JP6841392B2 - 高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法 - Google Patents

高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、地盤安定化工事(トンネル工事または地盤安定工事等を含む)において、土中を穿孔し、斜面または地面の地盤改良を行うことに用いる高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法に関する。
本願は、2019年2月21日に、日本に出願された特願2019−029437号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年の自動車道路や鉄道などのトンネル工事または地盤安定化工事においては、長大化や軟弱地盤への施工ニーズをはじめとした過酷な環境下の施工が求められている。この実現には地盤改良剤および軽量で高強度な構造部材が必要となり、軽量高強度構造部材としては高強度鋼管が注目されている。
高強度鋼管の製造方法として、例えば特許文献1および特許文献2には、造管後に高温に加熱後、急冷して引張強さを高める技術が開示されている。また例えば特許文献3には、地中に埋設される鋼管の一種である油井用電縫鋼管について、化学組成、降伏強さ、引張強さ、および降伏比をそれぞれ特定の範囲に調整することにより、造管後の熱処理なく引張強さおよび靭性を向上させる技術が開示されている。
上述のように、トンネルの長大化や軟弱地盤でのトンネル施工においては、地盤改良剤の使用と、それを注入するための重機や作業空間の確保が望ましい。しかし近年の高速道路や高速鉄道のトンネル敷設において、山間部など重機の進入が困難な狭小空間での施工例が増えてきている。また上記用途の鋼管は、両管端にそれぞれ雄ねじと雌ねじを事前に鋼管製造工場の造管後、もしくは中間業者、あるいは工事現場の施工場所にて加工、または接続機能を有した連結用部材を鋼管の両管端または一方の端に接合し、施工場所に搬入してから掘削用工具と鋼管、または鋼管同士を工事現場で連結して使用する必要がある。
しかし、重機が使用できない場合は鋼管を手作業で搬入し連結しなければならず、作業員の肉体的負荷は非常に大きい。特に近年は作業者の高齢化に伴い、作業員の負荷低減と労働力の確保が課題となっており、その解決策として高強度かつ軽量な鋼管部材が求められている。
当該用途の従来鋼管としては、例えば規格STK400、引張強さTS400〜490N/mm、外径D=114.3mm、肉厚t=6.0mm、長さL=3.0〜3.5m、重量48〜56kgf/本である。一方、日本の労働基準法での職場における腰痛予防対策の指針によると、成人男性が人力で取扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下になるよう努めることとされている。標準的な例として成人男性の体重を70kgfとすると1人で取り扱うことのできる重量は28kgfとなる。このため、従来鋼管は作業者1人では取り扱うことができず、作業者確保の困難さや人件費等の観点から鋼管の軽量化が求められている。
本願の地盤安定化工事用高強度鋼管は、多くの場合、生産効率や価格の面から、造管工場では長さ10m前後、あるいはそれ以上の長さで製造しておき、中間業者などで前述の所定の長さに切断の後、ねじ切り等を行い、工事現場に搬入され、施工される。地盤安定化工事用高強度鋼管を地盤に打ち込む際に、ねじによる接合、または精度のよい嵌合を用いるのは、地盤中に押し込まれる際に、地盤中の硬質な固い岩石などが障害物となった際にも結合部を起点に曲がって埋設、押し込みがストップしない様、接合部も母材部分と同程度の強度を保っておく必要があるためである。これが単純な鋼管端部の拡管によるはめ込みや、ボルトなどの金具による単純固定では、埋設時に障害物で曲がったり、外れたり、金具が突っかかったりして鋼管が地盤に押し込めなくなり、地盤安定化工事に支障がでるので好ましくない。加えて特にトンネルの地盤安定用の場合、水平もしくはやや斜め、あるいは横方向に鋼管を押し込むため、溶接による接合だと、工事現場にて前記方向のままで直線性を確保しつつ溶接で接合することは極めて困難であり、そのような溶接装置を準備することも難しい。
鋼管軽量化のための薄肉高強度化については、前述の特許文献3などに見られるように従来から多数の方法が報告されている。また当該用途の鋼管の多くは、トンネル工事等の地盤安定化施工中や施工後に鋼管自体を回転する作業は無いことから、地盤埋設時には管中央部の真円度は要求されない。しかしながら前述のように造管後に鋼管の長さ方向の概ね中央部(以下、鋼管中央部と称する。後述の鋼管端部から、鋼管切断前において鋼管の外径分だけ離れた位置Leより鋼管中央側の部分)にて前述の長さLに切断することから、鋼管製造工場から出荷される鋼管の鋼管端部、およびその後に鋼管が鋼管中央部にて切断されて発生する鋼管端部は、回転式の切削装置でその鋼管端部に鋼管同士を接合するためのねじ加工が必要となるので、鋼管端部には高真円度が要求される。また、同様に前述の長さLに切断後、一部には、1ないし複数の治具を介して鋼管端部を嵌合して結合させる場合があるが、その場合も安定した接合のため、鋼管端部も同じく高真円度が要求される。
このように高真円度が要求される地盤安定化工事用高強度鋼管であるが、高強度鋼板を冷間加工して製造するため、高強度化し、引張強度が大きくなればなるほど加工時の残留応力が大きくなる。これが造管後に前述の長さLに切断したとき、切断された部分の鋼管端部ではその残留応力が開放され、その両鋼管端部の変形が大きくなって真円度が悪化する傾向がある。
地盤安定化工事用高強度鋼管に近い長さで鋼管もしくは高強度鋼管が用いられる例としては、例えばトーションビームや構造部材などの自動車用途、建築現場の足場用部材がある。自動車用途での他の部材との接合は、溶接もしくはボルト締めなどの機械的結合が主流であり、真円度が影響するねじ切りが用いられることはきわめて少なく、本願のような課題が顕在化しない。これは建築現場の足場用部材も同様で、金具による締め付けで組み立てられる。他に長さ的に近いものとして住宅用基礎杭用鋼管や架線用電線柱用の鋼管があるが、これらもピンや簡便な金具で連結していくだけで、やはり本願のような課題が顕在化しない。
ねじ切りする場合としては、例えば油井管用鋼管があるが、これは10m程度の長尺材で造管工場で真円度を確保した鋼管について、出荷前もしくは出荷後の中間業者でねじ切りを行い、出荷時の長さのまま連結して用いる。但し、数千mにおよぶ油井の掘削の最後の部分で長さ調整用に数m用の短尺材を中間業者でねじ切りする場合があるが、ごく一部であり、切断時の形状変化や真円度に係る課題が顕在化しない。地盤安定化工事用高強度鋼管では、工場出荷の長さから使用時の長さの例えばL=3.0〜3.5mにすべて短尺切断され、それを次から次へと連結する必要があるため、その連結部のねじ切り部分の全てで真円度が重要となり、接合の問題が発生する可能性がある。このように、切断時の真円度悪化とねじ切りや嵌合などによる接合の問題は、地盤安定化工事用高強度鋼管に特有のものと言える。
ここで、鋼管の真円度を向上させる従来からの技術としては、一般に造管後の引き抜き加工や管端を金型に押し込んで温間加工するスウェージ加工が知られている。しかし、これらは鋼管の製造ラインとは別工程となることもあり、また製造コストが上昇する。中間業者がスウェージ加工設備を備えているとは限らず、また前述のように高強度鋼管を施工場所に搬入してから切断することもある。この場合にはその別工程では対応できず、中間業者での切断、工事現場などでの予定外の切断に対しても、切断された鋼管端部の真円度が確保される必要がある。加えてトンネル工事や地盤安定化工事は広範囲であり鋼管を大量に使用するため、できる限り安価であることが要求される。
日本国特開昭54−19415号公報 日本国特開平6−93339号公報 日本国特許第5131411号公報
そこで発明者らは、軽量高強度であって、造管後の新たな切断によって発生する鋼管端部が高真円度の高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法を提供する。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る高強度電縫鋼管は、質量%または質量ppmでC:0.04〜0.30%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.700%、N:100ppm以下、Nb:0〜0.100%、V:0〜0.100%、Ti:0〜0.200%、Ni:0〜1.000%、Cu:0〜1.000%、Cr:0〜1.000%、Mo:0〜1.000%、B:0〜50ppm、Ca:0〜100ppmおよびREM:0〜200ppmを含有し、残部が鉄および不純物からなり、DCaveが60.3mm以上318.5mm以下であり、tCave/DCaveが0.02以上0.06以下であり、引張強さが590N/mm以上であり、鋼管中央部を切断した場合、下記式を満足する。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (1)
YN≦y≦YM (2)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
YM=MIN[{DEave×(2/100)}、{4×((tEave/3)−0.65)}] (4)
ここで(4)式は{DEave×(2/100)}と{4×((tEave/3)−0.65)}の小さい方をYMとする。
YN=MAX[{DEave×(−2/100)}、{−4×((tEave/3)−0.65)}] (5)
ここで(5)式は{DEave×(−2/100)}と{−4×((tEave/3)−0.65)}の大きい方をYNとする。
K={α+(β/I)+(γ×TS)}×DCave (6)
SD=(√2)×(鋼管中央部の平均外径DCaveの標準偏差) (7)
鋼管中央部の外径の標準偏差={p+(q/I)+(r×TS)}×DCave (8)
ここでx:縦楕円度(鋼管中央部)、y:縦楕円度(鋼管端部)、DCave:造管後、切断前の鋼管中央部の平均外径(mm)、tCave:造管後、切断前の鋼管中央部の鋼管の平均肉厚(mm)、DEave:造管後、切断後の鋼管端部の平均外径(mm)、tEave:造管後、切断後の鋼管端部の平均肉厚(mm)、TS:高強度電縫鋼管の母材部の引張強さ(N/mm)、α、β、γは定数で、
α=−1.87×10−3 (9)
β=1.35×10 (10)
γ=−6.65×10−6 (11)
Iは鋼管中央部断面の断面二次モーメント(mm)で、
I=π/64×{(DCave)−(DCave−2×tCave)} (12)
p、q、rは定数で
p=1.39×10−3 (13)
q=4.17×10 (14)
r=6.05×10−7 (15)
である。
(2)上記(1)に記載の高強度電縫鋼管において、引張強さが780N/mm以上であってよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の高強度電縫鋼管において、さらに下記式を満足してよい。
YN−K+3×SD≦x≦YM−K−3×SD (17)
(4)上記(1)または(2)に記載の高強度電縫鋼管において、さらに下記式を満足してよい。
DEave×(−2/100)−K+3×SD≦x≦DEave×(2/100)−K−3×SD (18)
(5)本発明の一態様に係る地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法は、上記(1)または(2)に記載の高強度電縫鋼管の鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部にねじ切りを行ない、ねじ継手で2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いる。
(6)本発明の一態様に係る地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法は、上記(1)または(2)に記載の高強度電縫鋼管の鋼管端部の一方または両方が鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部に、当該鋼管端部同士を1ないし複数の治具を介して嵌合させて2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いる。
本発明により、軽量高強度であって、造管後の新たな切断によって発生する鋼管端部が高真円度の高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法を提供することができる。これにより鋼管同士の結合作業の負荷低減、工事施工作業の効率化が低コストで可能となる。
鋼管中央部の範囲を決めるLeの根拠を示すためのものであり、鋼管端部からの距離/その位置における外径と、外径測定位置における断面の縦楕円度と鋼管の造管方向の長さ1/2位置の縦楕円度の差の関係を表す図である。尚、鋼管は外径114.3mm×肉厚3.5mm×長さ7400mmである。 鋼管の引張強さと、鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)−鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)の関係を表す図である。尚、鋼管は外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmである。 板厚ごとの鋼管の引張強さと鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)−鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)の関係を表す図である。尚、鋼管の外径は114.3mmである。 鋼管の引張強さと鋼管中央部の平均外径の標準偏差の関係を表す図である。尚、鋼管は外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmの場合である。 板厚ごとの鋼管の引張強さと鋼管中央部の平均外径の標準偏差の関係を表す図である。尚、鋼管の外径は114.3mmである。 鋼管の引張強さと鋼管中央部の残留応力の関係を示す図である。尚、鋼管は外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmの場合である。 切断により鋼管端部が変形した時の鋼管端部の平均外径の変化とねじ断面の状態を模式的に示した図である。尚、模式的に表示しているので、外径と肉厚の比率等を無視して表示している。 鋼管端部にねじ加工を行う場合の、鋼管中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEの関係を示す図である。 鋼管端部にねじ加工を行う場合の、鋼管中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEについて、製造のばらつきを考慮したより好ましい関係を示す図である。 鋼管端部にねじ加工を行う場合かつ領域YYが領域AAより大きい場合の、鋼管中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEの関係を示す図である。 鋼管端部にねじ加工を行う場合かつ領域YYが領域AAより大きい場合の、鋼管中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEについて、製造のばらつきを考慮したより好ましい関係を示す図である。 鋼管端部を嵌合にて結合する場合の、鋼管の中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEの関係を示す図である。(治具を嵌合する場合) 鋼管端部を嵌合にて結合する場合の、鋼管の中央部(切断前)の縦楕円度ΔDCと鋼管端部(切断後)の縦楕円度ΔDEについて、製造のばらつきを考慮したより好ましい関係を示す図である。(治具を嵌合する場合) 造管機の設備概要の一例を示す図である。
発明者らは、造管後に鋼管中央部にて所定長さに切断される場合の切断前後の鋼管中央部の鋼管断面寸法を測定し、鋼管切断によって残留応力が解放されることによる鋼管断面寸法の変化を詳細に調査した。その結果、残留応力による寸法変化を考慮し、切断後の鋼管断面寸法がねじ切りや治具による結合に適する切断前の鋼管断面寸法を見出すことに成功した。尚、前記切断前の鋼管断面形状は、造管の成形工程、溶接工程、矯正工程の各ロールスタンドのロール位置等を調整することで達成する。以下、詳細に説明するが、製造条件は造管設備の仕様、例えばロール段数、圧下力、ロールプロフィールおよびそれらの配置により各工程条件が微妙に異なってくるので一概に条件の範囲を規定できないが、造管後の寸法測定や真円度確認により適宜その造管設備に適した各工程条件を見出し調整すれば実施が可能となる。
鋼管の切断は、鋸断が多いが、その他、旋盤での切断等でもよい。
なお、本明細書において、「高強度電縫鋼管」を単に「鋼管」という場合がある。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
以下、本発明の一実施形態に係る高強度電縫鋼管について説明する。
本実施形態に係る高強度電縫鋼管は、質量%または質量ppmでC:0.04〜0.30%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.700%、N:100ppm以下、Nb:0〜0.100%、V:0〜0.100%、Ti:0〜0.200%、Ni:0〜1.000%、Cu:0〜1.000%、Cr:0〜1.000%、Mo:0〜1.000%、B:0〜50ppm、Ca:0〜100ppmおよびREM:0〜200ppmを含有し、残部が鉄および不純物からなる。
鋼管の外径(後述するDCave)は、60.3mm以上318.5mm以下である。鋼管の外径が60.3mm以上であると、本発明の目的の鋼管としての強度が得られやすい。鋼管の外径が318.5mm以下であると、運搬が容易である。鋼管の外径は、好ましくは、113mm以上116mm以下である。尚、鋼管の外径は、平均外径である。
鋼管の肉厚(後述するtCave)と鋼管の外径(後述するDCave)との比(tCave/DCave)は0.02以上0.06以下である。鋼管の肉厚と鋼管の外径との比(tCave/DCave)が0.02以上であると、鋼管としての強度が達成しやすい。鋼管の肉厚と鋼管の外径との比(tCave/DCave)が0.06以下であると、軽量化の目的を達成しやすい。
鋼管の引張強さは、590N/mm以上である。引張強さが590N/mm以上であると、薄肉化でき、人手で運搬可能な重量にすることが容易である。引張強さは、好ましくは780N/mm以上である。引張強さは、好ましくは1200N/mm以下、更に好ましくは1500N/mm以下である。
鋼管の降伏比は、86%以上99%以下であると、ねじの継手強度が高まるため好ましい。
尚、鋼管の引張強さおよび降伏比は、造管後の鋼管の母材部分から全厚試験片を管軸方向に採取し、管軸方向に引張試験を実施することで得られる。
本明細書および本特許請求の範囲において、以下のように用語を定義する。
鋼管中央部の外径について、溶接部を時計の12時に置きその位置を0°として、±45°の範囲の任意の外径をD1とし、D1に直交する直径をD3とする。D1から時計まわりに45°の位置の直径をD2とし、D3から時計まわりに45°の位置の直径をD4とする。
D1、D2、D3、D4における鋼管中央部の外径をそれぞれ、DC1、DC2、DC3、DC4とし、その平均を鋼管中央部の平均外径としDCaveと称する。またD1、D2、D3、D4の位置における鋼管中央部の内径をそれぞれ、dC1、dC2、dC3、dC4とし、その平均を鋼管中央部の平均内径としdCaveと称し、またD1、D2、D3、D4の位置における鋼管中央部の肉厚をtC1、tC2、tC3、tC4とし、その平均を鋼管中央部の平均肉厚としtCaveと称する。尚、DC1、DC2、DC3、DC4、dC1、dC2、dC3、dC4、tC1、tC2、tC3、tC4、DCave、dCave、tCaveの単位はいずれもmmである。
次に、鋼管端部の外径について、同様に溶接部を時計の12時に置きその位置を0°として、±45°の範囲の任意の外径をD1、D1に直交する直径をD3とする。D1から時計まわりに45°の位置の直径をD2、D3から時計まわりに45°の位置の直径をD4とする。D1、D2、D3、D4における鋼管端部の外径をDE1、DE2、DE3、DE4とし、その平均を鋼管端部の平均外径としDEaveと称する。またD1、D2、D3、D4の位置における鋼管端部の内径をdE1、dE2、dE3、dE4とし、その平均を鋼管端部の平均内径としdEave、またD1、D2、D3、D4の位置における鋼管端部の肉厚をtE1、tE2、tE3、tE4とし、その平均を鋼管端部の平均肉厚としtEaveと称する。尚、DE1、DE2、DE3、DE4、dE1、dE2、dE3、dE4、tE1、tE2、tE3、tE4、DEave、dEave、tEaveの単位はいずれもmmである。
尚、造管後に鋼管中央部で切断する場合、鋼管端部から、鋼管の外径分だけ鋼管の長手方向中央部に向けて離れた位置Le(mm)以内を鋼管端部、Leより鋼管中央側に離れた部分を鋼管中央部とする。鋼管中央部は、造管の際に生じた残留応力が鋼管切断時に解放されて鋼管断面寸法が変形する範囲であり、図1にその一例を示す。図1の横軸は「鋼管端部からの距離/その位置における外径」である。縦軸は、「外径測定位置における断面の縦楕円度と造管方向の長さ1/2位置の縦楕円度の差」である。横軸の「鋼管端部からの距離/その位置における外径」が1.0より大きい場合、即ち鋼管端部の切断位置から、鋼管の外径分だけ鋼管の長手方向中央部に向けて離れた位置Leより大きく鋼管中央側に離れた場合、即ち切断前の鋼管中央部では、「外径測定位置における断面の縦楕円度と鋼管の長さ方向の長さ1/2の位置の縦楕円度の差」がほぼ0で鋼管の長さ方向の1/2位置に対して縦楕円度が同じで変形していないことを示している。
ところが横軸が1.0以下の場合、即ち鋼管端部の切断位置から、鋼管の外径分だけ鋼管の長手方向中央部に向けて離れた位置Leより鋼管端部側は、「外径の測定位置における断面の縦楕円度と造管方向の長さ1/2位置の縦楕円度の差」がマイナスに振れていき、鋼管端部に近いほどマイナス側に振れる。これは即ち鋼管が切断されて鋼管端部になった場合、残留応力が開放され、鋼管端部の変形が大きくなって真円度が悪化することを示している。
ここで鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)と鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)について説明する。長手方向に垂直な断面における前述のD1、D3の差であるD1−D3をΔDとし、その断面での縦楕円度としたとき、管断面が縦長となっている場合は、D1>D3であるので縦楕円度>0となる一方、管断面が横長となっている場合は、D1<D3であるので縦楕円度<0となる。真円の場合は、D1=D3であるので縦楕円度=0となる。従って鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)と鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)は、
鋼管中央部の縦楕円度 ΔDC=DC1−DC3 (19)
鋼管端部の縦楕円度 ΔDE=DE1−DE3 (20)
となる。
尚、鋼管の切断位置、即ち鋼管端部は、造管の途中で製品採取のために切断された位置、造管後出荷時の鋼管製品の両端、中間業者、あるいは工事現場の施工場所にて切断してなる鋼管端部も含まれる。また図1中のサンプル1およびサンプル2は外径114.3mm×肉厚3.5mm、TS=1000N/mm、新たに切断して鋼管端部としたときの長さLは2000mm〜5000mmである。
発明者らは、外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmの場合において、各種引張強さにおける鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)と鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)の差を調査した。その結果、図2のように、肉厚=3.2〜3.5mmのデータから引張強さがそれらに及ぼす関係(=傾き)を明確化し、この関係が各肉厚で同じと考え、肉厚との関係を明確化し、これを肉厚ごとに整理すると外径114.3mmの場合では図3および以下(21)式の関係があることを見出した。
ΔDE=ΔDC+K (21)
但し、Kは以下(6)式で求められる定数である。
K={α+(β/I)+(γ×TS)}×DCave (6)
ここで、TSは鋼管母材部の引張強さ(N/mm)、α、β、γは定数で、α=−1.87×10−3、β=1.35×10、γ=−6.65×10−6 である。Iは鋼管中央部断面の断面二次モーメント(mm)で、以下(12)式で導出される。
I=π/64×{(DCave)−(DCave−2×tCave)} (12)
図3に板厚ごとの(21)式の計算結果の一例を示す。
発明者らは、外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmの場合において、図4にあるように、各種引張強さにおける鋼管中央部の平均外径の標準偏差を調査した。その結果、図4のように、肉厚=3.2〜3.5mmのデータから引張強さがそれらに及ぼす関係(=傾き)を明確化し、この関係が各肉厚で同じと考え、肉厚との関係を明確化し、これを肉厚ごとに整理すると外径114.3mmの場合では図5および以下(8)式の関係があることを見出した。
鋼管中央部の平均外径の標準偏差={p+(q/I)+(r×TS)}×DCave (
8)
ここで、TSは鋼管母材部の引張強さ(N/mm)、p、q、rは定数で、p=1.39×10−3、q=4.17×10、r=6.05×10−7である。Iは鋼管中央部断面の断面二次モーメント(mm)で、前述の(12)式で導出される。図5に板厚ごとの(8)式の計算結果の一例を示す。
当該用途の鋼管は、複数の鋼管を連結して使用する場合、2つの使用方法がある。ひとつは鋼管の両管端に直接に雄ねじと雌ねじを回転式の切削装置でねじ加工を行い鋼管を連結し使用する方法、もうひとつは、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する方法である。
回転式の切削装置でねじ加工を行う方法においては、加工時にねじ加工精度と製品のねじ機能を確保するため、また、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合させる方法においては、嵌合面での強度確保のためには、管端において、鋼管の外径公差とともに、高い真円度を確保することが必要である。今回の発明の目的である、高強度化による軽量化においては、図6に、外径114.3mm×肉厚3.2〜8.6mmの場合を例として示すように、高強度になるほど鋼管の残留応力が高くなっている。そのため、切断位置近傍の鋼管端部には、残留応力が開放され変形の力が作用し、薄肉では更に変形されやすく、管端の縦楕円度の変化が大きくなる傾向にあり、縦楕円度の確保が課題となる。尚、残留応力の測定は、クランプトン法(例えば新日鉄住金技報 第397号(2013)p31に記載)で実施する。
図7に、鋼管端部に直接にねじ加工を行う場合に、ねじ加工の設計値、つまり外径、肉厚が平均値である場合に対して、断面が縦長(縦楕円度>0)になった場合のねじ加工の断面の変化について模式的に示す。尚、図7では、原理を説明するため、実際の鋼管の外径と肉厚の比率を無視して表示している。
図7のねじ部の長さ方向の断面に示すように、雄ねじ、雌ねじとも、平均肉厚に対して切削されない残肉部があるが、薄肉高強度化するためには、継手全体の強度の確保およびねじ形状の健全性を確保しつつ、残肉を極力小さくする必要があり、鋼管端部の縦楕円度を一定の範囲にすることが求められる。残肉部は、下記(22)式、(23)式、
雄ねじの残肉部=(雄ねじの谷径min−内径)/2 (22)
ここで 内径=外径−2×肉厚雌ねじの残肉部=(外径−雌ねじの谷径max)/2 (23)
で示される部分である。
そこで、発明者らは、上記の新たな知見を元に、引張強さ、サイズの異なる場合、鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を明確化、即ち鋼管を所定長さLに切断する前後での縦楕円度の関係を明確化し、造管における成形、定形の工程で管中央部の縦楕円度を一定の範囲に調整、制御して鋼管中央部、即ち切断前の鋼管中央部と切断後の鋼管端部の縦楕円度を所定の範囲内とすることで、鋼管切断後の鋼管端部を高真円度とする方法を見出した。
図8にて、鋼管端部に直接に雄ねじや雌ねじを切削装置にてねじ加工を行う場合について、説明する。鋼管中央部の縦楕円度ΔDCと鋼管端部の縦楕円度ΔDEの関係において、ねじ切削加工で、できる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保するために確保すべき鋼管端部即ち切断後の鋼管端部の形状は、ΔDC、ΔDEが、以下に説明する領域AA、領域YYで共通に囲まれた領域(以下、領域XXと称する)を満足することである。
ここで図8において、領域AAとは、外径公差を確保するために必要な領域で、図8中の点A1、点A2、点A3、点A4で囲まれる領域で、鋼管中央部と鋼管端部で、JIS G 3444 (2016) 構造用鋼管で規定されている外径公差(1号公差) ±1%を満足する範囲である。尚、この外径公差は、規格に応じて変更して構わない。この範囲は、構造管として使用する際に、必要な円形の形状を確保するため必要な条件で、これを満足しない場合は、構造用鋼管として必要な曲げモーメントの確保、およびそこから得られる曲げ耐力、耐座屈性が保持できなくなる。この範囲は、構造管としての機能を確保させるために必要な範囲である。
図8において点A1〜点A4は、下記(24)式〜(31)式を満たす。
点A1:x(A1)=DCave×(2/100) (24)
y(A1)=DEave×(2/100) (25)
点A2:x(A2)=DCave×(2/100) (26)
y(A2)=DEave×(−2/100) (27)
点A3:x(A3)=DCave×(−2/100) (28)
y(A3)=DEave×(−2/100) (29)
点A4:x(A4)=DCave×(−2/100) (30)
y(A4)=DEave×(2/100) (31)
以上を整理すると、下記の(32)式、(33)式を同時に満たす(x、y)が領域AAである。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (32)
DEave×(−2/100)≦y≦DEave×(2/100) (33)
次に領域YYは、ねじ切削加工においてできる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保するために確保すべき管端の形状の範囲である。発明者らは、高強度薄肉材のねじ加工を行う中で、管全体として継手の強度の確保するためには、図7に模式的に示した平均残肉について、下記(34)式、
平均残肉≧tEave/3 (34)
であることを見出した。残肉がこれ以下の場合は、管体として必要な継手強度が確保できず、使用時での継手部の破断など本来の用途としての機能を確保することができないと考えられる。
一方、図7にあるように、鋼管の実際の外径が平均外径から部分的にずれた場合を考えると、発明者らは高強度薄肉材のねじ加工を行う中で、局部的なねじ部の変形防止の点から残肉限界は、下記(35)式、
限界残肉≧0.65mm (35)
であることを見出した。この値以下となった場合は、加工時にねじ部の変形による不良品の発生による製造コストの上昇、製品使用時でのねじ部の変形による使用不能になるなど製造上、使用上で問題が生じる場合がある。
ねじ切削加工においてできる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保するために確保すべき管端の形状に必要な条件を求めると、図7の例にあるように縦長の場合は、雄ねじ側は、下記(36)式、
限界残肉=平均残肉−(dE1−dEave)/2≧0.65 (36)
で、電縫鋼管では帯鋼を素材として使用するので肉厚は平均肉厚で一定とすると、下記(37)式、(38)式、
dE1=DE1−2×tEave (37)
dEave=DEave−2×tEave (38)
である。(34)式、(35)式、(37)式および(38)式より、(36)式を変形すると、下記(39)式、
DE1−DEave≦2×{(tEave/3)−0.65} (39)
となる。雌ねじ側も同じく下記(40)式、
限界残肉=平均残肉−(DEave−DE3)/2≧0.65 (40)
であり、(34)式より、式を変形すると(40)式は、下記(41)式となり、
DEave−DE3≦2×{(tEave/3)−0.65} (41)
(39)式と(41)式の両辺を足すと、下記(42)式、
ΔDE=DE1−DE3≦4×{(tEave/3)−0.65} (42)
となる。
次に横長の場合、即ち図7で縦横を逆にした場合も、同じように、雄ねじ側は、下記(43)式、
DEave−DE1≦2×{(tEave/3)−0.65} (43)
雌ねじ側は、下記(44)式、
DE3−DEave≦2×{(tEave/3)−0.65} (44)
となり、(43)式と(44)式の両辺を足すと、下記(45)式、
DE3−DE1≦4×{(tEave/3)−0.65} (45)
(45)式を書き換えると、下記(46)式、
ΔDE=DE1−DE3≧−4×{(tEave/3)−0.65} (46)
となる。
以下、x軸は鋼管中央部の縦楕円度ΔDC、y軸は鋼管端部の縦楕円度ΔDEである図8〜図13において、図中の点iのx軸成分をx(i)、y軸成分をy(i)と表現する。
また以下で説明する式の表記の中で、MAX(n、m)は、n、mのうち大きい方の値を示し、MIN(n、m)は、n、mのうち小さい方の値を示す。尚、図8〜図9および図12〜13は、TS=1000N/mm、サイズが外径114.3mmで肉厚が3.5mmの条件におけるものである。図10及び図11は、TS=1000N/mm、サイズが外径114.3mmで肉厚が4.0mmの条件におけるものである。
図8において、前述の領域YY線の範囲を決定する線YH、線YLは、下記(47)式、(48)式、
線YH:y=4×{(tEave/3)−0.65} (47)
線YL:y=−4×{(tEave/3)−0.65} (48)
とすると、領域YYは(47)式と(48)式を同時に満たす領域で、図8では線YHと線YLで囲まれた部分である。尚、YH,YLは、ねじ切削加工においてできる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保するために必要なΔDEの範囲の上限と下限である。式で表すと、下記の(49)式、(50)式を同時に満たす(x、y)が領域YYである。
−∞≦x≦∞ (49)
−4×{(tEave/3)−0.65}≦y≦4×{(tEave/3)−0.65} (50)
領域AA、領域YYで共通に囲まれた領域XX、即ち構造管としての機能を確保させるための外径公差を確保し、できる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保ができる領域は、点X1、点X2、点X3、点X4で囲まれた領域で、下記(51)式〜(58)式で表される。
点X1:x(X1)=DCave×(2/100) (51)
y(X1)=YM (52)
点X2:x(X2)=DCave×(2/100) (53)
y(X2)=YN (54)
点X3:x(X3)=DCave×(−2/100) (55)
y(X3)=YN (56)
点X4:x(X4)=DCave×(−2/100) (57)
y(X4)=YM (58)
ここでYN、YMは図8には図示されていないが、以下とする。YNは、領域XXの範囲を規定する際、y成分の下限の範囲として領域AAのy成分 y=DEave×(−2/100) と領域YYのy成分 y=−4×(tEave/3)−0.65 の大きい方の値である。YMは、領域XXの範囲を規定する際、y成分の上限の範囲として領域AAのy成分 y=DEave×(2/100) と領域YYのy成分 y=4×(tEave/3)−0.65 の小さい方の値であり、(4)式、(5)式である。
YN=MAX[{DEave×(−2/100)}、{−4×((tEave/3)−0.65)}] (5)
YM=MIN[{DEave×( 2/100)}、{4×((tEave/3)−0.65)}] (4)
以上を整理すると、下記の(59)式、(60)式を同時に満たす(x、y)が領域XXである。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (59)
YN≦y≦YM (60)
ここで発明者らは、前述したように鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を明確化し、これを用いて、造管において鋼管中央部の縦楕円度を一定の範囲に制御させることで、鋼管切断後の鋼管端部の縦楕円度を低位に確保してねじ切り可能とする方法を見出した。以下にその方法とその方法で得られる製品の領域を図8の領域PPとして示す。領域PPは、前述した領域XXと以下の後述する領域WWの重なった領域である。
領域WWとは、前述した鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を用い製造したときに得られる ΔDCとΔDEについて、ばらつきも含めてその範囲を示したものである。図8おける領域WWについて説明する。鋼管端部と鋼管中央部の縦楕円度には(61)式の関係があり、図8では、線WBで示される。
y=x+K (61)
ここで、yはΔDE、xはΔDCであり、これに置き換えると前述の(21)式となる。尚、Kは前述の(6)式で求められる定数である。
図8にあるように、この式より、ΔDE=0にするために、製造時に狙うべき鋼管中央部の縦楕円度x(=ΔDC)は、(62)式、
x(=ΔDC)=−K (62)
であり、図8においては点AIMであり、(61)式を満足させるべく造管時の成形、定形を行えば、容易に管端の縦楕円度を低くすることが可能となる。
(61)式の関係を用いて製造した製品のΔDC、ΔDE範囲は、前述の(8)式で得られた鋼管中央部の平均外径DCaveの標準偏差を用い、ばらつきを考慮すると下記の線WH、線WLで囲まれた領域WWとなる。ここでWHは、平均から+3σであるΔDEの上限、WLは、平均から−3σであるΔDEの下限を示し、下記(63)式、(64)式となる。
線WH:y=x+K+3×SD (63)
線WL:y=x+K−3×SD (64)
ここでSDは縦楕円度の標準偏差で、ΔD=D1−D3であるので標準偏差の加法性より下記(7)式、
SD=(√2)×(鋼管中央部の平均外径DCaveの標準偏差) (7)
で表すことができる。鋼管中央部の平均外径DCaveの標準偏差は前述の(8)式で求められる数字である。式で表すと、下記の(3)式を同時に満たす(x、y)が領域WWである。
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
(61)式の関係を用いて鋼管切断後の鋼管端部の縦楕円度を低位に確保する製造において、図8の領域PPは、できる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図ることが可能な製品の範囲であり、領域XXと領域WWの重なった部分である。式で表すと、前述した下記の(59)式、(60)式および(3)式を同時に満たす(x、y)が領域PPである。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (59)
YN≦y≦YM (60)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
これを図8で座標で示すと、点X1、点P1、点Z3、点X3、点P2、点Z1、点X1を結んだ線の内側の領域である。点P1:X1とX2を通る線と線WLの交点である。点P2:X4とX3を通る線と線WHの交点である。点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点である。点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点である。
前述の(59)式のxの範囲で、同じく前述の(61)式の関係を用いて製造した場合、製造のばらつきが原因で、領域XXを満足できない場合が生じる。そこで、ねじ切削加工において、製造のばらつきを考慮して、安定的に領域XXを確保することが可能となるより好ましい領域として、図9に設定すべきΔDCの範囲およびそのとき得られるΔDEを領域ZZとして示す。式で表すと、下記の(65)式と、前述の(3)式を同時に満たす(x、y)が領域ZZである。
YN−K+3×SD≦x≦YM−K−3×SD (65)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
これを図9に座標で示すと、領域ZZは、領域XXを満たしかつ下記の4点、点Z1、点Z2、点Z3、点Z4を結んだ線に囲まれた領域である。
点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点であり、下記(66)式、(67)式で表される。
x(Z1)=y(X1)−K−3×SD=YM−K−3×SD (66)
y(Z1)=y(X1)=YM (67)
点Z2:x=x(Z1)と線WLの交点であり、下記(68)式、(69)式で表される。
x(Z2)=x(Z1)=y(X1)−K−3×SD
=YM−K−3×SD (68)
y(Z2)=x(Z1)+K−3×SD=YM−6×SD (69)
点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点であり、下記(70)式、(71)式で表される。
x(Z3)=y(X3)−K+3×SD=YN−K+3×SD (70)
y(Z3)=y(X3)=YN (71)
点Z4:x=x(Z3)と線WHの交点であり、下記(72)式、(73)式で表される。
x(Z4)=x(Z3)=y(X3)−K+3×SD
=YN−K+3×SD (72)
y(Z4)=x(Z3)+K+3×SD=YN+6×SD (73)
次に、鋼管の肉厚が厚くなると、領域YY(ねじ切削加工においてできる限り残肉を小さくし鋼管の軽量化を図りつつ、必要なねじ機能を確保するために必要な領域)が、領域AA(外径公差を確保するために必要な範囲)より大きくなる場合があり、その場合の領域PPを図10に示す。
この場合は、領域AAと領域YYの重なりである領域XXは、領域AAと同じになる。式で表すと、前述の下記の(32)式、(33)式を同時に満たす(x、y)が領域XXであり、下記(32)式、(33)式で表される。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (32)
DEave×(−2/100)≦y≦DEave×(2/100) (33)
これを図10で座標で示すと、領域XXは、下記の4点の点X1、点X2、点X3、点X4を結んだ線の内側の領域であり、下記(24)式〜(31)式で表される。
点X1(=点A1):x(X1)=x(A1)=DCave×(2/100) (24)
y(X1)=y(A1)=DEave×(2/100) (25)
点X2(=点A2):x(X2)=x(A2)=DCave×(2/100) (26)
y(X2)=y(A2)=DEave×(−2/100) (27)
点X3(=点A3):x(X3)=x(A3)=DCave×(−2/100) (28)y(X3)=y(A3)=DEave×(−2/100) (29)
点X4(=点A4):x(X4)=x(A4)DCave×(−2/100) (30)y(X4)=y(A4)=DEave×(2/100) (31)
図10において、前述の鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を用い製造したときに得られるΔDCとΔDEについて、ばらつきも含めてその範囲を示した領域WWは前述の説明と同じであり、前述の下記(3)式を同時に満たす(x、y)が領域WWであり、下記(3)式で表される。
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
図10において、領域PPは、領域XXと領域WWの重なった部分である。式で表すと、下記の(32)式、(33)式および(3)式を同時に満たす(x、y)が領域PPである。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (32)
DEave×(−2/100)≦y≦DEave×(2/100) (33)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
これを図10において座標で示すと、点X1、点P1、点Z3、点X3、点P2、点Z1、点X1を結んだ線の内側の領域である。ここで、
点P1:X1とX2を通る線と線WLの交点である。
点P2:X4とX3を通る線と線WHの交点である。
点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点である。
点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点である。
この場合の製造のばらつきを考慮して、安定的に領域XXを確保することが可能となるより好ましい領域である領域ZZを図11に示す。考え方は、前述と同じであるが、領域XXのy成分が異なり、
y(X1)=y(X4)=DEave×(2/100) (25)および(31)
y(X2)=y(X3)=DEave×(−2/100) (27)および(29)
となるため、式で表すと、下記の(74)式、(3)式を同時に満たす(x、y)が領域ZZである。
DEave×(−2/100)−K+3×SD≦x
≦DEave×(2/100)−K−3×SD (74)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
これを図11において座標で示すと、領域ZZは、領域XXを満たし、かつ下記の4点の点Z1、点Z2、点Z3、点Z4を結んだ線の内側の領域であり、下記(75)式〜(82)式で表される。
点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点である。
x(Z1)=y(X1)−K−3×SD
=DEave×(2/100)−K−3×SD (75)
y(Z1)=y(X1)=DEave×(2/100) (76)
点Z2:x=x(Z1)と線WLの交点である。
x(Z2)=x(Z1)=y(X1)−K−3×SD
=DEave×(2/100)−K−3×SD (77)
y(Z2)=x(Z1)+K−3×SD
=DEave×(2/100)−6×SD (78)
点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点である。
x(Z3)=y(X3)−K+3×SD
=DEave×(−2/100)−K+3×SD (79)
y(Z3)=y(X3)=DEave×(−2/100) (80)
点Z4:x=x(Z3)と線WHの交点である。
x(Z4)=x(Z3)=y(X3)−K+3×SD
=DEave×(−2/100)−K+3×SD (81)
y(Z4)=x(Z3)+K+3×SD
=DEave×(−2/100)+6×SD (82)
次に、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する場合について説明する。この場合の、鋼造管としての機能を確保させるための外径公差を確保したうえで、前述の鋼管端部の縦楕円度(ΔDE)と鋼管中央部の縦楕円度(ΔDC)の差の関係を用いて、造管において鋼管中央部の縦楕円度を一定の範囲に制御し鋼管切断後の鋼管端部の縦楕円度を低位に確保する方法で得られる製品の領域を図12に領域PPとして、より好ましい領域を図13に領域ZZとして示す。尚、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する場合については、領域YYは考える必要がない。
ねじ切削加工と同じように、嵌合させるに付き確保すべき管端の形状の範囲を領域XXとすると、領域XXは領域AAと同じであり、式で表すと、下記の(32)式、(33)式を同時に満たす(x、y)が領域XX(=領域AA)である。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (32)
DEave×(−2/100)≦y≦DEave×(2/100) (33)
これを図12において座標で示すと、以下の点X1、点X2、点X3、点X4を結んだ線の内側の領域であり、下記(24)式から(31)式で表される。
点X1:x(X1)=DCave×(2/100) (24)
y(X1)=DEave×(2/100) (25)
点X2:x(X2)=DCave×(2/100) (26)
y(X2)=DEave×(−2/100) (27)
点X3:x(X3)=DCave×(−2/100) (28)
y(X3)=DEave×(−2/100) (29)
点X4:x(X4)=DCave×(−2/100) (30)
y(X4)=DEave×(2/100) (31)
鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する場合で、前述の鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を用い製造したときに得られるΔDCとΔDEについて、ばらつきも含めてその範囲を示した図12,図13の領域WWは前述の説明と同じであり、下記の(3)式を同時に満たす(x、y)が領域WWである。
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
図12において、前述の鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度との関係を用いて、造管において鋼管中央部の縦楕円度を一定の範囲に制御し鋼管切断後の鋼管端部の縦楕円度を低位に確保する方法で得られる製品の領域である領域PPは、領域XXと領域WWの重なった部分である。式で表すと、下記の(32)式、(33)式および(3)式を同時に満たす(x、y)が領域PPである。
DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (32)
DEave×(−2/100)≦y≦DEave×(2/100) (33)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
これを図12において座標で示すと、点X1、点P1、点Z3、点X3、点P2、点Z1、点X1を結んだ線の内側の領域である。ここで、
点P1:X1とX2を通る線と線WLの交点である。
点P2:X4とX3を通る線と線WHの交点である。
点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点である。
点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点である。
次に図13に、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する場合について、製造のばらつきを考慮して、安定的に領域XXを確保することが可能となるより好ましい領域ZZを示す。考え方は、前述と同じであるが、領域XXのy成分が異なり、
y(X1)=y(X4)=DEave×(2/100) (25)および(31)
y(X2)=y(X3)=DEave×(−2/100) (27)および(29)
となるため、式で表すと、下記の(74)式、(3)式を同時に満たす(x、y)が領域ZZである。
DEave×(−2/100)−K+3×SD≦x
≦DEave×(2/100)−K−3×SD (74)
x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
図13において座標で示すと、領域ZZは、領域XXを満たしかつ下記の4点、点Z1、点Z2、点Z3、点Z4を結んだ線に囲まれた領域であり、下記(75)式〜(82)式で表される。
点Z1:X4とX1を通る線と線WHの交点である。
x(Z1)=y(X1)−K−3×SD
=DEave×(2/100)−K−3×SD (75)
y(Z1)=y(X1)=DEave×(2/100) (76)
点Z2:x=x(Z1)と線WLの交点である。
x(Z2)=x(Z1)=y(X1)−K−3×SD
=DEave×(2/100)−K−3×SD (77)
y(Z2)=x(Z1)+K−3×SD
=DEave×(2/100)−6×SD (78)
点Z3:X3とX2を通る線と線WLの交点である。
x(Z3)=y(X3)−K+3×SD
=DEave×(−2/100)−K+3×SD (79)
y(Z3)=y(X3)=DEave×(−2/100) (80)
点Z4:x=x(Z3)と線WHの交点である。
x(Z4)=x(Z3)=y(X3)−K+3×SD
=DEave×(−2/100)−K+3×SD (81)
y(Z4)=x(Z3)+K+3×SD
=DEave×(−2/100)+6×SD (82)
次に、本実施形態の高強度電縫鋼管の製造方法について説明する。
高強度電縫鋼管に使用される熱延鋼板は、前述した成分を有する鋼を加熱して熱間圧延後、制御冷却を行い、巻き取ることで製造される。
鋼の加熱温度は、Nbなど、炭化物を形成する元素を鋼中に固溶させるために、1150℃以上が好ましい。一方、細粒組織を得るためには、1000℃〜1280℃が好ましい。加熱温度が高すぎるとオーステナイト粒が粗大になり、結果としてフェライトの粒径が粗大化になるので、1280℃以下が好ましい。
熱間圧延の仕上温度は、圧延中にフェライトが生成しないようにするため、850℃以上が好ましい。
巻取温度は、300℃超とすると、充分な強度が確保できないおそれがあるため、300℃以下が好ましい。さらに好ましくは、150℃以下である。
次に、得られた熱延鋼板をロール成形により連続的にオープン管に成形し、次いでオープン管の端部同士を突き合わせで電縫溶接し、電縫溶接鋼管を製造する。電縫溶接部を加熱し、加速冷却するシーム熱処理を施してもよい。その後、サイザーで鋼管の外径を0.5%〜4.0%の縮径加工を施してもよい。
電縫鋼管の製造工程の一例を図14に示す。電縫鋼管は複数のロールスタンドによる冷間加工により製造され、鋼板を曲げてC断面とする成形工程、管端を電縫する溶接工程、管を僅かに縮径して形状を調整する矯正工程と、切断機で鋼管を所望の長さで切断する切断工程から成る。A−A’断面は溶接工程のスタンド位置、B−B’断面は1つまたは複数ある矯正工程のいずれか1つのスタンド位置、C−C’断面は矯正工程の最終段のロールの中心位置と切断した鋼管端部の間で、切断した位置から位置Leより大きい位置の任意の位置の断面、D−D’断面は鋼管端部である。また各断面における管幅と管高さをそれぞれAh、Av、Bh、Bv、D1(鋼管中央部)、D3(鋼管中央部)、D1(鋼管端部)、D3(鋼管端部)(mm)とする。管幅とは90°〜270°間の管外面距離、管高さとは電縫溶接部を0°位置とした場合の0°〜180°間の管外面距離である。
ΔDCが適切な値となるように造り込むためには、溶接スタンドの上・下・幅ロールを適宜調整してA−A’断面の管幅Ahと管高さAvを適切な値とするか、矯正スタンド最終段の上・下・幅ロールを適宜調整してB−B’断面の管幅Bhと管高さBvを適切な値にすればよい。鋼管の靱性や耐食性を考慮して矯正時の冷間加工を最小限とする場合は、前者による造り込みが好ましい。また鋼管を加工硬化させて、さらなる高強度化を狙う場合は、後者による造り込みが好ましい。尚、電鋼鋼管の製造工程は図14の事例に限らず、ロールの個数、段数、形状が異なるので、それぞれの設備において本発明の条件を満足する造り込み条件を探索することとなる。
以上の説明の中で、鋼管と鋼管の間に1ないし複数の治具を介して鋼管端部に嵌合して連結して使用する方法においては、嵌合部は、溶接、接着もしくは機械的な接合(例えば、ねじ加工、材料の弾性を利用した嵌め合い、ピン止め等)などで鋼管と治具が強固に接合される場合も含むものとする。尚、「治具」とは、カップリングやニップルであって、鋼管に直接ねじを切削するのではなく、カップリングやニップルを鋼管に溶接や機械的接合により接合する。
また本発明に係る高強度電縫鋼管の長さは、前述のように2000mm〜5000mmであることが好ましいが、一般的に使用されている長さである3000mm〜3500mmであることがより好ましい。
次に、本実施形態に係る高強度電縫鋼管の組成について説明する。
以下において、各元素について、単に「含有量」というときは、鋼管中における含有量を指す。
本実施形態の鋼管は、前述の通り、質量%または質量ppmで、C:0.04〜0.30%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.700%、N:100ppm以下、Nb:0〜0.100%、V:0〜0.100%、Ti:0〜0.200%、Ni:0〜1.000%、Cu:0〜1.000%、Cr:0〜1.000%、Mo:0〜1.000%、B:0〜50ppm、Ca:0〜100ppmおよびREM:0〜200ppmを含有し、残部が鉄および不純物である。
以下、各元素および含有量、並びに不純物について説明する。
<C:0.04〜0.30%>
C(炭素)は、鋼管の強度の向上に有効な元素である。
本発明の鋼管におけるCの含有量は、0.04%以上である。これにより、熱延鋼板の、結果として鋼管の強度が確保される。
一方、Cの含有量が多すぎると、鋼管の強度が高くなりすぎ、靭性が劣化する。このため、Cの含有量の上限は0.30%である。Cの含有量の上限は、0.25%が好ましく、0.20%がより好ましい。
<Si:0.01〜2.00%>
Si(ケイ素)は、脱酸剤として有効である。
しかし、Siの含有量が多すぎると、低温靭性が損なわれ、更に、電縫溶接性が損われる。このため、Siの含有量の上限は2.00%である。Siの含有量は、1.20%以下が好ましく、0.60%以下がより好ましい。
一方、脱酸剤としての効果がより効果的に得られる点から、Siの含有量は、0.01%以上である。さらに、固溶強化によって鋼管の強度がより高められる点で、Siの含有量は、0.10%以上が好ましく、0.20%以上がより好ましい。
<Mn:0.50〜3.00%>
Mn(マンガン)は、鋼の焼入れ性を高めることによって鋼を高強度化する元素である。
本発明の鋼管中におけるMn(マンガン)の含有量は、高い強度を確保する点から、0.50%以上である。Mnの含有量は、0.80%以上であることが好ましい。
しかし、Mnの含有量が多すぎると、マルテンサイトの生成が助長され、靱性が劣化する。このため、Mnの含有量の上限は3.00%である。より高い靭性を得るためには、上限は2.00%が好ましい。
<P:0.030%以下>
P(リン)は、不純物である。
Pの含有量の低減により、靭性が向上することから、Pの含有量の上限は0.030%である。Pの含有量は0.020%以下が好ましい。
Pの含有量は少ない方が好ましいため、Pの含有量の下限には特に制限はない。但し、特性とコストとのバランスの観点から、通常は、Pの含有量は0.001%以上である。
<S:0.030%以下>
S(硫黄)は、不純物である。
Sの含有量の低減により、熱間圧延によって延伸化するMnSを低減し、靭性を向上させることができることから、Sの含有量の上限は0.030%である。Sの含有量は、0.020%以下が好ましく、0.010%以下がより好ましい。
Sの含有量は少ない方が好ましいので、Sの含有量の下限には特に制限はない。但し、特性とコストとのバランスの観点から、通常は、Sの含有量は0.001%以上である。
<Al:0.005〜0.700%>
Al(アルミニウム)は、脱酸剤として有効な元素である。
しかし、Alの含有量が多すぎると、介在物が増加して、延性や靭性が損なわれる。このため、Alの含有量の上限は0.700%である。
一方、脱酸剤としての効果をより効果的に得る点から、Alの含有量は0.005%以上である。介在物を低減して、より高い延性や靭性を得るためには、上限は0.100%以下が好ましい。
<N:100ppm以下>
N(窒素)は、鋼中に不可避的に存在する元素である。
しかし、Nの含有量が多すぎると、AlN等の介在物が過度に増大して表面傷、靱性劣化等の弊害が生じるおそれがある。このため、Nの含有量の上限は100ppmである。Nの含有量は、80ppm以下が好ましく、60ppm以下が特に好ましい。
一方、Nの含有量の下限には特に制限はないが、脱N(脱窒)のコストや経済性を考慮すると、Nの含有量は、10ppm以上が好ましい。
<Nb:0〜0.100%>
Nb(ニオブ)は、再結晶温度を低下させる元素であり、熱間圧延を行う際に、オーステナイトの再結晶を抑制して組織の微細化に寄与する元素である。
しかし、Nbの含有量が多すぎると、粗大な析出物によって靭性が劣化する。このため、Nbの含有量の上限は0.100%である。Nbの含有量は、0.06%以下が好ましく、0.05%以下がより好ましい。
一方、組織微細化効果をより確実に得る点から、Nbの含有量は、0.010%以上が好ましく、0.020%以上が特に好ましい。
<V:0〜0.100%>
V(バナジウム)は、炭化物、窒化物を生成し、析出強化によって鋼の強度を向上させる元素である。
しかし、Vの含有量が多すぎると、炭化物及び窒化物が粗大化し、靭性の劣化をもたらすおそれがある。このため、Vの含有量は0〜0.100%である。Vの含有量は0.060%以下がより好ましい。
一方、鋼管の強度をより向上させる点から、Vの含有量は0.010%以上が好ましい。
<Ti:0〜0.200%>
Ti(チタン)は、微細な窒化物(TiN)を形成し、スラブ加熱時のオーステナイト粒の粗大化を抑制し組織の微細化に寄与する元素である。
しかし、Tiの含有量が多すぎると、TiNの粗大化や、TiCによる析出硬化が生じ、靭性が劣化するおそれがある。このため、Tiの含有量は、0〜0.200%である。Tiの含有量は0.100%以下がより好ましく、0.050%以下が特に好ましい。
一方、組織の微細化により靱性をより向上させる観点からは、Tiの含有量は、0.010%以上が好ましく、0.015%以上がより好ましい。
<Ni:0〜1.000%>
Ni(ニッケル)は、鋼の焼入れ性を高めることによって鋼を高強度化する元素である。また、Niは、靭性の向上に寄与する元素でもある。
しかし、Niは高価な元素であるため、経済性の点から、Niの含有量は0〜1.000%である。Niの含有量は0.500%以下がより好ましい。
一方、靱性をより向上させる観点から、Niの含有量は0.100%以上であることが好ましい。
<Cu:0〜1.000%>
Cu(銅)は、鋼の焼入れ性を高めることによって鋼を高強度化する元素である。また、Cuは、固溶強化に寄与する元素でもある。
しかし、Cuの含有量が多すぎると、鋼管の表面性状が損なわれる場合がある。このため、Cuの含有量は0〜1.000%である。Cuの含有量は0.500%以下がより好ましい。
一方、Cuの含有量は、0.100%以上が好ましい。
なお、鋼管がCuを含有する場合は、表面性状劣化防止の観点から、同時にNiを含有することが好ましい。
<Cr:0〜1.000%>
Cr(クロム)は、強度の向上に有効な元素である。
しかし、Crの含有量が多すぎると、電縫溶接性が劣化することがあるため、Crの含有量は、0〜1.000%以下である。Crの含有量は0.500%以下がより好ましい。
一方、鋼管の強度をより向上させる点から、Crの含有量は0.100%以上が好ましい。
<Mo:0〜1.000%>
Mo(モリブデン)は、鋼の高強度化に寄与する元素である。
しかし、Moは高価な元素であるため、経済性の点から、Moの含有量は0〜1.000%である。Moの含有量は0.500%以下がより好ましく、0.300%以下が特に好ましい。
一方、Moの含有量は、0.050%以上が好ましい。
<B:0〜50ppm>
B(ホウ素)は、微量の含有により鋼の焼入れ性を顕著に高めて鋼の高強度化に寄与する元素である。
しかし、Bは、含有量50ppmを超えて含有させても焼入れ性の更なる向上は起きないのみならず、析出物を生成して靭性を劣化させる可能性があるので、Bの含有量の上限は50ppmである。一方、Bは原料不純物から混入することがあるが、焼入れ性の効果を十分得るためには、Bの含有量は、3ppm以上であることが好ましい。
<Ca:0〜100ppm>
Ca(カルシウム)は、硫化物系介在物の形態を制御し、低温靭性を向上させ、さらに、電縫溶接部の酸化物を微細化して電縫溶接部の靭性を向上させる元素である。
しかし、Caの含有量が多すぎると、酸化物又は硫化物が大きくなり靭性に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、Caの含有量は、0〜100ppmである。
一方、Caの含有量は、10ppm以上であることが好ましい。
<REM:0〜200ppm>
本明細書中において、「REM」とは希土類元素を意味し、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテチウム)からなる17種の元素の総称である。
また、「REM:0〜200ppm」とは、上記17種の元素のうちの少なくとも1種を含有し、かつ、これら17種の元素の合計含有量が200ppm以下であることを指す。
REMは、硫化物系介在物の形態を制御し、低温靭性を向上させ、さらに、電縫溶接部の酸化物を微細化して電縫溶接部の靭性を向上させる元素である。
しかし、REMの含有量が多すぎると、酸化物又は硫化物が大きくなり靭性に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、REMの含有量は、0〜200ppmであることが好ましい。
一方、REMの含有量は、10ppm以上であることが好ましい。
<不純物>
本発明において、不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼に含有させたものではない成分を指す。
不純物として、具体的には、O(酸素)、Sb(アンチモン)、Sn(スズ)、W(タングステン)、Co(コバルト)、As(ヒ素)、Mg(マグネシウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、H(水素)が挙げられる。
このうち、Oは含有量0.004%以下となるように制御することが好ましい。
本発明の地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法について説明する。
本発明の地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法は、上述の高強度電縫鋼管の鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部にねじ切りを行ない、ねじ継手で2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いる。
また、本発明の地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法は、上述の高強度電縫鋼管の鋼管端部の一方または両方が鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部に、当該鋼管端部同士を1ないし複数の治具を介して嵌合させて2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いる。
実施例の表に掲げた成分のスラブを1050℃以上に加熱後、再結晶温度以上で粗圧延を行い、その後引き続きAr3℃以上950℃以下で累積圧下量が65%以上の仕上げ圧延を行いAr3℃以上の温度から冷却した鋼板を、成形工程、溶接工程、矯正工程を有する造管設備にて、冷間成形で中空状態とした後、電気抵抗溶接を施し、引張強さが590N/mm以上の高強度鋼管を製造し、造管後に鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部について「ねじ切後に接合」もしくは「治具を介して嵌合」を行なった。
なお、引張強さは、熱処理後の鋼管の母材部分から全厚試験片を管軸方向に採取し、管軸方向に引張試験を行った。
実施例の表で各条件での、実施例、比較例の条件と結果を示す。各表において、各領域の「G」は各領域を満足できた場合、各領域の「NG」は各領域を満足できなかった場合を示す。
領域AAを満足できない場合は、鋼管端部および鋼管中央部ともに必要な外径公差が確保できない、このことは鋼管の外径測定で判定可能である。この場合は、構造管として使用する際に、必要な円形の形状を確保できないため、必要な曲げモーメントまたは曲げ耐力が確保できず、使用時に変形や座屈が発生し構造管として必要な機能が満足できない。
領域YYを満足できない場合は、ねじとして必要な残肉が確保できず、ねじ加工時には変形が生じることがあり、また使用時には接続不良などねじの機能が確保できない。このことはねじゲージなどでの寸法測定、目視で判定可能である。また、管体としては、必要な残肉が確保できないため継手の強度が確保できず、使用時に継手部の曲りなどの変形、破断などが発生し、本来の用途としての機能を確保することができない。このことは、目視で判定可能である。
領域XXを満足できない場合は、つまりは、領域AA、領域YYのいずれか一方もしくは両方が満足できない場合であり、その場合は、それぞれが満足できなかった不良が発生する。
領域WWを満足できない場合は、今回の発明で得られた鋼管中央部と鋼管端部の縦楕円度の関係から操業結果が外れることで、正しい成形が行われないことである。これは、製品の局部的な形状不良や設備の異常などにより、製造が正しく行われていないことを意味しており、製造ロットの中で一定の品質が得られていないため製品とすることはできない。このことは、製品の目視検査、設備の点検で判定可能である。また領域WWを満足できない場合は、正しい成形が行われていないので、ねじ加工に必要な鋼管の形状が出来ないため、ねじ加工時には変形が生じることがあり、また使用時には接続不良などねじの機能が確保できない、また、外径公差が製造ロットの中で一定の値として確保できないので、それらを満足することができない。変形のないねじ加工の実施、外径公差の確保には、領域WWの確保が前提となる。
表1の実施例における鋼管の評価として、ねじ加工状況と鋼管外径公差の確保を示す。鋼管外径公差の確保とは、鋼管端部と鋼管中央部の両方が外径公差を満足した場合である。
ねじ加工状況では、正しい成形が行われ鋼管製品として一定の品質が確保される条件である領域WWを満足し、かつ、ねじとして必要な残肉が確保できる条件である領域YYが同時に満足できる場合に良好なねじ加工が可能となる。鋼管外径公差の確保では、正しい成形が行われ鋼管製品として一定の品質が確保される条件である領域WWを満足し、かつ、外径公差が確保される条件である領域AAが同時に満足できる場合に鋼管外径公差の確保が可能となる。
領域PPを満足できない場合は、つまりは、領域XX、領域WWのいずれか一方もしくは両方が満足できない場合であり、その場合は、それぞれが満足できなかった不良が発生する。領域XXのみ満足しない場合は、ねじとして必要な残肉が確保できず、ねじ加工時には変形が生じることがあり、また使用時には接続不良などねじの機能が確保できない。
領域WWのみ満足しない場合は、正しい成形が行われていないので、ねじ加工に必要な鋼管の形状が出来ないため、ねじ加工時には変形が生じることがあり、また使用時には接続不良などねじの機能が確保できない。それと同時に、外径公差が製造ロットの中で一定の値として確保できないので、外径公差も満足することができない。領域XXおよび領域WWの両方が満足しない場合は、ねじ加工にねじとして必要な残肉が確保できず、それによるねじ加工時には変形が生じる。また、必要な鋼管の形状が出来ないため、ねじ加工時には変形が生じることがあり、両方の理由で、使用時には接続不良などねじの機能が確保できない。それと同時に、外径公差が製造ロットの中で一定の値として確保できないので、外径公差も満足することができない。
領域ZZはより良い実施例の範囲であり、領域ZZを外れても、領域XXかつWWの範囲内であれば、実施例である。
尚、表1の比較例のNo.2とNo.31について説明する。この比較例では、鋼管外径公差が「不良」であるが、ねじ加工状況は「良好」となっている。これは、鋼管中央部では外径公差を満足しないが、鋼管端部での外径公差は満足できた場合である。この実施例では、領域WWと領域YYは満足しているため、ねじ切りは可能となる。但し、鋼管中央部の外径公差が満足できていないので、外径公差は「不良」であり、構造管として必要な機能を満足しないため、製品にはなりえず比較例となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明によれば、軽量高強度であって、造管後の新たな切断によって発生する鋼管端部が高真円度の高強度電縫鋼管および地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法を提供することができる。よって、産業上の利用可能性は大である。

Claims (6)

  1. 質量%または質量ppmで
    C:0.04〜0.30%、
    Si:0.01〜2.00%、
    Mn:0.50〜3.00%、
    P:0.030%以下、
    S:0.030%以下、
    Al:0.005〜0.700%、
    N:100ppm以下、
    Nb:0〜0.100%、
    V:0〜0.100%、
    Ti:0〜0.200%、
    Ni:0〜1.000%、
    Cu:0〜1.000%、
    Cr:0〜1.000%、
    Mo:0〜1.000%、
    B:0〜50ppm、
    Ca:0〜100ppmおよび
    REM:0〜200ppm
    を含有し、残部が鉄および不純物からなり、
    DCaveが60.3mm以上318.5mm以下であり、tCave/DCaveが0.02以上0.06以下であり、引張強さが590N/mm以上であり、鋼管中央部を切断した場合、下記式を満足することを特徴とする高強度電縫鋼管。
    DCave×(−2/100)≦x≦DCave×(2/100) (1)
    YN≦y≦YM (2)
    x+K−3×SD≦y≦x+K+3×SD (3)
    YM=MIN[{DEave×(2/100)}、{4×((tEave/3)−0.65)}] (4)
    ここで(4)式は{DEave×(2/100)}と{4×((tEave/3)−0.65)}の小さい方をYMとする。
    YN=MAX[{DEave×(−2/100)}、{−4×((tEave/3)−0.65)}](5)
    ここで(5)式は{DEave×(−2/100)}と{−4×((tEave/3)−0.65)}の大きい方をYNとする。
    K={α+(β/I)+(γ×TS)}×DCave (6)
    SD=(√2)×(鋼管中央部の平均外径DCaveの標準偏差) (7)
    鋼管中央部の外径の標準偏差={p+(q/I)+(r×TS)}×DCave (8)
    ここでx:縦楕円度(鋼管中央部)、y:縦楕円度(鋼管端部)、DCave:造管後、切断前の鋼管中央部の平均外径(mm)、tCave:造管後、切断前の鋼管中央部の鋼管の平均肉厚(mm)、DEave:造管後、切断後の鋼管端部の平均外径(mm)、tEave:造管後、切断後の鋼管端部の平均肉厚(mm)、TS:高強度電縫鋼管の母材部の引張強さ(N/mm)、α、β、γは定数で、
    α=−1.87×10−3 (9)
    β=1.35×10 (10)
    γ=−6.65×10−6 (11)
    Iは鋼管中央部断面の断面二次モーメント(mm)で、
    I=π/64×{(DCave)−(DCave−2×tCave)} (12)
    p、q、rは定数で
    p=1.39×10−3 (13)
    q=4.17×10 (14)
    r=6.05×10−7 (15)
    である。
  2. 引張強さが780N/mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度電縫鋼管。
  3. さらに下記式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度電縫鋼管。
    YN−K+3×SD≦x≦YM−K−3×SD (17)
  4. さらに下記式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度電縫鋼管。
    DEave×(−2/100)−K+3×SD≦x
    ≦DEave×(2/100)−K−3×SD (18)
  5. 請求項1または2に記載の高強度電縫鋼管の鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部にねじ切りを行ない、ねじ継手で2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いることを特徴とする地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法。
  6. 請求項1または2に記載の高強度電縫鋼管の鋼管端部の一方または両方が鋼管中央部で切断して発生した新たな鋼管端部に、当該鋼管端部同士を1ないし複数の治具を介して嵌合させて2本以上の高強度電縫鋼管を接続して用いることを特徴とする地盤安定化工事用高強度電縫鋼管の使用方法。
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