に倣った方法では、基板20として、SiO2膜が表面に形成されたSi基板120を準備し、金属膜21としてAu膜121を基板120上に形成し、CVD法により層状カルコゲナイド膜22としてSnS2膜122をAu膜121上に成長させた。参考例の方法では、基板20として、SiO2膜が表面に形成されたSi基板120を準備し、金属膜21を形成することなく、CVD法により層状カルコゲナイド膜22としてSnS2膜222を基板120上に成長させた。
図8(a)に示すように、第2の実施形態に倣った方法では、SnS2膜122を基板120の表面に平行に膜状に形成することができた。図8(b)はSnS2膜122の形状を示す模式図である。一方、図9(a)に示すように、参考例の方法では、SnS2膜222が基板120上にフレーク(薄片)状に形成された。図9(b)はSnS2膜222の形状を示す模式図である。なお、図8(a)中の黒い部分はAu膜121の蒸発に伴って露出した基板120である。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、層状カルコゲナイド膜を含む素子として電界効果トランジスタを備えた半導体装置の製造方法の一例である。図10は、第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
第6の実施形態では、先ず、表面が絶縁性の基板61上に層状カルコゲナイド膜62を形成する。層状カルコゲナイド膜62としては、第1〜第5の実施形態のいずれかにより形成したものを用いる。例えば、層状カルコゲナイド膜62は転写法により基板61上に形成することができる。次いで、層状カルコゲナイド膜62上にゲート電極63、ソース電極64及びドレイン電極65を形成する。
このようにして、電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造することができる。この電界効果トランジスタでは、層状カルコゲナイド膜62がチャネルとして機能する。
層状カルコゲナイド膜を含む素子は電界効果トランジスタに限定されない。層状カルコゲナイド膜を含む素子は、例えばセンサ、光デバイス、太陽電池等に用いることができる。特に、層状カルコゲナイド膜が有する高い光透過性及び柔軟性を発揮し得る透明導電膜、フレキシブルデバイス等の用途に好適である。そして、用途に応じて層状カルコゲナイド膜に含まれる層状物質の層数を選択することが望ましい。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
金属基材を準備する工程と、
前記金属基材を第1の温度に加熱しながら、前記金属基材の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、前記第1の元素の層状カルコゲナイド膜を成長させる工程と、
を有し、
前記金属基材は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成せず、
前記第1の元素は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成する元素であることを特徴とする層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記2)
化学気相成長法により前記層状カルコゲナイド膜を成長させることを特徴とする付記1に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記3)
前記金属基材の材料はAuであることを特徴とする付記1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記4)
前記第1の金属元素は、Mo、Nb、W、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Zn、Cd、Ni、Pd、Pt、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb若しくはBi又はこれらの任意の組み合わせであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記5)
前記第1の温度は600℃以下であり、
前記金属基材の材料はHf又はZrであることを特徴とする付記1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記6)
前記第1の金属元素は、Mo、Nb、W、Ta、Ti、V、Cr、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Zn、Cd、Ni、Pd、Pt、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb若しくはBi又はこれらの任意の組み合わせであることを特徴とする付記5に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記7)
前記第1の温度は700℃以下であり、
前記金属基材の材料はTi又はNi5Ga3であることを特徴とする付記1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記8)
前記第1の金属元素は、Mo、Nb、W、Ta、Zr、Hf、V、Cr、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Zn、Cd、Ni、Pd、Pt、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb若しくはBi又はこれらの任意の組み合わせであることを特徴とする付記7に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
(付記9)
付記1乃至8のいずれか1項に記載の方法により層状カルコゲナイド膜を形成する工程と、
前記層状カルコゲナイド膜を含む素子を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
11:金属基材
12、22、32、42、52:層状カルコゲナイド膜
15、25:第1の元素を含む膜
20:基板
21:金属膜

Claims (7)

  1. 基板上に金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜を第1の温度に加熱しながら、前記金属膜の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、前記金属膜上に前記第1の元素の層状カルコゲナイド膜を成長させる工程と、
    前記金属膜を加熱して前記金属膜を蒸発させ、前記基板上に前記層状カルコゲナイド膜を残す工程と、
    を有し、
    前記金属膜は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成せず、
    前記第1の元素は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成する元素であることを特徴とする層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  2. 化学気相成長法により前記層状カルコゲナイド膜を成長させることを特徴とする請求項1に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  3. 前記金属膜の材料はAuであることを特徴とする請求項1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  4. 前記第1の温度は600℃以下であり、
    前記金属膜の材料はHf又はZrであることを特徴とする請求項1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  5. 前記第1の温度は700℃以下であり、
    前記金属膜の材料はTi又はNi5Ga3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  6. 金属基材を第1の温度に加熱しながら、前記金属基材の表面で第1の元素とカルコゲンとを反応させて、前記第1の元素の層状カルコゲナイド膜を成長させる工程と、
    前記層状カルコゲナイド膜上に支持膜を形成する工程と、
    前記金属基材、前記層状カルコゲナイド膜及び前記支持膜の積層体及び陽極を、電解質を含む水溶液中に浸漬し、前記金属基材と前記陽極との間に電圧を印加して、前記金属基材と前記層状カルコゲナイド膜とを分離する工程と、
    前記層状カルコゲナイド膜から前記支持膜を除去する工程と、
    を有し、
    前記金属基材は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成せず、
    前記第1の元素は、前記第1の温度で前記カルコゲンとの化合物を生成する元素であることを特徴とする層状カルコゲナイド膜の形成方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により層状カルコゲナイド膜を形成する工程と、
    前記層状カルコゲナイド膜を含む素子を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
JP2016245488A 2016-12-19 2016-12-19 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法 Active JP6842035B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016245488A JP6842035B2 (ja) 2016-12-19 2016-12-19 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016245488A JP6842035B2 (ja) 2016-12-19 2016-12-19 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018100429A JP2018100429A (ja) 2018-06-28
JP6842035B2 true JP6842035B2 (ja) 2021-03-17

Family

ID=62715179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016245488A Active JP6842035B2 (ja) 2016-12-19 2016-12-19 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6842035B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018100429A (ja) 2018-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5871213B2 (ja) グラフェン基板の製造方法およびグラフェン基板
US8338825B2 (en) Graphene/(multilayer) boron nitride heteroepitaxy for electronic device applications
KR101357060B1 (ko) 그래핀막의 제조 방법, 전자 소자의 제조 방법, 및 기판에의 그래핀막의 전사 방법
EP3082152B1 (en) Monolayer films of semiconducting metal dichalcogenides, methods of making same, and uses of same
US20120021224A1 (en) Graphene/graphene oxide platelet composite membranes and methods and devices thereof
KR101500944B1 (ko) 칼코겐 화합물의 2차원 대면적 성장 방법, cmos형 구조체의 제조 방법, 칼코겐 화합물의 막, 칼코겐 화합물의 막을 포함하는 전자 소자 및 cmos형 구조체
US8709881B2 (en) Direct chemical vapor deposition of graphene on dielectric surfaces
KR101523172B1 (ko) 금속-칼코게나이드 박막의 제조방법 및 그에 의해 제조되는 금속-칼코게나이드 박막
KR20160005504A (ko) 층수가 제어된 그래핀의 제조방법 및 그를 이용한 전자소자의 제조방법
Juvaid et al. Direct growth of wafer-scale, transparent, p-type reduced-graphene-oxide-like thin films by pulsed laser deposition
US20200357635A1 (en) Large-scale synthesis of 2d semiconductors by epitaxial phase conversion
KR20180117762A (ko) 전이금속 칼코제나이드 이종 접합 박막, 이의 제조 방법 및 이의 제조 장치
US20160221830A1 (en) Method of producing graphene film
US20230007789A1 (en) Process for applying a two-dimensional material to a target substrate post-lamination
JP6597333B2 (ja) 層状カルコゲナイド膜の成長方法
JP6842035B2 (ja) 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法
US10727050B1 (en) Wafer-scale catalytic deposition of black phosphorus
CN105800566A (zh) 交替注入反应物生长单层和多层过渡金属硫化物的方法
KR102280763B1 (ko) 전이금속 디칼코게나이드 박막, 그 제조 방법 및 제조 장치
JP2020531682A (ja) プラズマ化学気相成長法によって調製した単層および多層シリセン
KR102024463B1 (ko) 전이금속칼코겐 화합물의 대면적 전사 방법
KR101308120B1 (ko) 성장 방향이 제어된 그래핀의 제조 방법
JP6773963B2 (ja) 層状カルコゲナイド膜の形成方法及び半導体装置の製造方法
WO2017096626A1 (zh) 一种在石墨烯表面形成栅介质层及制备晶体管的方法
CN107445157B (zh) 一种单层二硒化钒二维材料的制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6842035

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250